JPWO2014175144A1 - 化学強化用ガラス板およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、高いガラス転移温度を有し、低温(150〜300℃)での熱処理においてコンパクション(C)が小さいガラス板を提供する。本発明は、仮想粘度を1012.8d・Pa・s以下とし、酸化物基準のモル百分率表示で、SiO2を60〜79%、Al2O3を2.5〜18%、B2O3を0〜3%、MgOを1〜15%、CaOを0〜1%、SrOを0〜1%、BaOを0〜1%、ZrO2を0〜1%、Na2Oを7〜15.5%、K2Oを0〜0.5%、Li2Oを0〜2%含有し、Na2O+K2Oが7〜15.5%、Na2O/(Na2O+K2O)が0.9〜1、MgO+CaO+SrO+BaOが1〜18%、MgO−0.5Al2O3が1〜8であり、MgO+0.5Al2O3が1〜20であり、ガラス転移温度が580〜720℃、コンパクション(C)が20ppm以下である化学強化用ガラス板に関する。

Description

本発明は、各種タッチパネルや各種ディスプレイパネル等に利用される、化学強化用ガラス板であって、該ガラス板上に導電膜等がパターニングされるものに関する。
化学強化用ガラス板は、ソーダライムシリケートガラスやアルカリアルミノシリケートガラスが用いられ、フロート法、ロールアウト法、フュージョン法等の各種の成形方法で製造できる。
ガラス板を水平方向に引き出す成形方法である前記フロート法は徐冷炉の長さを十分に確保できるのに対し、フュージョン法などの垂直方向に成形する方法では徐冷炉の長さに制約があるため、徐冷時間が不足する。
徐冷時間が不足すると、ガラス板の成形後の冷却速度が速くなり、その結果、ガラス板上に透明導電膜等をパターニングする際の熱工程で、ガラスの安定化現象によるガラス板寸法の縮み(以下、「コンパクション」という。)が大きくなる。そのため、成膜パターニング時の精度が低下するという問題があった。
日本国特開2009−196879号公報
本発明は、TFTパネル、タッチセンサ付きTFTパネル、またはタッチセンサ(以下、これらを総称して「ディスプレイ部材」という。)を製造する際の低温(150〜300℃)での熱処理において、ガラス成形時の冷却速度が速いフュージョン法等で製造したガラス板においても、コンパクション(C)が小さく、ガラス板上の成膜パターニング精度が高い(位置ずれが生じ難い)、ディスプレイ部材に適した化学強化用ガラス板を提供することを目的とする。
本発明は、仮想粘度、組成、ガラス転移温度およびコンパクション(C)を特定の範囲にすることにより前記の目的を達成することを見出し、本発明を完成させた。すなわち、本発明は以下の通りである。
1.仮想粘度が1012.8d・Pa・s以下であって、
下記酸化物基準のモル百分率表示で、
SiOを60〜79%、
Alを2.5〜18%、
を0〜3%、
MgOを1〜15%、
CaOを0〜1%、
SrOを0〜1%、
BaOを0〜1%、
ZrOを0〜1%、
NaOを7〜15.5%、
Oを0〜0.5%、
LiOを0〜2%含有し、
NaO+KOが7〜15.5%、
NaO/(NaO+KO)が0.9〜1、
MgO+CaO+SrO+BaOが1〜18%、
MgO−0.5Alが1〜8であり、
MgO+0.5Alが1〜20であり、
ガラス転移温度が580〜720℃であり、
コンパクション(C)が20ppm以下である化学強化用ガラス板。
2.光弾性定数が27〜33nm/MPa/cmである前項1に記載の化学強化用ガラス板。
3.粘度が10dPa・Sとなる温度(T)とガラス表面失透温度(T)との関係が、T−T≧−20℃である前項1または2に記載の化学強化用ガラス板。
4.粘度が10dPa・Sとなる温度(T)とガラス内部失透温度(T)との関係が、T−T≧50℃である前項1または2に記載の化学強化用ガラス板。
5.フロート法を用いて成形されたものである、前項3に記載の化学強化用ガラス板。
6.フュージョン法を用いて成形されたものである、前項4に記載の化学強化用ガラス板。
本発明の化学強化用ガラス板は、ディスプレイ部材の製造工程における低温(150〜300℃)での熱処理においてコンパクション(C)が小さく(20ppm以下)、ガラス板上の成膜パターニング時の位置ずれが生じ難い。
したがって、本発明の化学強化用ガラス板は、パネルの大型化、高精細化、表示フレームの高速化、高耐候性化、高機能化、高信頼性化、ドライバ等のIC回路の内臓化に対応した、特にタッチパネルセンサ用一体型カバーガラス化学強化用ガラス板として好適に用いることができる。
また、本発明の化学強化用ガラス板は、フュージョン法等での冷却速度の速い成形方法で製造したガラス板であるため、仮想粘度が1012.8d・Pa・s以下である。また、本発明の化学強化用ガラス板は、化学強化に適したガラスであるため、化学強化後の表面圧縮応力が高く、表面応力層が深く入りやすく、ディスプレイ部材として、高い強度を備える。
図1は、本発明のガラス板におけるMgOとAlとの関係を示すグラフである。 図2は、本発明の例19、22(実施例)と例25(比較例)のガラス板の仮想粘度とコンパクションとの関係を示すグラフである。 図3(A)〜(D)は、タッチセンサ板の一例を概念的に示す図で、図3(A)は平面図、図3(B)は図3(A)のb−b線断面、図3(C)は図3(A)のc−c線断面、図3(D)は端部近傍の断面である。 図4は、図3(A)〜(D)に示すタッチセンサ板の構成を説明するための概念図である。 図5は、図3(A)〜(D)に示すタッチセンサ板の製造方法の一例を示すフローチャートである。 図6は、TFTパネルまたはオンセル型タッチパネルの断面図である。 図7は、インセル型タッチパネルの断面図である。 図8は、アウトセル型(外付け型)のタッチパネルの断面図である。
<本発明の化学強化用ガラス板>
本発明の化学強化用ガラス板(以下、本発明のガラス板ともいう)は、仮想粘度が1012.8d・Pa・s以下であって、
下記酸化物基準のモル百分率表示で、
SiOを60〜79%、
Alを2.5〜18%、
を0〜3%、
MgOを1〜15%、
CaOを0〜1%、
SrOを0〜1%、
BaOを0〜1%、
ZrOを0〜1%、
NaOを7〜15.5%、
Oを0〜0.5%、
LiOを0〜2%含有し、
NaO+KOが7〜15.5%、
NaO/(NaO+KO)が0.9〜1、
MgO+CaO+SrO+BaOが1〜18%、
MgO−0.5Alが1〜8であり、
MgO+0.5Alが1〜20であり、
ガラス転移温度が580〜720℃、
コンパクション(C)が20ppm以下である。
(コンパクション)
本発明のガラス板はコンパクション(C)が20ppm以下である。コンパクション(C)は18ppm以下がより好ましく、16ppm以下がさらに好ましい。20ppm以下であると、ディスプレイ部材の製造工程における低温(150〜300℃)での熱処理において、ガラス板上の成膜パターニング時の位置ずれが生じ難い。
(コンパクションの測定方法)
本発明においてコンパクション(C)とは、次に説明する方法で測定した値を意味するものとする。
初めに、対象となるガラスを1600℃で溶解した後、溶融ガラスを流し出し、板状に成形後冷却する。得られたガラス板を研磨加工して厚み2mm、大きさ100mm×20mmにて2面を鏡面研磨した試料を得る。
次に、得られたガラス板をガラス転移温度Tg+150℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、所定の降温速度で室温まで冷却する。その後、ガラス板の表面に圧痕を長辺方向に2箇所、間隔A(A=90mm)で打つ。
