JP2012214356A - カバーガラス及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】主表面に圧縮応力層を有し、ガラス組成として、SiO2:50〜70モル%、Al2O3:3〜20モル%、Na2O:5〜25モル%、Li2O:0モル%より多く、2.5モル%以下、K2O:0〜5.5モル%及びB2O3:0〜3モル%未満が含有されてなるカバーガラス及び(1)ガラス原料を熔融して熔融ガラスを得、(2)得られた熔融ガラスを、ダウンドロー法により板状に成形してガラス基板を得、(3)得られたガラス基板表面に圧縮応力層を形成する工程を含むカバーガラスの製造方法。
【選択図】なし
Description
歪点が高くなると、ガラス転移温度(Tg)も高まる傾向があり、耐熱性の向上という観点からは良好な特性を有する。しかし、そのガラス組成に対応した所定の圧縮応力値を確保し得る最適なイオン交換処理温度が上昇する。例えば、特許文献1の段落84等に記載されているように、比較的低温(440〜450℃)でイオン交換処理を行う場合、好ましい圧縮応力層深さである20μm以上を得るには、6時間程度の時間が必要となる。このように、製造効率を著しく低下させるという課題が生じる。
このようなことから、イオン交換処理温度の低下及びイオン交換時間の短縮と、圧縮応力層の測定の容易性及び耐熱性との間などのトレードオフとなる関係のバランスを図ることが必要である。
また、イオン交換性能を向上させ、良好な機械的強度を有するカバーガラス及び短時間の処理でもイオン交換性能を十分に発揮させることができ、機械的強度を向上させることができるカバーガラスの製造方法を提供することを他の目的とする。
[1]主表面に圧縮応力層を有し、ガラス組成として、
SiO2:50〜70モル%、
Al2O3:3〜20モル%、
Na2O:5〜25モル%、
Li2O:0モル%より多く、2.5モル%以下、
K2O:0〜5.5モル%及び
B2O3:0〜3モル%未満、を含有するカバーガラスA。
[2]さらに、MgO:3〜15モル%を含有する[1]記載のカバーガラスA。
[3]Na2O+Li2O+K2O:15.5〜30モル%を含有する[1]又は[2]に記載のカバーガラスA。
[4]Na2Oを12モル%より多く含有する[1]から[3]のいずれか1つに記載のカバーガラスA。
[5]モル%換算で、Li2O/(Na2O+Li2O+K2O)が0より大であり、かつ0.2以下である[1]〜[4]のいずれか1つに記載のカバーガラスA。
[6](1)ガラス原料を熔融して熔融ガラスを得、
(2)得られた熔融ガラスを、ダウンドロー法により板状に成形して、
ガラス組成として、
SiO2:50〜70モル%、
Al2O3:3〜20モル%、
Na2O:5〜25モル%
Li2O:0モル%より多く、2.5モル%以下、
K2O:0〜5.5モル%及び、
B2O3:0〜3モル%未満、を含有するガラス基板を得、
(3)得られたガラス基板表面に圧縮応力層を形成する工程を含むカバーガラスAの製造方法。
[7]主表面に圧縮応力層を有し、ガラス組成として、
SiO2:50〜70モル%、
Al2O3:3〜20モル%、
Na2O:5〜25モル%、
Li2O:0モル%より多く、2.5モル%以下、
K2O:0〜5.5モル%及び
B2O3:0〜3モル%未満を含有する強化ガラスA。
SiO2:45〜70質量%、
Al2O3:5〜25質量%、
Na2O:9〜25質量%、
Li2O:0質量%より多く、2.5質量%以下、
B2O3:0〜3質量%及び
MgO:0質量%より多く、10質量%以下を含むカバーガラスB。
[9]さらに、K2O:0〜15質量%を含み、
質量%換算でMgO/(Li2O+Na2O+K2O)が0.11以上である[8]に記載のカバーガラスB。
[10]さらに、ZrO2:0〜5質量%を含む[8]又は[9]に記載のカバーガラスB。
[11]さらに、K2O:0〜15質量%を含み、
Li2O+Na2O+K2Oが30質量%以下である[8]〜[10]のいずれか1つに記載のカバーガラスB。
[12]SiO2−1/2Al2O3が57.5質量%以下である[8]〜[11]のいずれか1つに記載のカバーガラスB。
[13]前記圧縮応力層は、圧縮応力が400MPa以上であり、かつ応力深さが20μm以上である[8]〜[12]のいずれか1つに記載のカバーガラスB。
[14]K2O:0質量%より多く、10質量%以下である[8]〜[13]のいずれか1つに記載のカバーガラスB。
[15](1)ガラス原料を熔融して熔融ガラスを得、
(2)得られた熔融ガラスを、ダウンドロー法により板状に成形して、
ガラス組成として、
SiO2:45〜70質量%、
Al2O3:5〜25質量%、
Na2O:9〜25質量%、
Li2O:0質量%より多く、2.5質量%以下、
B2O3:0〜3質量%及び
MgO:0質量%より多く、10質量%以下を含有するガラス基板を得、
(3)得られたガラス基板表面に圧縮応力層を形成する工程を含むカバーガラスBの製造方法。
[16]前記圧縮応力層を形成する工程において、圧縮応力が400MPa以上であり、かつ応力深さが20μm以上の圧縮応力層を形成する[15]に記載のカバーガラスBの製造方法。
また、別の観点から、機械的強度に優れたカバーガラスを提供することができる。
さらに、イオン交換性能を向上させて、短時間でも十分なイオン交換処理を行うことができ、カバーガラスの生産効率を向上することができる。
また、強化ガラスとは、化学強化後のガラス板を意味し、ガラス基板とは、化学強化前のガラス板のことを意味する。
本実施形態のカバーガラスは、その主表面に圧縮応力層を有している。また、その端面にも圧縮応力層が形成されている。
(カバーガラスAの組成)
カバーガラスAのガラス組成としては、
SiO2:45〜80モル%、
Al2O3:3〜25モル%、
Na2O:3〜30モル%、
Li2O:0モル%より多く、4モル%未満、
K2O:0〜10モル%及び
B2O3:0〜10モル%が挙げられる。
特に好ましいガラス組成としては、上述した[1]のガラス組成が挙げられる。
カバーガラスBのガラス組成としては、
SiO2:45〜75質量%、
Al2O3:3〜25質量%、
Na2O:3〜30質量%、
Li2O:0質量%より多く、2.5質量%以下、
B2O3:0〜10質量%及び
MgO:0〜15質量%が挙げられる。
特に好ましいガラス組成としては、上述した[8]のガラス組成が挙げられる。
SiO2は、ガラス基板に用いるガラスのネットワーク骨格をなす必須成分であり、ガラスの化学的耐久性と耐熱性を高める効果を有する。
SiO2の含有率としては、45〜80モル%、別の観点から40〜75質量%が挙げられる。
SiO2の含有率が上記下限未満では、ガラス基板を形状加工するためにエッチングを行うときのエッチングレートは向上する傾向にあるが、ガラス化が困難であり、上記効果も十分に得ることができない。
SiO2の含有率が上記上限を超えると、ガラスが失透を起こしやすくなり、粘性が著しく高くなり、ガラス原料の熔融や成形が困難になる。また、粘性が上昇し、ガラスの均質化が困難になるので、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。さらに、熱膨張率が過度に低下し金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。加えて、低温粘性が過度に上昇することによってイオン交換速度が低下するため、イオン交換により化学強化した場合にも十分な強度を得ることができない。また、相対的に他の成分量が減少するので、所望の特性が得られない。
