JP5959393B2 - フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬を含有する医薬組成物 - Google Patents

フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬を含有する医薬組成物 Download PDF

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本発明は、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬、特にイブプロフェンを含有する医薬組成物に関する。より詳細には、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の副作用である胃粘膜障害が軽減されてなるフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬含有医薬組成物に関する。
アスピリンやイブプロフェン等の非ステロイド解熱鎮痛消炎剤は、感冒などの症状に広く処方されているが、その投与量や投与日数が増加するにつれて、患者によっては胃粘膜障害を起こすことが知られている。
そのため、従来から、イブプロフェン等のフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬による胃粘膜障害を軽減させることを目的として、種々のフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬含有製剤が検討されている。
例えば、特許文献1には、イブプロフェン1重量部に対して、炭酸マグネシウム1重量部、又は炭酸マグネシウムとアルミニウムグリシネートとを総量で1重量部の割合で併用することで、イブプロフェンの薬効を阻害することなく消化管障害を軽減することができることが記載されている。また特許文献2には、イブプロフェンとエテンザミドの混合物1重量部に対して、水酸化アルミニウムを0.3重量部の割合で配合することにより、アルミニウムグリシネート、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを配合した場合に比べて、胃粘膜障害を有意に軽減できることが記載されている。さらに特許文献3には、イブプロフェン1重量部に対して、酸化マグネシウムを0.75〜8重量部の割合で併用することにより、イブプロフェンによる胃粘膜障害を軽減できることが記載されている。
以上のことから、従来より、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に制酸剤を併用すること、特にフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬1重量部に対して制酸剤を0.3〜8重量部の割合で配合することで、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害をある程度軽減できることが知られているが、制酸剤の種類や量によっては効果が不十分であり、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害を満足に軽減できないことも事実である。また、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬による胃粘膜障害を防止するために、重篤な疼痛や発熱が生じていても、服用間隔4時間以上おくなど、服用間隔を長くしなければならなかったり、服用量を少なくしなければならないなどといった制約がある。
このため、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃腸障害を軽減するための有効な方法が依然として求められている。
なお、特許文献4にはイブプロフェンと芍薬を含む医薬組成物が記載されているが、イブプロフェンの胃粘膜障害の軽減を課題とするものではなく、制酸剤を併用することについても記載も示唆もされていない。
特開昭63−198620号公報 特開2004−231546号公報 特開2007−23026号公報 特開平6−199676号公報
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬を含有する医薬組成物において、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の鎮痛効果を損うことなく、その胃粘膜障害が軽減された医薬組成物を提供することである。より好ましくは、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の鎮痛効果がより高められるとともに、その胃粘膜障害が軽減された医薬組成物を提供することである。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねていたところ、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬を含有する医薬組成物に対して、従来は胃粘膜保護作用がないとされている制酸剤の種類や量であっても、所定量以上のシャクヤクエキスと組み合わせて配合することで、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の鎮痛効果を損なうことなく、むしろ高めながらも、意外にもフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬による胃粘膜障害を顕著に軽減することができることを見出した。
