JP2012221754A - リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】リチウム二次電池の充放電特性をより高める。
【解決手段】リチウム二次電池用負極は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有する層状構造体であり比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)である負極活物質と、比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)である繊維状導電材と、比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)である粒子状導電材と、を備え、負極活物質がX、前記繊維状導電材がY、及び前記粒子状導電材がZの割合で含まれているとき、Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1)×Log((LyY+LzZ)/LxX×101)≧0、の電極パラメータを満たす。
【選択図】図2
【解決手段】リチウム二次電池用負極は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有する層状構造体であり比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)である負極活物質と、比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)である繊維状導電材と、比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)である粒子状導電材と、を備え、負極活物質がX、前記繊維状導電材がY、及び前記粒子状導電材がZの割合で含まれているとき、Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1)×Log((LyY+LzZ)/LxX×101)≧0、の電極パラメータを満たす。
【選択図】図2
Description
本発明は、リチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池に関する。
近年、ガソリンと電気の両方のエネルギーで駆動することのできるハイブリッド自動車や、無停電電源、移動体通信機器、携帯電子機器等の電源を必要とする機器の普及に伴い、その電源として、充放電可能な蓄電デバイスの高性能化の要求は非常に大きくなっている。具体的には、出力、容量、繰り返し寿命等の特性において高性能であることが要求されている。
このような特性を有する蓄電デバイスを実現するために、有機化合物を電極活物質に用いる検討が行われている。最近、高速の充放電が期待できるリチウムの吸蔵放出が可能な新しい活物質として、π電子共役雲を有する有機化合物が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。また、有機骨格をトランスムコン酸ジリチウム又はテレフタル酸ジリチウムとしたジカルボン酸リチウムを含む共役系有機活物質が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この活物質は、有機骨格の共役構造を特徴としており、その共役構造により酸化還元(リチウムの吸蔵・放出)を可能としている。
Nature Material Vol.8 120−125(2009)
しかしながら、上述の特許文献1,2の電池では、リチウム金属基準で作動電位が2.8V〜3.7Vであり、エネルギー密度がまだ十分ではなかった。また、非特許文献1の電池では、共役構造によりリチウムの吸蔵・放出を可能としているが、充放電容量がまだ十分ではなく、充放電特性をより高めることが求められていた。また、リチウム電池用負極材料は現在のところ主に黒鉛などの炭素材料が用いられているが、初期のリチウム吸蔵時に電解液の還元分解と思われる反応が起きることがあり、初期の不可逆容量をより低減することが求められていた。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、充放電特性をより高めることができるリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、ジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を用い、このカルボン酸に含まれる酸素にリチウムを配位させて構造体を作製し、更に、繊維状導電材と粒子状導電材を含むものとし、これらの大きさや比表面積を好適化することにより、充放電特性をより高めることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明のリチウム二次電池用負極は、
2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有する層状構造体であり比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)である負極活物質と、
比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)である繊維状導電材と、
比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)である粒子状導電材と、を備え、
前記負極活物質がX、前記繊維状導電材がY、及び前記粒子状導電材がZの割合で含まれているとき、数式(1)の電極パラメータを満たすものである。
2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有する層状構造体であり比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)である負極活物質と、
比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)である繊維状導電材と、
比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)である粒子状導電材と、を備え、
前記負極活物質がX、前記繊維状導電材がY、及び前記粒子状導電材がZの割合で含まれているとき、数式(1)の電極パラメータを満たすものである。
(数1)
Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1)×Log((LyY+LzZ)/LxX×101)≧0 …数式(1)
Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1)×Log((LyY+LzZ)/LxX×101)≧0 …数式(1)
本発明のリチウム二次電池は、正極と、上述したリチウム二次電池用負極と、リチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたものである。
本発明のリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池は、充放電特性をより高めることができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。例えば、活物質である層状構造体は、ジカルボン酸の酸素とアルカリ金属元素(例えばリチウム)とが4配位を形成しており、非水系電解液に溶けにくく、結晶構造を保つことで充放電サイクル特性の安定性がより高められるものと推察される。この層状構造体は、導電性を有さないが、繊維状導電材と粒子状導電材とが負極に含まれており、例えば、繊維状導電材に導電機能を発揮させ、粒子状導電材に集電機能を発揮させることにより、初期放電容量をより高めることができる。更に、上記電極パラメータを満たすことにより、例えば、イオン伝導媒体の分解などをより抑制し、初期不可逆容量の発生の低減を図ることができ、充放電特性をより高めることができるものと推察される。
本発明のリチウム二次電池は、リチウムを吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、リチウムを吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しリチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えている。本発明のリチウム二次電池は、本発明の層状構造体を負極活物質として備えた負極を備えている。本発明の層状構造体は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有している。この本発明の層状構造体は、負極活物質とするのが好ましい。また、アルカリ金属元素層に含まれるアルカリ金属は、例えば、Li,Na及びKなどのうちいずれか1以上とすることができるが、Liが好ましい。また、充放電により吸蔵・放出されるアルカリ金属は、アルカリ金属元素層とのアルカリ金属元素と異なるものとしてもよいし、同じものとしてもよく、例えば、Li,Na及びKなどのうちいずれか1以上とすることができる。ここでは、アルカリ金属元素層にLiを含む層状構造体を以下主として説明する。
