JP7180499B2 - 電極用組成物、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極用組成物の製造方法 - Google Patents
電極用組成物、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極用組成物の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7180499B2 JP7180499B2 JP2019062778A JP2019062778A JP7180499B2 JP 7180499 B2 JP7180499 B2 JP 7180499B2 JP 2019062778 A JP2019062778 A JP 2019062778A JP 2019062778 A JP2019062778 A JP 2019062778A JP 7180499 B2 JP7180499 B2 JP 7180499B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- electrode
- mass
- parts
- active material
- electrode active
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Classifications
-
- Y—GENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
- Y02—TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E60/00—Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
- Y02E60/10—Energy storage using batteries
Description
蓄電デバイスの電極に用いられる電極用組成物であって、
芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える剥片状の層状構造体の電極活物質と、導電材と、結着材と、溶媒とを含有し、
前記結着材は、前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して2.5質量部以上のカルボキシメチルセルロース及び前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して4.0質量部以上のポリエチレンオキサイドを含むものである。
蓄電デバイス用電極に用いられる電極用組成物の製造方法であって、
芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える剥片状の層状構造体の電極活物質と、導電材とを混合し、前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して2.5質量部以上のカルボキシメチルセルロースを含む溶液を加えて分散させるか、
前記電極活物質とカルボキシメチルセルロースを含む溶液とを混合した溶液と前記導電材とカルボキシメチルセルロースを含む溶液とを混合した溶液とを混合して前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して2.5質量部以上のカルボキシメチルセルロースを含む溶液として分散させるかのいずれかを行う第1分散工程と、
前記分散した溶液に前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して4.0質量部以上のポリエチレンオキサイドを含む溶液を加えて分散させる第2分散工程と、
を含むものである。
本開示の電極組成物は、電極活物質と、導電材と、結着材と、溶媒とを含有する。この電極組成物は、溶媒を含有したペーストや坏土としてもよい。電極活物質は、芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える層状構造体である。この層状構造体は、剥片状の外形を有している。この層状構造体は、2以上の芳香環構造が接続した有機骨格層を有するものとしてもよい。この層状構造体は、芳香族化合物のπ電子相互作用により層状に形成され、空間群P21/cに帰属される単斜晶型の結晶構造を有するものとすることが、構造的に安定であり、好ましい。この層状構造体は、式(1)~(3)のうち1以上で表される構造を有するものとしてもよい。但し、この式(1)~(3)において、aは2以上5以下の整数であり、bは0以上3以下の整数であり、これらの芳香族化合物は、この構造中に置換基、ヘテロ原子を有してもよい。具体的には、芳香族化合物の水素の代わりに、ハロゲン、鎖状又は環状のアルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、スルホニル基、アミノ基、シアノ基、カルボニル基、アシル基、アミド基、水酸基を置換基として持っていてもよいし、芳香族化合物の炭素の代わりに、窒素、硫黄、酸素が導入された構造であってもよい。より具体的には、この層状構造体は、式(4)~(5)に示す芳香族化合物としてもよい。なお、式(1)~(5)において、Aはアルカリ金属である。また、層状構造体は、異なるジカルボン酸アニオンの酸素4つとアルカリ金属元素とが4配位を形成する次式(6)の構造を備えているものとすることが、構造的に安定であり、好ましい。但し、この式(6)において、Rは2以上の芳香環構造を有し、複数あるRのうち2以上が同じであってもよいし、1以上が異なっていてもよい。また、Aはアルカリ金属である。このように、アルカリ金属元素によって有機骨格層が結合した構造を有することが好ましい。
