JP2013023706A - 金属表面処理剤及びその処理剤で処理してなる金属材料 - Google Patents

金属表面処理剤及びその処理剤で処理してなる金属材料 Download PDF

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Abstract

【課題】ステンレス鋼からなる基材表面に樹脂フィルムをラミネートし、その後に成形加工を施した場合であっても、そのラミネートフィルムが剥離しないような高い密着性を付与し、さらに高沸雰囲気、溶剤或いは酸に曝されても安定した密着性を維持し得る表面処理皮膜を形成するための金属表面処理剤を提供する。
【解決手段】Cr(III)化合物(A)と、造膜性を有しアニオン性化合物及びノニオン性化合物の両方又は一方の有機化合物(b1)、造膜性を有する無機化合物(b2)、及び前記Cr(III)化合物(A)と結合して造膜し得る有機キレート化合物(b3)から選ばれる1種又は2種以上の化合物(B)とを含有し、前記したCr(III)化合物(A)の金属Cr換算質量をMとし、前記した化合物(B)の質量をNとしたとき、N/Mを0.005〜1の範囲内とした金属表面処理剤によって、上記課題を解決した。
【選択図】なし

Description

本発明は、ステンレス鋼からなる基材表面とラミネートフィルム又は樹脂塗膜との密着性を向上させることができる表面処理皮膜を形成するための、ラミネート下地用の金属表面処理剤、及びその処理剤で処理してなる金属材料に関する。
更に詳しくは、ステンレス鋼からなる基材表面に樹脂フィルムをラミネートし又は樹脂塗膜を形成し、その後に深絞り加工、しごき加工又はストレッチドロー加工等の厳しい成形加工を施した場合であっても、そのラミネートフィルム又は樹脂塗膜が剥離しないような高い密着性を付与することができ、更には酸や溶剤等に長時間曝されても高い密着性を維持し得る耐薬品性に優れた表面処理皮膜を形成するための、ラミネート下地用の金属表面処理剤等に関する。
ラミネート加工は、樹脂製のフィルム(以下、「樹脂フィルム」又は「ラミネートフィルム」という。)を金属材料の表面(以下、単に「金属表面」ともいう。)に加熱圧着する加工手段であって、金属表面を保護すること又は意匠性を付与することを目的とした金属材料表面の被覆方法の一つであり、様々な分野で使用されている。このラミネート加工は、樹脂組成物を溶剤中に溶解又は分散させたものを金属表面に塗布乾燥させることによって樹脂塗膜を形成する方法に比べ、乾燥時に発生する溶剤や二酸化炭素等の廃棄ガス又は温暖化ガスの発生量が少ない。そのため、環境保全の面において好ましく適用され、その用途は拡大し、例えば、アルミニウム薄板材、スチール薄板材、包装用アルミニウム箔又はステンレス箔等を素材とした食品用缶のボディー若しくは蓋材、食品用容器、又は、乾電池容器等に用いられている。
特に最近では、携帯電話、電子手帳、ノート型パソコン又はビデオカメラ等に用いられるモバイル用リチウムイオン2次電池の外装材及びタブリード材として、軽量でバリアー性の高いアルミニウム箔又はステンレス箔等の金属箔が好ましく用いられており、こうした金属箔の表面にラミネート加工が適用されている。また、電気自動車又はハイブリッド自動車の駆動エネルギーとしてリチウムイオン2次電池が検討されているが、その外装材としても、ラミネート加工した金属箔が検討されている。
こうしたラミネート加工に用いるラミネートフィルムは、直接金属材料に貼り合わせた後に加熱圧着する。そのため、樹脂組成物を塗布乾燥してなる一般的な樹脂塗膜に比べて原材料のムダを抑制できる、ピンホール(欠陥部)が少ない、及び加工性が優れる、等の利点がある。ラミネートフィルムの材料としては、一般に、ポリエチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン、ナイロン等のポリアミド系樹脂が用いられている。
ラミネートフィルムを金属材料の表面(以下、単に「金属表面」ともいう。)にラミネート加工する際、ラミネートフィルムと金属表面との密着性及び金属表面の耐食性を向上させるために、金属表面を脱脂洗浄した後、通常、リン酸クロメート等の化成処理等が施される。しかしながら、こうした化成処理は、処理後に余剰の処理液を除去するための洗浄工程が必要であり、その洗浄工程から排出される洗浄水の廃水処理にコストがかかる。特にリン酸クロメート等の化成処理等は六価クロムを含む処理液が用いられるので、近年の環境的配慮から敬遠される傾向にある。
金属表面に化成処理等の処理を施さないでラミネート加工を行うと、金属表面からラミネートフィルムが剥離したり、金属材料に腐食が生じたりするという問題がある。例えば、食品用容器又は包材においては、ラミネート加工後の容器又は包材に内容物を加えた後に殺菌を目的とした加熱処理を施すが、その加熱処理時に金属表面からラミネートフィルムが剥離することがある。また、リチウムイオン2次電池の外装材等においては、その製造工程で加工度の高い加工を受ける。リチウムイオン2次電池の電解質は、炭酸エチル又は炭酸ジエチル等の有機溶剤と、ヘキサフルオロリン酸リチウム又はテトラフルオロホウ酸リチウム等のフッ素系リチウム錯塩とが用いられる。そのため、こうした外装材が長期間使用されると、電解質である有機溶剤のみならず、大気中の水分が容器内に浸入し、これが電解質と反応してフッ化水素酸を生成し、そのフッ化水素酸がラミネートフィルムを透過して金属表面とラミネートフィルムとの剥離を発生させるとともに、金属表面を腐食するという問題がある。また、ラミネートする前に金属材料を予備加熱(200〜300℃)する場合があり、熱によって皮膜が劣化し密着性を低下させる問題がある。
こうした問題に対しては、ラミネート加工に先立って、金属表面にラミネートフィルムとの密着性を高めるための皮膜を形成する方法や処理剤等が提案されている。例えば、特許文献1では、特定量の水溶性ジルコニウム化合物と、特定構造の水溶性又は水分散性アクリル樹脂と、水溶性又は水分散性熱硬化型架橋剤とを含有する下地処理剤が提案されている。また、特許文献2では、特定量の水溶性ジルコニウム化合物及び/又は水溶性チタン化合物と、有機ホスホン酸化合物と、タンニンとからなるノンクロム金属表面処理剤が提案されている。また、特許文献3では、アミノ化フェノール重合体と、Ti及びZr等の特定の金属化合物とを含有し、pHが1.5〜6.0の範囲である金属表面処理薬剤が提案されている。また、特許文献4では、アミノ化フェノール重合体と、アクリル系重合体と、金属化合物と、更に必要に応じてリン化合物(C)とを含有する樹脂膜が提案されている。
また、3価クロム化合物を用いた6価クロムフリーの化成表面処理剤としては、例えば特許文献5では、リン酸塩と、3価のクロム化合物と、フッ素化合物と、Zn,Ni等の金属化合物とを含む化成表面処理剤が提案され、耐食性と密着性に優れたリン酸クロメート皮膜を形成できるとされている。また、特許文献6では、3価のクロム化合物と、Zr化合物及び/又はTi化合物と、硝酸塩化合物と、Al化合物と、フッ素化合物とを含む化成表面処理剤が提案され、耐食性と密着性に優れた化成処理膜を形成できるとされている。また、特許文献7では、水とフルオロメタレートアニオン成分と水溶性フッ化クロム成分とを含む金属表面被覆組成物が提案されている。
