JP2015022845A - 電極活物質の製造方法、電極活物質及びそれを用いた非水系二次電池 - Google Patents

電極活物質の製造方法、電極活物質及びそれを用いた非水系二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】目的とする層状化合物を効率よく合成する【解決手段】この電極活物質の製造方法は、有機骨格成分とナトリウム成分とを含有する水溶液を用い、目的とする層状構造体を電極活物質として合成する合成工程、を含む。有機骨格成分は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸である芳香族化合物を含むものであり、例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸が好適である。また、ナトリウム成分は、ナトリウムを含むものであり、例えば、水酸化ナトリウムが好適である。目的とする層状構造体は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にナトリウムが配位して骨格を形成するナトリウム層と、を有するものである。【選択図】なし

Description

本発明は、電極活物質の製造方法、電極活物質及びそれを用いた非水系二次電池に関する。
近年、リチウムイオン電池に代わる電池として、ナトリウムイオン電池についての検討が進められている。リチウムとナトリウムはともにアルカリ金属元素であるが、リチウムに比べると、ナトリウムのイオン半径は大きいため、表面電荷密度が低く、従って固相拡散、溶媒和状態、界面挙動などが異なる。例えば、リチウムイオン電池において一般的な負極活物質である黒鉛は、ナトリウムイオン電池においては、黒鉛層間へのナトリウムの電気化学的な挿入反応が困難で電気化学的活性をほとんど示さない。そこで、低結晶性炭素を負極活物質とした場合、ナトリウムイオン電池においても電気化学的な活性が発現し、特にハードカーボンを用いると大きな可逆容量が得られるとされている(非特許文献1参照)。
また、アルカリ金属イオン電池において、上述のような無機系の電極活物質だけでなく、有機系の電極活物質についても検討されている。例えば、テレフタル酸ジナトリウムを負極活物質に用いることが提案されている(非特許文献2,3参照)。また、例えば、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、カルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層と、を有する層状構造体を、電極活物質として用いることが提案されている(特許文献1参照)。
国際公開第2012/053553号
Electrochemistry, 80, 93(2012) Energy Environ. Sci., 2012, 5, 9632−9638 Adv. Mater. 2012, 24, 3562−3567
しかしながら、負極活物質としてハードカーボンを用いる非特許文献1のものでは、放電電圧が0V付近にあり、金属Naの析出電位に近いため、活性の高いNaが析出するおそれがあった。また、負極活物質としてテレフタル酸ジナトリウムを用いる非特許文献2,3のものでは、分極が大きく、充放電容量が低いことがあった。また、特許文献1の電極活物質は、充放電特性は比較的優れているものの、特許文献1に記載の製造方法では、層状構造体を効率よく合成できないことがあった。このため、目的とする層状構造体を効率よく合成することが望まれていた。
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、目的とする層状構造体を効率よく合成することのできる、電極活物質の製造方法、電極活物質及びそれを用いた非水系二次電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するため、本発明者らは、水溶液を用い、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物のカルボン酸の酸素に、ナトリウムを配位させて電極活物質を作製した。そうしたところ、目的とする層状構造体を効率よく合成できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の電極活物質の製造方法は、
2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸である芳香族化合物を含む有機骨格成分と、ナトリウムを含むナトリウム成分と、を含有する水溶液を用い、
2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にナトリウムが配位して骨格を形成するナトリウム層と、を有する層状構造体を電極活物質として合成する合成工程、
を含むものである。
本発明の電極活物質は、
2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にナトリウムが配位して骨格を形成するナトリウム層と、を有する層状構造体である。
本発明の非水系二次電池は、上述した電極活物質と、アルカリ金属イオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えたものである。
