JP2012240750A - 包装用容器の蓋体及び容器本体、ならびに包装用容器 - Google Patents

包装用容器の蓋体及び容器本体、ならびに包装用容器 Download PDF

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Abstract

【課題】薄肉の合成樹脂シートによっても成形可能であり、複雑な形状とすることなく、十分な強度を有する包装用容器の蓋体及び容器本体、ならびに包装用容器を提供する。
【解決手段】天板部21と、当該天板部21に連接される蓋体側壁部22と、当該蓋体側壁部22に連接される蓋体フランジ部23とを備えた包装用容器の蓋体2において、前記天板部21の周縁を基点に前記蓋体側壁部22の下端まで次第に開拡する、横断面形状が略V字状の蓋体凹溝25が形成され、かつ、前記蓋体側壁部25の下端にて、前記蓋体凹溝25の下端に一致するように底部補強面26が形成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、合成樹脂シートにより成形される包装用容器の蓋体及びこれに組み合わされる容器本体、そして、これらから構成された包装用容器に関するものである。
近年では、弁当や惣菜等を特定の包装用容器に入れて運搬や販売等がなされており、そのための包装用容器も多岐にわたって製造されている。この包装用容器としては、ラップをかけて内容物を保護するトレーと、特定の蓋体を使用するようにしたパックとに大別することができるが、いずれにしても、衛生面の観点から合成樹脂を使用して成形がなされる。
ところで、これらの包装用容器(以下、単に「容器」ともいう)は、合成樹脂シート(例えばポリエチレンテレフタレートやOPS(延伸ポリスチレンシート)など)を材料として、真空成形または圧空成形などの熟成形によって製造されるものであり、この合成樹脂シートのシート厚をより薄くし、容器としてより軽量としたものが求められている。
ここで、蓋体が容器本体に嵌合された状態の容器を、運搬箱中に収納したり、店舗の陳列棚に陳列したりする場合には、例えば多段(3〜5段)に積み重ねされることが多い。このように容器を多段に積み重ねた際には、内容物の重量により、積み重ねられた容器に変形が生じやすくなる。
特に、この積み重ねした容器を顧客等が手に取ろうとした際には、容器が片手で持たれることが多いため、薄肉である合成樹脂シートを成形した容器には、一部に潰すような荷重がかかり易く、この荷重が集中し易くなるため変形してしまうことがある。
このような容器について、例えば特許文献1には、蓋体のコーナー部に補強凹所を形成したものが開示されている(図7参照)。この補強凹所500は、一端がコーナー部600の略中央から始まって、他端が蓋体の内方に向かう直線部501と、この直線部の両側に位置することになる略三角形状の平面502,502とにより構成されている。
特許第2750501号公報
しかしながら特許文献1では、蓋体が嵌合縁から上方に突出する側壁によって形成される突出部601を有し、更に、この突出部601の上方にも補助突出部602を段階的に形成することが必要である。つまり、この特許文献1の蓋体は、このような、蓋体における天板部に更に段階的な突出部を設けた形状としなければ、全体の剛性を確保することができない。また、特許文献1における補強凹所500だけでは、前記のように、積み重ね時の強度や容器が手に取られた際の強度の確保が十分ではないことが判った。
そして蓋体に関しては、このような複雑な形状とした場合、その分天板部における平坦な領域が狭くなって視認性低下の要因となるため、容器を上方から見た際に収納物が見えにくくなり、顧客に収納物の良さを訴求することが不充分となる。
そこで本発明は、従来よりも薄肉の合成樹脂シートによっても容易に成形でき、複雑な形状とすることなく、十分な強度を有する包装用容器の蓋体及び容器本体、ならびに包装用容器を提供することを課題とする。そしてこれに加え、視認性を低下させることなく十分な強度を有する包装用容器の蓋体を提供することを課題とする。
本願の発明者は、前記課題につき種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成した。