なお、低温粘性とは107.6〜1014.5dPa・sにおける温度を示すものであるが、本実施形態では、1014.5dPa・sにおける粘性を示すものとする。
別の観点から、SiO2の含有率は、50〜70モル%が適しており、53〜67モル%が好ましく、58〜67モル%、60〜67モル%、63〜67モル%がより好ましい。
別の観点から、SiO2の含有率は、45〜70質量%が適しており、50〜68質量%が好ましく、53〜67質量%がより好ましく、55〜65質量%がより一層好ましく、60〜65質量%が特に好ましい。
Al2O3は、ガラス基板に用いるガラスの必須成分であり、ガラスの化学的耐久性、耐熱性、イオン交換性能及びエッチングによって形状加工を行うときのエッチングレートを高める作用を有している。
Al2O3の含有率としては、3〜25モル%、別の観点から3〜25質量%が挙げられる。
Al2O3の含有率が上記下限未満では、上記効果が十分に得られない。
他方、Al2O3の含有率が上記上限を超えると、ガラスの液相温度が上昇し、ガラスの成形が困難になる。このため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる。また、耐酸性が過剰に低下するので、カバーガラスとしては好ましくない。さらに、ガラスが失透を起こしやすくなり、耐失透性も低下するので、ダウンドロー法に適用できない。
別の観点から、Al2O3の含有率は、5〜25質量%が適しており、7〜20質量%が好ましく、8〜18質量%がより好ましく、9〜16質量%がさらに好ましく、10〜14質量%、11〜13質量%が特に好ましい。
他方、上記X−1/2・Yが45モル%未満であると、エッチングレートは5μm/分以上であるものの、失透温度が高くなるため耐失透性が低下してしまう。したがって、耐失透性とエッチングレート向上の両立を実現させるためには、上記X−1/2・Yが4モル%以上であることが好ましく、50モル%以上であることがより好ましく、55以上であることがさらに好ましく、57モル%以上が特に好ましい。
従って、X−1/2・Yは、例えば、45〜70モル%、50〜64モル%、55〜63モル%、55〜62モル%、57〜61.5モル%が好ましい。
他方、上記X−1/2・Yが30質量%未満であると、エッチングレートは5μm/分以上であるものの、失透温度が高くなるため耐失透性が低下してしまう。したがって、耐失透性とエッチングレート向上の両立を実現させるためには、上記X−1/2・Yが30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、55質量%以上であることがさらに好ましい。
従って、X−1/2・Yは、例えば、30〜65質量%、40〜65質量%、45〜65質量%、50〜60質量%、50〜57.5質量%、45〜57.5質量%、55〜57質量%が好ましい。
Na2Oは、イオン交換成分であり、ガラス基板に用いるガラスの高温粘性を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させる必須成分である。また、Na2Oは、ガラスの耐失透性を改善する成分である。
Na2Oの含有率としては、3〜30モル%、別の観点から3〜30質量%が挙げられる。
Na2Oの含有率が上記下限未満では、ガラスの熔融性が低下し、熔融のためのコストが高くなる。また、ガラス中に含有されるNaイオンと溶融塩(イオン交換塩)に含まれるイオン半径の大きいKイオンの交換性能が低下し、ガラス表面に十分な強度を有する圧縮応力層を得ることができない。さらに、熱膨張率が過度に低下し、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。また、ガラスが失透を起こしやすくなり、耐失透性も低下するので、ダウンドロー法に適用できない。このため、安価なガラスの大量生産が困難となる。
他方、含有率が上記上限を超えると、ガラスの化学的耐久性が悪化する。また、熱膨張率が過度に大きくなり、金属や有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなる。
別の観点から、Na2Oの含有率は、9〜25質量%が適しており、9〜23質量%が好ましく、10〜20質量%がより好ましく、12〜18質量%がさらに好ましく、13〜17質量%がより一層好ましく、15質量%〜17質量%が特に好ましい。
これにより、ガラスの熔解性、成形能と化学的耐久性のバランスを図ることができる。
Li2Oはイオン交換成分の一つであり、ガラス基板に用いるガラスの粘度を低下させて、ガラスの熔融性や成形性を向上させる成分である。また、Li2Oは、ガラス基板のヤング率を向上させる成分である。さらに、Li2Oは、ガラス転移点や歪点などを効果的に低減することができることから、イオン交換処理温度を低くできる。これにより、イオン交換処理温度がイオン交換塩の分解温度を超えてしまうという不都合の発生を防止できる。また、Li2Oを微量に導入することにより、アルカリ金属酸化物の総導入量を低減できるため、ガラス基板の化学的耐久性を向上させることができる。さらに、ガラスの熱膨張係数を下げる作用をも併せもつことができる。また、イオン半径の小さいLiイオンは、Naイオン及びKイオンともイオン交換されるため、Kイオンを含有する溶融塩(イオン交換塩)を用いた化学強化ガラスにおいて、表面圧縮応力層の形成にも有効である。
一方、Li2Oの含有率が多くなり過ぎると、ガラス基板の強化を行う工程であるイオン交換処理におけるイオン交換塩の劣化がはやくなるという不都合があるため、カバーガラスの製造コストが高くなる傾向がある。また、Li2Oの含有率が多くなり過ぎると、耐熱性が過度に低下するとともに、低温粘性が過度に低下することで、化学強化後の加熱工程で応力緩和が発生し、圧縮応力層の応力値が低下することがある。Li2Oの含有率が多くなり過ぎると、イオン交換処理後の強化ガラスにおいて、屈折率に起因する線条模様が観察できず、強化ガラスの形態を保持したままでは圧縮応力値及び圧縮応力層の厚みを測定することができない。あるいは薄い線条模様を観察できたとしても、正確な圧縮応力値及び圧縮応力層の厚みを測定することができない。
また、化学強化に使用される溶融塩(イオン交換塩)のLiイオン濃度の上昇により、イオン交換の阻害を招くので、圧縮応力の低下を招く。さらに、化学強化時に溶融塩(イオン交換塩)の劣化の原因となることがある。
特に、ガラス組成Aでは、Li2Oの含有率は0モル%より多く、つまり、Li2O成分をガラス組成として含有していることが適しており、0.001モル%以上が好ましく、0.1モル%以上がより好ましく、0.2モル%以上がさらに好ましい。また、2.5%モル以下であることが適しており、1.0モル%未満が好ましく、0.8モル%未満が好ましく、0.6モル%以下がより好ましく、0.5モル%以下が特に好ましい。
従って、Li2Oの含有率は、例えば、0超〜2.5モル%、0.001〜2.5モル%、0.001〜1.0モル%未満、0.1〜0.8モル%未満、0.2〜0.6モル%、0.2〜0.5モル%が挙げられる。
