JP2022110251A - 硬化性組成物、その硬化物、およびその硬化物を有する電子部品 - Google Patents

硬化性組成物、その硬化物、およびその硬化物を有する電子部品 Download PDF

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秀之 伊藤
Hideyuki Ito
一善 米田
Kazuyoshi Yoneda
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【課題】着色していないかあるいはほぼ着色していない透明乃至半透明である硬化物を得ることができる硬化性組成物、その硬化物、およびその硬化物を有する電子部品を提供する。【解決手段】硬化性組成物は、(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(B)光重合開始剤、(C)熱硬化性成分、および(D)重合禁止剤を含有し、前記(B)光重合開始剤が、オキシムエステル系光重合開始剤を含有し、前記(D)重合禁止剤が、特定の縮合多環芳香族骨格を有する化合物のうちの少なくとも1種以上であり、50℃にて15mPa・s以下の粘度を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物、その硬化物、およびその硬化物を有する電子部品に関する。特には、本発明は、着色していないかあるいはほぼ着色していない透明乃至半透明である硬化物を得ることができる硬化性組成物、その硬化物(特には、透明保護膜)、およびその硬化物を有する電子部品に関する。
従来、電子機器などに用いられるプリント配線板においてソルダーレジストをインクジェット印刷法にて形成するために、低粘度の光硬化性組成物が使用されている。
この光硬化性組成物には、その保存時または製造時における(メタ)アクリル基などの易反応性基による粘度上昇を抑制するために、通常、重合禁止剤が配合されている。重合禁止剤としては、例えば、特許文献1には、易重合性化合物の重合を効率よく抑制することができる重合禁止剤として、下記の一般式(1):
Figure 2022110251000001
で表される化合物が開示されている。
一方、光硬化性組成物には、その硬化物であるソルダーレジストについての旧来からの製造上の便宜、性能上の理由、およびユーザーのニーズに応じて、黒色、緑色または白色などの着色剤が配合されている。近年では、デザイン性の多様化等の理由から、着色しているソルダーレジストの他に、着色していないかあるいはほぼ着色していない透明乃至半透明の保護膜に対するニーズも広がっている。
この点、特許文献1には、上記重合禁止剤がその保存時や使用時において安定に存在するために、対象物(例えば、レジスト、塗料、コーティング)の着色を引き起こすことなく効果的に重合を防止することができることが記載されている。
特開2012-111741号公報
しかしながら、特許文献1には、インクジェット印刷に適しておりかつ硬化後においても着色性が制御された透明乃至半透明である硬化物(特には、透明保護膜)を得るための組成物は具体的には開示されていない。
上記課題に鑑みてなされた本願発明の目的は、着色していないかあるいはほぼ着色していない透明乃至半透明である硬化物を得ることができる低粘度の硬化性組成物、その硬化性組成物の硬化物、およびその硬化物を有する電子部品を提供することにある。
本発明者は、鋭意検討の結果、重合禁止剤を選択するだけでは上記課題を解決することは困難であったものの、特にオキシムエステル系光重合開始剤と特定の縮合多環芳香族骨格を有する化合物のうちの少なくとも1種以上である重合禁止剤との組み合わせによって、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成したものである。
すなわち、前記の目的は、本発明による
(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物、
(B)光重合開始剤、
(C)熱硬化性成分、および
(D)重合禁止剤を含有し、
前記(B)光重合開始剤が、オキシムエステル系光重合開始剤を含有し、
前記(D)重合禁止剤が、下記一般式(1):
Figure 2022110251000002
(式中、nは1から4の整数を表し、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、グリシジル基、ヒドロキシアルキル基またはアリールオキシアルキル基を表し、OR基が複数ある場合のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。X、YおよびZは、同一であっても、異なっていてもよく、各々、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、このうち、XとYは互いに結合して飽和または不飽和の6員環を形成してもよい。)
で表される縮合多環芳香族骨格を有する化合物のうちの少なくとも1種以上であり、
50℃にて15mPa・s以下の粘度を有することを特徴とする硬化性組成物によって達成することができる。
本発明による硬化性組成物の好ましい態様によれば、前記(B)光重合開始剤が、さらにアシルホスフィン系光重合開始剤を含有する。
本発明による硬化性組成物の別の好ましい態様によれば、さらに(E)難燃剤を含有する。
本発明による硬化性組成物の更に別の好ましい態様によれば、前記(E)難燃剤の含有量が、前記(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、1~50質量部である。
本発明による硬化性組成物の更に別の好ましい態様によれば、前記(E)難燃剤が、フェノキシホスファゼンを含む。
本発明による硬化性組成物の更に別の好ましい態様によれば、前記(D)重合禁止剤の含有量が、前記(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、1質量部以下である。
本発明による硬化性組成物の更に別の好ましい態様によれば、前記(D)重合禁止剤が、1,4-ジメトキシナフタレンおよび/または1,4-ジエトキシナフタレンである。
本発明の硬化物は、上記いずれかの硬化性組成物を硬化することにより得られるものであり、本発明の電子部品はこの硬化物を含むものである。
本発明によれば、着色していないかあるいはほぼ着色していない透明乃至半透明である硬化物(特には、透明保護膜)を得ることができる低粘度の硬化性組成物、その硬化物、およびその硬化物を有する電子部品を提供することができる。