つまり本発明は、天板部と、当該天板部に連接される蓋体側壁部と、当該蓋体側壁部に連接される蓋体フランジ部とを備えた包装用容器の蓋体において、前記天板部の周縁を基点に前記蓋体側壁部の下端まで次第に開拡する、横断面形状が略V字状の蓋体凹溝が形成され、かつ、前記蓋体側壁部の下端にて、前記蓋体凹溝の下端に一致するように底部補強面が形成されたことを特徴とする。
なお、前記「天板部の周縁」とは、天板部と蓋体側壁部との境目のみを指すものではなく、当該境目近傍で天板部の内側寄り領域も含む概念である。
前記の構成によると、蓋体凹溝と底部補強面とが形成されたことにより、上下方向の圧縮荷重を受け止めることができる。
そして本発明は、底面部と、当該底面部に連接される容器本体側壁部と、前記容器本体側壁部に連接される容器本体フランジ部とを備えた容器本体において、前記底面部の周縁を基点に前記容器本体側壁部の上端まで次第に開拡する、横断面形状が略V字状の容器本体凹溝が形成され、かつ、前記容器本体側壁部の上端にて、前記容器本体凹溝の上端に一致するように天部補強面が形成されたことを特徴とする。
なお、前記「底面部の周縁」とは、底面部と容器本体側壁部との境目のみを指すものではなく、当該境目近傍で底面部の内側寄り領域も含む概念である。
前記の構成によると、蓋体凹溝と天部補強面とが形成されたことにより、上下方向の圧縮荷重を受け止めることができる。
そして本発明は、天板部と、当該天板部に連接される蓋体側壁部と、当該蓋体側壁部に連接される蓋体フランジ部とを備えた蓋体、及び、当該蓋体と組み合わせられる容器本体を有する包装用容器において、前記蓋体は、前記天板部の周縁を基点に前記蓋体側壁部の下端まで次第に開拡する、横断面形状が略V字状の蓋体凹溝が形成され、かつ、前記蓋体側壁部の下端にて、前記蓋体凹溝の下端に一致するように底部補強面が形成されたことを特徴とする。
前記の構成によると、蓋部に蓋体凹溝と底部補強面とが形成されたことにより、上下方向の圧縮荷重を受け止めることができる
本発明は、上下方向の圧縮荷重を受け止めることができるように構成されているため、従来よりも薄肉の合成樹脂シートによっても容易に成形でき、複雑な形状とすることなく、十分な強度を有する包装用容器の蓋体及び容器本体、ならびに包装用容器を提供できる。そしてこれに加え、視認性を低下させることなく十分な強度を有する包装用容器の蓋体を提供できる。
本発明の一実施形態に係る包装用容器を示す斜視図である。 同実施形態に係る包装用容器を示す、長辺側の側面図である。 (A)は同実施形態に係る包装用容器の容器本体フランジ部を示す概略縦断面図であり、(B)は同蓋体フランジ部を示す概略縦断面図である。 (A)は同実施形態に係る包装用容器の容器本体凹溝を示す要部の斜視図であり、(B)は同蓋体凹溝を示す要部の斜視図であり、(C)は他の形態の蓋体凹溝を示す要部の斜視図である。 (A)は同実施形態に係る包装用容器の容器本体凹溝を示す要部の縦断面図であり、(B)は同蓋体凹溝を示す要部の縦断面図である。 圧縮強度を測定するための試験の概要を示す概略斜視図である。 (A)は従来の包装用容器の蓋体を示す要部の斜視図であり、(B)は(A)の要部拡大図である。
本発明の一実施形態に係る包装用容器について図面を参照しながら説明する。なお、以下の位置関係の表現のうち、「上下」とは図1及び図2のように包装用容器を配置した状態における上下方向であり、「内外」とは収納物が入る収納部を基準とした方向で、包装用容器の周囲へと向かう方向を外方向、逆の方向を内方向としたものである。「水平面」とは、包装用容器を水平方向に置いた場合の、容器本体が置かれる面を指す。
本実施形態の包装用容器(以下、単に「容器」とも表記する)は、図1に示すように構成され、食品等の収納物が入る空間を備えた収納部を有し、上方に開口部を有する容器本体1と、前記開口部を開閉自在とした蓋体2とを備えたものであって透明のものとされている。直接の図示はしていないが、この容器本体1と蓋体2とはヒンジ部3(図1に破線で符号のみを付した)を介して一体とされており、このヒンジ部3を折り曲げることで、蓋体2により容器本体1を閉蓋することができる。
本実施形態の容器(容器本体1及び蓋体2)は合成樹脂シートから成形される。この合成樹脂シートとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリオレフィン(ポリプロピレンやポリエチレン等)から構成されたシートを使用できる。これらの合成樹脂シートを1軸延伸、もしくは2軸延伸した延伸シートを用いると、容器本体をさらに軽量化できるので好ましい。本実施形態ではOPS(延伸ポリスチレンシート)を使用している。特に、蓋体2については視認性が要求されるため、透明な合成樹脂シートを使用することが好ましい。
