JP5749321B2 - 物流容器 - Google Patents

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Description

本発明は、冷凍食品や食材その他の保冷を要する商品の輸送、保管等の物流に使用される保冷容器として好適な発泡樹脂製の物流容器に関するものである。
従来より、鮮魚、精肉、青果物、冷凍食品や食材等の保冷を要する商品の輸送、保管等の保冷容器として、上方に開口した平面矩形の容器本体と、その開口端部に嵌着される蓋体とからなる発泡スチロール等の発泡樹脂製の容器が使用されている。
かかる容器の被包装物を収納した状態での輸送、保管等の取り扱いにおいて、多段に段積みする場合があること、また被包装物の出し入れの際に、側壁を外方へ引っ張るような力を加える場合もあることから、所定の段積み強度を保有すること、側壁引っ張り強度を保有することが求められている。
一方、かかる容器の段積み作業や積載作業等の取り扱いを容易にすること、資材節約によるコストダウンの観点から、肉厚を薄くし軽量化を図ることが求められている。しかし、容器側壁等の肉厚を薄くすると必要な強度を得られないことになる。そのため、前記の強度の保持と軽量化の両立を図るのが難しいものである。
例えば、特許文献1においては、容器本体の底面周縁部に全周にわたって、段積み時に蓋体上面の周縁部の突起が嵌合する切欠による底上げ部が設けられていると、これを段積みした場合の荷重を受けて辺部が下方に傾くよう変形し、その結果、側壁が外方へ膨らむように変形して破断を生じることから、底面の対向する少なくとも2辺の中央部又は中央近傍部に底面延長部を設けることが提案されているが、強度を低下させずに側壁を薄肉化するもの、すなわち容器側壁等の強度の保持と軽量化との両立を図るというものではなく、この種の容器として充分に満足できるものではない。
特開2007−230586号公報
本発明は、上記の問題を解消するためになしたものであり、容器側壁等の強度の保持と軽量化の両立を図ることができ、保冷容器として好適に使用できる発泡樹脂製の物流容器を提供するものである。
上記の課題を解決する本発明は、上方に開口する容器本体と、該容器本体の開口端部に対し嵌着自在な蓋体とからなる発泡樹脂製の物流容器であって、容器本体の四方の側壁のコーナー部近傍を除く中央部領域の内面が、容器周方向に所定の間隔で上下方向の凹条が形成されることにより、該凹条と各凹条間の凸条とが容器周方向に曲面をなして連続する波形状をなし、該波形状における凸条のピッチ(P)が、前記凸条間の凹条幅が10mm以下となるように20mm以下に設定されてなることを特徴とする。
これによれば、容器本体の側壁は、側壁のコーナー部近傍を除く中央部領域が、上下方向の凹条と凸条による波形状をなすことで、上下方向の凸条が、該側壁に作用する段積み荷重等の上方からの荷重や、側壁内外への曲げ荷重に対して補強リブ的な作用を果たすことになって、必要な側壁強度を保有できることになり、このことにより所定間隔毎に凹条を形成して波形状とし側壁を薄肉化する実施が問題なく可能になる。また、前記波形状を、側壁のコーナー近傍領域を除いて設けたことにより、側壁に対して荷重や引っ張り力が作用したときの応力を、波形状の部分に比して厚肉で強度のあるコーナー近傍領域に集中させることができ、そのため側壁の割れを抑制しながら側壁を薄肉化できることになる。
また、前記凹条と凸条が容器周方向に前記のように一定ピッチで曲面をなして連続する波形状をなしていることにより、側壁に対して荷重や引っ張り力が作用したときの応力集中を防ぐことができ、側壁の割れを抑制できる。
しかも、前記波形状における凸条のピッチ(P)が、前記凸条間の凹条幅が10mm以下となるように20mm以下に設定されているので、被包装物の出し入れ等の際に、作業者の指先が各凸条間の凹条の部分に嵌り込むことがなく、薄肉になる凹条の部分に指先からの力が作用することがない
前記凹条の深さは側壁12の肉厚の1/2を超えないように10mm以下に設定されてなるものが好ましく、これにより凹条の部分においても所定の強度を保有できる。
前記の物流容器において、蓋体の下面周縁部には、容器本体の開口端部の上面に対する載接面を外周部に残してその内側に容器本体の開口端部の内側に嵌合する嵌合部が設けられ、容器本体の側壁内面の波形状の中央部領域の波形状における凸条が、前記嵌合部の嵌合位置より下方に形成されてなるものとすることができる。これにより、蓋体を容器本体に対し安定性よく嵌合被着できる。