本発明の硬化性組成物は、(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物、(B)光重合開始剤、(C)熱硬化性成分、および(D)重合禁止剤を含有し、そして、その(B)光重合開始剤が、オキシムエステル系光重合開始剤を含有し、その(D)重合禁止剤が、下記一般式(1):
Figure 2022110251000003
(式中、nは1から4の整数を表し、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、グリシジル基、ヒドロキシアルキル基またはアリールオキシアルキル基を表し、OR基が複数ある場合のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。X、YおよびZは、同一であっても、異なっていてもよく、各々、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、このうち、XとYは互いに結合して飽和または不飽和の6員環を形成してもよい。)
で表される縮合多環芳香族骨格を有する化合物のうちの少なくとも1種以上であり、50℃にて15mPa・s以下の粘度を有する。このような構成成分(特には、オキシムエステル系光重合開始剤と上記一般式(1)で表される縮合多環芳香族骨格を有する化合物のうちの少なくとも1種以上である重合禁止剤との組み合わせ)を有することにより、本発明の硬化性組成物は、着色していないかあるいはほぼ着色していない透明乃至半透明の硬化物を得ることができる。
また、上記構成成分を有することにより、着色していないかあるいはほぼ着色していない透明乃至半透明の硬化物を得ることに加えて、さらに、優れた保存安定性を有する硬化性組成物を得ることもでき、そして、プリント配線板に硬化物を適用する際における加工性の優れた硬化物(例えば、優れた指触乾燥性(タック性)を有する硬化物)を得ることもできる。
上記構成成分に対して、さらに(E)難燃剤を用いることにより、硬化物の反りを抑えることもできる。
本発明の硬化性組成物は、低粘度(すなわち、50℃で15mPa・s以下の粘度)であるので、インクジェットプリンターにおける使用に適している。なお、この粘度は、JIS Z8803:2011(10)における「円すい-平板形回転粘度計による粘度測定方法」に準じて、50℃、100rpm、30秒値とし、コーン・ロータとして1°34’×R24を用いたコーンプレート型粘度計(TVE-33H、東機産業社製)にて測定した値である。
以下、本発明の硬化性組成物の構成成分を説明する。
[(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物]
(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物とは、例えば、その構造中において(メタ)アクリロイル基を一つ以上有する化合物を意味する。(メタ)アクリロイル基を有する化合物の含有量を調整することによって、硬化性組成物の粘度を低粘度(すなわち、50℃で15mPa・s以下の粘度)に調整することができる。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物についての合計量は、硬化性組成物の全質量(100質量%)に対して、好ましくは60質量%~95質量%、より好ましくは65質量%~90質量%である。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、水酸基を有しない(メタ)アクリロイル基を有する化合物、水酸基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物が挙げられる。なお、水酸基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、(C)熱硬化性成分としてブロックイソシアネート化合物を用いる場合において使用することが好ましい。
水酸基を有しない(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、例えば、α-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル、または、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレートなどのジオールのジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールにエチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの少なくとも何れか1種を付加して得たジオールのジアクリレート、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジアクリレートなどのグリコールのジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート)、ビスフェノールAのPO付加物ジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、水添ジシクロペンタジエニルジアクリレート、シクロヘキシルジアクリレートなどの環状構造を有するジアクリレート、あるいはこれらに対応するメタアクリレートモノマーなどの2官能(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールメタントリアクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリアクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリアクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、あるいはこれらのシルセスキオキサン変性物等に代表される多官能アクリレート、あるいはこれらに対応するメタアクリレートモノマー、3官能メタクリレートエステル、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)イソシアヌレートなどの多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。市販品としては、例えば、新中村化学社製のA-BPE-4(エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート);日本触媒社製のAOMA(α-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル);ダイセル・オルネクス社製のDPGDA(ジプロピレングリコールジアクリレート)が挙げられる。