K2Oは、ガラス基板のイオン交換性能を向上させることができる任意成分である。また、K2Oはガラスの高温粘性を低下させて、ガラスの熔融性、成形性を向上させるとともに、耐失透性を改善する成分でもある。また、K2Oは他のアルカリ成分と比較して、歪点を向上させやすい成分である。また、NaイオンとKイオンとのイオン交換による化学強化を実施する際、形成される圧縮応力層の応力深さを大きくする成分でもある。
一方、K2Oの含有率が多くなり過ぎると、NaイオンとKイオンとのイオン交換による化学強化を実施する際、形成される圧縮応力が小さくなる傾向がある。また、低温粘性が低下し、熱膨張率が過度に大きくなり、金属及び有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数が整合し難くなり、また、ガラスバランス悪化による耐失透性が低下する傾向があるため、ダウンドロー法を適用したガラス基板の製造を行う場合には、耐失透性を低下させるK2Oを多量に含有することは好ましくない。
特に、ガラス組成Aでは、K2Oの含有率は、5.5モル%以下が適しており、4.0モル%以下が好ましく、3.6モル%以下が好ましく、2.6モル%以下が好ましく、2.4モル%以下がより好ましく、2.0モル%以下がさらに好ましく、1.9モル%以下が特に好ましい。また、K2Oは任意成分であるため必ずしも含有させる必要はないが、0モル%より多く、つまり、K2O成分をガラス組成として含有していることが好ましく、0.1モル%以上が好ましく、1.0モル%以上がより好ましく、1.2モル%以上がさらに好ましい。
従って、K2Oの含有率は、例えば、0〜5.5モル%、0超〜5.5モル%、0.1〜4.0モル%、0.5〜3.6モル%、1.0〜2.6モル%、1.0〜2.4モル%、1.0〜2.0モル%、1.2〜1.9モル%が挙げられる。
また、特にガラス組成Bでは、K2Oの含有率は、0質量%〜15質量%が適しており、0質量%〜10質量%が好ましく、0質量%より多く、10質量%以下がより好ましく、0.5〜8質量%がさらに好ましく、0.5〜5質量%がより一層好ましく、1〜4質量%、1〜3質量%が特に好ましい。
また別の観点から、K2Oの含有率を抑えることにより、熱線膨張係数の増大を防止することができる。
Na2O、Li2O及びK2Oの合計含有率としては、例えば、3〜35モル%、別の観点から3〜35質量%が挙げられる。
Na2O、Li2O及びK2Oの合計含有率が上記下限未満では、イオン交換が十分に行われないため、強度を十分に得ることができず、カバーガラスに適用しがたくなる。つまり、これらのアルカリ金属はいずれも化学強化の必須あるいは促進する成分であるため、合計含有率が小さすぎると、化学強化時間が長くなり、生産効率が低下する。
Na2O、Li2O及びK2Oの合計含有率が多くなりすぎると、ガラスにアルカリ成分に起因するヤケが生じるため、好ましくない。また、ガラスの化学的耐久性が劣化する。また、ガラスの歪点が著しく低下する。
特に、ガラス組成Aでは、Na2O、Li2O及びK2Oの合計含有率が、8モル%以上であることが適しており、10モル%以上、12モル%以上、14モル%以上であることが好ましく、特に、15.5モル%以上であることがより好ましく、16モル%以上、17モル%以上であることがさらに好ましい。また、30モル%以下が好ましく、25モル%以下が好ましく、22モル%以下が好ましく、20.5モル%がより好ましく、20モル%以下がさらに好ましい。
従って、Na2O、Li2O及びK2Oの合計含有率は、8〜30モル%、10〜25モル%、12〜22モル%、14〜20.5モル%、15.5〜20モル%が挙げられる。
また、特にガラス組成Bでは、Li2O、Na2O及びK2Oの合計含有率は、30質量%以下であることが適しており、9〜30質量%であることが好ましく、12〜27質量%であることがより好ましく、14〜25質量%であることがさらに好ましく、15〜23質量%であることがより一層好ましく、16〜22質量%、17〜20質量%が特に好ましい。
これにより、イオン交換を効率的に十分に行わせ、強度を十分に得ることができる。また、ガラスバランスの悪化による失透温度の上昇を防止するとともに、機械的強度と耐失透性とを両立し、生産性を向上させることができる。さらに、アルカリ金属酸化物の導入量を上記適正範囲とすることにより、ガラスの化学的耐久性を向上させヤケなどを防止することができる。
Li2O/(Na2O+Li2O+K2O)は、モル%換算で0より大、0.4以下、別の観点から質量%換算で0より大、0.3以下が挙げられる。
特に、ガラス組成Aでは、モル%換算で、Li2O/(Na2O+Li2O+K2O)が、0より大であり、0.0005以上が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.002以上がさらに好ましく、0.005以上が特に好ましい。また、0.2以下であることが適しており、0.1以下であることが好ましく、0.05以下であることが好ましく、0.045以下が好ましい。
従って、Li2O/(Na2O+Li2O+K2O)は、モル%換算で、0超〜0.2、0.0005〜0.1、0.001〜0.05、0.002〜0.05、0.005〜0.045が挙げられる。
また、特に、ガラス組成Bでは、質量%換算でi2O/(Li2O+Na2O+K2O)は、0.15以下であることが好ましい。
Li2O/(Na2O+Li2O+K2O)を上記範囲とすることにより、本実施形態にかかる化学強化したカバーガラスの屈折率に起因する線条模様が観察でき、圧縮応力値及び圧縮応力層の厚みを非破壊で計測できる。このように、圧縮応力値及び圧縮応力層の厚みを容易に測定できることから、圧縮応力に関する所定のスペックの検査が効率的に行え、高度な品質管理が実現できる。
また、歪点及びTgの上昇を抑制して、低温でのイオン交換能を向上させ、熱線膨張係数の増大を防止することができる。加えて、化学強化処理における交換塩の短期間での劣化を抑制することができる。
Na2O/(Li2O+Na2O+K2O)としては、モル%換算で0.8〜0.99、別の観点から重量%換算で0.6〜0.98が挙げられる。
Na2O/(Li2O+Na2O+K2O)が大きくなりすぎると、混合アルカリ効果が得られず、ガラスの化学的耐久性が著しく悪化することがある。
特に、ガラス組成Aでは、Na2O/(Li2O+Na2O+K2O)は、モル%換算で0.8〜0.99であることが好ましく、0.8〜0.98がより好ましい。
また、特に、ガラス組成Bでは、Na2O/(Li2O+Na2O+K2O)は、質量%換算で0.6〜0.99であることが好ましく、0.6〜0.98がより好ましい。
この範囲とすることにより、NaとKとのイオン交換による化学強化ガラスとして良好な表面圧縮応力の形成が可能となる。
B2O3は、ガラスの粘性を下げて、ガラス基板に用いるガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。
B2O3の含有率としては、0〜10モル%、別の観点から0〜10質量%が挙げられる。
特に、ガラス組成Aでは、B2O3の含有率は0〜3モル%未満であることが適しており、0〜2モル%が好ましく、0〜1モル%がより好ましく、0〜0.1モル%がより好ましく、0.01モル%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
