JP2013080023A - レーザ走査光学装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光路間での光量ムラの差を抑えること。
【解決手段】光ビームBy,Bkの第1の光路ペアが形成され、光ビームBm,Bcの第2の光路ペアが形成される。各光路ペアにおいて、2個の光源11y,11kは、偏光面Fsa,Fsbが水平面F1に対し互いに対称になるよう配置される。さらに、各光路ペアの光ビームBy,Bkは、水平面F1に対し対称な傾き角θp1でポリゴンミラーに入射される。その後、光ビームBy,Bkはいずれも、水平面F1に対し対称形状を有する共通走査レンズ21,22を通過する。その後、光ビームBy,Bkは、水平面F1に対し対称に配置される個別走査レンズ23y,23kを通過する。
【選択図】図4

Description

本発明は、光学異方性を持つ走査レンズを備えるレーザ走査光学装置に関する。
フルカラーの複写機やプリンタなどの画像形成装置では、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の各色に対応して四つの感光体を並置し、各感光体上に形成された各色の画像を中間転写ベルトに転写して合成するタンデム方式が主流となっている。また、タンデム方式の画像形成装置には、偏向手段(ポリゴンミラー)を用いて4本の光ビームを同時に各感光体上に走査して画像を描画するレーザ走査光学装置が搭載されている。
従来より、レーザ走査光学装置におけるシェーディング(光量ムラ)を抑えるために様々な手法が提案されている。例えば特許文献1に記載の発明では、シェーディング特性の異なる光源が偏光プリズムで合成される。これにより、平均的な光量分布が平滑化され、高画質化を達成している。また、光量ムラを補正するため、特許文献2には、主走査方向に高さが異なる凹凸形状を有する光量分布制御素子が記載されている。このような光量分布制御素子を用いることで、複数の色間での光量ムラ差を抑えることが可能となる。
特開2001−188188号公報 特開2005−157325号公報
ところで、レーザ走査光学装置には、光学異方性(複屈折)を有する走査レンズが備わることがある。この走査レンズを光ビームが通過すると、複屈折により、通過光ビームの偏光状態が変化するため、走査レンズの主走査方向に沿って反射率・透過率にムラが生じ、その結果、感光体上で光量ムラが発生する。特にタンデム方式の場合には、図10に示すように、主走査方向に沿う光量ムラだけでなく、色毎の光路間で光量ムラの差が発生するため、各色画像を合成した画像の品質低下を招いてしまうという問題点がある。
それゆえに、本発明は、光路間での光量ムラの差を抑えることが可能な、レーザ走査光学装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一態様は、複数の色毎に設けられた感光体の被走査面上に光ビームを主走査方向に走査する、レーザ走査光学装置であって、複数の発光点から光ビームを出射する、複数の光源と、各前記光源からの光ビームが入射されると、入射光ビームをポリゴンミラーにより偏向する偏向手段と、前記偏向手段で偏向された光ビームを、前記複数の色毎の被走査面上に結像させる走査光学系と、を備えている。ここで、各前記光源からの出射光ビームのうち、予め定められたペアの光ビームは、入射前記ポリゴンミラーの中心軸に直交しかつ該ポリゴンミラーの副方向中心を通過する水平面を基準として対称に同一の傾き角で該ポリゴンミラーに入射される。また、前記走査光学系は、前記ポリゴンミラーにより偏光されたペアの光ビームが入射され、光学異方性を有する共通走査レンズと、前記共通走査レンズを通過したペアの光ビームの一方及び他方がそれぞれ入射され、光学異方性を有する、第1及び第2の個別走査レンズと、を含んでいる。また、前記複数の発光点を含む面を偏光面とするとき、該偏光面の前記水平面に対する角度は0°及び90°以外であり、前記ペアの光ビームを出射する光源は、それぞれの偏光面が前記水平面に対し対称になるように配置される。また、前記第1及び前記第2の個別走査レンズは前記水平面に対し対称になるように配置される。前記共通走査レンズは、自身の光軸を含みかつ前記水平面と平行な面を基準として前記副方向に対称な形状を有する。また、各前記個別走査レンズは、自身の光軸を含み前記水平面と平行な面を基準として前記副方向に非対称な形状を有する。