本発明はかかる知見に基づいて完成したものであり、以下の実施形態を包含するものである:
項1.フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬、シャクヤクエキス、及び制酸剤を含有する医薬組成物であって、制酸剤1重量部に対して、シャクヤクエキスを少なくとも2重量部(乾燥物換算。以下同じ。)、好ましくは2〜13重量部の割合で含有することを特徴とする医薬組成物。
項2.フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬1重量部に対して、制酸剤を少なくとも0.2重量部、好ましくは0.2〜0.8重量部の割合で含有する項1に記載する医薬組成物。
項3.制酸剤が水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、酸化マグネシウム、酸化マグネシウム及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である項1又は2に記載の医薬組成物。
項4.フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬がイブプロフェンである項1乃至3のいずれかに記載する医薬組成物。
項5.解熱鎮痛消炎薬である、項1乃至4のいずれかに記載する医薬組成物。
項6.経口用の医薬組成物である、項1乃至5のいずれかに記載する医薬組成物。
本発明の医薬組成物は、解熱、鎮痛または消炎作用を発揮する有効量のフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬を含有しながらも、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の副作用である胃粘膜障害が軽減されてなることを特徴とする。特に本発明の医薬組成物は、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に加えて、制酸剤とシャクヤクエキスを特定の割合で含有することで、制酸剤の種類や量に依存することなく、胃粘膜障害が軽減されてなることを特徴とする。つまり、本発明の医薬組成物は、有効な解熱、鎮痛、及び消炎作用を発揮し、しかも服用時の胃粘膜障害が軽減されてなる、安全性の高い解熱鎮痛消炎剤として有用である。
なお、本発明において「胃粘膜障害」には、制限されないものの、急性及び慢性胃炎からくる胃粘膜病変(糜爛、出血、浮腫)、胃潰瘍、及び胃部の近接部位である十二指腸を含む上部消化管の障害が含まれる。
本発明の医薬組成物は、(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬(以下、これを「(a)成分」ともいう)に加えて、(b)シャクヤクエキス(以下、これを「(b)成分」ともいう)、および(c)制酸剤(以下、これを「(c)成分」ともいう)を含有する。
(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬
本発明においてフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬((a)成分)とは、フェニルプロピオン酸骨格を有する消炎作用、鎮痛作用または/および解熱作用を有する薬物を意味し、例えばアルミノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、オキサプロジン、ザルトプロフェン、チアプロフェン酸、ナブメトン、ナプロキセン、フェノプロフェン(カルシウム塩)、プラノプロフェン、フルルビプロフェンまたはロキソプロフェン(ナトリウム塩)を挙げることができる。これらは一種単独、または二種以上を任意に組み合わせて使用することができる。好ましくは、フルルビプロフェン、イブプロフェン、アルミノプロフェン、ロキソプロフェンであり、より好ましくはイブプロフェン〔化学名:2-(4-イソブチルフェニル)プロピオン酸〕である。
これらの成分は、水和物または溶媒和物として配合されていてもよく、例えばロキソプロフェンは、ロキソプロフェンナトリウム・2水和物として用いることができる。
本発明の医薬組成物中に含まれる(a)成分の割合としては、制限はされないが、成人一日投与あたりの経口医薬組成物に含まれる(a)成分の量として、50〜1200mg、好ましくは100〜800mg、より好ましくは200〜600mgを挙げることができる。
医薬組成物100重量%中の(a)成分の含有割合は、制限はされないが、上記範囲となるように、2〜95重量%、好ましくは5〜50重量%の範囲から適宜調整することができる。
(b)シャクヤクエキス
シャクヤクエキスは、ボタン科の芍薬(Paeonia lactiflora Pallas)、または同属植物(Paeoniaceae)の根の外皮を除去して乾燥した細末から抽出されたモノテルペン配糖体などを成分とするエキスである。根のみならず、他の部位から抽出されたエキスを用いることもできる。
