JP2004130592A - ポリエステルフィルム - Google Patents

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京塚 修司
Mitsumasa Ono
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Abstract

【課題】成形性、光学特性、安定性に優れ、成形部材表装用に優れたフィルムを得る。
【解決手段】4〜15倍の面積倍率となるよう二方向に延伸した後、(フィルム融点−10)℃以下の温度にて熱固定を施した二軸延伸フィルムである。フィルムの面配向係数は0.10〜0.16。フィルムの100℃における100%伸長時の応力がいかなる方向においても10〜150MPa。原材料ポリエステル組成物は、フィルムとした後の融点が210〜245℃となるもの。なおかつ原材料ポリエステル組成物の少なくとも一種は、リン化合物およびポリマー中に可溶なチタン化合物を含有する。フィルム中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の合計含有量がエチレンテレフタレート成分に対して5ミリモル%以下。なおかつチタン化合物およびリン化合物の含有量の関係を限定。
【選択図】    なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成形される部材に使用されるポリエステルフィルムに関する。さらに詳しくは良好な成形性とポリマー中の重合触媒に起因する異物が少ない優れた透明性を維持しつつ、実用上問題ない溶融安定性とすぐれたポリマーの色相を兼備し、樹脂、金属部材の表面保護用フィルム、バンパーに代表される車載用部材、金属または木材を原料とする素材、特に建築部材等の表面保護美装用フィルム、ガラス部材の表面保護・飛散防止用フィルム、成形加工が必要な包装材用フィルムに使用される用途に有用なポリエステルフィルムに関するものである。また、射出成形等において、成形と同時に印刷するインモールド転写成形などに用いられる転写印刷用支持フィルム等の工程フィルムとして好適なポリエステルフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
表示材、建材、自動車部品、電子部品などで使用される樹脂、金属または木材を原料とする素材からなる部材の表面保護および/または加飾用などには、各種のプラスチックフィルムが用いられている。加工性などの点から代表的なものとして、ポリ塩化ビニルフィルムが用いられてきた。しかしながら、ポリ塩化ビニルフィルムには、ポリマーの構成成分の中にハロゲン元素が含有されているため、焼却時や火災などにより燃焼した際のダイオキシンなどの有毒な成分の発生や可塑剤のブリードアウトなどの課題があるため、近年の環境負荷低減の、声の高まりと共に新しい素材が求められてきた。また、こうしたフィルムは透明性が高く、ヘーズ値が低いことが要求される。さらにまた、これら樹脂または金属または木材を原料とする素材からなる部材は、様々な形状を有しており、表面保護および/または加飾用フィルムもこれらの形状に追随させる必要がある。そこで近年は、ポリエステルからなるフィルムが成形部材に用いられるようになってきた。
【0003】
【特許文献1】
特開昭58−38722号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平7−138354号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ポリエステルの重合触媒としては種々の金属化合物が知られており、中でも三酸化アンチモンの如きアンチモン(Sb)化合物が安価でかつ高い重合活性を持つことから、広く使用されている。しかし、Sb化合物は、その一部が反応中に還元されて金属Sbやその他の異物を生成し、その結果、ポリマーの色を黒ずませたり、透明性を低下させたり、製造工程を不安定化させたりして成形品の品質を悪化させるといった課題を抱えている。アンチモン化合物以外の重縮合触媒としては、ゲルマニウム化合物、テトラ−n−ブトキシチタンのようなチタン化合物が提案されている。ゲルマニウム化合物は、かなり高価であるため、ポリエステルの製造コストが高くなるという課題がある。一方チタン化合物を重合触媒として使用した場合、上記のような金属Sbやその他の異物の生成が抑制され、上述の異物に起因する成形性、透明性の課題は改善される。しかし、得られたポリエステル自身が黄色く着色されたり、また、溶融熱安定性が乏しいといったチタン化合物特有の課題を抱えており、製膜中にフィルムが切断したり、フィルムが脆くなる課題を抱えている。
【0006】
上記着色課題を解決するために、コバルト化合物をポリエステルに添加して黄味を抑えることが一般的に行われている。確かにコバルト化合物の添加によってポリエステルの色(L*a*b*表色系におけるb*値)は改善することができるが、コバルト化合物を添加することによってポリエステルの溶融熱安定性が低下し、ポリマーの分解が発生しやすくなるという課題がある。また、特開昭58−38722号公報にはチタン化合物と亜リン酸エステルとを反応させて得られた生成物を、特開平7−138354号公報においては、チタン化合物とリン化合物の錯体をポリエステル製造用触媒とすることが提案されており、この方法によれば溶融安定性もある程度向上するものの十分ではない。
【0007】