本発明の負極は、層状構造体を負極活物質として備えている。図1は、本発明の層状構造体の構造の一例を示す説明図である。この層状構造体は、有機骨格層とアルカリ金属元素層とを備えている。この層状構造体は、芳香族化合物のπ電子相互作用により層状に形成され、空間群P21/cに帰属される単斜晶型の結晶構造を有するものとすることが、構造的に安定であり、好ましい。また、層状構造体は、異なるジカルボン酸アニオンの酸素4つとアルカリ金属元素とが4配位を形成する化学式(1)の構造を備えているものとすることが、構造的に安定であり、好ましい。但し、この化学式(1)において、Rは2以上の芳香族環構造を有し、複数あるRのうち2以上が同じであってもよいし、1以上が異なっていてもよい。また、Aはアルカリ金属元素である。このように、アルカリ金属元素によって有機骨格層が結合した構造を有することが好ましい。
有機骨格層は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含んでいる。この2以上の芳香族環構造は、例えば、ビフェニルなど2以上の芳香族環が結合した芳香族多環化合物としてもよいし、ナフタレンやアントラセン、ピレンなど2以上の芳香族環が縮合した縮合多環化合物としてもよい。この芳香族環は、五員環や六員環、八員環としてもよく、六員環が好ましい。また、芳香族環は、2以上5以下とするのが好ましい。芳香族環が2以上では層状構造を形成しやすく、芳香族環が5以下ではエネルギー密度をより高めることができる。この有機骨格層は、ジカルボン酸アニオンのうちカルボン酸アニオンの一方と他方とが芳香族環構造の対角位置に結合されている芳香族化合物を含むものとするのが好ましい。こうすれば、有機骨格層とアルカリ金属元素層とによる層状構造を形成しやすい。カルボン酸が結合されている対角位置とは、一方のカルボン酸の結合位置から他方のカルボン酸の結合位置までが最も遠い位置としてもよく、例えば芳香族環構造がナフタレンであれば2,6位が挙げられ、ピレンであれば2,7位が挙げられる。この有機骨格層は、化学式(2)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されているものとしてもよい。但し、Rは2以上の芳香族環構造を有する上記芳香族環構造であるものとしてもよい。具体的には、この有機骨格層は、化学式(3)〜(5)のうちいずれか1以上の芳香族化合物を備えているものとしてもよい。但し、化学式(3)〜(5)において、nは2以上5以下の整数、mは0以上3以下の整数であることが好ましい。nが2以上5以下では、有機骨格層の大きさが好適であり、より充放電容量を高めることができる。また、mが0以上3以下では、有機骨格層の大きさが好適であり、より充放電容量を高めることができる。この化学式(3)〜(5)において、これらの芳香族化合物は、その構造中に置換基、ヘテロ原子を有してもよい。具体的には、芳香族化合物の水素の代わりに、ハロゲン、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、水酸基を置換基として持っていてもよいし、芳香族化合物の炭素の代わりに、窒素、硫黄、酸素が導入された構造であってもよい。
アルカリ金属元素層は、図1に示すように、カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成している。このアルカリ金属元素は、Li,Na及びKのうちいずれか1以上としてもよいが、このうちLiが好ましい。アルカリ金属元素層に含まれるアルカリ元素は、層状構造体の骨格を形成することから、充放電に伴うイオン移動には関与しないものと推察される。このように構成された層状構造体は、図1に示すように、構造においては、有機骨格層とこの有機骨格層の間に存在するLi層(アルカリ金属元素層)とにより形成されている。また、エネルギー貯蔵メカニズムにおいては、層状構造体の有機骨格層はレドックス(e-)サイトとして機能する一方、Li層はLi+吸蔵サイトとして機能するものと考えられる。即ち、この層状構造体は、化学式(6)に示すようにエネルギーを貯蔵・放出すると考えられる。更に、この層状構造体において、有機骨格層にはLiが入り込み可能な空間が形成されていることがあり、化学式(6)におけるアルカリ金属層以外の部分にもLiを吸蔵放出可能であり、充放電容量をより高めることができると推察される。
本発明のリチウム二次電池の負極は、例えば、層状構造体からなる負極活物質と、繊維状導電材と、粒子状導電材と、を備えている。この負極は、例えば、層状構造体からなる負極活物質と繊維状導電材と粒子状導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。繊維状導電材や粒子状導電材は、負極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されない。繊維状導電材としては、例えば、炭素繊維や活性炭素繊維、導電性高分子繊維、金属繊維(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などが挙げられる。また、粒子状導電材としては、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などが挙げられる。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレン−プロピレン−ジエンマー(EPDM)、スルホン化EPDM、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。負極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
この本発明のリチウム二次電池の負極は、負極活物質の層状構造体が比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)であり、繊維状導電材が比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)であり、粒子状導電材が比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)であるものとし、且つ負極活物質がX、繊維状導電材がY、及び粒子状導電材がZの割合で含まれているとき、数式(1)の電極パラメータを満たす。電極パラメータの数式(1)において、Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1)の項は、負極活物質に対する導電材の比表面積の割合Sを表す(数式(2))。この比表面積の割合Sは、活物質に対して多くの面が存在することを表し、電子の集電性機能を表す。なお、「10-1」は、電極パラメータにおける寄与度である。また、電極パラメータの数式(1)において、Log((LyY+LzZ)/LxX×101)の項は、負極活物質の粒径に対する導電材の平均長さの割合Lを表す(数式(3))。この平均長さLは、電極内に、より長い導電パスが形成されていることを表し、電子の導電性機能を表す。なお、「101」は、電極パラメータにおける寄与度であり、比表面積の割合Sに比して平均長さLの寄与度が高いものとしている。この電極パラメータを満たすものとすると、電子集電性と電子導電性とのバランスに優れ、初期放電容量や、初回の充放電効率など、リチウム二次電池の初期特性をより高めることができる。この電極パラメータは、0以上であるが、1以下が好ましく、0.3以上0.8以下がより好ましい。
(数1)
Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1)×Log((LyY+LzZ)/LxX×101)≧0 …数式(1)
Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1)×Log((LyY+LzZ)/LxX×101)≧0 …数式(1)
(数2)
S=Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1) …数式(2)
S=Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1) …数式(2)
(数3)
L=Log((LyY+LzZ)/LxX×101) …数式(3)
L=Log((LyY+LzZ)/LxX×101) …数式(3)
負極活物質の層状構造体の配合比Xは、負極合材の全体を100質量部としたときに、50質量部以上80質量部以下の範囲であることが好ましい。配合比Xが50質量部以上では、充放電容量をより高めることができ、配合比Xが80質量部以下では、導電材が十分あり導電性を確保しやすい。負極活物質の層状構造体の比表面積Sxは、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましく、0.5m2/g以上5m2/g以下であることがより好ましい。比表面積Sxが0.1m2/g以上ではイオン伝導媒体との接触性をより高めることができ、10m2/g以下ではイオン伝導媒体の分解などをより抑制することができる。また、負極活物質の層状構造体の平均粒径Lxは、0.5μm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上5μm以下であることがより好ましい。平均粒径Lxが0.5μm以上では、層状構造体の積層部分が多く電池容量を高めることができ、20μm以下ではリチウムの吸蔵,放出性が好適となる。ここで、「比表面積」は、窒素吸着によるBET測定結果とする。また、平均粒径は、電子顕微鏡(SEM)で観察した画像に含まれる層状構造体の粒子の大きさを計測し、平均した値をいうものとする。