その後、アニール処理を行ってもよい。アニール処理とは、原料を溶融後、歪点以下の温度まで冷却後、再び歪点以上の温度まで加熱される工程(化学強化処理工程を除く)をいう。アニールに要する時間は全工程一日以内が好ましい。その後、化学強化処理を実施する。
次にガラス板を300℃まで昇温速度100℃/時(=1.6℃/分)で加熱し、300℃で1時間保持した後、降温速度100℃/時で室温まで冷却する。そして、再度、圧痕間距離を測定し、その距離をBとする。このようにして得たA、Bから下記式を用いてコンパクション(C)を算出する。なお、A、Bは光学顕微鏡を用いて測定する。
C[ppm]=(A−B)/A×10
(仮想粘度)
本発明のガラス板の仮想粘度は1012.8d・Pa・s以下である。ガラス板の仮想粘度を1012.8d・Pa・s以下とするためには、ガラス板の成形後の冷却速度を、20℃/分相当以上とすることが好ましい。
ガラス板の仮想粘度は1012.6d・Pa・s以下(冷却速度30℃/分相当以上)が好ましく、1012.4d・Pa・s以下(冷却速度50℃/分相当以上)が好ましく、1012.2d・Pa・s以下(冷却速度70℃/分相当以上)が好ましく、1012.1d・Pa・s以下(冷却速度100℃/分相当以上)が好ましく、1012.0d・Pa・s以下(冷却速度120℃/分相当以上)がさらに好ましい。
本発明のガラス板は20℃/分相当以上の速度で冷却しても、前記低コンパクション性が達成可能なうえに、ガラス板生産時の生産性が高く、特に好ましい。
(仮想粘度の算出方法)
ガラスの仮想粘度(η)は下記(式4)(G.W.Scherer,Relaxation in Glass and Composites,Wiley,New York(1986),p.159)にて算出することができる。
Figure 2014175144
ηの単位はd・Pa・s。
qは冷却速度で単位は℃/s。
厚み1mm以下の一枚のガラス板から切り出した複数のガラス板小片、たとえば1センチメートル角の小片を別々に様々な冷却速度qにて熱処理、冷却し、それぞれのガラス小片の物性値を測定する。冷却開始温度は冷却速度の影響を受けない十分高い温度であることが好ましい。典型的にはTg+50℃〜+150℃程度であることが好ましい。
測定を実施する物性値は、特に制限はないが、密度が好ましく、屈折率など、密度と密接な関係にある物性値であることが好ましい。x軸に冷却速度(log10)をとって、y軸にそれぞれの熱処理を施したガラス小片の物性値をとり検量線を作成する。熱処理を実施していないガラス小片の物性値(y軸)に対するx軸の値(q)がそのガラスの冷却速度を示す。
本発明者は、実験および試行錯誤の結果から、化学強化処理またはアニール処理を実施したとしても、50℃/分の冷却速度のコンパクション(C)を小さく(20ppm以下に)抑えることが、ガラスの成形時の冷却速度の増大に対して低コンパクション性を保持し得ることを見出し、本発明に至った。
(Tg)
本発明のガラス板のガラス転移温度(Tg)は580℃以上720℃以下である。本発明のガラス板のガラス転移温度(Tg)は前記範囲であることでコンパクション(C)を小さくするのに好ましいとともに、ディスプレイ部材の製造工程における低温熱処理(150℃〜300℃)において、ガラス中のアルカリイオンの易動度が小さくなりセンサやドライバ等のIC回路のトランジスタ素子(センサ等)への移動度が低くなり、センサ等の性能劣化を抑えられる。Tgは600℃以上であるのが好ましく、640℃以上であるのがより好ましく、680℃以上であるのがさらに好ましい。
本発明のガラス板において上記組成に限定する理由は以下のとおりである。
(SiO
SiOは、ガラスの骨格を形成する成分で、ガラスの耐熱性および化学的耐久性を保持し、密度、50〜350℃における平均熱膨張係数およびコンパクション(C)を小さくするため、含有量は60モル%(以下、単に「%」と記載する)以上とする。好ましくは62%以上、より好ましくは63%以上である。
また、光弾性定数を小さくし、ガラス溶解時の粘度を低くし、溶解性を良好に保つために、SiOの含有量は79%以下とする。好ましくは77%以下であり、より好ましくは75%以下であり、さらに好ましくは74%以下である。
(Al
Alは、ガラス転移温度を上げ、耐候性(ソラリゼーション)、耐熱性および化学的耐久性を向上し、ヤング率を高め、50〜350℃における平均熱膨張係数を下げ、コンパクション(C)を低く抑え、光弾性定数を小さくさせ、化学強化特性を向上させ、ガラス中のアルカリイオンの易動度が小さくなりセンサまたはドライバ等のIC回路のトランジスタ素子(センサ等)への移動度が低くなりセンサ等の性能劣化を抑えられるため、含有量は2.5%以上とする。好ましくは4%以上であり、より好ましくは6%以上であり、さらに好ましくは7%以上である。
また、ガラス溶解時の粘度を低くし、溶解性の悪化を抑え、失透温度[ガラス表面における表面失透温度(Tc)およびガラス内部における内部失透温度(T)]を低く抑え、成形性を良好に保つために、Alの含有量は18%以下とする。好ましくは16%以下であり、より好ましくは15%以下である。
(B
は、ガラス溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下する効果があり、強度特性を向上させるため3%まで含有してもよい。ガラス転移温度の過度の低下、光弾性定数の過度の上昇を抑えるため、含有量は3%以下とする。好ましくは1.5%以下である。0.5%以下であるとより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
なお、「実質的に含有しない」とは、原料等から混入する不可避的不純物以外には含有しないこと、すなわち、意図的に含有させないことを意味する。
TFTパネル用ガラス、またはインセル型タッチパネル用ガラス板として用いる場合、B含有率が低いと、ガラス板製造時にガラスを溶解する際の、溶解工程、清澄工程および成形工程での、Bの揮散量が少なく、製造されるガラス板が均質性および平坦性に優れる。その結果、高度の平坦性が要求されるTFTパネル用ガラス板として使用する場合に、従来のTFTパネル用ガラス板に比べて、表示品質に優れる。
また、ガラス溶解時のBの揮散による環境負荷を考慮しても、Bの含有率はより低いことが好ましい。
ただし、廃液晶ディスプレイのガラス板のリサイクル目的でカレットを使用する場合は、Bを含有するカレットを使用することができる。
(MgO)
MgOはガラス溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下する効果があり、ガラス板の耐候性を向上する効果があるため、含有量は1%以上とする。好ましくは3%以上であり、より好ましくは5%以上であり、さらに好ましくは7%以上である。
50〜350℃における平均熱膨張係数、コンパクション(C)を小さく、失透温度(Tc)、光弾性定数を低く抑えるために15%以下とする。好ましくは13%以下であり、より好ましくは11%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
(CaO)
CaOは、ガラス溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下する効果があるので含有させることができる。コンパクション(C)の増大を抑制するために、含有量は1%以下とする。好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは実質的に含有しない。