水酸基を有しない(メタ)アクリロイル基を有する化合物の含有量は、他の成分の種類およびその含有量にもよるが、硬化性組成物中の(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物の全質量(100質量%)に対して、概ね、好ましくは90質量%~99質量%、より好ましくは95質量%~99質量%である。こうした範囲にすることによって、50℃にて15mPa・s以下の範囲内の粘度の硬化性組成物を得ることができる。
上記の水酸基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、光硬化段階において、水酸基を有しない(メタ)アクリロイル基を有する化合物とともに硬化し、その後の熱硬化段階において、熱硬化性成分としてのブロックイソシアネート化合物ともさらに反応して、硬化物を形成するためのものである。このように、水酸基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、最終的にイソシアネート基と反応するため、分子中に水酸基を有する構造のものであれば十分であり、その1分子当たりの水酸基数も特に問わない。但し、水酸基の数は、硬化性組成物の粘度が、インクジェットノズルからの吐出が円滑に為される程度に抑えられる程度のものであることが好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、分子量が100~600g/molである水酸基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物、例えば、2-ヒドロキシ-3-アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。水酸基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。市販品としては、例えば、三菱ケミカル社製の4-HBA(4-ヒドロキシブチルアクリレート)が挙げられる。
水酸基を有する(メタ)アクリロイル基を有する化合物の含有量は、他の成分の種類およびその含有量にもよるが、硬化性組成物中の(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物の全質量(100質量%)に対して、概ね、好ましくは1質量%~10質量%、より好ましくは1質量%~5質量%である。こうした範囲にすることによって、良好な硬化性を得ることができる。
[(B)光重合開始剤]
(B)光重合開始剤は、オキシムエステル系光重合開始剤を含有する。このオキシムエステル系光重合開始剤は、分子内に少なくとも1つのオキシムエステル基を有する化合物である。
オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-ブタンジオン、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-ペンタンジオン、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-ヘキサンジオン、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-ヘプタンジオン、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(メチルフェニルチオ)フェニル]-1,2-ブタンジオン、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(エチルフェニルチオ)フェニル]-1,2-ブタンジオン、2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(ブチルフェニルチオ)フェニル]-1,2-ブタンジオン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-メチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-プロピル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-エチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-エチル-6-(2-ブチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン、2-(ベンゾイルオキシイミノ)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1-オクタノン、2-(アセトキシイミノ)-4-(4-クロロフェニルチオ)-1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-ブタノンが挙げられる。市販品としては、例えば、BASFジャパン社製のIrgacure OXE-01(2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン);Irgacure OXE-02(1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-メチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン);Irgacure OXE-03;Irgacure OXE-04;ADEKA社製のN-1919、NCI-831、常州強力電子新材料有限公司社製のTR―PBG-304、日本化学工業所社製のTOE-04-A3が挙げられる。
また、分子内に2個のオキシムエステル基を有する光重合開始剤も好適に用いることができ、具体的には、下記一般式(I)で表されるカルバゾール構造を有するオキシムエステル化合物が挙げられる:
Figure 2022110251000004