特開2002−265821号公報 特開2003−313680号公報 特開2003−138382号公報 特開2004−262143号公報 特開平7−126859号公報 特開2006−328501号公報 特表2009−536692号公報
特許文献5〜7で提案された表面処理剤は、いずれもクロムを含有する表面処理剤であり、形成された表面処理皮膜は、耐食性と耐熱性に優れるという利点がある。しかしながら、耐食性をより高めようとして皮膜中のクロム含有量を増すと、成形加工性が低下する傾向がある。特に、深絞り加工、しごき加工又はストレッチドロー加工等の厳しい成形加工を施した場合に、皮膜に剥離や亀裂が生じるおそれがあり、その結果、金属材料の耐食性が低下するおそれがある。
また、特許文献5〜7で提案された表面処理剤は、いわゆる反応型処理剤と称されるものであり、処理液中のフリーのフッ化水素が金属製基材の表面の溶解を促し、その溶解に基づく界面反応によってクロム等を含む表面処理皮膜が形成されるものである。この反応型処理剤による処理では、処理後に水洗を行うので、排水処理において、処理剤に含まれる重金属の処理にコストをかける必要もある。こうした反応型処理剤の使用は、フリーのフッ化水素等のエッチング成分によって金属製基材の表面が過度にエッチングされるおそれがあり、極薄膜の金属製基材にとっては過度のエッチングは好ましくない。また、反応型処理剤での処理は、処理後に水洗を行うので、排水処理において、処理剤に含まれる重金属の処理にコストをかける必要もある。
本発明の目的は、ステンレス鋼からなる基材表面に樹脂フィルムをラミネートし又は樹脂塗膜を形成し、その後に深絞り加工、しごき加工又はストレッチドロー加工等の厳しい成形加工を施した場合であっても、そのラミネートフィルム又は樹脂塗膜が剥離しないような高い密着性を付与し、さらに溶剤や酸に曝されても長期間にわたって安定した密着性を維持し得る表面処理皮膜を形成するための、ラミネート下地用の金属表面処理剤を提供することにある。また、本発明の他の目的は、その金属表面処理剤で処理して形成した表面処理皮膜を有する金属材料を提供することにある。
上記課題を解決するための本発明に係る金属表面処理剤は、ステンレス鋼からなる基材表面にラミネート又は樹脂塗膜下地用金属表面処理皮膜を形成するための金属表面処理剤であって、Cr(III)化合物(A)と、造膜性を有しアニオン性化合物及びノニオン性化合物の両方又は一方の有機化合物(b1)、造膜性を有する無機化合物(b2)、及び前記Cr(III)化合物(A)と結合して造膜し得る有機キレート化合物(b3)から選ばれる1種又は2種以上の化合物(B)とを含有し、前記Cr(III)化合物(A)の金属Cr換算質量をMとし、前記化合物(B)の質量をNとしたときの質量比[N/M]が0.005〜1であることを特徴とする。
この発明によれば、Cr(III)化合物(A)の金属Cr換算質量をMとし、化合物(B)の質量をNとしたときの質量比[N/M]を上記範囲内とし、金属表面処理剤中のCr(III)化合物の含有量をリッチな状態としたので、この金属表面処理剤によってステンレス鋼からなる基材表面に形成された表面処理皮膜は、耐食性と耐熱性に優れたCrリッチな表面処理皮膜となる。しかも、この金属表面処理剤は、造膜性を有する有機化合物(b1)、無機化合物(b2)及び有機キレート化合物(b3)から選ばれる1種又は2種以上の化合物(B)を含有するので、Cr(III)に対する架橋やキレート効果によってバインダー能が高くなり、成形加工性に優れ且つ密着性に優れた表面処理皮膜を形成できる。その結果、本発明に係る金属表面処理剤によれば、深絞り加工、しごき加工又はストレッチドロー加工等の厳しい成形加工を施した場合であっても、表面処理皮膜に剥離や亀裂が生じ難い高い密着性を奏し、さらに溶剤や酸に曝されても長期間にわたって安定した密着性を維持し得る表面処理皮膜を形成することができる。
本発明に係る金属表面処理剤において、前記化合物(B)を構成する前記有機化合物(b1)が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂及び天然高分子から選ばれる1種又は2種以上であり、前記無機化合物(b2)が、珪酸化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物及びリン酸塩化合物から選ばれる1種又は2種以上であり、前記有機キレート化合物(b3)が、水酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、りん酸基、アミノ基及びアミド基から選ばれる1種又は2種以上の官能基を一分子内に2個以上有する化合物である、ことが好ましい。
この発明によれば、化合物(B)を構成する有機化合物(b1)、無機化合物(b2)及び有機キレート化合物(b3)が上記した各化合物であるので、こうした化合物(B)は、Crリッチな表面処理皮膜中において、高い成形加工性と密着性をもたらすバインダー能を有する。その結果、深絞り加工、しごき加工又はストレッチドロー加工等の厳しい成形加工を施した場合であっても、表面処理皮膜に剥離や亀裂が生じ難い高い密着性を奏し、さらに溶剤や酸に曝されても長期間にわたって安定した密着性を維持し得る表面処理皮膜を形成することができる。
上記課題を解決するための本発明に係る金属材料は、上記本発明に係る金属表面処理剤をステンレス鋼からなる基材表面に塗布して形成された金属表面処理皮膜を有することを特徴とする。
本発明に係る金属表面処理剤によれば、深絞り加工、しごき加工又はストレッチドロー加工等の厳しい成形加工を施した場合であっても、表面処理皮膜に剥離や亀裂が生じ難い高い密着性を奏し、さらに溶剤や酸といった薬品に曝されても長期間にわたって安定した密着性を維持し得る表面処理皮膜を形成することができる。
なお、本発明に係る金属表面処理剤は、反応型処理剤を用いた場合のような処理後の水洗が不要となる塗布型方法で形成されるので、ステンレス鋼からなる基材表面に塗布した後、水洗することなく加熱乾燥できる。その結果、水洗に伴う排水処理が不要であり、処理コストを低減できるとともに、省スペース化が達成できるため、経済的である。
本発明に係る金属材料によれば、上記特性を有する金属表面処理皮膜をステンレス鋼からなる基材表面に有するので、その表面処理皮膜上に樹脂フィルムをラミネートし又は樹脂塗膜を形成したものは、深絞り加工、しごき加工又はストレッチドロー加工等の厳しい成形加工を施した場合であっても、そのラミネートフィルム又は樹脂塗膜が剥離し難く、且つ溶剤や酸に曝されても長期間にわたって安定した密着性を維持することができる。
本発明に係る金属表面処理剤を用いて表面処理皮膜を形成してなる金属材料の一例を示す模式的な断面図である。
以下、本発明に係る金属表面処理剤及びその処理剤で処理してなる金属材料について説明する。なお、以下の説明及び図面の形態により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
