JP2013064006A - アセタールを製造するための方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】水およびアルコールを含まないアセタールを製造するための改良製造法を提供する。
【解決手段】酸性固定床触媒を備えた反応/蒸留領域が形成された蒸留塔の反応/蒸留領域に、アルデヒドおよびアルコールが供給される。少なくとも一部が反応してアセタールを生成し、底の混合物を少なくとも部分的に蒸発させ、かつ、反応/蒸留領域を定義された温度に設定するために、反応/蒸留領域の下方に配置された蒸留塔の底が加熱される。反応/蒸留領域の上方に配置された蒸留塔の濃縮セクションに抽出剤が供給され、90重量パーセントを超えるアセタールを有する生成物が蒸留塔の頂部で凝縮される。
【選択図】図1

Description

本発明は、アセタール、とりわけ水およびアルコールを含まないアセタールを製造するための改良型方法に関する。アセタールは溶剤であり、化学工業における中間生成物である。
アセタールは、アルコールとアルデヒドの酸性触媒反応によって製造することができる。工業的に重要なアセタールの1つは、メチラール(ホルムアルデヒドジメチルアセタール)である。メチラールは、水性ホルムアルデヒドとメタノールの酸性触媒反応によって工業的に製造されている。蒸留によって反応混合物からメチラールを除去することは可能である。しかし、それには、水とメタノールが付随する。水とメタノールというこの2つの成分が、それぞれメチラールと二成分共沸混合物を形成するためである。この分離の問題を解決するための多くの方法が提案されており、それらのほとんどは、抽出または抽出精留を利用して共沸混合物を克服している。
DE 1 002 305には、メタノールを含まないメチラールを得るために、水およびメタノールを含有したメチラールを水を使用して抽出蒸留するための方法が開示されている。
CH 688 041には、反応蒸留によってホルムアルデヒドおよびメタノールからメチラールを製造するための方法が記述されている。この反応は、1つまたは複数の蒸留塔セクションに適切な形態で導入されている酸性イオン交換樹脂による触媒作用によって、蒸留塔内で行われる。蒸留塔の頂部にメチラールとメタノールの共沸混合物が得られ、さらに、約99.99%の純メチラールを得るために、
・水性アルカリを使用した抽出ステップ、
・0.9〜1%の水を含む共沸混合物を与えるための精留ステップ、
・水を除去するための、塩化カルシウム、ゼオライトまたはシリカゲルなどの無機乾燥剤を使用した最終乾燥ステップ、
の3つの分離ステップが実施される。この方法には、アルカリ抽出および最終乾燥のために補助剤を導入しなければならず、また、補助剤を処理するかあるいはうまくワークアップしなければならない、という欠点がある。反応蒸留は、それ自体、有利であるが、純粋な生成物を得るためには、3つのさらなる分離ステップが必要である。
US 6 379 507に、ホルムアルデヒドおよびメタノールからメチラールを製造するための方法が開示されている。この方法によれば、水、ホルムアルデヒド、メタノールおよびメチラールの特定の混合物が蒸留塔内の少なくとも4つの位置で抽出され、抽出された混合物がそれぞれ対応する少なくとも4つの固定床リアクターへ強制的な流れで給送される。酸性イオン交換樹脂が装填された固定床リアクターは、蒸留塔とは別の専用容器である。専用のポンプおよび制御システムを備えた複数の個別リアクターを必要とするこの装置は、考慮すべきものではある。この方法によれば、0.3〜0.4%の濃度のメタノールおよび1.2%の濃度の水が蒸留塔の頂部に得られるが、蒸留塔の頂部に供給される消泡剤を使用しなければならない。
US 6 015 875に、酸性触媒としてゼオライトを使用し、高められた温度での、約7バールの圧力における反応蒸留によってホルムアルデヒドおよびメタノールからアセタールを製造するための方法が記述されている。しかしながら、この方法によって反応塔の頂部に得られるのは、73〜77%のメチラールにすぎない。
したがって、本発明の目的は、アセタールを製造するための、
・必要な分離ステップの数が最小であり、
・必要な装置の複雑性のレベルが最低レベルであり、
・抽出剤として水性アルカリを導入し、あるいは油性の消泡剤を導入することによって不釣合いな複雑性が増すことなく、
・第1のステップにおいてさえ、アセタールの最大生成物濃度が得られる、
改良型方法を見出すことである。
驚くべきことには、反応蒸留および抽出蒸留を1つの蒸留塔の中で組み合わせることにより、アセタールが高い生成物濃度で形成され、かつ、高い生成物収率で得られることが分かった。この方法によれば、使用される抽出剤が、当業者には、逆反応を加速し、延いては歩留まりが小さくなると予期される反応生成物、たとえば水であっても、良好な結果が得られる。