(式中、Xは、水素原子、炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、フェニル基、フェニル基(炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換基を有していてもよい)、ナフチル基(炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換基を有していてもよい)を表し、
Y、Zはそれぞれ、水素原子、炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、ハロゲン基、フェニル基、フェニル基(炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換基を有していてもよい)、ナフチル基(炭素数1~17のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、アミノ基、炭素数1~8のアルキル基を持つアルキルアミノ基またはジアルキルアミノ基により置換基を有していてもよい)、アンスリル基、ピリジル基、ベンゾフリル基、ベンゾチエニル基を表し、
Arは、炭素数1~10のアルキレン、ビニレン、フェニレン、ビフェニレン、ピリジレン、ナフチレン、チオフェン、アントリレン、チエニレン、フリレン、2,5-ピロール-ジイル、4,4’-スチルベン-ジイル、4,2’-スチレン-ジイルを表し、nは0または1の整数である)。
特に、上記式中、X、Yが、それぞれ、メチル基またはエチル基であり、Zがメチルまたはフェニルであり、nが0であり、Arが、フェニレン、ナフチレン、チオフェンまたはチエニレンであるオキシムエステル系光重合開始剤が好ましい。
オキシムエステル系光重合開始剤の上記の具体的な化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。
オキシムエステル系光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物中の(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.01~2質量部である。
(B)光重合開始剤は、さらにアシルホスフィン系光重合開始剤を含有することができる。このアシルホスフィン系光重合開始剤を用いることによって、露光後のタック性をさらに向上させることができる。
アシルホスフィン系光重合開始剤としては、例えば、ビスアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤やモノアシルホスフィンオキシド系光重合開始剤等が挙げられる。具体的には、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-4-プロピルフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2,6-ジクロロベンゾイル)-1-ナフチルホスフィンオキシド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス-(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,5-ジメチルフェニルホスフィンオキシド、ビス-(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド、2,6-ジメトキシベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,6-ジクロロベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、エチル-2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィネート、(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-ペンチルホスフィンオキシド等が挙げられる。特に、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドが好ましい。これらは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。市販品としては、例えば、IGM ResinsB.V.社製のOmnirad TPO(ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド)が挙げられる。
アシルホスフィン系光重合開始剤の含有量は、硬化性組成物中の(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは1~10質量部、より好ましくは2~8質量部である。
[(C)熱硬化性成分]
(C)熱硬化性成分としては、当該技術分野において通常使用されるものを種々挙げることができ、例えば、ブロックイソシアネート化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物等の公知の化合物を用いることができる。そのなかでも本発明においては特に、構造中の官能基が保護基により保護された潜在性の熱硬化成分を好ましく用いることができる。そのような潜在性の熱硬化成分を用いることによって、不慮の条件による硬化性組成物内の意図しない反応を抑制してその保存安定性を高めることができるし、50℃でのインクジェット印刷性にも優れ、反応を望む際には加熱等によって容易に保護基を外すことが可能である。本発明において、潜在性とは、常温や少々の加温条件では活性を示さないが、80℃以上の高温での加熱により活性化して熱硬化性を示す性質を意味するものとする。
上記の潜在性の熱硬化性成分は、ブロックイソシアネート化合物であることが好ましい。ブロックイソシアネート化合物は、1分子内に好ましくは複数のブロック化イソシアネート基を有する化合物である。ブロック化イソシアネート基とは、イソシアネート基がブロック剤との反応により保護されて一時的に不活性化された基であり、所定温度に加熱されたときにそのブロック剤が解離してイソシアネート基が生成する。すなわち、ブロックイソシアネート化合物は、保護基(ブロック化剤)を有しているため、必要時に加熱することによって保護基が脱離し、はじめてイソシアネートとして機能するため、保存安定性に優れる点で扱いやすい。
複数のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネートまたは脂環式ポリイソシアネートが用いられる。
