JP2013023630A - 活性エネルギー線硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 (メタ)アクリル酸エステル類、フェノール系酸化防止剤、及び、有機ホスフィン類を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
【選択図】なし
Description
また、少なくともフェノール性水酸基を持つフェニル基を有し、そのフェノール性水酸基が結合している炭素原子に隣接する炭素原子の一方に水素原子が結合し、他方にアルキル基が結合する構造を有する酸化防止剤を含んでなる(メタ)アクリル酸及び/又はそのエステル類が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
なお、本発明において用いられる有機ホスフィン類は、リン系二次酸化防止剤であるホスファイトやホスホナイトとは、構造的にも大きく異なっており、一般的に酸化防止剤として分類されていない。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載される本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の好ましい形態である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、(メタ)アクリル酸エステル類、フェノール系酸化防止剤、及び、有機ホスフィン類をそれぞれ1種含むものであってもよいし、2種以上含むものであってもよい。また、その他の成分についても必要に応じて、1種含んでいてもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸のエステルであれば特に制限されず、マクロモノマーやプレポリマーを用いることもでき、例えば、以下のような化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の単官能(メタ)アクリレート類;
ポリアミドと(メタ)アクリル酸との反応によって得られるポリアミドポリ(メタ)アクリレート類;
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類等とカチオン重合性化合物(例えば、ビニルエーテル類、アルキレンオキサイド類、グリシジルエーテル類等)との反応によって得られる(メタ)アクリロイル基ペンダントポリマー類;
エポキシ樹脂(例えば、フェノールノボラックエポキシ樹脂、クレゾールノボラックエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、ポリブタンジエン変性エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラックエポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、アミノ基含有エポキシ樹脂等)と(メタ)アクリル酸との反応で得られるエポキシポリ(メタ)アクリレート類;
上記エポキシポリ(メタ)アクリレート類と多塩基酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等)との反応で得られるカルボン酸変性エポキシポリ(メタ)アクリレート類。
上記(メタ)アクリル酸エステル類としては、これらの中でも、単官能(メタ)アクリレート類、二官能(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート類、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類、単官能の水酸基含有(メタ)アクリレート類、多官能の水酸基含有(メタ)アクリレート類が好ましい。中でも、(メタ)アクリル酸エステル類は、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むことが特に好ましい。このように、(メタ)アクリル酸エステル類が、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むこともまた、本発明の好適な実施形態の1つである。また、(メタ)アクリル酸エステル類として、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類と、単官能(メタ)アクリレート類、二官能(メタ)アクリレート類、多官能(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類、ウレタンポリ(メタ)アクリレート類、及び、エポキシポリ(メタ)アクリレート類からなる群より選択される少なくとも1種とを併用して用いる系も好ましく、そのような形態もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。
二次酸化防止剤としてホスファイトやホスホナイトを用いた場合には、組成物の光硬化性の低下、硬化物の着色、組成物が顔料等を含む場合には顔料の色目の変化等の現象が見られる場合がある。このような現象は、ホスファイトやホスホナイトには未反応の又は分解物であるリン酸が含まれており、そのような酸の存在下では、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類が、分解したり、重合したり、組成物が顔料等を含む場合には顔料と結合したりしてしまうために起こると考えられる。これに対して、二次酸化防止剤として有機ホスフィン類を用いた場合には、上述したような現象をホスファイトやホスホナイトを用いる場合に比べて抑制することができる。このように、(メタ)アクリル酸エステル類としてビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を用いることで、二次酸化防止剤として有機ホスフィン類を用いることによる効果がより顕著に現れることとなる。これが、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物において、(メタ)アクリル酸エステル類として、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むものを用いることが好ましい理由の1つである。
上記フェノール系酸化防止剤としては、フェノール骨格を有するものであれば特に制限されず、例えば、以下のような化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