また、前記合成樹脂シートとしては、少なくとも片面に非発泡の樹脂フィルムを積層したものであっても良く、更に、これら非発泡の樹脂フィルムに各種の印刷により模様が施されていても良い。また、リサイクルした樹脂を中間層として、その両面にバージン樹脂を積層してサンドイッチした積層シートも好適に使用できる。
前記の合成樹脂シートをオーブン等で加熱して成形可能な状態に軟化させたのち、真空圧空成形、両面真空成形やプラグアシスト成形などの熱成形によって容器を成形する。
[蓋体]
まず先に、蓋体2から説明を行う。この蓋体2は、図1及び図2に示すように、平面視が略長方形状の天板部21と、天板部21に連接され、当該天板部21の周縁から垂下するように設けられた蓋体側壁部22と、蓋体側壁部22に連接され、当該蓋体側壁部22の下端から順次外方へと延びるように設けられた蓋体フランジ部23とを一体に形成したものである。そして、蓋体2には蓋体凹溝25と底部補強面26とが形成されている。
蓋体側壁部22は、天板部21の周縁から下方に向かうにつれ外方へと突出するようにテーパ状に傾斜している。そして、天板部21における四隅のコーナー部には、蓋体側壁部22にもわたるようにして積み重ね係止用突部24が突出して設けられている。この積み重ね係止用突部24は、別の容器における容器本体1の底面部11において四隅に設けられた積み重ね用凹部18と重なり合うように係止することで、容器を安定的に積み重ねることができる。また、この積み重ね係止用突部24は、天板部21及び蓋体側壁部22におけるコーナー部の補強を兼ねるものにもなる。
天板部21及び蓋体側壁部22は、前記積み重ね係止用突部24、及び、後述する蓋体凹溝25等を除いた大部分が平面とされている。つまり、天板部21及び蓋体側壁部22の大部分に、視認性低下の要因となる凹凸あるいは段部等が存在しないため、天板部21及び蓋体側壁部22における平坦な領域を最も広くすることができるので、視認性が良好となり、特に、容器を上方から見た際に収納物がクリアーに見える。そのため、このように構成された天板部21及び蓋体側壁部22が、顧客に対して収納物の良さを訴求する効果を向上できる。
蓋体フランジ部23は、蓋体側壁部22の下端から外方に突出するように設けられている。図3(B)に示すように、この蓋体フランジ部23は、縁部231、垂下部232、突出部233からなっている。
縁部231は、蓋体2における周方向に高低差を有する斜面として構成されている。具体的には、図1に示すように、平面視における四隅であるコーナー部231aから順に谷部231bと山部231cとが交互に設けられており、コーナー部231aと谷部231bとの間、谷部231bと山部231cとの間が勾配のある平面とされている。蓋体2における長辺側には谷部231bが2箇所、山部231cが1箇所設けられており、短辺側には谷部231bが3箇所、山部231cが2箇所設けられている。このように縁部231が周方向に高低差を有する斜面として構成されたことにより、縁部231が高低差のない平坦な面として構成されたものよりも、上下方向の圧縮荷重により蓋体フランジ部23が撓みにくく、蓋体フランジ部23の強度を向上することができる。
なお、縁部231におけるコーナー部231a、谷部231b、山部231cのそれぞれは、後述する容器本体1に設けられた頂部132におけるコーナー部132a、谷部132b、山部132cのそれぞれと略一致するように構成されている。そして、蓋体2を閉じた際に、蓋体2の縁部231における斜面と容器本体1の頂部132の斜面とが上下方向で重なり合うことにより、容器のフランジ部13,23の強度をより向上させることができる。
垂下部232の下端の一部には、図示のように外方に突出した嵌合部232aが形成されており、当該嵌合部232aの図示左側部分が後述する容器本体1の嵌合部133aと係合することで両者が嵌合状態となり、蓋体2が閉じた状態を保持できる。この各嵌合部133a,232a同士の係合は、本実施形態では容器本体1の外側に蓋体2が嵌合するいわゆる「外嵌合」タイプとされているが、これとは逆に、容器本体1の内側に蓋体2が嵌合するいわゆる「内嵌合」タイプとされていても良いし、「外嵌合」と「内嵌合」の両タイプが一つの容器に混在するものであっても良い。