負極活物質の繊維状導電材の配合比Yは、負極合材の全体を100質量部としたときに、5質量部以上15質量部以下の範囲であることが好ましい。配合比Yが5質量部以上では導電パスを確保しやすく、配合比Yが15質量部以下では負極活物質の量を確保し充放電容量をより高めることができる。繊維状導電材の比表面積Syは、1m2/g以上100m2/g以下であることが好ましく、5m2/g以上50m2/g以下であることがより好ましい。比表面積Syが1m2/g以上では集電性をより高めることができ、100m2/g以下では導電性を高めることができる。また、繊維状導電材の平均長さLyは、5μm以上100μm以下であることが好ましく、10μm以上50μm以下であることがより好ましい。平均長さLyが5μm以上では、導電性を高めることができ、100μm以下では集電性を高めることができる。
負極活物質の粒子状導電材の配合比Zは、負極合材の全体を100質量部としたときに、5質量部以上15質量部以下の範囲であることが好ましい。配合比Zが5質量部以上では集電性を確保しやすく、配合比Zが15質量部以下では負極活物質の量を確保し充放電容量をより高めることができる。粒子状導電材の比表面積Szは、10m2/g以上500m2/g以下であることが好ましく、50m2/g以上250m2/g以下であることがより好ましい。比表面積Szが10m2/g以上では集電性をより高めることができ、500m2/g以下では導電性を高めることができる。また、粒子状導電材の平均粒径Lzは、0.005μm以上5μm以下であることが好ましく、0.010μm以上1μm以下であることがより好ましい。平均粒径Lzが0.005μm以上では、集電性を高めることができ、5μm以下ではイオン伝導媒体の分解などをより抑制することができる。
結着材の配合比は、例えば、負極合材の全体を100質量部としたときに、(100−X−Y−Z)質量部としてもよく、5質量部以上15質量部以下であることが好ましい。こうすれば、負極合材の結着性を高めると共に、充放電容量をより高めることができる。
本発明のリチウム二次電池の正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、Li(1-x)MnO2(0<x<1など、以下同じ)、Li(1-x)Mn2O4などのリチウムマンガン複合酸化物、Li(1-x)CoO2などのリチウムコバルト複合酸化物、Li(1-x)NiO2などのリチウムニッケル複合酸化物、LiV2O3などのリチウムバナジウム複合酸化物、V2O5などの遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうち、リチウムの遷移金属複合酸化物、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiV2O3などが好ましい。また、正極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ負極で例示したものを用いることができる。正極の集電体には、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、負極と同様のものを用いることができる。
本発明のリチウム二次電池のイオン伝導媒体としては、支持塩を含む非水系電解液や非水系ゲル電解液などを用いることができる。非水電解液の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、比誘電率が比較的高く、電解液の誘電率を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。
本発明のリチウム二次電池に含まれている支持塩は、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiC(CF3SO2)3などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この電解質塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。電解質塩の濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
また、液状のイオン伝導媒体の代わりに、固体のイオン伝導性ポリマーをイオン伝導媒体として用いることもできる。イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、アクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマーと支持塩とで構成されるポリマーゲルを用いることができる。更に、イオン伝導性ポリマーと非水系電解液とを組み合わせて用いることもできる。また、イオン伝導媒体としては、イオン伝導性ポリマーのほか、無機固体電解質あるいは有機ポリマー電解質と無機固体電解質の混合材料、若しくは有機バインダーによって結着された無機固体粉末などを利用することができる。
本発明のリチウム二次電池は、正極と負極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、リチウム二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明のリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図2は、本発明のリチウム二次電池20の一例を示す模式図である。このリチウム二次電池20は、カップ形状の電池ケース21と、正極活物質を有しこの電池ケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。このリチウム二次電池20は、正極22と負極23との間の空間にリチウム塩を溶解したイオン伝導媒体27が満たされている。この負極23は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含み、ジカルボン酸アニオンのうちカルボン酸アニオンの一方と他方とが芳香族化合物の対角位置に結合されている有機骨格層と、カルボン酸アニオンに含まれる酸素に配位したアルカリ金属元素層と、を備えた層状構造体を負極活物質として含んでいる。また、この負極23は、層状構造体と繊維状導電材と粒子状導電材と結着材とを含み、上述した電極パラメータを満たしている。
本発明のリチウム二次電池は、負極活物質である層状構造体が、ジカルボン酸の酸素とLi元素とが4配位を形成しており、非水系に溶けにくく、結晶構造を保つことで充放電サイクル特性の安定性がより高められるものと推察される。この層状構造体は、有機骨格層が酸化還元部位として機能し、Li層がLiイオンの吸蔵部位として機能するものと推察される。また、負極は、充放電電位がリチウム金属基準で0.5V以上1.0Vの範囲を示すため、電池の作動電圧低下に伴う大幅なエネルギー密度の低下を抑えることができる一方、リチウム金属の析出も抑制することができる。この新規な層状構造体(結晶性有機・無機複合材料)により、充放電特性をより高めることができるものと推察される。更に、負極に含まれる層状構造体は、導電性が低いものであるが、上述した数式(1)の電極パラメータを満たすため、電子集電性と電子導電性とのバランスに優れ、初期放電容量や、初回の充放電効率など、リチウム二次電池の初期特性をより高めることができる。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば上述した実施形態では、リチウム二次電池として説明したが、リチウム二次電池用負極としてもよい。
以下には、本発明のリチウム二次電池を具体的に作製した例を説明する。まず、層状構造体の特性について検討した結果を実験例として説明する。
[実験例1,2]
層状構造体としての2,6−ナフタレンジカルボン酸リチウム(化学式(7)参照)を合成した。2,6−ナフタレンジカルボン酸リチウムは、出発原料として2,6−ナフタレンジカルボン酸および水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O)を用いた。まず、水酸化リチウム1水和物0.556gにメタノール100mLを加え、撹拌した。水酸化リチウム1水和物を溶解したのち、2,6−ナフタレンジカルボン酸1.0gを加え1時間撹拌した。撹拌後溶媒を除去し、真空下150℃で16時間乾燥することにより白色の粉末試料を得た。得られた白色粉末試料を実験例1の活物質粉体とした。この実験例1の活物質粉体を窒素吸着によるBET測定を行ったところ、比表面積は1.0m2/gであった。また、電子顕微鏡(SEM)で観察し、画像内に含まれる粒子を計測して平均して得られた平均粒径は、2.5μmであった。また、4,4’−ビフェニルジカルボン酸リチウム(化学式(8)参照)を実験例1と同様の工程を経て合成し、得られた白色粉末試料を実験例2の活物質粉体とした。