2−tert−ブチルフェノール、2,3−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジ−tert−ブチルフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2−tert−アミルフェノール、2,3−ジ−tert−アミルフェノール、2,4−ジ−tert−アミルフェノール、2,5−ジ−tert−アミルフェノール、2,6−ジ−tert−アミルフェノール、2−tert−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4,6−トリ−tert−ブチルフェノール、2,6−tert−ブチル−4−ヒドロキシメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−2−ジメチルアミノ−p−クレゾール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、スチリネートフェノール、α−トコフェノール、2−tert−ブチル−6−(3’−tert−ブチル−5’−メチル−2’−ヒドロキシベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−tert−ペンチルフェニルアクリレート、2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス(6−シクロヘキシル−4−メチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2’−エチリデン−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデンビス(2−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、4,4’−メチレン−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(6−tert−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3,5−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3,5,6−トリ−tert−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(6−tert−アミルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−アミルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3,5−ジメチル−6−tert−アミルフェノール)、4,4−ブチリデンビス(3,5,6−トリ−tert−アミルフェノール)、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−(4−ヒドロキシフェニル))プロピオネート、トリエチレングリコールビス[(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオネート、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコールビス[3−(3−tert−アミル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)]プロピオニル]ヒドラジン、2,2−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビス[2−tert−ブチル−4−メチル−6−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[2−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシヒドロ−シナモイルオキシル)エチル]イソシアヌレート、トリス(4−tert−ブチル−2,6−ジ−メチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート、トリス(3−tert−アミル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアネート、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、テトラキス[メチレン−3−(3−tert−アミル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、プロピル−3,4,5−トリヒドロキシベンゼンカルボネート、オクチル−3,4,5−トリヒドロキシベンゼンカルボネート、ドデシル−3,4,5−トリヒドロキシベンゼンカルボネート、2,2’−メチレンビス(4−m−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−エチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−プロピル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2,5,6−トリ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−アミルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(4−ヒドロキシ−5−tert−アミルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−エチル−4−ヒドロキシ−5−tert−アミルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2−プロピル−4−ヒドロキシ−5−tert−アミルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2,5−ジ−tert−アミル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシ−5−tert−アミルフェニル)ブタン、1,1,3−トリス(2,5,6−トリ−tert−アミル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−tert−アミル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピノニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸へキサデシル、3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、3−(3−tert−アミル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ヘキサデシル、3−(3−tert−アミル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸オクタデシル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3−tert−アミル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2,2′−オキサミドビス[エチル−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2′−オキサミドビス[エチル−3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]。
