JP2008056701A - イブプロフェン含有医薬製剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、イブプロフェンの鎮痛効果の増強および胃腸障害の軽減の両者を満足するために、イブプロフェンとアセトアミノフェンとを好ましい比率で配合させた製剤を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、デンプン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有し、薬効成分として、イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.60重量部、より好ましくは0.40〜0.50重量部配合することにより、イブプロフェンの鎮痛効果の増強と胃腸障害の軽減の両者を満足する医薬製剤の提供を可能とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、デンプン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有し、薬効成分として、イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.60重量部、より好ましくは0.40〜0.50重量部配合することにより、イブプロフェンの鎮痛効果の増強と胃腸障害の軽減の両者を満足する医薬製剤の提供を可能とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、イブプロフェン(ibuprofen)を含有する新規な医薬製剤に関する。
イブプロフェンは、解熱、鎮痛、抗炎症作用を有し、現在、世界中で使われている非ステロイド性解熱鎮痛剤であるが、鎮痛効果が比較的マイルドであることおよび胃部不快感、胃痛などの副作用を発生しやすいことから、イブプロフェンの鎮痛効果自体の増強を図る目的で、または、その胃腸障害を軽減する目的で、種々の薬効成分との配合が試みられている。
例えば、イブプロフェンとブセチンなどのアニリン誘導体系解熱鎮痛剤の配合剤(特公昭64−8602号公報(特許文献1))、イブプロフェンと鎮痛量に満たない量のアセトアミノフェンを組み合わせた薬学組成物(特開昭59−104315号公報(特許文献2))、イブプロフェンとカフェイン含有の薬学的組成物(特公平1−24131号公報(特許文献3))、イブプロフェン、アセトアミノフェンおよびマグネシウム系制酸剤の配合剤(特開平5−148139号公報(特許文献4))およびイブプロフェンとトラネキサム酸の配合剤(特開平9−48728号公報(特許文献5))が提案されている。
一方、アセトアミノフェンは、安全性の高い解熱鎮痛剤として広く用いられており、上記従来技術に挙げたようにイブプロフェンとの配合も試みられている。しかし、イブプロフェンの鎮痛効果の増強および胃腸障害の軽減の両者を満足するために、イブプロフェンとアセトアミノフェンのみを薬効成分として含有し、両者を好ましい比率で配合させた製剤と言えるものはまだ見出されていない。
特公昭64−8602号公報
特開昭59−104315号公報
特公平1−24131号公報
特開平5−148139号公報
特開平9−48728号公報
本発明の課題は、イブプロフェンの鎮痛効果の増強および胃腸障害の軽減の両者を満足するために、イブプロフェンとアセトアミノフェンのみを薬効成分として含有し、両者を好ましい比率で配合させた製剤を提供することにある。
本発明者らは、イブプロフェンとアセトアミノフェンの配合について種々検討を加えた結果、両者を特定の比率で配合することにより、イブプロフェンの鎮痛効果の増強と同時に胃腸障害の軽減が達成できることを見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成した。
すなわち、本発明の医薬製剤は、デンプン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有し、薬効成分として、イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.60重量部配合した医薬製剤である。医薬製剤は、イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.50重量部配合してもよい。前記医薬製剤は、錠剤、顆粒剤、硬カプセル剤、又は軟カプセル剤であってもよい。
本発明は、イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.60重量部、より好ましくは0.40〜0.50重量部配合することにより、薬効成分として、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンのみを含有し、イブプロフェンの鎮痛効果の増強と胃腸障害の軽減の両者を満足する医薬製剤の提供を可能とする。
本発明の具体的な実施態様としては、
1)薬効成分として、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンのみを含有し、イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.60重量部配合した医薬製剤;および
