JP2012252107A - 赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体 - Google Patents

赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体 Download PDF

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Abstract

【課題】赤外遮蔽フィルムにおけるひび割れやムラを改善し、さらに、高屈折率層と低屈折率層との間の粒子の混合を防止して、柔軟性や透明性、赤外遮蔽性に優れた赤外遮蔽フィルムを高い生産性で製造することができる手段を提供する。
【解決手段】基材上に、第1の水溶性高分子および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層と、第2の水溶性高分子および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層とからなるユニットを少なくとも1つ有し、前記高屈折率層と前記低屈折率層との屈折率差は0.1以上であり、前記高屈折率層または前記低屈折率層の少なくとも1層が熱ゲル化剤を含む、赤外遮蔽フィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、赤外遮蔽フィルム、赤外遮蔽フィルムの製造方法、および赤外遮蔽体に関する。
近年、省エネルギー対策への関心が高まり、冷房設備にかかる負荷を減らすなどの観点から、建物や車両の窓ガラスに装着させて、太陽光の熱線の透過を遮断する赤外遮蔽フィルムの要望が高まってきている。
太陽から放射される光は、紫外領域から赤外光領域まで幅広いスペクトルを有している。可視光は、紫色から黄色を経て赤色光に至る波長380〜780nmまでの範囲であり、太陽光の約45%を占めている。赤外光については、可視光に近いものは近赤外線(波長780〜2500nm)と呼ばれ、それ以上を中赤外線と称し、太陽光の約50%を占めている。この領域の光エネルギーは、紫外線と比較するとその強さは約10分の1以下と小さいが、熱的作用は大きく、物質に吸収されると熱として放出され温度上昇をもたらす。このことから熱線とも呼ばれ、これらの光線を遮蔽することにより、室内の温度上昇を抑制することができる。また、寒冷地の冬季の暖房熱を室外に逸散することを抑制することもできる。
赤外遮蔽フィルムの形成方法としては、主には、高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた構成からなる積層膜を、蒸着法、スパッタ法などのドライ製膜法を用いて形成する方法が提案されている。しかし、ドライ製膜法は、形成に用いる真空装置等が大型になり、製造コストが高く、大面積化が困難であり、しかも、基材として耐熱性素材に限定される等の課題を抱えている。
そこで、上記のような課題を有しているドライ製膜法に代えて、湿式塗布法を用いて赤外遮蔽フィルムを形成する方法が知られている。
例えば、複素環系窒素化合物で表面処理したルチル型酸化チタン粒子および紫外線硬化樹脂を用いて高屈折率層を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1および2を参照)。しかしながら、これらの方法では、低屈折率層および高屈折率層を交互に塗布乾燥硬化を繰り返して積層するため、改善されたとはいえ、なお生産性が低い。
さらに、球状ルチル型酸化チタン粒子のメタノール分散スラリーと、メタノールシリカゾルを用いて交互積層することにより高屈折率層および低屈折率層を形成する方法も提案されている(特許文献3を参照)。しかしながら、この方法では粒子同士の結着による膜形成を行っているため膜がもろく、さらに、ルチル型酸化チタン粒子の結着により形成した高屈折率層では、粒子界面に生じる空隙によりヘイズが高いという問題があった。さらに、有機溶剤を多量に使うため、安全性、環境上の問題がある。
また、水系のスラリーを用いた場合、低温増粘を利用した同時塗布で積層体を作ることが容易に考えられる。この手法によれば、生産性を飛躍的に高めることができる。しかしながら、水の高い表面張力に起因して、乾燥時のひび割れやムラが大きいという問題があった。さらに、乾燥時に加熱する際に各層の粘度が一次的に下がり高屈折率層と低屈折率層との間で粒子の混合が発生し、高屈折率層と低屈折率層との間の屈折率差が低下してしまうという問題もあった。
特開2004−123766号公報 特開2004−125822号公報 特開2003−266577号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、赤外遮蔽フィルムにおけるひび割れやムラを改善し、さらに、高屈折率層と低屈折率層との間の粒子の混合を防止して、柔軟性や透明性、赤外遮蔽性に優れた赤外遮蔽フィルムを高い生産性で製造することができる手段を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を行った。その結果、加熱によってゲル化する熱ゲル化剤を高屈折率層または低屈折率層の少なくとも1つに含ませることにより上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.基材上に、
第1の水溶性高分子および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層と、
第2の水溶性高分子および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層と、
からなるユニットを少なくとも1つ有し、
前記高屈折率層と前記低屈折率層との屈折率差は0.1以上であり、
前記高屈折率層または前記低屈折率層の少なくとも1層が熱ゲル化剤を含む、赤外遮蔽フィルム;
2.前記熱ゲル化剤が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルセルロースからなる群から選択される1種または2種以上である、上記1.に記載の赤外遮蔽フィルム;
3.前記高屈折率層または前記低屈折率層の少なくとも1層が低温ゲル化剤を含む、上記1.または2.に記載の赤外遮蔽フィルム;
4.第1の水溶性高分子および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、
第2の水溶性高分子および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液と、
を塗布する塗布工程を含み、
前記塗布工程の少なくとも1つにおいて、前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液が熱ゲル化剤を含み、前記熱ゲル化剤を含む塗布液の塗膜を加熱して前記熱ゲル化剤をゲル化させる加熱ゲル化工程をさらに含む、赤外遮蔽フィルムの製造方法;
5.前記塗布工程を、前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液を同時重層塗布することにより行う、上記4.に記載の製造方法;
