JP2013000667A - 赤外遮蔽フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】塗布液塗布後の層間混合が少なく、ひび割れが少なく、また塗膜の均一性が高い赤外遮蔽フィルム、および赤外遮蔽フィルムを製造する方法を提供することにある。
【解決手段】基材上に2種以上の塗布液を同時重層塗布して赤外遮蔽フィルムを製造する方法において、前記2種以上の塗布液のうち少なくとも一の塗布液を増粘させる増粘工程を含み、前記少なくとも一の塗布液の液−液界面形成から、前記2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を前記基材に接触させるまで、前記少なくとも一の塗布液の粘度が10〜1,000mPa・sであり、前記増粘工程は、前記2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を前記基材に接触させた後5秒以内に、前記少なくとも一の塗布液の粘度を10,000mPa・s以上にする工程である、赤外遮蔽フィルムの製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、塗布液塗布後の層間混合が少なく、ひび割れが少なく、また塗膜の均一性が高い赤外遮蔽フィルムを得るための赤外遮蔽フィルムの製造方法に関するものである。
近年、省エネルギー対策に対する関心の高まりにより、冷房設備にかかる負荷を減らす観点から、建物や車両の窓ガラスに装着させて、太陽光の熱線の透過を遮断する赤外遮蔽フィルムの要望が高まってきている。
赤外遮蔽フィルムの形成方法としては、主には、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた構成からなる積層膜を、蒸着法、スパッタ法などのドライ製膜法を用いて形成する方法が提案されている。しかし、ドライ製膜法は、形成に用いる真空装置等が大型になり、製造コストが高く、大面積化が困難であり、しかも、基材が耐熱性素材に限定される等の課題を抱えている。
上記のような課題を有しているドライ製膜法に代えて、湿式塗布法を用いて赤外遮蔽フィルムを形成する方法が知られている(例えば特許文献1参照)。
2009−86659号公報
赤外遮蔽フィルムにおいて、特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で良い反射率が得られる。この屈折率差を設計どおりに出すためには、隣接する層が明確に分離することが重要である。しかしながら、上記特許文献1のような湿式塗布方法では、隣接する二層間において塗布液同士の層間混合が起こり、屈折率差を大きくすることが困難であった。また、かような層間混合に起因して、膜厚が不均一になったりする場合があり、さらには、設計した屈折率差を出すために積層数を重ねると層にひび割れが生ずる場合があった。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、塗布液塗布後の層間混合が少なく、ひび割れが少なく、また塗膜の均一性が高い赤外遮蔽フィルムを製造する方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.基材上に2種以上の塗布液を同時重層塗布して赤外遮蔽フィルムを製造する方法において、前記2種以上の塗布液のうち少なくとも一の塗布液を増粘させる増粘工程を含み、前記少なくとも一の塗布液の液−液界面形成から、前記2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を前記基材に接触させるまで、前記少なくとも一の塗布液の粘度が10〜1,000mPa・sであり、前記増粘工程は、前記2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を前記基材に接触させた後5秒以内に、前記少なくとも一の塗布液の粘度を10,000mPa・s以上にする工程である、赤外遮蔽フィルムの製造方法。
2.隣接する層を形成するために用いられる塗布液の少なくとも一方が、前記増粘工程において粘度10,000mPa・s以上となる塗布液である、1.に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
3.前記増粘工程は、冷却または加熱乾燥のいずれかの手段による、1.または2.に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
4.前記増粘工程において粘度10,000mPa・s以上となる塗布液が、ゼラチン、ポリビニルアルコール類および増粘多糖類からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性高分子を含む、1.〜3.のいずれか1に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
5.前記1.〜4.の製造方法により得られた赤外遮蔽フィルムであって、各層の乾燥膜厚が0.05〜0.3μmである、赤外遮蔽フィルム。
6.5.に記載赤外遮蔽フィルムが基体の少なくとも一方の面に設けられた赤外反射体。
本発明により、塗布液塗布後の層間混合が少なく、ひび割れが少なく、また塗膜の均一性が高い赤外遮蔽フィルム、および該赤外遮蔽フィルムを設けた赤外反射体を提供することができる。
同時重層塗布用スライド型コータを使用したスライドビード塗布方式の概略図である。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、層の一部の塗布液が短時間で高粘度化することにより、粒子等の層間移動が妨げられ、隣接する塗布液との間で塗布液同士の混合(層間混合)が抑制される。このため、各屈折率層が分離し、設計した屈折率差を適切に得ることができる。また隣接する層間の屈折率差を大きくすることができるため、従来と比較し、必要積層数を少なくすることができ、得られたフィルムのひび割れを低減することができる。さらに、層間混合が抑制されることにより、膜ムラが低減し、均一な塗膜を得ることができる。
隣接する層を形成するために用いられる2つの塗布液の少なくとも一方が、増粘工程において増粘する塗布液(以下、「増粘塗布液」とも称する)であることが好ましい。換言すれば、積層数が3層以上の場合には、少なくとも一つおきに増粘する塗布液が存在することが好ましい。ここで、「隣接する層を形成するために用いられる2つの塗布液の少なくとも一方が、増粘工程において増粘する塗布液」とは、構成する層のどの隣接する2つの層に着目した場合にも、少なくとも一方が増粘塗布液であることを意味する。増粘する塗布液をかように配置することで、隣接する層との層間混合がより抑制される。これは、例えば、増粘する塗布液に挟まれるように粘度が低い塗布液が存在したとしても、両隣の塗布液が短時間で固化するため、隣接する層の塗布液とは混合しにくいためである。「隣接する層を形成するために用いられる2つの塗布液の少なくとも一方が増粘する塗布液である形態」には、隣接する層を形成するために用いられる2つの塗布液の一方が増粘する塗布液である場合と、双方の塗布液が増粘する塗布液である場合がある。特に好ましい実施形態は、フィルムを形成するために用いられる塗布液の全てが増粘工程において増粘する塗布液である。
[同時重層塗布]
本発明においては、2種以上の塗布液を同時重層塗布する。同時重層塗布とは、異なる層を構成する複数の塗布液を、塗布工程の段階から同時に塗布装置に供給することで形成させる方法を意味する。したがって、複数回にわけて逐次に湿式塗布する方法、すなわちウェットオンウェット法で重層塗布し、しかる後に乾燥を同時に行う逐次重層塗布方法とは異なる。赤外遮蔽フィルムでは、所望の屈折率差を出すために、ある程度層数が必要となるが、生産効率性などの観点から塗布回数が少ない同時重層塗布がよい。
塗布方式としては、同時重層塗布を行うことができれば特に限定されない。例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報等に記載のスライドビード塗布法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。赤外遮蔽フィルムでは、多層を形成する必要があるため、カーテン塗布法またはスライドビード塗布法が好ましい。
塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、金属酸化物粒子、水溶性高分子、溶媒および必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。
[増粘工程]
増粘工程において、増粘塗布液が他の液と液−液界面を形成してから、2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を基材に接触させるまで、当該増粘塗布液の粘度は10〜1,000mPa・sである。一般的に、膜厚が均一に形成されるように塗布液を流すためには、塗布液の粘度が低い必要があるが、1,000mPa・s以下であれば、塗布を容易に行うことができる。また、液−液界面が形成されてからの層間混合を極力抑制する観点から当該増粘塗布液の粘度は10mPa・s以上であることが必要であり、10mPa・sより低粘度であると層間混合をおこす虞が非常に高い。液−液界面を形成してから基材に接触させるまでの増粘塗布液の粘度は、好ましくは10〜500mPa・sである。かような範囲であれば、塗布をより均一に行えるため好ましい。