[金属表面処理剤]
本発明に係る金属表面処理剤は、図1に示すように、ステンレス鋼からなる金属製基材1(「金属基材1」ともいう。)の表面(「基材表面」ともいう。)に、ラミネート材3(樹脂フィルム又は樹脂塗膜)の下地用の金属表面処理皮膜2を形成するための処理剤である。そして、その特徴は、金属表面処理剤が、Cr(III)化合物(A)と、造膜性を有しアニオン性化合物及びノニオン性化合物の両方又は一方の有機化合物(b1)、造膜性を有する無機化合物(b2)、及び前記Cr(III)化合物(A)と結合して造膜し得る有機キレート化合物(b3)から選ばれる1種又は2種以上の化合物(B)とを含有するとともに、そのCr(III)化合物(A)の金属Cr換算質量をMとし、化合物(B)の質量をNとしたとき、質量比[N/M]を0.005〜1としたことにある。
以下、各構成要素について詳しく説明する。
(Cr(III)化合物(A))
Cr(III)化合物(A)は、6価クロムを含まない3価のクロム化合物である。このCr(III)化合物を含む金属表面処理剤で表面処理皮膜を形成すれば、金属Crが金属基材と反応して基材表面と表面処理皮膜とを強固に密着させることができる。Cr(III)化合物自体でCr化合物層を形成することができるが、さらに後述の化合物(B)を含むことにより、金属表面処理剤は優れた造膜性を示し、その結果、その金属表面処理剤で形成された表面処理皮膜は、耐水性及び耐薬品性が向上し、特に耐食性が飛躍的に向上する。
Cr(III)化合物としては、クロムの塩、錯化合物又は配位化合物を挙げることができる。具体的には、硫酸クロム、硝酸クロム、フッ化クロム、燐酸クロム、蓚酸クロム、酢酸クロム、重燐酸クロム、クロムアセチルアセトネート(Cr(C)等の3価クロム化合物を挙げることができる。また、還元剤を用いてCr(VI)から還元してCr(III)を生成させてもよい。これらの種類のなかでは、硫酸クロム、硝酸クロム、フッ化クロム、重燐酸クロムを用いることがより好ましい。
Cr(III)化合物は、Cr(III)化合物(A)の金属Cr換算質量をMとし、後述する化合物(B)の質量をNとしたとき、質量比[N/M]を0.005〜1の範囲内とするように含まれる。金属表面処理剤に含まれるCr(III)化合物の割合を上記範囲のように金属Cr換算質量でCrリッチとすることにより、上記のように、金属Crが金属基材と反応して基材表面と表面処理皮膜とを強固に密着させることができ、且つCr(III)化合物自体でCr化合物層を形成することができる。その結果、金属基材の表面と得られた表面処理皮膜との間の密着性、及び、ラミネートフィルムと得られた表面処理皮膜との間の密着性のいずれをも高めることができ、耐水性、耐薬品性及び耐食性を向上させることができる。
また、質量比[N/M]を上記範囲内とした金属表面処理剤で形成した表面処理皮膜は、その表面処理皮膜に含まれる金属Crの質量Pと、金属Crを除いた質量Qとの比(Q/P)で、およそ0.005〜1の範囲となる。このようなCrリッチな表面処理皮膜は、Crがリッチであるが故に耐食性と耐熱性に優れるとともに、Crがリッチであるにもかかわらず成形加工性と密着性に優れている。単にCrリッチな表面処理皮膜は脆いと考えられるが、本発明では、三次元ネットワーク構造が強固な表面処理皮膜が形成されており、その結果、強い加工が加わっても剥離や亀裂が起こり難いと考えられる。ここで、三次元ネットワーク構造が強固な表面処理皮膜は、造膜性を有する化合物(B)によってもたらされており、その化合物(B)のCrに対するバインダー能(架橋性)に基づいている。
N/Mが0.005未満では、形成された表面処理皮膜のQ/Pも0.005未満になり、金属Crの含有割合が相対的に著しく高くなって剥離や亀裂が生じやすくなる。N/Mが1を超えると、形成された表面処理皮膜のQ/Pも1を超えるようになり、金属Crの含有割合が相対的に小さくなって耐食性が低下する傾向となり、その結果、金属表面と得られた表面処理皮膜との間の密着性が低下して金属表面に腐食媒体が入り込んで耐食性が低下することがある。いずれの場合も、N/Mが上記範囲内から外れる場合には、特に溶剤や酸に長期に曝された場合の安定密着性を確保できないことがある。
密着性を高め、耐水性、耐薬品性及び耐食性を向上させる観点からは、N/Mが0.01〜0.5であることが好ましく、0.05〜0.25であることがより好ましい。このときの表面処理皮膜のQ/Pも、およそ0.01〜0.5の範囲が好ましく、0.05〜0.25の範囲がより好ましい。
本願において、化合物(B)の「固形分」とは、金属表面処理剤を構成する化合物(B)成分のうち、後述する溶剤等の揮発成分等を除いた固形分のことである。したがって、N/Mが0.005〜1の金属表面処理剤とは、金属表面処理剤を構成するCr(III)化合物(A)と化合物(B)との合計量(全固形分)に対して、Cr(III)化合物(A)が金属換算量で50〜99.5質量%含まれていることと同じである。なお、金属Crの質量は、理学電気工業株式会社の蛍光X線分析装置「3270E」を用い、管球:Rh、電圧−電流:50KV−50mAの条件下で測定できる。
(化合物(B))
化合物(B)は、造膜性を有する化合物であって、造膜性を有しアニオン性化合物及びノニオン性化合物の両方又は一方の有機化合物(b1)、造膜性を有する無機化合物(b2)、及び前記したCr(III)化合物(A)と結合して造膜し得る有機キレート化合物(b3)から選ばれる1種又は2種以上の化合物である。本発明に係る金属表面処理剤には、これら(b1)〜(b3)の化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物が化合物(B)として配合される。
この化合物(B)は、Cr(III)リッチとなる表面処理皮膜において、バインダー機能を担うものであり、Cr(III)に対する架橋やキレート効果によってバインダー能を高くして、Cr(III)リッチの表面処理皮膜を強加工に耐えさせる役割を有する。その結果、深絞り加工、しごき加工又はストレッチドロー加工等の厳しい成形加工を施した場合であっても、表面処理皮膜に剥離や亀裂が生じ難い高い密着性を奏し、成形加工性に優れ且つ密着性に優れた表面処理皮膜を形成できる。さらに、溶剤や酸に曝されても長期間にわたって安定した密着性を維持し得る表面処理皮膜を形成することができる。さらに、化合物(B)を含む金属表面処理剤で形成された表面処理皮膜は、造膜性が向上することでバリアー性が保持され、耐食性、耐水性、耐溶剤性及び耐薬品性が向上する。
有機化合物(b1);
有機化合物(b1)は、造膜性を有するアニオン性化合物及び造膜性を有するノニオン性化合物の両方又は一方の化合物である。アニオン性化合物は化合物中にアニオン基を有し、ノニオン性化合物は化合物中にノニオン基を有するものである。これらアニオン性化合物やノニオン性化合物は、金属表面処理剤中に安定に存在でき、所望の効果を得られるものであれば特に限定されず、水溶性又は水分散性(エマルション、ディスパーション)のいずれであっても構わない。