前記の物流容器において、容器本体の開口端部におけるコーナー近傍領域の上面と、これに対応する蓋体の下面周縁部におけるコーナー部の個所に、互いに弾力的に嵌合する係合凸部と係合凹部が設けられてなるものとすることができる。これにより蓋体の被着状態を安定性よく保持できる。
上記したように本発明の物流容器によれば、発泡樹脂製の容器として、容器本体の四方の側壁の中央部領域の内面が、上下方向の凹条が所要間隔に形成されることにより、該凹条と各凹条間の凸条とによる波形状をなしていることで、側壁強度を過度に低下させずに、すなわち所定の段積み強度や側壁引っ張り強度を保有しいながら側壁を薄肉化でき、以て容器側壁等の強度保持と軽量化の両立を図ることができ、樹脂材料の節約にもなり、製造コストを低下できることにもなる。そのため、保冷容器として良好に使用できる。
本発明の物流容器の実施例を示す容器本体と蓋体の分離した斜視図である。 容器本体の平面図である。 容器本体の底面図である。 蓋体の平面図である。 蓋体の底面図である。 容器本体と蓋体の半部縦断正面図である。 容器本体に蓋体を被着した状態の下方からみた斜視図である。 同上の一部の縦断面図である 同上の係合部分の一部の拡大断面図である。
次に本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。
この実施例の容器は、発泡ポリスチレン等の発泡樹脂を素材として成形された物流容器であって、上方に開口する平面矩形の容器本体10と、該容器本体10に対し被着自在な蓋体30とよりなる。
容器本体10は、底部11と四方の各側壁12とよりなり、各側壁上端部の開口端部10aに対して、後述のよう蓋体30が嵌合被着されるように設けられる。この容器本体10の前記コーナー部13とその近傍の側壁側端部分を除く各側壁12の中央部領域14の内面は、本来の側壁内面に対して凹形をなす上下方向の凹条15が、容器周方向に所定の間隔で形成されることにより、該凹条15と、各凹条15,15間に残余させた凸条16とによる波形状をなしている。図中の17は、前記コーナー部13と側壁側端部分を含むコーナー近傍領域を示している。
前記凹条15と凸条16とは、断面が角形の凹と凸による波形状をなすものであってもよいが、実施上は、図のように容器周方向に一定ピッチPで曲面をなして連続する正弦波形等の波形状に形成されているのが好ましい。
いずれにしても、前記凹条15と凸条16のピッチPは、適宜実施が可能であるが、被包装物の出し入れ等の際に、各凸条16,16間の薄肉になる凹条15の部分に、作業者の指先が嵌り込まない程度の間隔を保有できるように設定するのがよく、例えば、前記凸条16,16間の間隔つまり凹条15の幅が10mm以下となるように前記ピッチPを20mm以下に設定するのが好ましい。また前記凹条15の深さ(すなわち凸条の高さ)は、側壁12の肉厚の1/2を超えないように設定し、例えば10mm以下に設定する。
前記容器本体10の底部11の下面11bには、周縁部における四隅の個所に、前記コーナー近傍領域17以外の下面11bの辺部中央領域18を接地面として残すように段積み用の切欠段部19が形成されている。
前記切欠段部19は、内面が波形状をなす前記側壁12の中央部領域14の幅W1a,W1bが、容器本体10の底部下面11bにおける切欠段部19を除く辺部中央領域18の幅W2a,W2bと同じか、もしくは辺部中央領域18の幅W2a,W2bより僅かに小さくなるように形成しておくのが好ましい。このように形成しておくことにより、段積み時にコーナー部13及びその近傍の側壁側端部分を含むコーナー近傍領域17で段積み荷重を受けることができ、辺部中央領域18の底部下面11bが接地面となることと相俟って、側壁12の中央部領域14の波形状の部分に過度に強い段積み荷重が作用するのを回避できることになる。
図示する実施例の場合、前記容器本体10の底部11の上面11aは、図のように全面にわたって、所定高さのリブ状凸部20によりハニカム状に画した平面六角形の多数の凹部21が凹設されることによりハニカム構造をなしており、リブ状凸部20により所定の強度を保持しながら、底部11の凹部21の部分の肉厚を本来の底部よりも薄くし、容器軽量化に寄与できるようになっている。また、前記底部11の下面11bについても、周縁部を除く内方部に、リブ状凸部22によりハニカム状に画した平面六角形の凹部23が、上面11aの凹部21と対応して設けられており、これにより底部11の強度を低下させずに薄肉化、軽量化できるようになっている。前記の凹部21又は23は底部11の上下面11a,11bの一方のみに設けておくこともできる。また、底部上面11aについては、他の凹凸を設けておくこともできる。