本発明の電極活物質の製造方法、電極活物質及びそれを用いた非水系二次電池では、目的とする層状構造体を、効率よく合成することができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。すなわち、有機骨格成分の水に対する溶解度はアルコールに対する溶解度よりも大きい。このため、水溶液を用いて本発明の電極活物質を合成すると、アルコールを用いて合成する場合に比して少ない溶液量で合成が可能であり、目的とする層状構造体を効率よく合成できると考えられる。
本発明の電極活物質の構造の一例を示す説明図。 本発明の非水系二次電池20の一例を示す模式図。 実施例1の層状構造体のX線回折測定結果。 比較例1の層状構造体のX線回折測定結果。 比較例2の層状構造体のX線回折測定結果。 実施例1及び比較例1の充放電曲線。 比較例2の充放電曲線。 実施例1及び比較例1の電流密度と放電容量との関係を示すグラフ。 実施例1及び比較例1のサイクル数と放電容量との関係を示すグラフ。
本発明の電極活物質の製造方法は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸である芳香族化合物を含む有機骨格成分と、ナトリウムを含むナトリウム成分と、を含有する水溶液を用い、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にナトリウムが配位して骨格を形成するナトリウム層と、を有する層状構造体を電極活物質として合成する合成工程、を含むものである。
この合成工程は、例えば、(a)有機骨格成分とナトリウム成分とを含有する水溶液を調製する調製工程と、(b)得られた水溶液に水溶性有機物を加えて層状構造体を析出させる析出工程と、(c)析出した層状構造体を分離する分離工程と、を含むものとしてもよい。以下、各工程について説明する。
(a)調製工程
この工程では、有機骨格成分と、ナトリウム成分と、を含有する水溶液を調製する。有機骨格成分は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸である芳香族化合物を含んでいる。この2以上の芳香族環構造は、例えば、ビフェニルなど2以上の芳香族環が結合した芳香族多環化合物としてもよいし、ナフタレンやアントラセン、ピレンなど2以上の芳香族環が縮合した縮合多環化合物としてもよい。この芳香族環は、五員環や六員環、八員環としてもよく、六員環が好ましい。また、芳香族環は、2以上5以下とするのが好ましい。芳香族環が2以上では層状構造を形成しやすく、芳香族環が5以下ではエネルギー密度をより高めることのできる層状構造体が得られる。この有機骨格成分は、ジカルボン酸を構成するカルボキシル基の一方と他方とが芳香族環構造の対角位置に結合されている芳香族化合物を含むものとすることが好ましい。こうすれば、有機骨格層とナトリウム層とによる層状構造を形成しやすい。カルボキシル基が結合されている対角位置とは、一方のカルボキシル基の結合位置から他方のカルボキシル基の結合位置までが最も遠い位置としてもよく、例えば芳香族環構造がナフタレンであれば2,6位が挙げられ、ピレンであれば2,7位が挙げられる。この有機骨格成分は、次式(1)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されているものとしてもよい。但し、Rは2以上の芳香族環構造を有するものであることが好ましく、先に例示したものなどとしてもよい。具体的には、この有機骨格成分は、次式(2)〜(4)のうちいずれか1以上の芳香族化合物を備えているものとしてもよい。但し、式(2)〜(4)において、nは2以上5以下の整数、mは0以上3以下の整数であることが好ましい。nが2以上5以下では、有機骨格層の大きさが好適で、充放電容量をより高めることのできる層状構造体が得られる。また、mが0以上3以下では、有機骨格層の大きさが好適で、充放電容量をより高めることのできる層状構造体が得られる。この式(2)〜(4)において、これらの芳香族化合物は、その構造中に置換基、ヘテロ原子を有してもよい。具体的には、芳香族化合物の水素の代わりに、ハロゲン、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、水酸基を置換基として持っていてもよいし、芳香族化合物の炭素の代わりに、窒素、硫黄、酸素が導入された構造であってもよい。この有機骨格成分は、次式(5)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されていることがより好ましい。こうしたものでは、充放電容量をより高めることができる。ナトリウム成分としては、ナトリウムを含むものであればよいが、例えば、水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエチラートやナトリウムメチラートなどのナトリウムアルコキシド、などを好適に用いることができる。有機骨格成分とナトリウム成分の割合は、有機骨格成分1モルに対してナトリウムが1.0モル以上4.0モル以下となるようにナトリウム成分の量を調整することが好ましく、2.0モル以上4.0モル以下となるようにすることがより好ましい。