増粘塗布液は、水溶性高分子を好適に含有し、中でもゼラチン、ポリビニルアルコール類または増粘多糖類の少なくとも1種を含むことが好ましい。これらの水溶性高分子は、増粘性が高く、短時間で塗布液を高粘度化すること、および透明性が高いことから好適に用いることができる。ゼラチン類、ポリビニルアルコール類および増粘多糖類については、後述のバインダーの欄で詳述する。
ゼラチン類、ポリビニルアルコール類または多糖類の含有量は、増粘性の観点から増粘塗布液全質量に対して固形分濃度で0.5〜50.0質量%であることが好ましく、1.0〜30.0質量%であることがより好ましい。増粘塗布液が金属酸化物を含む場合、金属酸化物とゼラチン類、ポリビニルアルコール類および/または多糖類との増粘塗布液中の含有質量比は、特に限定されるものではないが、金属酸化物:ゼラチン類、ポリビニルアルコール類および/または多糖類(固形分濃度)=1:0.1〜1:20(質量比)であることが好ましく、1:1〜1:10であることがより好ましい。
本発明において、液−液界面形成とは、用いられる塗布液の一つに着目した場合、当該塗布液が、隣接する塗布液と初めて接触した時点を言う。
具体的に、下記同時重層用スライド型コータを用いて説明する。
図1はスライド型コータを使用したスライドビード塗布方式の概略図である。図1の(a)はバックロールで塗布反対面を保持された支持体の保持部へ、スライド型コータを使用して塗布するスライドビード塗布方式の模式図である。図1の(b)は図1の(a)に示されるスライド型コータのスライド面を上面から見た模式図である。図1の(c)は図1の(a)のXで示される部分の拡大概略断面図である。
図中、1はスライド型コータを示し、2はバックロールを示し、3は連続走行する帯状支持体(基材)を示す。矢印は帯状支持体3の搬送方向を示す。101はスライド型コータを構成しているダイス(バー)を示し、本図の場合はバー101a〜101dの4本のダイスでスライド型コータ1を構成している。ダイスの数は固定されているのではなく、塗布する層の数に応じて増減することが可能である。
ダイス101aは、帯状支持体3と向き合うリップ部103を有する。102はダイス間に作られた塗布液の流出口であるスリットを示し、本図の場合はダイス101a〜101dの4本のダイスの間に作られた各スリット102a〜102cを有している。102a1〜102c1は各スリットの出口のエッジ部を示す。104は供給管403から送られてくる塗布液をスリット102より幅方向に均一に押し出すためにスリットに設けられたポケットを示す。104a〜104cは各スリット102a〜102cに設けられているポケットを示す。105は各バーの先端面で構成されたコータのスライド面を示し、本図の場合は各ダイス101a〜101dによりスライド面105a〜105dが構成されている。107a、107bはスライド面105の両端に設けられたエッジガイドを示す。塗布液供給系4の調製釜401で調製された塗布液は送液ポンプ402により供給管403を通して、各スリットに作られたポケット104に供給される。各スリットから押し出された塗布液は、エッジガイド107a、107bにより幅を規制されスライド面105を流下し、リップ部103で帯状支持体との間にビード106と称する塗布液溜まりをつくり、このビードを介してバックロール2により塗布反対面を保持され搬送される支持体3の保持部に塗布される。この様にビードを介して塗布を行うことからスライドビード塗布とも言われている。スライド面の傾斜角度は最大で30度程度である。
107cはエッジガイド107aの塗布液と接する面(以下、接液面ともいう)を示し、107dはエッジガイド107bの接液面を示す。エッジガイド107a、107bにより塗布幅の均一性が規制されるため、スライド型コータ1を使用した塗布方法ではエッジガイド107a、107bは必須の部材となっている。5aは支持体に塗布された塗布層を示す。6はビード形成を安定化するためスライド型コータの下部に設けられた減圧室を示し、601は吸引管を示す。
図1(c)において、スリット102aを流れる塗布液を塗布液A、スリット102bを流れる塗布液を塗布液B、スリット102cを流れる塗布液を塗布液Cとする。各スリット102から各塗布液はスライド面105に流出するが、塗布液Bに着目すると、スリットエッジ部102b1から流出した塗布液Bはスライド面を流下し、スリットエッジ部102a1から流出した塗布液Aとスライド面上で初めて接触する時点が存在する(図の実線囲い部分A−B)。この時点が塗布液Bと塗布液Aとの液−液界面形成時となる。塗布液Aは最下層を構成する塗布液であるため、隣接する塗布液は塗布液Bのみであることから、塗布液Aの液−液界面形成時は塗布液Bの液−液界面形成時と同時となる。塗布液Bと塗布液Cとの関係に着目するとスライド面を流下してきた塗布液Cとスリットエッジ部102b1から流出した塗布液Bがスリットエッジ部102b1(図の実線囲い部分B−C)で接触する為、この時点が塗布液Bと塗布液Cとの液−液界面形成時となる。なお、塗布液Bのように隣り合う液に挟まれた液は、上記のように2つの液−液界面を形成する為、「液−液界面形成」は2回存在することになる。上記で規定した「増粘塗布液の液−液界面形成から2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を基材に接触させるまで」において、「増粘塗布液の液−液界面形成」は、増粘塗布液がBである場合、塗布液Aとの液−液界面形成時と、塗布液Cとの液−液界面形成時の2つ存在し、液−液界面形成の時間は2つ存在することになるが、本発明では、先の液−液界面形成時、つまり塗布液Aとの液−液界面形成時から基材に接触させるまでの増粘塗布液の粘度が10〜1,000mPa・sとなることを規定する。
通常スライド塗布では、スライド面上に存在する際の膜厚は、ビード形成後(塗布液を基材に接触させた後)の膜厚よりも厚くなる為、隣接する層との層間混合の影響はビード形成後(塗布液を基材に接触させた後)の方が大きく、ビード形成後(塗布液を基材に接触させた後)の時間が支配的であることから本発明に至ったものである。
塗布液A〜Cにおいては、上記本発明の好ましい実施形態である「隣接する層を形成するために用いられる2つの塗布液の少なくとも一方が、増粘工程において増粘する塗布液である」には、以下の組み合わせが考えられる;1.塗布液Bが増粘塗布液で、塗布液AとCとが増粘しない塗布液、2.塗布液BおよびCが増粘塗布液で、塗布液Aが増粘しない塗布液、3.塗布液Aおよび塗布液Cが増粘塗布液で、塗布液Bが増粘しない塗布液、4.塗布液AおよびBが増粘塗布液で、塗布液Cが増粘しない塗布液、5、塗布液A〜Cが増粘塗布液である。よって、塗布液Cが増粘塗布液で、塗布液AおよびBが増粘しない塗布液である形態は、「隣接する層を形成するために用いられる2つの塗布液の少なくとも一方が、増粘工程において増粘する塗布液である」には含まれない。なお、増粘しない塗布液とは、塗布液が基材に接触した後にも粘度が10,000mPa・s未満の塗布液を指す。
図1において、「2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を基材に接触させる」とは、塗布液BおよびCが重なった塗布液Aが支持体(基材)に接触することを指す。すなわち、上記「2種以上の塗布液のいずれかの塗布液」は、スライド型コータのような塗布方法の場合、通常、フィルムを構成する基材上の最下層を形成するために用いられる塗布液を指す。
液−液界面形成から、2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を基材に接触させるまでの塗布液の粘度は、液−液界面形成から、2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を基材に接触させるまでの増粘塗布液の温度を測定し、該温度において測定した塗布液の粘度とする。液−液界面形成から、2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を基材に接触させるまでの増粘塗布液の温度は、液−液界面形成時の増粘塗布液の温度、基材に塗布液が接触した時の増粘塗布液の温度ならびに液−液界面形成時および基材接触時の中間時での増粘塗布液の温度を測定し、それらの平均値の温度とする。
本発明においては、塗布液が基材に接触後、5秒以内に増粘塗布液を粘度10,000mPa・s以上とするが、増粘塗布液の高粘度化が早ければ早いほど層間混合が抑制され、膜のひび割れや均一性が保たれる。具体的には、増粘塗布液の粘度が10,000mPa・s以上に達するのが、基材に接触後4秒以内であることがより好ましい。なお、増粘塗布液が粘度10,000mPa・s以上となるのは、塗布液が基材に接触後早ければ早いほど層間混合が起こりにくいので好ましく、接触直後から達成されてもよいが、通常3秒を超えて粘度が10,000mPa・s以上となる。
塗布液が基材上に接触後5秒後の増粘塗布液の粘度の上限は特に限定されず、粘度が高ければ高いほど層間混合が起こりにくいので好ましいが、通常1,000,000mPa・s程度である。