層状構造体としての2,6−ナフタレンジカルボン酸リチウム(化学式(7)参照)を合成した。2,6−ナフタレンジカルボン酸リチウムは、出発原料として2,6−ナフタレンジカルボン酸および水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O)を用いた。まず、水酸化リチウム1水和物0.556gにメタノール100mLを加え、撹拌した。水酸化リチウム1水和物を溶解したのち、2,6−ナフタレンジカルボン酸1.0gを加え1時間撹拌した。撹拌後溶媒を除去し、真空下150℃で16時間乾燥することにより白色の粉末試料を得た。得られた白色粉末試料を実験例1の活物質粉体とした。この実験例1の活物質粉体を窒素吸着によるBET測定を行ったところ、比表面積は1.0m2/gであった。また、電子顕微鏡(SEM)で観察し、画像内に含まれる粒子を計測して平均して得られた平均粒径は、2.5μmであった。また、4,4’−ビフェニルジカルボン酸リチウム(化学式(8)参照)を実験例1と同様の工程を経て合成し、得られた白色粉末試料を実験例2の活物質粉体とした。
[実験例3,4]
テレフタル酸リチウム(化学式(9)参照)を実験例3の活物質粉体とした。また、2,3−ナフタレンジカルボン酸リチウム(化学式(10)参照)を実験例4の活物質粉体とした。
テレフタル酸リチウム(化学式(9)参照)を実験例3の活物質粉体とした。また、2,3−ナフタレンジカルボン酸リチウム(化学式(10)参照)を実験例4の活物質粉体とした。
[塗工電極の作製]
実験例1〜4の活物質粉体を用いて、リチウム二次電池用電極を作製した。活物質粉体を60質量%、導電材としてカーボンブラックを30質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを10質量%の割合で混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、2.05cm2の面積に打ち抜いて円盤状の電極を準備した。
実験例1〜4の活物質粉体を用いて、リチウム二次電池用電極を作製した。活物質粉体を60質量%、導電材としてカーボンブラックを30質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを10質量%の割合で混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、2.05cm2の面積に打ち抜いて円盤状の電極を準備した。
[二極式評価セルの作製]
エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比で30:40:30の割合となるよう混合した非水溶媒に、六フッ化リン酸リチウムを1mol/Lになるように添加して非水電解液を作製した。上記電極を作用極とし、リチウム金属箔(厚さ300μm)を対極として、両電極の間に上記非水電解液を含浸させたセパレータ(東燃タピルス)を挟んで二極式評価セルを作製した。得られたものを実験例1〜4の二極式評価セルとした。
エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比で30:40:30の割合となるよう混合した非水溶媒に、六フッ化リン酸リチウムを1mol/Lになるように添加して非水電解液を作製した。上記電極を作用極とし、リチウム金属箔(厚さ300μm)を対極として、両電極の間に上記非水電解液を含浸させたセパレータ(東燃タピルス)を挟んで二極式評価セルを作製した。得られたものを実験例1〜4の二極式評価セルとした。
(X線回折測定)
実験例1〜4の活物質粉体の粉末X線回折測定を行った。測定は、放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用し、X線回折装置(リガク製RINT2200)を用いて行った。また、測定は、X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定し、4°/分の走査速度で2θ=10°〜90°の角度範囲で行った。図3は、実験例1〜4のX線回折測定結果である。図3に示すように、実験例1〜3は、空間群P21/cに帰属される単斜晶を仮定した時の(001)、(111)、(102)、(112)ピークが明確に現れていることから、図1に示した、リチウム層と有機骨格層からなる層状構造を形成していると推察された。また、実験例1〜3は、空間群P21/cに帰属される単斜晶であることから、4つの異なる芳香族ジカルボン酸分子の酸素とリチウムとが4配位を形成する構造を形成し、有機骨格の部分でπ電子共役雲による相互作用が働いているものと推察された。一方、実験例4では、ジカルボン酸アニオンの結合位置から構造的にアルカリ金属層を形成しにくく、空間群P21/cに帰属されるピークが現れておらず、異なる結晶構造であることが明らかである。
実験例1〜4の活物質粉体の粉末X線回折測定を行った。測定は、放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用し、X線回折装置(リガク製RINT2200)を用いて行った。また、測定は、X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定し、4°/分の走査速度で2θ=10°〜90°の角度範囲で行った。図3は、実験例1〜4のX線回折測定結果である。図3に示すように、実験例1〜3は、空間群P21/cに帰属される単斜晶を仮定した時の(001)、(111)、(102)、(112)ピークが明確に現れていることから、図1に示した、リチウム層と有機骨格層からなる層状構造を形成していると推察された。また、実験例1〜3は、空間群P21/cに帰属される単斜晶であることから、4つの異なる芳香族ジカルボン酸分子の酸素とリチウムとが4配位を形成する構造を形成し、有機骨格の部分でπ電子共役雲による相互作用が働いているものと推察された。一方、実験例4では、ジカルボン酸アニオンの結合位置から構造的にアルカリ金属層を形成しにくく、空間群P21/cに帰属されるピークが現れておらず、異なる結晶構造であることが明らかである。
(示差熱熱重量同時測定)
実験例1〜4の活物質粉体の示差熱熱重量同時測定を行った。測定は示差熱熱重量同時測定装置(リガク製Thermo Mass)を用いた。測定は、測定温度範囲を室温から750℃とし、昇温速度10℃/分で行った。図4は、実験例1〜4の示差熱熱重量同時測定結果である。実験例4の材料は、質量減少が450℃付近から起きるのに対し、実験例1〜3は、550℃へと熱的安定性が向上している。この理由は、実験例1〜3の空間群P21/cに帰属される単斜晶の結晶構造ではπ電子相互作用による組織化と4つの異なる芳香族ジカルボン酸の酸素とリチウムとが4配位を形成することにより、熱的安定性に優れた結晶となっているものと推察された。
実験例1〜4の活物質粉体の示差熱熱重量同時測定を行った。測定は示差熱熱重量同時測定装置(リガク製Thermo Mass)を用いた。測定は、測定温度範囲を室温から750℃とし、昇温速度10℃/分で行った。図4は、実験例1〜4の示差熱熱重量同時測定結果である。実験例4の材料は、質量減少が450℃付近から起きるのに対し、実験例1〜3は、550℃へと熱的安定性が向上している。この理由は、実験例1〜3の空間群P21/cに帰属される単斜晶の結晶構造ではπ電子相互作用による組織化と4つの異なる芳香族ジカルボン酸の酸素とリチウムとが4配位を形成することにより、熱的安定性に優れた結晶となっているものと推察された。
(充放電試験)
実験例1〜4の二極式評価セルを用い、20℃の温度環境下、0.02mAで0.5Vまで還元(充電)したのち、0.02mAで3.0Vまで酸化(放電)させた。この充放電操作の1回目の還元容量をQ(1st)red、酸化容量をQ(1st)oxiとした。表1に実験例1〜4の二極式評価セルの充放電試験結果をまとめた。表1に示すように、実験例1,2のセルは、実験例3に比べ大きな酸化容量を発現することがわかった。例えば、実験例2においては、理論容量200mAh/gよりも高い容量が得られたが、この理由としては、有機骨格層に形成された空間にもリチウムの吸蔵・放出が起きているためではないかと推察された。また、実験例1,2のセルでは電位平坦部分であるプラトー領域をもつのに対し、実験例4のセルでは明確なプラトー領域が見られなかった。このことから、実験例1,2ではリチウム層と有機骨格層とを備えた層状構造をとることによりリチウム金属基準で0.7V以上0.85V以下の範囲で平坦な電位が現れるものと推察された。実験例3は、実験例1,2に比して充放電容量が小さかった。これは、芳香環が1つしかなく導電性が低いなどに起因していると推察された。芳香環が1つしかない場合には、リチウム吸蔵時の僅かな体積変化に伴い、芳香環によるπ電子相互作用が弱くなり、π電子の重なりが少なくなることで導電性が低下し、充放電容量が減少すると考えられる。一方、芳香環が2つ以上ある場合には、リチウム吸蔵時に体積変化が生じてもπ電子の重なりが多いため、安定した導電性を示し、充放電容量も減少しないものと推察された。芳香環が多いとリチウムの吸蔵サイトに比して有機骨格層が過大となることから、芳香環の数は、2以上5以下程度が好ましいものと推察された。また、実施例1,2では、比較例1に比べてプラトー領域での電位が低電位側にあることから、高電圧な電池設計を期待することができる。実験例1,2では、プラトー領域がリチウム金属基準の電位で0.7V以上0.85V以下の範囲にあり、例えば負極活物質としての黒鉛に比してリチウム金属基準の電位が高く、負極上へのリチウム金属の析出を抑制することができる。また、実験例1,2では、負極活物質としての複合酸化物(例えばリチウムチタン複合酸化物)などの1.5Vに比してリチウム金属基準の電位が低く、電池電圧をより高めることができる。また、実験例1,2では、負極活物質としての金属Siに比して構造的及び熱的に安定であり、充放電サイクル特性がより高いものと推察された。本発明の層状構造体(結晶性有機・無機複合材料)は、充放電サイクル特性に優れた電極活物質として利用することができることが明らかとなった。
