JP2013049722A - ロキソプロフェン含有経口用組成物3 - Google Patents

ロキソプロフェン含有経口用組成物3 Download PDF

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Abstract

【課題】 ロキソプロフェンを起因とする胃粘膜障害が軽減すること。
【解決手段】
ロキソプロフェン1重量部に対して、蔗糖を1−4重量部含有することを特徴とする経口用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、ある種の糖によってロキソプロフェンを起因とする胃粘膜障害が軽減された、経口用医薬組成物に関する。
フェニルプロピオン酸系解熱消炎鎮痛剤は、解熱鎮痛剤として広範囲に使用されている。その中でも、ロキソプロフェンやイブプロフェンは、感冒などの症状にも広く処方されている。
ロキソプロフェン、イブプロフェン、アスピリン等の非ステロイド解熱鎮痛消炎剤(NSAID)は、プロスタグランジンの生合成を抑制する薬理作用機序を有するため、必然的に胃粘膜障害という副作用を引き起こすことが知られている。ロキソプロフェンはプロドラッグであるため、他の非ステロイド解熱鎮痛消炎剤(NSAID)と比較すれば胃粘膜障害は少ないとされているが、依然として胃粘膜障害作用を有している。
一方、ロキソプロフェンに糖類を添加した製剤例として、ロキソプロフェン1重量部に対し、
1)蔗糖を50重量部又は60重量部配合したシロップ製剤例、果糖を50重量部配合したシロップ製剤例、ソルビトールを60重量部配合したシロップ製剤例、ほか非糖質又は合成甘味剤を配合したシロップ製剤例(特許文献1参照)、
2)還元麦芽糖水飴を69重量部且つソルビトールを45重量部含有させたグミ製剤(非特許文献1参照)、
が開示されているが、いずれの場合も甘味・服用感に関するものであり、胃腸障害に関連した記載はなく、暗示されてもいない。
さらに、ロキソプロフェンに乳糖を添加した製剤例については、ロキソプロフェンナトリウム1重量部に対し乳糖が0.45〜3.2重量部の範囲で含有されているものが特許文献上、開示されている。しかし、これらは全て打錠性の改善等に関するものであり、胃粘膜障害軽減作用等については全く記載されておらず、暗示もされていない(以上につき、特許文献2〜11を参照)。
なお、各特許文献における乳糖とロキソプロフェンナトリウムの重量配合比は、以下の通りである。
3)特許文献2:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=0.65〜2.34
4)特許文献3:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=0.61〜1.44
5)特許文献4:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=2.8〜3.2
6)特許文献5:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=0.65〜2.34
7)特許文献6:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=0.50〜1.70
8)特許文献7:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=1.16
9)特許文献8:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=1.23〜1.4
10)特許文献9:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=0.45〜0.95
11)特許文献10:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=1.52
12)特許文献11:乳糖/ロキソプロフェンナトリウム=0.66〜1.29
なお、ロキソプロフェンと、マルチトール、キシリトール、トレハロース又はラクチトールとの配合については知られていない。
これまでに、乳糖とアスピリンの等量混合物が、アスピリンの胃粘膜に対する直接障害作用による病変形成を抑制したという報告がなされている(非特許文献2参照)。しかしながら、乳糖及びその他の糖がロキソプロフェンの胃粘膜障害を軽減するか否かについての報告はない。
特開昭61−268621号公報、対照例1乃至4 特開昭62−242616号公報、表1および表2 特開平9−169641号公報、実施例1〜8 特開平9−255569号公報、特許請求項1〜3 特開平9−100229号公報、表1および表2 特開平10−182448号公報、請求項14〜16 特開平10−279476号公報、実施例1 特開平11−21236号公報、実施例1および2、表1 特開平11−255643号公報、表1 特開2000−16936号公報、表1〜4 特開2000−178190号公報、表1
医薬ジャーナル、Vo.37、No.8、2001、p.2462 (表2) 「炎症」VOL.14、No.6、1994、p.533
ロキソプロフェンが引き起こす胃粘膜障害を軽減することができれば、より有用となる。さらに、簡便かつ安価に胃粘膜障害軽減が実現できるならば、一層有益である。かかる目的が、通常の製剤化過程において必須又は使用可能な医薬添加物を用いて実現できることが、最も合理的である。