エキスとして生の植物から抽出したものを用いることもできるが、抽出効率の観点から、乾燥、粉砕などの処理を行った後で抽出されたエキスを用いるのが好ましい。
本発明で用いるエキスの抽出溶媒に特に制限はなく、水、並びに低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールなど)、液状の多価アルコール(例えば、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなど)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、アセトニトリル、エステル類(例えば、酢酸エチル、酢酸ブチルなど)、炭化水素類(例えば、ヘキサン、ヘプタン、流動パラフィンなど)、エーテル類(例えば、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、プロピルエーテルなど)などの各種の有機溶媒を用いることができる。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよいし、また2種以上の溶剤を任意に組み合わせて使用することもできる。中でも水、水溶性有機溶媒、またはこれらの混合溶媒による抽出が好ましい。また水溶性有機溶媒としては、エタノールが好適である。
溶媒による抽出は公知の方法に従って行うことができる。
例えば、水、水溶性有機溶媒またはこれらの混合溶媒を抽出溶媒として用いた場合、乾燥生薬に対して1〜50質量倍、好ましくは5〜20質量倍の抽出溶媒で、かつ抽出溶媒の沸点より低い温度条件下で、0.1〜50時間、好ましくは2〜24時間抽出することによりエキスを得ることができる。抽出効率の観点から抽出温度としては50〜100℃が好ましい。抽出操作は静置状態で行っても良いが、より効率的に抽出するには適度に攪拌させるのが望ましい。また抽出残渣に対して、数回の抽出操作を繰り返すこともできる。濾液と抽出残渣の分離は高温で実施するのが好ましい。低温ではエキスの抽出溶媒への溶解度が低下するため、分離された濾液中のエキス量が低下するおそれがある。好ましい分離温度は用いる溶媒により異なるが、好ましくは50℃以上である。
本発明の医薬組成物中に含まれる(b)成分の割合としては、特に制限されないが、成人一日投与あたりの医薬組成物に含まれる(b)成分の量として、乾燥重量に換算して、50〜2000mg、好ましくは50〜1500mg、より好ましくは100〜1000mgを挙げることができる。この範囲となるように、医薬組成物100重量%中の(b)成分の含有割合を、0.5〜80重量%、好ましくは5〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%の範囲から適宜調整することができる。
フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬〔(a)成分〕の胃粘膜障害を軽減し、また消炎鎮痛効果を向上させるために好適に用いられる(b)成分の割合としては、本発明の医薬組成物にフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬とともに配合する後述の制酸剤〔(c)成分〕1重量部に対して、少なくとも2重量部を挙げることができる。好ましくは2〜15重量部、より好ましくは2〜10重量部、さらに好ましくは2〜8重量部を挙げることができる。
(c)制酸剤
制酸剤〔(c)成分〕は、従来より制酸や粘膜被覆剤としてとして使用されている成分である。
かかる制酸剤としては、制限されないが、アルミニウムグリシネート(ジヒドロキシアルミニウムアミノアセテート)、炭酸水素ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミナマグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウムビスマス、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、合成ケイ酸アルミニウム、沈降炭酸カルシウム、無水リン酸水素カルシウム、リン酸水素カルシウム、烏賊骨、石決明、ボレイ、合成ヒドロタルサイト、酸化マグネシウム、ロートエキス、アミノ酢酸、水酸化アルミニウム・炭酸マグネシウム混合乾燥ゲル、水酸化アルミニウム・炭酸水素ナトリウムの共沈生成物、水酸化アルミニウム・炭酸カルシウム・炭酸マグネシウムの共沈生成物、水酸化マグネシウム・硫酸アルミニウムカリウムの共沈生成物などが挙げられる。好ましくは水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、酸化マグネシウム、酸化マグネシウム及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムである。
これらは1種単独で他の(a)成分及び(b)成分と併用してもよいし、2種以上を任意に組み合わせて他の(a)成分及び(b)成分と併用することもできる。
本発明の医薬組成物中に含まれる(c)成分の割合としては、特に制限されないが、成人一日投与あたりの経口医薬組成物に含まれる(c)成分の量として、10〜5000mg、好ましくは50〜1000mg、より好ましくは100〜500mgを挙げることができる。この範囲となるように、医薬組成物100重量%中の(c)成分の含有割合を、1〜90重量%、好ましくは3〜50重量%、より好ましくは3〜30重量%の範囲から適宜調整することができる。
フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬〔(a)成分〕が原因で起こる胃粘膜障害を、(b)成分とともに軽減し、また消炎鎮痛効果を向上させるために好適に用いられる(c)成分の割合としては、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬〔(a)成分〕1重量部に対して、少なくとも0.2重量部を挙げることができる。好ましくは0.2〜1.0重量部、より好ましくは0.2〜0.8重量部、さらに好ましくは0.2〜0.6重量部を挙げることができる。より好ましい割合として、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬1重量部に対して、制酸剤が0.2〜1.0重量部、シャクヤクエキスが0.4〜15重量部を挙げることができる。
本発明の医薬組成物は、上記(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に加えて、(b)シャクヤクエキス、および(c)制酸剤を含有するものであればよいが、本発明の胃粘膜障害の軽減効果および解熱鎮痛消炎効果に悪影響を与えるものでなければ、例えば消炎、鎮痛または解熱の用途で用いられる薬効成分など、他の薬効成分配合の有無を制限するものではない。
より具体的には、ビタミン類(ビタミンA,D,E,K,Uなどの脂溶性ビタミン類;ビタミンB,C,Pなどの水溶性ビタミン類);解熱・鎮痛・消炎薬(スルピリンなどのピリン系解熱鎮痛薬;サリチル酸ナトリウム、アスピリン、エテンザミド、サリチルアミド、サザピリンなどのサリチル酸系薬剤、アセトアミノフェンなどのアニリン系薬剤、フルフェナム酸、メフェナム酸などのフェナム酸系薬剤、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシンなどのアリール酢酸系薬剤、フェニルブタゾン、オキシフェニルブタゾンなどのピラゾリジン系薬剤、ブコロームなどのピリミジン系薬剤、ピロキシカムなどのオキシカム系薬剤、イソプロピルアンチピリンなど);抗ヒスタミン薬(フマル酸クレマスチン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、クロルフェニラミンマレイン酸塩など);鎮咳薬(例えば、コデインリン酸塩、ジヒドロコデインリン酸塩、クロペラスチン、デキストロメトルファン、ベンゾナテートなど);去痰薬(例えば、ブロムヘキシン塩酸塩);エチルシステイン塩酸塩、メチルシステイン塩酸塩、アセチルシステインなどの粘膜溶解液;カルボシステインなどの粘液修復薬;リゾチーム塩酸塩などの消炎酵素剤;グリチルリチン酸などの抗炎症剤;アリルイソプロピルアセチル尿素などの催眠鎮静剤;アンブロキソール塩酸塩などの粘液潤滑薬;テルビナフィン塩酸塩などの抗真菌剤;気管支拡張薬又は喘息治療薬(例えばシュードエフェドリン、エフェドリン塩酸塩、メチルエフェドリン塩酸塩、テルブタリン塩酸塩、イソプロテレノール、サルブタモール、テルブタリンなどのβ2−アドレナリン受容体刺激薬、テオフィリン、アミノフィリン、プロキシフィリンなどのキサンチン系薬剤、クロモグリク酸など);制酸剤;アミノ酸類;生薬などが例示できる。これらの薬効成分は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の医薬組成物の剤形は、経口投与用に製剤形態であれば特に制限されない。例えば、散剤、錠剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)、トローチ、チュアブル錠およびドライシロップ剤などの固形製剤、並びに液剤やシロップ剤などの液体製剤が挙げられる。また、薬効成分の放出性を制御した製剤形態を有するものであってもよい(例えば、速放性製剤、徐放性製剤など)。また、好ましくは錠剤、顆粒剤、丸剤、カプセル剤(軟カプセル剤、硬カプセル剤)である。かかる剤型を有する製剤は、当業界の慣用法に従って調製することができる。
本発明の医薬組成物は、上記の経口投与形態に製剤化するため、またその安定化のために、薬学上経口投与に許容される各種の担体並びに添加剤を配合することもできる(例えば、日本薬局方または「医薬品添加物事典」(薬事日報社発行)などが参照できる。)。
経口投与剤用の担体または添加剤としては、コハク化ゼラチン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、炭酸カルシウム、カルメロースナトリウムなどの基剤;グリセリン脂肪酸エステル、大豆レシチン、メチルセルロース、モノステアリン酸グリセリンなどの乳化剤;乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニット、ソルビトール、トウモロコシデンプン、部分α化デンプン、結晶セルロース、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルメロースナトリウム、タルク、マクロゴール400などの賦形剤;デンプン、α−デンプン、寒天、ゼラチン、アラビアガム、デキストリン、メチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはその塩、