この工程では、ナトリウム成分を含む水溶液に有機骨格成分を加えて攪拌することが好ましい。また、必要に応じて更に水を加えて攪拌するものとしてもよい。加熱温度は、50℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましい。温度を高めることにより、反応が促進するとともに、溶解度が上がるため、冷却時に析出する結晶量を多くすることができるからである。また、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましい。水の沸点近くでは、液面付近に結晶が析出してしまうことがあり、均一溶液を得ることが難しいからである。なお、この工程で得られる水溶液は、有機骨格成分とナトリウム成分とを、有機骨格成分とナトリウム成分との混合物として含むものでもよいし、有機骨格成分とナトリウム成分との化合物として含むものでもよい。有機骨格成分とナトリウム成分との化合物としては、例えば、式(1)〜(5)の芳香族化合物のカルボキシル基に含まれる水素のうち1つ又は2つがナトリウムで置換された構造のものが挙げられる。
(b)析出工程
この工程では、調整工程で調整した、有機骨格成分とナトリウム成分とを含有する水溶液に、貧溶媒である水溶性有機物としてアルコールやケトンを加えて層状構造体を析出させる。アルコールとしては、例えば、エタノールやメタノールなど、ケトンとしてはアセトンなどを好適に用いることができる。水溶性有機物の添加量は、例えば、水溶液がわずかに白濁する量などとしてもよい。この析出工程では、水溶液に水溶性有機物を添加した後、室温以下(25℃以下など)になるまで冷却することが好ましく、数時間以上(例えば1時間以上5時間以下など)かけて徐冷することがより好ましい。こうすれば、純度のより高い層状構造体が得られるし、層状構造体の析出がより促進されるからである。
(c)分離工程
この工程では、析出工程で得られた層状構造体を分離して、層状構造体である電極活物質を得る。分離は、例えば、ろ過により溶媒を除去してもよいし、遠心分離後に溶媒を除去してもよいし、溶媒を蒸発させてもよい。こうして分離した層状構造体は、例えば、エタノールなどのアルコールで洗浄してもよい。
本発明の電極活物質の製造方法では、目的とする層状構造体を、効率よく合成することができる。こうした効果が得られる理由は、以下のように推察される。すなわち、有機骨格成分の水に対する溶解度は、アルコールに対する溶解度より大きい。このため、水溶液を用いる本発明の製造方法では、アルコールを用いる場合に比して、用いる溶液量が同じ場合にはより多くの層状構造体が得られると考えられる。また、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸である有機骨格成分と、ナトリウムを含むナトリウム成分とを用いることで、有機骨格成分として1つの芳香族環構造を有するジカルボン酸を用いた場合や、ナトリウム成分に代えてリチウム成分を用いた場合に比して、充放電特性を高めることができる。こうした効果が得られる理由は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸である有機骨格成分と、ナトリウムを含むナトリウム成分とを用いると、水溶液中で層状構造体を合成しても、特定面を向いた結晶の成長を抑制できるためと推察された。なお、本発明の製造方法で得られる層状構造体である電極活物質は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にナトリウムが配位して骨格を形成するナトリウム層と、を有するものである。その詳細については、以下の電極活物質についての説明の中で説明する。
本発明の電極活物質は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、カルボン酸アニオンに含まれる酸素にナトリウムが配位して骨格を形成するナトリウム層と、を有する層状構造体である。図1は、本発明の層状構造体の一例を示す説明図である。この層状構造体は、有機骨格層とナトリウム層とを備えている。この層状構造体は、芳香族化合物のπ電子相互作用により層状に形成され、空間群Pbc21に帰属される斜方晶型の結晶構造を有するものとすることが、構造的に安定であり、好ましい。また、この層状構造体は、異なるジカルボン酸アニオンの酸素4つとナトリウムとが4配位を形成する次式(6)の構造を備えているものとすることが、構造的に安定であり、好ましい。但し、この式(6)において、Rは2以上の芳香族環構造を有し、複数あるRのうち2以上が同じであってもよいし、1以上が異なっていてもよい。このように、ナトリウムによって有機骨格層が結合した構造を有することが好ましい。