したがって、本発明によれば、1つの蒸留塔内の反応蒸留によってアルデヒドおよびアルコールからアセタールを製造するための方法が提供される。この方法には、
a)反応/蒸留ゾーンにアルデヒドおよびアルコールを供給し、そして、それらの少なくとも一部をアセタールに転化させること;
b)反応/蒸留ゾーンの下方に配置された蒸留塔の底の混合物を少なくとも部分的に蒸発させ、かつ、反応/蒸留ゾーンで定義された温度を確立するために、蒸留塔の底を加熱すること;
c)反応/蒸留ゾーンの上方に配置された蒸留塔の精留区域に抽出剤を供給すること;および
d)90重量%を超えるアセタールを有する生成物を蒸留塔の頂部で凝縮すること;
が含まれている。
この方法の好ましい実施形態では、反応/蒸留ゾーンは、蒸留塔の1つまたは複数の区域(セクション)に酸性固定床触媒を装填することによって得られる。
この方法のさらに好ましい実施形態では、蒸留塔内に設定される還流比は、R=0.5とR=10の間である。
この方法のさらに好ましい実施形態では、この方法のステップd)で得られる頂部生成物が、せいぜい(多くて)2つの連続する分離操作で少なくとも99重量%のアセタール含有量まで濃縮される。
本発明による方法の性能に適した蒸留塔は、原理的に特定の装置要求事項がなく、蒸留塔の複数の区域(セクション)のうちの1つまたは複数に酸性固定床触媒が装填されている。適切な酸性触媒は、酸性イオン交換樹脂、ゼオライトまたはその他の支持体に結合したヘテロポリ酸である。酸性イオン交換樹脂が好ましい。
本発明による方法は、適切なアルコールとアルデヒドとの反応によるあらゆるアセタールの製造に適しており、好ましくは、1個から6個までの炭素原子を有する第一級脂肪族アルコールと、脂肪族または芳香族アルデヒドとの反応によるあらゆるアセタールの製造に適している。出発物質は、1個または2個の炭素原子を有していることが好ましく、具体的にはメタノールおよびエタノールが、また、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒ
ドが好ましい。ホルムアルデヒドおよびメタノールからメチラールを製造することがとりわけ好ましい。本発明による方法については、以下でこの好ましい実施例を参照して説明する。
ホルムアルデヒドは、水溶液の形で反応に供給される。この溶液の濃度は、5重量%から75重量%までの範囲であり、15重量%から55重量%までであることが好ましく、18重量%から40重量%であることがより好ましい。安定化のためには、1重量%から20重量%までの濃度のメタノールを予めホルムアルデヒド溶液に含有させることができる。メタノールのこの量は、化学量論比の計算に考慮される。金属陽イオンが存在すると、触媒の失活が加速される原因になることがあるため、ホルムアルデヒド溶液には、金属陽イオンが含まれていないことが好ましい。
本発明の好ましい実施形態では、反応物は、蒸留塔内の反応/蒸留ゾーンに直接供給されず、その代わりに反応物が最初に混合され、続いてプレリアクター(prereactor)を通過する。このプレリアクターには酸性触媒が装填されている。プレリアクターは、たとえば管状リアクターであってもよい。アルデヒドおよびアルコールは、このプレリアクターの中で予め部分的に反応しており、したがって、反応物質およびアセタール、また、場合によっては水との混合物が、プレリアクターを出て、蒸留塔の反応/蒸留ゾーンに供給される。プレリアクター内における、化学量論的に不足して使用される反応物質に基づく転化は10〜50%であり、好ましくは15〜40%である。
アルデヒドおよびアルコールのモル比率は、アルデヒド:アルコール=0.5の化学量論的等量付近で比較的広範囲にわたって変更することができる。2つの反応物質のうちの一方を統合プロセスに使用または利用することができる可能性がある場合、その都度、その反応物の化学量論的余剰分によってもう一方の反応物質を事実上完全に反応させることができる。本発明の好ましい実施形態では、アルデヒド:アルコールのモル比率は、0.25と1.0の間である。本発明による方法によれば、プレリアクター内および反応蒸留塔内における、化学量論的に不足して使用される反応物質に基づく総合的な転化は80%を超えており、好ましいことには90%を超えており、より好ましいことには95%を超えている。
ホルムアルデヒドおよびメタノールからメチラールを製造するために、反応蒸留塔は、標準圧力に近い圧力、好ましくは20〜250ミリバールゲージの圧力で操作される。底の加熱は、底の温度が95〜105℃になるように調整される。反応/蒸留ゾーンの温度は、50〜90℃である。蒸留塔の頂部の温度は、40〜50℃である。
従来技術によれば、反応/蒸留ゾーンの上方に配置されている蒸留塔の精留区域(セクション)は段塔(トレイ塔(tray column))として構成することができ、たとえば網目