また、特にガラス組成Bでは、B2O3の含有率は0〜3質量%であることが適しており、0〜2質量%が好ましく、0〜1質量%がより好ましく、0〜0.1質量%がさらに好ましく、0.01質量%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことがより一層好ましい。
上述した範囲により、ガラスの均質化を図り、揮発によるガラスのムラ及びこれにともなうエッチングムラを防止して高精度の形状加工を実現し、歪点の低下による熱処理でのガラスの変形を防止することができる。
MgOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。また、イオン交換時のアルカリイオンの交換速度を低下させることなく、ガラスの溶解性を向上させる有効な成分である。さらに、MgOは、アルカリ土類金属の中ではガラスの密度を上昇させる割合が小さいため、得られるガラスを軽量化しつつ熔融性を向上するためには有効な成分であり、成形性を向上させ、ガラスの歪点やヤング率を高める成分であり、ガラス転移点温度を下げる効果も有する。さらに、MgOを含有するガラスを、例えば、フッ酸を用いてエッチングした際、形成される析出物の溶解度が大きく、形成される析出物の生成速度が比較的遅いため、エッチング中のガラス表面に結晶物が付着することは相対的に少ない。よって、ガラスの熔解性を改善するとともに、速いエッチングレートを得るためにMgOを含有させることが好ましい。
一方、MgOの含有量が多くなり過ぎると、ガラスの液相温度が急激に上昇し、成形性が悪化する。また、耐失透性の低下が生じ、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる傾向がある。
特に、ガラス組成Aでは、MgOの含有率は、0〜15モル%が適しており、1〜15モル%が好ましく、3〜15モル%が好ましく、3〜12モル%が好ましく、3〜10モル%が好ましく、5〜10モル%が好ましく、6超〜10モル%がより好ましい。
また、特に、ガラス組成Bでは、MgOの含有率は、0質量%より多く、つまり、MgO成分をガラス組成として含有しており、10質量%以下が適しており、1〜10質量%が好ましく、2〜9質量%がより好ましく、3〜8質量%がさらに好ましく、4〜7質量%がより一層好ましく、4〜6質量%が特に好ましい。
MgOは、適量の導入によりガラスの耐候性を向上させるとともに、熔解性を良好にし、イオン交換を促進する効果がある。アルカリ金属は、過度に導入すると耐候性を悪化させ、ガラスの歪点を著しく低下させる。したがって、MgOとLi2O+Na2O+K2Oとの導入比率を適切な範囲に調整する必要がある。
MgO/(Li2O+Na2O+K2O)としては、モル%換算で0〜1.5、別の観点から質量%換算で0〜1が挙げられる。
MgO/(Li2O+Na2O+K2O)が小さすぎると、Li2O+Na2O+K2Oの効果が支配的になり、耐候性が悪化する。また、ガラスの歪点が著しく低下し、ガラスの耐熱性が下がる。
一方、MgO/(Li2O+Na2O+K2O)が大きすぎると、液相温度が高くなり、ガラスの失透安定性が著しく低下する。
また、特に、ガラス組成Bでは、MgO/(Li2O+Na2O+K2O)は、質量%換算で、0.11以上が適しており、0.11〜0.8が好ましく、0.15〜0.6がより好ましく、0.2〜0.6がさらに好ましく、0.2〜0.5が特に好ましい。
CaOは、ガラス基板に用いるガラスの粘性を下げて、ガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。また、CaOは、アルカリ土類金属の中ではガラスの密度を上昇させる割合が小さいため、得られるガラスを軽量化しつつ熔融性を向上させるためには有利な成分であり、成形性を向上させ、ガラスの歪点、ヤング率を高める成分でもある。また、CaOはガラスの液相温度を急激に上げることなくガラスの熔解性を向上させるのに有効な成分であり、MgOの一部を置換することで導入することがある。さらに、CaOはイオン交換時のアルカリイオンの交換速度を低下させる作用を有する。
一方、CaOの含有量が多くなり過ぎると、耐失透性の低下が生じるため、ダウンドロー法を利用した安価なガラスの大量生産が困難となる傾向がある。また、イオン交換性能及びエッチング効率が低下する傾向もある。さらに、例えば、エッチング効率が低下し、例えば、MgOと比較すると、フッ酸を用いてエッチングした際、形成される析出物の溶解度が小さく、析出速度が非常に速いため、エッチングするガラスの表面に付着する傾向もある。ガラス表面に付着する析出物量が著しい場合、エッチング反応を阻害して、エッチングレートを低下させ、ガラスの加工品質を低下させてしまう。
特に、ガラス組成Aでは、CaOの含有率は0〜10モル%であることが適しており、0〜8モル%が好ましく、0〜6モル%がより好ましく、0〜4モル%がより好ましく、0〜1モル%がさらに好ましい。
また、特に、ガラス組成Bでは、CaOの含有率は0〜2質量%であることが適しており、0〜1質量%が好ましく、0〜0.5質量%がより好ましく、0〜0.1質量%がさらに好ましく、0.01質量%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことがより一層好ましい。
なお、極めて高いエッチング加工品質が求められる場合には、CaOを実質的に含まないようにすることが好ましい。
また、熔融粘性及び失透温度を下げるには、MgOとともにCaOを共存させることが好ましい。
SrO及びBaOの合計含有率は、0〜10質量%が挙げられる。
SrO又はBaOは、ガラスの粘性を下げて、ガラスの熔融ガラスの熔解および清澄を促進する任意成分である。MgOの一部を、これらに置換して導入することが可能である。MgOの一部をこれらの成分に置換することにより、ガラスの液相温度を下げることができる。
一方、SrO、BaOを含有することで、ガラスの密度が上昇し、カバーガラスの軽量化を図ることが困難となる。また、これらの成分を多く含有すると、イオン交換時のアルカリイオンの交換速度を低下させる。
特に、ガラス組成Aでは、SrO含有率とBaO含有率との合計量は、3モル%以下が好ましく、1モル%以下が好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。従って、SrO含有率とBaO含有率との合計量は、0〜3モル%が好ましく、0〜1モル%が好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
SrO、BaO及びZnOの合計含有率は、0〜10質量%が挙げられる。
特に、ガラス組成Bでは、SrO、BaO及びZnOの合計含有率は、0〜5質量%が好ましく、0〜3質量%がより好ましく、0〜1質量%がさらに好ましい。
効果的にガラスの密度の上昇およびイオン交換速度の低下を防ぐ観点から、SrO含有率とBaO含有率との合計含有率は、3質量%以下が好ましく、1質量%以下が好ましく、0.01質量%未満であって実質的に含有しないことがさらに好ましい。従って、SrO含有率とBaO含有率との合計含有率は、0〜3質量%が好ましく、0〜1質量%が好ましく、0〜0.01質量%であって実質的に含有しないことがさらに好ましい。
MgO、CaO、SrO、BaOの合計含有率としては、0〜20モル%、別の観点から0〜15質量%が挙げられる。