本発明の目的は、かかる従来技術の課題を解決し、異物等の発生のない触媒を用いたポリエステルを用いて、実用上問題のない溶融熱安定性と優れたポリマーの色特性を兼備し、従来素材と比べ、その成形性を飛躍的に向上させ、透明性に優れたポリエステルフィルムを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のポリエステルフィルムは、一種類以上の原材料ポリエステル組成物から得られる未延伸シートを、4〜15倍の面積倍率となるよう二方向に延伸した後、(フィルム融点−10)℃以下の温度にて熱固定を施した二軸延伸フィルムであって、フィルムの面配向係数は0.10〜0.16で、なおかつフィルムの100℃における100%伸長時の応力がいかなる方向においても10〜150MPaであり、さらに原材料ポリエステル組成物はフィルムとした後の融点が210〜245℃となるものであって、なおかつ原材料ポリエステル組成物の少なくとも一種はリン化合物およびポリマー中に可溶なチタン化合物を含有し、その上フィルム中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の合計含有量がエチレンテレフタレート成分に対して5ミリモル%以下で、なおかつ、チタン化合物およびリン化合物の含有量が以下の式(1)〜(3)を満足することを特徴とする。2≦Ti≦10     …(1)
2≦P/Ti≦15   …(2)
10≦Ti+P≦100 …(3)
(ここで、式(1)〜(3)中の、Tiはチタン化合物のチタン元素としてのモル数を、樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)であり、Pはリン化合物のリン元素としてのモル数を樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)である)。すなわち本発明においては、触媒、フィルムの原料樹脂、分子配向技術、機械物性挙動を適正なものにすることにより、成形性、透明性、色特性に優れたポリエステルフィルムが得られる。
【0009】
<ポリエステル、触媒および安定剤>
本発明のフィルムは、一種類以上のポリエステルをその構成成分とし、フィルムとした後の融点が210〜245℃となるようなポリエステル組成物を原材料とすることにより、本発明に規定するフィルム特性を実現することが可能となる。
【0010】
ここで使用する共重合ポリエステルの主たる繰り返し単位を構成するものとしては、エチレンテレフタレート、テトラメチレンテレフタレート、エチレン−2,6−ナフタレート、テトラメチレン−2,6−ナフタレートなどの芳香族ポリエステルが好ましいものとして挙げられ、その中でもエチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とする融点が210〜245℃の共重合ポリエチレンテレフタレートが、形状追随性、成形時、成形後の工程、また製品として使用される際の耐熱性などを良好に保持できることから好ましい。ここで「エチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とするもの」とは、テレフタル酸成分を全ジカルボン酸成分の少なくとも75モル%、エチレングリコール成分を全ジオール成分の少なくとも75モル%含有するものである。融点が上記範囲内にあることの優位性については、伸長時応力の項にて後述する。
【0011】
共重合ポリエチレンテレフタレートの共重合成分としては、得られたフィルムの特性が本発明の範囲を超えなければ、特に限定されない。好ましいジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、オルトフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸成分、シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸成分、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分など、好ましいジオール成分としては、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどの脂肪族ジオール成分、シクロヘキサン−1,4−ジメタノールなどの脂環族ジオール成分、ビスフェノールAなどの芳香族ジオール成分、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどのエーテル縮合型ジオール成分など、また、好ましいジカルボン酸およびジオール成分以外の成分として、p−ヒドロキシ安息香酸、ω−ヒドロキシ酪酸、ω−ヒドロキシ吉草酸、乳酸などのヒドロキシカルボン酸成分、ポリカーボネートに見られるような炭酸成分、さらに、トリメリット酸、ピロメリット酸やグリセリンなどの3官能以上の成分が挙げられる。これらの中でも、諸特性の発揮のしやすさ、原料の入手のしやすさ、共重合ポリエステルの製造のしやすさなどから、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはジエチレングリコールが特に好ましい。これらの共重合成分の割合は、共重合ポリエステルの融点が210〜245℃の範囲になるように調整すれば良く、例えば、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸を共重合する場合は、全ジカルボン酸成分中に占めるイソフタル酸の割合を、おおよそ5.5〜18モル%の範囲にするのが好ましい。
【0012】
また、得られたフィルムの特性が本発明の範囲を超えない限り、少なくとも二種類の異なるポリエステル樹脂の混合物を原材料とすることも、本発明に規定するフィルム特性を実現するため、極めて好ましい方策である。中でも、エチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とする共重合ポリエステルと、テトラメチレンテレフタレート単位またはトリメチレンテレフタレート単位を主たる構成成分とし、フィルムとした後の融点が210〜245℃となるようなポリエステル混合物は、得られるフィルムに機械的な強度と成形性があり、透明性の高いポリマーであるため、好ましい原材料ポリエステル組成物として例示できる。