6.前記塗布工程の少なくとも1つにおいて、前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液が低温ゲル化剤を含み、前記低温ゲル化剤を含む塗布液の塗膜を冷却して前記低温ゲル化剤をゲル化させる冷却ゲル化工程をさらに含む、上記4.または5.に記載の製造方法;
7.前記冷却ゲル化工程の後に、前記加熱ゲル化工程を行う、上記6.に記載の製造方法;
8.上記1.から3.のいずれか1つに記載の赤外遮蔽フィルム、または上記5.から7.のいずれか1つに記載の製造方法により得られる赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体。
本発明の上記手段により、赤外遮蔽フィルムにおけるひび割れ、ムラ、さらに、高屈折率層と低屈折率層との間の粒子の混合が防止される。これにより、柔軟性や透明性、赤外遮蔽性に優れた赤外遮蔽フィルムを高い生産性で製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明の一形態によれば、基材上に、第1の水溶性高分子および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層と、第2の水溶性高分子および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層とからなるユニットを少なくとも1つ有する赤外遮蔽フィルムが提供される。この際、前記高屈折率層と前記低屈折率層との屈折率差は0.1以上である。そして、前記高屈折率層または前記低屈折率層の少なくとも1層が熱ゲル化剤を含む点に特徴を有する。
かような構成とすることにより、上述した作用効果が得られるメカニズムはいまだ明確ではないが、熱ゲル化剤と、金属酸化物粒子の相互作用による乾燥時のひび割れの改善、さらに、乾燥時に熱ゲル化剤がゲル化することにより高屈折率層と低屈折率層間の粒子の混合が防止されることによるものと考えられる。
以下、本発明の近赤外反射フィルムの構成要素、および本発明を実施するための形態等について詳細な説明をする。
[赤外遮蔽フィルム]
本形態の赤外遮蔽フィルムは、基材と、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットの少なくとも1つとを含む。
一般に、赤外遮蔽フィルムにおいては、高屈折率層と低屈折率層との屈折率の差を大きく設計することが、少ない層数で赤外反射率を高くすることができるという観点から好ましい。本形態では、高屈折率層および低屈折率層から構成されるユニットの少なくとも1つにおいて、隣接する高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、特に好ましくは0.4以上である。赤外遮蔽フィルムが高屈折率層および低屈折率層のユニットを複数有する場合には、全てのユニットにおける高屈折率層と低屈折率層との屈折率差が上記好適な範囲内にあることが好ましい。ただし、最表層や最下層に関しては、上記好適な範囲外の構成であってもよい。また、本形態の赤外遮蔽フィルムにおいては、高屈折率層の好ましい屈折率は1.80〜2.50であり、より好ましくは1.90〜2.20である。また、低屈折率層の好ましい屈折率は1.10〜1.60であり、より好ましくは1.30〜1.50である。
特定波長領域の反射率は、隣接する2層の屈折率差と積層数で決まり、屈折率の差が大きいほど、少ない層数で同じ反射率を得られる。この屈折率差と必要な層数については、市販の光学設計ソフトを用いて計算することができる。例えば、赤外反射率90%以上を得るためには、屈折率差が0.1より小さいと、200層以上の積層が必要になり、生産性が低下するだけでなく、積層界面での散乱が大きくなり、透明性が低下し、また故障なく製造することも非常に困難になる。反射率の向上と層数を少なくするという観点からは、屈折率差に上限はないが、実質的には1.4程度が限界である。
さらには、本形態の赤外遮蔽フィルムの光学特性として、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上、好ましくは75%以上、より好ましくは85%以上であることが好ましく、また、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
次いで、本発明の近赤外反射フィルムにおける高屈折率層および低屈折率層の基本的な構成概要について説明する。
本形態の赤外遮蔽フィルムは、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ含む構成を有するものであればよい。好ましい高屈折率層および低屈折率層の層数としては、上記の観点から、総層数の範囲としては、100層以下、すなわち50ユニット以下であり、より好ましくは40層(20ユニット)以下であり、さらに好ましくは20層(10ユニット)以下である。
本形態の赤外遮蔽フィルムの全体の厚みは、好ましくは12μm〜315μm、より好ましくは15μm〜200μm、さらに好ましくは20μm〜100μmである。また、低屈折率層の1層あたりの厚みは、20〜800nmであることが好ましく、50〜350nmであることがより好ましい。一方、高屈折率層の1層あたりの厚みは、20〜800nmであることが好ましく、50〜350nmであることがより好ましい。
〔基材〕
本形態に係る赤外遮蔽フィルムに用いられる基材としては、透明な有機材料で形成されたものであれば特に限定されるものではない。
かような基材としては、例えば、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリスチレン(PS)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の樹脂からなるフィルム、さらには前記樹脂を二層以上積層してなる樹脂フィルム等が挙げられる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)などが好ましく用いられる。
基材の厚さは、5〜200μm程度が好ましく、さらに好ましくは15〜150μmである。
また、基材は、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率としては85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。基材が上記透過率以上であることにより、赤外遮蔽フィルムとしたときのJIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率を50%以上にするという点で有利であり、好ましい。
また、上記樹脂等を用いた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。強度向上、熱膨張抑制の点から延伸フィルムが好ましい。