突出部233は、垂下部232の下端から水平方向に突出して設けられている。なお、この突出部233のうち長辺側の一方は、図示していないがヒンジ部3と一体とされている。そして、この突出部233の周縁側には、極細の多数の凹凸を形成することで補強するとともに、指などが当たっても、指などを切ることがないようにされている。この凹凸は、側面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山と谷の方向が各辺において幅方向に短く形成され、角部において角部と中心部とを結ぶ方向(放射方向)に平行に形成されている。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、さらには、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
突出部233のうち、ヒンジ部3と反対側(図1における手前側)にある二つのコーナー部は蓋体摘み部233aとされている。後述する容器本体摘み部134aと共に、手で摘んで各嵌合部133a,232aの嵌合を解除し、蓋体2を開くことができる。なお、この蓋体摘み部233aは、容器本体摘み部134aと同様、一つのコーナー部にのみ設けても良い。また、ヒンジ部3を設けずに容器本体1と蓋体2とを構成した場合には、四つのコーナー部に蓋体摘み部233aを設けても良い。
蓋体凹溝25は、天板部21の周縁を基点に蓋体側壁部22の下端まで次第に開拡するように形成された、横断面形状が略V字状の溝である。本実施形態では、図2に示すように、蓋体2における長辺側の蓋体側壁部22に2箇所ずつ、容器本体1における容器本体凹溝16と側面視において一致する位置に設けられているが、蓋体凹溝25を設ける位置及び数量はこれに限定されるものではない。
上方からの斜視図である図4(B)及び縦断面図である図5(B)に示すように、この蓋体凹溝25は、当該蓋体凹溝25の奥側にて上下方向に延びる折目251、その折目251を左右両側から挟むように形成された略三角形の平面である第1縦平面252及び第2縦平面253から構成されている。そしてこの蓋体凹溝25と共に、当該蓋体凹溝25の下端に一致するように底部補強面26が設けられている。そして、この蓋体凹溝25の最上端部25aは天板部21に位置している。そのため、天板部21の周縁はこの蓋体凹溝25によって略V字状に小さく切り欠かれたようになっている。
図5(B)に示すように、折目251は、下方に向かうにつれ蓋体側壁部22よりも離れていくように形成されている。つまり、テーパ状とされた蓋体側壁部22の水平面に対する傾斜よりも、この折目251の水平面に対する傾斜の方が急である。更に言い換えると、水平面からの立ち下りについては、蓋体側壁部22よりも折目251の方が垂直に近いことになる。ただし、成形後の蓋体2を金型から抜く工程との関係により、前記折目251の水平面からの立ち下りは、垂直よりも緩い(90°未満)傾斜とされる。
そして、図4(B)に示すように、第1縦平面252の外縁には第1外折目252aが形成され、第2縦平面253の外縁には第2外折目253aが形成される。蓋体凹溝25が蓋体側壁部22の下端まで次第に開拡することから、この第1外折目252aと第2縦平面253との間隔は下方に向かうにつれ広がっている。
このように形成された、折目251、第1外折目252a、第2外折目253aのそれぞれは、天板部21から蓋体フランジ部23に達するように上下方向にほぼ沿う折目であることから、上下方向の圧縮荷重に対する容器本体1の強度を向上できる。特に、折目251は前記のように立ち下りが蓋体側壁部22よりも垂直に近いため、前記圧縮荷重のかかる方向にほぼ一致する関係となり、前記圧縮荷重に対する抵抗を有効に発揮することができる。
しかも、第1外折目252aと第2外折目253aとは、折目251を基準として、下方に向かうにつれ離れる関係にあるため、第1外折目252a及び第2外折目253aを伝達される圧縮荷重は、凹溝25の上端では集中しており、同下端では、各折目の伝達分だけを考慮したとすると、三方向の荷重(折目251、第1外折目252a、第2外折目253aに対応する)に分散されることになる。このように下方に向かうにつれ荷重が分散することにより、集中した荷重がそのまま伝達される構造に比べると、凹溝25の下端位置における容器の撓みを効果的に抑制することができる。