【0013】
あるいはまた本発明のフィルムは、融点が210〜245℃のエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂A、および融点が210〜225℃のブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂Bとを、少なくともその構成成分とする組成物からなるフィルムであることが好ましい。これによりフィルムの成形性を飛躍的に向上できる。特にその際に、樹脂Aの構成比が30〜99重量%、樹脂Bの構成比が1〜70%であることがより好ましい。
【0014】
各ポリエステル樹脂の混合比は、フィルムとした後の融点その他のフィルム特性が本発明の範囲を超えない限り、限定されるものではないが、混合物であることの効果を発揮させるためには、各成分とも5〜95重量%の範囲にあることが好ましい。
【0015】
さらに、ポリエステル樹脂がフィルムの主成分であり、得られたフィルムの特性が本発明の範囲を超えない限り、ポリエステル以外の樹脂との混合物を原材料としてもよい。ここで「ポリエステル樹脂がフィルムの主成分である」とは、例えば混合物が海島構造をとった場合には連続した「海」領域を構成する樹脂がポリエステル樹脂である場合をいう。
【0016】
本発明において、ポリマーの製造時に安定剤として用いられるリン化合物としては、リン酸、亜リン酸、ホスホン酸、ホスホネート化合物及びそれらの誘導体等があげられる。これらは単独で使用してもよく、また二種以上併用してもよい。特にリン化合物中では、下記一般式(I)で表されるホスホネート化合物が好ましい。
O−C(O)−X−P(O)−(OR …(I)
(上記式中、RおよびRは、同じか又は異なっていてもよく、かつ炭素数原子数1〜4のアルキル基を示し、Xは、−CH−又はCH(Y)を示す(Yは、ベンゼン環を示す))。
【0017】
具体例としては、以下のホスホン酸のジメチル−、ジエチル−、ジプロピル−及びジブチルエステルである。
カルボメトキシメタンホスホン酸
カルボエトキシメタンホスホン酸
カルボプロポキシメタンホスホン酸
カルボプトキシメタンホスホン酸
カルボメトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸
カルボエトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸
カルボプロトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸
カルボブトキシ−ホスホノ−フェニル酢酸。
【0018】
上記のホスホネート化合物の好ましい理由は、通常安定剤として使用されるリン化合物に比較し、チタン化合物との反応が比較的緩やかに進行する為、チタン化合物の触媒活性が重縮合反応中に長時間持続し、結果としてポリエステルヘの添加量が少なくでき、触媒に対し多量安定剤を添加する場合でも、ポリエステルの熱安定性を損ないにくく、色調の低下を引き起こしにくい特性を有している為である。これら、リン化合物の添加時期は、エステル交換反応又はエステル化反応が実質的に終了した後であればいつでもよく、例えば、重縮合反応を開始する以前の大気圧下でも、重縮合反応を開始した後の減圧下でも、重縮合反応の末期でもまた、重縮合反応の終了後、すなわちポリマーを得た後に添加してもよい。
【0019】
本発明において用いられるチタン化合物は、触媒異物の低減、透明性向上のため、ポリマー中に可溶なチタン化合物を使用することが必要である。チタン化合物としては特に限定されず、ポリエステルの重縮合触媒として一般的なチタン化合物、例えば、酢酸チタンやテトラ−n−ブトキシチタンなどが挙げられるが、特に望ましいのは、下記一般式(II)で表わされる化合物、もしくは一般式(II)で表わされる化合物と下記一般式(III)で表わされる芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させた生成物である。
Ti(OR …(II)
(上記式中、Rはアルキル基及び/又はフェニル基を示す)。
【0020】
【化2】
Figure 2004130592
【0021】
(上記式中、nは2〜4の整数を表わす)。
【0022】
一般式(II)で表わされるテトラアルコキサイドチタンとしては、Rがアルキル基及び/又はフェニル基であれば特に限定されないが、テトライソプロポキシチタン、テトラプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラフェノキシチタンなどが好ましく用いられる。また、かかるチタン化合物として反応させる一般式(III)で表される芳香族多価カルボン酸又はその無水物としては、フタル酸、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ピロメリット酸及びこれらの無水物が好ましく用いられる。上記チタン化合物と芳香族多価カルボン酸又はその無水物とを反応させる場合には、溶媒に芳香族多価カルボン酸又はその無水物の一部とを溶解し、これにチタン化合物を滴下し、0〜200℃の温度で30分以上反応させれば良い。
【0023】
また本発明のポリエステルフィルムは、アンチモン元素およびゲルマニウム元素の合計含有量がエチレンテレフタレート成分に対して5ミリモル%以下である。アンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量が5ミリモル%を超えると、これらの触媒に起因する異物の析出などの弊害を生じる。
【0024】