MgO、CaO、SrO、BaOの合計含有率は、15質量%を超えると化学的耐久性が低下する。他方、これらの成分を含有することで、ガラスの熔融性及び耐熱性を向上させることができる。
特に、ガラス組成Aでは、MgO、CaO、SrO、BaOの合計含有率は、3〜20モル%であることが適しており、3〜18モル%であることが好ましく、5〜15モル%であることがより好ましく、6〜13モル%であることがさらに好ましい。
また、特に、ガラス組成Bでは、MgO、CaO、SrO、BaOの合計含有率は、0〜15質量%であることが適しており、0質量%〜10質量%であることが好ましく、0質量%〜7質量%であることがより好ましく、2〜7質量%であることがさらに好ましく、3〜7質量%であることがより一層好ましく、4〜7質量%が特に好ましい。
ZrO2は、イオン交換性能を顕著に向上させるとともに、ガラスの失透温度付近の粘性、歪点を高くする任意成分である。また、ZrO2は、ガラスの耐熱性や化学的耐久性を向上させる成分でもあり、弾性率を向上させる上でも有効である。
一方、ZrO2の含有量が多くなり過ぎると、失透温度が上昇し、耐失透性が低下することがある。また、ガラスの液相温度が著しく上昇する。さらにZrO2は融点が高く難熔な成分であるため、原料の一部が溶解炉の底部に堆積するなどの問題を引き起こす。これらの未熔解の成分がガラス素地に混入されると、インクルージョンとしてガラスの品質悪化を引き起こす。
ZrO2の含有率としては、0〜8モル%、別の観点から、0〜15質量%が挙げられる。
特に、ガラス組成Aでは、耐失透性の低下を防止するためには、ZrO2の含有率は、0〜8モル%であることが好ましく、0〜6モル%であることがより好ましく、0〜4モル%であることがさらに好ましく、0〜2モル%であることがさらに好ましい。
他方、ZrO2を含有することで、携帯電話機等に適用されるカバーガラス、タッチパネルディスプレイ等に適用されるカバーガラスにおいて重要となる耐熱性、ガラス基板の化学強化処理の時間短縮及び機械的強度の向上に関わるイオン交換性能を効果的に向上させることができる。このため、ZrO2の含有率は、0.1モル%以上が適しており、0.5モル%以上が好ましく、1モル%以上がより好ましく、1.5モル%以上がさらに好ましい。従って、ZrO2の含有率は、0.1〜6モル%が適しており、0.5〜4モル%以上が好ましく、1〜2モル%がより好ましい。
一方、ガラスの密度を低減したい場合は、ZrO2の含有率を0.1モル%未満にすることが好ましく、さらに、不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
また、特に、ガラス組成Bでは、ZrO2の含有率は、0〜5質量%であることが好ましく、0〜3質量%であることがより好ましく、0〜1質量%であることがさらに好ましく、0.01質量%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことがより一層好ましい。
TiO2は、イオン交換性能を顕著に向上させるとともに、ガラスの高温粘性を低下させる任意成分である。また、TiO2は、ガラスの耐熱性や化学的耐久性を向上させる成分でもある。さらに、ガラスの失透温度付近の粘性、歪点を高くし、弾性率を向上させる上でも有効である。
一方、TiO2の含有量が多くなり過ぎると、耐失透性が低下する。また、紫外透過率が低下することによりガラスが着色状態になり、カバーガラスなどには好ましくない。さらに、紫外線硬化樹脂を使用した処理を行う場合に、紫外線硬化樹脂を十分に硬化させることができないという不都合が生じる。
TiO2の含有率としては、0〜10モル%、別の観点から0〜10質量%が挙げられる。
特に、ガラス組成Aでは、TiO2の含有率は、0〜8モル%であることが好ましく、0〜5モル%であることがより好ましく、0〜3モル%であることがさらに好ましく、0.01モル%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことがより一層好ましい。
また、特にガラス組成Bでは、TiO2の含有率は、0〜5質量%であることが好ましく、0〜3質量%未満であることがより好ましく、0〜1質量%であることがさらに好ましく、0.01質量%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことがより一層好ましい。
本実施形態のカバーガラスには、清澄のために使用される清澄剤が含有されていてもよい。清澄剤としては、環境への負荷が小さく、ガラスの清澄性に優れたものであれば特に制限されないが、例えば、Sn、Fe、Ce、Tb、MoおよびWの金属酸化物の群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
ただし、上記各酸化物をそれぞれSnO2、Fe2O3、CeO2で表した場合、下記の範囲が好ましい。
特に、ガラスに透明性・紫外透過性が求められる場合は、0.02モル%未満とすることが好ましく、不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。また、別の観点から、0.02質量%未満とすることが好ましく、不純物を除き意図的に含有させないことが特に好ましい。
清澄剤としてSO3を適用する場合は、SO3源となる硫酸ナトリウム等の硫酸塩とカーボンとを熔融工程において共存させることにより、より高い清澄効果を得ることができる。
PbOやFは、ガラスの熔融性を向上させ、ガラスを清澄する効果を有するが、これらは環境への負荷が大きい物質であることから、本実施形態のカバーガラスには、PbO及びFが実質的に含まれないことが好ましい。
ここで、「実質的に含まない」とは、0.01モル%未満又は0.001重量%未満であって不純物を除き意図的に含有させないことを意味する。
本実施形態のカバーガラスは、用途によって適宜その厚みを調整することができる。
例えば、カバーガラスに用いられる強化ガラスは、3.0mm程度以下が適しており、2.0mm程度以下が好ましく、1.3mm以下であることがより好ましく、0.8mm以下、0.5mm以下、0.3mm以下であることが特に好ましい。この厚みが薄い程、軽量化することでき、カバーガラス、タッチパネルディスプレイ基板などに好適となる。しかし、強化ガラスの厚みが薄くなりすぎると、所望される強度が得がたくなるため、0.05mm以上が適しており、0.1mm以上が好ましく、0.2mm以上が好ましい。
従って、厚みは、例えば、0.05〜3.0mm、0.1〜2.0mm、0.2〜1.3mm、0.2〜1.0mm、0.2〜0.8mm、0.2〜0.5mmが挙げられる。
なお、イオン交換処理後の強化ガラスであっても、強化ガラスに用いられるガラス基板との間に実質的に厚みの変化はない。
従って、応力圧縮層の厚みは、例えば、10〜150μm、20〜100μm、20〜85μm、30〜70μm、35〜65μmが挙げられる。
従って、圧縮応力値は、例えば、200〜1060MPa、300〜950MPa、400〜800MPa、500〜800MPaが挙げられる。
この応力圧縮層を、所定の厚みで及び/又は所定の圧縮応力値とすることにより、板厚が薄くとも破損し難いカバーガラスを得ることができる。つまり、本実施形態のカバーガラスに、十分な強度を与えることができ、例えば、ディスプレイなどを保護するために好適である。