結晶セルロースなどの結合剤;炭酸カルシウム、クロスポピドン、デンプン、カルボキシメチルセルロースカルシウム、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルスターチなどの崩壊剤;ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、無水ケイ酸などの滑沢剤;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、及びプルロニックなどの懸濁化剤;ポリソルベート80、ラウロマクロゴール、コレステロールなどの界面活性剤;沈降炭酸カルシウム、アラビアゴム、プルラン、カルナウバロウ、ヒドロキシプロピルメチルフタレートなどのコーティング剤;白糖、ブドウ糖、サッカリンナトリウム、ソルビトール、クエン酸、及びアスパルテームなどの矯味剤;濃グリセリン、トリアセチン、D-ソルビトールなどの可塑剤;パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、クエン酸水和物などの保存剤;酸化チタン、薬用炭、銅クロロフィリンナトリウムなどの着色剤等を挙げることができる。また上記成分の他、本発明の効果が損なわれない範囲であれば、通常医薬品の添加物として許容される安定剤、分散剤、流動化剤、緩衝剤、湿潤剤、粘稠剤、防腐剤、pH調整剤、溶剤、溶解補助剤などの任意成分を所望に応じて添加することもできる。
本発明の医薬組成物は、前述する固体または液体の経口製剤(内服製剤)として調製され、投与することができる。本発明の医薬組成物の投与量は、患者の年齢、性別、治療すべき症状の程度、及び投与方法により左右されるが、中に含まれている(a)フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の成人に対する一日あたりの投与量が50〜1200mg、好ましくは100〜800mg、より好ましくは200〜600mg;(b)シャクヤクエキスの成人に対する一日あたりの投与量が50〜2000mg、好ましくは50〜1500mg、より好ましくは100〜1000mg:(c)制酸剤の成人に対する一日あたりの投与量が10〜5000mg、好ましくは50〜1000mg、より好ましくは100〜500mgを挙げることができる。この投与範囲であれば、1日に1〜数回に分けて投与することもできる。
本発明の医薬組成物は、好適には鎮痛や炎症を抑制する目的で使用することができる。しかし有効成分であるフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬、好ましくはイブプロフェンは、鎮痛及び消炎作用に加えて、解熱作用をも有しているため、炎症や疼痛を伴う発熱に対しても、疼痛を鎮め(鎮痛)発熱を抑える(解熱)目的で使用することもできる。具体的には、本発明の医薬組成物、特にフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬としてイブプロフェンを含有する医薬組成物は、関節炎、腱鞘炎、または炎症を伴う関節痛、腰痛、頭痛、月経痛(生理痛)、歯痛、抜歯後の疼痛、打撲痛、ねんざ痛、骨折痛、外傷痛、咽喉痛、耳痛、神経痛、筋肉痛若しくは肩こりなどの末梢における炎症の改善(消炎)や鎮痛を目的として好適に使用することができる。
以下に実験例、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実験例になんら限定されるものではない。
実験例1 胃粘膜保護作用
(1)被験試料の調製(実施例1〜12、比較例1〜14)
各被験試料の組成を表1に示す。ここではフェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬としてイブプロフェンを、制酸剤として乾燥水酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムを用いた。また、シャクヤクエキスとして、市販のシャクヤクエキス(小城製薬(株)製;1gは原生薬5gに相当)を使用した。なお、シャクヤクエキスの重量はエキスの乾燥重量である。
各被験試料は、各成分を1%アラビアゴム水溶液に懸濁して、その5mL中に含まれる各成分の量が表1に示すmg数になるように調製した。すなわち、表1は、試験試料をラット体重1kgあたり5mL投与したときの各成分のmg数を示す。
<実験方法>
(1)体重140−170gのDonryu系ラット(6週齢)(日本エスエルシー株式会社)各群7匹を、20〜25℃、12時間明条件−12時間暗条件、自由飲水、自由摂取の条件下で、1週間馴化させた後、18時間絶食させる。
(2)その後4時間おきに計3回、表1に記載する各試験試料体重1kgあたり5mLの割合で経口投与する。
(3)最終投与から4時間後に、エーテルで安楽死させて、胃を摘出する。
(4)摘出した胃を切開し、撮影して、ノギスを用いて内部潰瘍形成部の長径(潰瘍長径)を測定する。
<実験結果>
各ラット群について測定した潰瘍長径の合計を表1に合わせて示す。
Figure 0005959393