本発明者らの詳細な試験の結果、乳糖がいかなるNSAIDによる胃粘膜障害に対しても軽減作用を有するものではないことが初めて明らかになった。即ち、乳糖の添加量によっては胃粘膜障害を軽減したり、悪化させたりすることがあること、乳糖の配合比に対する胃粘膜障害の特性はNSAIDごとに異なっていること等が本研究により判明した。
さらに、乳糖とロキソプロフェンとの配合では、配合比0.125から0.25間で急激な潰瘍抑制作用が発現し、配合比の増加とともに潰瘍抑制作用はさらに増大することを見出した。この潰瘍抑制作用は、従来公知であった乳糖とアスピリンの等量混合の結果からでは予測できない程の顕著なものであった。
さらなる研究の結果、ロキソプロフェンに配合する糖類によっては胃粘膜障害軽減作用が発現しないどころか逆に悪化させる場合があることを見出した。例えば、上記特許文献1及び非特許文献1では、ソルビトールとの配合例が挙げられているが、ロキソプロフェンの胃粘膜障害を増強してしまうことが判った。
一方で、本発明で開示した特定の糖類をロキソプロフェンと組み合わせた場合には、顕著な胃粘膜障害軽減作用が発現することを見出し、本発明を完結するに至った。
また、たとえNSAIDが胃粘膜障害を引き起こす可能性があっても、食後に服用すれば、その障害はある程度軽減することが可能である。しかしながら、一般にNSAIDは頓用であり、本来、食後服用に限定することはなじみにくいものである。従って、簡便かつ安価に胃腸障害が軽減されたNSAID製剤の実現は有意義である。特に、長期間にわたり服用する必要のある患者や、食事や水分の摂取が制限されている患者に対しては、より有用である。
本発明は、
(1) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを含有することを特徴とする経口用組成物、
(2) 胃粘膜障害が軽減された上記(1)に記載の経口用組成物、
(3) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを含有することを特徴とする胃粘膜障害が軽減された経口用解熱剤組成物、
(4) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを含有することを特徴とする胃粘膜障害が軽減された経口用鎮痛剤組成物、
(5) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを含有することを特徴とする胃粘膜障害が軽減された経口用抗炎症剤組成物、
(6) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを含有することを特徴とする胃粘膜障害が軽減された経口用感冒薬組成物、
(7) ロキソプロフェン1重量部に対し、糖として乳糖を0.13重量部以上含有する上記(1)乃至(6)に記載の組成物、
(8) ロキソプロフェンがロキソプロフェンナトリウムである上記(1)乃至(7)に記載の組成物、
(9) ロキソプロフェンがロキソプロフェンナトリウム・2水和物である上記(1)乃至(7)に記載の組成物、
(10) 食間に投与されることを特徴とする上記(1)乃至(9)に記載の組成物からなる解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤、
(11) 長期間にわたり服用する必要のある患者に対して投与されることを特徴とする上記(1)乃至(9)に記載の組成物からなる解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤、
(12) 食事や水分の摂取が制限されている患者に対して投与されることを特徴とする上記(1)乃至(9)に記載の組成物からなる解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤、
(13) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを併用することを特徴とする解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤、
(14) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを、食間に投与することを特徴とする解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤、
(15) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを、長期間にわたり服用する必要のある患者に対して投与することを特徴とする解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤、
(16) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを、食事や水分の摂取が制限されている患者に対して投与することを特徴とする解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤
及び
(17) 蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖を含有するロキソプロフェンによる胃粘膜障害の軽減剤