また、前記のように、天板部21の周縁はこの蓋体凹溝25によって略V字状に切り欠かれたようになっている。つまり、第1外折目252a及び第2外折目253aが天板部21の周縁にも存在している。そのため、天板部21の周縁に何も形成しないものと比較して、天板部21の周縁において存在する第1外折目252a及び第2外折目253aもまた、前記圧縮荷重に対する抵抗として作用するものと考えられる。
また、蓋体凹溝25と共に設けられた底部補強面26は平面視において二等辺三角形である面(必ずしも平面である必要はなく、湾曲面であっても良い)とされており、一つの頂点26aに折目251が一致している。そして他の二つの頂点26b,26cに第1外折目252aと第2外折目253aとが各々一致している。ただし、本実施形態では、底部補強面26が蓋体フランジ部23の縁部231に沿って設けられ、当該底部補強面26が縁部231の谷部231bと一致する位置にある。そのため、底部補強面26は斜面となり、この斜面の対向視における形状は、図4(B)に示すように、前記頂点26aの外側に更に頂点26dを有する略菱形となっている。
このように底部補強面26が構成されたことにより、底部補強面26の各頂点26a〜26dのうち折目251、第1外折目252a、第2外折目253aに一致する頂点26a〜26cにおいて、折目251、第1外折目252a、第2外折目253aを伝達される前記圧縮荷重を受け止めることができる。この際、前記圧縮荷重を面ではなく角部で受け止めることから、底部補強面26に生じる撓みを小さくすることができる。
また、本実施形態における底部補強面26は蓋体フランジ部23の谷部231bと一致する位置に設けられている。そのため、前述したように上下方向の圧縮荷重に対して撓みにくくされた蓋体フランジ部23との相乗効果により、蓋体2の強度をより大きくできる。
[容器本体]
次に、容器本体1について説明する。この容器本体1は、図2に示すように、収納物を下方から支持できる平面視が略長方形状の底面部11と、底面部11に連接され、当該底面部11の周縁から上向きに立ち上がるように設けられた容器本体側壁部12と、容器本体側壁部12に連接され、当該容器本体側壁部12の上端から順次外方へと延びるように設けられた容器本体フランジ部13とを一体に形成したものである。そして、容器本体1には容器本体凹溝16と天部補強面17とが形成されている(図4(A)参照)。
底面部11には、収納物の重量によって撓みが発生しないように凹凸111が設けられている。容器本体側壁部12は、底面部11の周縁から上方に向かうにつれ外方へと突出するようにテーパ状に傾斜している。この容器本体側壁部12における四隅のコーナー部には、底面部11にもわたるようにしてコーナー補強リブ14が設けられている。また、容器本体側壁部12には、補強段差15が設けられている。
容器本体フランジ部13は、容器本体側壁部12の上端から外方に突出するように設けられている。図3(A)に示すように、この容器本体フランジ部13は、立上部131、頂部132、垂下部133、突出部134からなっている。
立上部131は、容器本体側壁部12の上端から更に上方に延長された部分である。
頂部132は、立上部131の上端から外方向に張り出した部分である。この頂部132は、容器本体1における周方向に高低差を有する斜面として構成されている。この斜面は、蓋体2の縁部231に対応した斜面とされており、直接の図示はしていないが(図1に破線で符号を付した)、平面視における四隅であるコーナー部132aから順に谷部132bと山部132cとが交互に設けられており、コーナー部132aと谷部132bとの間、谷部132bと山部132cとの間が勾配のある面とされている。容器本体1における長辺側には谷部132bが2箇所、山部132cが1箇所設けられており、短辺側には谷部132bが3箇所、山部132cが2箇所設けられている。このように頂部132が周方向に高低差を有する斜面として構成されたことにより、頂部132が高低差のない平坦な面として構成されたものよりも、上下方向の圧縮荷重により容器本体フランジ部13が撓みにくく、容器本体フランジ部13の強度を向上することができる。
垂下部133は、頂部132の周縁から下方に向かうように設けられた部分である。この垂下部133の下端の一部には、図示のように内方に向かう凹部である嵌合部133aが形成されており、当該嵌合部133aの図示右側部分が蓋体2の嵌合部232aと係合することで両者が嵌合状態となり、蓋体2が閉じた状態を保持できる。