芳香族ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ジフェニルメタンジイソシアネート(例えば、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート)、トリレンジイソシアネート(例えば、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート)、ナフタレンジイソシアネート(例えば、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート)、キシリレンジイソシアネート(例えば、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート)、2,4-トリレンダイマー、トリジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ポリイソシアネートの具体例としては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、およびリジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ポリイソシアネートの具体例としてはビシクロヘプタントリイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、4,4-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネートが挙げられる。
ポリイソシアネート化合物としては、先に挙げられたイソシアネート化合物のアダクト体、ビューレット体およびイソシアヌレート体等が挙げられる。イソシアネート化合物のアダクト体とは、例えば、上記の各種イソシアネート化合物とグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、1,2,6-ヘキサントリオール、1,2,4-ブタントリオール、エリスリトール、ソルビトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の3官能以上の多価アルコールとを反応させて得られるアダクト型のイソシアネート化合物である。イソシアネート化合物のビューレット体とは、例えば、上記の各種イソシアネート化合物と水とを反応させて得られるビューレット型のイソシアネート化合物である。イソシアネート化合物のイソシアヌレート体とは、例えば、上記の各種イソシアネート化合物をイソシアヌレート化することによって得られるイソシアヌレート型のイソシアネート化合物である。
なお、アダクト型のイソシアネート化合物としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンとを反応させて得られる下記の式で表される構造を有するものを挙げることができる。
Figure 2022110251000005
イソシアネートブロック剤としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、クロロフェノールおよびエチルフェノール等のフェノール系ブロック剤;ε-カプロラクタム、δ-パレロラクタム、γ-ブチロラクタムおよびβ-プロピオラクタム等のラクタム系ブロック剤;アセト酢酸エチルおよびアセチルアセトン等の活性メチレン系ブロック剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アミルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルエーテル、グリコール酸メチル、グリコール酸ブチル、ジアセトンアルコール、乳酸メチルおよび乳酸エチル等のアルコール系ブロック剤;ホルムアルデヒドキシム、アセトアルドキシム、アセトキシム、メチルエチルケトキシム、ジアセチルモノオキシム、シクロヘキサンオキシム等のオキシム系ブロック剤;ブチルメルカプタン、ヘキシルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、チオフェノール、メチルチオフェノール、エチルチオフェノール等のメルカプタン系ブロック剤;酢酸アミド、ベンズアミド等の酸アミド系ブロック剤;コハク酸イミドおよびマレイン酸イミド等のイミド系ブロック剤;キシリジン、アニリン、ブチルアミン、ジブチルアミン等のアミン系ブロック剤;イミダゾール、2-エチルイミダゾール等のイミダゾール系ブロック剤;メチレンイミンおよびプロピレンイミン等のイミン系ブロック剤;ジメチルピラゾール等のピラゾール系ブロック剤等が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することもできる。市販品としては、例えば、旭化成社製のブロックイソシアネート(E402-B80)が挙げられる。
ブロックイソシアネート化合物の含有量は、硬化性組成物中の(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは5~20質量部、特に好ましくは10~15質量部である。こうした範囲にすることによって、柔軟性と硬度とのバランスが良好な硬化物を得ることができる。
[(D)重合禁止剤]
(D)重合禁止剤が、下記一般式(1):
Figure 2022110251000006
(式中、nは1から4の整数を表し、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、グリシジル基、ヒドロキシアルキル基またはアリールオキシアルキル基を表し、OR基が複数ある場合のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。X、YおよびZは、同一であっても、異なっていてもよく、各々、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、このうち、XとYは互いに結合して飽和または不飽和の6員環を形成してもよい)で表される縮合多環芳香族骨格を有する化合物のうちの少なくとも1種以上である。
上記式(1)中のnは、好ましくは1~3、より好ましくは1~2、さらにより好ましくは2である。
上記式(1)中のRは、炭素数1~12のアルキル基(具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、およびn-ドデシル基)とすることができ、このうち、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、特に好ましくは1または2のアルキル基を挙げることができる。