を提供する。
さらに、本発明は、
上記(1)乃至(9)に記載の組成物を、食間に投与することを特徴とする解熱方法、鎮痛方法、炎症治療方法又は感冒治療方法、
上記(1)乃至(9)に記載の組成物を、長期間にわたり服用する必要のある患者に対して投与することを特徴とする解熱方法、鎮痛方法、炎症治療方法又は感冒治療方法、
上記(1)乃至(9)に記載の組成物を、食事や水分の摂取が制限されている患者に対して投与することを特徴とする解熱方法、鎮痛方法、炎症治療方法又は感冒治療方法、
蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを併用することによる解熱方法、鎮痛方法、炎症治療方法又は感冒治療方法、
蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを、食間に投与することを特徴とする解熱方法、鎮痛方法、炎症治療方法又は感冒治療方法、
蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを、長期間にわたり服用する必要のある患者に対して投与することを特徴とする解熱方法、鎮痛方法、炎症治療方法又は感冒治療方法、
蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを、食事や水分の摂取が制限されている患者に対して投与することを特徴とする解熱方法、鎮痛方法、炎症治療方法又は感冒治療方法及び
蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖を投与することを特徴とするロキソプロフェンによる胃粘膜障害の軽減方法
を提供する。
本発明において、「ロキソプロフェン」とは、ロキソプロフェンまたはその塩若しくはそれらの水和物で、好適にはロキソプロフェンナトリウムであり、さらに好適にはロキソプロフェンナトリウム・2水和物である。
本発明において、マルチトール、キシリトール及びラクチトールは糖を還元して得られる糖アルコールである。果糖は果実中に含まれる単糖である。蔗糖は葡萄糖と果糖からなる二糖類である。トレハロースは二つの葡萄糖の一つが転移して結合した二糖類である。
また、乳糖は乳汁中に含まれるオリゴ糖である。
本発明において、「胃粘膜障害」とは、急性及び慢性胃炎からくる胃粘膜病変(糜爛、出血、浮腫)及び胃潰瘍、並びに胃部の近接部位である十二指腸を含む上部消化管の障害のことである。
本発明において、「食間」とは、食事と食事の間や空腹時のことである。
本発明において、「長期間にわたり服用する必要のある患者」とは、慢性的な疾病の予防・治療の目的で服用する患者であれば特に限定はないが、例えば、慢性関節リウマチ、変形性膝関節症、慢性の肩こりや腰痛症等の患者を挙げることができる。
本発明において、「食事や水分の摂取が制限されている患者」とは、疾病の予防・治療の目的で食事や水分の摂取が通常の場合と比較して制限されている場合であれば特に限定はないが、例えば、急性及び慢性腎炎患、人工透析、腹膜透析、糖尿病性腎疾患等の患者を挙げることができる。
本発明の「蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを併用することを特徴とする解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤」とは、蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖と、ロキソプロフェンとを、同時に若しくはほぼ同じ時間に、別々に投与するための解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤である。
本発明の、ある種の糖を含有することを特徴とする、胃粘膜障害が軽減された、ロキソプロフェン含有の経口用組成物及び本発明の解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤は、ロキソプロフェンによる胃粘膜障害を特異的かつ顕著に軽減される。従って、食間に投与することや、長期間にわたり服用する必要のある患者及び、食事や水分の摂取が制限されている患者に対して投与することが、より安全となる。
胃潰瘍抑制率(%)を縦軸に、NSAIDに対する乳糖の配合比を横軸にとって、プロットしたグラフである。 胃潰瘍抑制率(%)を縦軸に、ロキソプロフェンに対する乳糖の配合比を横軸にとって、プロットしたグラフである。
ロキソプロフェンナトリウム、蔗糖(白糖)、果糖、キシリトール及び乳糖は日本薬局方XIVに収載されている。また、ロキソプロフェンのその他の塩、水和物は、公知の方法で製造することができる。
マルチトール及びラクチトールは医薬品添加物ハンドブック2001に掲載されている。トレハロースは既存添加物名簿(平成8年)に収載されている。
本発明の「蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを併用することを特徴とする解熱剤、鎮痛剤、炎症治療剤又は感冒治療剤」において、蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとは、配合剤の形態で投与することができる。或いは、蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールからなる群より選ばれる1種又は2種以上の糖とロキソプロフェンとを、それぞれについて調剤した製剤として同時に若しくはほぼ同時に投与することもできる。