(SrO)
SrOは、ガラス溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下し、光弾性定数を低下させる効果があるので含有させることができる。コンパクション(C)の増大を抑制するために、SrOの含有量は1%以下とする。好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは実質的に含有しない。
(BaO)
BaOは、ガラス溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下し、光弾性定数を低下させる効果があるので含有させることができる。コンパクション(C)の増大を抑制するために、含有量は1%以下とする。好ましくは0.5%以下であり、より好ましくは実質的に含有しない。
(ZrO
ZrOは、ガラス溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下する効果があるので含有させることができる。コンパクション(C)の増大を抑制するために、含有量は1%以下とする。0.5%以下が好ましく、実質的に含有しないことがより好ましい。
(RO)
MgO、CaO、SrOおよびBaOは、ガラス溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下する効果があり、ガラス板の耐候性を向上させるため、また、光弾性定数を小さくするため、合量で1%以上とする。3%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、7%以上がさらに好ましい。ガラスの50〜350℃における平均熱膨張係数およびコンパクション(C)の増大を抑制するために、合量で18%以下とする。16%以下が好ましく、12.5%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。
(NaO)
NaOは化学強化を容易にし、ガラス溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下する効果があるので、含有量は7%以上とする。9%以上であると好ましく、11%以上であるとより好ましい。12%以上であるとさらに好ましい。
コンパクション(C)を小さく抑えることを第一の目的としてNaOの含有量を15.5%以下とする。コンパクション(C)、50〜350℃における平均熱膨張係数の増大、化学的耐久性、耐候性の劣化を抑制するために、14.5%以下であると好ましく、13.5%以下であるとより好ましい。13%以下であるとさらに好ましい。
(KO)
Oは、ガラス溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下する効果があるので含有させることができる。コンパクション(C)の増大を抑制するために、KOの含有量は0.5%以下とする。0.2%以下であることがより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
(LiO)
LiOはガラスの溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下する効果があるので含有させることができる。コンパクション(C)の増大を抑制するために、含有量は1%以下とする。0.5%以下がより好ましく、実質的に含有しないことがさらに好ましい。
(RO)
NaOおよびKOは化学強化を容易にし、ガラスの溶解時の粘度を下げ、溶解を促進し、失透温度を降下する効果があり、また光弾性定数を小さくするために、NaOおよびKOの合量の含有量は、7%以上とする。好ましくは9%以上であり、より好ましくは11%以上であり、さらに好ましくは12%以上である。
コンパクション(C)を小さく抑えることを第一の目的として、耐候性の向上を第二の目的として15.5%以下とする。好ましくは15%以下であり、より好ましくは14%以下、より好ましくは13%以下である。
(式1)
また、NaOおよびKOは、コンパクション(C)を小さくするために、下記(式1)が0.9〜1を満たすように含有する。
NaO/(NaO+KO) (式1)
前記(式1)は、低温(150〜300℃)での熱処理におけるコンパクション(C)を小さくする指標となる。本発明者は、実験および試行錯誤の結果から、上記各成分が本発明の範囲を満たし、且つ、前記(式1)で得られる値が0.9〜1となる場合に、Tgが580〜720℃であり、および50〜350℃における平均熱膨張係数が65×10−7〜85×10−7を満足させつつ、コンパクション(C)が20ppm以下を満たすことを見出した。好ましくは、0.95以上であり、さらに好ましくは1である。
(式2)
MgOおよびAl:MgOおよびAlは、下記(式2)が1〜8を満たすように含有する。なお、下記(式2)の「MgO」、「Al」には、ガラス板の組成に含まれるMgOおよびAlのそれぞれの「モル%」を代入する。
MgO−0.5Al (式2)
前記(式2)は、光弾性定数を低くし、且つ低温(150〜300℃)での熱処理におけるコンパクション(C)を小さくする指標となる。本発明者は、実験および試行錯誤の結果から、上記の各成分が本発明の範囲を満たし、且つ、前記(式2)で得られる値が1〜8の中間になるほど、つまり4に近づくほど、コンパクション(C)を小さくできることを見出した。好ましくは2以上であり、より好ましくは3以上である。好ましくは7.5以下であり、さらに好ましくは7以下であり、特に好ましくは6以下である。また、低い光弾性定数を得るために、2以上であると好ましい。
(式2の図示)
なお、MgOを縦軸、Alを横軸とした場合、前記式(2)が1〜8且つMgOおよびAlが上記組成範囲のときに、本発明の範囲は、図1において実線ラインで囲まれた部分となる。
コンパクション(C)を小さくできる範囲は、図1において本発明の範囲内においてMgO−0.5Al=1とMgO−0.5Al=8の二本の直線の中央の、Y切片が5となる直線に近い部分、即ち、図1において本発明の範囲内で且つMgO−0.5Al=4の直線に近い部分である。
(式3)
また、MgOおよびAlは、下記(式3)が1〜20を満たすように含有する。なお、下記(式3)の「MgO」、「Al」には、ガラス板の組成に含まれるMgOおよびAlのそれぞれの「モル%」を代入する。
MgO+0.5Al (式3)
前記(式3)は、ガラス製造工程における失透特性、具体的には、後述するT−Tが−50〜350℃、またはT−Tが−50〜350℃を満たすための指標となる。本発明者は、実験および試行錯誤の結果から、上記の各成分が本発明の範囲を満たし、且つ、前記(式3)で得られる値が1〜20となる場合に、Tgが580〜720℃および50〜350℃における平均熱膨張係数65×10−7〜85×10−7/℃を満足させつつ、T−TまたはT−Tが上記範囲を満たすことを見出した。
(式3と成形法)
本発明のガラス板の成形方法として、フロート法およびフュージョン法(ダウンドロー法)が適用できるが、フュージョン法のときは、前記(式3)は、好ましくは14以下であり、より好ましくは13以下であり、さらに好ましくは12以下である。
またフロート法のときは、前記(式3)は、好ましくは18以下であり、より好ましくは16以下であり、さらに好ましくは14以下である。また、低い光弾性定数を得るために、好ましくは3以上であり、より好ましくは5以上であり、さらに好ましくは7以上である。
(式3の図示)