突出部134は、垂下部133の下端から外方へと、水平方向に突出して設けられている。この突出部134のうち長辺側の一方はヒンジ部3と一体とされている。そして、この突出部134の周縁側には、極細の多数の凹凸を形成することで補強するとともに、指などが当たっても、指などを切ることがないようにされている。この凹凸は、側面から拡大して見たときに波形状とされ、多数の山と谷の方向が各辺において幅方向に短く形成され、角部において角部と中心部とを結ぶ方向(放射方向)に平行に形成されている。また、この凹凸は、例えば、平目ローレット目や綾目ローレット目のようなローレット目によって形成され、さらには、滑りにくいようにするため、綾目ローレット目によって形成することが好ましい。
突出部134のうち、ヒンジ部3と反対側にある二隅のコーナー部は容器本体摘み部134aとされている。図2に示すように、この容器本体摘み部134aには、上方に突出した半球形のポッチ134bが設けられており、閉蓋状態では、このポッチ134bが蓋体2における蓋体摘み部233aの下面に当接した場合に、容器本体摘み部134aと蓋体摘み部233aの間に隙間を有するようにできる。このように構成されたことにより、各摘み部134a,233aを手で摘んで各嵌合部133a,232aの係合状態を解除し、蓋体2を容易に開くことができる。なお、この容器本体摘み部134aは、一つのコーナー部にのみ設けても良い。また、ヒンジ部3を設けずに容器本体1と蓋体2とを構成した場合には、四つのコーナー部に容器本体摘み部134aを設けても良い。
容器本体凹溝16は、底面部11の周縁を基点に容器本体側壁部12の上端まで次第に開拡するように形成された、横断面形状が略V字状の溝である。本実施形態では、図2に示すように、容器本体1における長辺側の容器本体側壁部12に2箇所ずつ、蓋体2における蓋体凹溝25と側面視において一致する位置に設けられているが、容器本体凹溝16を設ける位置及び数量はこれに限定されるものではない。
下方からの斜視図である図4(A)及び縦断面図である図5(A)に示すように、この容器本体凹溝16は、当該容器本体凹溝16の奥側にて上下方向に延びる折目161、その折目161を左右両側から挟むように形成された略三角形の平面である第1縦平面162及び第2縦平面163から構成されている。そしてこの容器本体凹溝16と共に、当該容器本体凹溝16の上端に一致するように天部補強面17が設けられている。そして、この容器本体凹溝16の最下端部16aは底面部11に位置している。そのため、底面部11の周縁はこの容器本体凹溝16によって略V字状に小さく切り欠かれたようになっている。
図5(A)に示すように、折目161は、上方に向かうにつれ容器本体側壁部12よりも離れていくように形成されている。つまり、テーパ状とされた容器本体側壁部12の水平面に対する傾斜よりも、この折目161の水平面に対する傾斜の方が急である。更に言い換えると、水平面からの立ち上りについては、容器本体側壁部12よりも折目161の方が垂直に近いことになる。ただし、成形後の容器本体1を金型から抜く工程との関係により、前記折目161の水平面からの立ち上りは、垂直よりも緩い(90°未満)傾斜とされる。
そして、図4(A)に示すように、第1縦平面162の外縁には第1外折目162aが形成され、第2縦平面163の外縁には第2外折目163aが形成される。容器本体凹溝16が容器本体側壁部12の上端まで次第に開拡することからこの第1外折目162aと第2縦平面163との間隔は上方に向かうにつれ広がっている。
このように形成された、折目161、第1外折目162a、第2外折目163aのそれぞれは、底面部11から容器本体フランジ部13に達するように上下方向にほぼ沿う折目であることから、上下方向の圧縮荷重に対する容器本体1の強度を向上できる。特に、折目161は前記のように立ち上りが容器本体側壁部12よりも垂直に近いため、前記圧縮荷重のかかる方向にほぼ一致する関係となり、前記圧縮荷重に対する抵抗を有効に発揮することができる。
しかも、第1外折目162aと第2外折目163aとは、折目161を基準として、上方に向かうにつれ離れる関係にあるため、第1外折目162a及び第2外折目163aを伝達される圧縮荷重は、凹溝16の下端では集中しており、同上端では、各折目の伝達分だけを考慮したとすると、三方向の荷重(折目161、第1外折目162a、第2外折目163aに対応する)に分散されることになる。このように上方に向かうにつれ荷重が分散することにより、集中した荷重がそのまま伝達される構造に比べると、凹溝16の上端位置における容器の撓みを効果的に抑制することができる。