本発明のポリエステルにはポリマー中に可溶なチタン金属元素として2〜10ミリモル%含有する必要がある。特に好ましくは3〜10ミリモル%の範囲である。該チタン金属元素が2ミリモル%未満ではポリエステルの生産性が低下し、目標の分子量のポリエステルが得られない。また、該チタン金属元素が10ミリモル%を超える場合は熱安定性が逆に低下し、フィルム製造時の分子量低下が大きくなり目的のポリエステルが得られない。尚、ここで言うポリマー中に可溶なチタン金属元素とは、エステル交換反応による第一段階反応をする場合は、エステル交換反応触媒として使用されたチタン化合物と重縮合反応触媒として使用されたチタン化合物の合計を示す。
【0025】
本発明におけるポリエステルは、チタン化合物を触媒としかつリン化合物を安定剤として製造され、そして下記式(2)、(3)を共に満足する必要がある。
2≦P/Ti≦15   …(2)
10≦Ti+P≦100 …(3)
(上記式中、Tiはポリエステル中に含有されるポリエステル可溶チタン化合物のチタン金属元素の濃度(ミリモル%)、Pはポリエステル中に含有されるリン化合物のリン元素の濃度(ミリモル%)を示す)。
【0026】
さらに好ましくは上記式(2)中の(P/Ti)の好ましい範囲は4〜10の範囲、また、上記式(3)中の(Ti+P)の好ましい範囲は20〜70である。(P/Ti)が2未満の場合、熱安定性が著しく低下し、得られるポリマーの色相が黄色味を帯びて好ましくない。一方(P/Ti)が10を超えるとポリエステルの重合反応性が大幅に低下し、所望の分子量を有するポリエステルを得ることができない。(P/Ti)の適正範囲にある場合、色相の優れた所望の分子量を有するポリマーを得ることができる。また、(Ti+P)が10に満たない場合は、例えばフィルムに成形加工する際に、静電印可法によるフィルム製膜プロセスにおける生産性が低下したり、フィルム厚みの均一性も低下する事に起因する成形加工性、特に製膜性の低下が生じ、満足な性能が得られなくなる。また、(Ti+P)が100を超えると、触媒に起因する異物が発生し、ポリマーの透明性が低下する。
【0027】
一般的にエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルの原料として、テレフタル酸とエチレングリコールを原料として用いたものでも、ジメチルテレフタレートに代表されるテレフタル酸のエステル形成性誘導体とエチレングリコールを原料として用いたものでもよい。これらのなかでも、原料として用いる全ジカルボン酸成分の80モル%以上がジメチルテレフタレートである、エステル交換反応を経由する製造方法が好ましい。ジメチルテレフタレートを原料物質に使用すると、テレフタル酸を原料とする製造方法に比較し、重縮合反応中に安定剤として添加したリン化合物の飛散が少ないという利点がある。また、ジメチルテレフタレートを原料物質とする製造方法の中でも、チタン化合物の添加量を低減できることから、チタン化合物の少なくとも一部をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒の二つ触媒を兼用させる製造方法が好ましい。
【0028】
前記チタン化合物の一部及び/又は全量をエステル交換反応開始前に添加し、エステル交換反応触媒と重縮合反応触媒の二つ触媒を兼用させる製造方法が好ましく、更にエステル交換反応が、0.05〜0.20MPaの加圧下にて実施する方法がより好ましい。エステル交換反応時の圧力が、0.05MPa以下では、チタン化合物の触媒作用による反応の促進が十分では無く、一方0.20MPa以上では、副生成物として発生するジエチレングリコールのポリマー中の含有量が著しく増加し、ポリマーの熱安定性等の特性が劣ってしまう。
【0029】
本発明におけるポリエステル樹脂組成物の固有粘度(o−クロロフェノール、35℃)は、0.50〜0.80の範囲にあることが好ましく、さらに0.55〜0.78の範囲が好ましい。固有粘度が0.50未満であると、フィルムの耐衝撃性が不足するため好ましくない。他方、固有粘度が0.80を超えると、原料ポリマーの固有粘度を過剰に引き上げる必要があり不経済である。
【0030】
その他、得られたフィルムの特性が本発明の範囲を超えるものでない限りにおいて、本発明のポリエステルフィルム中に各種添加剤、例えば紫外線吸収剤、安定剤、帯電防止剤、染料、顔料、および難燃剤などを含有させてもよい。
【0031】
<伸長時応力>
本発明のフィルムは、100℃における100%伸長時の応力がいかなる方向においても10〜150MPaである。100℃での伸長については、代表的な加工時の温度における変形モードを示す成形性の尺度となり、上記伸長時の応力が150MPaを越えると剛直すぎて成形性が劣り、他方、10MPa未満だと、変形時に過度に応力が掛からないため均等に変形することが困難となる。該応力の好ましい範囲は、各方向ともに、20〜110MPaである。
【0032】
<面配向係数>
フィルムの面配向係数が0.10〜0.16であると、上記のような応力特性が得やすくなるので好ましい。この面配向係数とは、アッベ法にて測定されたフィルムの各方向成分の屈折率のから、計算式(A)によって計算されたものを意味する。計算式(A)中のPは面配向係数、nMDはフィルムのMD方向の屈折率、nTDはフィルムのTD方向の屈折率、nはフィルム面に垂直な厚み方向の屈折率を示す。ここで「MD方向」とはフィルムの面に平行で且つフィルム製膜方向に沿った方向を、また「TD方向」とはフィルムの面に平行で且つ製膜方向に垂直な方向である。
P=(nMD+nTD)/2−n …(A)
そして面配向係数については、フィルム内における分子鎖の配向状態を表わすものであり、これが0.16を越えると、分子鎖が過度に配向しているため、加工の際にフィルムが変形しにくく、基材となる各種部材の形状に対する追随性が劣る。他方、面配向係数が0.10未満になると、分子鎖がほとんど配向していない非晶に近い状態のため、経時や熱履歴後に脆化が起こりやすい。面配向係数の好ましい範囲は、0.10〜0.14である。
【0033】