本発明の一態様によれば、光路間での光量ムラの差を抑えることが可能な、レーザ走査光学装置を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係るレーザ走査光学装置の外観斜視図である。 (A)は図1の各光源を示す斜視図であり、(B)は同光源の発光面の正面図である。 (A)は、Y,Mの光源における偏光面と水平面との関係を示す模式図であり、(B)は、C,Kの光源における偏光面と水平面との関係を示す模式図である。 図1のレーザ走査光学装置の要部をX軸方向に展開した模式図である。 個別走査レンズのZX平面に沿う断面図である。 共通走査レンズにおける複屈折量を示す等高線を示す模式図である。 本実施形態による、各色の被走査面上での光量ムラを示す図である。 本発明の変形例に係るレーザ走査光学装置の外観斜視図である。 図8のレーザ走査光学装置における光ビームの傾き角を示す模式図である。 従来例による、各色の被走査面上での光量ムラを示す図である。
(実施形態)
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係るレーザ走査光学装置について説明する。
(レーザ走査光学装置の構成)
まず、図1に示すX軸、Y軸、Z軸について説明する。Y軸は、各感光体ドラム40の表面において光ビームBが走査される方向(以下、主走査方向という)を示す。Z軸は、副方向を示す。X軸は、Y軸及びZ軸の双方に直交する方向を示す。
レーザ走査光学装置10は、大略的に、Y、M、C、Kの色毎に設けられた感光体ドラム40(40y,40m,40c,40k)に、光ビームB(By,Bm,Bc,Bk)を走査する。ここで、参照符号の右側の添え字y,m,c,kは、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックを表す。例えば、感光体ドラム40yは、イエローの感光体ドラム40を表す。
レーザ走査光学装置10は、光源11(11y,11m,11c,11k)、コリメータレンズ12(12y,12m,12c,12k)、絞り13(13y,13m,13c,13k)、合成ミラー14(14y,14m,14c,14k)、ミラー15、シリンドリカルレンズ16、偏向器17、走査レンズ群20、ミラー24(24y,24m,24c,24k),25(25y,25m,25c)、26(26m,26c)及び防塵用ウインドウ27(27y,27m,27c,27k)を備える。ここで、少なくとも、走査レンズ群20と、ミラー24とにより、走査光学系が構成される。
光源11y,11m,11c,11kは、上から下へとこの順に並ぶように配置され、光ビームBy,Bm,Bc,Bkを出射する。
以下、図2,図3を参照して、各光源11について詳細に説明する。まず、図2中、X’軸は、各光源11の光軸Aoの方向を示す。また、Y’軸及びZ’軸は、正面視で各光源11の発光面の左右方向及び上下方向を示す。
各光源11は、図2(A),(B)に示すように、例えばマルチビームレーザダイオードである。また、各光源11は、自身の発光面(Y’Z’平面)上に少なくとも2個の発光点E1,E2を有し、各発光点E1,E2から光軸Ao(X’軸)に平行な光ビームBを出射する。ここで、以下、2個の発光点E1,E2を結ぶ線分と、光軸Aoとを含む面を偏光面Fsという。
光源11y,11mはそれぞれ、図3(A)に示すように、発光面を正面視した時に、偏光面FsaとX’Y’平面とが所定角度θa(θa=44.43°)で交差するように配置される。また、光源11c,11kはそれぞれ、図3(B)に示すように、発光面を正面視した時に、偏光面FsbとX’Y’平面とが所定角度θb(θb=135.57°)で交差するように配置される。ここで、光源11yの偏光面Fsaと、光源11kの偏光面Fsbとは、後述する水平面F1(図4を参照)を基準として対称である。また、光源11mの偏光面Fsaと、光源11cの偏光面Fsbとは、水平面F1を基準として対称である。θa,θbはいずれも0°と90°とを除く値に選ばれる。