上記有機ホスフィン類としては、リン原子に3つの有機残基が結合した骨格を有するものであれば特に制限されない。上記有機残基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状の飽和又は不飽和炭化水素基、置換基を有していてもよい炭素数6〜10の芳香族基が挙げられる。上記置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、アルケニル基、アルコキシ基が挙げられる。
これらの中でも、炭素数2〜9の直鎖状、分岐鎖状、若しくは、環状のアルキル基又はアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜8の芳香族基が好ましい。なお、リン原子に結合する3つの上記有機残基は、全て同一であってもよいし、2つが同じであり1つだけ異なっていてもよいし、3つとも全て異なっていてもよい。
上記有機ホスフィン類としては、また、それぞれ2つの有機残基が結合したリン原子2つが、炭素数2〜10のアルキレン基を介して結合した構造を有するものであってもよい。
トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィン、トリシクロヘキシルブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリ−o−トリルホスフィン、トリ−m−トリルホスフィン、トリ−p−トリルホスフィン、トリス−4−メトキシフェニルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、p−スチリルジフェニルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、更に、ピペリジン類を含むことが好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物に、更にピペリジン類を加えることにより、硬化性を維持したまま、保存安定性、特に顔料等が添加された系での保存安定性がより向上する。
上記ピペリジン類としては、ピペリジン骨格を有するものであれば特に制限されず、例えば、以下のような化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルベンゾエート、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート、2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート、1−〔2−{3−(3,5−ジ−tブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル〕−4−{3−(3,5−ジ−tブチル−4−ヒドキロシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[{3、5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−4−メトキシベンジリデンマロネート、2,2,4,4−テトラメチル−7−オキサ−3,20−ジアザジスピロ[5.1.11.2]ヘネイコサン−21−オン、8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ[4.5]デカン−2,4−ジオン、(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)(トリデシル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジニル)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカンとの混合エステル化物、ジメチルサクシネートと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、ポリ[(6−モルホリノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上述した(メタ)アクリル酸エステル類に加えて、その他の重合性単量体を含有していてもよい。そのような重合性単量体としては、例えば、以下のような化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル等の単官能ビニルエーテル類;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、p−ヒドロキシメチルフェニルメチルビニルエーテル、2−(ヒドロキシエトキシ)エチルビニルエーテル、2−(ヒドロキシエトキシエトキシ)エチルビニルエーテル、2−(ヒドロキシエトキシエトキシエトキシ)エチルビニルエーテル等の単官能の水酸基含有ビニルエーテル類;
トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類;
ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル等の多官能の水酸基含有ビニルエーテル類;
グリシドール、3−メチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン等の単官能の水酸基含有脂環式エーテル化合物類;
ジ[1−メチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ビス{4−[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンジルエーテル等の多官能脂環式エーテル化合物類;
エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ブチレングリコールジグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキサイドジグリシジルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキサイドジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等の多官能エポキシ化合物類;
ジペンタエリスリトールペンタグリシジルエーテル、エチレンオキサイド付加ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル等の多官能の水酸基含有エポキシ化合物類;
N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の単官能(メタ)アクリルアミド類;
N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルカルバゾール等の単官能N−ビニル化合物類;
スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル等の単官能ビニル化合物類;
無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸モノメチル、フマル酸モノエチル、無水イタコン酸、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、メチレンマロン酸、メチレンマロン酸ジメチル、桂皮酸、桂皮酸メチル、クロトン酸、クロトン酸メチル等の単官能α,β−不飽和化合物類;