なお、MgOを縦軸、Alを横軸とした場合、前記(式3)が1〜20且つMgOおよびAlが上記組成範囲のときに、本発明の範囲は、図1において実線で囲まれた部分となる。
(平均線膨張係数)
本発明のガラス板の50〜350℃における平均線膨張係数は85×10−7/℃以下であることが好ましい。上記範囲であることで、ディスプレイ部材の製造工程での寸法変化が少なく、液晶ディスプレイなどのディスプレイパネルとの接着時の応力による品質(残留応力や光弾性効果)への影響が少ないことから、特に表示品質面で好ましい。
なお、好ましくは80×10−7/℃以下、より好ましくは78×10−7/℃以下、さらに好ましくは76×10−7/℃以下である。またディスプレイパネル用ガラス板にソーダライムガラスを用いる場合は、両者の熱膨張差の点から、65×10−7/℃以上が好ましい。
(T
本発明のガラス板は、ガラス表面失透温度(T)が1300℃以下であることが好ましい。好ましくは1275℃以下であり、より好ましくは1250℃以下であり、特に好ましくは1225℃以下である。なお、他の物性確保の容易性を考慮すると、ガラス表面失透温度(T)は900℃以上である。
ガラス表面失透温度(T)とは、白金製の皿に粉砕されたガラス粒子を入れ、一定温度に制御された電気炉中で17時間熱処理を行い、熱処理後の光学顕微鏡観察によって、ガラスの表面に結晶が析出する最高温度と結晶が析出しない最低温度との平均値である。
(T
本発明のガラス板は、ガラス内部失透温度(T)が1300℃以下であることが好ましい。好ましくは1275℃以下であり、より好ましくは1250℃以下であり、さらに好ましくは1225℃以下であり、さらに好ましくは1200℃以下である。なお、他の物性確保の容易性を考慮すると、ガラス内部失透温度(T)は900℃以上である。
ガラス内部失透温度(T)とは、白金製の皿に粉砕されたガラス粒子を入れ、一定温度に制御された電気炉中で17時間熱処理を行い、熱処理後の光学顕微鏡観察によって、ガラスの内部に結晶が析出する最高温度と結晶が析出しない最低温度との平均値である。
(T
本発明のガラス板は、粘度が10d・Pa・sとなる温度(T)が、1350℃以下であることが好ましい。1300℃以下であることが好ましく、より好ましくは1275℃以下であり、さらに好ましくは1250℃以下である。なお、他の物性確保の容易性を考慮すると、粘度が10d・Pa・sとなる温度(T)は1100℃以上である。
(成形方法と失透温度における粘度)
本発明のガラス板の成形方法として、フロート法およびフュージョン法(ダウンドロー法)が適用できるが、フュージョン法のときはTにおけるガラス粘度は、104.7d・Pa・s以上であることが好ましく、より好ましくは105.0d・Pa・s以上、さらに好ましくは105.3d・Pa・s以上、特に好ましくは105.5d・Pa・s以上である。なお、他の物性確保の容易性を考慮すると、フュージョン法のときは、Tにおけるガラス粘度は107.0d・Pa・s以下であることが好ましい。
成形方法がフロート法のときは、Tにおけるガラス粘度は、103.8d・Pa・s以上であることが好ましく、より好ましくは103.9d・Pa・s以上、さらに好ましくは104.0d・Pa・s以上である。なお、他の物性確保の容易性を考慮すると、フロート法のときは、Tにおけるガラス粘度は107.0d・Pa・s以下であることが好ましい。
(成形方法と失透温度)
成形可能性の判断は前段落に示した通り、失透温度における粘度を指標として用いるのが一般的である。しかし、前段落による方法においては、粘度を105.5d・Pa・sから103.8d・Pa・sまで連続的に測定する必要があるため、評価が煩雑である。そこで、簡便な評価の方法として、Tとの差温度をとって評価してもよい。
本発明のガラス板の成形方法として、フロート法およびフュージョン法(ダウンドロー法)が適用できるが、板ガラス成形時の失透防止を考慮すると、ガラス板の物性としてフュージョン法のときは、T−Tが好ましくは100〜350℃であり、T−T≧50℃を満たすことが好ましく、T−T≧150℃を満たすことがより好ましく、T−T≧200℃を満たすことがさらに好ましい。
また、フロート法のときは、T−Tが好ましくは−50〜350℃であり、T−T≧−20℃を満たすことが好ましく、T−T≧−10℃を満たすことがより好ましく、T−T≧0℃を満たすことがさらに好ましい。
(T
本発明のガラス板は、粘度が10d・Pa・sとなる温度(T)が、1850℃以下であることが好ましく、より好ましくは1800℃以下であり、より好ましくは1750℃以下であり、より好ましくは1700℃以下であり、さらに好ましくは1650℃以下である。
(密度)
本発明のガラス板は、密度が2.50g/cm以下であることがディスプレイ部材の軽量化のために好ましく、より好ましくは2.45g/cm以下であり、さらに好ましくは2.43g/cm以下であり、特に好ましくは2.41g/cm以下である。なお、本発明のガラス板は、他の物性確保の容易性を考慮すると、密度は2.35g/cm以上であることが好ましい。
(光弾性定数)
本発明のガラス板は、光弾性定数が33nm/MPa/cm以下であることが好ましく、より好ましくは31nm/MPa/cm以下であり、さらに好ましくは30nm/MPa/cm以下であり、特に好ましくは29nm/MPa/cm以下である。
ディスプレイ部材の製造工程やディスプレイ部材の使用時に発生した応力によってガラス板が複屈折性を有することにより、黒の表示がグレーとなりLCDのコントラストが低下する現象が認められることがある。光弾性定数を33nm/MPa/cm以下とすることにより、この現象を小さく抑えることができる。
本発明のガラス板は、他の物性確保の容易性を考慮すると、光弾性定数が27nm/MPa/cm以上であることが好ましい。なお、光弾性定数は、円盤圧縮法により測定できる。
(ヤング率)
本発明のガラス板は、ヤング率が66GPa以上であることが好ましく、より好ましくは70GPa以上であり、さらに好ましくは74GPa以上である。本発明のガラス板は、ヤング率が80GPa以下であることが好ましい。この範囲とすることにより、ディスプレイ部材を指などで押下した際のガラス板のたわみ量が小さくなり、周辺部材等との接触による破損の抑止が期待できる。
また、ディスプレイ部材製造工程において、ガラス板を搬送する際、二端を保持した時の中央部のたわみ量が小さく、ガラス板間で接触するなどのトラブルを抑止したり、ガラス板間のスペースを小さくしたりすることができるため一度での処理枚数が増え生産性が増加するなどのメリットがある。
また、一般的に、ヤング率が高いとガラス板の機械特性の向上、割れに対する耐久性の向上に寄与する。
(添加物)
本発明のガラス板は、好ましくは本質的に上記母組成からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有しても良い。その他の成分は、合計で2%以下含有してもよく、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下で含有することができる。
たとえば、耐候性、溶解性、失透性、紫外線遮蔽、赤外線遮蔽、紫外線透過、赤外線透過等の改善を目的に、あるいは、使用後廃棄ディスプレイパネルのリサイクルによるカレット使用による不純物混入として、ZnO、LiO、WO、Nb、V、Bi、MoO、P、Ga、I、In、Ge等を含有してもよい。
(清澄剤)
本発明のガラス板は、ガラスの溶解性、清澄性を改善するため、ガラス中にSO、F、Cl、SnOを合量で2%以下含有するように、これらの原料を母組成原料に添加してもよい。