また、前記のように、底面部11の周縁はこの容器本体凹溝16によって略V字状に切り欠かれたようになっている。つまり、第1外折目162a及び第2外折目163aが底面部11の周縁にも存在している。そのため、底面部11の周縁に何も形成しないものと比較して、底面部11の周縁において存在する第1外折目162a及び第2外折目163aもまた、前記圧縮荷重に対する抵抗として作用するものと考えられる。
また、容器本体凹溝16と共に設けられた天部補強面17は平面視において二等辺三角形である面(必ずしも平面である必要はなく、湾曲面であっても良い)とされており、一つの頂点17aに折目161が一致している。そして他の二つの頂点17b,17cに第1外折目162aと第2外折目163aとが各々一致している。ただし、本実施形態では、天部補強面17が容器本体フランジ部13の頂部132に沿って設けられ、当該天部補強面17が長辺側に存在する谷部132bと一致する位置にある。そのため、天部補強面17は湾曲面とされている。このように構成されたことにより、天部補強面17の各頂点17a〜17cにおいて、折目161、第1外折目162a、第2外折目163aを伝達される前記圧縮荷重を受け止めることができる。この際、前記圧縮荷重を面ではなく角部で受け止めることから、天部補強面17に生じる撓みを小さくすることができる。
また、この天部補強面17は容器本体フランジ部13の谷部132bと一致する位置に設けられているため、前述したように上下方向の圧縮荷重に対して撓みにくくされた容器本体フランジ部13との相乗効果により、容器本体1の強度をより大きくできる。
前述したように、容器本体1には容器本体凹溝16及び天部補強面17が形成され、蓋体2には蓋体凹溝25及び底部補強面26が形成されている。上下方向の圧縮荷重に対する前述した作用により、本実施形態によると、容器の圧縮強度、より詳しくは、部分的に狭い範囲に集中する荷重に対する圧縮強度(ポイント圧縮強度)を驚くほど向上させることができる(実験結果については後述する)。
特に、蓋体2については、天板部21に視認性を低下させるような複雑な補助突出部や凹凸、または段部等を設けることなく、少ない補強構造で、顧客等が容器を手に取ろうとしたときに部分的に荷重のかかる部分の強度(ポイント圧縮強度)を著しく向上させることができる。
この蓋体2の視認性に関して補足する。積み重ね係止用突部24については、蓋体2における四隅のコーナー部にのみ設けられているため比較的目立たないものである。また、蓋体凹溝25の最上端部25aは天板部21に位置しているものの、天板部21の面積に比べて非常に小さいため、これも目立たない。そして、蓋体側壁部22は下広がりのテーパ状となっており、蓋体凹溝25はこのテーパ状の蓋体側壁部22に沿って設けられているため、蓋体凹溝25の第1縦平面252及び第2縦平面253が蓋体2の内部に大きく張り出すものとならない。これらの構成から、視認性を低下させにくくなっている。
前記の構成により、蓋体2の視認性が良好となるため、収納物がクリアーに見え、収納物の新鮮さなどの良さを顧客に訴求でき、顧客の購買意欲を促進することが期待できるものであって、しかも、強度を向上させた容器を提供できる。
そして、強度を従来並みとするのであれば、成形に用いる合成樹脂シートのシート厚をより薄くすることが可能となるため、容器を軽量化できる。しかも、蓋体2の天板部21における優れた視認性も損なわれないというメリットがある。
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、本発明に係る包装用容器は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えることができる。
例えば、本実施形態に係る容器は、容器本体1と蓋体2とをヒンジ部3を介して一体に構成した、いわゆる「フードパック」タイプであるが、これに限定されず、容器本体1と蓋体2とをそれぞれ嵌合可能に別々に構成しても良い。更には、容器本体1と蓋体2とを組で用いずに、いずれかを単独で用いるものとしても良い。