本発明の電極活物質において、有機骨格層は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含んでいる。この2以上の芳香族環構造は、例えば、ビフェニルなど2以上の芳香族環が結合した芳香族多環化合物としてもよいし、ナフタレンやアントラセン、ピレンなど2以上の芳香族環が縮合した縮合多環化合物としてもよい。この芳香族環は、五員環や六員環、八員環としてもよく、六員環が好ましい。また、芳香族環は、2以上5以下とするのが好ましい。芳香族環が2以上では層状構造を形成しやすく、芳香族環が5以下ではエネルギー密度をより高めることができる。この有機骨格層は、ジカルボン酸アニオンのうちカルボン酸アニオンの一方と他方とが芳香族環構造の対角位置に結合されている芳香族化合物を含むものとするのが好ましい。こうすれば、有機骨格層とナトリウム層とによる層状構造を形成しやすい。カルボン酸アニオンが結合されている対角位置とは、一方のカルボン酸アニオンの結合位置から他方のカルボン酸アニオンの結合位置までが最も遠い位置としてもよく、例えば芳香族環構造がナフタレンであれば2,6位が挙げられ、ピレンであれば2,7位が挙げられる。この有機骨格層は、次式(7)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されているものとしてもよい。但し、Rは2以上の芳香族環構造を有するものであることが好ましく、先に例示したものなどとしてもよい。具体的には、この有機骨格層は、次式(8)〜(10)のうちいずれか1以上の芳香族化合物を備えているものとしてもよい。但し、式(8)〜(10)において、nは2以上5以下の整数、mは0以上3以下の整数であることが好ましい。nが2以上5以下では、有機骨格層の大きさが好適であり、充放電容量をより高めることができる。また、mが0以上3以下では、有機骨格層の大きさが好適であり、充放電容量をより高めることができる。この式(8)〜(10)において、これらの芳香族化合物は、その構造中に置換基、ヘテロ原子を有してもよい。具体的には、芳香族化合物の水素の代わりに、ハロゲン、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、水酸基を置換基として持っていてもよいし、芳香族化合物の炭素の代わりに、窒素、硫黄、酸素が導入された構造であってもよい。この有機骨格層は、次式(11)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されていることがより好ましい。こうしたものでは、充放電容量をより高めることができる。なお、有機骨格層が式(7)〜(11)で表されるものである場合、層状構造体は、式(7)〜(11)の2つのカルボン酸アニオンの両方にナトリウムカチオンが結合した構造を含むものとなる。
本発明の電極活物質において、ナトリウム層は、図1に示すように、カルボン酸アニオンに含まれる酸素にナトリウムが配位して骨格を形成している。ナトリウム層に含まれるナトリウムは、層状構造体の骨格を形成することから、充放電に伴うイオン移動には関与しないものと推察される。このように構成された層状構造体は、図1に示すように、構造においては、有機骨格層とこの有機骨格層の間に存在するナトリウム層とにより形成されている。また、エネルギー貯蔵メカニズムにおいては、例えばNaを吸蔵放出する場合、有機骨格層はレドックス(e-)サイトとして機能する一方、ナトリウム層はNa+吸蔵サイトとして機能するものと考えられる。即ち、この層状構造体は、次式(12)に示すようにエネルギーを貯蔵・放出すると考えられる。更に、この層状構造体において、有機骨格層にはNaが入り込み可能な空間が形成されていることがあり、式(12)におけるナトリウム層以外の部分にもNaを吸蔵放出可能であり、充放電容量をより高めることができると推察される。なお、Na以外を吸蔵放出する場合、例えばLiやKなどのNa以外のアルカリ金属を吸蔵放出する場合も同様と考えられる。
本発明の電極活物質において、層状構造体は、CuKα線を用いたX線回折において、2θ=10〜60°の範囲で回折強度が最大となる回折ピークが、2θ≦20°の範囲に確認されるものであることが好ましい。このうち、12°≦2θ≦17°の範囲に確認されるものであることがより好ましい。こうしたものでは、充放電容量を高めるのに適した結晶構造を有していると考えられる。
また、層状構造体は、負極活物質とするのが好ましい。充放電電位がナトリウム金属基準で、0.2V以上1.0V以下という低い範囲にあるため、負極に適しているからである。
次に、本発明の非水系二次電池について説明する。本発明の非水系二次電池は、アルカリ金属を吸蔵・放出する正極活物質を有する正極と、アルカリ金属を吸蔵・放出する負極活物質を有する負極と、正極と負極との間に介在しアルカリ金属イオンを伝導するイオン伝導媒体と、を備えている。本発明の非水系二次電池は、負極及び正極の少なくとも一方に、本発明の層状構造体を電極活物質として備えている。本発明の層状構造体は、負極活物質とするのが好ましい。充放電により吸蔵・放出されるアルカリ金属は、Naとしてもよいし、Na以外のものとしてもよく、例えば、Li,Na及びKなどのうちいずれか1以上とすることができる。このうち、Naが好ましい。ここでは、説明の便宜のため、電極活物質を負極活物質とし、充放電により吸蔵・放出されるアルカリ金属をNaとした非水系二次電池を以下主として説明する。