ジビニルベンゼン等の多官能ビニル化合物類。
上記その他の重合性単量体の含有量は、求められる物性により適宜選択すればよい。具体的には、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物中に含まれる(メタ)アクリル酸エステル類100質量部に対して、0〜300質量部が好ましい。より好ましくは、0〜200質量部であり、更に好ましくは、0〜100質量部であり、特に好ましくは、0〜50質量部であり、最も好ましくは、0〜20質量部である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、上述したフェノール系酸化防止剤及び有機ホスフィン類に加えて、重合禁止剤を含んでいてもよい。重合禁止剤としては、例えば、以下のような化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ヒドロキノン、メトキシヒドロキノン、ベンゾキノン、p−tert−ブチルカテコール、クロラニル、2−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2−tert−ブチルメトキシヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミノヒドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン、2−tert−アミルハイドロキノン、2−tert−ブチル−4−メトキシハイドロキノン、2−tert−アミル−4−メトキシハイドロキノン、2,3−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,3−ジ−tert−アミルハイドロキノン、2,3−ジ−tert−ブチル−4−メトキシハイドロキノン、2,3−ジ−tert−アミル−4−メトキシハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−メトキシハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミル−4−メトキシハイドロキノン等のキノン系重合禁止剤;
ジメチルジチオカルバミン酸銅、ジエチルジチオカルバミン酸銅、ジプロピルジチオカルバミン酸銅、ジブチルジチオカルバミン酸銅、エチレンジチオカルバミン酸銅、テトラメチレンジチオカルバミン酸銅、ペンタメチレンジチオカルバミン酸銅、ヘキサメチレンジチオカルバミン酸銅、オキシジエチレンジチオカルバミン酸銅等のジチオカルバミン酸銅系重合禁止剤;
2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシルのエステル等のN−オキシル系重合禁止剤。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、更に、光重合開始剤(光ラジカル重合開始剤)を含むことが好ましい。光重合開始剤を含有することにより、本発明の組成物を光硬化用途に有用な組成物とすることができる。このように、光重合開始剤を含有する本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を含んでなる光硬化用組成物もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。更に必要に応じて、光増感剤、光重合促進剤等を用いることも可能である。
上記光重合開始剤としては、例えば、以下のような化合物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン類;
ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−[2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル]ベンゼンメタナミニウムブロミド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロリド等のベンゾフェノン類;
2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロリド等のチオキサントン類;
2,4,6−トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、更に、染料及び/又は顔料を含むことが好ましい。活性エネルギー線硬化性組成物に染料及び/又は顔料を含めることにより、後述するインク等の着色を目的とした用途に好適に用いることが可能となる。
ここで、染料及び/又は顔料を含むとは、染料、顔料のいずれかを用いる形態、及び、染料及び顔料両方を含む形態を表している。染料、顔料は、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、62、71、108、146、154;C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106、199;C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83;C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、44、86、98、100、142;C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46、60;C.I.ダイレクトバイオレット47、48;C.I.ダイレクトブラウン109;C.I.ダイレクトグリーン59等の直接染料。
C.I.アシッドブラック2、7、24、24、26、31、52、63、112、118;C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、113、117、120、167、229、234、254;C.I.アシッドレッド1、6、8、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、317、315;C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、49、61、71;C.I.アシッドオレンジ7、19;C.I.アシッドバイオレット49等の酸性染料。
C.I.ベーシックブラック2;C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28、29;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、37;C.I.ベーシックバイオレット7、14、27;C.I.フードブラック1、2等のその他の染料。