なお、粘度の測定は下記実施例に記載の方法による。
増粘塗布液の増粘の方法としては、特に限定はされないが、冷却、瞬間凍結乾燥(例えば、液体窒素による瞬間凍結乾燥)、乾燥(加熱乾燥、減圧乾燥など)などの方法が挙げられる。中でも、一般的な塗布乾燥工程がある場合は新たな設備コストが掛からず簡便に行え、基材へのダメージが少ないことから、冷却または加熱乾燥による増粘が好ましい。
冷却手段としては、基材冷却、スライド式コータをフィルム製造に用いた場合にはバックロール冷却、ダイス冷却、スライド面冷却、バックロール直後の冷却ロール、などが挙げられる。ここで基材冷却とは冷却装置を用いるなどして塗布する前の基材を直接冷却することを指し、バックロール冷却、ダイス冷却はそれぞれバックロール、ダイス装置自体を冷却することを意味する。スライド面冷却はダイス冷却により同様の効果が得られるが、スライド面を流れる塗布液に対し冷却風を吹きつけて冷却する、低沸点の塗布液を最上層に塗設し蒸発潜熱を利用して冷却する、などで実施できる。バックロール直後の冷却ロールはバックロール冷却と同様、ロール自体を冷却し基材と接触させる事で基材上の塗布液を冷却させる方法である。中でも、短時間の高粘度化を実現するための塗布液の増粘を制御しやすく、またスライド面で塗布液を流すための塗布液流動性の制御が容易であることから、基材冷却、バックロール冷却、バックロール直後の冷却ロールが好ましく、冷却効率が良好であることから基材冷却及びバックロール冷却がより好ましい。これらの冷却手段は、複数組み合わせすることができる。複数組み合わせることで冷却効率が向上し、塗布液を短時間で増粘させることが可能となる。具体的には、基材冷却ならびにバックロール冷却及び/またはバックロール直後の冷却ロールの組み合わせが挙げられる。
基材冷却の場合の冷却制御(冷却タイミング、冷却温度等)は、塗布液の温度に対する粘度特性により適宜選択されるため一概には規定することはできないが、一例を挙げれば、スライド型コータを用いた基材冷却の場合、基材温度が2〜15℃、好ましくは5〜10℃になるように制御する。かような制御はビード部の直前の基材が搬送される空間において、冷却ゾーンを設置し基材を通過させて冷却する、冷却ロールに接触させて基材を冷却する、冷風を基材に吹きつけて冷却する、などによって行うことができる。本願においては、塗布液を基材に接触後短時間で増粘させるために、塗布液の冷却開始を塗布工程の早い段階で行うことが重要であり、冷却開始を早める為には基材温度を下げる事が有効である。しかしながら、基材の特性維持、結露防止などの観点からむやみに基材温度を下げる事はできず、基材温度は適宜選択される。この観点から、基材温度は2〜15℃、好ましくは5〜10℃に制御する。
バックロール冷却の場合、バックロールの冷却温度は5〜20℃程度であり、好ましくは5〜10℃である。増粘塗布液がバックロールゾーンに達したときに適切に冷却されるよう、塗布液がバックロールに達する時点で上記冷却温度となるよう制御する必要がある。上記基材冷却と同様、基材の特性維持、結露防止などの観点からバックロール冷却温度も現実的な範囲があり、バックロール表面温度は2〜20℃、好ましくは5〜10℃に制御する。
加熱乾燥および減圧乾燥は、乾燥により塗布液の溶媒を飛ばし固形分濃度を上げて塗布液を増粘させる方法であり、冷却の増粘のメカニズムとは異なるものである。したがって、冷却工程を経ることなく、塗布液を加熱/減圧乾燥させることが効率の観点で好ましい。
加熱乾燥は、塗布液を加熱し、必要に応じて風をあてることにより、塗布液を乾燥させるものである。加熱温度は、塗布液の構成により適宜選択すればよいが、通常30〜80℃程度であり、好ましくは40〜60℃である。また、減圧乾燥の条件も、塗布液の構成により適宜選択すればよいが、通常30〜80℃程度、好ましくは40〜60℃で、通常0.01〜0.08MPa程度、好ましくは0.02〜0.05MPaである。加熱手段としてはドライヤーを用いて熱風をあてたり、乾燥ゾーンを設けて塗布膜を加熱乾燥させる、赤外線ヒータにより加熱する、などが挙げられる。スライド型コータを用いた場合、バックロール直後に加熱/減圧乾燥ゾーンを設けることにより、速やかに塗布液の加熱/減圧乾燥を行うことができ、層間混合が抑制できるので好ましい。設備の設置が簡易であり、方法が簡便であることから、加熱乾燥により増粘塗布液を増粘させることがより好ましい。
[塗布液]
同時重層塗布される塗布液としては、近赤外線フィルムを構成する高屈折率層および低屈折率層に対する塗布液(以下、単に高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液とも称する)が好ましく挙げられる。塗布液としてはその他、高屈折率層と低屈折率層との中間の屈折率を有する中屈折率層用の塗布液;塗布を容易にする為の低粘度のスリップ層用の塗布液;スライド面での塗布液の縮流を抑制するために最上層に用いる事ができる低表面張力の塗布液、などが挙げられる。
増粘させない塗布液の粘度(液−液界面形成から塗布液の基材接触まで)は、同時重層塗布を容易に行うことができることから、1,000mPa・s以下であることが好ましく、500mPa・s以下であることがより好ましい。なお、上記増粘塗布液以外の塗布液の粘度(液−液界面形成から基材接触まで)の下限は特に限定されないが、通常1mPa・s以上である。
なお、ビードの形成を良好にするため、最下層を形成する塗布液(いわゆるスリップ層を形成するための塗布液)の粘度は、ビードを安定に形成するために低粘度であることが好ましく、具体的にはビード形成前は10mPa・s以下であることが好ましい。なお、スリップ層を形成するための塗布液も、ビード形成後、基材に接触させてからは、層間混合を抑制する観点から高粘度であることが好ましく、具体的には粘度が10,000mPa・s以上となることが好ましい。
各屈折率層に対する塗布液には、例えば、屈折率差を出すための金属酸化物粒子、同時重層を行うためのバインダー、溶媒、およびその他の添加剤が含まれる。
以下、塗布液を構成する各成分について詳述する。
(金属酸化物粒子)
金属酸化物粒子は、異なる屈折率を有する層を構成するときに用いられ、これらの目的で使用される金属酸化物としては、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズ、等を挙げることができる。金属酸化物微粒子としては、二酸化チタン、二酸化ケイ素、及びアルミナから選ばれた固体微粒子を用いることが好ましい。
高屈折率層用塗布液に用いられる金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0以上であることが好ましい。例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン等を挙げることができる。これらの中でも、高屈折率層を形成するための塗布液の安定性の観点から、酸化チタン(TiO)がより好ましい。また、TiOの中でも、特にアナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いために高屈折率層や隣接した層の耐候性が高くなり、さらに屈折率が高くなることから好ましい。
高屈折率層用塗布液に用いられる金属酸化物粒子としては、その平均粒径が100nm以下であることが好ましいが、4nm以上、50nm以下であることがより好ましく、更に好ましくは4nm以上、30nm以下である。平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
高屈折率層塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、塗布液全質量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。
以下、高屈折率層塗布液に用いられる金属酸化物粒子として特に好ましいルチル型酸化チタンについて、詳細に説明する。
(ルチル型酸化チタン)
一般的に、酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で、表面処理が施された状態で使用されることが多く、例えば、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られている。
金属酸化物粒子は、体積平均粒径が100nm以下のルチル型(正方晶形)の酸化チタン粒子であることが好ましい。体積平均粒径が4nm以上、50nm以下であることがより好ましく、更に好ましくは4nm以上、40nm以下である。体積平均粒径が100nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
ルチル型酸化チタン粒子の体積平均粒径とは、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd、d・・・d・・・dの粒径を持つ粒子がそれぞれn、n・・・n・・・n個存在する金属酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの表面積をa、体積をvとした場合に、下記数式1で表される体積で重み付けされた平均粒径である。
Figure 2013000667