一方、圧縮応力値が高いほどガラスの強度は向上するが、圧縮応力と均衡する内部引張応力が強化ガラス内部に形成され、強化されたガラスが破損した際の衝撃も大きくなる。この衝撃を低減するために、本実施形態の化学強化されたカバーガラスは、圧縮応力値が950MPa以下であることが適しており、800MPa以下あることが好ましい。
近年カバーガラスは軽量化のために薄板化の傾向にある。これに伴い、圧縮層深さが薄いものの、所定値以上の圧縮応力値を有することが求められている。具体的には、板厚が0.2〜1.3mmであり、かつ圧縮層深さが20〜85μm、圧縮応力値が200MPa〜1060MPaであることが好ましく、板厚が0.2〜1.0mmであり、かつ圧縮層深さが30〜70μm、圧縮応力値が300MPa〜950MPaであることがさらに好ましく、板厚が0.2〜0.8mmであり、かつ圧縮層深さが35〜65μm、圧縮応力値が400MPa〜800MPaであることがさらに好ましい。
(ガラス転移温度(Tg))
本実施形態のカバーガラスに用いられるガラス基板は、ガラス転移温度(Tg)が500℃以上であり、510℃以上であることが好ましく、530℃以上であることがより好ましく、560℃以上であることがさらに好ましい。Tgは、周知の示差熱膨張計等を用いて測定することができる。
例えば、ガラスをφ5mm、長さ20mmの円柱状に加工し、示差熱膨張計(Thermo Plus2 TMA8310)を用いて測定することができる。
Tgを500℃以上とすることで、耐熱性の低下を抑え、イオン交換処理によりガラス基板の主表面及び端面に形成された圧縮層が、各種成膜等の後工程における加熱処理により応力緩和や消失することを防止することができる。
一方、Tgが700℃以上となるとイオン交換性能が低下することから、700℃以下が好ましく、650℃以下がよりに好ましく、630℃以下、620℃以下、600℃以下がさらに好ましい。
従って、Tgとしては、例えば、500〜700℃、510〜650℃、530〜620℃、560〜600℃が挙げられる。
本実施形態のカバーガラスに用いるガラス基板は、通常、エッチングレートが3.0μm/分以上であることが適しており、3.7μm/分以上、4.0μm/分以上であることが好ましく、4.3μm/分以上であることがより好ましい。ここで、エッチングレートとは、濃度10質量%のフッ化水素を含む22℃のエッチング溶液中(エッチング環境)において、20分エッチングしたときのガラス基板片面におけるエッチング量(厚み変化)から測定された値を意味する。
エッチングレートを上記範囲とすることで、ガラスの形状加工、エッチングを利用した端面処理速度等を向上させることができ、生産能を向上させることができる。
なお、エッチングレートが高いほどガラス製品の生産能は向上するが、エッチングレートを向上させるためにAl2O3の含有率を増加することにより、失透温度も上昇する。そこで、耐失透性とエッチングレート向上とを両立するために、本実施形態のガラス基板を構成するガラスは、エッチングレートが10μm/分以下であることが適しており、8μm/分以下であることが好ましく、7μm/分以下であることがより好ましい。
従って、エッチングレートは、例えば、3.0〜10μm/分、3.7〜8μm/分、4〜8μm/分、4.3〜7μm/分が挙げられる。
本実施形態のカバーガラスに用いられるガラス基板は、密度が2.8g/cm3以下であることが適しており、2.7g/cm3以下、さらに2.6g/cm3以下であることが好ましい。ガラスの密度が小さいほどガラスの軽量化が可能であり、カバーガラスやタッチパネルディスプレイ基板などに好適となる。密度は、周知のアルキメデス法によって測定することができる。
本実施形態のカバーガラスに用いられるガラス基板は、100℃から300℃までの線熱膨張係数が50×10-7〜120×10-7/℃であることが適しており、60×10-7〜120×10-7/℃であることが好ましく、90×10-7〜110×10-7/℃又は85×10-7〜115×10-7/℃であることがより好ましい。
熱膨張係数は、周知の示差熱膨張計等を用いて測定することができる。例えば、ガラスをφ5mm、長さ20mmの円柱状に加工し、示差熱膨張計(Thermo Plus2 TMA8310)を用いて測定することができる。熱膨張係数の測定結果より、100〜300℃の温度範囲における平均熱膨張係数を算出した値である。
これにより、金属、有機系接着剤などの周辺材料と熱膨張係数とが整合しやすくなり、周辺部剤の剥離などを防止することができる。
本実施形態のカバーガラスに用いられるガラス基板は、失透温度が1200℃以下であることが適しており、1150℃以下であることが好ましく、1145℃以下であることが好ましく、1100℃以下であることがさら好ましく、1000℃以下、950℃以下であることがより一層好ましい。ここで、失透温度は、周知の方法、例えば、以下の方法によって測定される。
ガラス基板を粉砕し、2380μmのふるいを通過し、1000μmのふるい上に留まったガラス粒をエタノールに浸漬し、超音波洗浄した後、恒温槽で乾燥させ、幅12mm、長さ200mm、深さ10mmの白金ボート上に前記ガラス粒25gをほぼ一定の厚さになるように入れ、800〜1200℃の温度勾配をもった電気炉内に24時間保持し、炉から取り出し、ガラス内部に発生した失透を40倍の光学顕微鏡にて観察し、失透が観察された最高温度を失透温度とした。
本実施形態のカバーガラスに用いられるガラス基板は、高温粘性(200dPa・sの温度)が1700℃以下であることが適しており、1600℃以下であることが好ましい。
これにより、熔融温度の上昇や熔融炉などのガラス製造設備への負担増大を防止することができる。また、ガラスの泡品質(気泡の含有量)も改善することができる。
ガラスの高温粘性(200dPa・sの温度)は、ガラスを1600℃で4時間熔融・泡抜し、試料引き下げ式自動測定粘度測定装置を用いて測定することにより求めることができる。
本実施形態のカバーガラスに用いられるガラス基板又は化学強化用ガラス基板は、液相粘度が160000dPa・s以上であることが好ましく、300000dPa・s以上がより好ましく、400000dPa・s以上であることがさらに好ましく、500000dPa・s以上より一層好ましい。このような液相粘度により、ダウンドロー法(特に、オーバーフローダウンドロー法)に好適となり、製造コストも低減することが可能となる。
本実施形態のカバーガラスに用いられるガラス基板は、歪点が460℃以上であることが適しており、465℃以上であることが好ましく、470℃以上であることがより好ましい。歪点は、例えば、ガラスを3mm角、長さ55mmの角柱形状に切断・研削加工し、ビーム曲げ測定装置(東京工業株式会社製)を用いて測定し、ビーム曲げ法(ASTM C−598)に従い、計算により求めることができる。
これにより、耐熱性の低下やイオン交換処理によりガラス基板の主表面や端面に形成された圧縮応力層が、各種成膜等の後工程における加熱処理により応力緩和や消失することを防止することができる。
従って、歪点は、例えば、460〜660℃、460〜610℃が挙げられる。特に、カバーガラスBでは、465〜590℃、465〜585℃が好ましく、カバーガラスAでは、470〜570℃、470〜550℃が好ましい。
カバーガラスは、上述したガラス組成を有するものとして、例えば、
(1)ガラス原料を熔融して熔融ガラスを得、
(2)得られた熔融ガラスを、ダウンドロー法により板状に成形してガラス基板を得、