再度図1を参照する。コリメータレンズ12y,12m,12c,12kはそれぞれ、光源11y,11m,11c,11kに対応して設けられており、光ビームBy,Bm,Bc,Bkを平行光に変換する。絞り13y,13m,13c,13kはそれぞれ、平行な光ビームBy,Bm,Bc,BkをZ軸方向(副方向)に所定幅を有するように整形する。
合成ミラー14y,14m,14cはそれぞれ、光ビームBy,Bm,Bcを反射して、光ビームBy,Bm,Bcの進行方向を合成ミラー14kで反射された光ビームBkの進行方向に揃える合成手段として機能する。ミラー15は、合成ミラー14により進行方向がそろえられた光ビームBy,Bm,Bc,Bkを反射する。
シリンドリカルレンズ16は、光ビームBy,Bm,Bc,BkをZ軸方向(副方向)に集光する。より詳細には、シリンドリカルレンズ16は、光ビームBy,Bm,Bc,Bkが偏向器17のポリゴンミラーの反射面近傍において線状に結像するように、光ビームBy,Bm,Bc,BkをZ軸方向に集光する。
偏向器17は、ポリゴンミラー及びモータ(図示せず)により構成されており、光ビームBy,Bm,Bc,BkをY軸方向(主走査方向)に偏向する。
ここで、図4を参照する。図4において、ポリゴンミラーにおけるZ軸方向の中心(以下、副方向中心という)をPiとする。また、ポリゴンミラーの中心軸Ac(図1参照)に直交しかつ副方向中心Piを含む水平面をF1とする。光ビームBy,Bkは、水平面F1を基準として対称にかつ傾き角θp1で、偏光器17に入射される(斜入射光学系)。光ビームBm,Bcは、水平面F1を基準として対称にかつ傾き角θp2(0<θp2<θp1)で、偏光器17に入射される。以下、傾き角θp1が互いに共通の光ビームBy,Bkを第1のペアと称し、傾き角θp2が共通の光ビームBm,Bcを第2のペアと称する。なお、本実施形態では、θp1は例えば2.19°であり、θp2は例えば0.73°である。
再度図1を参照する。走査レンズ群20は、偏向器17により偏向された光ビームBy,Bm,Bc,Bkを感光体ドラム40y,40m,40c,40kの周面(被走査面)に結像させる。より詳細には、走査レンズ群20は、感光体ドラム40y,40m,40c,40k上での光ビームBy,Bm,Bc,Bkの走査速度が一定となると共に、光ビームBy,Bm,Bc,Bkのビーム径が均一となる光学特性を有している。そして、走査レンズ群20は、各色で共通の共通走査レンズ21,22と、色毎に設けられる個別走査レンズ23(23y,23m,23c,23k)とを含む。走査レンズ21,22,23は、この順番で、光ビームBの進行方向の上流(光源11側)から下流(感光体ドラム40)に向けて設けられている。
ミラー24(24y,24m,24c,24k),25(25y,25m,25c)、26(26m,26c)は、共通走査レンズ22を通過した光ビームBy,Bm,Bc,Bkを反射して、感光体ドラム40y,40m,40c,40kに導く。
より詳細には、光ビームByは、ミラー24yで反射され、第1の個別走査レンズ23yを通過し、更に、ミラー25yで反射され、防塵用ウインドウ27yを通過して感光体ドラム40y上に結像する。光ビームBmは、ミラー24m,25mで反射され、第3の個別走査レンズ23mを通過し、更に、ミラー26mで反射され、防塵用ウインドウ27mを通過して感光体ドラム40m上に結像する。光ビームBcは、ミラー24cで反射され、第4の個別走査レンズ23cを通過し、更に、ミラー25c,26cで反射され、防塵用ウインドウ27cを通過して感光体ドラム40c上に結像する。光ビームBkは、第2の個別走査レンズ23kを通過し、ミラー24kで反射され、防塵用ウインドウ27kを通過して感光体ドラム40k上に結像する。