また、ガラスの化学的耐久性向上のため、ガラス中にZrO、Y、La、TiO、SnOを合量で2%以下含有させてもよく、好ましくは1%以下、より好ましくは0.5%以下で含有させる。これらのうちY、LaおよびTiOは、ガラスのヤング率向上にも寄与する。
(着色剤)
本発明のガラス板は、ガラスの色調を調整するため、ガラス中にFe、CeO等の着色剤を含有してもよい。このような着色剤の含有量は、合量で1%以下が好ましい。
本発明のガラス板は、環境負荷を考慮すると、As、Sbを実質的に含有しないことが好ましい。また、安定してフロート成形することを考慮すると、ZnOを実質的に含有しないことが好ましい。しかし、本発明のガラス板は、ガラスの引き出し速度が速い薄いガラスへの適用や、フュージョン法による成形による製造はより効果的である。
<本発明のガラス板の製造方法および用途>
本発明のガラス板は、ディスプレイ部材に適した化学強化用ガラス板として好適に用いることができる。以下、詳しく説明する。
(ガラス板の製造方法)
本発明におけるガラス板を製造する場合、従来のTFTパネル用ガラス板、カバーガラス用ガラス板を製造する際と同様に、溶解、清澄、成形および徐冷工程を経る。
溶解工程は、得られるガラス板の組成となるように原料を調製し、前記原料を溶解炉に連続的に投入し、好ましくは1450〜1650℃程度に加熱して溶融ガラスを得る。
原料には酸化物、炭酸塩、水酸化物、場合により塩化物などのハロゲン化物なども使用できる。原料粒度も溶け残りが生じない程度の数百ミクロンの大きな粒径の原料から、原料搬送時の飛散が生じない、二次粒子として凝集しない程度の数ミクロン程度の小さな粒径の原料まで適宜使用できる。造粒体の使用も可能である。含水量、β−OH、Feの酸化還元度またはレドックス[Fe2+/(Fe2++Fe3+)]などの溶解条件も適宜調整、使用できる。
清澄工程として、本発明におけるガラス板は、アルカリ金属酸化物(NaO、KO)を含有するアルカリガラス板であるため、清澄剤としてSOを効果的に用いることができる。また、減圧による脱泡法を適用してもよい。減圧による脱泡法における清澄剤としてはClやFなどのハロゲンを使用するのが好ましい。
成形工程としてフロート法およびフュージョン法(ダウンドロー法)を適用してガラスリボンを得る。
徐冷工程として、ガラスリボンを好ましくは20℃/分以上の冷却速度によって室温状態まで冷却し、切断後、ガラス板を得る。
(ガラス板の厚み)
本発明におけるガラス板の厚みは2ミリ以下が好ましい。ガラス板の厚みが2ミリ以下だと、ディスプレイあるいはセンサ一体型カバーガラス装着製品の薄型化と軽量化に貢献できる。好ましくは1.5ミリ以下、さらに好ましくは1.0ミリ以下、さらに好ましくは0.5ミリ以下、さらに好ましくは0.3ミリ以下である。
(化学強化処理方法)
本発明におけるガラス板に化学強化処理を行う方法としては、ガラス表層のNaイオンと溶融塩中のKイオンとをイオン交換できるものであれば特に限定されないが、たとえば加熱された硝酸カリウム(KNO)溶融塩にガラスを浸漬する方法があげられる。
ガラスに所望の表面圧縮応力を有する化学強化層(圧縮応力層)を形成するための化学強化処理条件はガラス板であればその厚みなどによっても異なるが、350〜550℃のKNO溶融塩に2〜20時間、ガラス板を浸漬させることが典型的である。経済的な観点からは350〜500℃、2〜16時間の条件で浸漬させることが好ましく、より好ましい浸漬時間は2〜10時間である。
化学強化の前もしくは後に、エッチング、研磨またはアニールを実施してもよい。各工程の順序、処理回数は特に問わない。
また、ガラスの切断は以後に示すタッチパネル作製の前、あるいは、後のどの段階で、一回もしくは複数回実施してもよい。ガラスの切断の方法は特に指定はなく公知の方法で実施できる。
(表面圧縮応力(CS))
本発明のガラス板に化学強化処理を行った後、または、エッチング、研磨、アニールを化学強化処理の前若しくは後に実施した後のガラス板の表面圧縮応力(CS)は、通常、550MPa以上であり、典型的には650MPa以上である。また、ガラスの厚みが2mmを下回るような場合などには表面圧縮応力は1400MPa以下であることが好ましい。1400MPa超では内部引張応力(CT)が大きくなりすぎるおそれがある。より好ましくは1300MPa以下、典型的には1200MPa以下である。
(表面圧縮応力層の厚み(DOL))
本発明のガラス板に化学強化処理を行った後、または、エッチング、研磨、アニールを化学強化処理の前若しくは後に実施した後のガラス板の表面圧縮応力層の厚み(DOL)は、通常、10μm超であることが好ましく、より好ましくは15μm超、典型的には20μm超である。
また、ガラスの厚みが2mmを下回るような場合などには表面圧縮応力層の厚みは90μm以下であることが好ましい。90μm超では内部引張応力(CT)が大きくなりすぎるおそれがある。より好ましくは80μm以下、典型的には70μm以下である。
(内部引張応力(CT))
本発明のガラス板に化学強化処理を行った後、または、エッチング、研磨、アニールを化学強化処理の前若しくは後に実施した後のガラス板の内部引張応力(CT)は50MPa以下であることが好ましい。好ましくは45MPa以下、さらに好ましくは40MPa以下、最も好ましくは30MPa以下である。内部引張応力(CT)は、表面圧縮応力(CS)と表面圧縮応力層の厚み(DOL)とガラスの厚み(t)より次式で計算される。
CT=CS×DOL/(t−2×DOL)
内部引張応力(CT)が大きいとガラスが破壊する際に細片となって粉々に飛散する傾向が強くなる。
(TFTとインセル型)
(構成と効果)
本発明のガラス板は、TFTパネルまたはインセル型タッチパネル(以下、「態様1」という。)に好適に用いることができる。態様1の断面図を図6に示す。上部がタッチ面、ディスプレイの視認側になる。上部より押下された力によりカラーフィルタ基板110とアレイ基板130の裏面、それぞれ110bと130bには引張応力が発生する。
そのためこの面に化学強化による圧縮応力がかかっていると、パネルの強度向上に大きな効果がある。また、それぞれの表面(裏面の反対面)についても、化学強化による圧縮応力がかかっていると、パーティクルあるいはスペーサによる押し込み応力による基板の破壊に対する強度向上に大きな効果がある。
すなわち、カラーフィルタ基板110の表面110aに対しては、偏光板100とカラーフィルタ基板110に挟まれたパーティクル粒子による、押し込み応力に対する破壊抑止効果がある。アレイ基板の表面130aに対してはスペーサ140の押し込み応力に対する破壊抑止効果がある。
(TFTとインセル型)
(アレイ基板等の製造方法)
アレイ基板またはタッチセンサを内臓したアレイ基板(以下、「アレイ基板等」という。)として、本発明のガラス板に化学強化を施したガラス板を使用する際に、本発明のガラス板に化学強化を施したガラス板の表面にゲート絶縁膜を成膜する成膜工程を具備する態様1の製造方法について説明する。
本発明のガラス板に化学強化を施したガラス板を用いた態様1の製造方法は、本発明のガラス板に化学強化を施したガラス板の表面の成膜領域を150〜300℃の範囲内の温度(以下、成膜温度という)まで昇温した後、前記成膜温度で5〜60分間保持して、前記成膜領域に前記アレイ基板ゲート絶縁膜を成膜する成膜工程を具備するものであれば特に限定されない。