上記有機顔料としては、トルイジンレッド、トルイジンマルーン、ハンザエロー、ベンジジンエロー、ピラゾロンレッド等の不溶性アゾ顔料、リトールレッド、ヘリオボルドー、ピグメントスカーレット、パーマネントレッド2B等の溶性アゾ顔料;アリザリン、インダントロン、チオインジゴマルーン等の建染染料からの誘導体;フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン系有機顔料;キナクリドンレッド、キナクリドンマゼンタ等のキナクリドン系有機顔料;ペリレンレッド、ペリレンスカーレット等のペリレン系有機顔料;イソインドリノンエロー、イソインドリノンオレンジ等のイソインドリノン系有機顔料;ピランスロンレッド、ピランスロンオレンジ等のピランスロン系有機顔料;チオインジゴ系有機顔料;縮合アゾ系有機顔料;ベンズイミダゾロン系有機顔料;キノフタロンエロー等のキノフタロン系有機顔料;イソインドリンエロー等のイソインドリン系有機顔料;その他の顔料として、フラバンスロンエロー、アシルアミドエロー、ニッケルアゾエロー、銅アゾメチンエロー、ペリノンオレンジ、アンスロンオレンジ、ジアンスラキノニルレッド、ジオキサジンバイオレットが好適である。
なお、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物が、染料及び顔料を含む場合には、上記染料及び/又は顔料の使用量は、染料及び顔料の合計の使用量を表すこととなる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、目的に応じて更に、その他の添加剤を含有していてもよく、例えば、無機充填剤、非反応性樹脂(例えば、アクリルポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等)、有機溶剤、可塑剤、紫外線吸収剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、帯電防止剤、分散剤、スリップ剤、表面改質剤、揺変化剤、揺変助剤等を含有させることができる。これらはそれぞれ、1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、電磁波、紫外線、可視光線、赤外線、電子線、ガンマー線等の活性エネルギ−線により硬化することができる。これらの中でも、紫外線を用いて硬化させることが特に好ましい。すなわち、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化する方法であって、活性エネルギー線硬化性組成物に紫外線を照射して硬化させる活性エネルギー線硬化性組成物の硬化方法もまた、本発明の1つである。
上記紫外線による硬化の場合、波長150〜450nmの範囲内の光を含む光源を用いることが好ましい。このような光源としては、太陽光線、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド灯、ガリウム灯、キセノン灯、カーボンアーク灯、LED灯等が好適である。これらの光源と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。この場合、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物においては光重合開始剤以外に、熱重合開始剤、熱重合促進剤等を用いることも可能である。
上記電子線による硬化は、加速電圧が、好ましくは10kV以上、より好ましくは20kV以上、更に好ましくは30kV以上、また、好ましくは500kV以下、より好ましくは300kV以下、更に好ましくは200kV以下、である電子線を用いればよい。また、電子線の照射量は、2kGy以上が好ましく、3kGy以上がより好ましく、5kGy以上が更に好ましく、また、500kGy以下が好ましく、300kGy以下がより好ましく、200kGy以下が更に好ましい。なお、必要に応じて、電子線と共に、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
上述の硬化方法により、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を光硬化させてなる硬化物は、硬化物物性に優れ、黄変がほとんど起こらず、種々の用途に好適なものである。このように、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなる硬化物もまた、本発明の1つである。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、接着剤、粘着剤、生体材料、歯科材料、光学部材、情報記録材料、光ファイバー用材料、レジスト材料、絶縁体、封止材、インク、インクジェット印刷用インク、印刷インク、スクリーン印刷インク、塗料、注型材料、化粧板、WPC、被覆材、感光性樹脂版、ドライフィルム、ライニング材、土木建築材料、パテ、補修材、床材、舗装材ゲルコート、オーバーコート、ハンドレイアップ・スプレーアップ・引抜成形・フィラメントワインディング・SMC・BMC等の成形材料等の種々の用途に用いることができる有用なものである。
これらの中でも、光学部材、情報記録材料、光ファイバー用材料、インク、インクジェット用インク、印刷インク、スクリーン印刷インク、オーバーコートに適しており、インクジェット印刷用インク、オーバーコートに特に適している。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物の用途としては、上述した中でも、インクジェット印刷用インクが特に好ましい。すなわち、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を含んでなる活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インクも本発明の1つである。
上記活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インクは、更に、着色剤を含んでなることが好ましい。着色剤としては、染料、顔料が好適であり、これらはそれぞれ1種又は2種以上を用いることができる。また、染料と顔料とを併用することもできる。
上記染料、顔料としては、上述したものと同様のものを用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インクが染料や顔料等の着色剤を含む場合には、本発明の活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インクに光(特には、紫外線)を照射する際、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク中の染料や顔料によって、光(特には、紫外線)が吸収又は隠蔽され、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インクの硬化速度が低下する場合がある。そこで、この硬化速度の低下を防止する目的で増感剤を使用することもできる。
脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、若しくは、ピペリジン等の環状アミン系化合物、O−トリルチオ尿素等の尿素系化合物、ナトリウムシエチルチオホスフェート若しくは芳香族スルフィン酸の可溶性塩等の硫黄化合物、N,N′−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物、トリ−n−ブチルホスフィン若しくはナトリウムジエチルジチオホスフェート等のリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物等。