本発明の非水系二次電池において、負極は、本発明の電極活物質を負極活物質として備えているものとすることができる。この負極は、例えば、負極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の負極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。導電材は、負極の電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。これらの中で、導電材としては、電子伝導性及び塗工性の観点より、カーボンブラック及びアセチレンブラックが好ましい。結着材は、活物質粒子及び導電材粒子を繋ぎ止める役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。負極活物質、導電材、結着材を分散させる溶剤としては、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、ジエチレントリアミン、N,N−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、テトラヒドロフランなどの有機溶剤を用いることができる。また、水に分散剤、増粘剤等を加え、SBRなどのラテックスで活物質をスラリー化してもよい。増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロースなどの多糖類を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。塗布方法としては、例えば、アプリケータロールなどのローラコーティング、スクリーンコーティング、ドクターブレイド方式、スピンコーティング、バーコータなどが挙げられ、これらのいずれかを用いて任意の厚さ・形状とすることができる。集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al−Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1〜500μmのものが用いられる。
本発明の非水系二次電池において、正極は、例えば正極活物質と導電材と結着材とを混合し、適当な溶剤を加えてペースト状の正極合材としたものを、集電体の表面に塗布乾燥し、必要に応じて電極密度を高めるべく圧縮して形成してもよい。正極活物質としては、遷移金属元素を含む硫化物や、ナトリウムと遷移金属元素とを含む酸化物などを用いることができる。具体的には、TiS2、TiS3、MoS3、FeS2などの遷移金属硫化物、Na(1-a)MnO2(0<a<1など、以下同じ)、Na(1-a)Mn24などのナトリウムマンガン複合酸化物、Na(1-a)CoO2などのナトリウムコバルト複合酸化物、Na(1-a)NiO2などのナトリウムニッケル複合酸化物、NaV23などのナトリウムバナジウム複合酸化物、V25などの遷移金属酸化物などを用いることができる。これらのうち、ナトリウムマンガン複合酸化物、ナトリウムコバルト複合酸化物、ナトリウムニッケル複合酸化物、ナトリウムバナジウム複合酸化物などが好ましい。Na源を含む酸化物であり、本発明の非水系二次電池(特に、充放電により吸蔵・放出されるアルカリ金属をNaとしたもの)の正極により適しているからである。また、正極に用いられる導電材、結着材、溶剤などは、それぞれ負極で例示したものを用いることができる。正極の集電体には、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものを用いることができる。これらについては、表面を酸化処理することも可能である。集電体の形状は、負極と同様のものを用いることができる。
本発明の非水系二次電池において、イオン伝導媒体としては、支持塩を含む非水系電解液や非水系ゲル電解液などを用いることができる。非水電解液の溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネートやプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。このうち、環状カーボネート類と鎖状カーボネート類との組み合わせが好ましい。この組み合わせによると、充放電の繰り返しでの電池特性を表すサイクル特性が優れているばかりでなく、電解液の粘度、得られる電池の電気容量、電池出力などをバランスの取れたものとすることができる。なお、環状カーボネート類は、比誘電率が比較的高く、電解液の誘電率を高めていると考えられ、鎖状カーボネート類は、電解液の粘度を抑えていると考えられる。
このイオン伝導媒体に含まれている支持塩は、例えば、NaPF6、NaBF4、NaAsF6、NaCF3SO3、NaN(CF3SO22、NaC(CF3SO23、NaSbF6、NaSiF6、NaAlF4、NaSCN、NaClO4、NaCl、NaF、NaBr、NaI、NaAlCl4などが挙げられる。このうち、NaPF6、NaBF4、NaAsF6、NaClO4などの無機塩、及びNaCF3SO3、NaN(CF3SO22、NaC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この電解質塩は、非水電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。電解質塩の濃度が0.1mol/L以上では、十分な電流密度を得ることができ、5mol/L以下では、電解液をより安定させることができる。また、この非水電解液には、リン系、ハロゲン系などの難燃剤を添加してもよい。