ここで成膜温度は150〜250℃であることが好ましく、150〜230℃であることがより好ましく、150〜200℃であることがさらに好ましい。また、この成膜温度に保持する時間は5〜30分間であることが好ましく、5〜20分間であることがより好ましく、5〜15分間であることがさらに好ましい。
ゲート絶縁膜の成膜は前記のような成膜温度および保持時間の範囲内で行われるので、この間にガラス板が熱収縮する。本発明のガラス板に化学強化を施したガラス板はコンパクション(C)が小さいので、成膜パターンのずれが生じ難い。
成膜工程における成膜は、例えば従来公知のCVD法によって達成することができる。
(TFTとインセル型)
(パネルへの組み立て方法)
本発明に係る態様1の製造方法では、前記アレイ基板等と公知のカラーフィルタ基板を用いて製造することができる。
すなわち、前記アレイ基板等、カラーフィルタ基板各々に配向膜を形成し、ラビングを行う配向処理工程、TFTアレイ基板等とカラーフィルタ基板を通常の球状のスペーサーを使用し、所定の基板間ギャップを保持して高精度で貼り合せる貼り合せ工程、基板よりセルを所定サイズに分断する分断工程、分断されたセルに液晶を注入する注入工程、セルに偏光板を貼り付ける偏光板貼り付け工程からなる一連の工程によりTFTパネル等を製造することができる。
カラーフィルタ基板にタッチセンサアレイを作製してもよい。カラーフィルタ基板には本発明のガラス板を使用してもよいし、使用しなくてもよい。高い強度を付与するには本発明の板を使用することが好ましい。
(オンセル型)
(構成と効果)
本発明のガラス板は、オンセル型タッチパネル(以下、「態様2」という。)に好適に用いることができる。態様2の断面図を図7に示す。
態様1では2枚のガラス板が使用されるが、態様2ではもう一枚、「タッチセンサ板」が使用される。態様2では、3枚のガラス板のうち少なくとも1枚に、本発明のガラス板を使用する。
図7において、上部がタッチ面、ディスプレイの視認側になる。態様2ではタッチセンサ板160が偏光板100の内側に挿入されている。上部より押印された力により、タッチセンサ板160、カラーフィルタ基板110、アレイ基板130のそれぞれの裏面、それぞれ160b、110bと130bには引張応力が発生する。そのためこの面に化学強化による圧縮応力がかかっていると、パネルの強度向上に大きな効果がある。
また、それぞれの表面(裏面の反対面)についても、化学強化による圧縮応力がかかっていると、パーティクルあるいはスペーサによる押し込み応力による基板の破壊に対する強度向上に大きな効果がある。
すなわち、タッチセンサ板160の表面160aでは、偏光板100とタッチセンサ板160の間に挟まれたパーティクル粒子による押し込み応力に対する破壊抑止効果がある。カラーフィルタ基板110の表面110aでは、タッチセンサ板160との間に挟まれたパーティクル粒子による押し込み応力に対する破壊抑止効果がある。アレイ基板の表面130aに対してはスペーサ140の押し込み応力に対する破壊抑止効果がある。
(アウトセル型)
(構成と効果)
本発明のガラス板は、アウトセル型タッチパネル(以下、「態様3」という。)に好適に用いることができる。態様3の断面図を図8に示す。
態様1では2枚のガラス板が使用されるが、態様3ではもう一枚、「タッチセンサ板」が使用される。態様3では、3枚のガラス板のうち少なくとも1枚に、本発明のガラス板を使用する。
図8において、上部がタッチ面、ディスプレイの視認側になる。態様3では、タッチセンサ板160が偏光板100の外側に挿入されている。上部より押印された力により、タッチセンサ板160、カラーフィルタ基板110、アレイ基板130のそれぞれの裏面、それぞれ160b、110b、130bには引張応力が発生する。そのためこの面に化学強化による圧縮応力がかかっていると、パネルの強度向上に大きな効果がある。
また、それぞれの表面(裏面の反対面)についても、化学強化による圧縮応力がかかっていると、パーティクルあるいはスペーサによる押し込み応力による基板の破壊に対する強度向上に大きな効果がある。すなわち、タッチセンサ板160の表面160a、に対しては、タッチセンサ表面の日常生活空間に存在するパーティクル粒子、砂、繊維等による、押し込み応力に対する破壊抑止効果がある。
カラーフィルタ基板110の表面110aでは、偏光板100との間に挟まれたパーティクル粒子による押し込み応力に対する破壊抑止効果がある。アレイ基板の表面130aに対してはスペーサ140の押し込み応力に対する破壊抑止効果がある。
(タッチセンサ板の構成1)
図3のタッチセンサ板10において、第1透明導電膜14は、図中x方向に延在して、このx方向と直交するy方向に、複数が配列される。他方、第2透明導電膜16は、図中y方向に延在して、x方向に、複数が配列される。大面積部14aおよび大面積部16aは、互いに離間して、x方向およびy方向に交互になるように配列され、入力位置検出を向上させるためにもうけられる。従って、第1透明導電膜14と第2透明導電膜16とは、接続部14bと接続部16bとで交差するように形成される。
接続部14bおよび接続部16bの典型的な線幅は10〜50μm程度である。そのため、使用ガラス板の一辺が1m程度以上となると10〜50μm/1m=10〜50ppmの寸法精度が要求されてくる。今後センサの高精細化に伴っては線幅の狭幅化が予想される。
(タッチセンサ板の構成2)
図3(A)および(B)に示すように、第1透明導電膜14と第2透明導電膜16との交差部すなわち接続部14bと接続部16bとの交差部では、第2透明導電膜16をx方向に跨ぐように交差部絶縁膜28が形成されている。
また、この交差部においては、第1透明導電膜14は、この交差部絶縁膜28の上に、交差部絶縁膜28および第2透明導電膜16をx方向に跨ぐように形成されている。これにより、第1透明導電膜14と第2透明導電膜16とを絶縁状態で交差させるジャンパ部(クロスオーバ部)が形成され、互いに交差して形成される第1透明導電膜14と第2透明導電膜16との絶縁状態が保たれる。
(タッチセンサ板の構成3)
図3のタッチセンサ板10において、透明導電膜14および16の形成材料は、静電容量型のタッチセンサにおいてセンサ部を形成するために用いられる、公知の透明(光透過性を有する)な導電性材料が、各種、利用可能である。
具体的には、例えば、ITO(酸化インジウムスズ)およびIZO(酸化インジウム亜鉛)等が挙げられる。中でも、ITOは、好適に利用される。交差部絶縁膜28の形成材料は、公知の透明な絶縁性材料が、各種、利用可能である。具体的には、アクリル系、ポリイミド系等の各種フォトレジスト等が例示される。
(タッチセンサ板の構成4)
図4は、タッチセンサ板10を概念的に示す平面図である。図4において、遮光膜18は、ガラス板12のセンサ面外周部に形成され、遮光性を有する絶縁性の膜である。遮光膜18は、タッチセンサ板10と組み合わされるディスプレイからの漏れ光の遮光、タッチセンサを駆動するため金属配線20やICの隠蔽等のために設けられる。
図4および図3(D)に示すように、遮光膜18の上(センサ面12b)には、金属配線20が形成される。金属配線20は、第1透明導電膜14および第2透明導電膜16の数に応じて、複数が形成されており、個々の金属配線20は、一端が、第1透明導電膜14もしくは第2透明導電膜16に接続される。
また、個々の金属配線20の他端側は、タッチセンサ駆動用ICを同基板に作製する場合は同ICに、駆動用ICを同基板に作製しない場合は、例えば、タッチセンサ板10に組み合わされるディスプレイに接続されるフレキシブル配線基板30に接続される。この金属配線20を有することにより、ITO等からなる透明導電膜の導電性の低さを補って、センサからの信号を容易に取り出すことが可能になる。