本開示の電極組成物の製造方法は、例えば、第1分散工程と、第2分散工程とを含む。この製造方法では、上述した電極組成物を作製することができる。第1分散工程は、電極活物質と導電材とをCMCと共に分散させる工程である。第2分散工程は、CMCで分散させた溶液に更にPEOを含む溶液を加えて分散させる工程である。また、この製造方法は、層状構造体を噴霧乾燥法によって析出させる析出工程を更に含むものとしてもよい。
この工程では、芳香族ジカルボン酸アニオンとアルカリ金属カチオンとを溶解した調製溶液を噴霧乾燥装置を用いて噴霧乾燥することにより、上記剥片状の層状構造体を析出させる。この工程での噴霧乾燥条件は、例えば、上記電極組成物で説明した条件とすることができる。芳香族ジカルボン酸のアルカリ金属塩は、剥片状の層状構造体を含む中空球状構造として得られるが、これを解砕して剥片状の層状構造体を得ることができる。この中空球状構造は、直径が10μm以下であるものとしてもよい。この中空球状構造の直径は、0.1μm以上であるものとしてもよい。噴霧乾燥法による層状構造体の中空粒子は、0.1μm以上10μm以下の範囲で得られる。中空球状構造や剥片状構造における剥片の厚みは、例えば1nm以上100nm以下であり、好ましくは、1nm以上20nm以下である。また、剥片構造の平板部の最大長さは、5μm以下であり、2μm以下としてもよい。
この工程では、剥片状の層状構造体の電極活物質と導電材とを混合し、電極活物質と導電材との100質量部に対して2.5質量部以上のCMCを含む溶液を加えて電極活物質と導電材とを分散させる処理を行う。あるいは、この工程では、剥片状の層状構造体の電極活物質とCMCを含む溶液とを混合した溶液と、導電材とCMCを含む溶液とを混合した溶液と、を混合して電極活物質と導電材との100質量部に対して2.5質量部以上のCMCを含む溶液とし、電極活物質と導電材とを分散させる処理を行う。工程の容易性から、前者の方が好ましい。CMCの配合量は、上述のように、3.0質量部以上がより好ましく、6質量部以下であることが好ましく、4.5質量部未満であることがより好ましい。噴霧乾燥法により得られた層状構造体は、微粒子状態で乾燥が行われるため、その表面は、通常の溶液混合法で乾燥した場合に比して、空気に接したまま乾燥され、疎水性を示しやすい。また、導電材である炭素材料も疎水性である。CMCは、このような層状構造体や導電材の粉体を分散させる機能が高い一方、PEOなどが共存するとCMCの粉体への吸着が阻害され、粉体の分散性が低下する。この工程では、予めCMCを加えることにより、これらの粉体を分散させるのである。また、CMCは、チキソトロピック性が大きく、せん断速度の大きさによって粘度が大きく変化するため、塗工時のペーストに加わるせん断速度の変化によってペースト粘度が変化し、配合量によっては、安定して塗工できない場合がある。この工程では、上記範囲内でCMCを配合することによって、粉体の分散性を良好にするのである。この工程では、溶媒として水を用いることが好ましく、その固形分濃度は、例えば、15質量%以上70質量%以下の範囲が好ましく、18質量%以上60質量%以下の範囲がより好ましい。また、この工程では、電極活物質と導電材とを十分に分散させることが好ましく、分散装置によって異なるが、例えば撹拌時間は、3分以上60分以下の範囲であることが好ましい。
この工程では、上記CMCで分散した溶液に、電極活物質と導電材との100質量部に対して4.0質量部以上のPEOを含む溶液を加えて電極活物質と導電材とを更に分散させる処理を行う。PEOの配合量は、上述のように、5.0質量部以上がより好ましく、10.0質量部以下であることが好ましく、7.0質量部以下であることがより好ましい。PEOは、チキソトロピック性が小さく、粘度安定性に優れる。特に、分子量が100万以上では、粘度が高くなり、上記効果が大きくなるとともに、2つの粉体の分散安定性(沈降しにくくなる)が向上する。また、PEOの配合量をCMCの配合量より大きくすることにより、上記効果が十分に得られる。更に、CMCによって電極活物質と導電材とを十分に分散したのち、PEOを添加するから、PEOの機能をより発揮することができる。この工程では、溶媒として水を用いることが好ましく、その固形分濃度は、例えば、10質量%以上60質量%以下の範囲が好ましく、15質量%以上50質量%以下の範囲がより好ましい。また、この工程では、電極活物質と導電材とを十分に分散させることが好ましく、分散装置によって異なるが、例えば撹拌時間は、3分以上60分以下の範囲であることが好ましい。
