JP2004294713A - fθ光学系、レンズ及び走査光学装置 - Google Patents

fθ光学系、レンズ及び走査光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】斜入射する複数のビームの収差を良好に補正することができ、製造コストの上昇を招来することのない、fθ光学系、レンズ及び走査光学装置を得る。
【解決手段】副走査方向zに関して互いに異なる角度θ1,θ2を有して主走査方向yに偏向された第1ビームB1,B1’と角度−θ1,−θ2を有して主走査方向yに偏向された第2ビームB2,B2’に対してfθ特性を与えるfθ光学系20。第2レンズ22において、第1ビームB1,B1’の光路に位置する非球面1と第2ビームB2,B2’の光路に位置する非球面2との間に不連続部3,3が存在すると共に、非球面1,2は互いに異なる自由曲面係数が与えられ、異なる面形状とされている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、fθ光学系、レンズ及び走査光学装置、特に、副走査方向に関して互いに異なる角度を有する複数のビームを走査するためのfθ光学系、レンズ及び走査光学装置に関する。
【0002】
【従来の技術と課題】
一般に、電子写真方式によるフルカラーの複写機やプリンタ等の画像形成装置として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、Y、M、C、Kと記す)の各色に対応する画像を四つの感光体上に形成し、これらの画像を重ね合わせるタンデム方式が知られている。
【0003】
この種のタンデム方式に組み込まれる走査光学装置にあっては、4本のビームを使用するが、コスト削減のためには、一つの偏向器(ポリゴンミラー)を使用し、一つの光学系で4本のビームにfθ特性を与えることが好ましい。
【0004】
また、4本のビームは、副走査方向に互いに平行な光路に構成することも考えられるが、光学素子の配置の自由度を考慮すると、副走査方向に関して異なる角度を有することが好ましい。この場合、4本のビームは、副走査方向の中心光軸を中心として副走査方向に互いに対称な二つの角度の第1ビームと第2ビームに分けることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−160268号公報
【0006】
特許文献1には、副走査方向に互いに平行な4本のビームを透過するfθレンズを、各ビームがそれぞれ透過するレンズ面を一体の鏡面コアを用いて成形することが開示されている。しかし、このfθレンズは4本の平行なビームを走査するためのものであり、副走査方向に互いに異なる角度で斜入射する4本のビームを走査する方式には用いることができない。
【0007】
ところで、4本のビームの収差補正を一つのレンズで最適化しようとすると、自由曲面の有効領域が広がるので、自由曲面係数の次数を上げて補正することになる。しかし、自由曲面係数の次数が上がると、レンズ面の製造誤差が厳しくなり、結果的にコストが上昇してしまうという問題点を有していた。
【0008】
そこで、本発明の目的は、斜入射する複数のビームの収差を良好に補正することができ、製造コストの上昇を招来することのない、fθ光学系、レンズ及び走査光学装置を提供することにある。
【0009】
【発明の構成、作用及び効果】
以上の目的を達成するため、第1の発明に係るfθ光学系は、副走査方向に関して互いに異なる角度を有して主走査方向に偏向された隣接する第1ビームと第2ビームに対してfθ特性を与えるfθ光学系であって、前記第1ビームの光路に位置する第1領域面と前記第2ビームの光路に位置する第2領域面との間に不連続部が存在すると共に、前記第1領域面と第2領域面とは面形状が異なることを特徴とする。
【0010】
また、第2の発明に係るレンズは、副走査方向に関して互いに異なる角度を有して主走査方向に偏向された隣接する第1ビームと第2ビームが同時に入射するレンズであって、前記第1ビームが入射する第1領域面と前記第2ビームが入射する第2領域面との間に不連続部が存在すると共に、前記第1領域面と第2領域面とは面形状が異なることを特徴とする。
【0011】
また、第3の発明に係る走査光学装置は、副走査方向に関して互いに異なる角度を有して隣接する第1ビームと第2ビームを出力する光源ユニットと、該光源ユニットから出力された第1ビーム及び第2ビームを主走査方向に偏向する偏向器と、該偏向器で偏向された第1ビーム及び第2ビームに対してfθ特性を与えるfθ光学系と、該fθ光学系によってfθ特性を与えられた第1ビーム及び第2ビームをそれぞれ第1感光体及び第2感光体に導く第1光学素子及び第2光学素子と、を備え、前記fθ光学系は、前記第1ビームの光路に位置する第1領域面と前記第2ビームの光路に位置する第2領域面との間に不連続部が存在すると共に、前記第1領域面と第2領域面とは面形状が異なることを特徴とする。
【0012】