基材は、製膜過程で片面または両面にインラインで下引層塗布液を塗布することが好ましい。本発明に有用な下引層塗布液に使用する樹脂としては、ポリエステル樹脂、アクリル変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、ポリエチレンイミンビニリデン樹脂、ポリエチレンイミン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、変性ポリビニルアルコール樹脂及びゼラチン等が挙げられ、いずれも好ましく用いることができる。これらの下引層には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記の下引層は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法によりコーティングすることができる。上記の下引層の塗布量としては、0.01〜2g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
〔水溶性高分子〕
本形態に係る赤外遮蔽フィルムにおいて、高屈折率層および低屈折率層はそれぞれ、水溶性高分子を含む。
本形態に係る赤外遮蔽フィルムに適用可能な水溶性高分子としては、合成高分子が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類及びそれを含有する共重合体が挙げられる。
水溶性高分子の重量平均分子量は、1,000以上200,000以下が好ましい。さらには、3,000以上40,000以下がより好ましい。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールとしては、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。また、ケン化度は、70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−10483号に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号および同63−307979号に記載されているような、ビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号に記載されている疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど2種以上を併用してもよい。
本発明においては、水溶性高分子とともに硬化剤を使用してもよい。水溶性高分子がポリビニルアルコールの場合には、ホウ酸およびその塩やエポキシ系硬化剤が好ましい。
高屈折率層および低屈折率層に含まれる水溶性高分子の含有量は、その層に含まれる金属酸化物粒子(詳細は後述する)100質量%に対して、50〜150質量%であることが好ましく、より好ましくは80〜120質量%である。水溶性高分子の量が少なすぎると膜の強度が落ちる場合があり、多すぎる場合、膜の屈折率が下がる場合がある。なお、高屈折率層および低屈折率層に含まれる水溶性高分子は、互いに同一であってもよいし、異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。
〔金属酸化物粒子〕
本形態に係る赤外遮蔽フィルムに用いられうる金属酸化物粒子としては、例えば、二酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、チタン酸鉛、鉛丹、黄鉛、亜鉛黄、酸化クロム、酸化第二鉄、鉄黒、酸化銅、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化イットリウム、酸化ニオブ、酸化ユーロピウム、酸化ランタン、ジルコン、酸化スズなどが挙げられる。
透明でより屈折率の高い高屈折率層を形成するために、高屈折率層は、チタン、ジルコニア等の高屈折率金属酸化物微粒子、すなわち、酸化チタン微粒子、酸化ジルコニア微粒子を含有させることが好ましい。特に、体積平均粒径が100nm以下のルチル型(正方晶形)酸化チタン粒子を含有することが好ましい。
本発明で用いられる酸化チタン粒子または酸化ジルコニア粒子の体積平均粒径は、100nm以下であることが好ましく、4〜50nmであることがより好ましく、4〜40nmであるのがさらに好ましい。体積平均粒径が100nm以下であれば、ヘイズが少なく可視光透過性に優れる観点で好ましい。
ここでいう体積平均粒径とは、媒体中に分散された一次粒子または二次粒子の体積平均粒径であり、レーザー回折/散乱法、動的光散乱法等により測定できる。
各層に存在する粒子の平均径を測定する場合は、具体的には、粒子そのものあるいは屈折率層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を測定し、それぞれd1、d2・・・di・・・dkの粒径を持つ粒子がそれぞれn1、n2・・・ni・・・nk個存在する金属酸化物粒子の集団において、粒子1個当りの体積をviとした場合に、体積平均粒径mv={Σ(vi・di)}/{Σ(vi)}で表される体積で重み付けされた平均粒径を算出する。
さらに、本発明で用いられる酸化チタン粒子または酸化ジルコニア粒子は、単分散であることが好ましい。ここでいう単分散とは、下記式で求められる単分散度が40%以下であることをいう。この単分散度は、さらに好ましくは30%以下であり、特に好ましくは0.1〜20%である。
Figure 2012252107
本発明で用いられる酸化チタン粒子としては、pHが1.0〜3.0で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルの酸化チタン粒子の表面を、疎水化して有機溶剤に分散可能な状態にしたものを用いることが好ましい。
本発明で用いることのできる水系の酸化チタンゾルの調製方法としては、たとえば、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報、特開昭63−17221号公報、特開平7−819号公報、特開平9−165218号公報、特開平11−43327号公報等に記載された事項を参照にすることができる。
高屈折率層における金属酸化物粒子の含有量としては、高屈折率層の固形分100質量%に対して、15〜70質量%であることが好ましく、20〜65質量%であることがより好ましく、30〜60質量%であることがさらに好ましい。
一方、低屈折率層に含まれる金属酸化物粒子としては、二酸化ケイ素が好ましく、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。これらのうち、酸性のコロイダルシリカゾルを用いることがより好ましく、有機溶媒に分散させたコロイダルシリカゾルを用いることがさらに好ましい。また、屈折率をより低減させるためには、金属酸化物微粒子として、粒子の内部に空孔を有する中空微粒子を用いることが特に好ましく、二酸化ケイ素(シリカ)の中空微粒子が最も好ましい。
低屈折率層に含まれる金属酸化物粒子は、その体積平均粒径が3〜100nmであることが好ましく、3〜50nmであるのがより好ましく、3〜30nmであるのがさらに好ましい。
低屈折率層に含まれる金属酸化物微粒子の体積平均粒径は、高屈折層に含まれる金属酸化物粒子の平均粒径の測定と同様の方法により求められる。