2)アセトアミノフェンを0.40〜0.50重量部配合した上記1)記載の医薬製剤などが挙げられる。
1)薬効成分として、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンのみを含有し、イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.60重量部配合した医薬製剤;および
2)アセトアミノフェンを0.40〜0.50重量部配合した上記1)記載の医薬製剤などが挙げられる。
上記における薬効成分とは、医薬品に含有される有効成分を意味し、当該有効成分の具体的な物質としては、例えば、1997年10月版医療薬日本医薬品集(薬業時報社発行)の五十音索引またはアルファベット索引に収載されている物質が挙げられる。本発明の医薬製剤においては、薬効成分として、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンのみを含有する。
上記におけるイブプロフェンとは、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸の化学名を有する物質で、「第13改正日本薬局方」(以下「局方」という)等に収載されている薬効成分である。
上記におけるアセトアミノフェンとは、N−(4−ヒドロキシフェニル)アセタミドの化学名を有する物質で、局方等に収載されている薬効成分である。
本発明の医薬製剤においては、薬効成分として、イブプロフェンおよびアセトアミノフェンのみを含有し、両者の比率は、イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.60重量部配合したものが好ましく、アセトアミノフェンを0.40〜0.50重量部配合したものがさらに好ましい。イブプロフェンとアセトアミノフェンを当該比率で配合することにより、イブプロフェンの鎮痛効果の増強と同時に胃腸障害の軽減が達成できる。
上記における医薬製剤とは、錠剤、顆粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤および経口用懸濁剤など経口投与に適した固形製剤および液剤を意味する。
本発明の医薬製剤は、上記したイブプロフェンおよびアセトアミノフェンのほかに、上記医薬製剤に適した製剤添加物を含有することができる。当該製剤添加物とは、上記医薬製剤で挙げた剤型の医薬品を製造する上で通常使用される添加剤をいい、例えば、局方および「医薬品添加物事典」(薬事日報社、1994年1月14日発行)に収載されている賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、コーティング剤などから錠剤、顆粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤および経口用懸濁剤などに適したものが選択される。
当該製剤添加物の具体的な物質としては、デンプン(コーンスターチを含む)、結晶セルロース、乳糖、白糖、ブドウ糖、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、グリセリン、ゼラチン、寒天、アラビアゴム、ヒドロキシプロピルセルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴール、ベントナイト、ヘクトライト、トラガントおよびアルギン酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明の医薬製剤は、例えば、局方に記載の錠剤、顆粒剤、散剤、硬カプセル剤、軟カプセル剤、トローチ剤、シロップ剤および経口用懸濁剤の製造法に従って製造することができる。
本発明の医薬製剤は、頭痛、歯痛、抜歯後疼痛、咽頭痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、生理痛などの鎮痛、発熱時の解熱などに対して有効である。本発明の医薬製剤は、通常一日に1〜数回に分けて経口投与されるが、本発明の医薬製剤におけるイブプロフェンの量は、イブプロフェンの投与量が、成人の場合、100〜1000mg/日、好ましくは200〜800mg/日、より好ましくは300〜600mg/日程度となるように配合するのがよい。当該イブプロフェンの投与量は、小児を含めて、患者の年齢、体重、症状により適宜増減できる。また、本発明の医薬製剤におけるアセトアミノフェンの量は、前記イブプロフェンの配合量に応じて、イブプロフェン1重量部に対して0.40〜0.60重量部、好ましくは0.40〜0.50重量部配合される。
本発明の医薬製剤は、頭痛、歯痛、抜歯後疼痛、咽頭痛、関節痛、神経痛、腰痛、筋肉痛、生理痛などの鎮痛、発熱時の解熱などに対して有効である。
以下に、試験例および実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例示に限定されない。
試験例1 酢酸ライジング法による鎮痛効果試験