実験例1〜4の二極式評価セルを用い、20℃の温度環境下、0.02mAで0.5Vまで還元(充電)したのち、0.02mAで3.0Vまで酸化(放電)させた。この充放電操作の1回目の還元容量をQ(1st)red、酸化容量をQ(1st)oxiとした。表1に実験例1〜4の二極式評価セルの充放電試験結果をまとめた。表1に示すように、実験例1,2のセルは、実験例3に比べ大きな酸化容量を発現することがわかった。例えば、実験例2においては、理論容量200mAh/gよりも高い容量が得られたが、この理由としては、有機骨格層に形成された空間にもリチウムの吸蔵・放出が起きているためではないかと推察された。また、実験例1,2のセルでは電位平坦部分であるプラトー領域をもつのに対し、実験例4のセルでは明確なプラトー領域が見られなかった。このことから、実験例1,2ではリチウム層と有機骨格層とを備えた層状構造をとることによりリチウム金属基準で0.7V以上0.85V以下の範囲で平坦な電位が現れるものと推察された。実験例3は、実験例1,2に比して充放電容量が小さかった。これは、芳香環が1つしかなく導電性が低いなどに起因していると推察された。芳香環が1つしかない場合には、リチウム吸蔵時の僅かな体積変化に伴い、芳香環によるπ電子相互作用が弱くなり、π電子の重なりが少なくなることで導電性が低下し、充放電容量が減少すると考えられる。一方、芳香環が2つ以上ある場合には、リチウム吸蔵時に体積変化が生じてもπ電子の重なりが多いため、安定した導電性を示し、充放電容量も減少しないものと推察された。芳香環が多いとリチウムの吸蔵サイトに比して有機骨格層が過大となることから、芳香環の数は、2以上5以下程度が好ましいものと推察された。また、実施例1,2では、比較例1に比べてプラトー領域での電位が低電位側にあることから、高電圧な電池設計を期待することができる。実験例1,2では、プラトー領域がリチウム金属基準の電位で0.7V以上0.85V以下の範囲にあり、例えば負極活物質としての黒鉛に比してリチウム金属基準の電位が高く、負極上へのリチウム金属の析出を抑制することができる。また、実験例1,2では、負極活物質としての複合酸化物(例えばリチウムチタン複合酸化物)などの1.5Vに比してリチウム金属基準の電位が低く、電池電圧をより高めることができる。また、実験例1,2では、負極活物質としての金属Siに比して構造的及び熱的に安定であり、充放電サイクル特性がより高いものと推察された。本発明の層状構造体(結晶性有機・無機複合材料)は、充放電サイクル特性に優れた電極活物質として利用することができることが明らかとなった。
次に、層状構造体と繊維状導電材と粒子状導電材と結着材とを含むリチウム二次電池用負極の特性について検討した。上記実験例1の層状構造体を用いてリチウム二次電池を作製し、充放電特性について検討した結果を実施例として説明する。
[実施例1]
実験例1で作製した、比表面積1.0m2/g、平均粒径2.5μmの2,6−ナフタレンジカルボン酸リチウム(化学式(7)参照)を層状構造体(負極活物質)として用いて、リチウム二次電池用電極を作製した。負極活物質粉体を60質量%、比表面積13m2/g、平均繊維長15μmのVGCF(気相成長炭素繊維)などを繊維状導電材として10質量%、比表面積225m2/g、平均粒径25nmのカーボンブラックなどを粒子状導電材として20質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを10質量%の割合で混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状の負極合材とした。このスラリー状負極合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、2.05cm2の面積に打ち抜いて円盤状の電極を準備した。また、上述した実験例1と同様の工程を経て二極式評価セルを作製し、得られたものを実施例1とした。
実験例1で作製した、比表面積1.0m2/g、平均粒径2.5μmの2,6−ナフタレンジカルボン酸リチウム(化学式(7)参照)を層状構造体(負極活物質)として用いて、リチウム二次電池用電極を作製した。負極活物質粉体を60質量%、比表面積13m2/g、平均繊維長15μmのVGCF(気相成長炭素繊維)などを繊維状導電材として10質量%、比表面積225m2/g、平均粒径25nmのカーボンブラックなどを粒子状導電材として20質量%、結着材としてポリフッ化ビニリデンを10質量%の割合で混合し、分散材としてN−メチル−2−ピロリドンを適量添加、分散してスラリー状の負極合材とした。このスラリー状負極合材を10μm厚の銅箔集電体に均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、2.05cm2の面積に打ち抜いて円盤状の電極を準備した。また、上述した実験例1と同様の工程を経て二極式評価セルを作製し、得られたものを実施例1とした。
[実施例2〜7]
負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ66.7質量%、11.1質量%、11.1質量%、11.1質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例2とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ70.5質量%、5.9質量%、11.8質量%、11.8質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例3とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ70.5質量%、11.8質量%、5.9質量%、11.8質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例4とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ70.5質量%、11.8質量%、11.8質量%、5.9質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例5とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ75.0質量%、12.4質量%、6.3質量%、6.3質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例6とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ79.9質量%、6.7質量%、6.7質量%、6.7質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例7とした。
負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ66.7質量%、11.1質量%、11.1質量%、11.1質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例2とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ70.5質量%、5.9質量%、11.8質量%、11.8質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例3とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ70.5質量%、11.8質量%、5.9質量%、11.8質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例4とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ70.5質量%、11.8質量%、11.8質量%、5.9質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例5とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ75.0質量%、12.4質量%、6.3質量%、6.3質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例6とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ79.9質量%、6.7質量%、6.7質量%、6.7質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを実施例7とした。
[比較例1〜4]