本開示の蓄電デバイス用電極は、この蓄電デバイス用電極は、電極活物質としての上述した層状構造体と、結着材と、導電材とを含む上述した電極組成物を電極合材とし、集電体に形成されているものとしてもよい。集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラス、Al-Cd合金などのほか、接着性、導電性及び耐還元性向上の目的で、例えば銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタンや銀などで処理したものも用いることができる。このうち、集電体は、銅やアルミニウム金属とすることが好ましい。集電体の形状については、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。集電体の厚さは、例えば1~500μmのものが用いられる。
本開示の蓄電デバイスは、上述した蓄電デバイス用電極を備えている。この蓄電デバイスは、正極と、負極と、イオン伝導媒体とを備えているものとしてもよい。この蓄電デバイスは、例えば、電気二重層キャパシタやハイブリッドキャパシタ、疑似電気二重層キャパシタ、リチウムイオン電池などとしてもよい。この負極は、上述した蓄電デバイス用電極としてもよい。電極活物質としての層状構造体は、キャリアであるアルカリ金属イオンを吸蔵、放出するものである。キャリアのアルカリ金属イオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン及びカリウムイオンなどが挙げられ、このうちリチウムイオンが好ましい。以下、キャリアをリチウムイオンとする蓄電デバイスについて主として説明する。
(噴霧乾燥法での4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウムの層状構造体の合成)
スプレードライ法により層状構造体を作製した。4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウムの合成には、出発原料として4,4’-ビフェニルジカルボン酸および水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O)を用いた。0.44mol/Lとなるように水に水酸化リチウムを加え撹拌し、水溶液を調製した。そして、4,4’-ビフェニルジカルボン酸のモル数A(mol)に対する水酸化リチウムのモル数B(mol)であるモル比B/Aが2.2となるように、すなわち、4,4’-ビフェニルジカルボン酸が0.20mol/Lとなるように水溶液を調製した。調製した水溶液を用いてスプレードライヤー(Mini Spray Dryer B-290、日本ビュッヒ製)を用いて噴霧乾燥させ、4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウムを析出させた。用いたスプレードライヤーのノズル直径は1.4mm、溶液の噴霧量は0.4L/時間、乾燥温度は150℃で行い、4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウムを合成した。得られた4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウムは、層状構造体の剥片の集合を内包した中空球状構造を有していた。この球状構造を解砕し、剥片状の層状構造体を得た。
上記手法で作製した4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウムを79質量%、粒子状炭素導電材としてカーボンブラック(東海カーボン、TB5500)を14質量%、水溶性ポリマーであるポリビニルアルコール(ゴウセネックス,T-330,日本合成化学)を2.8質量%、スチレンブタジエン共重合体(SBR:日本ゼオン、BM-400B)を4.2質量%を混合し、分散媒として水を適量添加、分散してスラリー状合材とした。このスラリー状合材を10μm厚の銅箔集電体に単位面積当たりの4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウム活物質が3mg/cm2となるように均一に塗布し、120℃で真空加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、2cm2の面積に打ち抜いて円盤状の電極を準備した。
エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比で30:40:30の割合で混合した非水溶媒に、支持電解質の六フッ化リン酸リチウムを1.0mol/Lになるように添加して非水電解液を作製した。上記の手法にて作製した4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウム電極を作用極とし、リチウム金属箔(厚さ300μm)を対極として、両電極の間に上記非水電解液を含浸させたセパレータ(東レ東燃製)を挟んで二極式評価セルを作製した。
スプレードライヤーにて4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウムを合成した後に、120℃で真空乾燥を行った以外は,参考例1と同様の処理を行ったものを参考例2とした。4,4’-ビフェニルジカルボン酸に対する水酸化リチウムのモル比を2.5として水溶液を調製し,スプレードライヤーにて合成した以外は,参考例1と同様の処理を行ったものを参考例3とした。また、スプレードライヤーにて4,4’-ビフェニルジカルボン酸リチウムを合成した後に、120℃で真空乾燥を行った以外は参考例3と同様の処理を行ったものを参考例4とした。