<ヘーズ値>
本発明のフィルムのヘーズ値は、5%以下であることが好ましい。ヘーズ値が5%以下を超えると成形品の色が曇って見え、鮮映性が低下する場合があるので好ましくない。
【0034】
<滑り性>
本発明におけるポリエステルフィルムが上記フィルムヘーズを有するものであるためには、フィルム内部に粒子などの他成分や不純物を含有しないことが最も好ましいが、フィルムどうしのブロッキングを防止し、ハンドリング性を優れたものとするためにフィルム中に滑材粒子を含有させる場合には、滑材粒子の粒径を2.5μm未満、添加量を1重量%未満とすることが好ましい。滑材粒子の種類は特に限定されないが、シリカ、アルミナ、酸化チタン、炭酸カルシウム、カオリンなどの無機微粒子、触媒残渣の析出微粒子および/またはシリコーン、ポリスチレン架橋体、アクリル系架橋体などの有機微粒子などを好ましいのもとして挙げることができる。また、フィルム内部に滑材粒子を含有させない場合には、アンチブロッキング効果を奏する物質を内部に含有する表面易滑処理層をフィルム表面に塗設することが好ましい。
【0035】
<プライマー層>
本発明のポリエステルフィルムは、特にその成形部材表装用途において、プライマー層を少なくとも片面に設けることが好ましい。このプライマー層の主成分は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル樹脂変性ポリエステル樹脂、およびビニル系樹脂変性ポリエステル樹脂の中から選ばれた少なくとも1種類の樹脂、あるいはシランカップリング剤であることが好ましい。
【0036】
このプライマー層により、その後の加工により得られた塗膜、蒸着膜、印刷などのポリエステルフィルムへの接着性を向上させることができる。また、アンチブロッキングや滑り性付与効果を奏する物質や、帯電防止効果を奏する物質、紫外線カット効果を補強する物質、その他種々の機能を付与させるための物質をフィルム表面に存在させやすくすることもできる。
【0037】
さらにこのプライマー層は、上記プライマー層主成分を含有するプライマー層形成用塗布液を、配向結晶化完了前のポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布した後、乾燥・延伸・熱固定を施して形成したものであることが好ましい。これにより、プライマー層表面の均一性かつプライマー層のポリエステルフィルムへの密着性を高めることができる。またこれは製造効率、品質管理の観点からも好ましく、特にプライマー層形成用塗布液が上記主成分を含有する水溶液または水分散体であることが、作業環境や外部環境保全の観点から好ましい。
【0038】
さらに本発明の目的を損なわない限り、後小加工その他の特性付与を目的として、本発明のポリエステルフィルムの上に、重ねてプライマー層を設けたり、コロナ放電処理、プラズマ処理、火炎処理などを施してもよい。
【0039】
<製膜法>
上記のような、100℃における100%伸長時の応力を具備するポリエステルフィルムは、従来公知のフィルムの製造方法を適宜調整することで製造でき、その中でも、フィルムの縦方向および横方向のそれぞれで、伸長応力などのフィルム特性を容易に変更し得る二軸延伸法が好ましい。具体的には、本発明で使用する共重合ポリエステルのペレットを乾燥後溶融し、ダイから冷却ドラム上に押出して冷却し、未延伸フィルムを得る。そして該未延伸フィルムを、4〜15倍の面積延伸倍率となるように、逐次または同時2軸延伸し、(フィルム融点−10)℃以下の温度にて熱固定すればよい。
【0040】
その際に各方向での延伸倍率は、縦方向に2.0〜4.5倍および横方向に2.0〜5.0倍であることが好ましい。縦方向または横方向の延伸倍率が2.5未満では、分子の配向が不十分であり、その結果、耐経時脆化性に劣るものとなり易い。他方、縦方向の延伸倍率が4.5倍または横方向の延伸倍率が5.0倍を越えると、フィルム内の分子が過度に配向し、本発明における100℃100%伸長応力の範囲を得難くなり、その結果、基材への形状追随性に劣るものとなり易い。
【0041】
また熱固定は、150〜230℃で1〜180秒間施すことがより好ましい。フィルムの熱固定温度が150℃未満では、熱収縮が大きく、後加工における位置ずれが生じ易く、他方、230℃を越えると、フィルムの配向が緩んでしまい、自重によるたるみなどの原因となる。なお、熱収縮の低減のために、熱固定の際適宜弛緩処理を行うことも好ましい。フィルムの厚みは、特に制限がないが、0.5〜250μmが好ましい。
【0042】
<好ましい用途>
本発明のポリエステルフィルムの好ましい用途として、樹脂または金属または合板や集積板材などの木材を原料とする素材からなる部材の表装用フィルムとしての用途を例示することができる。樹脂からなる成形部材の表装用として用いる場合の例として、射出成形、ブロー成形、押出成形などの成形を行う前にあらかじめ、および/または、成形と同時に所望の形状に賦形し、部材の表装となすような方法をあげることができる。金属板からなる成形部材、または、木材を原料とする素材からなる成形部材の表装に用いる場合の例として、公知の方法によりフィルムを金属板や木材を原料とする素材に貼合せた後、絞り、プレス、折曲げなどの成形を施し、フィルムを表装とする成型部材を製造するような方法をあげることができる。また、あらかじめ立体形状に成形された部材の表面に、フィルムを追随させながら貼合せることで、部材の表装となすような方法をあげることもできる。
【0043】
具体的な例として、次の用途を挙げることができる。
包装用:成形が必要なパッケージ。
情報機器用:小型情報端末や通信機器のキートップ部材。
自動車用成形部材表装用:車体用パネル、バンパー・フェンダー・スポイラー他エアロパーツ・ウィンドウモールなどの車体用部品、ダッシュボード、インパネ、ドア内部パネルなどの車内部材。