上記増感剤の使用量としては、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク100質量%に対して、0.1質量%以上であり、また、20質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは、0.5質量%以上であり、また、15質量%以下である。
上記希釈溶剤の使用量としては、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク100質量%に対して、50質量%以下となるようにすることが好ましい。また、30質量%以下となるようにすることがより好ましい。
上記バインダーの使用量としては、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク100質量%に対して、30質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.5〜20質量%であり、最も好ましくは、1〜10質量%である。
上記フィラーの使用量としては、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク100質量%に対して、30質量%以下が好ましい。より好ましくは、2〜20質量%であり、最も好ましくは、5〜10質量%である。
上記顔料分散剤の使用量としては、顔料1質量部に対して、10質量部以上とすることが好ましく、また、200質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは、20質量部以上であり、また、100質量部以下である。
上記導電性付与剤の使用量としては、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク100質量%に対して、10質量%以下が好ましい。より好ましくは、0.05〜5質量%であり、最も好ましくは、0.5〜3質量%である。
上記紫外線吸収剤の使用量としては、活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク100質量%に対して、0.0001質量%以上であり、また、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.001質量%以上であり、また、5質量%以下である。
以降に記載する実施例及び比較例の操作は、それぞれの実施例及び比較例において、必要な回数だけ行った。
ウレタンポリアクリレートの合成
撹拌器、温度計、精留塔及びガス導入管を備え付けた1Lの四つ口フラスコに、トリレンジイソシアネート348部及びジブチル錫ジラウレート0.3部を加えて窒素気流下40℃に保ち、同温度でヒドロキシプロピルアクリレート260部を2時間かけて滴下し、次いで同温度でジプロピレングリコール141部を2時間かけて滴下し、更に同温度にて5時間反応させ、ウレタンポリアクリレートを得た。
エポキシポリアクリレートの合成
撹拌器、温度計、精留塔及びガス導入管を備え付けた1Lの四つ口フラスコに、アクリル酸144部、ビスフェノール型エポキシ樹脂(エポキシ当量:185)370部及びトリエチルアミン2.6部を加えて、空気気流下115℃まで徐々に昇温し、更に同温度にて10時間反応させ、エポキシポリアクリレートを得た。
ポリエステルアクリレートの合成
撹拌器、温度計、精留塔及びガス導入管を備え付けた1Lの四つ口フラスコに、アクリル酸108部、飽和ポリエステルポリオール樹脂(ジエチレングリコール4モルとアジピン酸3モルとを縮合した飽和オリゴエステル;酸価:3、水酸基価:150)750部、パラトルエンスルホン酸24部及びトルエン300部を加えて、空気気流下115℃で10時間共沸脱水し、内温を室温まで冷却した後、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液800部で2回、脱イオン水800部で洗浄し、90℃、1.333kPaの減圧下で5時間脱揮乾燥して、ポリエステルアクリレートを得た。
表1〜表11に示す組成物を調製し、下記に示す方法で保存安定性試験を行った。組成物の組成及び試験結果を表1〜表11に示す。
[保存安定性試験]
100mlガラス容器に組成物50mlを添加し、100℃のオーブン中にて空気雰囲気下で1440時間保存した。1440時間後にHLC−8320GPC型ゲル透過クロマトグラフィー(東ソー社製;以下「GPC」と呼ぶ)により下記測定条件で分析し、高分子量物の生成の有無を確認した。なお、表9〜表11中の「ゲル化」とは、THFに不溶の状態であったことを表している。
GPC測定条件
キャリア:テトラヒドロフラン(THF)
流速:0.6mL/min
カラム:TSKガードカラムSuperH−L、TSKgel SuperH 2000を2本、をこの順に接続
測定温度:40℃
サンプル濃度:0.5質量%THF溶液
注入量:10μL
検出:RI(示唆屈折率)及びUVにより検出
表12〜表21に示す組成物を調製し、実施例1と同様の保存安定性試験及び下記に示す方法でUV硬化性試験を行った。組成物の組成及び試験結果を表12〜表21に示す。
[UV硬化性試験]
各組成物を、ピエゾヘッドを有するプリンターにて上質紙基材上に印字後、UV照射装置(250W超高圧水銀灯)にて主波長345nmのUVを照射した。照射エネルギー0.1J/cm2ごとに印字面を指触してインクの硬化性を観察し、完全に硬化して指にインクが付着しなくなる照射エネルギー量を求め、UV硬化性を評価した。
表22〜表29に示す組成物を調製し、実施例85と同様のUV硬化性試験及び下記に示す方法で保存安定性試験を行った。組成物の組成及び試験結果を表22〜表29に示す。
[保存安定性試験]
100mlガラス容器に組成物50mlを添加し、100℃のオーブン中にて空気雰囲気下で720時間保存した。720時間後にテトラヒドロフラン(THF)をキャリアとするHLC−8120GPC型ゲル透過クロマトグラフィー(東ソー社製;以下「GPC」と呼ぶ)により分析し、高分子量物の生成の有無を確認した。なお、表28〜表29中の「ゲル化」とは、THFに不溶の状態であったことを表している。また、保存安定性の欄における「−」は、組成物の構成成分として重合体が含まれているために、ポリマー成分の生成の有無、及び、正確な量が判別できなかったことを表している。
IBOA:アクリル酸イソボルニル
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート
HDDA:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート
NPGPODA:プロポキシル化(n=2)ネオペンチルグリコールジアクリレート
TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
VEEA:アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル
UA:合成例1のウレタンポリアクリレート
EPA:合成例2のエポキシポリアクリレート
PEA:合成例3のポリエステルアクリレート