また、液状のイオン伝導媒体の代わりに、固体のイオン伝導性ポリマーをイオン伝導媒体として用いることもできる。イオン伝導性ポリマーとしては、例えば、アクリロニトリル、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、メチルメタクリレート、ビニルアセテート、ビニルピロリドン、ポリフッ化ビニリデンなどのポリマーと支持塩とで構成されるポリマーゲルを用いることができる。更に、イオン伝導性ポリマーと非水系電解液とを組み合わせて用いることもできる。また、イオン伝導媒体としては、イオン伝導性ポリマーのほか、無機固体電解質あるいは有機ポリマー電解質と無機固体電解質の混合材料、若しくは有機バインダーによって結着された無機固体粉末などを利用することができる。
本発明の非水系二次電池は、正極と負極との間にセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、非水系二次電池の使用範囲に耐えうる組成であれば特に限定されないが、例えば、ポリプロピレン製不織布やポリフェニレンスルフィド製不織布などの高分子不織布、ポリエチレンやポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂の薄い微多孔膜が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数を混合して用いてもよい。
本発明の非水系二次電池の形状は、特に限定されないが、例えばコイン型、ボタン型、シート型、積層型、円筒型、偏平型、角型などが挙げられる。また、電気自動車等に用いる大型のものなどに適用してもよい。図2は、本発明の非水系二次電池20の一例を示す模式図である。この非水系二次電池20は、カップ形状の電池ケース21と、正極活物質を有しこの電池ケース21の下部に設けられた正極22と、負極活物質を有し正極22に対してセパレータ24を介して対向する位置に設けられた負極23と、絶縁材により形成されたガスケット25と、電池ケース21の開口部に配設されガスケット25を介して電池ケース21を密封する封口板26と、を備えている。この非水系二次電池20は、正極22と負極23との間の空間にナトリウム塩を溶解したイオン伝導媒体27が満たされている。この負極23は、2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含み、ジカルボン酸アニオンのうちカルボン酸アニオンの一方と他方とが芳香族化合物の対角位置に結合されている有機骨格層と、カルボン酸アニオンに含まれる酸素に配位したナトリウム層と、を備えた層状構造体を負極活物質として含んでいる。
本発明の非水系二次電池は、電極活物質である層状構造体が、ジカルボン酸の酸素とナトリウムとが4配位を形成しており、非水系のイオン伝導媒体に溶けにくく、結晶構造を保つことで充放電サイクル特性の安定性がより高められるものと推察される。この層状構造体は、有機骨格層が酸化還元部位として機能し、ナトリウム層がナトリウムイオンの吸蔵部位として機能するものと推察される。また、負極は、充放電電位がナトリウム金属基準で0.3V以上0.8V以下の範囲を示すため、電池の作動電圧低下に伴う大幅なエネルギー密度の低下を抑えることができる一方、ナトリウム金属の析出も抑制することができる。こうした層状構造体(結晶性有機・無機複合材料)により、充放電特性をより高めることができるものと推察される。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した電極活物質の製造方法において、合成工程は、(a)調製工程と、(b)析出工程と、(c)分離工程と、を含むものとしたが、(a)の調整工程で得られた水溶液を用いるものであれば特に限定されない。このため、(b)や(c)の工程は、省略してもよいし、他の工程に置き換えてもよい。
以下には、本発明の電極活物質及びそれを用いた非水系二次電池を具体的に製造した例を実施例として説明する。
(電極活物質の合成)
[実施例1]
出発原料として、2,6−ナフタレンジカルボン酸及び6N水酸化ナトリウム水溶液(2,6−ナフタレンジカルボン酸に対して3モル当量(カルボン酸基に対して1.5モル当量)の水酸化ナトリウムを含む)を用意した。50℃に加熱しながら水酸化ナトリウム水溶液に2,6−ナフタレンジカルボン酸を加え撹拌した。その後、均一溶液になるまで水を加え溶解した後、90℃で2−3時間加熱撹拌を行った。そこに、わずかに白濁するまでエタノールを加え、3時間かけて室温まで冷却静置後、ろ過により溶媒を除去およびエタノールで洗浄し、16時間乾燥することにより白色の粉末試料を合成した。こうして得られた2,6−ナフタレンジカルボン酸ジナトリウムを、実施例1の層状構造体とした。なお、合成に用いた溶液に対し、得られた層状構造体は100g/Lであった。
[比較例1]
2,6−ナフタレンジカルボン酸に代えてテレフタル酸を用いたこと以外は実施例1と同様にして得られたテレフタル酸ジナトリウムを、比較例1の層状構造体とした。なお、合成に用いた溶液に対し、得られた層状構造体は50g/Lであった。
[比較例2]
水酸化ナトリウム水溶液に代えて水酸化リチウム水溶液を用いたこと以外は実施例1と同様にして得られた2,6−ナフタレンジカルボン酸ジリチウムを、比較例2の電極活物質とした。なお、合成に用いた溶液に対し、得られた層状構造体は50g/Lであった。
(X線回折測定)