なお、アニオン性化合物(例えばアニオン性ウレタン樹脂やアニオン性アクリル樹脂)とは、酸価5mgKOH/g以上のものを指し、ノニオン性化合物(例えばノニオン性ウレタン樹脂やノニオン性アクリル樹脂)とは、酸価5mgKOH/g未満のものを指す。例えば、ウレタン樹脂中に酸基を導入する方法は、従来公知の方法が使用できるが、例えばジメチロールアルカン酸をグリコール成分の一部又は全部と置き換えて予めポリエーテルジオール、ポリエステルジオール又はポリエーテルエステルジオール等にカルボキシル基を導入しておくことにより、酸基を導入する方法を挙げることができる。また、アクリル樹脂中に酸基を導入する方法は、アクリル酸又はメタクリル酸を他の(メタ)アクリル酸エステルと水中で乳化重合するのが一般的である。
有機化合物(b1)としては、例えば、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂及び天然高分子から選ばれる1種又は2種以上の化合物を挙げることができる。
ウレタン樹脂としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリ(特にジ)オール、ポリカーボネートポリオール等のポリオールと、脂肪族ポリイソシアネート、脂環族イソシアネート及び/又は芳香族ポリイソシアネート化合物との縮重合物であるウレタン樹脂であって、前記ポリオールの一部としてポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリオキシエチレン鎖を有するポリオールを用いることによって得られるポリウレタン、等を挙げることができる。
このポリウレタンにおいて、ポリオキシエチレン鎖の導入割合を高くすることよって非イオン(ノニオン)で水溶化又は水分散化させることができる。また、ポリイソシアネートとポリオールとから、両端にイソシアナト基を有するウレタンプレポリマーを製造し、これにヒドロキシル基を2個有するカルボン酸又はその反応性誘導体を反応させて、両端にイソシアネート基を有する誘導体とし、次いで、トリエタノールアミン等を加えてアイオノマー(トリエタノールアミン塩)としてから、水に加えてエマルジョン又はディスパージョンとし、さらに必要に応じてジアミンを加えて鎖延長を行うことにより、アニオン性のウレタン樹脂を得ることができる。
アニオン性を有する水分散性のウレタン樹脂を製造する際に用いるカルボン酸及び反応性誘導体は、ウレタン樹脂に酸性基を導入するため、及びウレタン樹脂を水分散性にするために用いる。カルボン酸としては、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ジメチロールペンタン酸、ジメチロールヘキサン酸等のジメチロールアルカン酸を挙げることができる。また、反応性誘導体としては、酸無水物のような加水分解性エステル等を挙げることができる。このように、水分散性ウレタン樹脂を自己水分散性にし、乳化剤を使用しないか極力使用しないようにすることにより、耐久密着性、耐酸密着性を向上させることができる。
エポキシ樹脂としては、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物、ビスフェノールA若しくはビスフェノールFを骨格中の単位として有するエポキシ化合物、2個以上のグリシジル基を有するエポキシ化合物の側鎖にポリエチレングリコールを付加させたノニオン性エポキシ樹脂、ビスフェノールA若しくはビスフェノールFを骨格中の単位として有するエポキシ化合物の側鎖にポリエチレングリコールを付加させたノニオン性エポキシ樹脂、等を挙げることができる。
ビスフェノールA若しくはビスフェノールFを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂としては、エピクロルヒドリンとビスフェノールA若しくはビスフェノールFとの脱塩化水素及び付加反応の繰返しにより得られるもの、並びにグリシジル基を2個以上、好ましくは2個有するエポキシ化合物とビスフェノール(A、F)との間の付加反応の繰返しにより得られるものを挙げることができる。
エポキシ化合物の種類について詳細に例示すると、ビスフェノール(A、F)のジグリシジルエーテル、オルトフタル酸ジグリシジルエステル、イソフタル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジルエステル、p−オキシ安息香酸ジグリシジルエステル、テトラハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサハイドロフタル酸ジグリシジルエステル、コハク酸ジグリシジルエステル、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル類、トリメリット酸トリグリシジルエステル、トリグリシジルイソシアヌレート、1,4−グリシジルオキシベンゼン、ジグリシジルプロピレン尿素、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、グリセロールアルキレンオキサイド付加物のトリグリシジルエーテル、等を挙げることができる。これらはそれぞれ単独、又は併用して使用できる。
なお、ビスフェノールA若しくはビスフェノールFを骨格中の単位として有するエポキシ樹脂は、そのエポキシ樹脂が有するグリシジル基の一部又は全部がシラン変性又はリン酸変性されたエポキシ樹脂であってもよい。シラン変性の程度は、これらの変性による効果が認められる程度以上であれば特に制限はなく、周知のシランカップリング剤を用いて構わない。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン;ポリエチレン;プロピレン、エチレンとα−オレフィンの共重合体等のポリオレフィンを不飽和カルボン酸(例えばアクリル酸やメタクリル酸)で変性した変性ポリオレフィン;エチレンとアクリル酸(メタクリル酸)との共重合体;等を挙げることができる。さらに、他のエチレン性不飽和モノマーを少量、共重合させたものでもよい。水性化の手段として、ポリオレフィン系樹脂に導入したカルボン酸をアンモニアやアミン類で中和することもできる。
アクリル樹脂は、不飽和アクリルモノマーを用いて付加重合して得ることができる。アクリル樹脂は、アクリルモノマーの単独重合又は共重合体のいずれでも構わないが、表面処理剤に安定して存在し得るものであれば特に重合形態は限定しない。
アクリルモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、マレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、アクリルアミド、アクリロニトリル、ポリエチレングリコールメタクリレート、等を挙げることができる。
アクリル樹脂は、アクリル酸やメタクリル酸の酸モノマーを単独で用いてもよい。また、前記モノマーにこれら酸モノマーを組み込み、カルボン酸で水性化させたアニオン性アクリル樹脂としても構わない。