(3)成形されたガラス基板表面に圧縮応力層を形成する工程を含んで製造することができる。
上述した各成分を提供するガラス原料を秤量及び調合して、耐火レンガ、白金又は白金合金などの熔融容器に供給し、加熱・熔融した後に、清澄均質化して上述した所望の組成を有する熔融ガラスを調製する。
(1)工程で調製した熔融ガラスを、ダウンドロー法により板状に成形する。
ダウンドロー法は、特開2009−203080号公報等に記載された周知の方法に従って行うことができる。ダウンドロー法では、熔融ガラスを樋状の流路の両側から溢れさせ、溢れた熔融ガラスを、流路の下側に位置するくさび状の成形体の両側の側面に沿って流す。このようにして2つの熔融ガラスの流れを作り、成型体の最下端で2つの熔融ガラスの流れを合流させる。合流してできる帯状のガラスは、下方に設けられた引っ張りローラにより引っ張られる。これにより、熔融ガラスが所定の厚さの帯状ガラスに成形され、徐冷・冷却後、帯状ガラスを切断することでガラス基板が得られる。
板状に成形する方法としては、ダウンドロー法、フロート法、リドロー法、ロールアウト法などがあるが、本実施形態においては、ダウンドロー法、特にオーバーフローダウンドロー法を採用することが適している。
また、得られたガラス基板の主表面が熱間成形された表面であるために、極めて高い平滑性を有している。よって、成形後の研磨工程が不要となるために、製造コストを低減することができ、さらに生産性も向上させることができる。
加えて、ダウンドロー法を使用して成形することで、マイクロクラックのない表面状態を有するガラス基板を得ることができ、ガラス基板自体の強度も向上させることができる。
この場合、後述する工程(3)のガラス基板の表面に圧縮応力層を形成する工程と、形状加工を行う工程は、何れを先に行ってもよい。形状加工性を考慮すると、ガラス基板の表面に圧縮応力層を形成する工程の前に形状加工を行う工程を行うことが好ましい。
エッチングは、
(a)まず、板状のガラス基板の両主表面上にレジスト材料をコーティングする。ここで使用するレジスト材料は、特に限定されず、エッチャントに対して耐性を有する材料が好適である。例えば、ガラスは通常フッ酸を含む水溶液のウェットエッチング、フッ素系ガスのドライエッチングに付されるため、フッ酸耐性に優れた材料などが好適である。また、エッチャントとしては、フッ酸、硫酸、硝酸、塩酸及び/又はケイフッ酸等の酸を含む混酸を適用することができる。
エッチングは、ウェットエッチング及びドライエッチングのいずれでもよいが、ウェットエッチングが適している。また、ガラス基板をエッチング液に浸漬するのみであってもよいし、エッチング液を噴霧するスプレーエッチング法などを利用してもよい。
エッチャントとしてウェットエッチャントを使用した場合、ガラス基板は、等方的にエッチングされる。これにより、ガラス基板の端面は、中央部が外方に向かって最も突出し、その中央部から両主表面側に向かって緩やかに湾曲した傾斜面が形成される。なお、傾斜面と主表面との境界及び傾斜面同士の境界は、丸みを帯びた形状にすることが好ましい。
このようにエッチングを利用して形状加工を行うことにより、マスクパターンの形状を調整するだけで、複雑な形状も容易に実現することができる。また、エッチングにより形状加工を行うことで、より生産性も向上させることができ、加工コストも低減することができる。
また、非常に平滑な端面を有するカバーガラスを得ることが可能となり、携帯電話機等に適用されるカバーガラスやタッチパネルディスプレイに適用されるカバーガラスの端面の断面形状として良好である。つまり、機械加工により形状加工された際に必ず生じるマイクロクラックの発生を防止することができ、カバーガラスの機械的強度をさらに向上させることができる。
得られたガラス基板の表面に圧縮応力層を形成する。
ガラス基板の表面に圧縮応力層を形成する方法には、物理強化法と化学強化法があるが、本実施形態のカバーガラスでは、化学強化法で圧縮応力層を形成する方法を採用する。
化学強化法は、ガラスの歪点以下の温度でイオン交換によりガラス基板の表面にイオン半径の大きいアルカリイオンを導入する方法である。
例えば、洗浄を終えたガラス基板を350〜550℃程度(好ましくは400〜550℃程度)に保ったKNO395%とNaNO35%とからなる処理浴中又はKNO3100%からなる処理浴中に約1〜25時間、好ましくは約1〜5時間、より好ましくは1〜3時間浸漬し、ガラス表層部のNa+イオン及び/又はLi+イオンを、処理浴中のK+イオンと交換させ、化学強化する。これにより、圧縮応力層を形成することができる。イオン交換処理時の温度、時間、イオン交換塩の種類や濃度などは適宜変更可能である。例えば、イオン交換塩としては、硝酸カリウム(KNO3)、硝酸ナトリウム(NaNO3)の単塩であってもよいが、これらの混合塩であることが好ましい。
また、複合塩を用いて化学強化を行った場合であっても、強化ガラスを破損せずに、圧縮応力層の厚み、圧縮応力値を測定することができる。
(ガラス基板の製造)
表1(実施例1A〜42A)及び表2(実施例1B〜24B)ならびに比較例1A、2A、1B〜4Bに示すガラス組成となるように、通常のガラス原料であるシリカ、アルミナ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸リチウム、炭酸カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化ホウ素及び/又は清澄剤(例えば、酸化錫、硫酸ナトリウム)を用いてガラス原料(バッチ)を調合した。
調合したバッチを、白金ルツボを用いて1550℃で4時間保持した。これを電気炉内で加熱して熔融ガラスとした。これを炉外にて、鉄板上に流し出し、冷却してガラスブロックとした。このガラスブロックを電気炉中、600℃(実施例1A〜42A、比較例1A、2A)又は500〜700℃(実施例1B〜24B、比較例1B〜4B)で30分保持した。その後、炉の電源を切り、室温まで徐冷し、板状のガラスを得た。得られたガラスについて、後述の方法を用いて失透温度、ガラス転移温度、歪点、密度及び熱膨張係数を測定した。なお、失透温度、ガラス転移温度、歪点、密度及び熱膨張係数は、下記のように化学強化を行った後に得られるカバーガラスであっても、略同様の結果となる。
次に、得られたガラスブロックを切断、研磨などの機械加工を施し、50×40mm、厚み約0.7mmのガラス基板とした。
続いて、洗浄を終えたガラス基板を、450℃に保ったKNO395%とNaNO35%からなる処理浴中(実施例1A〜42A、比較例1A、2A)又はKNO3100%の処理浴中(実施例1B〜24B、比較例1B〜4B)に約2時間浸漬して、化学強化した。化学強化を終えた強化ガラスを、洗浄槽に順次浸漬して洗浄し、乾燥することで、カバーガラスを得た。
また、強化ガラス(カバーガラス)について、圧縮応力値及び圧縮応力層の厚みを測定した。その結果を以下の表に示す。表1中の組成はモル%で表す。
ガラス基板を粉砕し、2380μmのふるいを通過し、1000μmのふるい上に留まったガラス粒をエタノールに浸漬し、超音波洗浄した後、恒温槽で乾燥させ、幅12mm、長さ200mm、深さ10mmの白金ボート上に前記ガラス粒25gをほぼ一定の厚さになるように入れ、700〜1200℃の温度勾配をもった電気炉内に24時間保持し、炉から取り出し、ガラス内部に発生した失透を40倍の光学顕微鏡にて観察し、失透が観察された最高温度を失透温度とした。