負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ85.0質量%、0.0質量%、10.0質量%、5.0質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを比較例1とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ60.0質量%、0.0質量%、30.0質量%、10.0質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを比較例2とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ75.0質量%、12.5質量%、0.0質量%、12.5質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを比較例3とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ78.9質量%、6.6質量%、1.3質量%、13.2質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを比較例4とした。
負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ85.0質量%、0.0質量%、10.0質量%、5.0質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを比較例1とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ60.0質量%、0.0質量%、30.0質量%、10.0質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを比較例2とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ75.0質量%、12.5質量%、0.0質量%、12.5質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを比較例3とした。また、負極活物質、繊維状導電材、粒子状導電材及び結着材の配合比を、それぞれ78.9質量%、6.6質量%、1.3質量%、13.2質量%とした以外は実施例1と同様の工程を経て得られた二極式評価セルを比較例4とした。
(充放電試験)
実施例1〜7,比較例1〜4の二極式評価セルを用い、20℃の温度環境下、0.02mAで0.5Vまで還元(充電)したのち、0.02mAで3.0Vまで酸化(放電)させた。この充放電操作の1回目の還元容量をQ(1st)red、酸化容量をQ(1st)oxiとし、放電容量を充電容量で除算することにより初回の充放電効率を求めた。また、層状構造体の比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)、配合比Xと、繊維状導電材の比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)、配合比Yと、粒子状導電材の比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)、配合比Zと、数式(1)とを用いて電極パラメータを算出した。表2に実施例1〜7,比較例1〜4の二極式評価セルの充放電試験結果をまとめた。また、図5は、電極パラメータ値と初回充放電効率との関係図である。表2に示すように、粒子状導電材のみを加えた比較例1,2のセルや繊維状導電材のみを加えた比較例3では、電極パラメータが0を下回り、初回効率も低かった。比較例1,2では、粒子状導電材の添加量が増加すると、初期放電容量は大きくなるものの初回の充放電効率は低かった。これは、活物質に対する導電材の比表面積が大きく、電子集電機能は向上するものの電子伝導機能が低いためであると考えられる。また、比較例3では、電子導電機能はあるものの電子集電機能が低く、初期放電容量と初回充放電効率が低くなるものと推察された。また、比較例4では、粒子状導電材及び繊維状導電材を含むものの、電極パラメータが0より低く、初期放電容量や初回充放電効率が低い値を示した。一方、電子集電機能と電子伝導機能を高めた実施例1〜7では、電極パラメータ値が0以上となり、初回充放電効率も高い結果となった。したがって、数式(1)に示す電極パラメータ値が0以上とすれば、負極活物質として層状構造体を含むリチウム二次電池の初期充放電特性を高める電極設計が可能であることが明らかとなった。
実施例1〜7,比較例1〜4の二極式評価セルを用い、20℃の温度環境下、0.02mAで0.5Vまで還元(充電)したのち、0.02mAで3.0Vまで酸化(放電)させた。この充放電操作の1回目の還元容量をQ(1st)red、酸化容量をQ(1st)oxiとし、放電容量を充電容量で除算することにより初回の充放電効率を求めた。また、層状構造体の比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)、配合比Xと、繊維状導電材の比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)、配合比Yと、粒子状導電材の比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)、配合比Zと、数式(1)とを用いて電極パラメータを算出した。表2に実施例1〜7,比較例1〜4の二極式評価セルの充放電試験結果をまとめた。また、図5は、電極パラメータ値と初回充放電効率との関係図である。表2に示すように、粒子状導電材のみを加えた比較例1,2のセルや繊維状導電材のみを加えた比較例3では、電極パラメータが0を下回り、初回効率も低かった。比較例1,2では、粒子状導電材の添加量が増加すると、初期放電容量は大きくなるものの初回の充放電効率は低かった。これは、活物質に対する導電材の比表面積が大きく、電子集電機能は向上するものの電子伝導機能が低いためであると考えられる。また、比較例3では、電子導電機能はあるものの電子集電機能が低く、初期放電容量と初回充放電効率が低くなるものと推察された。また、比較例4では、粒子状導電材及び繊維状導電材を含むものの、電極パラメータが0より低く、初期放電容量や初回充放電効率が低い値を示した。一方、電子集電機能と電子伝導機能を高めた実施例1〜7では、電極パラメータ値が0以上となり、初回充放電効率も高い結果となった。したがって、数式(1)に示す電極パラメータ値が0以上とすれば、負極活物質として層状構造体を含むリチウム二次電池の初期充放電特性を高める電極設計が可能であることが明らかとなった。
本発明は、電池産業に利用可能である。
20 リチウム二次電池、21 電池ケース、22 正極、23 負極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 イオン伝導媒体。
即ち、本発明のリチウム二次電池用負極は、
2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有する層状構造体であり比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)である負極活物質と、
比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)である繊維状導電材と、
比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)である粒子状導電材と、を備え、
前記負極活物質がX、前記繊維状導電材がY、及び前記粒子状導電材がZの割合で含まれているとき、Log((SyY+SzZ)/SxX×10 -1 )×Log((LyY+LzZ)/LxX×10 1 )を電極パラメータとすると、該電極パラメータは数式(1)を満たすものである。
2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有する層状構造体であり比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)である負極活物質と、
比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)である繊維状導電材と、
比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)である粒子状導電材と、を備え、
前記負極活物質がX、前記繊維状導電材がY、及び前記粒子状導電材がZの割合で含まれているとき、Log((SyY+SzZ)/SxX×10 -1 )×Log((LyY+LzZ)/LxX×10 1 )を電極パラメータとすると、該電極パラメータは数式(1)を満たすものである。
本発明のリチウム二次電池用負極及びリチウム二次電池は、充放電特性をより高めることができる。このような効果が得られる理由は明らかではないが、以下のように推測される。例えば、活物質である層状構造体は、ジカルボン酸の酸素とアルカリ金属元素(例えばリチウム)とが4配位を形成しており、非水系電解液に溶けにくく、結晶構造を保つことで充放電サイクル特性の安定性がより高められるものと推察される。この層状構造体は、導電性を有さないが、繊維状導電材と粒子状導電材とが負極に含まれており、例えば、繊維状導電材に導電機能を発揮させ、粒子状導電材に集電機能を発揮させることにより、初期放電容量をより高めることができる。更に、上記電極パラメータを含む数式(1)を満たすことにより、例えば、イオン伝導媒体の分解などをより抑制し、初期不可逆容量の発生の低減を図ることができ、充放電特性をより高めることができるものと推察される。