図3のタッチセンサ板10において、金属配線20は、各種の金属材料が利用可能である。具体的には、Mo/Al/Moの3層の金属材料(MAM)、Mo−Nb合金/Al/Mo−Nb合金の3層の金属材料、Mo−Nb合金/Al−Nb合金/Mo−Nb合金の3層の金属材料等が例示される。
(タッチセンサ板の構成5)
タッチパネルの大型化、高精細化にともない、金属配線数が増加することが容易に想像される。金属配線数の増加は遮光膜18の幅の増加をもたらし、センサに関与しない、いわば無駄な面積の増大をもたらす。もしくは金属線の線幅を細く必要があり、寸法精度が厳しくなる。
(タッチセンサ板の作製方法1)
以下、図5のフローチャートを参照して、タッチセンサ板10の製造方法の一例を説明する。なお、本発明のタッチセンサ板10は、この手順で製造するのに限定はされない。各膜の形成方法も、以下に示す例に限定はされず、膜の形成材料等に応じて、公知のタッチセンサ板で用いられている各種の方法が利用可能である。
(タッチセンサ板の作製方法2遮光膜)
本発明のガラス板は、オンセル型あるいはアウトセル型タッチパネル用のセンサ板用の化学強化用ガラス板に好適に用いることができる。
本発明のガラス板に化学強化を施したガラス板の表面に、まず、アクティブエリアAとなる領域を囲むように(図4参照)、ガラス板12に遮光膜18を印刷する。印刷方法によっては、熱処理(熱工程1)が実施される。遮光膜18の印刷は、タッチパネルの製造で利用されている公知の方法によればよい。
(タッチセンサ板の作製方法3交差部透明導電膜)
次いで、後に第2透明導電膜16の一部となる交差部透明導電膜16bとなるITO等を全面に成膜する。ITO等の成膜は、スパッタリング等の公知の方法で行えばよい。この時、ガラス板は150〜300℃、5〜60分間の熱処理(熱工程2)が実施される。続いてパターニングを行う。パターニングもフォトリソグラフィを利用する方法等の公知の方法で行えばよい。
(タッチセンサ板の作製方法4交差部絶縁膜)
次いで、絶縁膜を交差部透明導電膜16b上に全面に成膜する。この時、熱処理(熱工程3)が実施される。次いで、交差部透明導電膜16bの一部を露出させるようにパターニングを行い、交差部絶縁膜28を形成する。この時、熱工程1〜3にてガラスが大きく収縮すると交差部透明導電膜16bの一部が露出せず、断線する不具合等が発生する可能性がある。あるいは、ガラスの収縮量を補正したパターニングのための露光マスクを用意する必要があり、コストがかかる。成膜方法およびパターニングは、交差部絶縁膜28の形成材料に応じた公知の方法で行えばよい。
(タッチセンサ板の作製方法5透明導電膜)
次いで、第1透明導電膜14、および交差部透明導電膜16bを除く第2透明導電膜16となるITO等を全面に成膜する。この時、ガラス板は150〜300℃、5〜60分間の熱処理(熱工程4)が実施される。続いて、パターニングを行うことで、透明センサ配線部分を完成する。
この時、熱工程1〜4にてガラスが大きく収縮すると、交差部透明導電膜16bと交差部透明導電膜16bを除いた透明導電膜16が断線する可能性や、第1透明導電膜14が交差部絶縁膜28を超えて第2透明導電膜16と短絡する可能性が考えられる。
あるいは、ガラスの収縮量を補正したパターニングのための露光マスクを用意する必要があり、コストがかかる。先と同様、ITO等の成膜は、スパッタリング等の公知の方法で行えばよく、パターニングも、公知の方法で行えばよい。さらに、遮光膜18の上に金属配線20を形成し、パターニングする。
(タッチセンサ板の作製方法6保護絶縁膜)
次いで、ガラス板12のセンサ面12baを全面的に覆うように、保護絶縁膜24を成膜し、タッチパネルセンサを駆動するため金属配線20やIC部分などの必要な部分を露出するように、パターニングを行う。成膜方法およびパターニングは、保護絶縁膜24の形成材料に応じた公知の方法で行えばよい。
以下、実施例および製造例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例および製造例に限定されない。
本発明のガラス板の実施例(例1〜13、18〜22)および比較例(例14〜17、23〜25)を示す。なお表中のかっこは、計算値である。
表1〜4で表示した組成になるように、ガラス板用の各成分の原料を調合し、該ガラス板用成分の原料100質量部に対し、硫酸塩をSO換算で0.1質量部原料に添加し、白金坩堝を用いて1600℃の温度で3時間加熱し溶解した。溶解にあたっては、白金スターラーを挿入し1時間攪拌しガラスの均質化を行った。次いで溶融ガラスを流し出し、冷却後、板状に研削、研磨加工した。
こうして得られたガラスの50〜350℃における平均熱膨張係数(単位:×10−7/℃)、ガラス転移温度(Tg)(単位:℃)、密度、T、コンパクション(C)、光弾性定数、ヤング率、失透温度(ガラス表面失透温度(T)、ガラス内部失透温度(T))、T、Tにおけるガラス粘度(単位:dPa・s)を測定し、また、T−TとT−Tを算出し、表1〜3に示した。以下に各物性の測定方法を示す。
(1)Tg:TgはTMAを用いて測定した値であり、JIS R3103−3(2001年度)により求めた。
(2)密度:泡を含まない約20gのガラス板をアルキメデス法によって測定した。
(3)T:回転粘度計を用いて粘度を測定し、10dPa・sとなるときの温度T(℃)を測定した。
また、溶融ガラスの高温(1000〜1600℃)におけるガラス粘度の測定結果から、フルチャーの式の係数を求め、該係数を用いたフルチャーの式により、ガラス内部失透温度(T)におけるガラス粘度を求めた。
(4)コンパクション(C):前述のコンパクション(C)の測定方法により測定した。
(5)50〜350℃の平均熱膨張係数:示差熱膨張計(TMA)を用いて測定し、JIS R3102(1995年度)より求めた。
(6)失透温度[ガラス表面失透温度(T)およびガラス内部失透温度(T)]:白金製皿に粉砕されたガラス粒子を入れ、一定温度に制御された電気炉中で17時間熱処理を行い、熱処理後の光学顕微鏡観察によって、ガラスの表面に結晶が析出する最高温度と結晶が析出しない最低温度との平均値をガラス表面失透温度T(℃)、またガラスの内部に結晶が析出する最高温度と結晶が析出しない最低温度との平均値をガラス内部失透温度T(℃)とする。
(7)光弾性定数:光源として546nmの光を使用して、円盤圧縮法により測定した。
(8)ヤング率:厚み7〜10mmのガラスについて、超音波パルス法により測定した。
ガラス中のSO残存量は100〜500ppmであった。
Figure 2014175144
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表1〜表4より明らかなように、実施例(例1〜13、18〜22)のガラスは、ガラス転移温度Tgが高い。また、実施例のガラスは50〜350℃における平均熱膨張係数が65×10−7〜85×10−7/℃であるので、ディスプレイ部材製造工程での寸法変化が少なく、カラーフィルタとアレイ板の合せ時のパターン合せが容易となる。さらに、パネル使用時の熱応力による品質への影響が少ないことから、特に表示品質面で好ましい。
また、コンパクション(C)が20ppm以下であるため、ガラス板上の成膜パターニング時の位置ずれが生じにくい。したがって、近年の熱処理の低温化に対応した、特に大型のディスプレイ部材製造用のガラス板、例えば、マザーガラスとして一辺が2m以上のガラス板として好適に用いることができる。