本発明で用いられるコロイダルシリカは、珪酸ナトリウムの酸等による複分解やイオン交換樹脂層を通過させて得られるシリカゾルを加熱熟成して得られるものであり、たとえば、特開昭57−14091号公報、特開昭60−219083号公報、特開昭60−219084号公報、特開昭61−20792号公報、特開昭61−188183号公報、特開昭63−17807号公報、特開平4−93284号公報、特開平5−278324号公報、特開平6−92011号公報、特開平6−183134号公報、特開平6−297830号公報、特開平7−81214号公報、特開平7−101142号公報、特開平7−179029号公報、特開平7−137431号公報、および国際公開第94/26530号パンフレットなどに記載されているものである。
かようなコロイダルシリカは合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
コロイダルシリカは、その表面をカチオン変性されたものであってもよく、また、Al、Ca、MgまたはBa等で処理された物であってもよい。
本発明で用いられる中空微粒子は、平均粒子空孔径が、3〜70nmであるのが好ましく、5〜50nmがより好ましく、5〜45nmがさらに好ましい。なお、中空微粒子の平均粒子空孔径とは、中空微粒子の内径の平均値である。本発明において、中空微粒子の平均粒子空孔径は、上記範囲であれば、十分に低屈折率層の屈折率が低屈折率化される。平均粒子空孔径は、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形または実質的に円形は楕円形として観察できる空孔径を、ランダムに50個以上観察し、各粒子の空孔径を求め、その数平均値を求めることにより得られる。なお、本明細書中、平均粒子空孔径としては、円形、楕円形または実質的に円形もしくは楕円形として観察できる空孔径の外縁を、2本の平行線で挟んだ距離のうち、最小の距離を意味する。
本発明で用いられる中空微粒子は、外郭の平均厚さは10nm以下であるのが好ましく、1〜7nmがより好ましく、1〜5nmがさらに好ましい。なお、本明細書中、中空微粒子における空孔の外側部分を外郭と称する。外郭の厚さが10nm以下であれば、ヘイズが少なく、赤外遮蔽フィルムの光透過率性が優れるため好ましい。外郭の厚さが1nm以上であれば、粒子の機械的強度が増して低屈折率層中でその形状を維持できるため、空孔の形成が容易となる。外郭の平均厚さは、電子顕微鏡観察で、円形、楕円形または実質的に円形は楕円形として観察できる空孔の外郭の平均厚さを、ランダムに50個以上観察し、各粒子の外郭の平均厚さを求め、その数平均値を求めることにより得られる。
かような中空微粒子は、合成品を用いてもよいし、市販品を用いてもよい。ここで、二酸化ケイ素(シリカ)の中空微粒子としては、例えば、アルカリ条件下(例えば、アンモニアを添加)、炭酸カルシウム水分散液に、有機ケイ素化合物(例えば、テトラエトキシシランなどのアルコキシシラン)を加え、撹拌する。その後、50〜80℃に加熱して撹拌し、シリカ被覆炭酸カルシウム分散液を得る。該シリカ被覆炭酸カルシウム分散液を、酸性条件下(たとえば、酢酸を添加)で、炭酸カルシウムを分解し、炭酸ガスを発生させて、炭酸カルシウムを溶出する。得られた分散液に蒸留水を添加した後、添加したのと同量の蒸留水が排出されるまで、分散液に限外ろ過を行う。該限外ろ過を1〜5回行うことで、シリカ中空微粒子を含有する分散液を得ることができる。
低屈折率層における金属酸化物粒子の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、0.1〜50質量%であることが好ましく、0.5〜45質量%であることがより好ましく、1〜40質量%であることがさらに好ましく、5〜30質量%であることが特に好ましい。
〔熱ゲル化剤〕
本形態に係る赤外遮蔽フィルムは、高屈折率層および低屈折率層の少なくとも1層が熱ゲル化剤を含む点に特徴がある。かような構成とすることにより、赤外遮蔽フィルムにおけるひび割れ、ムラ、さらに、高屈折率層と低屈折率層との間の粒子の混合が防止される。その結果、柔軟性や透明性、赤外遮蔽性に優れた赤外遮蔽フィルムを高い生産性で製造することができる。
本明細書において、「熱ゲル化剤」とは、水に溶解し、昇温により増粘ゲル化し、冷却によりゾル化する性質を有する物質である。熱ゲル化剤がゲル化する温度について特に制限はないが、好ましくは40℃以上であり、より好ましくは50℃以上であり、さらに好ましくは60℃以上である。上述の定義を満たす限り、本形態において用いられる熱ゲル化剤の具体的な形態について制限はない。一例を挙げると、熱ゲル化剤としては、例えば、カードラン、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、卵白、大豆グロブリンなどが挙げられる。この際、ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、分子量やメトキシ基・プロピル基の含有量などに応じて溶解時の粘度・溶解性が異なることから、好ましい性質のものを適宜選択して用いればよい。なお、製造された赤外遮蔽フィルムにおいて、熱ゲル化剤は、通常は既にゲル化した状態にある。かような場合についても、「熱ゲル化剤を含む」と解するものとする。このことは、後述する「低温ゲル化剤」についても同様である。
上述したように、本形態に係る赤外遮蔽フィルムは、高屈折率層および低屈折率層の少なくとも1層が熱ゲル化剤を含めばよいが、好ましい実施形態においては、高屈折率層の少なくとも1層が熱ゲル化剤を含むことが好ましい。また、他の好ましい実施形態においては、すべての高屈折率層が熱ゲル化剤を含むことが好ましい。さらに他の好ましい実施形態では、高屈折率層および低屈折率層の双方の少なくとも1層ずつが熱ゲル化剤を含むことが好ましく、すべての高屈折率層およびすべての低屈折率層が熱ゲル化剤を含むことがより好ましい。
各層に含まれる熱ゲル化剤の含有量について特に制限はないが、高屈折率層が熱ゲル化剤を含む場合における高屈折率層における熱ゲル化剤の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましく、7〜20質量%であることがさらに好ましい。また、低屈折率層が熱ゲル化剤を含む場合における低屈折率層における熱ゲル化剤の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましく、7〜20質量%であることがさらに好ましい。
〔低温ゲル化剤〕
本形態に係る赤外遮蔽フィルムのより好ましい実施形態では、高屈折率層および低屈折率層の少なくとも1層が低温ゲル化剤を含む。かような構成とすることにより、熱ゲル化剤の採用によって発揮される上記の作用効果の発現をより一層確実なものとすることができるという利点がある。
本明細書において、「低温ゲル化剤」とは、水溶液に溶解し、冷却により増粘ゲル化し、昇温によりゾル化する性質を有する物質である。低温ゲル化剤がゲル化する温度について特に制限はないが、好ましくは10℃以下であり、より好ましくは15℃以下であり、さらに好ましくは20℃以下である。かような定義を満たす限り、本形態において用いられる熱ゲル化剤の具体的な形態について制限はない。一例を挙げると、低温ゲル化剤としては、例えば、ゼラチン、カラギーナン、ジェランガム、ペクチン、アルギン酸ナトリウムなどが開発されている。また、他成分を共存させることで冷却による増粘ゲル化を起こすものも多くあり、例えば、ガラクトキシシクログルカンとアルコールとの組み合わせや、ポリビニルアルコール・ホウ酸・シリカの組み合わせなどが好ましく用いられうる。