この本発明のリチウム二次電池の負極は、負極活物質の層状構造体が比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)であり、繊維状導電材が比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)であり、粒子状導電材が比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)であるものとし、且つ負極活物質がX、繊維状導電材がY、及び粒子状導電材がZの割合で含まれているとき、Log((SyY+SzZ)/SxX×10 -1 )×Log((LyY+LzZ)/LxX×10 1 )を電極パラメータとすると、この電極パラメータは数式(1)を満たす。電極パラメータの数式(1)において、Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1)の項は、負極活物質に対する導電材の比表面積の割合Sを表す(数式(2))。この比表面積の割合Sは、活物質に対して多くの面が存在することを表し、電子の集電性機能を表す。なお、「10-1」は、電極パラメータにおける寄与度である。また、電極パラメータの数式(1)において、Log((LyY+LzZ)/LxX×101)の項は、負極活物質の粒径に対する導電材の平均長さの割合Lを表す(数式(3))。この平均長さの割合Lは、電極内に、より長い導電パスが形成されていることを表し、電子の導電性機能を表す。なお、「101」は、電極パラメータにおける寄与度であり、比表面積の割合Sに比して平均長さの割合Lの寄与度が高いものとしている。この電極パラメータを含む数式(1)を満たすものとすると、電子集電性と電子導電性とのバランスに優れ、初期放電容量や、初回の充放電効率など、リチウム二次電池の初期特性をより高めることができる。この電極パラメータは、0以上であるが、1以下が好ましく、0.3以上0.8以下がより好ましい。
本発明のリチウム二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図2は、本発明のリチウム二次電池20の一例を示す模式図である。このリチウム二次電池20は、カップ形状の電池ケース21と、正極活物質を有しこの電池ケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。このリチウム二次電池20は、正極22と負極23との間の空間にリチウム塩を溶解したイオン伝導媒体27が満たされている。この負極23は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含み、ジカルボン酸アニオンのうちカルボン酸アニオンの一方と他方とが芳香族化合物の対角位置に結合されている有機骨格層と、カルボン酸アニオンに含まれる酸素に配位したアルカリ金属元素層と、を備えた層状構造体を負極活物質として含んでいる。また、この負極23は、層状構造体と繊維状導電材と粒子状導電材と結着材とを含み、上述した電極パラメータを含む数式(1)を満たしている。
本発明のリチウム二次電池は、負極活物質である層状構造体が、ジカルボン酸の酸素とLi元素とが4配位を形成しており、非水系に溶けにくく、結晶構造を保つことで充放電サイクル特性の安定性がより高められるものと推察される。この層状構造体は、有機骨格層が酸化還元部位として機能し、Li層がLiイオンの吸蔵部位として機能するものと推察される。また、負極は、充放電電位がリチウム金属基準で0.5V以上1.0Vの範囲を示すため、電池の作動電圧低下に伴う大幅なエネルギー密度の低下を抑えることができる一方、リチウム金属の析出も抑制することができる。この新規な層状構造体(結晶性有機・無機複合材料)により、充放電特性をより高めることができるものと推察される。更に、負極に含まれる層状構造体は、導電性が低いものであるが、上述した数式(1)の電極パラメータを含む数式(1)を満たすため、電子集電性と電子導電性とのバランスに優れ、初期放電容量や、初回の充放電効率など、リチウム二次電池の初期特性をより高めることができる。
(X線回折測定)
実験例1〜4の活物質粉体の粉末X線回折測定を行った。測定は、放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用し、X線回折装置(リガク製RINT2200)を用いて行った。また、測定は、X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定し、4°/分の走査速度で2θ=10°〜90°の角度範囲で行った。図3は、実験例1〜4のX線回折測定結果である。図3に示すように、実験例1〜3は、空間群P21/cに帰属される単斜晶を仮定した時の(011)、(111)、(102)、(112)ピークが明確に現れていることから、図1に示した、リチウム層と有機骨格層からなる層状構造を形成していると推察された。また、実験例1〜3は、空間群P21/cに帰属される単斜晶であることから、4つの異なる芳香族ジカルボン酸分子の酸素とリチウムとが4配位を形成する構造を形成し、有機骨格の部分でπ電子共役雲による相互作用が働いているものと推察された。一方、実験例4では、ジカルボン酸アニオンの結合位置から構造的にアルカリ金属層を形成しにくく、空間群P21/cに帰属されるピークが現れておらず、異なる結晶構造であることが明らかである。
実験例1〜4の活物質粉体の粉末X線回折測定を行った。測定は、放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用し、X線回折装置(リガク製RINT2200)を用いて行った。また、測定は、X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定し、4°/分の走査速度で2θ=10°〜90°の角度範囲で行った。図3は、実験例1〜4のX線回折測定結果である。図3に示すように、実験例1〜3は、空間群P21/cに帰属される単斜晶を仮定した時の(011)、(111)、(102)、(112)ピークが明確に現れていることから、図1に示した、リチウム層と有機骨格層からなる層状構造を形成していると推察された。また、実験例1〜3は、空間群P21/cに帰属される単斜晶であることから、4つの異なる芳香族ジカルボン酸分子の酸素とリチウムとが4配位を形成する構造を形成し、有機骨格の部分でπ電子共役雲による相互作用が働いているものと推察された。一方、実験例4では、ジカルボン酸アニオンの結合位置から構造的にアルカリ金属層を形成しにくく、空間群P21/cに帰属されるピークが現れておらず、異なる結晶構造であることが明らかである。
(充放電試験)
実験例1〜4の二極式評価セルを用い、20℃の温度環境下、0.02mAで0.5Vまで還元(充電)したのち、0.02mAで3.0Vまで酸化(放電)させた。この充放電操作の1回目の還元容量をQ(1st)red、酸化容量をQ(1st)oxiとした。表1に実験例1〜4の二極式評価セルの充放電試験結果をまとめた。表1に示すように、実験例1,2のセルは、実験例3に比べ大きな酸化容量を発現することがわかった。例えば、実験例2においては、理論容量200mAh/gよりも高い容量が得られたが、この理由としては、有機骨格層に形成された空間にもリチウムの吸蔵・放出が起きているためではないかと推察された。また、実験例1,2のセルでは電位平坦部分であるプラトー領域をもつのに対し、実験例4のセルでは明確なプラトー領域が見られなかった。このことから、実験例1,2ではリチウム層と有機骨格層とを備えた層状構造をとることによりリチウム金属基準で0.7V以上0.85V以下の範囲で平坦な電位が現れるものと推察された。実験例3は、実験例1,2に比して充放電容量が小さかった。これは、芳香環が1つしかなく導電性が低いなどに起因していると推察された。芳香環が1つしかない場合には、リチウム吸蔵時の僅かな体積変化に伴い、芳香環によるπ電子相互作用が弱くなり、π電子の重なりが少なくなることで導電性が低下し、充放電容量が減少すると考えられる。一方、芳香環が2つ以上ある場合には、リチウム吸蔵時に体積変化が生じてもπ電子の重なりが多いため、安定した導電性を示し、充放電容量も減少しないものと推察された。芳香環が多いとリチウムの吸蔵サイトに比して有機骨格層が過大となることから、芳香環の数は、2以上5以下程度が好ましいものと推察された。また、実験例1,2では、実験例3に比べてプラトー領域での電位が低電位側にあることから、高電圧な電池設計を期待することができる。実験例1,2では、プラトー領域がリチウム金属基準の電位で0.7V以上0.85V以下の範囲にあり、例えば負極活物質としての黒鉛に比してリチウム金属基準の電位が高く、負極上へのリチウム金属の析出を抑制することができる。また、実験例1,2では、負極活物質としての複合酸化物(例えばリチウムチタン複合酸化物)などの1.5Vに比してリチウム金属基準の電位が低く、電池電圧をより高めることができる。また、実験例1,2では、負極活物質としての金属Siに比して構造的及び熱的に安定であり、充放電サイクル特性がより高いものと推察された。本発明の層状構造体(結晶性有機・無機複合材料)は、充放電サイクル特性に優れた電極活物質として利用することができることが明らかとなった。