ロキソプロフェンナトリウムの1回投与量は、適応症や年齢により異なるが、通常、20乃至180mgであり、これを1日に、1乃至3回投与する。
本発明の組成物が固形製剤の場合において、含有されるロキソプロフェンナトリウムの含有量は、通常、10乃至400mgであり、好適には、20乃至180mgである。
本発明の組成物が液剤の場合において、含有されるロキソプロフェンの含有量は通常、0.1乃至200mg/mLであり、好適には、1乃至100mg/mLである。
ロキソプロフェンナトリウム1重量部に対し、乳糖の配合比は、好適には、0.13重量部以上であり、さらに好適には、0.25重量部以上である。上限は特に限定はないが、好適には、100重量部以下であり、さらに好適には、30重量部以下である。
ロキソプロフェンナトリウム1重量部に対し、その他の糖類の配合比では、特に限定はないが、好適には、0.05重量部以上であり、さらに好適には、0.12重量部以上である。上限も特に限定はないが、好適には、100重量部以下であり、さらに好適には、30重量部以下である。
本発明においては、上記有効成分の他、必要に応じてカフェイン類、鎮咳薬、去痰薬、抗ヒスタミン薬、抗アレルギー薬、交感神経興奮薬、副交感神経遮断薬、消炎酵素類、ビタミン類、生薬類、制酸薬などを本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。
これらの具体的な剤形としては、例えば、錠剤、細粒剤(散剤を含む)、カプセル、液剤(シロップ剤を含む)等をあげることができ、各剤形に適した添加剤や基材を適宜使用し、日本薬局方等に記載された通常の方法に従い、製造することができる。
上記各剤形において、その剤形に応じ、通常使用される各種添加剤を使用することもできる。
例えば、錠剤の場合、結晶セルロース等を賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は酸化マグネシウム等を安定化剤として、ヒドロキシプロピルセルロース等をコーテイング剤として、ステアリン酸マグネシウム等を滑沢剤として、使用することができ、細粒剤及びカプセル剤の場合、精製白糖等を賦形剤として、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム又は酸化マグネシウム等を安定化剤として、トウモロコシデンプン等を吸着剤として、ヒドロキシプロピルセルロース等を結合剤として、使用することができる。
上記各剤形において、必要に応じ、クロスポビドン等の崩壊剤;ポリソルベート等の界面活性剤;ケイ酸カルシウム等の吸着剤;三二酸化鉄、カラメル等の着色剤;安息香酸ナトリウム等の安定剤;pH調節剤;香料等を添加することもできる。
以下に、実施例等を示し、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)錠剤
(1)成分
(表1)
1錠中(mg) (1a) (1b) (1c) (1d) (1e)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンナトリウム 60 60 60 60 60
果糖又はキシリトール − 60 − − −
乳糖 20 − 240 120 −
蔗糖、マルチトール、ラクチトール又はトレハロース
− − − − 15
ヒドロキシプロピルセルロース 50 70 150 100 50
ステアリン酸マグネシウム 適量 適量 適量 適量 適量
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤を製する。
(実施例2)細粒剤
(1)成分
(表2)
1包中(mg) (2a) (2b) (2c) (2d) (2e)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンナトリウム 60 60 60 60 60
果糖又はキシリトール − 60 − − −
乳糖 20 − 240 120 −
蔗糖、マルチトール、ラクチトール又はトレハロース
− − − − 15
ヒドロキシプロピルセルロース 100 100 150 130 100
ステアリン酸マグネシウム 5 5 10 5 5
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース
適量 適量 適量 適量 適量
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製する。
(実施例3)カプセル剤
(1)成分
(表3)
1カプセル中(mg) (3a) (3b) (3c) (3d) (3e)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンナトリウム 60 60 60 60 60
果糖又はキシリトール − 60 − − −
乳糖 20 − 240 120 −
蔗糖、マルチトール、ラクチトール又はトレハロース
− − − − 15
ステアリン酸マグネシウム 10 10 20 20 10
ポリソルベート80 10 10 20 20 10
トウモロコシデンプン 適量 適量 適量 適量 適量