さらに、ルチル型酸化チタン粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記数式2で求められる単分散度が40%以下をいう。より好ましくは30%以下であり、さらに好ましくは0.1〜20%となる粒子である。
Figure 2013000667
(ルチル型酸化チタンゾルの製造方法)
赤外遮蔽フィルムを製造する方法として、水系高屈折率層塗布液を調製する際に、ルチル型酸化チタンとして、pHが1.0以上、3.0以下で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルを用いることが好ましい。
一般的に酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で表面処理を施された状態で使用されることが多く、例えば、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られているが、このような表面処理が施されていないpHが1.0〜3.0で、かつゼータ電位が正である酸化チタンの水系ゾルが用いることが好ましい。
ルチル型酸化チタンゾルの調製方法としては、例えば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
また、ルチル型酸化チタンのその他の製造方法については、例えば、「酸化チタン−物性と応用技術」、清野学著、p255〜258(2000年)技報堂出版株式会社、または国際公開第2007/039953号パンフレットの段落番号「0011」〜「0023」に記載の工程(2)の方法を参考にすることができる。
上記工程(2)による製造方法とは、二酸化チタン水和物をアルカリ金属の水酸化物またはアルカリ土類金属の水酸化物からなる群から選択される、少なくとも1種の塩基性化合物で処理する工程(1)の後に、得られた二酸化チタン分散物を、カルボン酸基含有化合物および無機酸で処理する工程(2)からなる。本発明では、工程(2)により得られた無機酸によりpHを1.0〜3.0に調整されたルチル型酸化チタンの水系ゾルを用いることができる。
低屈折率層用塗布液に用いられる金属酸化物粒子としては、二酸化ケイ素を用いることが好ましく、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることが特に好ましい。
好ましく用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、例えば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレットなどに記載されているものである。かようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
二酸化ケイ素は、その平均粒径が100nm以下であることが好ましい。二酸化ケイ素の平均粒径の下限は特に限定されないが、通常2nm以上である。一次粒子の状態で分散された二酸化ケイ素の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、20nm以下のものが好ましく、より好ましくは10nm以下である。また二次粒子の平均粒径としては、30nm以下であることが、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。なお、平均粒径は、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、その単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
低屈折率層塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、塗布液全質量に対して0.1〜20質量%であることが好ましく、0.5〜10質量%であることがより好ましい。
(バインダー)
同時重層塗布を行うためのバインダーとしては、特に限定されるものではなく従来公知の塗布液のバインダーを用いることができ、例えば、熱硬化型バインダー、紫外線硬化型バインダー、水溶性高分子などが挙げられる。本発明においては、環境上の問題や、赤外遮蔽フィルムの柔軟性が良好なことから、水溶性高分子を用いることが好ましい。
塗布液中の水溶性高分子の濃度は、塗布液全質量に対して固形分濃度で0.5〜50質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましい。また、塗布液中の上記金属酸化物との含有質量比は、金属酸化物:水溶性高分子(固形分濃度)=1:0.1〜1:20であることが好ましい。
これらの水溶性高分子は、単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。また、水溶性高分子は合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。以下、水溶性高分子について、詳細に説明する。
水溶性高分子の例としては、例えば、反応性官能基を含有するポリマー、ゼラチン、または増粘多糖類などが挙げられる。好適には、ゼラチン類、ポリビニルアルコール類および増粘多糖類が用いられる。
反応性官能基を有するポリマーとしては、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、もしくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、もしくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、およびこれらの共重合体が好ましい。
好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したカチオン変性ポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものがより好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号公報に記載されているような、第一級〜第三級アミノ基や第四級アンモニウム基を主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールが挙げられ、これはカチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得ることができる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコール中のカチオン性基含有エチレン性不飽和単量体の比率は、酢酸ビニルに対して、好ましくは0.1〜10モル%、より好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報および特開昭63−307979号公報に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体、または特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載されているような疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類の異なるものなどを、2種以上併用することもできる。
なお、上記反応性官能基を有するポリマーが共重合体である場合の共重合体の形態は、ブロック共重合体、ランダム共重合体、グラフト共重合体、交互共重合体のいずれであってもよい。
好ましく用いられるゼラチンとしては、従来、ハロゲン化銀写真感光材料分野で広く用いられてきた各種ゼラチンを挙げることができる。例えば、酸処理ゼラチン、アルカリ処理ゼラチンの他に、ゼラチンの製造過程で酵素処理をする酵素処理ゼラチン及びゼラチン誘導体、すなわち分子中に官能基としてのアミノ基、イミノ基、ヒドロキシル基、またはカルボキシル基を有し、それと反応して得る基を持った試薬で処理し改質したものでもよい。ゼラチンの一般的製造法に関しては良く知られており、例えば、T.H.James:The Theory of Photographic Process 4th. ed. 1977(Macmillan)55頁、科学写真便覧(上)72〜75頁(丸善)、写真工学の基礎−銀塩写真編 119〜124頁(コロナ社)等の記載を参考にすることができる。また、リサーチ・ディスクロージャー誌第176巻、No.17643(1978年12月)のIXページに記載されているゼラチンを挙げることができる。
好ましく用いられる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類および合成複合多糖類などを挙げることができる。これら増粘多糖類の詳細については、「生化学辞典(第2版)」(東京化学同人)、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
前記増粘多糖類とは、糖類の重合体で、分子内に水素結合基を多数有するものであり、温度による分子間の水素結合力の違いにより、低温時の粘度と高温時の粘度との差が大きいという特性を備えた多糖類であり、さらに金属酸化物粒子や多価金属化合物を添加すると、低温時に金属酸化物粒子または多価金属化合物との反応により金属酸化物粒子または多価金属化合物との水素結合またはイオン結合を形成して、粘度上昇またはゲル化を引き起こすものである。粘度の上昇幅は、金属酸化物粒子または多価金属化合物の添加前の15℃における粘度と比較して、15℃の粘度で、1mPa・s以上であることが好ましい。粘度上昇幅は、より好ましくは5mPa・s以上であり、さらに好ましくは10mPa・s以上である。なお、粘度は、ブルックフィールド粘度計により測定した値を採用するものとする。