また、例1〜13は、T−Tが−50〜350℃、またはT−Tが−50〜350℃を満たしており、板ガラス成形時の失透が抑えられる。
また、例6,7,11,12,13は、T−Tが100〜350℃、Tにおけるガラス粘度が104.7d・Pa・s以上であり、フュージョン法による成形に適している。
なお、例18についても、各物性値(T、T、T、T−T、T−T、光弾性定数、ヤング率)は本発明の範囲を満たすものである。
例14は、コンパクション(C)が20ppmより大きく、ディスプレイ部材製造工程での寸法変化が大きく、カラーフィルタとアレイ板の合せ時のパターン合せが困難となり、ガラス板上の成膜パターニング時の位置ずれが生じ易い。
例16、17は、ガラス転移温度が580℃未満であり、アルカリの移動度の増大や耐熱性に問題が生じる可能性がある。
表1〜3に示したガラスのコンパクション(C)はいずれも50℃/分にて冷却を行ったガラス板のコンパクション値を示した。表4には50℃/分、70℃/分、150℃/分、300℃/分の各冷却速度にて冷却を行ったガラス板のコンパクション値を示した。また、その後、アニール処理(630〜650℃1h保持、その後30℃/h冷却)、あるいは化学強化処理(435℃4h)の実施の有無別のコンパクション値を示した。
例19には、例19に示した組成のガラス板を転移温度Tg+50℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、50℃/分、70℃/分、150℃/分、300℃/分、の各冷却速度にて室温まで冷却した後、化学強化処理したガラス板のそれぞれのコンパクション(C)を示した。
例20には、例20に示した組成のガラス板を転移温度Tg+50℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、50℃/分の冷却速度にて室温まで冷却した後のコンパクション(C)を示した。
例21には、例21に示した組成のガラス板を転移温度Tg+50℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、50℃/分の冷却速度にて室温まで冷却した後、アニール処理を実施し、その後、化学強化処理したガラス板のそれぞれのコンパクション(C)を示した。
例22には、例22に示した組成のガラス板を転移温度Tg+50℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、50℃/分、70℃/分、150℃/分、300℃/分、の各冷却速度にて室温まで冷却した後、化学強化処理したガラス板のそれぞれのコンパクション(C)を示した。
例23には、例23に示した組成のガラス板を転移温度Tg+50℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、50℃/分の冷却速度にて室温まで冷却した後のコンパクション(C)を示した。
例24には、例24に示した組成のガラス板を転移温度Tg+50℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、50℃/分の冷却速度にて室温まで冷却した後、アニール処理を実施し、その後、化学強化処理したガラス板のそれぞれのコンパクション(C)を示した。
例25には、例25に示した組成のガラス板を転移温度Tg+50℃まで加熱し、この温度で1分間保持した後、50℃/分、70℃/分、150℃/分、300℃/分、の各冷却速度にて室温まで冷却した後、化学強化処理したガラス板のそれぞれのコンパクション(C)を示した。
例21〜23、および、例24〜25には、2つのガラス組成の、アニール処理および化学強化処理のコンパクション(C)への影響を示す。コンパクション(C)に対して、アニール処理および化学強化処理は、改善効果はなく、むしろ、増大傾向を示した。
例19、22、25、および図2には、3つのガラス組成の、化学強化処理の、仮想粘度に対するコンパクション(C)への影響を示す。
仮想粘度が1012.4d・Pa・s(冷却速度50℃/分)におけるコンパクション(C)が20ppm以下であるガラス(例19、22)では仮想粘度が低くなっても(冷却速度が速くなっても)低コンパクションを維持できているのに対し、仮想粘度が1012.4d・Pa・s(冷却速度50℃/分)におけるコンパクション(C)が20ppm超であるガラス(例25)では仮想粘度が低くなった場合の(冷却速度が速くなった場合の)コンパクションの増大が顕著であることが分かる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは、当業者にとって明らかである。
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更および変形が可能であることは、当業者にとって明らかである。なお本出願は、2013年4月25日付で出願された日本特許出願(特願2013−092045)に基づいており、その全体が引用により援用される。
本発明のガラス板は、タッチパネルセンサを有する液晶ディスプレイ部材用ガラス板として好適であるが、タッチパネルセンサを有する他のディスプレイ用板、例えば、プラズマディスプレイパネル(PDP)、無機エレクトロ・ルミネッセンス・ディスプレイ等に使用することができる。
10 タッチセンサ板
12 ガラス板
14 第1透明導電膜
16 第2透明導電膜
18 遮光膜
20 金属配線
24 保護絶縁膜
28 交差部絶縁膜
30 フレキシブル配線基板
100 偏光板
110 カラーフィルタ基板
120 液晶
130 アレイ基板
140 スペーサ
150 封止剤
160 タッチセンサ板
110a カラーフィルタ基板の表面
110b カラーフィルタ基板の裏面
130a アレイ基板の表面
130b アレイ基板の裏面
160a タッチセンサ板の表面
160b タッチセンサ板の裏面

Claims (6)

  1. 仮想粘度が1012.8d・Pa・s以下であって、
    下記酸化物基準のモル百分率表示で、
    SiOを60〜79%、
    Alを2.5〜18%、
    を0〜3%、
    MgOを1〜15%、
    CaOを0〜1%、
    SrOを0〜1%、
    BaOを0〜1%、
    ZrOを0〜1%、
    NaOを7〜15.5%、
    Oを0〜0.5%、
    LiOを0〜2%含有し、
    NaO+KOが7〜15.5%、
    NaO/(NaO+KO)が0.9〜1、
    MgO+CaO+SrO+BaOが1〜18%、
    MgO−0.5Alが1〜8であり、
    MgO+0.5Alが1〜20であり、
    ガラス転移温度が580〜720℃であり、
    コンパクション(C)が20ppm以下である化学強化用ガラス板。
  2. 光弾性定数が27〜33nm/MPa/cmである請求項1に記載の化学強化用ガラス板。
  3. 粘度が10dPa・Sとなる温度(T)とガラス表面失透温度(T)との関係が、T−T≧−20℃である請求項1または2に記載の化学強化用ガラス板。
  4. 粘度が10dPa・Sとなる温度(T)とガラス内部失透温度(T)との関係が、T−T≧50℃である請求項1または2に記載の化学強化用ガラス板。
  5. フロート法を用いて成形されたものである、請求項3に記載の化学強化用ガラス板。
  6. フュージョン法を用いて成形されたものである、請求項4に記載の化学強化用ガラス板。
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