前記ハニカム構造における凹部21及び/又は23は、被包装物の種類や大きさ等によっても異なるが、通常、凹部21及び/又は23における平行な対向両辺間の差し渡しが70mm以下、好ましくは30〜60mmの範囲に設定され、また前記凹部21及び/又は23の深さは10mm以下、好ましくは5mm前後に設定される。例えば、上面の凹部21の深さは5mm、下面11bの凹部23の深さは3mm程度に設定される。図中の符号24は、被着した蓋体30を開く際の指掛け用の切欠を示している。
また、前記容器本体10の開口端部10aに対する蓋体30の嵌合被着構造として、蓋体30の下面31bにおける周縁部32には、容器本体10の開口端部10aの上端面に対する載接面33を外周部に残してその内側に容器本体10の開口端部10aに対し内側に嵌合する嵌合部34が設けられている。この蓋体30の嵌合部34の嵌合のために、前記容器本体10の各側壁12の中央部領域14の上端部において、前記凹条15と凸条16による波形状の部分が切欠形成されて、該切欠部分に前記嵌合部34が嵌合するようになっている。
前記蓋体30の上面31aにおける四隅のコーナー部には、段積みの際に前記容器本体10の底部下面11bの切欠段部19と嵌合する平面L字形の段積み用の嵌合凸起35が設けられており、これにより、位置ずれを生じさせることなく段積みできようになっている。
前記蓋体30は、嵌合部34が容器本体10の開口端部10aの内側に嵌合するように設けらているだけでもよいが、図示する実施例の場合、容器本体10の開口端部10aにおけるコーナー近傍領域17の部分の上面と、これに対応する蓋体30の下面周縁部32におけるコーナー部の個所に、互いに弾力的に嵌合し係合する係合凸部26と係合凹部36が設けられている。前記係合凸部26と係合凹部36とは、該係合凸部26を基部より突出端側で拡大した幅を持つ断面キノコ状、これに対応する係合凹部36を内方ほど広幅のアリ溝状に形成して、発泡樹脂の弾力性を利用して弾力的に嵌合することで、容易に抜脱しないように形成しておくのが望ましい。図中の符号37は、蓋体30を補強する凸部であり、特に、下面中央部の円環状の部分からコーナー部にまで斜めに延びており、蓋体30のコーナー部に指を掛けて開蓋操作の際の曲がり変形や割れを防止できるように設けられている。
なお、図示する実施例の場合、容器本体10に対する嵌合被着構造として、容器本体10の開口端部10aの内側に、蓋体30の下面周縁部32における嵌合部34が内嵌合する例を示したが、このほか、互いに嵌合する凸条縁と凹条溝による嵌合構造、あるいは開口端部に対し外嵌合する形態の嵌合構造等、種々の嵌合形態による実施が可能である。
前記容器本体10及び蓋体30の構成材である発泡樹脂としては、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、スチレン−エチレン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体等のポリスチレン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂等の各種合成樹脂の発泡体を用いることができる。中でも、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡体による成形体が好適に用いられる。スチレン改質ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂粒子にスチレン系単量体を含浸重合させて得られるものであり、スチレン改質ポリオレフィン系樹脂の中でも、スチレン改質ポリエチレン樹脂が好ましく、例えば、スチレン成分の割合は40〜90重量%、好ましくは50〜85重量%、さらに好ましくは55〜75重量%のものが用いられる。また、前記発泡体の発泡倍率は10〜70倍が好ましい。