ビニル樹脂としては、ポリ酢酸ビニル及びポリ酢酸ビニルの部分若しくは完全ケン化物、ポリビニルピロリドン、等を挙げることができる。また、酢酸ビニルについては、酢酸ビニルと共重合可能な単量体を共重合したポリマーをケン化したものでもよい。さらに、重合後のポリマーに、例えばカルボン酸、スルホン酸、リン酸等のアニオン基を導入してイオン化させたものでも構わない。また、ジアセトンアクリルアミド基、アセトアセチル基、メルカプト基、シラノール基等を導入し、変性したものでもよい。
なお、酢酸ビニルと共重合可能な単量体としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸及びそのエステル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン;(メタ)アクリルスルホン酸、エチレンスルホン酸、スルホン酸マレート等のオレフィンスルホン酸;(メタ)アリルスルホン酸ソーダ、エチレンスルホン酸ソーダ、スルホン酸ソーダ(メタ)アクリレート、スルホン酸ソーダ(モノアルキルマレート)、ジスルホン酸ソーダアルキルマレート等のオレフィンスルホン酸アルカリ塩;N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミドアルキルスルホン酸アルカリ塩等のアミド基含有単量体;N−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリドン誘導体;等を挙げることができる。
フェノール樹脂としては、自己縮合性のあるメチロール基を有するレゾールを挙げることができる。
天然高分子としては、セルロース、澱粉、デキストリン、イヌリン、タンニン等の天然多糖類を挙げることができる。また、天然多糖類の構造にある水酸基やアミノ基の一部をヒドロキシプロピル化、ヒドロキシエチル化、メチル化、又はグリセリル化した誘導体であっても構わない。
以上説明した有機化合物(b1)は、それ自体が造膜性を有し、さらに官能基を有する樹脂であればCr(III)化合物との架橋性を有する。これら造膜性及び架橋性の両効果を有する有機化合物(b1)は、相乗効果によって、強加工に耐え得る表面処理皮膜の形成を担う役割をするものと考えられる。
有機化合物(b1)として、水溶性樹脂としてもの、自己乳化若しくは乳化剤によって強制乳化した水系エマルジョン又は水系ディスパージョン等の水系の架橋性樹脂としたもの、又は、水系の高分子樹脂としたもの、を挙げることができる。中でも、数平均分子量1000未満のモノマー乃至オリゴマーが皮膜形成時の熱、紫外線若しくは電子線等によって自己架橋して高分子化する架橋性樹脂、又は、他の架橋剤と反応して高分子化する架橋性樹脂、を好ましく適用できる。また、数平均分子量が1000〜1000000で、熱等によって造膜する高分子樹脂を適用することもできる。また、これら高分子樹脂は、本発明の効果を阻害しなければ、架橋反応性の官能基を有するものであってもよい。
無機化合物(b2);
無機化合物(b2)は、造膜性を有する化合物であり、例えば、珪酸化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物及びリン酸塩化合物から選ばれる1種又は2種以上の化合物である。
珪酸化合物としては、珪酸アルカリ金属塩、高分子シリカ、水分散性シリカ等を挙げることができる。例えば、珪酸アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩を挙げることができる。水分散性シリカとしては、液相から合成した液相シリカ、気相から合成した気相シリカがあり、本発明ではいずれも使用可能である。液相シリカとしては、コロイダルシリカ、鎖状シリカ、ペンダント状シリカ、板状シリカ、中空シリカ等、シリカの形態やこれらの粒子径は特に限定されない。ただし、本発明に係る金属表面処理剤によって得られる表面処理皮膜の膜厚を考慮すると、シリカの粒子径は100nm以下であることが好ましい。また、純粋な無水ケイ酸コロイドでもよいし、各種の安定化処理をしたものでもよく、表面にコーティングが施されたものでもよい。珪酸化合物は、単独で又は複数を組み合わせて使用することができる。
ジルコニウム化合物としては、Zrの炭酸塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、フッ化物、フルオロ酸(塩)、有機酸塩、有機錯化合物等を挙げることができる。具体的には、塩基性炭酸ジルコニウム、オキシ炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム(NH[Zr(CO(OH)]、酸化ジルコニウム(IV)(ジルコニア)、硝酸ジルコニウム、硝酸ジルコニルZrO(NO、硫酸ジルコニウム(IV)、硫酸ジルコニル、オキシリン酸ジルコニウム、ピロリン酸ジルコニウム、リン酸2水素ジルコニル、フッ化ジルコニウム、ヘキサフルオロジルコニウム酸HZrF、ヘキサフルオロジルコニウム酸アンモニウム[(NHZrF]、酢酸ジルコニル、ジルコニウムアセチルアセトネートZr(OC(=CH)CHCOCH等を挙げることができる。これらは無水物であってもよいし、水和物であってもよい。
チタン化合物としては、Tiの炭酸塩、酸化物、水酸化物、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、フッ化物、フルオロ酸(塩)、有機酸塩、有機錯化合物等を挙げることができる。具体的には、酸化チタン(IV)(チタニア)、硝酸チタン、硫酸チタン(III)、硫酸チタン(IV)、硫酸チタニルTiOSO、フッ化チタン(III)、フッ化チタン(IV)、ヘキサフルオロチタン酸HTiF、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム[(NHTiF]、チタンラウレート、ジイソプロポキシチタニウムビスアセトン(CTi[OCH(CH、チタニウムアセチルアセトネートTi(OC(=CH)CHCOCH等を挙げることができる。これらは無水物であってもよいし、水和物であってもよい。
リン酸塩化合物としては、リン酸塩、縮合リン酸塩等を挙げることができる。例えば、第一リン酸、第二リン酸、第三リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸等の金属塩を挙げることができる。金属の種類としては、ナトリウム、カリウム、ジルコニウム、チタン、バナジウム、マンガン、コバルト、ニッケル等を挙げることができる。
有機キレート化合物(b3);
有機キレート化合物(b3)は、前記したCr(III)化合物(A)と結合して造膜し得る化合物であり、例えば、水酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、りん酸基、アミノ基及びアミド基から選ばれる1種又は2種以上の官能基を一分子内に2個以上有する有機キレート化合物を挙げることができる。