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「顆粒剤」の項に準じて細粒剤を製した後、カプセルに充てんして硬カプセル剤を製する。
(実施例4)シロップ剤
(1)成分
(表4)
60mL中(mg) (4a) (4b) (4c) (4d) (4e)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンナトリウム 180 180 180 180 180
果糖又はキシリトール − 180 − − −
乳糖 60 − 720 360 −
蔗糖、マルチトール、ラクチトール又はトレハロース
− − − − 45
安息香酸ナトリウム 140 140 150 150 130
クエン酸 60 80 90 90 70
濃グリセリン 250 250 250 250 250
ポリビニルアルコール 100 100 100 100 100
エタノール(95%) 50 50 50 50 50
精製水 適量 適量 適量 適量 適量
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
(2)製法
上記成分及び分量をとり、日局製剤総則「シロップ剤」の項に準じてシロップ剤を製した後、褐色ガラス瓶に充てんしてシロップ剤を製する。
(試験例1)
NSAIDの胃粘膜障害に対する糖の抑制効果
(1)被験物質
NSAIDとして、乳糖との併用有用性が公知のアスピリン(シグマ製)、またフェニルプロピオン酸系NSAIDとしてイブプロフェン(シグマ製)とロキソプロフェンナトリウム(三共製)の二種を選定した。
乳糖は日局乳糖(小境製薬製)を、トレハロースは林原製のものを、葡萄糖は関東化学製のものを使用した。また、蔗糖、果糖、キシリトール、ラクチトール、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール及び麦芽糖はいずれも和光純薬工業製のものを使用した。
各被験物質は、試験当日に0.5%トラガント液に懸濁もしくは溶解して調製した。投与液量は、体重1Kgあたり5mLを経口投与し、対照群には同量の0.5%トラガント液を投与した。
(2)動物
Wistar−Imamichi雄性ラット(動物繁殖研究所)5週齢を購入し、温度20〜26℃、湿度30〜70%、照明時間7時〜19時に制御された環境制御飼育装置(日本クレア製)内で、ステンレス製ラット飼育ゲージに5〜6匹入れ、飼料(マウス・ラット飼育用F−2、船橋農場製)および水フィルターを通した水道水を自由に摂取させて飼育した。8日間の予備飼育後、試験前日に肉眼的に健康状態を観察し良好な動物を選別後、無作為に1群5匹に群分けして用いた。
(3)方法
予め、各NSAID単剤における100%胃粘膜障害発現用量を求め、その用量に基づいて以下の試験を行った。
試験前日16時より絶食した動物に被験物質を経口投与して3.5時間後、エーテル麻酔下で頚動脈放血死させて胃を摘出する。胃は大弯沿いに切り開き、生理食塩液で軽く洗浄後、実体顕微鏡(オリンパス製10×10倍)下で出血斑の有無を観察した。
潰瘍指数として、出血斑の長径を0.5mm単位で測定して各動物の合計を求めた。NSAID単独投与群の潰瘍指数と、糖併用群における潰瘍指数とを基に、各々のNSAIDにおける潰瘍抑制率を次式より求めた。
(式1)
潰瘍抑制率(%)=[1−B/A]×100
A:NSAID単独投与群の潰瘍指数
B:糖併用群の潰瘍指数
(4)試験結果
得られた各併用群の潰瘍抑制率の結果を表5〜表7に示す。
(表5)
被験物質(mg/Kg) 配合比 潰瘍抑制率(%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+乳糖(6.25) 0.125 −2
アスピリン(75) +乳糖(9.38) 0.125 −7
イブプロフェン(100) +乳糖(12.5) 0.125 1
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+乳糖(12.5) 0.25 29
アスピリン(75) +乳糖(18.8) 0.25 −17
イブプロフェン(100) +乳糖(25) 0.25 27
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+乳糖(25) 0.5 42
アスピリン(75) +乳糖(37.5) 0.5 −40
イブプロフェン(100) +乳糖(50) 0.5 26
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+乳糖(50) 1 45
アスピリン(75) +乳糖(75) 1 14
イブプロフェン(100) +乳糖(100) 1 −36
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+乳糖(100) 2 56
アスピリン(75) +乳糖(150) 2 24
イブプロフェン(100) +乳糖(200) 2 −38
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+乳糖(200) 4 66
アスピリン(75) +乳糖(300) 4 40
イブプロフェン(100) +乳糖(400) 4 42
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+乳糖(400) 8 33