適用可能な増粘多糖類のさらに具体的な例としては、例えば、ペクチン、ガラクタン(例えば、アガロース、アガロペクチン等)、ガラクトマンノグリカン(例えば、ローカストビーンガム、グアラン等)、キシログルカン(例えば、タマリンドガム、タマリンドシードガム等)、グルコマンノグリカン(例えば、蒟蒻マンナン、木材由来グルコマンナン、キサンタンガム等)、ガラクトグルコマンノグリカン(例えば、針葉樹材由来グリカン)、アラビノガラクトグリカン(例えば、大豆由来グリカン、微生物由来グリカン等)、グルコラムノグリカン(例えば、ゲランガム等)、グリコサミノグリカン(例えば、ヒアルロン酸、ケラタン硫酸等)、アルギン酸およびアルギン酸塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等の紅藻類に由来する天然高分子多糖類、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース類が挙げられる。塗布液中に共存する金属酸化物粒子の分散安定性を低下させないという観点から、その構成単位がカルボン酸基やスルホン酸基を有しないものが好ましい。その様な多糖類としては、例えば、L−アラビトース、D−リボース、2−デオキシリボース、D−キシロースなどのペントース、D−グルコース、D−フルクトース、D−マンノース、D−ガラクトースなどのヘキソースのみからなる多糖類であることが好ましい。具体的には、主鎖がグルコースであり、側鎖もグルコースであるキシログルカンとして知られるタマリンドシードガムや、主鎖がマンノースで側鎖がグルコースであるガラクトマンナンとして知られるグアーガム、カチオン化グアーガム、ヒドロキシプロピルグアーガム、ローカストビーンガム、タラガムや、主鎖がガラクトースで側鎖がアラビノースであるアラビノガラクタンを好ましく使用することができる。
増粘多糖類の中でも、増粘塗布液を短時間で高粘度化することができることから、天然高分子多糖類、メチルセルロースなどのセルロース類を用いることができる。
水溶性高分子の重量平均分子量は、1,000〜200,000が好ましく、3,000〜40,000がより好ましい。なお、本明細書において、重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値を採用する。
(硬化剤)
バインタ−である水溶性高分子を硬化させるため、硬化剤を使用することもできる。
本発明に適用可能な硬化剤としては、水溶性高分子と硬化反応を起こすものであれば特に制限はないが、水溶性高分子がポリビニルアルコールの場合には、ホウ酸及びその塩が好ましい。他にも公知の化合物が使用でき、一般的には水溶性高分子と反応し得る基を有する化合物、または水溶性高分子が有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、水溶性高分子の種類に応じて適宜選択して用いられる。硬化剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬化剤(ジグリシジルエチルエ−テル、エチレングリコ−ルジグリシジルエ−テル、1,4一ブタンジオ−ルジグリシジルエ−テル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビト−ルポリグリシジルエ−テル、グリセロ−ルポリグリシジルエ−テル等)、アルデヒド系硬化剤(ホルムアルデヒド、グリオキザ−ル等)、活性ハロゲン系硬化剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−S−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1.3.5−トリス−アクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエ−テル等)、アルミニウム明礬等が挙げられる。
また、水溶性高分子としてゼラチンを用いる場合は、硬化剤として、例えば、ビニルスルホン化合物、尿素−ホルマリン縮合物、メラニン−ホルマリン縮合物、エポキシ系化合物、アジリジン系化合物、活性オレフィン類、イソシアネ−ト系化合物などの有機硬膜剤、クロム、アルミニウム、ジルコニウムなどの無機多価金属塩類などを用いるとよい。
(溶媒)
塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。前述のように、本発明においてはバインダーとして好ましくは水溶性高分子を用いることから、水系溶媒が好ましく、具体的には水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましく、水であることがより好ましい。
有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。
溶媒の含有質量は粘度を調整するために適宜調整すればよいが、通常塗布液全質量に対して、30〜99.9質量%である。
(その他の添加剤)
塗布液には、必要に応じて各種添加剤を用いることができる。
1.等電点が6.5以下のアミノ酸
本発明においては、高屈折率層または低屈折率層が、さらに等電点が6.5以下のアミノ酸を含有していてもよい。アミノ酸を含むことにより、高屈折率層または低屈折率層中の金属酸化物粒子の分散性が向上し得る。
ここでアミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシル基とを有する化合物であり、α−、β−、γ−などいずれのタイプのアミノ酸でもよい。アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独であるいはラセミ体でも使用することができる。
上記アミノ酸の詳しい解説は、化学大辞典1縮刷版(共立出版;昭和35年発行)268頁〜270頁の記載を参照することができる。
具体的に好ましいアミノ酸として、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、セリン、等を挙げることができ、特にグリシン、セリンが好ましい。
アミノ酸の等電点とは、アミノ酸は特定のpHにおいて分子内の正・負電荷が釣り合い、全体としての電荷が0となるので、このpH値をいう。各アミノ酸の等電点については、低イオン強度での等電点電気泳動で求めることが出来る。
2.エマルジョン樹脂
本発明においては、高屈折率層または前記低屈折率層が、更にエマルジョン樹脂を含有してもよい。エマルジョン樹脂を含むことにより、膜の柔軟性が高くなりガラスへの貼りつけ等の加工性がよくなる。
エマルジョン樹脂とは、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒径が0.01〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られる。用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られない。エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面に水酸基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
水酸基を含む高分子分散剤とは、重量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖または末端に水酸基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、特にポリビニルアルコールが好ましい。
高分子分散剤として使用されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコールやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリビニルアルコールは、平均重合度は高い方がインク吸収層を形成する際のクラックの発生を抑制する効果が大きいが、平均重合度が5000以内であると、エマルジョン樹脂の粘度が高くなく、製造時に取り扱いやすい。したがって、平均重合度は300〜5000のものが好ましく、1500〜5000のものがより好ましく、3000〜4500のものが特に好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものがより好ましい。
上記の高分子分散剤で乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
3.その他の添加剤
塗布液に適用可能な各種の添加剤を以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報および同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤、熱安定剤、酸化防止剤、難燃剤、結晶核剤、無機粒子、有機粒子、減粘剤、滑剤、赤外線吸収剤、色素、顔料等の公知の各種添加剤などが挙げられる。