ここで、共通走査レンズ21,22及び各個別走査レンズ23の詳細について説明する。各レンズ21〜23はいずれも、例えばポリカーボネートのように、光学異方性(複屈折)を有する樹脂で成形されたレンズである。さらに具体的には、各レンズ21〜23は、40×10−12 Pa−1以上の光弾性係数を有する。また、共通走査レンズ21,22はそれぞれ、自身の光軸を含みかつ前述の水平面F1に平行な面を基準としてZ軸方向(副方向)に対称な形状を有する。
共通走査レンズ21,22は、例示的に、以下の表1に示す構成を有する。なお、面番号1,2は、共通走査レンズ21における光ビームBの入射面,出射面であり、面番号3,4は共通走査レンズ22における入射面,出射面である。
Figure 2013080023
表1における面番号1〜4の自由曲面係数を以下の表2に示す。
Figure 2013080023
また、第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kは、図5に例示するように、各レンズの光軸Alを含みかつ水平面F1に平行な平面を基準としてZ軸方向(副方向)に非対称な形状を有する。また、両個別走査レンズ23y,23kは、同一の型から製造された成型レンズである。さらに、両個別走査レンズ23y,23kは、同じ形状のレンズを互いに逆向きで(つまり光軸A1に対して180度回転させて)、かつ水平面F1を基準として対称な位置に配置したものである。一般的に、複屈折の分布(分布例については図6を参照)を決める支配的な要因は、レンズの形状と成形段階での樹脂の流路である。従って、同一形状のレンズである限り生産ロットが異なっていても複屈折分布の状態はほとんど変動しない。そのため、同一の型から製造した同一形状の走査レンズを使用することにより、入射角度θpの絶対値が等しいペアの光ビームBy,Bkの光路において、光源から発せられた光ビームが個別走査レンズ23y(又は23k)に対して相対的に同じ位置を通過するため、走査角度毎で、走査レンズの複屈折位相差分布と走査レンズへの入射光ビームの偏光状態とが等しくなる。こうすることで、複屈折位相差分布に対する偏光状態の変化を光路毎に合わせることができ、斜入射角度が等しい2つの光路間での反射透過率ムラを等しくすることができる。つまり、被走査面上での光量ムラが等しくなり、光量ムラの光路間差を低減させることができる。
また、第3及び第4の個別走査レンズ23m,23cも、同一の型から製造された成型レンズであるが、第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kとは異なる形状を有する。また、両個別走査レンズ23m,23cは、同一形状のレンズを互いに逆向きで(つまり光軸A1に対して180度回転させて)、かつ水平面F1を基準として対称な位置に配置されることで、上記と同様の効果を得ることが可能となる。
第3及び第4の個別走査レンズ23m,23cは、例示的に、以下の表3の下段に示す構成を有する。第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kは、例えば、表3の上段に示す構成を有する。ここで、表3において、fθ3内の面番号5,6,7は、第3及び第4の個別走査レンズ23m,23cの入射面,出射面,像面を意味し、fθ3外の面番号5,6,7は、第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kの入射面,出射面,像面を意味する。
Figure 2013080023
表3における各面番号5〜7の自由曲面係数を、以下の表4に示す。
Figure 2013080023
また、感光体ドラム40y,40m,40c,40kは一定速度で回転駆動される。以上のような構成により、光ビームBy,Bm,Bc,BkがY軸(主走査方向)に沿って走査されると共に、感光体ドラム40y,40m,40c,40kがY軸回りに回転されることにより、感光体ドラム40y,40m,40c,40k上に静電潜像が形成される。
(レーザ走査光学装置の作用・効果)