建材用成形部材表装用:扉、窓枠、クロゼット・キッチン部材などの扉・壁・床材、ユニットバスの扉・壁・床・浴槽材。
屋外表示材用成形部材表装用:標識、看板。
【0044】
上記のように該フィルムを用いる場合、必要に応じ、該フィルムと樹脂または金属または木材を原料とする素材からなる成形基材の間に、接着剤や、塗料および/またはインキ層、あるいは他の樹脂シートなどを介在させても良い。また、必要に応じ、該フィルムの外面上に、ハードコート層、耐候性補強層等を設けたり、印刷・塗装などを施しても良い。
【0045】
特に、情報機器におけるメンブレンスイッチ押下のための樹脂部材を埋め込んだ形のキートップ部材の基材として用いられる場合には、フィルム上に印刷および/または金属薄膜の蒸着あるいはスパッタリングを施した後、キーの形状に成形することが好ましい。またキートップ部材用としては、成形前にキートップ基材用フィルムにラミネートするためのラミネート用フィルムとして用いることで、キー形状への成形を容易なものとすることができ、また基材フィルム上の印刷などを保護することができるのでより好ましい。
【0046】
【実施例】
以下、実施例に基づき、本発明を説明する。各特性値ならびに評価方法は下記の方法によって測定、評価した。
【0047】
(1)融点
得られたポリエステルフィルムを20mgサンプリングし、アルミニウムパンに充填したものを示差走査熱量測定装置(DuPont Instrument910 DSC)にセットし、20℃/分の速度で室温から昇温した。空のアルミニウムパンを対照として熱量変化を記録し、もっとも高温部の吸熱のピークに相当する温度を融点(℃)とした。図1に、融点をあらわすDSC熱量変化曲線の代表例を示す。
【0048】
(2)面配向係数
得られたポリエステルフィルムの各方向の屈折率をアッベ法にて測定し、前述の計算式によって計算した。
【0049】
(3)100%伸長時応力
測定装置として、チャック部を加熱チャンバーで覆った引張試験機(東洋ボールドウィン社製の商品名「テンシロン」)を用い、得られたポリエステルフィルムを、MD方向とTD方向に対して、それぞれ伸長方向150mm×幅方向10mmでサンプリングし、あらかじめ100℃に加熱した前記装置のチャンバー内で間隔を100mmにセットしたチャックに挟んで固定した後、100mm/分の速度で引張り、試験機に装着されたロードセルで荷重を測定した。そして、チャック間距離が100mm伸長した時点の荷重を読取り、引張前のサンプル断面積で割って応力(MPa)を計算した。なお、測定結果のMD方向とTD方向の表示は、サンプリングの伸長方向に相当する方向を表示する。
【0050】
(4)ヘーズ値
ヘーズメーター(日本精密光学(株)製、POICヘーズメーター SEP−HS−D1)により、得られたポリエステルフィルムのヘーズ値(%)を測定した。
【0051】
(5)厚み
フィルム厚みはマイクロメーターにてランダムに10点測定し、その平均値を用いる。
【0052】
(6)フィルムの熱安定性
フィルムを固定枠に均一に張り、熱風乾燥機にフィルムを入れ、温度220℃で5分間処理をした。処理後のフィルムを、それぞれ試料幅10mm、長さ15cmに切り、チャック間100mmにて引張速度10mm/分にて引張試験(東洋ボールドウィン社製の商品名「テンシロン」)で引張り試験を実施する。得られた荷重−伸び曲線の破断時の応力を算出する。そして、下記のとおり評価した。
○:処理後の破断強度が、処理前の破断強度に対して60%を超え、熱安定性良好。
△:処理後の破断強度が、処理前の破断強度に対して30〜60%であり、やや熱安定性に劣る。
×:処理後の破断強度が、処理前の破断強度に対して30未満であり、熱安定性が極めて劣悪。
【0053】
(7)成形性
得られたポリエステルに150℃の予熱を施し、引き続いて80℃に加熱したオスメス金型を用いて、底面直径20mm、深さ5mmの円筒状に成形した。得られた成形後のサンプル外観から、下記の基準により成形性を評価した。
○:比較的均一に所望の形状が得られる。
△:成形可能。成形体の一部に厚みの極端に薄い部分が生じ、局所的に白化が生じる。
×:フィルムが破断し成形できない。
【0054】
(8)チタン、リンおよび金属元素の含有量
チタン、リン原子濃度は、乾燥したサンプルを走査電子顕微鏡(SEM、日立計測機器サービスS570型)にセットし、それに連結したエネルギー分散型X線マイクローアナライザー(XMA、堀場EMAX―7000)にて定量分析を実施した。ポリエステル中の金属元素の濃度は、粒状のサンプルをアルミ板上で加熱溶融した後、圧縮プレス機で平面を有する成形体を作成し、蛍光X線装置(理学電機工業3270E型)にて、定量分析した。
【0055】
[実施例1]
テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸およびエチレングリコールの混合物に、テトラ−n−ブチルチタネート0.009部を加圧反応が可能なSUS(ステンレス)製容器に仕込み、0.07MPaの加圧を行い140℃から240℃に昇温しながらエステル交換反応をさせた後、290℃まで昇温し、0.2mmHg以下の高真空にて重縮合反応を行い、固有粘度0.71の共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂組成物を得た。
【0056】
また、ジメチルテレフタル酸、ジメチルイソフタル酸、テトラメチレングリコールを原料とし、テトラブチルチタネートをエステル交換触媒、2酸化ゲルマニウムを重合触媒、亜リン酸を安定剤として用い、常法により共重合ポリブチレンテレフタレートを製造した。
【0057】