以上の構成からなるfθ光学系、レンズ及び走査光学装置にあっては、第1ビーム及び第2ビームがそれぞれ入射するレンズ面を第1領域面と第2領域面とに不連続部を介して分割しているため、それぞれの領域面に最も好ましい曲面を設定することにより、例えば、それぞれの領域面に個別に自由曲面係数を割り当てて最適化することにより、第1ビーム及び第2ビームの収差を良好に補正することができ、高次の次数を用いることもないので必要以上のコストを要することなくレンズを製造できる。
【0013】
本発明に係るfθ光学系、レンズ及び走査光学装置において、前記第1領域面及び第2領域面は自由曲面であることが好ましく、さらに、第1領域面の自由曲面係数と第2領域面の自由曲面係数とは互いに異なることが好ましい。
【0014】
本発明において、第1領域面と第2領域面との間に「不連続部が存在する」とは、第1領域面と第2領域面の副走査方向の断面において以下の(イ),(ロ),(ハ)のいずれかが成立する領域が存在することをいう。
(イ)第1領域面と第2領域面の間の領域での傾きが数学的に不連続であること。
(ロ)第1領域面と第2領域面の間の領域に曲率が0の箇所が存在すること。
(ハ)第1領域面と第2領域面の副走査方向の曲率と該二つの領域面の間の領域に曲率が逆符号になる箇所が存在すること。
【0015】
また、本発明において、第1領域面と第2領域面とは「面形状が異なる」とは、副走査方向の断面において第1領域面内の一部分と第2領域面内の一部分が合同でないことをいう。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るfθ光学系、レンズ及び走査光学装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0017】
(走査光学装置の概略構成、図1及び図2参照)
図1及び図2は、本発明の一実施形態である走査光学装置10の概略構成を示す。この走査光学装置10は並置された四つの感光体ドラム30(30Y,30M,30C,30K)にそれぞれビームB1,B2,B2’,B1’を照射して、各色の画像を形成するように構成されている。
【0018】
四つの感光体ドラム30を並置したフルカラーの複写機ないしプリンタはタンデム方式と称され、その構成及び画像形成工程は従来周知であり、詳細な説明は省略する。
【0019】
走査光学装置10は、光源ユニット11と、偏向器(以下、ポリゴンミラーと称する)19と、第1レンズ21と第2レンズ22とからなるfθ光学系20と、平面ミラー26(26Y,26M,26M,26C,26C,26K,26K)と、防塵ガラス27(27Y、27M、27C、27K)とで構成されている。
【0020】
光源ユニット11は、レーザダイオード12(12Y,12M,12C,12K)と、コリメータレンズ13(13Y,13M,13C,13K)と、ハーフミラー14a,14bと、シリンドリカルレンズ15a,15bと、ハーフミラー16とで構成されている。各レーザダイオード12から放射されたビームはコリメータレンズ13で略平行光に変更され、ハーフミラー14a,14bを透過又は反射してシリンドリカルレンズ15a,15bで副走査方向zに集光され、ポリゴンミラー19に導かれる。
【0021】
各ビームはポリゴンミラー19の回転に基づいて主走査方向yに等角速度で偏向され、fθ光学系20を透過することで、fθ特性を与えられ、かつ、必要な収差を補正され、後段の光学素子で構成される光路に沿って各感光体ドラム30上で結像する。
【0022】
(非球面1,2の構成、図3参照)
ところで、4本のビームB(B1,B2,B1’,B2’)は、図3に示すように、副走査方向zの中心光軸Pを中心として副走査方向zに互いに対称な二つの角度θ1,θ2を有するビームB1,B2と角度−θ1,−θ2を有するビームB1’,B2’に分けられている。このようにビームが中心光軸Pに対する副走査方向zに角度を有してレンズ面に入射することを斜入射と称する。
【0023】
なお、斜入射角度±θ1、±θ2は必ずしも中心光軸Pを中心とする必要はなく、任意の直線を想定してもよい。
【0024】
そして、これらのビームが透過する第2レンズ22においては、第1ビームB1,B1’が透過する非球面1(第1領域面)と、第2ビームB2,B2’が透過する非球面2(第2領域面)とで、透過するビーム高が全く異なる。従って、非球面1,2にそれぞれ単一の自由曲面係数を与えて収差を補正しようとすると、高次数でないと収差を良好に補正できない。
【0025】
本実施形態では、第2レンズ22の入射面においては、収差補正のために、非球面1と非球面2とに互いに異なる自由曲面係数を与えて面形状を異ならしめた。即ち、非球面1,2はその副走査方向zの断面において非球面1の一部分と非球面2の一部分が合同ではないように構成した。また、非球面1,2の間に不連続部3,3が存在するようにした。具体的には、非球面1,2の副走査方向の断面において以下の(イ),(ロ),(ハ)のいずれかが成立する領域が存在するように構成した。
【0026】
(イ)非球面1と非球面2の間の領域での傾きが数学的に不連続であること。
(ロ)非球面1と非球面2の間の領域に曲率が0の箇所が存在すること。