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
表5中のロキソプロフェンNaは、ロキソプロフェンナトリウムである。また、後述の表6、表7中のロキソプロフェンNaも、同様にロキソプロフェンナトリウムである。
図1は、胃潰瘍抑制率(%)を縦軸に、NSAIDに対する乳糖の配合比を横軸にとって、プロットしたグラフである。グラフ中、Ibuはイブプロフェンを、Aspはアスピリンを、Loxはロキソプロフェンを示す。
図1からわかるように、ロキソプロフェンと乳糖の配合では、配合比0.125から0.25間で急激な潰瘍抑制作用が発現し、配合比の増加とともに潰瘍抑制作用はさらに増大し、配合比4前後でピークとなったのち減少に転じてくる。ロキソプロフェンにおける潰瘍抑制作用は、従来公知であった乳糖とアスピリンの配合(配合比1)からでは予測できない程の顕著な潰瘍抑制作用であった。
さらに、アスピリンにおいては、配合比によっては潰瘍を大きく悪化させることがあり、この傾向はロキソプロフェンと同じフェニルプロピオン酸系NSAIDのイブプロフェンでも認められた。しかし、ロキソプロフェンでは配合比0.125においても潰瘍悪化作用は実質的に発現しなかった。
(表6)配合比0.25
被験物質(mg/Kg) 潰瘍抑制率(%)
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+蔗糖(12.5) 63
ロキソプロフェンNa(50)+マルチトール(12.5) 57
ロキソプロフェンNa(50)+果糖(12.5) 41
ロキソプロフェンNa(50)+キシリトール(12.5) 38
ロキソプロフェンNa(50)+トレハロース(12.5) 30
ロキソプロフェンNa(50)+乳糖(12.5) 29
ロキソプロフェンNa(50)+ラクチトール(12.5) 20
ロキソプロフェンNa(50)+麦芽糖(12.5) 3
ロキソプロフェンNa(50)+葡萄糖(12.5) −3
ロキソプロフェンNa(50)+ソルビトール(12.5) −21
ロキソプロフェンNa(50)+エリスリトール(12.5) −36
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
蔗糖、マルチトール、果糖、キシリトール、トレハロース、乳糖及びラクチトールの配合では、ロキソプロフェンによる潰瘍を抑制する。しかし、麦芽糖及び葡萄糖では不変であり、逆に、ソルビトール及びエリスリトールでは潰瘍を悪化させた。
(表7)
被験物質(mg/Kg) 配合比 潰瘍抑制率(%

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+蔗糖(6.25) 0.125 19
ロキソプロフェンNa(50)+蔗糖(12.5) 0.25 63
ロキソプロフェンNa(50)+蔗糖(50) 1 29
ロキソプロフェンNa(50)+蔗糖(20 4 56
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+マルチトール(12.5) 0.25 57
ロキソプロフェンNa(50)+マルチトール(50) 1 20
ロキソプロフェンNa(50)+マルチトール(200) 4 27
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+果糖(12.5) 0.25 41
ロキソプロフェンNa(50)+果糖(50) 1 44
ロキソプロフェンNa(50)+果糖(200) 4 24
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+キシリトール(6.25) 0.125 31
ロキソプロフェンNa(50)+キシリトール(12.5) 0.25 38
ロキソプロフェンNa(50)+キシリトール(50) 1 60
ロキソプロフェンNa(50)+キシリトール(200) 4 49
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
ロキソプロフェンNa(50)+ラクチトール(12.5) 0.25 20
ロキソプロフェンNa(50)+ラクチトール(50) 1 6
ロキソプロフェンNa(50)+ラクチトール(200) 4 36
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
図2は、胃潰瘍抑制率(%)を縦軸に、ロキソプロフェンに対する乳糖の配合比を横軸にとって、プロットしたグラフである。グラフ中、Loxはロキソプロフェンを示す。
図2からわかるように、乳糖以外の糖においても乳糖と同様に顕著な潰瘍抑制作用が認められるが、配合比に対する潰瘍抑制率の特性は異なっている。例えば、キシリトール及び果糖では配合比1近傍で潰瘍抑制率がピークとなるが、蔗糖、マルチトール及びラクチトール等では配合比1未満で潰瘍抑制率のピークが存在し、配合比1以上では配合比の増加とともに潰瘍抑制率が再び上昇に転じた。

Claims (1)

  1. ロキソプロフェン1重量部に対して、蔗糖を1−4重量部含有することを特徴とする、ロキソプロフェンによる胃粘膜障害を軽減するための経口用組成物。
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