各共通走査レンズ及び各個別走査レンズは、樹脂成形レンズの場合、成形的な要因から複屈折が発生する。この複屈折量の大きさは、複屈折した光の位相差と実質同じ意味であり、図6に示すようにレンズ位置により異なる。ここで、図6には、レンズおいて複屈折量の大きさが同じ位置を線で結んだ等高線(点線枠内に示す)が示される。このようなレンズを光ビームが通過すると、通過位置によって光ビームの偏光状態の変化度合いも変わってしまう。また、レーザ走査光学装置におけるレンズ、ミラーの透過率、反射率は入射光ビームの偏光状態に依存するため、入射位置に応じて偏光状態の変化が異なれば、光ビームに透過ムラ、反射ムラが生じてしまう。これら透過ムラや反射ムラが各感光体ドラム40の被走査面上での光量ムラにつながる。また、色毎に透過ムラや反射ムラが異なることから、図10を参照して説明したように、色毎の光路間で光量ムラの差が発生する。
光路間での光量ムラの差を低減するために、本発明では、2つの光ビームBを含むペアが少なくとも1組形成される。本実施形態では、好ましい一例として、光ビームBy,Bkが第1のペアとして予め定められ、光ビームBm,Bcが第2のペアとして定められる。例えば第1のペアに関し、図2〜図4に示すように、2個の光源11y,11kは、偏光面Fsa,Fsbが水平面F1に対し互いに対称になるよう配置される。さらに、光ビームBy,Bkは、図4に示すように、水平面F1に対し対称な傾き角θp1でポリゴンミラーに入射される。その後、光ビームBy,Bkはいずれも、水平面F1に対し対称形状を有する共通走査レンズ21,22を通過する。その後、光ビームBy,Bkは、水平面F1に対し対称に配置される第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kを通過する。
以上のように、各共通走査レンズ21,22は対称形状を有し、かつ光ビームBy,Bkの間でも対称性が確保されている。したがって、各共通走査レンズ21,22への入射光ビームBy,Bkには、主走査角度毎で実質的に等しい量の複屈折が生じ、その結果、各共通走査レンズ21,22への入射光ビームBy,Bkの偏光状態は実質的に等しくなる。また、第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kは、同一の型から製造した同一ロット形状で、逆向きで対称に配置されるため、同じ主走査角度の光ビームBy,Bkには、実質的に等しい量の複屈折が生じる。その結果、各第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kへの入射光ビームBy,Bkの偏光状態もまた実質的に等しくなる。以上のことから、ペアをなす光ビームBy,Bkの間で偏光の変化度合を主走査方向に揃えることができ、光ビームBy,Bkの間で透過ムラ、反射ムラを揃えることが可能となる。
以上のことを換言すると、図7に示すように、感光体ドラム40y,40kの被走査面上での光量ムラの差を抑え、光路間での光量ムラの差を抑えることが可能となる。より具体的には、図10の従来例に関しては、特にY,Kの光路間差を見ると、光量比の差は最大で8%であるが、図7の本実施形態に関しては、Y,K間の光量比の差は最大で4%程度となっている。
なお、以上の説明では、光ビームBy,Bkのペアについて説明したが、第2のペアでも同様の対称性は確保されているため、光ビームBm,Bcの間でも光量ムラの差を抑えることが可能となる。
また、コストの観点から、各走査レンズ21〜23に、光弾性係数が大きな材料(光弾性係数が例えば40×10−12 Pa−1以上)を採用した場合、各走査レンズ21〜23の応力複屈折が大きくなり、各被走査面上での光量ムラが大きくなる。このような走査レンズ21〜23をレーザ走査光学装置が有する場合に、本実施形態の構成を採用すれば、光路間での光量ムラの差を良好に抑えることが可能となる。
また、本実施形態では、いわゆる片側偏向のレーザ走査光学装置を例に取り上げ説明した。なお、片側偏向において、全ての光ビームBはポリゴンミラーの片側で偏光される。この片側偏向では、各共通走査レンズ21,22に、全ての光ビームBが入射されるため、水平面F1からZ軸方向に離れた光ビームBy,Bkほど複屈折量が大きくなる。しかし、本実施形態の構成によれば、各共通走査レンズ21,22において、光ビームBy,Bkは、実質的に同じ量の複屈折を受ける位置に入射されるので、より効果的に光路間での光量ムラの差を抑えることが可能となる。