低温ゲル化剤についても、高屈折率層および低屈折率層の少なくとも1層が低温ゲル化剤を含む場合、好ましい実施形態においては、高屈折率層の少なくとも1層が低温ゲル化剤を含むことが好ましい。また、他の好ましい実施形態においては、すべての高屈折率層が低温ゲル化剤を含むことが好ましい。さらに他の好ましい実施形態では、高屈折率層および低屈折率層の双方の少なくとも1層ずつが低温ゲル化剤を含むことが好ましく、すべての高屈折率層およびすべての低屈折率層が低温ゲル化剤を含むことがより好ましい。
低温ゲル化剤が用いられる場合における、各層に含まれる低温ゲル化剤の含有量についても特に制限はないが、高屈折率層が低温ゲル化剤を含む場合における高屈折率層における低温ゲル化剤の含有量は、高屈折率層の固形分100質量%に対して、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましく、7〜20質量%であることがさらに好ましい。また、低屈折率層が低温ゲル化剤を含む場合における低屈折率層における低温ゲル化剤の含有量は、低屈折率層の固形分100質量%に対して、3〜30質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましく、7〜20質量%であることがさらに好ましい。
〔その他の添加剤〕
高屈折率層および低屈折率層には、必要に応じて各種添加剤を用いることができる。その一例を以下に記載する。
(等電点が6.5以下のアミノ酸)
高屈折率層または低屈折率層は、等電点が6.5以下のアミノ酸を含有していてもよい。アミノ酸を含むことにより、高屈折率層または低屈折率層中の金属酸化物粒子の分散性が向上しうる。
ここでアミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシル基とを有する化合物であり、α−、β−、γ−などいずれのタイプのアミノ酸でもよい。アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独であるいはラセミ体でも使用することができる。
アミノ酸の詳しい解説は、化学大辞典1縮刷版(共立出版;昭和35年発行)268頁〜270頁の記載を参照することができる。
具体的に好ましいアミノ酸として、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、セリン、等を挙げることができ、特にグリシン、セリンが好ましい。
アミノ酸の等電点とは、アミノ酸は特定のpHにおいて分子内の正・負電荷が釣り合い、全体としての電荷が0となるので、このpH値をいう。各アミノ酸の等電点については、低イオン強度での等電点電気泳動で求めることが出来る。
(エマルジョン樹脂)
高屈折率層または低屈折率層は、エマルジョン樹脂をさらに含有していてもよい。エマルジョン樹脂を含むことにより、膜の柔軟性が高くなりガラスへの貼りつけ等の加工性がよくなる。
エマルジョン樹脂とは、水系媒体中に微細な、例えば、平均粒径が0.01〜2.0μm程度の樹脂粒子がエマルジョン状態で分散されている樹脂で、油溶性のモノマーを、水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合して得られる。用いる分散剤の種類によって、得られるエマルジョン樹脂のポリマー成分に基本的な違いは見られない。エマルジョンの重合時に使用される分散剤としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジエチルアミン、エチレンジアミン、4級アンモニウム塩のような低分子の分散剤の他に、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエキシエチレンラウリル酸エーテル、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドンのような高分子分散剤が挙げられる。水酸基を有する高分子分散剤を用いてエマルジョン重合すると、微細な微粒子の少なくとも表面に水酸基の存在が推定され、他の分散剤を用いて重合したエマルジョン樹脂とはエマルジョンの化学的、物理的性質が異なる。
水酸基を含む高分子分散剤とは、重量平均分子量が10000以上の高分子の分散剤で、側鎖または末端に水酸基が置換されたものであり、例えばポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミドのようなアクリル系の高分子で2−エチルヘキシルアクリレートが共重合されたもの、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコールのようなポリエーテル、ポリビニルアルコールなどが挙げられ、特にポリビニルアルコールが好ましい。
高分子分散剤として使用されるポリビニルアルコールは、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、カチオン変性したポリビニルアルコールやカルボキシル基のようなアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール、シリル基を有するシリル変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。ポリビニルアルコールは、平均重合度は高い方がインク吸収層を形成する際のクラックの発生を抑制する効果が大きいが、平均重合度が5000以内であると、エマルジョン樹脂の粘度が高くなく、製造時に取り扱いやすい。したがって、平均重合度は300〜5000のものが好ましく、1500〜5000のものがより好ましく、3000〜4500のものが特に好ましい。ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100モル%のものが好ましく、80〜99.5モル%のものがより好ましい。
上記の高分子分散剤で乳化重合される樹脂としては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニル系化合物、スチレン系化合物といったエチレン系単量体、ブタジエン、イソプレンといったジエン系化合物の単独重合体または共重合体が挙げられ、例えばアクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂等が挙げられる。
(その他の添加剤)
その他にも、高屈折率層または低屈折率層は、例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号公報、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報および同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