(ハ)非球面1と非球面2の副走査方向の曲率と該非球面1,2の間の領域に曲率が逆符号になる箇所が存在すること。
【0027】
前記(イ),(ロ),(ハ)の条件としてその代表的なものを図4に示す。図4(A)は前記(イ)の条件を示し、図4(B)は前記(ロ),(ハ)の条件を示し、図4(C)は前記(イ),(ロ)の条件を示している。
【0028】
なお、第2レンズ22の出射面は球面である。
【0029】
ここで、非球面1,2の自由曲面係数の一例を以下の表1,2に示す。
【0030】
【表1】
Figure 2004294713
【0031】
【表2】
Figure 2004294713
【0032】
(比較例)
次に、二つの面を一つの式で定義した場合の自由曲面係数を比較例として以下の表3,4に示す。
【0033】
【表3】
Figure 2004294713
【0034】
【表4】
Figure 2004294713
【0035】
二つの面を一つの面としてフィッテイングする場合、二つの面をどの範囲で定義するかによってかなり係数が異なる。二つの係数で定義されている面A,Bをある係数で一つの面Cにフィッテイングしようとすると、AとBで定義されている面の境界部分がどれだけ離れているかによってCで必要な次数が変わってくる。
【0036】
面A,Bの境界が離れているほど二つの面A,Bの間の変化を小さくすることができるためのCの次数は小さくなる。逆に、境界が近いほど次数は大きくなり、境界が完全に重なった場合は無限の次数が必要になる。
【0037】
ここに掲載した比較例は、二つの面A,Bにおいてそれぞれ主光線が通過する位置の上下1mmの範囲を有効域とし、主光線の間隔を6.7mmとしている。よって、有効域としては、4.7mm離れていることになり、その他の部分は面A,Bの何れでもない面になる。表3,4に示した自由曲面係数は以上の点を考慮して、16次×16次でフィッテイングした結果である。
【0038】
(他の実施形態)
なお、本発明に係るfθ光学系、レンズ及び走査光学装置は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0039】
例えば、各ビームの光路を形成するための光学素子の配置関係や光源ユニットの詳細な構成は任意である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である走査光学装置の概略構成を示す立面図である。
【図2】前記走査光学装置の光源ユニット、偏向器及びfθ光学系を示す平面図である。
【図3】前記fθ光学系を副走査方向の断面で示す説明図である。
【図4】非球面1,2の間の不連続部に関する説明図である。
【符号の説明】
1…非球面(第1領域面)
2…非球面(第2領域面)
3…不連続部
10…走査光学装置
11…光源ユニット
19…偏向器(ポリゴンミラー)
20…fθ光学系
22…第2レンズ
B1,B1’…第1ビーム
B2,B2’…第2ビーム
z…副走査方向

Claims (5)

  1. 副走査方向に関して互いに異なる角度を有して主走査方向に偏向された隣接する第1ビームと第2ビームに対してfθ特性を与えるfθ光学系であって、
    前記第1ビームの光路に位置する第1領域面と前記第2ビームの光路に位置する第2領域面との間に不連続部が存在すると共に、前記第1領域面と第2領域面とは面形状が異なること、
    を特徴とするfθ光学系。
  2. 副走査方向に関して互いに異なる角度を有して主走査方向に偏向された隣接する第1ビームと第2ビームが同時に入射するレンズであって、
    前記第1ビームが入射する第1領域面と前記第2ビームが入射する第2領域面との間に不連続部が存在すると共に、前記第1領域面と第2領域面とは面形状が異なること、
    を特徴とするレンズ。
  3. 副走査方向に関して互いに異なる角度を有して隣接する第1ビームと第2ビームを出力する光源ユニットと、
    前記光源ユニットから出力された第1ビーム及び第2ビームを主走査方向に偏向する偏向器と、
    前記偏向器で偏向された第1ビーム及び第2ビームに対してfθ特性を与えるfθ光学系と、
    前記fθ光学系によってfθ特性を与えられた第1ビーム及び第2ビームをそれぞれ第1感光体及び第2感光体に導く第1光学素子及び第2光学素子と、を備え、
    前記fθ光学系は、前記第1ビームの光路に位置する第1領域面と前記第2ビームの光路に位置する第2領域面との間に不連続部が存在すると共に、前記第1領域面と第2領域面とは面形状が異なること、
    を特徴とする走査光学装置。
  4. 前記第1領域面及び第2領域面は自由曲面であることを特徴とする請求項1記載のfθ光学系、請求項2記載のレンズ又は請求項3記載の走査光学装置。
  5. 前記第1領域面の自由曲面係数と前記第2領域面の自由曲面係数とは互いに異なることを特徴とする請求項4記載のfθ光学系、レンズ又は走査光学装置。
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