上記で得られた、ポリエチレン(テレフタレート−イソフタレート)共重合体(テレフタル酸成分/イソフタル酸成分モル比=88/12)のペレット(平均粒径1.5μmの多孔質シリカ粒子0.01重量%を含有する)[*1]と、固有粘度0.9のポリブチレンテレフタレート[*2]とを、[*1]/[*2]重量比=55/45となるように混合した組成物(表1中では、「(PET/IA12)//PBT=55/45」と表記)を、乾燥後、押出機に供給し、20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出して、厚み480μmの未延伸フィルムを製膜した。
【0058】
次に製膜方向(以下、縦方向)に3.0倍延伸し、さらに製膜方向に垂直な方向(以下、横方向)に3.1倍延伸し、さらに横方向に固定したまま全幅の4%の弛緩を与えながら190℃で熱固定処理し、厚み50μmの二軸延伸ポリエステルフィルムを得た。
【0059】
こうして得られたフィルムの物性値や前述の方法で評価した結果を、表1〜2に示した。なおフィルム中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量は、0である。
【0060】
なお表1中の表記で樹脂組成について、PETはポリエチレンテレフタレート、PET/IAはポリエチレン(テレフタレート−イソフタレート)共重合体、(PET/IA)//PBTはPET/IAとポリブチレンテレフタレートとの混合物を示す。また触媒について、TBTはテトラ−n−ブトキシチタン、TMTはトリメット酸チタン、TEPAはトリエチルホスホノアセテート、PEEはカルボエトキシメタン−ホスホン酸ジエチルエステル、HPEはヒドロキシメチレン−ホスホン酸ジエチルエステル、TMPはトリメチルホスフェイトを示す。
【0061】
[実施例2〜3、比較例1〜3]
フィルム素材として、表1に示したものを用い、また、縦方向および横方向の延伸倍率を表1に示したとおりとし、その結果50μmの二軸延伸フィルムが得られるよう、延伸前でのフィルム厚みを適当なものとした以外は、実施例1と同様にしてフィルムを得た。こうして得られたフィルムの物性値や前述の方法で評価した結果を、表1〜2に示した。なおフィルム中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量は、いずれも0である。
【0062】
比較例1、2のフィルムは成形性に劣るものであった。一方、比較例3のフィルムは、均一に成形できず、高温な成形条件においては、成形前に結晶化してしまうため成形不能であった。
【0063】
[実施例4]
実施例1において、チタン化合物およびその添加量を下記方法にて合成したトリメリット酸チタン0.016部に変更する以外は同様にして重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル組成物及びこれを使用して得られたフィルムの物性値や前述の方法で評価した結果を表1〜2に示す。なおフィルム中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量は、0である。
【0064】
トリメリット酸チタンの合成法
無水トリメリット酸2重量部をエチレングリコール98重量部に混ぜたエチレングリコール溶液にテトラブトキシチタンを無水トリメリット酸に対してモル比が0.5となるように添加し、空気中常圧下で80℃に保持して60分間反応せしめ、その後、常温に冷却し、10倍量のアセトンによって生成触媒を再結晶化させ、析出物をろ紙によって濾過し、100℃で2時間乾燥せしめ、目的の化合物を得た。
【0065】
[実施例5〜8、比較例4〜9]
チタン化合物、リン化合物およびそれらの添加量を表1示す通り変更する以外は、実施例1と同様にして重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物及びこれを使用して得られたフィルムの物性値や前述の方法で評価した結果を表1〜2に示す。なおフィルム中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の含有量は、いずれも0である。
【0066】
比較例4〜9のポリエステル樹脂組成物は、透明性、色相また熱安定性などが不良であった。特に、比較例4、6は実用上問題ある程度に色相、熱安定性不良であった。比較例5および比較例7のポリエステル樹脂組成物は、IVが低すぎて製膜できず、その後の評価を行うことができなかった。さらにまた、比較例9のポリエステル樹脂組成物は、製膜時のピンニング性が悪いために、その後の評価に耐えうるフィルムが得られなかった。
【0067】
【表1】
Figure 2004130592
【0068】
【表2】
Figure 2004130592
【0069】
【発明の効果】
本発明によれば、異物等の発生のない触媒を用いたポリエステルを用いて、良好な成形性、透明性、実用上問題のない溶融熱安定性と優れたポリマーの色特性を兼備し、従来素材と比べ、その成形性を飛躍的に向上させ、透明性に優れたポリエステルフィルムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】DSC熱量変化曲線。

Claims (19)

  1. 一種類以上の原材料ポリエステル組成物から得られる未延伸シートを、4〜15倍の面積倍率となるよう二方向に延伸した後、(フィルム融点−10)℃以下の温度にて熱固定を施した二軸延伸フィルムであって、フィルムの面配向係数は0.10〜0.16で、なおかつフィルムの100℃における100%伸長時の応力がいかなる方向においても10〜150MPaであり、さらに原材料ポリエステル組成物はフィルムとした後の融点が210〜245℃となるものであって、なおかつ原材料ポリエステル組成物の少なくとも一種はリン化合物およびポリマー中に可溶なチタン化合物を含有し、その上フィルム中のアンチモン元素およびゲルマニウム元素の合計含有量がエチレンテレフタレート成分に対して5ミリモル%以下で、なおかつ、チタン化合物およびリン化合物の含有量が以下の式(1)〜(3)を満足することを特徴とするポリエステルフィルム。