有機キレート化合物としては、多価有機酸、有機ホスホン酸、多価アミン化合物、アミド化合物等を挙げることができる。具体的には、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、エチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、1,3−ジアミノ−2−プロパノール−N,N,N’,N’−四酢酸、アミノトリ(メチレンホスホン酸)、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミン−N,N,N’,N’−テトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミン−N,N,N’,N’’,N’’−ペンタ(メチレンホスホン酸)、2−ホスホノブタン−1,2,4−トリカルボン酸等を挙げることができる。これらの有機キレート化合物は、部分的なアルカリ金属塩又はアンモニウム塩でも構わない。
以上説明した化合物(B)は、前記したように、Cr(III)化合物(A)の金属Cr換算質量をMとし、化合物(B)の質量をNとしたとき、その質量比[N/M]が0.005〜1の範囲内となるように金属表面処理剤に含まれる。化合物(B)の質量割合を上記範囲とした金属表面処理剤は、前記した化合物(A)の説明欄でも説明したように、三次元ネットワーク構造が強固な表面処理皮膜を形成でき、その結果、強い加工が加わっても剥離や亀裂が起こり難い表面処理皮膜を形成できる。三次元ネットワーク構造が強固な表面処理皮膜は、造膜性を有する化合物(B)によってもたらされており、その化合物(B)のCrに対するバインダー能(架橋やキレート効果)に基づいている。
(溶剤)
金属表面処理剤を構成する溶剤は、水を主体とするが、皮膜の乾燥性改善等、必要に応じてアルコール系、ケトン系、又はセロソルブ系の水溶性有機溶剤の併用を妨げるものではない。
(その他の成分)
この他に、界面活性剤、消泡剤、レベリング剤、防菌防ばい剤、着色剤、及び硬化剤等、本発明の趣旨及び皮膜性能を損なわない範囲で添加し得る。また、皮膜の耐食性を向上させるため、メチロール化メラミン、カルボジイミド、及びイソシアネート等の有機架橋剤、及び、密着性向上のため、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、及びN−β−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤を、本発明の効果を損なわない範囲で添加し得る。
(金属基材)
本発明に係る金属表面処理剤の処理対象は、ステンレス鋼からなる基材である。本発明に係る金属表面処理剤は、この金属基材を被処理物としてその表面に塗布され、その表面に表面処理皮膜を形成する。ステンレス鋼からなる金属基材としては、例えば、ステンレス304、430、316L等の種類が挙げられ、形態としては薄板材や包装用箔等を挙げることができる。
以上、本発明に係る金属表面処理剤によれば、Cr(III)化合物(A)の金属Cr換算質量をMとし、化合物(B)の質量をNとしたときのN/Mを上記範囲内とし、金属表面処理剤中のCr(III)化合物の含有量をリッチな状態としたので、ステンレス鋼からなる基材表面に形成された表面処理皮膜は耐食性と耐熱性に優れたCrリッチな表面処理皮膜となる。しかも、この金属表面処理剤は造膜性を有する若しくは化合物(A)との反応によって造膜性を有する化合物(B)を有するので、Crに対するバインダー能が高く、成形加工性に優れ且つ密着性に優れた表面処理皮膜を形成できる。その結果、深絞り加工、しごき加工又はストレッチドロー加工等の厳しい成形加工を施した場合であっても、表面処理皮膜に剥離や亀裂が生じ難い高い密着性を奏し、さらに溶剤や酸に曝されても長期間にわたって安定した密着性を維持し得る表面処理皮膜を形成することができる。特に、化合物(B)で用いる造膜性を有する有機化合物(b1)がアニオン性やノニオン性を示す樹脂で成膜することによって、強酸と接触したときに溶解、膨潤し難い強固な皮膜の形成に繋がり、ひいては有機溶剤や強酸を混合したような厳しい液と長期に接触した場合でも、フィルムと高密着性を維持できる。
[金属表面処理方法]
金属表面処理剤を用いた金属表面の処理方法は、上述した本発明に係る金属表面処理剤をステンレス鋼からなる基材の表面に塗布した後、60℃〜250℃の温度で加熱乾燥して行われる。金属表面処理剤の液温は、通常、10〜50℃の範囲内である。金属表面処理剤の塗布手段は特に制限はなく、スプレー法、浸漬法、ロールコート法等が好適に用いられる。金属表面への金属表面処理剤の接触時間は、通常、0.5〜180秒程度である。
形成された表面処理皮膜は、60〜250℃の温度で加熱乾燥されるが、この温度範囲は、その範囲内で樹脂成分の種類によって任意に変化させることができる。温度範囲としては80℃〜200℃が好ましく、120℃〜200℃であることがより好ましい。
加熱乾燥の方法については特定せず、バッチ式若しくは連続式熱風循環式乾燥炉、コンベアー式熱風乾燥炉、又は、IHヒーターを用いた電磁誘導加熱炉等が適応でき、その風量と風速等は任意に設定される。
[金属材料]
本発明に係る金属材料10は、図1に示すように、基材金属1と、その表面に本発明に係る金属表面処理剤を塗布して形成された表面処理皮膜2とを有する。本願において、表面処理皮膜2が設けられていない金属材料1を「基材金属1」と呼び、その基材金属1上に表面処理皮膜2が設けられた金属材料を「金属材料10」と呼ぶことがある。なお、図1では、基材金属1の一方の表面に、表面処理皮膜2と、樹脂フィルム3又は樹脂塗膜3とを形成した例を示しているが、基材金属1の両面に、すなわち他方の表面にも表面処理皮膜2を形成し、さらに樹脂フィルム3又は樹脂塗膜3を設けてもよい。
「有する」とは、基材金属1及び表面処理皮膜2以外に他の構成を有していてもよいことを意味している。例えば、表面処理皮膜2の上にラミネートしてなる樹脂フィルム3又は塗布形成してなる樹脂塗膜3を有していてもよい。「塗布」とは、上記した塗布工程によって、基材金属1の表面に金属表面処理剤を塗ることをいう。表面処理皮膜2は、上記した本発明に係る金属表面処理剤を基材金属1に塗布して形成されるので、密着性及び耐薬品密着維持性に優れている。
基材金属1に形成された表面処理皮膜2は、既述したように、その表面処理皮膜2に含まれる金属Crの質量Pと、金属Crを除いた質量Qとの比(Q/P)で、およそ0.005〜1の範囲となる。このようなCrリッチな表面処理皮膜2は、Crがリッチであるが故に耐食性と耐熱性に優れるとともに、Crがリッチであるにもかかわらず成形加工性と密着性に優れている。なお、密着性が高く、耐水性、耐薬品性及び耐食性がより好ましい観点からは、表面処理皮膜2のQ/Pがおよそ0.01〜0.5の範囲となることが好ましい。より好ましくは0.05〜0.25である。
また、表面処理皮膜の乾燥重量は、1mg/m〜200mg/mであることが好ましく、5mg/m〜100mg/mであることがより好ましく、10mg/m〜70mg/mであることがより一層好ましい。200mg/mを超えると、強加工に耐えられなく、1mg/m未満では十分な密着性、耐薬品性、耐食性等の皮膜性能が確保できない。