溶液混合法により層状構造体を作製した。出発原料として4,4’-ビフェニルジカルボン酸および水酸化リチウム1水和物(LiOH・H2O)を用いて、水酸化リチウム1水和物(0.556g)にメタノール(100mL)を加え撹拌した後に4,4’-ビフェニルジカルボン酸1.0gを加え、1時間撹拌した。その後、撹拌後溶媒を除去し、真空下150℃で16時間乾燥することにより、白色の粉末試料の4,4’-ビフェニルジカルボン酸リチウムを得た。これを用いた以外は、参考例1と同様の処理を行ったものを参考例5とした。
参考例1~5の電極のX線回折測定を行った。測定は、放射線としてCuKα線(波長1.54051Å)を使用し、X線回折装置(リガク製UltimaIV)を用いて行った。また、測定は、X線の単色化にはグラファイトの単結晶モノクロメーターを用い、印加電圧を40kV、電流30mAに設定し、5°/分の走査速度で、電極活物質については2θ=5°~60°の角度範囲で行い、電極については2θ=5°~35°の角度範囲で行った。
上記作製した二極式評価セルを20℃の温度環境下、0.1mAで0.5Vまで還元した容量を放電容量とした。また、その後0.1mAで1.5Vまで酸化した容量を充電容量とした。また、得られた充放電カーブを用い、電位差に対して充放電カーブの微分値を算出し微分曲線を得た。また、この微分曲線にある2つの異なる内部抵抗性微分カーブのピーク差から充放電分極を算出し、印加電流を考慮してIV抵抗を算出した。なお、IV抵抗は、2サイクル目の充放電カーブを用いた。
表1に参考例1~5の製造方法、電極のピーク強度比とIV抵抗値とをまとめて示した。また、図3は、参考例1~5の電極のXRD測定結果である。図3に示すように、スプレードライ法により作製した電極活物質を含む参考例1~4の電極においては、従来の溶液混合法と同じ2θ位置にピークが出現した。ピーク強度においてはスプレードライ法により作製した電極において、n00面に相当するピーク強度が大きくなる傾向を示した。これは電極内部に存在する活物質の小さな剥片が特異的な配向をしていることを示す。特に、参考例1~4の電極では、X線回折測定において(300)のピーク強度が(111)や(011)のピーク強度の2倍以上を示し、また、(100)のピーク強度が(111)や(011)のピーク強度の5倍以上を示すことがわかった。具体的には、ピーク強度比P(300)/P(111)が2.0以上、P(300)/P(011)が2.0以上、P(100)/P(111)が6.0以上、P(100)/P(011)が5.0以上、及びP(100)/P(300)が1.5以上を示した。このピーク強度比は、いずれか1以上を満たせば、剥片状の配向した活物質であると推定できるものと推察された。また、表1に示すように、スプレードライ法で合成した層状構造体により作製した電極では、溶液混合法に比してIV抵抗がより低減することがわかった。また、上記ピーク強度比を満たせば、層状構造体がスプレードライ法で作製されたものであると特定できることがわかった。
(4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウム電極の作製)
スプレードライ法で作製した層状構造体である4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウム(SD-Bph)を80質量部、導電材としてカーボンブラック(東海カーボン、TB5500(直径約50nm))を20質量部を粉末で混合したのち、結着材としてのカルボキシメチルセルロース(CMC:ダイセルファインケム、CMCダイセル1120)が3.0質量部となる量を含む水溶液を加え、この水溶液を撹拌することにより、層状構造体と導電材とを十分に分散させた。続いて、この混合物を分散した水溶液中に、結着材としてのポリエチレンオキサイド(PEO:分子量200万)が4.0質量部となる量を含む水溶液を加え、この水溶液を撹拌することにより、層状構造体と導電材とを更に分散させ、得られたスラリー状の合材を実験例1の電極組成物とした。この電極組成物の固形分濃度は、18.7質量%であった。この電極組成物を10μm厚の銅箔の集電体に単位面積当たりの4,4’-ビフェニルジカルボン酸ジリチウム活物質が2.5mg/cm2となるように均一に塗布し、加熱乾燥させて塗布シートを作製した。その後、塗布シートを加圧プレス処理し、10cm2の面積に打ち抜いて得られたものを実験例1の電極とした。
CMC及びPEOの配合比を表2に示したものとした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを、それぞれ実験例2~7の電極組成物及び電極とした。
電極活物質を溶液混合法で作製した参考例5の層状構造体(Bph)とし、CMC及びPEOの配合比を表2に示したものとした以外は実験例1と同様の工程を経て得られたものを、それぞれ実験例8~13の電極組成物及び電極とした。