表1に示すように、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に制酸剤を併用しても(比較例2、5、10及び12〜14)、また制酸剤に加えてシャクヤクエキスを制酸剤1重量部に対して1.6重量部以下の割合で併用しても(比較例3、7、8及び11)、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害は軽減されないが、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に、制酸剤に加えてシャクヤクエキスを、制酸剤1重量部に対して2重量部以上の割合で併用することで(実施例1〜12)、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害が顕著に軽減されることが確認された。
実験例2 鎮痛作用 (酢酸ライジング法)
<被験試料の調製>
各被験試料の組成を表2に示す(実施例4、比較例15〜17)。各試験試料は、各成分を1%アラビアゴム水溶液に懸濁して、その1mL中に含まれる各成分の量が、表2に示すmg数になるように調製した。
<実験方法>
(1)体重30g前後のddy系マウス(6週齢)(日本エスエルシー株式会社)各群5匹を、20〜25℃、12時間明条件−12時間暗条件、自由飲水、自由摂取の条件下で、1週間馴化させた後、18時間絶食させる。
(2)表2に記載する各被験試料1mLを経口投与する。
(3)投与から45分後に、0.7%の酢酸水溶液を腹腔内投与し、5分間放置する。(4)その後、15分間中に行ったライジングの回数を痛みの指標として測定する。
<実験結果>
各マウス群について測定したライジング回数の平均を表2に合わせて示す。
Figure 0005959393
この結果から、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に、制酸剤に加えてシャクヤクエキスを、制酸剤1重量部に対して2重量部以上の割合で併用することで、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の鎮痛効果も増強されることが確認された。
実験例3 ヒトモニター試験
<被験薬の作成>
各被験薬の組成(ヒトに対する各成分の一日投与量)を表3に示す。動物への投与量からヒトへの投与量の換算については、薬理効果と薬物動態の種差を考慮し、「CRCテキストブック 日本臨床薬理学会認定CRCのための研修ガイドライン」に基づいて行った。具体的には、表1に記載の丸ごとの動物への投与量Xmg/kg/dayを、ヒトへの投与量Xmg/body/dayとして換算した。そのうち、代表例である実施例4の結果を以下に示す。
表3に従い、各被験薬を日本薬局方カプセルにつめ、慢性腰痛の症状がある成人男女5名に1週間、1日3回食後に服用してもらい、服用前と比較した鎮痛効果と服用中の胃部不快感についてアンケート調査を行った。
鎮痛効果の評点は、「0:無効、1:やや有効、2:有効、3:著効」とし、モニター者の評価の総合得点を各処方の鎮痛効果とした。また、胃部不快感の評点は、「0:なかった、1:ときどきあった、2:あった」とし、モニター者の評価の総合得点を各処方の胃部不快感度数とした。
Figure 0005959393
この結果は実験例1の結果を裏付けるものであり、ヒトに対しても、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬に、制酸剤に加えてシャクヤクエキスを、制酸剤1重量部に対して2重量部以上の割合で併用することで、フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬の胃粘膜障害が顕著に軽減されることが確認された。
(処方例)
表4および5に示される処方の医薬組成物を製造した。表中に記載される各成分の重量は一日あたりの投与量に相当する。
(処方例1〜10)
表4の記載に従って各成分を秤り取り、日本薬局方製剤総則「錠剤」の項に準じて錠剤(9錠(1日3回、1回3錠))を製造した。
Figure 0005959393
(処方例11〜20)
表5の記載に従って各成分を秤り取り、日本薬局方製剤総則「顆粒剤」の項に準じて顆粒剤(3包(1日3回、1回1包))を製造した。
Figure 0005959393

Claims (5)

  1. フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬、シャクヤクエキス、及び制酸剤を含有する医薬組成物であって、
    制酸剤1重量部に対して、シャクヤクエキスを少なくとも2重量部(乾燥物換算)の割合で含有することを特徴とする、医薬組成物。
  2. フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬1重量部に対して、制酸剤を少なくとも0.2重量部の割合で含有する請求項1に記載する医薬組成物。
  3. 制酸剤が水酸化アルミニウムゲル、アルミニウムグリシネート、酸化マグネシウム、酸化マグネシウム及びメタケイ酸アルミン酸マグネシウムよりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1又は2に記載の医薬組成物。
  4. フェニルプロピオン酸系消炎鎮痛薬がイブプロフェンである、請求項1乃至3のいずれかに記載する医薬組成物。
  5. 解熱鎮痛消炎薬である、請求項1乃至4のいずれかに記載する医薬組成物。
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