トレイ蒸留塔(sieve tray column)または泡鐘トレイ塔(bubble-cap tray column)として
構成することができる。あるいは精留区域は、構造パッキングまたはランダムパッキングを備えた充填蒸留塔として構成することも可能である。上昇する蒸気混合物中のアルコールを濃縮するために、抽出剤が蒸留塔の精留セクションに供給される。適切な供給分配器を使用することにより、蒸留塔の断面全体に抽出剤が分配され、上昇する蒸気が発生することに伴い、良好な質量輸送が保証される。抽出剤は、とにかくこの方法に存在する物質、とりわけアルコールと容易に混和し、かつ、アルコールよりも揮発性が小さい物質であることが好ましい。メタノールおよびホルムアルデヒドからのメチラールの好ましい製造では、抽出剤は水溶液であり、たとえば希薄ホルムアルデヒド溶液である。とりわけ好ましい実施形態では、抽出剤は脱塩水である。
蒸留塔の頂部から流出する蒸気流は、完全に凝縮され、その一部が精留セクションの上
方の蒸留塔に再度供給される。次の比率
R=還流/回収
で定義される蒸留塔の還流比Rは、プロセスに対する要求事項に応じて調整される。還流比が大きいほど、比較的純度の高い頂部生成物が得られるが、そのためにエネルギー消費率がより高くなる。本発明による方法におけるRは、0.5と10の間であり、1と8の間であることが好ましく、2と6の間であることがより好ましい。
本発明による反応蒸留塔の頂部のアセタールの純度は、90%を超えている。ホルムアルデヒドおよびメタノールからメチラールを製造する場合、頂部の濃度は、95重量%を超えるメチラール、2重量%未満のメタノール、および3重量%未満の水であることが好ましい。頂部の濃度は、97重量%を超えるメチラール、1重量%未満のメタノール、および2重量%未満の水であることがより好ましい。98重量%を超えるメチラール、0.5重量%未満のメタノール、および1重量%未満の水であることがとりわけ好ましい。本発明によれば、頂部生成物中のホルムアルデヒドの濃度は、0.25重量%未満であり、0.15重量%未満であることが好ましく、0.10重量%未満であることがより好ましい。
したがって、得られる頂部生成物は、せいぜい(多くて)2つの連続する分離ステップで少なくとも99%の純度まで精製される。これは、たとえば、水およびメタノールの一部を除去するための抽出精留であってもよい。高い純度が要求される場合、低沸点物質を除去するための蒸留を追加することができる。また、蒸留によって最初に低沸点物質を除去し、次に抽出精留を追加することも可能である。抽出または乾燥などの他の基本操作と組み合わせることも可能である。
本発明の好ましい実施形態では、蒸留によってメチラールから低沸点溶剤が除去され、また、抽出精留によって残留水および残留メタノールが除去される。抽出剤は不揮発性であり、また、水と混和するものであり、たとえば2〜4個の炭素原子を有する多価アルコール、好ましくはエチレングリコールである。せいぜい2つの分離ステップで得られる純アセタール生成物は、好ましいことには少なくとも99.9%の純度を有している。
本発明の他の好ましい実施形態は、従属請求項から明らかである。
以下、本発明について、実施例および図面を参照して説明する。
直径350mmの蒸留塔の区域(セクション)3、4および5に、Katapakエレメント(Sulzer Chemtechの製品)が装填されている。Katapakエレメントのポケットには、酸性イオン交換樹脂が充填されている。区域4と5の間に、同じく酸性イオン交換樹脂が充填されたプレリアクター(prereactor)の流出液が供給されている。280kg/hの20%水性ホルムアルデヒド溶液が、100kg/hのメタノールと共にプレリアクターに供給されている。プレリアクターは、80℃に温度制御されている。プレリアクターの流出液は、19.5%のメタノール、11.5%のホルムアルデヒド、8%のメチラールおよび61%の水から構成されており、プレリアクター内のメタノールの26%の転化に対応している。蒸留塔の底は、底の温度が100℃に設定され、Katapak床の温度が50℃に設定され、また、蒸留塔の頂部が46℃の温度に設定されるよう、約120kg/hの低圧蒸気で加熱されている。反応蒸留塔の区域5と6の間に、100kg/hの脱塩水が分配トレイを介して供給されている。蒸留塔の蒸気は完全に凝縮され、500kg/hの留出物が還流として蒸留塔の頂部へ再循環され、110kg/hの粗製メチラールが取り出される。粗製メチラールは、98.2%のメチラール、0.4%のメタノール、0.8%の水および0.6%のギ酸メチルの組成を有している。反応蒸留塔の380kg/hの底流には、1%のメタノールおよび4%のホルムアル