金属材料10の用途としては、食品用缶のボディー若しくは蓋材、食品用容器、乾電池容器、二次電池の外装材、等に適用可能な金属材料を挙げることができるが、これらに限定されず、広い用途に応用することができる。特に最近では、携帯電話、電子手帳、ノート型パソコン又はビデオカメラ等に用いられるモバイル用リチウムイオン二次次電池の外装材、電気自動車又はハイブリッド自動車の駆動エネルギーとして用いるリチウムイオン二次電池の外装材として利用可能なステンレス鋼からなる基材金属1を被処理物とした金属材料を挙げることができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例により限定されるものではない。なお、以下において、「部」とは「質量部」のことであり、「質量%」は「重量%」と同義であり、以下では特に断らない限り単に「%」と表すこともある。「ppm」は「mg/L」と同義である。
[Cr(III)化合物(A)]
A1:硫酸クロム
A2:硝酸クロム
A3:フッ化クロム
A4:重リン酸クロム
[有機化合物(b1)]
(アニオン性ウレタン樹脂:記号b1I)
ポリエステルポリオール(アジピン酸/3−メチル−1,5−ペンタンジオール、数平均分子量1000、官能基数2、水酸基価112.2)100部、トリメチロールプロパン3部、ジメチロールプロピオン酸25部、イソホロンジイソシアネート85部をメチルエチルケトン中で反応させて、ウレタンプレポリマーを得た。これにトリエチルアミン9.4部を混合し、水に投入し、前記したウレタンプレポリマーを水に分散させ、エチレンジアミンで伸長させて、分散体を得た。メチルエチルケトンを留去して、不揮発分を30質量%含むウレタン樹脂水性分散体を得た。得られた水性分散体中に分散したカルボキシル基含有ポリウレタンで酸価は49(KOHmg/g)であり、アニオン性を示す。
(ノニオン性ウレタン樹脂:記号b1II)
ポリエステルポリオール(アジピン酸/3−メチル−1,5−ペンタンジオール、数平均分子量1000、官能基数2、水酸基価112.2)100部、トリメチロールプロパン3部、ジメチロールプロピオン酸2部、イソホロンジイソシアネート85部をメチルエチルケトン中で反応させて、ウレタンプレポリマーを得た。これにトリエチルアミン9.4部を混合し、水に投入し、前記したウレタンプレポリマーを水に分散させ、エチレンジアミンで伸長させて、分散体を得た。メチルエチルケトンを留去して、不揮発分を30質量%含むウレタン樹脂水性分散体を得た。得られた水性分散体中に分散したカルボキシル基含有ポリウレタンで酸価は4(KOHmg/g)であった。このウレタン樹脂は酸価が低く、ノニオン性を示す。
(ノニオン性エポキシ樹脂:記号b1III)
エポキシ当量1950のビスフェノールA型エポキシ樹脂680部にプロピレングリコールモノメチルエーテル132部を添加し、次いでノニオン系乳化剤(プロピレンオキサイド6モル、エチレンオキサイド8モルの共重合物)84部を添加し、均一溶液にした後、3軸ミキサーを用いて、水649部を徐々に添加して、エポキシ当量4000、固形分濃度50質量%のビスフェノール型のエポキシ樹脂エマルジョンを得た。このエポキシ樹脂エマルジョンはノニオン性を示す。
(アニオン性エポキシ樹脂:記号b1IV)
オルトリン酸85g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル140gを仕込み、エポキシ当量250のビスフェノールA型エポキシ樹脂425gを徐々に添加し、80℃で2時間反応させた。反応終了後、50℃以下で、29質量%アンモニア水溶液150gを徐々に添加し、さらに水1150gを添加して、酸価35(KOHmg/g)、固形分濃度25質量%のリン酸変性エポキシ樹脂のアンモニア中和品b1IVを得た。このエポキシ樹脂はアニオン性を示す。
(アニオン性アクリル樹脂:記号b1V)
モノマー組成として、「メタクリル酸メチル20部、ブチルアクリレート40部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート10部、スチレン10部、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレート20部」を用いた。合成方法は、反応性ノニオン乳化剤とポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(HLB17.9)とを6:4で混合した10質量%乳化剤水溶液100部に、上記のモノマーを混合し、ホモジナイザーを用いて、5000rpmで10分間乳化し、モノマー乳化液を得た。続いて、攪拌機、還流冷却器、温度計及びモノマー供給ポンプを備えた四つ口フラスコに、前記の乳化剤水溶液を150部加え、40〜50℃に保ち、過硫酸アンモニウムの5質量%水溶液(50部)、及び上記モノマー乳化液をそれぞれ滴下ロートに収め、フラスコの別の口に装着させて、約2時間かけて滴下し、温度を60℃まで昇温して約1時間攪拌した。攪拌しながら室温まで冷却し、アクリル樹脂b1Vの水分散液を得た。このアクリル樹脂はアニオン性を示す。
(ノニオン性ビニル樹脂:記号b1VI)
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物(平均分子量:50000、5質量%アセトアセチル化)を用いた。合成方法は、酢酸ビニルを重合し、90%部分ケン化し、その後、共重合体100質量%に対して5質量%アセトアセチル化した。このビニル樹脂はノニオン性を示す。
(ノニオン性ビニル樹脂:記号b1VII)
ポリビニルアルコール(平均分子量:10000)を用いた。合成方法は、酢酸ビニルを重合してポリ酢酸ビニルを得た後、完全ケン化した。このビニル樹脂はノニオン性を示す。
(アニオン性ビニル樹脂:記号b1VIII)
ビニルアルコール(80質量%)とメタクリル酸(20質量%)との共重合体(平均分子量:20000)を用いた。合成方法は、酢酸ビニルとメタクリル酸を混合し、酢酸ビニルとメタクリル酸の重合体とした。その後、酢酸ビニルを完全ケン化することでビニル樹脂b1VIIIを得た。このビニル樹脂はアニオン性を示す。
(アニオン性ポリオレフィン系樹脂:記号b1IX)
エチレン(80質量%)とアクリル酸(20質量%)の共重合体(平均分子量:100000、アンモニア中和品)を用いた。この共重合体はアニオン性を示す。
(ノニオン性天然多糖類:記号b1X)
ノニオン性を示すヒドロキシエチルセルロース(平均分子量:50000)を用いた。
(ノニオン性フェノール樹脂:記号b1XI)
メチロール基を有するレゾール樹脂(2量体)を用いた。このレゾール樹脂はノニオン性を示す。
[無機化合物(b2)]
b2I:コロイダルシリカ、平均粒子径20nm
b2II:炭酸ジルコニウムアンモニウム
b2III:チタニウムアセチルアセトネート
b2IV:トリポリリン酸
[キレート化合物(b3)]
b3I:酒石酸
b3II:アスコルビン酸
b3III:1−ヒドロキシ−エチリデン−1,1−ジホスホン酸
b3IV:1,3−ジアミノ−2−プロパノール−N,N,N’,N’−四酢酸