赤外遮蔽フィルムは、基材の下または基材と反対側の最表面層の上に、さらなる機能の付加を目的として、導電性層、帯電防止層、ガスバリア層、易接着層(接着層)、防汚層、消臭層、流滴層、易滑層、ハードコート層、耐摩耗性層、反射防止層、電磁波シールド層、紫外線吸収層、赤外線吸収層、印刷層、蛍光発光層、ホログラム層、剥離層、粘着層、接着層、本発明の高屈折率層および低屈折率層以外の赤外線カット層(金属層、液晶層)、着色層(可視光線吸収層)、合わせガラスに利用される中間膜層などの機能層の1つ以上を有していてもよい。
[赤外遮蔽フィルムの製造方法]
本発明の他の形態によれば、赤外遮蔽フィルムの製造方法もまた、提供される。具体的には、本形態に係る製造方法は、第1の水溶性高分子および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、第2の水溶性高分子および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液とを塗布する工程(塗布工程)を含む。そして、当該製造方法は、塗布工程の少なくとも1つにおいて、高屈折率層用塗布液または低屈折率層用塗布液が熱ゲル化剤を含み、熱ゲル化剤を含む塗布液の塗膜を加熱して熱ゲル化剤をゲル化させる加熱ゲル化工程をさらに含む点に特徴を有する。通常は塗布液の塗布は基材上に行われるため、以下、かような形態を例に挙げて、より詳細に説明する。
基材上への各屈折率層の形成手法については特に制限されないが、高屈折率層用塗布液および低屈折率層用塗布液とを交互に塗布、乾燥して積層体を形成することが好ましい。具体的には以下の形態が挙げられる;(1)基材上に、高屈折率層塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成した後、低屈折率層塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成し、赤外遮蔽フィルムを形成する方法;(2)基材上に、低屈折率層塗布液を塗布し乾燥して低屈折率層を形成した後、高屈折率層塗布液を塗布し乾燥して高屈折率層を形成し、赤外遮蔽フィルムを形成する方法;(3)基材上に、高屈折率層塗布液と、低屈折率層塗布液とを交互に逐次重層塗布した後乾燥して、高屈折率層、および低屈折率層を含む赤外遮蔽フィルムを形成する方法;(4)基材上に、高屈折率層塗布液と、低屈折率層塗布液とを同時重層塗布し、乾燥して、高屈折率層および低屈折率層を含む赤外遮蔽フィルムを形成する方法;などが挙げられる。なかでも、より簡便な製造プロセスとなる上記(4)の方法が好ましい。
塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
高屈折率層塗布液および低屈折率層塗布液を調製するための溶媒は、特に制限されないが、水、有機溶媒、またはその混合溶媒が好ましい。
前記有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−ブタノールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのエステル類、ジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド類、アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、シクロヘキサノンなどのケトン類などが挙げられる。これら有機溶媒は、単独でもまたは2種以上混合して用いてもよい。環境面、操作の簡便性などから、塗布液の溶媒としては、特に水、または水とメタノール、エタノール、もしくは酢酸エチルとの混合溶媒が好ましく、水がより好ましい。
高屈折率層塗布液中の水溶性高分子の濃度は、1〜10質量%であることが好ましい。また、高屈折率層塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。さらに、高屈折率層用塗布液が熱ゲル化剤を含む場合のその濃度は、好ましくは0.1〜3質量%であり、より好ましくは1〜2質量%である。この濃度が0.1質量%以上であれば、後述する加熱ゲル化工程における加熱によるゲル化が十分に進行しうる。一方、この濃度が3質量%以下であれば、加熱ゲル化工程における加熱によるゲル化が不均一になることに伴うムラの発生が抑制されうる。また、高屈折率層用塗布液が低温ゲル化剤を含む場合のその濃度は、好ましくは0.3〜10質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましく、0.7〜2質量%であることがさらに好ましい。この濃度が0.3質量%以上であれば、粒子の十分な混合が期待でき、一方、この濃度が10質量%以下であれば、塗膜の均一性が十分に確保されうる。
低屈折率層塗布液中の水溶性高分子の濃度は、1〜10質量%であることが好ましい。また、低屈折率層塗布液中の金属酸化物粒子の濃度は、1〜50質量%であることが好ましい。さらに、上述した高屈折率層用塗布液の場合と同様の理由から、低屈折率層用塗布液が熱ゲル化剤を含む場合のその濃度は、好ましくは0.1〜3質量%であり、より好ましくは1〜2質量%である。また、低屈折率層用塗布液が低温ゲル化剤を含む場合のその濃度は、好ましくは0.3〜10質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることがより好ましく、0.7〜2質量%であることがさらに好ましい。この濃度が0.3質量%以上であれば、粒子の十分な混合が期待でき、一方、この濃度が10質量%以下であれば、塗膜の均一性が十分に確保されうる。
高屈折率層塗布液および低屈折率層塗布液の調製方法は、特に制限されず、例えば、水溶性高分子、金属酸化物粒子、熱ゲル化剤および低温ゲル化剤、並びに必要に応じて添加されるその他の添加剤を添加し、攪拌混合する方法が挙げられる。この際、各成分の添加順も特に制限されず、攪拌しながら各成分を順次添加し混合してもよいし、攪拌しながら一度に添加し混合してもよい。必要に応じて、さらに溶媒を用いて、適当な粘度に調製される。
本発明においては、体積平均粒径が100nm以下のルチル型の酸化チタンを添加、分散して調製した水系の高屈折率層塗布液を用いて、高屈折率層を形成することが好ましい。この際、ルチル型の酸化チタンとしては、pHが1.0以上、3.0以下で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルとして、高屈折率層塗布液に添加して調製することが好ましい。
上記(4)の同時重層塗布を行う際の高屈折率層塗布液と低屈折率層塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、任意の手法を用いることができる。塗布液を塗布する際の塗布液の温度は、好ましくは15〜40℃であり、より好ましくは30〜40℃である。そして、例えば同時重層塗布を行った後、低温ゲル化剤を含まない場合には加熱処理を施すことにより熱ゲル化剤をゲル化させて塗布液を増粘させ(加熱ゲル化工程)、さらに必要に応じて温風等により加熱乾燥することで高屈折率層および低屈折率層に含有されている粒子の混合を抑制しつつ赤外遮蔽フィルムを製造することができる。この際、加熱ゲル化工程における加熱条件について、温度は好ましくは60〜150℃であり、加熱時間は好ましくは10〜60秒間である。また、加熱ゲル化工程後の乾燥条件については、50℃以上で乾燥することが好ましく、より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度50℃〜150℃、膜面温度50℃〜100℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の加熱ゲル化工程における加熱方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