デヒドが含まれている。メタノールに基づく転化は、95.5%である。
後続する低沸点物質の蒸留およびエチレングリコールを使用した抽出精留の後、99.9%を超える純度の純メチラールが得られる。この純メチラールには、100ppm未満のメタノール、50ppm未満の水および100ppm未満のギ酸メチルが含まれている。
本発明によるアセタールの製造方法を実施するための装置の一実施態様を示す。

Claims (22)

  1. アルデヒドおよびアルコールから反応蒸留によってアセタールを製造するための方法であって、
    a)蒸留塔の反応/蒸留ゾーンにアルデヒドおよびアルコールを供給し、そして、それらの少なくとも一部をアセタールに転化させること;
    b)前記反応/蒸留ゾーンの下方に配置された前記蒸留塔の底を加熱すること;
    c)前記反応/蒸留ゾーンの上方に配置された前記蒸留塔の精留区域に抽出剤を供給すること;
    d)90重量%を超えるアセタールを有する生成物を前記蒸留塔の頂部で凝縮すること、ここで前記反応蒸留および前記抽出蒸留は1つの蒸留塔の中で組み合わせられ、前記反応/蒸留ゾーンは前記蒸留塔の1つまたは複数の区域に酸性固定床触媒を装填することによって得られる;および
    e)前記凝縮された生成物の一部を、前記精留区域の上方の前記蒸留塔に再度供給すること;
    を含む方法。
  2. R=0.5とR=10の間の還流比が前記蒸留塔内に設定される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記蒸留塔の頂部生成物が、せいぜい2つの連続する分離操作で少なくとも99重量%のアセタール含有量まで濃縮される、請求項1または2に記載の方法。
  4. 1個または2個の炭素原子を有するアルデヒドおよびアルコールが反応物質として使用される、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. ホルムアルデヒドおよびメタノールからメチラールを製造するための請求項4に記載の
    方法。
  6. 前記反応物質が混合され、前記蒸留塔の前記反応/蒸留ゾーンへの導入に先立ってプレリアクターへ供給される、請求項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 前記プレリアクター内における、化学量論的に不足して使用される前記反応物質に基づく前記転化が10〜50%である、請求項6に記載の方法。
  8. 前記プレリアクター内における、化学量論的に不足して使用される前記反応物質に基づく前記転化が15〜40%である、請求項6に記載の方法。
  9. 化学量論的に不足して使用される前記反応物に基づく前記転化が80%を超える、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  10. 化学量論的に不足して使用される前記反応物質に基づく前記転化が90%を超える、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  11. 化学量論的に不足して使用される前記反応物質に基づく前記転化が95%を超える、請求項1から8のいずれかに記載の方法。
  12. 前記抽出剤が、いかなる場合においても前記方法に存在する物質である、請求項1から11のいずれかに記載の方法。
  13. 前記抽出剤が水である、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  14. 前記抽出剤が脱塩水である、請求項1から12のいずれかに記載の方法。
  15. 前記還流比Rが1と8の間である、請求項2に記載の方法。
  16. 前記還流比Rが2と6の間である、請求項2に記載の方法。
  17. 頂部のアセタール濃度が95%を超える、請求項1から16のいずれかに記載の方法。
  18. 前記頂部のアセタール濃度が97%を超える、請求項1から17のいずれかに記載の方法。
  19. 前記頂部のアセタール濃度が98%を超える、請求項1から18のいずれかに記載の方法。
  20. 前記のせいぜい2つの連続する分離ステップの後のアセタールの純度が少なくとも99.9%である、請求項3に記載の方法。
  21. 請求項1〜20のいずれかに記載の、アルデヒドおよびアルコールから反応蒸留によってアセタールを製造するための方法に使用するための蒸留塔であって、酸性固定床触媒が装填された反応/蒸留ゾーンを含み、前記反応/蒸留ゾーンの上方に配置された精留区域に抽出剤を供給することができる蒸留塔。
  22. 前記反応/蒸留ゾーンが前記蒸留塔の1つまたは複数の区域からなる、請求項21に記載の蒸留塔。
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