また、容器本体1及び蓋体2の平面視における形状は、本実施形態の長方形状のような四角形状のものに限定されず、円形、楕円形、三角形、五角形などの多角形であっても良い。また、図2に示すような扁平な容器に限定されず、筒状など、水平方向寸法よりも上下方向寸法の方が大きな容器であっても良い。
また、各凹溝16,25及び各補強面17,26は、容器本体1と蓋体2のいずれか一方のみに設けたものであっても良い。
また、容器本体フランジ部13の頂部132及び蓋体フランジ部23の縁部231については、周方向に高低差を有する斜面として構成されることは必須ではなく、高低差のない平坦な面として構成されたものであっても良い。このように、蓋体フランジ部23の縁部231を高低差のない平坦な面として構成した場合の蓋体凹溝25及び底部補強面26の形状の例を図4(C)に示す。この場合においては、底部補強面26は略菱形ではなく、二等辺三角形となる。
最後に、本願の発明者が、本実施形態に係る包装用容器を試作し、圧縮強度を測定する実験を行ったので、これについて説明する。
[実施例]
厚み0.25mmのOPS(延伸ポリスチレンシート)を熱成形して図1に示したものと同形状の蓋体2(容器本体1と一体でないもの)を得、これを実施例とした。図6に示す要領にて、試験手段Xが天板部21における蓋体凹溝25の最上端部25aから内側寄り10mmの位置に荷重をかけることで、蓋体2の圧縮強度(ポイント圧縮強度)を測定した。測定装置には、AIKOH ENGINEERING(アイコーエンジニアリング)社製の荷重測定機(MODEL 132ODS)を用い、測定装置が荷重を感知してから天板部21を7mm下方に移動させた時の荷重を測定して圧縮強度とした。測定された圧縮強度は、表1に示すように、5回測定の平均値で0.55kgfであった。
[比較例1]
厚み0.25mmのOPS(延伸ポリスチレンシート)を熱成形して、蓋体凹溝25を設けない以外は図1に示したものと同形状の蓋体を得、これを比較例1とした。実施例と同要領で荷重を測定したところ、測定された圧縮強度は、表1に示すように、5回測定の平均値で0.50kgfであった。
[比較例2]
厚み0.25mmのOPS(延伸ポリスチレンシート)を熱成形して、蓋体凹溝25に代えて、特許文献1に記載されたものと同様の補強凹所(図7参照)を天板部の周縁に設けた以外は、図1に示したものと同形状の蓋体を得、これを比較例2とした。実施例と同要領で荷重を測定したところ、測定された圧縮強度は、表1に示すように、5回測定の平均値で0.51kgfであった。
以上により、実施例の蓋体2は、比較例1に比べて10%圧縮強度が向上しており、特許文献1に記載されたものと同様の補強凹所を形成した比較例2に比べて約8%圧縮強度が向上していることが確認できた。
Figure 2012240750
1 容器本体
11 底面部
12 容器本体側壁部
13 容器本体フランジ部
16 容器本体凹溝
17 天部補強面
2 蓋体
21 天板部
22 蓋体側壁部
23 蓋体フランジ部
25 蓋体凹溝
26 底部補強面

Claims (3)

  1. 天板部と、当該天板部に連接される蓋体側壁部と、当該蓋体側壁部に連接される蓋体フランジ部とを備えた包装用容器の蓋体において、
    前記天板部の周縁を基点に前記蓋体側壁部の下端まで次第に開拡する、横断面形状が略V字状の蓋体凹溝が形成され、かつ、前記蓋体側壁部の下端にて、前記蓋体凹溝の下端に一致するように底部補強面が形成されたことを特徴とする包装用容器の蓋体。
  2. 底面部と、当該底面部に連接される容器本体側壁部と、前記容器本体側壁部に連接される容器本体フランジ部とを備えた容器本体において、
    前記底面部の周縁を基点に前記容器本体側壁部の上端まで次第に開拡する、横断面形状が略V字状の容器本体凹溝が形成され、かつ、前記容器本体側壁部の上端にて、前記容器本体凹溝の上端に一致するように天部補強面が形成されたことを特徴とする包装用容器の容器本体。
  3. 天板部と、当該天板部に連接される蓋体側壁部と、当該蓋体側壁部に連接される蓋体フランジ部とを備えた蓋体、及び、当該蓋体と組み合わせられる容器本体を有する包装用容器において、
    前記蓋体は、前記天板部の周縁を基点に前記蓋体側壁部の下端まで次第に開拡する、横断面形状が略V字状の蓋体凹溝が形成され、かつ、前記蓋体側壁部の下端にて、前記蓋体凹溝の下端に一致するように底部補強面が形成されたことを特徴とする包装用容器。
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