上記式(1)中のRは、炭素数6~12のアリール基(具体的には、例えば、トリル基、キシリル基、フェニル基、ナフチル基)とすることができ、このうち、好ましくは炭素数6~8のアリール基であってもよい。
上記式(1)中のRは、炭素数7~13のアラルキル基(具体的には、例えば、ベンジル基、α-メチルベンジル基、α,α-ジメチルベンジル基、フェネチル基)とすることができ、このうち、好ましくは7~10のアラルキル基であってもよい。
上記式(1)中のRは、炭素数2~15のアルコキシアルキル基(具体的には、例えば、上記の炭素数1~12のアルキル基における1つの水素原子が、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシキ基等の炭素数1~3のアルコキシ基で置換された基)とすることができ、このうち、好ましくは2~9、より好ましくは2~7のアルコキシアルキル基を挙げることができる。
上記式(1)中のRは、炭素数1~12のヒドロキシアルキル基(具体的には、例えば、上記の炭素数1~12のアルキル基における1つの水素原子が水酸基で置換された基)とすることができ、このうち、好ましくは1~6、より好ましくは1~4、特に好ましくは1または2のヒドロキシアルキル基を挙げることができる。
上記式(1)中のRは、炭素数7~12のアリールオキシアルキル基(具体的には、例えば、フェノキシメチル基、フェノキシエチル基、フェノキシプロピル基、およびフェノキシブチル基)とすることができ、このうち、好ましくは7~10のアリールオキシアルキル基であってもよい。
Xは、好ましくは水素原子、または好ましくは炭素数1~12、より好ましくは1~6、さらにより好ましくは1~4、特に好ましくは1または2のアルキル基である。YおよびZは、好ましくは、水素原子である。
上記式中、X、Y、Zのすべてが水素原子であり、そして、Rが上記の炭素数1~6のアルキル基であることがより好ましい。上記式中、X、Y、Zのすべてが水素原子であり、Rが上記の炭素数1~6のアルキル基であり、そして、nが2であることがさらに好ましい。1,4-ジメトキシナフタレンまたは1,4-ジエトキシナフタレンが特に好ましい。
(D)重合禁止剤の具体的な化合物としては、例えば、1,4-ジメトキシナフタレン、1,4-ジエトキシナフタレン、1,6-ジエトキシナフタレン、2,7-ジエトキシナフタレン、2,6-ジメトキシナフタレン、2-エチル-1,4-ジエトキシナフタレン、1,4-ジブトキシナフタレン、1,4-ジヘキシルオキシナフタレン、1,4-ジグリシジルオキシナフタレン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、1,4-ビス(2-ヒドロキシプロポキシ)ジエトキシナフタレン、9,10-ジブトキシアントラセン、9-ブトキシアントラセン、1,4-ジドデシルオキシナフタレン、1,4-ジフェネチルオキシナフタレンが挙げられる。
市販品としては、例えば、川崎化成工業社製のQS-40(1,4-ジエトキシナフタレン)、およびMerck社製の1,4-ジメトキシナフタレンが挙げられる。
(D)重合禁止剤の含有量は、硬化性組成物中の(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは1質量部以下、より好ましくは0.01~0.2質量部である。
[(E)難燃剤]
難燃剤は、硬化性組成物の硬化後に得られる硬化物に難燃性を付与する目的で配合され得る。難燃剤は、硬化物の塗布性、解像性または反り性などを損なうことなく、当該硬化物の難燃性を高めることが出来るものであることが好ましい。特に、本発明で用いられる(E)難燃剤は、露光後の反り性とタック性と透明性と保存安定性とをバランスよく向上させることが出来るという利点を有する。
本発明において用いられる(E)難燃剤は、シアノ基(-CN)、水酸基(-OH)およびメチル基のいずれか1種により置換されているフェノキシ基とホスファゼン構造とを有する難燃剤、具体的には、基本骨格としてヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン構造を有し、当該構造中の6個のフェノキシ基のうち、少なくとも2個がシアノ基(-CN)または水酸基(-OH)により置換されている難燃剤が好ましい。
好ましい態様としては、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン構造中のリン原子に結合する2個のフェノキシ基のうちのいずれか一方のみが1個のシアノ基(-CN)により置換され、且つこのように置換されたフェノキシ基を、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン構造全体として2個有する構造である。
また別の好ましい態様としては、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン構造中のリン原子に結合する2個のフェノキシ基がいずれも1個シアノ基(-CN)により置換され、且つこのように置換されたフェノキシ基を、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン構造全体として6個全て有する構造である。
また別の好ましい態様としては、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン構造中のリン原子に結合する2個のフェノキシ基のうちのいずれか一方のみが1個の水酸基(-OH)により置換され、且つこのように置換されたフェノキシ基を、ヘキサフェノキシシクロトリホスファゼン構造全体として3個有する構造である。
より好ましくは、本発明における(E)難燃剤は、下記構造:
Figure 2022110251000007
または
Figure 2022110251000008
または
Figure 2022110251000009
のうちいずれかの構造を有するものである。
好ましい(E)難燃剤の市販品としては、例えば、FP-300B、FP-300、SPH-100(いずれも伏見製薬社製)を挙げることができる。
(E)難燃剤の含有量は、硬化性組成物中の(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは1~50質量部、より好ましくは5~40質量部、特に好ましくは10~20質量部である。こうした範囲にすることによって、露光後の硬化物の反りを抑えることができる。
[消泡剤・レベリング剤]