また、各ミラー24,25,26には、いわゆるマルチコーティング、つまり、金属膜上に複数層(例えば5層)の光学薄膜を塗布されることが好ましい。例えば、第1層目は屈折率1.38で0.25波長の膜厚で、第2層目は屈折率2.35で0.25波長の膜厚で、第3層目は屈折率1.38で0.25波長の膜厚で、第4層目は屈折率2.35で0.25波長の膜厚で、第5層目は屈折率1.46で0.5波長の膜厚とされる。マルチコーティングするのは、以下の理由による。ミラーは、レンズと異なり、光路の引き回しなどの都合上、光路間で枚数が異なる場合がある。本実施形態では、光ビームByの光路上には、ミラー24y,25yの2枚であったが、光ビームBmの光路上にはミラー24m,25m,26mの3枚が配置されている。このような場合、光路間で、ミラー枚数の違いに基づく光量ムラの差が生じてしまう。このような光量ムラの差を低減するために、本実施形態では、各ミラー24〜26にマルチコーティングを施している。これにより、光量ムラにおけるミラーの寄与度を減らすことができるので、より効果的に、光路間での光量ムラの差を低減することが可能となる。
第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kは、各レンズの光軸Al(図5参照)の方向と、Z軸方向(副方向)とで形成される平面を基準として、Y軸方向(主走査方向)に対称な形状を有することが好ましい。これにより、第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kのいずれか一方を180°回転させると、いずれか他方と同じ形状になる。したがって、第1及び第2の個別走査レンズ23y,23kとして同じレンズを使うことができる。第3及び第4の個別走査レンズ23m,23cも同じレンズとすることができる。これにより、光路間での光量ムラの差を低減しつつ、レーザ走査光学装置のコストダウンを図ることが可能となる。
(レーザ走査光学装置の変形例)
前述の実施形態では、いわゆる片側偏向を採用したレーザ走査光学装置について説明した。これに限らず、本実施形態の構成は、図8に示すような両側偏向を採用したレーザ走査光学装置へも適用可能である。図8においては、本発明の要部にのみ参照符号を付す。また、図8において、図1の構成に相当するものには同一の参照符号を付け、それぞれの説明を省略する。
図8において、4個の光源11(11y,11m,11c,11k)からの光ビームB(By,Bm,Bc,Bk)は、シリンドリカルレンズ等を介して偏向器17のポリゴンミラーに入射される。具体的には、光ビームBy,Bmの組みと、光ビームBc,Bkの組みが、それぞれポリゴンミラーの異なる面に入射される。ここで、同一反射面に入射する光ビームBy,Bmと、光ビームBc,Bkは、図9に示すように、前述の実施形態で説明した水平面F1を基準として、互いに同じ角度θp(例えば1.37°)で斜入射する。
また、偏光器17で主走査方向Yに偏向された各光ビームBy,Bmを各感光体ドラム40y,40m上に結像するための共通走査レンズ21,22と、該レンズ21,22を透過した光束を各感光体ドラム40y,40mに導くための複数枚のミラーと、各光路に個別に配置された個別走査レンズ23y,23mが配置されている。同様に、偏光器17で主走査方向Yに偏向された各光ビームBc,Bkを、各感光体ドラム40c,40k上に結像するための共通走査レンズ21,22と、該レンズ21,22を透過した光束を各感光体ドラム40c,40kに導くための複数枚のミラーと、各光路に個別に配置された個別走査レンズ23c,23kが配置されている。
本変形例の共通走査レンズ21,22は、例示的に、以下の表5に示す構成を有する。なお、面番号1,2は、共通走査レンズ21における光ビームBの入射面、出射面であり、面番号3,4は共通走査レンズ22における入射面、出射面である。
Figure 2013080023