実験例1〜4の二極式評価セルを用い、20℃の温度環境下、0.02mAで0.5Vまで還元(充電)したのち、0.02mAで3.0Vまで酸化(放電)させた。この充放電操作の1回目の還元容量をQ(1st)red、酸化容量をQ(1st)oxiとした。表1に実験例1〜4の二極式評価セルの充放電試験結果をまとめた。表1に示すように、実験例1,2のセルは、実験例3に比べ大きな酸化容量を発現することがわかった。例えば、実験例2においては、理論容量200mAh/gよりも高い容量が得られたが、この理由としては、有機骨格層に形成された空間にもリチウムの吸蔵・放出が起きているためではないかと推察された。また、実験例1,2のセルでは電位平坦部分であるプラトー領域をもつのに対し、実験例4のセルでは明確なプラトー領域が見られなかった。このことから、実験例1,2ではリチウム層と有機骨格層とを備えた層状構造をとることによりリチウム金属基準で0.7V以上0.85V以下の範囲で平坦な電位が現れるものと推察された。実験例3は、実験例1,2に比して充放電容量が小さかった。これは、芳香環が1つしかなく導電性が低いなどに起因していると推察された。芳香環が1つしかない場合には、リチウム吸蔵時の僅かな体積変化に伴い、芳香環によるπ電子相互作用が弱くなり、π電子の重なりが少なくなることで導電性が低下し、充放電容量が減少すると考えられる。一方、芳香環が2つ以上ある場合には、リチウム吸蔵時に体積変化が生じてもπ電子の重なりが多いため、安定した導電性を示し、充放電容量も減少しないものと推察された。芳香環が多いとリチウムの吸蔵サイトに比して有機骨格層が過大となることから、芳香環の数は、2以上5以下程度が好ましいものと推察された。また、実験例1,2では、実験例3に比べてプラトー領域での電位が低電位側にあることから、高電圧な電池設計を期待することができる。実験例1,2では、プラトー領域がリチウム金属基準の電位で0.7V以上0.85V以下の範囲にあり、例えば負極活物質としての黒鉛に比してリチウム金属基準の電位が高く、負極上へのリチウム金属の析出を抑制することができる。また、実験例1,2では、負極活物質としての複合酸化物(例えばリチウムチタン複合酸化物)などの1.5Vに比してリチウム金属基準の電位が低く、電池電圧をより高めることができる。また、実験例1,2では、負極活物質としての金属Siに比して構造的及び熱的に安定であり、充放電サイクル特性がより高いものと推察された。本発明の層状構造体(結晶性有機・無機複合材料)は、充放電サイクル特性に優れた電極活物質として利用することができることが明らかとなった。
(充放電試験)
実施例1〜7,比較例1〜4の二極式評価セルを用い、20℃の温度環境下、0.02mAで0.5Vまで還元(充電)したのち、0.02mAで3.0Vまで酸化(放電)させた。この充放電操作の1回目の還元容量をQ(1st)red、酸化容量をQ(1st)oxiとし、放電容量を充電容量で除算することにより初回の充放電効率を求めた。また、層状構造体の比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)、配合比Xと、繊維状導電材の比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)、配合比Yと、粒子状導電材の比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)、配合比Zと、数式(1)とを用いて電極パラメータを算出した。表2に実施例1〜7,比較例1〜4の二極式評価セルの充放電試験結果をまとめた。また、図5は、電極パラメータ値と初回充放電効率との関係図である。表2に示すように、粒子状導電材のみを加えた比較例1,2のセルや繊維状導電材のみを加えた比較例3では、電極パラメータが0を下回り、初回効率も低かった。比較例1,2では、粒子状導電材の添加量が増加すると、初期放電容量は大きくなるものの初回の充放電効率は低かった。これは、活物質と導電材との接触面積が大きいほど電子集電機能は向上するものの、電子伝導機能が低いためであると考えられる。また、比較例3では、電子導電機能はあるものの電子集電機能が低く、初期放電容量と初回充放電効率が低くなるものと推察された。また、比較例4では、粒子状導電材及び繊維状導電材を含むものの、電極パラメータが0より低く、初期放電容量や初回充放電効率が低い値を示した。一方、電子集電機能と電子伝導機能を高めた実施例1〜7では、電極パラメータ値が0以上となり、初回充放電効率も高い結果となった。したがって、数式(1)に示す電極パラメータ値が0以上とすれば、負極活物質として層状構造体を含むリチウム二次電池の初期充放電特性を高める電極設計が可能であることが明らかとなった。
実施例1〜7,比較例1〜4の二極式評価セルを用い、20℃の温度環境下、0.02mAで0.5Vまで還元(充電)したのち、0.02mAで3.0Vまで酸化(放電)させた。この充放電操作の1回目の還元容量をQ(1st)red、酸化容量をQ(1st)oxiとし、放電容量を充電容量で除算することにより初回の充放電効率を求めた。また、層状構造体の比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)、配合比Xと、繊維状導電材の比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)、配合比Yと、粒子状導電材の比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)、配合比Zと、数式(1)とを用いて電極パラメータを算出した。表2に実施例1〜7,比較例1〜4の二極式評価セルの充放電試験結果をまとめた。また、図5は、電極パラメータ値と初回充放電効率との関係図である。表2に示すように、粒子状導電材のみを加えた比較例1,2のセルや繊維状導電材のみを加えた比較例3では、電極パラメータが0を下回り、初回効率も低かった。比較例1,2では、粒子状導電材の添加量が増加すると、初期放電容量は大きくなるものの初回の充放電効率は低かった。これは、活物質と導電材との接触面積が大きいほど電子集電機能は向上するものの、電子伝導機能が低いためであると考えられる。また、比較例3では、電子導電機能はあるものの電子集電機能が低く、初期放電容量と初回充放電効率が低くなるものと推察された。また、比較例4では、粒子状導電材及び繊維状導電材を含むものの、電極パラメータが0より低く、初期放電容量や初回充放電効率が低い値を示した。一方、電子集電機能と電子伝導機能を高めた実施例1〜7では、電極パラメータ値が0以上となり、初回充放電効率も高い結果となった。したがって、数式(1)に示す電極パラメータ値が0以上とすれば、負極活物質として層状構造体を含むリチウム二次電池の初期充放電特性を高める電極設計が可能であることが明らかとなった。
Claims (8)
- 2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有する層状構造体であり比表面積Sx(m2/g)、平均粒径Lx(μm)である負極活物質と、
比表面積Sy(m2/g)、平均長さLy(μm)である繊維状導電材と、
比表面積Sz(m2/g)、平均粒径Lz(μm)である粒子状導電材と、を備え、
前記負極活物質がX、前記繊維状導電材がY、及び前記粒子状導電材がZの割合で含まれているとき、数式(1)の電極パラメータを満たす、リチウム二次電池用負極。
Log((SyY+SzZ)/SxX×10-1)×Log((LyY+LzZ)/LxX×101)≧0 …数式(1) - 前記層状構造体は、前記芳香族化合物のπ電子相互作用により層状に形成され、空間群P21/cに帰属される単斜晶型の結晶構造を有する、請求項1に記載のリチウム二次電池用負極。
- 前記層状構造体は、異なる前記ジカルボン酸アニオンの酸素4つと前記アルカリ金属元素とが4配位を形成する次の化学式(1)の構造を備えている、請求項1又は2に記載のリチウム二次電池用負極。
- 前記有機骨格層は、化学式(2)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極。
- 前記有機骨格層は、化学式(3)〜(5)のうちいずれか1以上の芳香族化合物を備えている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極。
- 前記有機骨格層は、前記ジカルボン酸アニオンのうちカルボン酸アニオンの一方と他方とが前記芳香族環構造の対角位置に結合されている芳香族化合物を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極。
- 前記アルカリ金属元素層に含まれるアルカリ金属元素は、Liである、請求項1〜6のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極。
- 正極と、
請求項1〜7のいずれか1項に記載のリチウム二次電池用負極と、
リチウムイオンを伝導するイオン伝導媒体と、
を備えたリチウム二次電池。
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