ガラス転移温度は、ガラスをφ5mm、長さ20mmの円柱状に加工し、示差熱膨張計(Thermo Plus2 TMA8310)を用いて、ガラス転移温度Tgを測定した。
歪点は、ガラスを3mm角、長さ55mmの角柱形状に切断・研削加工し、ビーム曲げ測定装置(東京工業株式会社製)を用いて測定し、ビーム曲げ法(ASTM C−598)に従い、計算により求めた。
熱膨張係数は、ガラスをφ5mm、長さ20mmの円柱状に加工し、示差熱膨張計(Thermo Plus2 TMA8310)を用いて測定し、100〜300℃の温度範囲における平均熱膨張係数を算出した。
密度は、周知のアルキメデス法によって測定した。
ガラス基板を20〜50mm×20〜40mm×0.7mmの大きさに切断・研削・研磨し、洗浄後、容器に入れたHF水溶液400ml(濃度10質量%、温度22℃)に、20分浸漬し、エッチング後のガラス基板の端面を観察した。その後、ガラス基板を水洗し、試験前後の厚み及び質量を測定し、ガラス基板のエッチングレートを算出した。エッチングレートが、3.0μm/分以上であり、且つガラス基板端面に析出物が観察されなかったガラス基板は、エッチングによる形状加工に好適であるので○、エッチングレートが、3.0μm/分以上であるが、ガラス基板端面に析出物が観察されたガラス基板を△、エッチングレートが3.0未満であるガラス基板は×とした。
得られたカバーガラス(強化ガラス)について表面応力計(有限会社折原製作所製、FSM−6000LE)で干渉縞の本数とその間隔を観察し、ガラス表面近傍の圧縮応力層の圧縮応力値と圧縮応力層の厚みを算出した。
算出に際し、各カバーガラスの屈折率(nd)を屈折率計測計(株式会社島津デバイス製造 KPR-200)により計測した値を用いた。なお、各カバーガラスの光弾性定数を28[(nm/cm)/MPa]として算出した。
屈折率に起因する線条模様が観察でき、上記表面応力計で圧縮応力値及び圧縮応力層の厚みを測定することができたものを○、屈折率に起因する線条模様が薄いものの、上記表面応力計で圧縮応力値及び圧縮応力層の厚みを測定することができたものを△、屈折率に起因する線条模様が観察できず、圧縮応力値及び圧縮応力層の厚みを測定することができなかったものを×とした。
なお、実施例26A〜27A、31A、33Aに示すカバーガラスの圧縮応力層の圧縮層深さ及び圧縮応力値の測定結果を以下の表に示す。
実施例31A及び実施例12Bに示す組成となるよう調合したガラス原料を、耐火煉瓦製の熔解槽と白金製の攪拌槽などを備えた連続熔解装置を用いて、1520℃で熔解し、1550℃で清澄、1350℃で攪拌し、ダウンドロー法により、厚さ0.7mmの薄板状のガラス基板を作製した。
次いで、ガラス基板の両主表面上に、メッシュスクリーン印刷法によりカバーガラス形状のフェノール系熱硬化性樹脂パターンを厚さ20μmで形成し、このフェノール系熱硬化性樹脂パターンに対して200℃で15分のベーキング処理を施した。フェノール系熱硬化樹脂パターンをマスクにして、エッチャントとしてフッ酸(15質量%)と硫酸(24質量%)の混酸水溶液(40℃)を用いて、ガラス基板を両主表面側から被エッチング領域をエッチングして所定の形状に切り抜いた。
続いて、洗浄を終えたガラス基板を、450℃に保ったKNO395%とNaNO35%からなる処理浴中に約5時間浸漬(実施例31A)又はKNO3100%からなる処理浴中に約2時間浸漬(実施例12B)して、化学強化した。化学強化を終えた強化ガラスは、洗浄槽に順次浸漬して洗浄し、乾燥した。
その結果、品質も良好であり、形態を保持したまま(破壊せずに)で圧縮層の深さ及び圧縮応力値を測定することができるカバーガラス及び強化ガラスを得ることができた。また、イオン交換処理時間も短縮できた。
Claims (16)
- 主表面に圧縮応力層を有し、ガラス組成として、
SiO2:50〜70モル%、
Al2O3:3〜20モル%、
Na2O:5〜25モル%、
Li2O:0モル%より多く、2.5モル%以下、
K2O:0〜5.5モル%及び
B2O3:0〜3モル%未満、を含有するカバーガラス。 - さらに、MgO:3〜15モル%を含有する請求項1記載のカバーガラス。
- Na2O+Li2O+K2O:15.5〜30モル%を含有する請求項1又は2に記載のカバーガラス。
- Na2Oを12モル%より多く含有する請求項1から3のいずれか1つに記載のカバーガラス。
- モル%換算で、Li2O/(Na2O+Li2O+K2O)が0より大であり、かつ0.2以下である請求項1〜4のいずれか1つに記載のカバーガラス。
- (1)ガラス原料を熔融して熔融ガラスを得、
(2)得られた熔融ガラスを、ダウンドロー法により板状に成形して、
ガラス組成として、
SiO2:50〜70モル%、
Al2O3:3〜20モル%、
Na2O:5〜25モル%
Li2O:0モル%より多く、2.5モル%以下、
K2O:0〜5.5モル%及び、
B2O3:0〜3モル%未満、を含有するガラス基板を得、
(3)得られたガラス基板表面に圧縮応力層を形成する工程を含むカバーガラスの製造方法。 - 主表面に圧縮応力層を有し、ガラス組成として、
SiO2:50〜70モル%、
Al2O3:3〜20モル%、
Na2O:5〜25モル%、
Li2O:0モル%より多く、2.5モル%以下、
K2O:0〜5.5モル%及び
B2O3:0〜3モル%未満、を含有する強化ガラス。 - 主表面に圧縮応力層を有し、ガラス組成として、
SiO2:45〜70質量%、
Al2O3:5〜25質量%、
Na2O:9〜25質量%、
Li2O:0質量%より多く、2.5質量%以下、
B2O3:0〜3質量%及び
MgO:0質量%より多く、10質量%以下を含むカバーガラス。 - さらに、K2O:0〜15質量%を含み、
質量%換算でMgO/(Li2O+Na2O+K2O)が0.11以上である請求項8に記載のカバーガラス。 - さらに、ZrO2:0〜5質量%を含む請求項8又は9に記載のカバーガラス。
- さらに、K2O:0〜15質量%を含み、
Li2O+Na2O+K2Oが30質量%以下である請求項8〜10のいずれか1つに記載のカバーガラス。 - SiO2−1/2Al2O3が57.5質量%以下である請求項8〜11のいずれか1つに記載のカバーガラス。
- 前記圧縮応力層は、圧縮応力が400MPa以上であり、かつ応力深さが20μm以上である請求項8〜12のいずれか1つに記載のカバーガラス。
- K2O:0質量%より多く、10質量%以下である請求項8〜13のいずれか1つに記載のカバーガラス。
- (1)ガラス原料を熔融して熔融ガラスを得、
(2)得られた熔融ガラスを、ダウンドロー法により板状に成形して、
ガラス組成として、
SiO2:45〜70質量%、
Al2O3:5〜25質量%、
Na2O:9〜25質量%、
Li2O:0質量%より多く、2.5質量%以下、
B2O3:0〜3質量%及び
MgO:0質量%より多く、10質量%以下を含有するガラス基板を得、
(3)得られたガラス基板表面に圧縮応力層を形成する工程を含むカバーガラスの製造方法。 - 前記圧縮応力層を形成する工程において、圧縮応力が400MPa以上であり、かつ応力深さが20μm以上の圧縮応力層を形成する請求項15に記載のカバーガラスの製造方法。
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