[金属表面処理剤]
上記したCr(III)化合物(A)と、有機化合物(b1)、無機化合物(b2)及び有機キレート化合物(b3)から選ばれる1種又は2種以上の化合物(B)とを組み合わせ、表1及び表2に示す実施例1〜32の金属表面処理剤と比較例1〜10の金属表面処理剤を準備した。
Figure 2013023706
Figure 2013023706
[実施例1〜32及び比較例1〜10]
ステンレス鋼板(SUS304、板厚0.3mm)をファインクリーナーE359(日本パーカライジング株式会社製のアルカリ脱脂剤)の3%水溶液で、65℃で1分間スプレー脱脂した後、水洗して表面を清浄した。続いて、ステンレス鋼板の表面の水分を蒸発させるために、ドライヤーで乾燥させた。脱脂洗浄したステンレス鋼板の表面に、表1及び表2に示した実施例1〜32及び比較例1〜10の金属表面処理剤をバーコート法によって塗布し、熱風循環式乾燥炉内で200℃・1分間乾燥し、ステンレス鋼板の表面に所定の膜厚の表面処理皮膜を形成した。表面処理皮膜を形成したステンレス鋼板に、ポリエステル系フィルム(膜厚16μm)を250℃で5秒間(到達板温で180℃)、面圧が50kg/cmになるようにヒートラミネートして「被覆金属板」を作製した。
[比較例11〜13]
比較例11として、市販のクロメート処理剤(AM−K702:日本パーカライジング株式会社製)を50℃でスプレー処理し、水洗して未反応の薬剤を除去し、ドライヤーで乾燥して試験片(Cr付着量は20mg/m)を得た。また、比較例12として、市販のりん酸ジルコニウム処理剤(AL−404:日本パーカライジング株式会社製)を50℃でスプレー処理し、水洗して未反応の薬剤を除去し、ドライヤーで乾燥して試験片(Zr付着量は15mg/m)を得た。また、比較例13として、脱脂のみの試験片も作製した。
樹脂フィルムをラミネートしてなる被覆金属板を、絞りしごき加工試験で深絞り加工した。直径160mmに打ち抜いた被覆金属板を絞り加工(1回目)し、直径100mmのカップを作製した。続いて、そのカップを直径75mmに再度絞り加工(2回目)し、更に直径65mmに絞り加工(3回目)し、供試材である缶を作製した。なお、1回目の絞り加工、2回目の絞り加工、3回目の絞り加工におけるしごき(薄肉化分)率は、それぞれ、5%、15%、15%であった。
[性能評価]
被覆金属板を深絞り加工した後の初期密着性、耐久密着性及び耐酸密着性を以下のようにして評価した。その結果を表3及び表4に示した。
(初期密着性)
深絞り加工した後の供試材について、初期密着性を評価した。缶が作製でき、フィルムの剥離がないものを「4点」とし、缶は作製できるがフィルムが一部剥離したものを「3点」とし、破断して缶が作製できないものを「1点」とした。また、「4点」の中で、全く剥離が見られず特に外観に優れるものを「5点」とした。
(耐久密着性)
深絞り加工した後の供試材について、加熱加圧蒸気の雰囲気下でレトルト試験を実施した。レトルト試験は、市販の滅菌装置(オートクレーブ)を用い、125℃の1時間で行った。試験後の供試材について、フィルムの剥離がないものを「4点」とし、フィルムの一部が剥離したものを「3点」とし、フィルムが全面剥離したものを「1点」とした。また、「4点」の中で、全く剥離が見られず特に外観に優れるものを「5点」とした。
(耐酸密着性)
深絞り加工した後の供試材について、5000ppmのHF水溶液中に50℃で16時間浸漬した後の密着性を評価した。フィルムの剥離がないものを「4点」とし、フィルムの一部が剥離したものを「3点」とし、フィルムが全面剥離したものを「1点」とした。また、「4点」の中で、全く剥離が見られず特に外観に優れるものを「5点」とした。
(耐電解液密着性)
深絞り加工した後の供試材を、密閉容器中に充填されたイオン交換水を1000ppm添加した電池用電解液(電解質;1M−LiPF、溶剤;エチルカーボネート:ジメチルカーボネート:ジエチルカーボネート=1:1:1(体積%))中に浸漬した後、60℃恒温槽中に7日間投入した。その後、供試材を取り出し、イオン交換中に1分間浸漬、揺動することで洗浄した後、フィルムの剥離がなく耐電解液密着性に優れるものを「4点」とし、フィルムの一部が剥離したものを「3点」とし、フィルムが全面剥離したものを「1点」とした。また、「4点」の中で、全く剥離が見られず特に外観に優れるものを「5点」とした。
Figure 2013023706
Figure 2013023706
表3及び表4に示すように、実施例1〜32の金属表面処理剤によって表面処理した金属材料は、初期密着性、耐久密着性、耐酸密着性及び耐電解液密着性のいずれも優れていた。
一方、Cr(III)化合物(A)と化合物(B)の両方を含有した成分組成でCr(III)化合物(A)の金属Cr換算質量をMとし、化合物(B)の質量をNとしたときのN/Mが高い比較例3、4、5、6、7及びCr(III)化合物のみの比較例1、化合物(B)が限りなく少ない比較例2、Cr(III)化合物の無い比較例8はいずれも密着性に劣る結果であった。特に、耐久密着性、耐酸密着性、耐電解液密着性は著しく劣っていた。また、実施例3で用いた表面処理剤No3で処理し、皮膜厚さが本発明の好ましい範囲を逸脱した比較例9、10は、同様にいずれの性能も劣っていた。
1 ステンレス鋼基材
2 表面処理皮膜
3 ラミネート材(樹脂フィルム又は樹脂塗膜)
10 金属材料

Claims (3)

  1. ステンレス鋼からなる基材表面にラミネート又は樹脂塗膜下地用金属表面処理皮膜を形成するための金属表面処理剤であって、
    Cr(III)化合物(A)と、造膜性を有しアニオン性化合物及びノニオン性化合物の両方又は一方の有機化合物(b1)、造膜性を有する無機化合物(b2)、及び前記Cr(III)化合物(A)と結合して造膜し得る有機キレート化合物(b3)から選ばれる1種又は2種以上の化合物(B)とを含有し、
    前記Cr(III)化合物(A)の金属Cr換算質量をMとし、前記化合物(B)の質量をNとしたとき、N/Mが0.005〜1であることを特徴とする金属表面処理剤。
  2. 前記有機化合物(b1)が、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、フェノール樹脂及び天然高分子から選ばれる1種又は2種以上であり、前記無機化合物(b2)が、珪酸化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物及びリン酸塩化合物から選ばれる1種又は2種以上であり、前記有機キレート化合物(b3)が、水酸基、カルボキシル基、ホスホン酸基、りん酸基、アミノ基及びアミド基から選ばれる1種又は2種以上の官能基を一分子内に2個以上有する化合物である、請求項1に記載の金属表面処理剤。
  3. 請求項1又は2に記載の金属表面処理剤をステンレス鋼からなる基材表面に塗布して形成された金属表面処理皮膜を有することを特徴とする金属材料。
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