    2≦Ti≦10     …(1)
    2≦P/Ti≦15   …(2)
    10≦Ti+P≦100 …(3)
    (ここで、式(1)〜(3)中の、Tiはチタン化合物のチタン元素としてのモル数を、樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)であり、Pはリン化合物のリン元素としてのモル数を樹脂組成物中のエチレンテレフタレート成分のモル数で割った値(ミリモル%)である。)
  2. リン化合物が次の式(I)で表されるホスホネート化合物であることを特徴とする請求項1記載のポリエステルフィルム。
    O−C(O)−X−P(O)−(OR …(I)
    (ここで、式中のRおよびRはそれぞれ炭素数原子数1〜4のアルキル基、Xは−CH−または―CH(Y)−を示す(Yは、ベンゼン環)。)
  3. チタン化合物が、以下の式(II)で表わされる化合物または以下の式(II)で表わされる化合物と以下の式(III)で表わされる芳香族多価カルボン酸とを反応させた生成物である請求項1〜2いずれかに記載のポリエステルフィルム。
    Ti(OR …(II)
    (ここで、式(II)中の、Rはアルキル基およびフェニル基である。)
    Figure 2004130592
    (ここで、式(III)中の、nは2〜4の整数である。)
  4. 融点が210〜245℃のエチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂A、および融点が210〜225℃のブチレンテレフタレート単位を主体とするポリエステル樹脂Bとを、少なくともその構成成分とする組成物からなるフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  5. 樹脂Aの構成比が30〜99重量%、樹脂Bの構成比が1〜70%であることを特徴とする請求項4記載のポリエステルフィルム。
  6. フィルムのヘーズが5%未満であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  7. 少なくとも片面にプライマー層を設け、かつプライマー層の主成分は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル樹脂変性ポリエステル樹脂、およびビニル系樹脂変性ポリエステル樹脂の中から選ばれた少なくとも1種類の樹脂、あるいはシランカップリング剤であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  8. プライマー層は、プライマー層主成分を含有するプライマー層形成用塗布液を、配向結晶化完了前のポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布した後、乾燥・延伸・熱固定を施して形成したものであることを特徴とする請求項7記載のポリエステルフィルム。
  9. 樹脂からなる成形部材の表装をなすためのフィルムであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  10. 成形部材の表装をなすためのフィルムであって、フィルム形状の加工は、成形部材の成形前および/または成形と同時に行われることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  11. 金属板からなる成形部材の表装をなすためのフィルムであって、成形部材はフィルムが貼合された後に成形されるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  12. 木材を原料とする素材からなる成形部材の表装をなすためのフィルムであって、成形部材はフィルムが貼合わされた後に成形されるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  13. 成形部材の表面に沿わせるように形状を賦形しつつ貼着させて、成形部材の表装となすことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  14. 自動車用成形部材の表装をなすためのフィルムであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  15. 建材用成形部材の表装をなすためのフィルムであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  16. 屋外表示用成形部材の表装をなすためのフィルムであることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  17. 情報機器のキートップ部材における、メンブレンスイッチ押下のための樹脂部材を埋め込んだ形のキートップ部材の基材として用いられるフィルムであって、フィルム上に印刷および/または金属薄膜の蒸着あるいはスパッタリングを施した後、キーの形状に成形されるものであることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  18. 情報機器のキートップ部材における、成形前にキートップ基材用フィルムにラミネートするためのラミネート用フィルムとして用いられることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
  19. 成形包装材用として使用されることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリエステルフィルム。
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