実施例1及び比較例1,2の電極活物質について、X線回折測定を行った。測定は放射線としてCu Kα線(波長1.54051Å)を使用したX線回折装置(UltimaIV, リガク)を用いて行った。X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定して測定を行った。また、測定は10°/minの走査速度で2θ=10°〜60°の角度範囲で記録した。
(塗工電極の作製)
実施例1及び比較例1,2の電極活物質を用い、電極活物質を50wt%、導電材としてケッチェンブラックを40wt%、結着材としてポリテトラフルオロエチレンを10wt%混合し、分散材としてエタノールを適量添加、混錬してシート状に成形した。このシートから、直径12mmの円盤状の電極を切り出した。
(二極式評価セルの作製)
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で30:70の割合で混合した非水溶媒に六フッ化リン酸ナトリウム(比較例2では六フッ化リン酸リチウム)を1mol/Lになるように添加して非水電解液を作製した。上記塗工電極を作用極とし、ナトリウム金属箔を対極として、両電極の間に上記非水電解液を含浸させたセパレータ(東レ東燃製)を挟んで二極式評価セルを作製した。
(充放電サイクル試験)
上記二極式評価セルを用い、25℃の温度環境下、0.1mAで0.1V(比較例2では0.5V)まで還元(放電)したのち、0.1mAで1.0V(比較例2では1.5V)まで酸化(充電)させた。この操作を50サイクル行った。
(充放電レート試験)
上記二極式評価セルを用い、25℃の温度環境下、0.1,0.2,0.5,1.0,2.0mAでそれぞれ5サイクル充放電を行った。
(実験結果)
実施例1及び比較例1,2のX線回折測定結果をそれぞれ図3〜5に示す。パターンより実施例1は空間群Pbc21に帰属される斜方晶型の結晶構造であると推察された。比較例1では、2θ=28°と2θ=38°に大きなピークが観測された。ここで、各電極活物質は板状であったことから、比較例1では、特定面を向いた結晶が多くなり、その結果、特定面のピークが強調されたと推察された。また、比較例2では、2θ=17.5°と2θ=44.6°のピーク強度が大きく、比較例1と同様に特定面を向いた結晶が多くなっていると推察された。一方、実施例1では、そうしたピークは観測されず、特定面を向いた結晶が多いということのない均一な結晶であると推察された。以上より、実施例1のように、2以上の芳香族環構造を有する有機骨格成分と、ナトリウム成分とを用いて電極活物質を合成した場合にのみ、特定面を向いた結晶の成長を抑制できると推察された。
実施例1及び比較例1の二極式評価セルによる充放電曲線を図6に示し、比較例2の二極式評価セルによる充放電曲線を図7に示す。比較例1,2に比べて実施例1の方が得られる容量が大きいことが分かった。また、得られる容量の50%に相当する充電と放電過程の電位差から分極を算出すると、実施例1では200mVであるのに対して比較例1では300mVであった。このことより、比較例1に比べて実施例1の方が電極の内部抵抗が小さいことが分かった。また、図6及び図7より、実施例1のように、2以上の芳香族環構造を有する有機骨格成分と、ナトリウム成分とを用いて電極活物質を合成した場合にのみ、優れた充放電性能を発現することがわかった。
実施例1及び比較例1のレート試験結果を図8に示す。比較例1に比べて実施例1の方がすべての電流密度で得られる容量が大きいことが分かった。分極とレート試験結果から、比較例1に比べて実施例1はレート性能に優れていることが分かった。実施例1に比べて比較例1は特定の面に配向するため、その結果、電子あるいはイオンの伝導を阻害することが考えられる。そのため、比較例1のベンゼン骨格に比べて実施例1のナフタレン骨格の方が電子・イオン伝導に優れていると推察された。
実施例1及び比較例1のサイクル試験結果を図9に示す。実施例1では、比較例1に比べて高い容量を維持したまま充放電可能であることが分かった。
また、水溶液を用いず、アルコールを用いて実施例1と同様の構造を有する層状構造体を合成したところ、その充放電特性は実施例1に比べ容量が低く、また、合成に用いた溶液に対し、得られた層状構造体は50g/Lであり、合成の効率が低かった。
なお、非特許文献3には、水を用いてテレフタル酸ジナトリウムを合成することが記載されているが、この方法では、90℃で析出させた結晶を、そのまま高い温度でろ過し、採取している。この場合、エタノールの沸点は78.3℃であることから、高温ろ過は濃度変動等があり再現性に劣ると考えられる。一方、本願実施例1では、室温までゆっくりと冷却を行い、その後、ろ過を行った。この方法は、純度がより高く、層状構造の発達した結晶を析出させるのに適していると考えられる。但し、この方法で非特許文献3の材料(テレフタル酸ジナトリウム)を合成した比較例1では、特定面を向いた結晶が成長するなどして、良好な特性を有する層状構造体を得ることができなかった。以上より、2つ以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸を用いた場合、高温ろ過のような煩雑で再現性の悪い手法をとらなくても、室温まで徐冷することにより、高純度で層状構造の発達した、高い充放電特性の活物質を実現できることがわかった。
以上より、本発明では、充放電に伴う電子およびナトリウムイオンおよび電子のやり取りに優れ容量が大きくかつサイクル特性に優れたものとすることができる電極活物質を、大量に合成できることがわかった。
本発明は、電池産業に利用可能である。
20 非水系二次電池、21 電池ケース、22 正極、23 負極、24 セパレータ、25 ガスケット、26 封口板、27 イオン伝導媒体。

Claims (21)

  1. 2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸である芳香族化合物を含む有機骨格成分と、ナトリウムを含むナトリウム成分と、を含有する水溶液を用い、
    2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にナトリウムが配位して骨格を形成するナトリウム層と、を有する層状構造体を電極活物質として合成する合成工程、
    を含む、電極活物質の製造方法。
  2. 前記有機骨格成分は、次式(1)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されている、請求項1に記載の電極活物質の製造方法。
  3. 前記有機骨格成分は、次式(2)〜(4)のうちいずれか1以上の芳香族化合物を備えている、請求項1又は2に記載の電極活物質の製造方法。
  4. 前記有機骨格成分は、前記ジカルボン酸を構成するカルボキシル基の一方と他方とが前記芳香族環構造の対角位置に結合されている芳香族化合物を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の電極活物質の製造方法。
  5. 前記有機骨格成分は、次式(5)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の電極活物質の製造方法。
  6. 前記ナトリウム成分は、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ナトリウムエチラート、ナトリウムメチラートのうちいずれか1以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の電極活物質の製造方法。
  7. 前記合成工程は、
    前記2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸である有機骨格成分と、前記ナトリウムを含むナトリウム成分と、を含有する前記水溶液を調製する調製工程と、
    前記水溶液に水溶性有機物を加えて層状構造体を析出させる析出工程と、
    を含む、請求項1〜6のいずれか1項に記載の電極活物質の製造方法。
  8. 前記調整工程では、前記ナトリウム成分を含む水溶液に、前記有機骨格成分を加えて、前記水溶液を調整する、請求項7に記載電極活物質の製造方法。
  9. 前記析出工程において、前記水溶性有機物は、エタノール、メタノール、アセトンのうちいずれか1以上である、請求項7又は8に記載の電極活物質の製造方法。
  10. 2以上の芳香族環構造を有するジカルボン酸アニオンである芳香族化合物を含む有機骨格層と、前記カルボン酸アニオンに含まれる酸素にナトリウムが配位して骨格を形成するナトリウム層と、を有する層状構造体である、電極活物質。
  11. 前記層状構造体は、前記芳香族化合物のπ電子相互作用により層状に形成され、空間群Pbc21に帰属される斜方晶型の結晶構造を有する、請求項10に記載の電極活物質。
  12. 前記層状構造体は、異なる前記ジカルボン酸アニオンの酸素4つと前記ナトリウムとが4配位を形成する次式(6)の構造を備えている、請求項10又は11に記載の電極活物質。
  13. 前記有機骨格層は、次式(7)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されている、請求項10〜12のいずれか1項に記載の電極活物質。
  14. 前記有機骨格層は、次式(8)〜(10)のうちいずれか1以上の芳香族化合物を備えている、請求項10〜13のいずれか1項に記載の電極活物質。
  15. 前記有機骨格層は、前記ジカルボン酸アニオンのうちカルボン酸アニオンの一方と他方とが前記芳香族環構造の対角位置に結合されている芳香族化合物を含む、請求項10〜14のいずれか1項に記載の電極活物質。
  16. 前記有機骨格層は、次式(11)で示される構造を含む芳香族化合物により構成されている、請求項10〜15のいずれか1項に記載の電極活物質。
  17. 前記層状構造体は、CuKα線を用いたX線回折において、2θ=10〜60°の範囲で回折強度が最大となる回折ピークが、2θ≦20°の範囲に確認される、請求項10〜16のいずれか1項に記載の電極活物質。
  18. 前記層状構造体は、負極活物質である、請求項10〜17のいずれか1項に記載の電極活物質。
  19. 請求項10〜18のいずれか1項に記載の電極活物質を備えた電極と、
    アルカリ金属イオンを伝導するイオン伝導媒体と、
    を備えた非水系二次電池。
  20. 前記電極活物質を備えた電極は負極である、請求項19に記載の非水系二次電池。
  21. 前記アルカリ金属イオンは、ナトリウムイオンである、請求項19又は20に記載の非水系二次電池。
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