AO30:株式会社ADEKA製「アデカスタブAO-30」(物質名:1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン)
AO40:株式会社ADEKA製「アデカスタブAO-40」(物質名:4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール))
AO60:株式会社ADEKA製「アデカスタブAO-60」(物質名:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−tert−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン)
BHT:2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
TBP:トリ−n−ブチルホスフィン
TPP:トリフェニルホスフィン
LA82:株式会社ADEKA製「アデカスタブLA-82」(物質名:1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルメタクリレート)
LA87:株式会社ADEKA製「アデカスタブLA-87」(物質名:2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジルメタクリレート)
Irgacure 907:BASF社製「IRGACURE 907」(物質名:2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モリフォリノプロパン−1−オン)
Irgacure 127:BASF社製「IRGACURE 127」(物質名:2−ヒロドキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン)
Irgacure 651:BASF社製「IRGACURE 651」(物質名:2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン)
Irgacure 369:BASF社製「IRGACURE 369」(物質名:2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1)
Irgacure 819:BASF社製「IRGACURE 819」(物質名:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド)
Darocur 1173:BASF社製「DAROCURE 1173」(物質名:2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン)
Lucirin TPO:BASF社製「LUCIRIN TPO」(物質名:2,4,6−トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド)
C.I.SB3:C.I.Solvent Black 3
CB:カーボンブラック
PB821:味の素ファインテクノ株式会社製「アジスパーPB−821」(物質名:塩基性官能基含有共重合物)
Irgafos126:BASF社製「IRGAFOS 126」(物質名:3,9−ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン)
Irgafos168:BASF社製「IRGAFOS 168」(物質名:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト)
P-EPQEE:BASF社製「IRGAFOS P−EPQEE」(物質名:テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト
(メタ)アクリル酸エステル類、フェノール系酸化防止剤、及び、有機ホスフィン類を含む本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は、有機ホスフィン類の代わりに、二次酸化防止剤を用いなかったり、従来から二次酸化防止剤として用いられているホスファイトやホスホナイトを用いたりした場合に比べて、活性エネルギー線硬化性を維持したまま、保存中のポリマーの生成やゲル化が抑制され、保存安定性の向上したものとなることが実証された。特に、組成物を染料や顔料を含むものとした場合にも、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物は保存安定性に優れたものとなることが確認された。
なお、上記実施例においては、特定の(メタ)アクリル酸エステル類、フェノール系酸化防止剤、及び、有機ホスフィン類を含む活性エネルギー線硬化性組成物について評価を行った例が示されているが、本願発明の活性エネルギー線硬化性組成物が活性エネルギー線硬化性を維持したまま、保存安定性に優れたものとなるといった本願発明の効果を発揮する機構は、(メタ)アクリル酸エステル類を安定化させるために、フェノール系酸化防止剤と、有機ホスフィン類とを組み合わせて用いることとすれば全て同様であることから、上記実施例の結果から、本発明の技術的範囲全般において、また、本明細書において開示した種々の形態において、本発明が適用でき、有利な作用効果を発揮することができるといえる。
Claims (10)
- (メタ)アクリル酸エステル類、フェノール系酸化防止剤、及び、有機ホスフィン類を含むことを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に対して、フェノール系酸化防止剤を0.001〜1質量%含むことを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線硬化性組成物100質量%に対して、有機ホスフィン類を0.001〜1質量%含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記(メタ)アクリル酸エステル類は、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化性組成物は、更に、ピペリジン類を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化性組成物は、更に、光重合開始剤を含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 前記活性エネルギー線硬化性組成物は、更に、染料及び/又は顔料を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させてなることを特徴とする硬化物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物を含んでなることを特徴とする活性エネルギー線硬化型インクジェット印刷用インク。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の活性エネルギー線硬化性組成物を硬化する方法であって、
該硬化方法は、活性エネルギー線硬化性組成物に紫外線を照射して硬化させることを特徴とする活性エネルギー線硬化性組成物の硬化方法。
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