スチレン改質ポリオレフィン系樹脂のビーズ発泡体の成形品は、同じ発泡倍率のポリプロピレン系樹脂ビーズの成形品に比べて強度があり、また、深さが500mmを越える容器を成形した場合の収縮率が低く寸法精度もよい。さらに、スチレン系樹脂ビーズの発泡成形品に比べて擦れによる粉が出難い長所もある。
上記した実施例の物流容器の使用状態について説明する。この物流容器は、例えば冷凍エビ等の冷凍の食材や加工済みの冷凍食品その他の農産物、水産物等の各種商品の出荷、輸送等に使用するものであり、被包装物を容器本体10内に収納した状態で、蓋体30を容器本体の開口端部に嵌合し被着する。この容器を段積みする場合、下段容器の蓋体30の上面のコーナー部に有する嵌合突起35に、上段容器の容器本体10の底部11の下面11bのコーナー部に有する切欠段部19を嵌合して位置決めして段積みする。
この段積み状態において、段積み荷重の大部分をコーナー部13とその近傍の側壁側端部分を含むコーナー近傍領域17で受けることになって、内面が波形状をなす側壁12の中央部領域14にそれほど大きな段積み荷重や強い力が作用することがない。
しかも、容器本体10の側壁12のコーナー部近傍を除く中央部領域14が、上下方向の凹条15と凸条16による波形状をなすことで、上下方向の凸条15が、該側壁12に作用する段積み荷重等の上方からの荷重や、側壁12の内外方向への曲げ荷重に対して補強リブ的な作用を果たし、これが容器本体10の底部11の下面11aの周縁部の辺部中央領域18が接地面を成していることと相俟って、膨らみ変形することのない所定の側壁強度を保有できる。
また、前記の凹条15と凸条16による波形状を、側壁12のコーナー近傍領域17を除いて中央部領域14に設けたことにより、側壁12に対して荷重や引っ張り力が作用したときの応力を、波形状の部分に比して厚肉で強度のあるコーナー近傍領域17に集中させることができ、前記波形状におけるピッチPが薄肉になる凹条15の部分に作業者の指先が嵌り込まないように設定されていることもあって、側壁12の割れを抑制しながら側壁12を薄肉化できることにもなる。
このように、容器本体10の側壁12において所定の強度を保有できる構造を採用したことにより、側壁12の中央部領域14の内面を容器周方向に上下方向の凹条15と凸条16とによる波形状とすること、特には凸条16を残余して凹条15を形成して薄肉化することが問題なく可能になり、以て側壁強度を低下させずに側壁を薄肉化し容器を軽量化でき、ひいては樹脂材料の減量化、製造コストの低減を図ることができる。
10…容器本体、10a…開口端部、11…底部、11a…上面、11b…下面、12…四方の側壁、13…コーナー部、14…中央部領域、15…凹条、16…凸条、17…コーナー近傍領域、18…底面における辺部中央領域、19…切欠段部、20,22…リブ状凸部、21,23…凹部、24…指掛け用の切欠、26…係合凸部、30…蓋体、31a…上面、31b…下面、32…周縁部、33…載接面、34…嵌合部、35…嵌合突起、36…係合凹部、37…補強用凸部、P…ピッチ、W1a,W1b…側壁の中央部領域の幅、W2a,W2b…底面の辺部中央領域の

Claims (4)

  1. 上方に開口する容器本体と、該容器本体の開口端部に対し嵌着自在な蓋体とからなる発泡樹脂製の物流容器であって、
    容器本体の四方の側壁のコーナー部近傍を除く中央部領域の内面が、容器周方向に所定の間隔で上下方向の凹条が形成されることにより、該凹条と各凹条間の凸条とが容器周方向に曲面をなして連続する波形状をなし、該波形状における凸条のピッチ(P)が、前記凸条間の凹条幅が10mm以下となるように20mm以下に設定されてなることを特徴とする物流容器。
  2. 前記凹条の深さは側壁12の肉厚の1/2を超えないように設定されてなる請求項に記載の物流容器。
  3. 蓋体の下面周縁部には、容器本体の開口端部の上面に対する載接面を外周部に残してその内側に容器本体の開口端部の内側に嵌合する嵌合部が設けられ、容器本体の側壁内面の中央部領域の波形状における凸条が、前記嵌合部の嵌合位置より下方に形成されてなる請求項1又は2に記載の物流容器。
  4. 容器本体の開口端部におけるコーナー近傍領域の上面と、これに対応する蓋体の下面周縁部におけるコーナー部の個所に、互いに弾力的に嵌合する係合凸部と係合凹部が設けられてなる請求項1〜のいずれか1項に記載の物流容器。
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