表5における面番号1〜4の自由曲面係数を以下の表6に示す。
Figure 2013080023
本変形例では、各個別走査レンズ23は、同じ構成でよく、以下の表7に示す構成を有する。ここで、表7において、面番号5,6,7は、各個別走査レンズ23の入射面、出射面、像面を意味する。
Figure 2013080023
表7における各面番号5〜7の自由曲面係数を、以下の表8に示す。
Figure 2013080023
本発明に係るレーザ走査光学装置は、光路間での光量ムラの差を抑えることが可能であり、フルカラーの複写機、プリンタ又はそれらの複合機に好適である。
10 レーザ走査光学装置
11 光源
17 偏光器
20 走査レンズ群
21,22 共通走査レンズ
23 個別走査レンズ
24,25,26 ミラー
40 感光体ドラム
B 光ビーム

Claims (6)

  1. 複数の色毎に設けられた感光体の被走査面上に光ビームを主走査方向に走査する、レーザ走査光学装置であって、
    複数の発光点から光ビームを出射する、複数の光源と、
    各前記光源からの光ビームが入射されると、入射光ビームをポリゴンミラーにより偏向する偏向手段と、
    前記偏向手段で偏向された光ビームを、前記複数の色毎の被走査面上に結像させる走査光学系と、を備え、
    各前記光源からの出射光ビームのうち、予め定められたペアの光ビームは、入射前記ポリゴンミラーの中心軸に直交しかつ該ポリゴンミラーの副方向中心を通過する水平面を基準として対称に同一の傾き角で該ポリゴンミラーに入射され、
    前記走査光学系は、
    前記ポリゴンミラーにより偏光されたペアの光ビームが入射され、光学異方性を有する共通走査レンズと、
    前記共通走査レンズを通過したペアの光ビームの一方及び他方がそれぞれ入射され、光学異方性を有する、第1及び第2の個別走査レンズと、を含み、
    前記複数の発光点を含む面を偏光面とするとき、該偏光面の前記水平面に対する角度は0°及び90°以外であり、前記ペアの光ビームを出射する光源は、それぞれの偏光面が前記水平面に対し対称になるように配置され、
    前記第1及び前記第2の個別走査レンズは前記水平面に対し対称になるように配置され、
    前記共通走査レンズは、自身の光軸を含みかつ前記水平面と平行な面を基準として前記副方向に対称な形状を有し、
    各前記個別走査レンズは、自身の光軸を含み前記水平面と平行な面を基準として前記副方向に非対称な形状を有する、
    レーザ走査光学装置。
  2. 前記第1及び前記第2の個別走査レンズは、同一の型から製造した同一形状の樹脂成型品である、
    請求項1に記載のレーザ走査光学装置。
  3. 各前記個別走査レンズは、自身の光軸方向と前記副方向とで構成される平面を基準として前記主走査方向に対称な形状を有する、
    請求項1又は2に記載のレーザ走査光学装置。
  4. 前記共通走査レンズと、前記第1及び前記第2の個別走査レンズとは、光弾性係数が40×10−12 Pa−1以上の材料からなる、
    請求項1〜3のいずれかに記載のレーザ走査光学装置。
  5. 前記複数の光源は4個であり、
    前記4個の光源からの出射光ビームのうち、第1のペアを構成する光ビームは、前記水平面を基準として対称に同一の傾き角θp1で前記ポリゴンミラーに入射され、
    前記4個の光源からの出射光ビームのうち、第2のペアを構成する光ビームは、前記水平面を基準として対称に同一の傾き角θp2で前記ポリゴンミラーに入射され、
    前記第1及び前記第2のペアを構成する光ビームが前記共通走査レンズに入射される、
    請求項1〜4のいずれかに記載のレーザ走査光学装置。
  6. 前記走査光学系はさらに、前記偏向手段で偏向された光ビームを、前記複数の色毎の被走査面上に結像させる複数の反射手段、を含み、
    前記複数の反射手段にはマルチコーティングが施されている、
    請求項1〜5のいずれかに記載のレーザ走査光学装置。
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