消泡剤・レベリング剤としてはシリコン、変性シリコン、鉱物油、植物油、脂肪族アルコール、脂肪酸、金属石鹸、脂肪酸アミド、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル等の化合物等が用いることができ、特に、シリコン化合物、変性シリコン化合物が好ましい。市販品としては、例えば、ビックケミー・ジャパン社製のBYK-307(シリコン系添加剤)が挙げられる。
消泡剤・レベリング剤の含有量は、硬化性組成物中の(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは0.05質量部~0.5質量部である。
[酸化防止剤]
酸化防止剤(還元剤)を用いることによって、下地が銅の場合において、硬化性組成物の硬化物と下地との密着性を向上させることができる。酸化防止剤としては、例えば、アデニン、ビニルトリアジン、ジシアンジアミド、o-トリルビグアニド、メラミン等を用いることが好ましく、メラミンを用いることが特に好ましい。市販品としては、例えば、日産化学社製のメラミンが挙げられる。
酸化防止剤の含有量は、硬化性組成物中の(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、好ましくは0.5質量部~1.5質量部である。
[その他の成分]
本発明の硬化性組成物には、必要に応じて、チクソトロピー付与剤・増粘剤、カップリング剤、分散剤、重合遅延剤、イオン捕捉剤、溶剤等を含有させることができる。
[硬化物]
本発明の硬化性組成物は、インクジェット法による印刷に好適な粘度を有しているために、本発明の硬化性組成物をプリント配線板用の基板等に、直接パターンを印刷することができる。本発明の硬化性組成物は光重合開始剤を含むため、印刷直後の組成物に50mJ/cm~1000mJ/cm光照射を行うことにより組成物を光硬化させることができる。光照射は、紫外線、電子線、化学線等の活性エネルギー線の照射により行われる。
インクジェットプリンターにおける活性エネルギー線照射は、例えばプリントヘッドの側面に高圧水銀灯、メタルハライドランプ、紫外線LEDなどの光源を取り付け、プリントヘッドもしくは基材を動かすことによる走査を行うことにより行うことができる。この場合は、印刷と、活性エネルギー線照射とをほぼ同時に行なえる。
光硬化後の硬化性組成物は、公知の加熱手段、例えば、熱風炉、電気炉、赤外線誘導加熱炉等の加熱炉を用いることにより熱硬化される。加熱条件としては、150℃~170℃にて5分~120分加熱することが好ましい。
光硬化後の硬化性組成物、およびその光硬化後の硬化性組成物を熱硬化させた硬化物(本発明の硬化性組成物から得られた硬化物)は、それぞれ、着色していないかあるいはほぼ着色していない透明乃至半透明のものである。ここで、本発明における透明性(透明乃至半透明)とは、JIS K7361-1の方法により測定された場合に、全光線透過率が80%以上であるものをいう。
本発明の硬化性組成物から得られた硬化物は、柔軟性にも優れるため、例えば、フレキシブルプリント配線板に対するソルダーレジスト(絶縁性硬化膜)としても好適である。フレキシブルプリント配線板の基板としては、例えば、ガラスポリイミド、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、液晶ポリマー、ポリカーボネートなどからなるフィルム等が挙げられる。
[電子部品]
さらに、本発明は、本発明の硬化物を有する電子部品も提供する。本発明において電子部品とは、電子回路に使用する部品を意味し、プリント配線板、特にフレキシブルプリント配線板、トランジスタ、発光ダイオード、レーザーダイオード等の能動部品の他抵抗、コンデンサ、インダクタ、コネクタ等の受動部品も含まれ、本発明の硬化性組成物の硬化物は、これらの絶縁性硬化膜として好適である。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<組成物の調製>
下記の表1および表2に示す割合(単位:質量部)で各成分を配合し、これらをディゾルバーで攪拌した(室温、回転数500rpm、5分間)。その後、ビーズミル(コニカル型K-8(ビューラ社製))を用いてジルコニアビーズにて(回転数1200rpm、吐出量20%、ビーズ粒径0.65mm、充填率88%の条件で)分散を2時間行い、本発明の硬化性組成物(実施例1~9)および比較例の硬化性組成物(比較例1~4)を得た。また、これらの硬化性組成物は、下記粘度測定方法により、50℃にて15mPa・s以下の粘度を有することを確認した。
<硬化塗膜(硬化物)の形成条件>
実施例1~9および比較例1~4の各硬化性組成物を、インクジェット印刷装置CPS6151(マイクロクラフト社製)を用いて、基材としての50μmの厚さを有する透明のPET(ポリエチレンテレフタラート)上に塗布した。アレイは、KM1024iSHE(マイクロクラフト社製、塗布液滴量6pL、ノズル数2×1024個、ヘッド温度55℃)を使用した。SGHUV-UN-L042-B(マイクロクラフト社製、LED光源、波長365nm)を光源として使用し、塗布された各硬化性組成物にUV露光(500mJ/cm)を行い、光硬化させた。その後、加熱装置として熱風循環式乾燥炉DF610(ヤマト科学株式会社製)を使用し、光硬化後の硬化性組成物を120℃で60分間の熱硬化(本硬化)を行うことにより、硬化塗膜を形成した。
<指触乾燥性(タック性)>
実施例1~9および比較例1~4の各硬化性組成物について、上記の<硬化塗膜(硬化物)の形成条件>に従って得られた光硬化後の硬化性組成物に対して指触乾燥性の評価を行った。評価基準は以下の通りである。
〇:べたつきが無い
×:べたつきがある
<反り>
実施例1~9および比較例1~4の各硬化性組成物について、上記の<硬化塗膜(硬化物)の形成条件>に従って得られた熱硬化後の硬化塗膜に対して反りの評価を行った。この反りの評価は、具体的には、熱硬化後のPET(基材)上に形成された硬化塗膜を5cm角に切り出して、その硬化塗膜を台上に載置し、その台上を基準として四隅それぞれの高さを測定して、その合計を反りの高さとした。
<着色比較>
実施例1~9および比較例1~4の各硬化性組成物について、上記の<硬化塗膜(硬化物)の形成条件>に従って得られた熱硬化後の硬化塗膜(硬化物)に対して着色比較の評価を行った。この着色比較の評価は、具体的には、熱硬化後の硬化塗膜の着色度合いと基材としての透明PETの着色度合いとを目視(具体的には1人での目視)で比較することによって行った。評価基準は以下の通りである。なお、実施例1~9および比較例1~4は、いずれも、JIS K7361-1の方法により測定された全光線透過率が80%以上であった。