<試験法>1群6〜12匹のマウスに、1%アラビアゴム溶液に用時懸濁した被験薬を、0.1ml/10g体重の割合で経口投与し、30分後に0.6%酢酸を0.1ml/10g体重の割合で腹腔内投与した。その後、20分間のライジング数を測定し、1%アラビアゴム溶液のみを投与した対照群に対する抑制率を算出し、これに基づいてED50値を求めた。ED50値は、Litchfield & Wilcoxon法によって算出し、結果を表1に示した。表1には、Gaddumの式(Pharmacology、Oxford University Press、London、1953)より算出したED50値の理論値を合わせて示した。
<試験法>1群6〜12匹のマウスに、1%アラビアゴム溶液に用時懸濁した被験薬を、0.1ml/10g体重の割合で経口投与し、30分後に0.6%酢酸を0.1ml/10g体重の割合で腹腔内投与した。その後、20分間のライジング数を測定し、1%アラビアゴム溶液のみを投与した対照群に対する抑制率を算出し、これに基づいてED50値を求めた。ED50値は、Litchfield & Wilcoxon法によって算出し、結果を表1に示した。表1には、Gaddumの式(Pharmacology、Oxford University Press、London、1953)より算出したED50値の理論値を合わせて示した。
<結果>表1より、イブプロフェン1重量部に対してアセトアミノフェンを0.43および0.50重量部配合した場合、Gaddumの理論値の約1.5〜2倍の強さの鎮痛活性が認められ、当該配合比率において、優れた鎮痛増強作用を示すことがわかる。
試験例2 胃障害抑制作用
<試験法>1群4〜6匹のラットに被験薬を経口投与し、3.5時間後に1.0%ポンタミンスカイブルー1mlを静脈内投与した。その30分後に胃を摘出し、5%ホルマリンで固定した後、大弯側に沿って開いた。各個体毎に障害(びらん)の長さの和を求めて胃障害度とした。結果を表2および表3に示した。
<試験法>1群4〜6匹のラットに被験薬を経口投与し、3.5時間後に1.0%ポンタミンスカイブルー1mlを静脈内投与した。その30分後に胃を摘出し、5%ホルマリンで固定した後、大弯側に沿って開いた。各個体毎に障害(びらん)の長さの和を求めて胃障害度とした。結果を表2および表3に示した。
<結果>表2および表3より、イブプロフェン1重量部に対してアセトアミノフェンを0.43および0.50重量部配合した場合、胃障害度はイブプロフェン単独の場合の約1/2に近く、当該配合比率において優れた胃障害抑制作用を示すことがわかる。
実施例1
錠剤1錠中の処方例(全量134mg):イブプロフェン75mg、アセトアミノフェン32.5mg、コーンスターチ16.15g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース7.00mgおよびデンプン3.35mg
上記処方について、造粒規模を6000錠(804g)に設定し、バーチカルグラニュレータで造粒する。得られた顆粒をスピドミルで整粒後、通風式箱形乾燥機で乾燥し整粒末を得、圧縮成型して錠剤を製した。
錠剤1錠中の処方例(全量134mg):イブプロフェン75mg、アセトアミノフェン32.5mg、コーンスターチ16.15g、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース7.00mgおよびデンプン3.35mg
上記処方について、造粒規模を6000錠(804g)に設定し、バーチカルグラニュレータで造粒する。得られた顆粒をスピドミルで整粒後、通風式箱形乾燥機で乾燥し整粒末を得、圧縮成型して錠剤を製した。
実施例2
カプセル剤1カプセル中の処方(全量150mg):イブプロフェン75mg、アセトアミノフェン37.5mg、コーンスターチ37.5mg
上記処方について、局方製剤総則記載の公知方法に従って、カプセル剤を製した。
カプセル剤1カプセル中の処方(全量150mg):イブプロフェン75mg、アセトアミノフェン37.5mg、コーンスターチ37.5mg
上記処方について、局方製剤総則記載の公知方法に従って、カプセル剤を製した。
実施例3
顆粒剤1包中の処方(全量440mg):イブプロフェン75mg、アセトアミノフェン32.5mg、乳糖300mg、結晶セルロース30mg、アラビアゴム2.5mg
上記処方について、局方製剤総則記載の公知方法に従って、顆粒剤を製した。
顆粒剤1包中の処方(全量440mg):イブプロフェン75mg、アセトアミノフェン32.5mg、乳糖300mg、結晶セルロース30mg、アラビアゴム2.5mg
上記処方について、局方製剤総則記載の公知方法に従って、顆粒剤を製した。
Claims (6)
- デンプン及び低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有し、薬効成分として、イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.60重量部配合した医薬製剤。
- イブプロフェン1重量部に対して、アセトアミノフェンを0.40〜0.50重量部配合した請求項1記載の医薬製剤。
- 医薬製剤が錠剤である、請求項1記載の医薬製剤。
- 医薬製剤が顆粒剤である、請求項1記載の医薬製剤。
- 医薬製剤が硬カプセル剤である、請求項1記載の医薬製剤。
- 医薬製剤が軟カプセル剤である、請求項1記載の医薬製剤。
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