作製した電極組成物(ペースト)の粘度を評価した。粘度測定は、TAインスツルメント社製ARES-G2を用い、25℃でせん断速度を0.01(s-1)~1000(s-1)の範囲で、連続的にせん断速度を変化させて行った。ペーストの粘度評価には、せん断速度を0.01(s-1)から測定開始し、せん断速度が10(s-1)と100(s-1)のときの粘度を用いた。また、ペーストの粘度安定性の評価には、せん断速度を0.01(s-1)から測定を開始してせん断速度が100(s-1)のときの粘度ηa(Pa・s)と、せん断速度を1000(s-1)から測定を開始してせん断速度が100(s-1)のときの粘度ηb(Pa・s)との粘度比ηb/ηaで評価し、この比が0.5~1.5の範囲にある場合に、粘度安定性が良好であるとした。
作製した電極組成物(ペースト)を集電体へ塗布した際の目付量の変化によって、塗工安定性を評価した。塗工安定性の評価は、上記作製したペーストを銅箔(厚さ10μm)の表面にコンマコーターを用いて5mの長さで連続塗布し、塗工のはじめと終わりでの乾燥塗布量(mg/cm2)を測定し、この差を目付変化量として評価した。この目付変化量は、より小さい方が塗工安定性に優れるものであり、ここでの評価基準は、0.5mg/cm2以下の範囲を良好であるとした。
作製した電極組成物の配合比、粘度、粘度安定性及び目付変化量を表2にまとめて示した。図4は、実験例1、2、4、5、8~10の電極組成物のCMC配合量と粘度との関係図である。図5は、実験例1、3、6、7、11~13の電極組成物のPEO配合量と粘度安定性との関係図である。図6は、実験例1、3、6、7、11~13の電極組成物のPEO配合量と目付変化量との関係図である。図4に示すように、溶液混合法で得られた層状構造体を電極活物質に用いたペーストでは、電極活物質と導電材との合計を100質量部としたときに、CMCを0,5質量部加えただけでも、十分に粘度が低下しており、良好な分散状態が得られていると推定された。一方、スプレードライ法で作製した層状構造体を電極活物質に用いたペーストでは、 図1から、電極活物質と導電材との合計を100質量部としたときに、スプレードライ法で作製した電極活物質の場合、CMCが2.0質量部を超えると、ペーストの粘度が下がり始め、2.5質量部以上の配合で電極活物質と導電材とが十分に分散されることがわかった。スプレードライ法で作製した電極活物質は、溶液混合法で作製したものに比して疎水性が大きく、水に分散しにくいことが明らかであり、結着材の種別や配合量などによって大きく特性が変化することがわかった。なお、CMCの配合量を増加させると活物質量の低下やIV抵抗値の増大などが起きることから、CMCは、6.0質量部以下が好ましく、4.5質量部未満がより好ましいと推察された。
Claims (11)
- 蓄電デバイスの電極に用いられる電極用組成物であって、
芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える剥片状の層状構造体の電極活物質と、導電材と、結着材と、溶媒とを含有し、
前記結着材は、前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して2.5質量部以上のカルボキシメチルセルロース及び前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して4.0質量部以上のポリエチレンオキサイドを含む、電極用組成物。 - 前記結着材は、前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して4.5質量部未満の範囲で前記カルボキシメチルセルロースを含む、請求項1に記載の電極用組成物。
- 前記結着材は、前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して10.0質量部以下の範囲で前記ポリエチレンオキサイドを含む、請求項1に記載の電極用組成物。
- 請求項1~4のいずれか1項に記載の電極用組成物が集電体上に形成された、蓄電デバイス用電極。
- 下記(1)~(5)のうち1以上を満たす、請求項5に記載の蓄電デバイス用電極。
(1)蓄電デバイス用電極をX線回折測定したときの(111)のピーク強度に対する(300)のピーク強度比P(300)/P(111)が2.0以上を示す。
(2)前記X線回折測定での(011)のピーク強度に対する(300)のピーク強度比P(300)/P(011)が2.0以上を示す。
(3)前記X線回折測定での(111)のピーク強度に対する(100)のピーク強度比P(100)/P(111)が6.0以上を示す。
(4)前記X線回折測定での(011)のピーク強度に対する(100)のピーク強度比P(100)/P(011)が5.0以上を示す。
(5)前記X線回折測定での(300)のピーク強度に対する(100)のピーク強度比P(100)/P(300)が1.5以上を示す。 - 請求項5又は6に記載の蓄電デバイス用電極を備えた、蓄電デバイス。
- 蓄電デバイス用電極に用いられる電極用組成物の製造方法であって、
芳香族ジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸に含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える剥片状の層状構造体の電極活物質と、導電材とを混合し、前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して2.5質量部以上のカルボキシメチルセルロースを含む溶液を加えて分散させるか、