一方、低温ゲル化剤を併用する場合には、例えば同時重層塗布を行った後、冷却(冷風を用いるなど)により低温ゲル化剤をゲル化させて塗布液を増粘させ(冷却ゲル化工程)、次いで加熱処理を施すことにより熱ゲル化剤をゲル化させて塗布液を増粘させ(加熱ゲル化工程)、さらに必要に応じて温風等により加熱乾燥することで高屈折率層および低屈折率層に含有されている粒子の混合を抑制しつつ赤外遮蔽フィルムを製造することができる。この際、冷却ゲル化工程における冷却時の温度は好ましくは1〜15℃であり、より好ましくは10〜15℃である。また、冷却時間は好ましくは10〜60秒間である。なお、冷却ゲル化工程における冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。そして、冷却ゲル化工程後の加熱ゲル化工程における加熱処理時の温度は好ましくは10℃以上であり、より好ましくは湿球温度5〜58℃、膜面温度10〜80℃の範囲の条件で行うことである。
上述したそれぞれの形態において、熱ゲル化剤をゲル化させるための加熱ゲル化工程における加熱方法としては、温風加熱、赤外線加熱、マイクロウェーブ加熱などいずれの方法も用いられうる。ただし、昇温速度が速く蒸発により熱が奪われない赤外加熱を用いてゲル化温度まで塗布液を昇温し、塗布液のゲル化後に温風乾燥を行うことが生産性およびコストの観点から好ましい。
〔赤外遮蔽体〕
本発明により提供される赤外遮蔽フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、赤外遮蔽効果を付与する赤外遮蔽フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
特に、本発明に係る赤外遮蔽フィルムが直接または接着剤を介してガラスまたはガラス代替の樹脂などの基体に貼合されている部材に好適である。
すなわち、本発明のさらに他の形態によれば、本発明に係る赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体をも提供する。
前記基体の具体的な例としては、例えば、ガラス、ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフィド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、スチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、金属板、セラミック等が挙げられる。樹脂の種類は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂のいずれでも良く、これらを2種以上組み合わせて用いても良い。本発明で使用されうる基体は、押出成形、カレンダー成形、射出成形、中空成形、圧縮成形等、公知の方法で製造することができる。基体の厚みは特に制限されないが、通常0.1mm〜5cmである。
赤外遮蔽フィルムと基体とを貼り合わせる接着層または粘着層は、赤外遮蔽フィルムを日光(熱線)入射面側に設置することが好ましい。また、本発明に係る赤外遮蔽フィルムを、窓ガラスと基体との間に挟持すると、水分等の周囲のガスから封止でき耐久性に優れるため好ましい。本発明に係る赤外遮蔽フィルムを屋外や車の外側(外貼り用)に設置しても環境耐久性があって好ましい。
本発明に適用可能な接着剤としては、光硬化性もしくは熱硬化性の樹脂を主成分とする接着剤を用いることができる。
接着剤は紫外線に対して耐久性を有するものが好ましく、アクリル系粘着剤またはシリコーン系粘着剤が好ましい。更に粘着特性やコストの観点から、アクリル系粘着剤が好ましい。特に剥離強さの制御が容易なことから、アクリル系粘着剤において、溶剤系が好ましい。アクリル溶剤系粘着剤として溶液重合ポリマーを使用する場合、そのモノマーとしては公知のものを使用できる。
また、合わせガラスの中間層として用いられるポリビニルブチラール系樹脂、あるいはエチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂を用いてもよい。具体的には可塑性ポリビニルブチラール(積水化学工業社製、三菱モンサント社製等)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(デュポン社製、武田薬品工業社製、デュラミン)、変性エチレン−酢酸ビニル共重合体(東ソー社製、メルセンG)等である。なお、接着層には紫外線吸収剤、抗酸化剤、帯電防止剤、熱安定剤、滑剤、充填剤、着色、接着調整剤等を適宜添加配合してもよい。
赤外遮蔽フィルムまたは赤外遮蔽体の断熱性能、日射熱遮へい性能は、一般的にJIS R 3209(複層ガラス)、JIS R 3106(板ガラス類の透過率・反射率・放射率・日射熱取得率の試験方法)、JIS R 3107(板ガラス類の熱抵抗および建築における熱貫流率の算定方法)に準拠した方法により求めることができる。
日射透過率、日射反射率、放射率、可視光透過率の測定は、(1)波長(300〜2500nm)の分光測光器を用い、各種単板ガラスの分光透過率、分光反射率を測定する。また、波長5.5〜50μmの分光測定器を用いて放射率を測定する。なお、フロート板ガラス、磨き板ガラス、型板ガラス、熱線吸収板ガラスの放射率は既定値を用いる。(2)日射透過率、日射反射率、日射吸収率、修正放射率の算出は、JIS R 3106に従い、日射透過率、日射反射率、日射吸収率、垂直放射率を算出する。修正放射率に関しては、JIS R 3107に示されている係数を、垂直放射率に乗ずることにより求める。断熱性、日射熱遮へい性の算出は、(1)厚さの測定値、修正放射率を用いJIS R 3209に従って複層ガラスの熱抵抗を算出する。ただし中空層が2mmを超える場合はJIS R 3107に従って中空層の気体熱コンダクタンスを求める。(2)断熱性は、複層ガラスの熱抵抗に熱伝達抵抗を加えて熱貫流抵抗で求める。(3)日射熱遮蔽性はJIS R 3106により日射熱取得率を求め、1から差し引いて算出する。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」または「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」または「質量%」を表す。
≪赤外遮蔽フィルムの作製≫
[金属酸化物粒子の作製]
〈コロイダルシリカゾル〉
日本化学工業製シリカドール20Pを用いた。
〈酸化チタン粒子ゾルの調製〉
二酸化チタン水和物を水に懸濁させた水性懸濁液(TiO濃度100g/L)10L(リットル)に、水酸化ナトリウム水溶液(濃度10モル/L)を30L撹拌下で添加し、90℃に昇温し、5時間熟成した後、塩酸で中和、濾過、水洗した。なお、上記反応(処理)において、二酸化チタン水和物は公知の手法に従い、硫酸チタン水溶液を熱加水分解して得られたものを用いた。