塗布液は、通常基材上に積層され近赤外フィルムを構成する。
以下、上記製造方法により製造された赤外遮蔽フィルムの構成要素等について詳細な説明をする。
[赤外遮蔽フィルム]
赤外遮蔽フィルムにおける各層の乾燥膜厚は0.03〜0.5μmであることが好ましく、0.05〜0.3μmであることがより好ましい。赤外遮蔽フィルムの各層の厚さは超薄層であるため、塗布液同士が重なった場合の層間混合の度合いが激しく、液−液の積層が始まった瞬間から混合が始まるが、特に影響が大きいのは層の厚みが薄くなる、塗布液を基材に接触させてからである。このため、本発明の方法によれば、各層が薄い赤外遮蔽フィルムであっても層間混合が抑制され、所望の層間屈折率を得ることができる。また、膜厚が薄いため、上記冷却手段や加熱乾燥手段によって増粘させた場合にも、塗布液を効率よく増粘させることができる。
一般に、赤外遮蔽フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができる観点で好ましい。本発明では、高屈折率層および低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上であり、更に好ましくは0.35以上であり、特に好ましくは0.4以上である。赤外遮蔽フィルムが高屈折率層および低屈折率層のユニットを複数有する場合には、全てのユニットにおける高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であっても良い。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、200層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくする観点からは、屈折率差に上限はないが、好ましくは1.4程度である。
更には、本発明の赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であることが好ましく、また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
次いで、赤外遮蔽フィルムにおける高屈折率層および低屈折率層の基本的な構成概要について説明する。
赤外遮蔽フィルムにおいては、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ含む構成であればよい。好ましい高屈折率層および低屈折率層の層数としては、総層数の範囲として、100層以下、すなわち50ユニット以下であり、より好ましくは40層(20ユニット)以下である。また、本発明の方法によれば、各屈折率層の層間混合が少ないため、少ない層数で所望の効果を得ることができる。
赤外遮蔽フィルムの全体の厚みは、好ましくは12μm〜315μm、より好ましくは15μm〜200μm、さらに好ましくは20μm〜100μmである。
赤外遮蔽フィルムを構成する層のうち、増粘塗布液により形成された層は好適には金属酸化物および/またはゼラチン類、ポリビニルアルコール類および多糖類を含む。含有量は、層全質量に対して、金属酸化物は10〜70質量%含有することが好ましく、20〜60質量%含有することがより好ましい。ゼラチン類、ポリビニルアルコール類および多糖類は30〜90質量%含有することが好ましく、40〜80質量%含有することがより好ましい。また、金属酸化物とゼラチン類、ポリビニルアルコール類および多糖類との含有質量比は、特に限定されるものではないが、金属酸化物:ゼラチン類、ポリビニルアルコール類および多糖類=1:0.1〜1:10(質量比)であることが好ましく、1:0.5〜1:5であることがより好ましい。
(高屈折率層)
高屈折率層は上記高屈折率層用塗布液を用いて形成される。
高屈折率層の屈折率は、好ましくは1.80〜2.50であり、より好ましくは1.80〜2.20である。
なお、本発明において、高屈折率層、低屈折率層の屈折率は、下記の方法に従って求めることができる。
基材上に屈折率を測定する各屈折率層を単層で塗設したサンプルを作製し、このサンプルを10cm×10cmに断裁した後、下記の方法に従って屈折率を求める。分光光度計として、U−4000型(日立製作所社製)を用いて、各サンプルの測定面とは反対側の面(裏面)を粗面化処理した後、黒色のスプレーで光吸収処理を行って裏面での光の反射を防止して、5度正反射の条件にて可視光領域(400nm〜700nm)の反射率を25点測定して平均値を求め、その測定結果より平均屈折率を求める。
高屈折率層は少なくとも金属酸化物および水溶性高分子を含むことが好ましい。
高屈折率層における金属酸化物の含有量は、高屈折率層の全質量に対して10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。
高屈折率層における水溶性高分子の含有量は、高屈折率層の全質量に対して30〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。
高屈折率層における金属酸化物および水溶性高分子の含有質量比は特に限定されるものではないが、金属酸化物:水溶性高分子(固形分濃度)=1:0.1〜1:20(質量比)であることが好ましく、1:1〜1:10であることがより好ましい。
(低屈折率層)
低屈折率層は上記低屈折率用塗布液を用いて形成される。
低屈折率層は、屈折率が1.10〜1.60であることが好ましく、より好ましくは1.30〜1.50である。
低屈折率層は少なくとも金属酸化物および水溶性高分子を含むことが好ましい。
低屈折率層における金属酸化物の含有量は、低屈折率層の全質量に対して10〜70質量%であることが好ましく、20〜60質量%であることがより好ましい。
低屈折率層における水溶性高分子の含有量は、低屈折率層の全質量に対して30〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。
低屈折率層における金属酸化物および水溶性高分子の含有質量比は特に限定されるものではないが、金属酸化物:水溶性高分子(固形分濃度)=1:0.1〜1:20(質量比)であることが好ましく、1:1〜1:10であることがより好ましい。
なお、高屈折率層と低屈折率層で用いられる水溶性高分子等は、同一であっても異なっていても良いが、同時重層塗布を実施する上では同一であることが好ましい。
(基材)
赤外遮蔽フィルムに適用する基材としては、フィルム支持体であることが好ましく、フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができる。例えば、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
基材の厚みは、10〜300μmであることが好ましく、より好ましくは20〜150μmである。また、本発明のフィルム支持体は、2枚を重ねたものであっても良く、この場合、その種類が同じでも異なってもよい。
赤外遮蔽フィルムは、基材の下または基材と反対側の最表面層の上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を有していてもよい。
[赤外反射体]
本発明の赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
特に、本発明に係る赤外遮蔽フィルムが直接または接着剤を介してガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合されている部材に好適である。
すなわち、本発明は、本発明の赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外反射体をも提供する。
前記基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでも良く、これらを2種以上組み合わせて用いても良い。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。
基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、赤外遮蔽フィルムを日光(熱線)入射面側にあるように設置することが好ましい。また、本発明の赤外遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明の赤外遮蔽フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」あるいは「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」あるいは「質量%」を表す。
<塗布液A−1の調製>
20質量%酸化チタンゾル(体積平均粒径35nm、ルチル型酸化チタン粒子、石原産業株式会社製、55N)60gに、8.0質量%の酸処理ゼラチン水溶液(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)(水溶性高分子)240gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.78gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液A−1を調製した。