前記電極活物質とカルボキシメチルセルロースを含む溶液とを混合した溶液と前記導電材とカルボキシメチルセルロースを含む溶液とを混合した溶液とを混合して前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して2.5質量部以上のカルボキシメチルセルロースを含む溶液として分散させるかのいずれかを行う第1分散工程と、
前記分散した溶液に前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して4.0質量部以上のポリエチレンオキサイドを含む溶液を加えて分散させる第2分散工程と、
を含む電極用組成物の製造方法。 - 前記第1分散工程では、分散後の溶液に含まれるカルボキシメチルセルロースを前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して4.5質量部未満の範囲とする、請求項8に記載の電極用組成物の製造方法。
- 前記第2分散工程では、前記電極活物質と前記導電材との100質量部に対して7.0質量部以下の範囲でポリエチレンオキサイドを含む溶液を用いる、請求項8又は9に記載の電極用組成物の製造方法。
- 請求項8~10のいずれか1項に記載の電極用組成物の製造方法であって、
前記第1分散工程の前に、芳香族ジカルボン酸アニオンとアルカリ金属カチオンとを溶解した調製溶液を噴霧乾燥装置を用いて噴霧乾燥することにより、芳香族骨格を有するジカルボン酸アニオンを含む有機骨格層と前記有機骨格層のカルボン酸アニオンに含まれる酸素にアルカリ金属元素が配位して骨格を形成するアルカリ金属元素層とを備える層状構造体を析出させる析出工程、を含む、電極用組成物の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019062778A JP7180499B2 (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 電極用組成物、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極用組成物の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019062778A JP7180499B2 (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 電極用組成物、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極用組成物の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020161450A JP2020161450A (ja) | 2020-10-01 |
JP7180499B2 true JP7180499B2 (ja) | 2022-11-30 |
Family
ID=72643630
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019062778A Active JP7180499B2 (ja) | 2019-03-28 | 2019-03-28 | 電極用組成物、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極用組成物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP7180499B2 (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006085925A (ja) | 2004-09-14 | 2006-03-30 | Denso Corp | リチウム二次電池用電極およびこの電極を用いたリチウム二次電池 |
JP2009283418A (ja) | 2008-05-26 | 2009-12-03 | Denso Corp | 正極活物質及び二次電池 |
JP2011023146A (ja) | 2009-07-14 | 2011-02-03 | Toyota Motor Corp | リチウム二次電池および該電池の製造方法 |
JP2018500741A (ja) | 2014-12-22 | 2018-01-11 | オキシス エナジー リミテッド | リチウム/硫黄電池用のカソード |
JP2018166060A (ja) | 2017-03-28 | 2018-10-25 | 株式会社豊田中央研究所 | 電極活物質、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極活物質の製造方法 |
-
2019
- 2019-03-28 JP JP2019062778A patent/JP7180499B2/ja active Active