塩基処理チタン化合物をTiO濃度20g/Lになるよう純水に懸濁させ、撹拌下クエン酸をTiO量に対し0.4モル%加え昇温した。液温が95℃になったところで、濃塩酸を塩酸濃度30g/Lになるように加え、液温を維持しつつ3時間撹拌して、酸化チタン粒子が20質量%となるようにして、酸化チタン粒子ゾル溶液を調製した。
得られた酸化チタン粒子ゾル溶液のpHおよびゼータ電位を測定したところ、25℃におけるpHは1.4、ゼータ電位は+40mVであった。さらに、マルバーン社製ゼータサイザーナノにより粒径測定を行ったところ、体積平均粒径は35nm、単分散度は16%であった。また、酸化チタン粒子ゾル溶液を105℃で3時間乾燥させて粒子紛体を得て、日本電子データム社製JDX−3530型)を用いてX線回折の測定を行い、ルチル型酸化チタン粒子であることを確認した。
[赤外遮蔽フィルムの作製]
上記で調製した酸化チタン粒子ゾル溶液、ポバール水溶液(クラレ株式会社製、PVA217 5重量%溶液)、熱ゲル化剤水溶液(2重量%溶液)、低温ゲル化剤水溶液(5重量%溶液)、および純水を、45℃に保ちつつ適宜配合して、下記の表1に記載の高屈折率層用塗布液を調製した。一方、上述したコロイダルシリカゾル溶液、ポバール水溶液(クラレ株式会社製、PVA217 5重量%溶液)、熱ゲル化剤水溶液(2重量%溶液)、低温ゲル化剤水溶液(5重量%溶液)、および純水を、45℃に保ちつつ適宜配合して、下記の表1に記載の低屈折率層用塗布液を調製した。なお、表1において、各塗布液中の上記各成分の質量%を括弧内に示す。
これらの塗布液を用い、同時重層用スライドコーターによって各層流量を調整し、各層の乾燥時厚みを200nmに設定して高屈折率層および低屈折率層が交互に各7層積層されるように同時重層塗布を行った(塗布工程)。そして、熱ゲル化剤を含み低温ゲル化剤を含まない場合には、塗布工程に続いて50℃の温風による温風乾燥ゾーンを20秒間で通過させて熱ゲル化剤をゲル化させた(加熱ゲル化工程)。一方、熱ゲル化剤に加えて低温ゲル化剤をも含む場合には、温風乾燥ゾーンの前に5℃の冷風による冷却ゾーンを20秒間で通過させて低温ゲル化剤をゲル化させ(冷却ゲル化工程)、次いで上記と同様に温風乾燥ゾーンを通過させて加熱ゲル化工程を行った。これにより、赤外遮蔽フィルムを完成させた。
Figure 2012252107
≪赤外遮蔽フィルムの評価≫
上記で作製したそれぞれの赤外遮蔽フィルムについて、下記の特性値の測定および性能評価を行った。
[単層の評価]
上記で調製した各塗布液をPETフィルム上にワイヤーバーを用いて塗布し、それぞれ200nmの厚みの膜を作製し、プリズムカプラ(metricon社製)を用いて高屈折率層単層および低屈折率層単層の屈折率を測定した。その結果、すべての赤外遮蔽フィルムにおいて、対応する高屈折率層単層と低屈折率層単層との屈折率差は0.3以上であった。
[可視光透過率および熱線(赤外光)透過率の測定]
分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、上記で作製した赤外遮蔽フィルムの300nm〜2000nmの領域における透過率を測定した。この際、可視光透過率としては550nmにおける透過率の値を採用し、熱線(赤外光)透過率は1200nmにおける透過率の値を採用した。結果を下記の表2に示す。
[金属酸化物粒子の混合率の測定]
上記で作製した赤外遮蔽フィルムの断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、エネルギー分散型X線分光法(EDX)によりSi原子およびTi原子のマッピングを行った。そして、理論厚みである400nmに対してSiおよびTiがともに検出される膜厚の割合を混合率とした。結果を下記の表2に示す。
[赤外遮蔽フィルムの目視観察]
目視により、熱線反射フィルム表面のひび割れ、ムラを観察した。結果を下記の表2に示す。表2に示す結果について、判定基準は以下の通りであった。
◎:熱線反射フィルム表面に、ひび割れ、ムラは観察されない
○:熱線反射フィルム表面に、部分的に僅かなムラが観察される
△:熱線反射フィルム表面に、微小なひび割れ、ムラが観察される
×:熱線反射フィルム表面に、明らかなひび割れ、ムラが多数発生している
Figure 2012252107
表2に示す結果から、本発明に係る赤外遮蔽フィルムおよびその製造方法によれば、乾燥後も微小なひび割れがなく、高い可視光透過率および低い熱線透過率を示すことがわかる。

Claims (8)

  1. 基材上に、
    第1の水溶性高分子および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層と、
    第2の水溶性高分子および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層と、
    からなるユニットを少なくとも1つ有し、
    前記高屈折率層と前記低屈折率層との屈折率差は0.1以上であり、
    前記高屈折率層または前記低屈折率層の少なくとも1層が熱ゲル化剤を含む、赤外遮蔽フィルム。
  2. 前記熱ゲル化剤が、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、およびメチルセルロースからなる群から選択される1種または2種以上である、請求項1に記載の赤外遮蔽フィルム。
  3. 前記高屈折率層または前記低屈折率層の少なくとも1層が低温ゲル化剤を含む、請求項1または2に記載の赤外遮蔽フィルム。
  4. 第1の水溶性高分子および第1の金属酸化物粒子を含む高屈折率層用塗布液と、
    第2の水溶性高分子および第2の金属酸化物粒子を含む低屈折率層用塗布液と、
    を塗布する塗布工程を含み、
    前記塗布工程の少なくとも1つにおいて、前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液が熱ゲル化剤を含み、前記熱ゲル化剤を含む塗布液の塗膜を加熱して前記熱ゲル化剤をゲル化させる加熱ゲル化工程をさらに含む、赤外遮蔽フィルムの製造方法。
  5. 前記塗布工程を、前記高屈折率層用塗布液および前記低屈折率層用塗布液を同時重層塗布することにより行う、請求項4に記載の製造方法。
  6. 前記塗布工程の少なくとも1つにおいて、前記高屈折率層用塗布液または前記低屈折率層用塗布液が低温ゲル化剤を含み、前記低温ゲル化剤を含む塗布液の塗膜を冷却して前記低温ゲル化剤をゲル化させる冷却ゲル化工程をさらに含む、請求項4または5に記載の製造方法。
  7. 前記冷却ゲル化工程の後に、前記加熱ゲル化工程を行う、請求項6に記載の製造方法。
  8. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外遮蔽フィルム、または請求項4〜7のいずれか1項に記載の製造方法により得られる赤外遮蔽フィルムを、基体の少なくとも一方の面に設けた、赤外遮蔽体。
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