<塗布液A−2の調製>
20質量%酸化チタンゾル(体積平均粒径35nm、ルチル型酸化チタン粒子、石原産業株式会社製、55N)60gに、10質量%の酸処理ゼラチン水溶液(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)(水溶性高分子)240gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.78gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液A−2を調製した。
<塗布液A−3の調製>
20質量%酸化チタンゾル(体積平均粒径35nm、ルチル型酸化チタン粒子、石原産業株式会社製、55N)60gに、8質量%の重合度4,500のポリビニルアルコール水溶液(水溶性高分子)360gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.78gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液A−3を調製した。
<塗布液A−4の調製>
塗布液A−1と同じ作製方法で、塗布液A−4を調製した。
<塗布液A−5の調製>
塗布液A−2と同じ作製方法で、塗布液A−5を調製した。
<塗布液A−6の調製>
塗布液A−1と同じ作製方法で、塗布液A−6を調製した。
<塗布液A−7の調製>
20質量%酸化チタンゾル(体積平均粒径35nm、ルチル型酸化チタン粒子、石原産業社製、55N)60gに、10質量%の酸処理ゼラチン水溶液(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)(水溶性高分子)360gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.78gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液A−7を調製した。
<塗布液A−8の調製>
塗布液A−3と同じ作製方法で、塗布液A−8を調製した。
<塗布液A−9の調製>
塗布液A−1と同じ作製方法で、塗布液A−9を調製した。
<塗布液A−10の調製>
塗布液A−1と同じ作製方法で、塗布液A−10を調製した。
<塗布液A−11の調製>
塗布液A−1と同じ作製方法で、塗布液A−11を調製した。
<塗布液B−1の調製>
21.4質量%コロイダルシリカ(平均粒径:40−50nm、日産化学工業株式会社製、製品名スノーテックスOS)水分散液 24gに、8質量%の酸処理ゼラチン水溶液(水溶性高分子)(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)240gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.68gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液B−1を調製した。
<塗布液B−2の調製>
21.4質量%コロイダルシリカ(平均粒径:40−50nm、日産化学工業株式会社製、製品名スノーテックスOS)水分散液 24gに、10質量%の酸処理ゼラチン水溶液(水溶性高分子)(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)240gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.68gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液B−2を調製した。
<塗布液B−3の調製>
21.4質量%コロイダルシリカ(平均粒径:40−50nm、日産化学工業株式会社製、製品名スノーテックスOS)水分散液 24gに、8質量%の重合度4500のポリビニルアルコール水溶液(水溶性高分子)240gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.68gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液B−3を調製した。
<塗布液B−4の調製>
21.4質量%コロイダルシリカ(平均粒径:40−50nm、日産化学工業株式会社製、製品名スノーテックスOS)水分散液 24gに、8質量%の酸処理ゼラチン水溶液(水溶性高分子)(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)260gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.68gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液B−4を調製した。
<塗布液B−5の調製>
21.4質量%コロイダルシリカ(平均粒径:40−50nm、日産化学工業株式会社製、製品名スノーテックスOS)水分散液 24gに、8質量%の酸処理ゼラチン水溶液(水溶性高分子)(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)200gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.68gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液B−5を調製した。
<塗布液B−6の調製>
塗布液B−1と同じ作製方法で、塗布液B−6を調製した。
<塗布液B−7の調製>
21.4質量%コロイダルシリカ(平均粒径:40−50nm、日産化学工業株式会社製、製品名スノーテックスOS)水分散液 24gに、10質量%の酸処理ゼラチン水溶液(水溶性高分子)(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)360gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.68gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液B−7を調製した。
<塗布液B−8の調製>
21.4質量%コロイダルシリカ(平均粒径:40−50nm、日産化学工業株式会社製、製品名スノーテックスOS)水分散液 24gに、5質量%の重合度4500のポリビニルアルコール水溶液(水溶性高分子)240gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.68gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液B−8を調製した。
<塗布液B−9の調製>
21.4質量%コロイダルシリカ(平均粒径:40−50nm、日産化学工業株式会社製、製品名スノーテックスOS)水分散液 24gに、8質量%の酸処理ゼラチン水溶液(水溶性高分子)(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)180gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油株式会社製)0.68gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液B−9を調製した。
<塗布液B−10の調製>
塗布液B−5と同じ作製方法で、塗布液B−10を調製した。
<塗布液B−11の調製>
21.4質量%コロイダルシリカ(平均粒径:40−50nm、日産化学工業株式会社製、製品名スノーテックスOS)水分散液 24gに、10質量%の酸処理ゼラチン水溶液(水溶性高分子)(新田ゼラチン株式会社製、製品名G−1221K)400gを撹拌しながら徐々に添加、混合した。次いで界面活性剤として、5.0質量%の2−DB−500E(日油社製)0.68gを添加し、純水で1000mlに仕上げることで塗布液B−11を調製した。
(実施例1)
図1の同時重層用スライド式コータを用いて、塗布液A−1および塗布液B−1を塗布液温度40℃、塗布速度5m/分、乾燥時の膜厚が塗布液A−1により形成される層は1層当たり150nmに、塗布液B−1により形成される層は1層当たり180nmになるように、基材表面温度5℃に冷却した厚さ100μmの易接着付きPET(支持体、テイジン社製、製品名テトロン)の基材上に同時重層塗布を行った(2層)。順序は基材、A−1、B−1の順である。
この際、基材冷却を行うために、バックロール手前に設けた冷却ゾーンを通過させ、基材温度を5℃とした。
塗布後、3℃のセットゾーンで完全に塗膜を固定化した後、50℃の温風式乾燥ゾーンを通過させて乾燥を行い、実施例1の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(実施例2)
塗布液A−1の代わりに塗布液A−2を、塗布液B−1の代わりに塗布液B−2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(実施例3)
塗布液A−1の代わりに塗布液A−3を、塗布液B−1の代わりに塗布液B−3を用い、基材の冷却温度を10℃にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例3の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(実施例4)
図1の同時重層用スライド式コータを用いて、塗布液A−4および塗布液B−4を塗布液温度40℃、塗布速度5m/分、乾燥時の膜厚が塗布液A−4により形成される層は1層当たり150nmに、塗布液B−4により形成される層は1層当たり180nmになるように、5℃に冷却された厚さ100μmの易接着付きPET(支持体、テイジン社製、製品名テトロン)の基材上に同時重層塗布を行った(2層)。順序は基材、A−4、B−4の順である。
この際、基材の冷却を行うために、コーター部のバックロールを冷却し、ビード部における基材の温度を5℃とした。バックロールの冷却はジャケット式のバックロールを用い、温度調節可能な冷媒(冷却水)をバックロールに通水することでバックロール温度を適宜調整することが可能である。
塗布後、3℃のセットゾーンで完全に塗膜を固定化した後、50℃の温風式乾燥ゾーンを通過させて乾燥を行い、実施例4の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(実施例5)
塗布液A−5および塗布液B−5を用い、実施例1の基材冷却および実施例4のバックロール冷却を両方用い、基材温度が5℃となるようにすること以外は、実施例1と同様にして、実施例5の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(実施例6)
塗布液A−1、塗布液B−1、さらに塗布液A−1を用いて3層形成の同時重層塗布を行ったこと以外は、実施例1と同様にして、実施例6の赤外遮蔽フィルムを作製した。順序は基材、A−1、B−1、A-1の順である。
(実施例7)
図1の同時重層用スライド式コータを用いて、塗布液A−1および塗布液B−1を塗布液温度40℃、塗布速度5m/分、乾燥時の膜厚が塗布液A−1により形成される層は1層当たり150nmに、塗布液B−1により形成される層は1層当たり180nmになるように、基材表面温度25℃の厚さ100μmの易接着付きPET(支持体、テイジン社製、製品名テトロン)の基材上に同時重層塗布を行った(2層)。この後、塗膜を速やかに乾燥させる為、バックロール直後に設けた70℃の乾燥ボックスを通過させて加熱乾燥を行い、実施例7の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(比較例1)
塗布液A−3の代わりに塗布液A−8を、塗布液B−3の代わりに塗布液B−8を用いたこと以外は、実施例3と同様にして、比較例1の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(比較例2)
塗布液A−1の代わりに塗布液A−9を、塗布液B−1の代わりに塗布液B−9を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(比較例3)
塗布液A−5の代わりに塗布液A−10を、塗布液B−5の代わりに塗布液B−10を用いたこと以外は、実施例5と同様にして、比較例3の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(比較例4)
塗布液A−1の代わりに塗布液A−11を、塗布液B−1の代わりに塗布液B−11を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例4の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(比較例5)
塗布液A−1および塗布液B−1を用い、基材冷却を行わず、基材表面温度が25℃であり厚さ100μmの易接着付きPET(支持体、テイジン社製、製品名テトロン)の基材上に同時重層塗布を行った(2層)こと以外は実施例1と同様にして、比較例5の赤外遮蔽フィルムを作製した。
(比較例6)
塗布液A−1および塗布液B−1を用い、基材表面温度が20℃となるよう冷却した厚さ100μmの易接着付きPET(支持体、テイジン社製、製品名テトロン)の基材上に同時重層塗布を行った(2層)こと以外は実施例1と同様にして、比較例6の赤外遮蔽フィルムを作製した。
[塗布液の粘度測定]
JIS Z8803(1991)液体の粘度−測定方法に準じ、以下の条件で「粘度(Pa・s)」を測定した。1仕様につき3回の評価を行い、平均値を粘度とした。
Figure 2013000667
下記表2における液−液界面形成から塗布液を基材に接触させるまでの塗布液粘度は、液−液界面形成から塗布液を基材に接触させるまでの塗布液の温度を測定し、該温度における塗布液の粘度をオフラインで測定した。塗布液を基材に接触させた後の塗布液の粘度は、基材に接触後の経過時間における塗布膜温度を測り、該温度における塗布液の粘度をオフラインで測定した。
[赤外遮蔽フィルムの評価]
上記作製した各赤外遮蔽フィルムについて、下記の性能評価を行った。
(層間混合の評価)
得られた近赤外線フィルムの実測の反射率スペクトルと、単層膜の屈折率差から計算した反射率スペクトルとを比較し、波長1100nmにおける反射率の低減率を算出した。反射率スペクトルは、日立製作所社製の分光光度計U−4000を用いて、入射角5°、波長範囲300〜3000nm、測定温度25℃で測定した。
下記の基準に従って層間混合を評価した。
Figure 2013000667
(ひび割れの評価)
各実施例及び比較例において、反射率スペクトルで所望の性能が得られるまで層数を実施例1:24層、実施例2:20層、実施例3:32層、実施例4:22層、実施例5:20層、実施例6:24層、実施例7:32層、比較例1:48層、比較例2:42層、比較例3:42層、比較例4:38層まで積層させた。ただし、比較例5及び6については、100層積層しても所望の性能を得ることが出来なかった。所望の性能とは、反射率スペクトルで波長1200nmでの反射率が80%以上を示す。
その後、下記の基準に従ってひび割れを評価した。
Figure 2013000667
(均一性の評価)
膜厚ムラに起因した反射スペクトルの分布で下記の基準に従って均一性を評価した。塗布サンプルの塗布方向に対して直角する幅手方向5点で反射スペクトルを計測し、幅手5点の平均値からズレ量が一番大きいスペクトルの反射率ズレ量の百分率(%)を計算し、下記の基準に従って均一性の評価とした。この際、幅手5点は塗布端部の影響がない範囲で5点を選んだ。
Figure 2013000667
Figure 2013000667
以上により得られた測定結果、評価結果を、表2に示す。
Figure 2013000667
Figure 2013000667
上記表において、>10万は、100,000mPa・s以上を示す。
[評価]
実施例1〜7の赤外遮蔽フィルムは、層間混合が少なく、所望の反射率を出すために必要な積層数を確保した場合でもひび割れが少なく、形成された膜が均一であった。
1 スライド型コータ、
2 バックロール、
3 帯状支持体、
4 塗布液供給系、
5a 塗布層、
6 減圧室、
101 ダイス、
102 スリット、
103 リップ部、
104 ポケット、
105 スライド面、
106 ビード、
107 エッジガイド、
401 調整釜、
402 送液ポンプ、
403 供給管、
601 吸引管。

Claims (6)

  1. 基材上に2種以上の塗布液を同時重層塗布して赤外遮蔽フィルムを製造する方法において、
    前記2種以上の塗布液のうち少なくとも一の塗布液を増粘させる増粘工程を含み、
    前記少なくとも一の塗布液の液−液界面形成から、前記2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を前記基材に接触させるまで、前記少なくとも一の塗布液の粘度が10〜1,000mPa・sであり、
    前記増粘工程は、前記2種以上の塗布液のいずれかの塗布液を前記基材に接触させた後5秒以内に、前記少なくとも一の塗布液の粘度を10,000mPa・s以上にする工程である、赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  2. 隣接する層を形成するために用いられる塗布液の少なくとも一方が、前記増粘工程において粘度10,000mPa・s以上となる塗布液である、請求項1に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  3. 前記増粘工程は、冷却または加熱乾燥のいずれかの手段による、請求項1または2に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  4. 前記増粘工程において粘度10,000mPa・s以上となる塗布液が、ゼラチン、ポリビニルアルコール類および増粘多糖類からなる群から選択される少なくとも1種の水溶性高分子を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の製造方法により得られた赤外遮蔽フィルムであって、各層の乾燥膜厚が0.05〜0.3μmである、赤外遮蔽フィルム。
  6. 請求項5に記載の赤外遮蔽フィルムが基体の少なくとも一方の面に設けられた赤外反射体。
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