+ :硬化塗膜の着色度合いとPETの着色度合いとが同等である
++ :硬化塗膜の方がやや着色している
+++:硬化塗膜の方が明らかに着色している
<粘度変化率>
実施例1~9および比較例1~4の各硬化性組成物について、粘度変化率[50℃で2週間密閉保管した後の硬化性組成物の粘度/密閉保管する前の硬化性組成物の粘度(初期粘度)]を評価した。なお、粘度測定は、50℃、100rpm、30秒値とし、コーン・ロータとして1°34’×R24を用いたコーンプレート型粘度計(TVE-33H、東機産業社製)にて測定した。
Figure 2022110251000010
Figure 2022110251000011
表1中の各成分の詳細は以下の通りである。
アダクト型BI:アダクト型ブロックイソシアネート;E402-B80(旭化成社製)(但し、室温で真空乾燥24時間して溶剤を取り除いたものを使用した);
A-BPE-4:エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学社製);
AOMA:α-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル(日本触媒社製);
DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート(ダイセル・オルネクス社製);
4-HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート(三菱ケミカル社製));
FP-300B:ホスファゼン化合物(伏見製薬所社製);
BYK-307:シリコン系添加剤(ビックケミー・ジャパン社製);
メラミン:(日産化学社製);
Omnirad(登録商標)TPO:ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(IGM Resins B.V.製);
2-ITX:2-イソプロピルチオキサントン(ARKEMA社製);
Omnirad(登録商標)1173:2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパノン(IGM Resins B.V製)
Irgacure(登録商標)OXE-02:1-(O-アセチルオキシム)-1-[9-メチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン(BASFジャパン社製);
Irgacure(登録商標)OXE-01:2-(O-ベンゾイルオキシム)-1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-1,2-オクタンジオン(BASFジャパン社製);
Irgacure(登録商標)OXE-03:オキシムエステル系光重合開始剤(具体的な化学構造はBASF社によって開示されていない)(BASFジャパン社製);
キノパワー(登録商標)QS-30:4-メトキシ-1-ナフトール(川崎化成工業社製);
キノパワー(登録商標)QS-40:1,4-ジエトキシナフタレン(川崎化成工業社製);
1,4-ジメトキシナフタレン:(Merck社製)
本発明は上記の実施の形態の構成および実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。

Claims (9)

  1. (A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物、
    (B)光重合開始剤、
    (C)熱硬化性成分、および
    (D)重合禁止剤を含有し、
    前記(B)光重合開始剤が、オキシムエステル系光重合開始剤を含有し、
    前記(D)重合禁止剤が、下記一般式(1):
    Figure 2022110251000012
    (式中、nは1から4の整数を表し、Rはアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシアルキル基、グリシジル基、ヒドロキシアルキル基またはアリールオキシアルキル基を表し、OR基が複数ある場合のRは、それぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。X、YおよびZは、同一であっても、異なっていてもよく、各々、水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、このうち、XとYは互いに結合して飽和または不飽和の6員環を形成してもよい。)
    で表される縮合多環芳香族骨格を有する化合物のうちの少なくとも1種以上であり、
    50℃にて15mPa・s以下の粘度を有することを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記(B)光重合開始剤が、さらにアシルホスフィン系光重合開始剤を含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. さらに、(E)難燃剤を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記(E)難燃剤の含有量が、前記(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、1~50質量部であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  5. 前記(E)難燃剤が、フェノキシホスファゼンを含むことを特徴とする請求項3または4に記載の硬化性組成物。
  6. 前記(D)重合禁止剤の含有量が、前記(A)(メタ)アクリロイル基を有する化合物100質量部に対して、1質量部以下であることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  7. 前記(D)重合禁止剤が、1,4-ジメトキシナフタレンおよび/または1,4-ジエトキシナフタレンであることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の硬化性組成物を硬化したことを特徴とする硬化物。
  9. 請求項8に記載の硬化物を有することを特徴とする電子部品。
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