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2006085925A (ja) | 2004-09-14 | 2006-03-30 | Denso Corp | リチウム二次電池用電極およびこの電極を用いたリチウム二次電池 |
JP2009283418A (ja) | 2008-05-26 | 2009-12-03 | Denso Corp | 正極活物質及び二次電池 |
JP2011023146A (ja) | 2009-07-14 | 2011-02-03 | Toyota Motor Corp | リチウム二次電池および該電池の製造方法 |
JP2018500741A (ja) | 2014-12-22 | 2018-01-11 | オキシス エナジー リミテッド | リチウム/硫黄電池用のカソード |
JP2018166060A (ja) | 2017-03-28 | 2018-10-25 | 株式会社豊田中央研究所 | 電極活物質、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極活物質の製造方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2020161450A (ja) | 2020-10-01 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6889582B2 (ja) | 電極活物質、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極活物質の製造方法 | |
US8758938B2 (en) | Negative electrode for lithium secondary battery and lithium secondary battery | |
JP5897971B2 (ja) | 電極活物質、非水系二次電池用電極、非水系二次電池及び非水系二次電池用電極の製造方法 | |
JP2003263986A (ja) | 電極材料およびそれを用いたリチウム電池 | |
JP6958053B2 (ja) | 電極活物質、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極活物質の製造方法 | |
JP7243377B2 (ja) | 評価方法、蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイス | |
JP7152965B2 (ja) | 蓄電デバイス | |
JP6346733B2 (ja) | 電極、非水系二次電池及び電極の製造方法 | |
JP6954249B2 (ja) | 電極活物質、蓄電デバイス及び電極活物質の製造方法 | |
JP7087855B2 (ja) | 電極活物質、蓄電デバイス及び電極活物質の製造方法 | |
JP2021028957A (ja) | 蓄電デバイス及び電極 | |
JP7147719B2 (ja) | リチウムイオンキャパシタ | |
JP7287307B2 (ja) | 電極活物質、蓄電デバイス及び電極活物質の製造方法 | |
JP7181709B2 (ja) | 蓄電デバイス | |
JP7180499B2 (ja) | 電極用組成物、蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び電極用組成物の製造方法 | |
JP3975481B2 (ja) | 電極材料およびそれを用いたリチウム電池 | |
JP7207077B2 (ja) | 電極用組成物、蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイス | |
JP2020149941A (ja) | 蓄電デバイス | |
JP6990159B2 (ja) | 蓄電デバイス用電極、蓄電デバイス及び蓄電デバイス用電極の製造方法 | |
JP7311973B2 (ja) | 蓄電デバイス | |
JP2020150213A (ja) | 蓄電デバイス | |
JP7263860B2 (ja) | 蓄電デバイス用電極及び蓄電デバイス | |
JP6857444B2 (ja) | 非水系二次電池用電極、非水系二次電池及び非水系二次電池用電極の製造方法 | |
JP7147725B2 (ja) | リチウムイオンキャパシタ | |
JP7421857B2 (ja) | 電極活物質の製造方法、電極活物質及び蓄電デバイス |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20211228 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20220914 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20221018 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20221031 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 7180499 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |