JP2012204061A - 非水電解液二次電池用正極、非水電解液二次電池、非水電解液二次電池用正極インクの製造方法、非水電解液二次電池用正極インク、非水電解液二次電池用正極の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】集電基材上にLiMPO4(MはFeまたはMnまたはこの混合物)からなる活物質と導電材と結着材からなり嵩密度が1.2g/cm3以上である活物質層が積層している非水電解液二次電池用正極等を提供する。
【選択図】 図1
Description
る。そこで、近年脚光を浴び実用化が始まっている材料に、オリビン型の結晶構造を持つLiFePO4といった材料がある。この材料は理論容量が168mAh/gと高容量であり、また、この材料自体は電気伝導性は乏しいが、カーボンをLiFePO4粒子に被覆することによって欠点を克服し、ハイレート特性にも強い材料となっている。
き出し電極を配線し、さらに非水電解液を満たして正極および負極の引き出し電極を引き出した状態で封入されていることを特徴とする非水電解液二次電池を提供するものである。
混練に用いられる混練機としては、高せん断を付与することの出来る混練機が好ましい。具体的には、ボールミル、ビーズミル、サンドミル、超音波分散機等の分散機等もあるが、本件はプラネタリーミキサー、ニーダー、ホモホジナイザー、超音波穂ホモジナイザー、ディスパージャーなどのブレード型攪拌機が好ましく、特に固練りをするという面からプラネタリーミキサーが特に好ましい。
<脱泡装置>
脱泡機には真空脱泡装置、遠心脱泡装置、遊星脱泡装置等が挙げられる。その中でも、スラリー内の気体成分を均一に除去するという観点から、真空引きしつつ遊星脱泡する方法が特に好ましい。
本発明の非水電解液二次電池用正極である積層体は、活物質層が集電基材上に積層された積層体であって、前記活物質層は、少なくとも活物質と、導電材と、結着材と、増粘材を含み、当該活物質層の嵩密度は1.2g/cm3以上であることを特徴とする。嵩密度が1.2g/cm3以上である理由としては、嵩密度が1.2g/cm3以下であると活物質層内の空隙率が大きすぎるが故に、電極をセル化して電池性能を測定する際に、内部抵抗が大きくなりすぎて、レート特性が悪い、放電容量の劣化が激しいといった不具合を生じてしまうためである。
<集電基材>
集電基材には、高電流の電流を流すという観点から、導電性の物質が好ましい。その中でも、銅、ニッケル、ステンレス、鉄、アルミニウム等が挙げられ、その中でも、コスト面で比較的に安価で、また、金属のイオン化傾向の観点から正極集電基材にはアルミニウム、負極集電基材には銅が好ましい。
活物質には、リチウムイオンを吸蔵・放出可能なものであれば使用可能である。詳しくは、正極の活物質としては、LiMPO4(MはFeまたはMnまたはこの混合物)が用いられる。
結着材としては、後述する分散溶媒に対して化学的に安定な高分子が好ましい。例えばポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PTFE)、芳香族ポリアミド等の樹脂系高分子、スチレン・ブタジエンラバー(SBR)、エチレン・プロピレンラバー等のゴム系高分子、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系高分子等が挙げられる。
導電材には、電極材料である集電基材の導電性を確保でき、かつ、充放電反応において化学反応を起こさない物質が好まれる。一般的には、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック等の炭素系材料、金属繊維、導電性ポリマー、フッ化カーボン、金属粉末等が用いられる。この中でもアセチレンブラック、ケッチェンブラックが特に好ましい。
本発明の非水電解質二次電池は活物質が溶媒に分散した活物質層形成用組成物を集電基材上に塗工し、活物質塗膜を形成するが、このとき活物質層形成用組成物の粘度を調整するために増粘材を加えても良い。増粘材には、カルボキシメチルセルロース(CMC)やポリエチレングリコール等の高分子材料が好ましい。
本発明の非水電解質二次電池の活物質層の形成には、活物質層形成用組成物を集電基材上に塗工する。活物質層形成用組成物は活物質と、導電材と、結着材と、増粘材と分散媒とを含み、スラリー状に調整されたものである。活物質層形成用組成物の調整に用いることのできる分散媒としては、水や、水にエタノール、N−メチルピロリドン(NMP)等を混合した水系分散媒、NMP等の環状アミド系、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の直鎖上アミド系、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素等を挙げることができる。
<非水電解質二次電池の構造>
本発明の非水電解質二次電池は例えばリチウムイオン二次電池であり、金属缶に封入されるタイプのものと、フレキシブルなフィルムにパッケージされるラミネート型(積層型)を挙げることができる。角型及び円筒型のリチウムイオン二次電池を例に説明すれば、非水電解液二次電池用正極とセパレータと層状の負極を扁平形状あるいは円筒状に巻いた巻回型となる。また、ラミネート型は非水電解液二次電池用正極と負極をセパレータを介して交互に積層した形状となる。
セパレータとしては、リチウムイオンを透過し、有機電解液である非水電解液によって変質しない多孔性のシート状ポリマーが好ましい。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのオレフィン系のシート状ポリマー、ポリイミド、ポリアラミド等のシート状ポリマーが好まれる。これらのシート状ポリマーは非水電解質二次電池の用途によっても異なるが、自動車などの大型産業用であれば40〜60μmの厚みが好ましい。また、これらのシート状ポリマーは、細孔径が1μm以下であることが好ましく、空
隙率は20〜80%であることが好ましい。
<有機電解液>
本発明の非水電解質二次電池に用いることのできる非水電解液である有機電解液としては、公知の有機電解液が使用できる。
<正極電極層>
本発明の積層体は非水電解質二次電池の正極電極層として特に好ましく用いることができる。
<積層体の製造方法>
次に本発明の積層体の製造方法を説明する。
<塗工液の調整>
活物質層を集電基材上に積層して本発明の積層体を製造する。活物質層の形成には、まず活物質、導電材、結着材を溶媒に分散させ、混練し、スラリー状として活物質層形成用組成物(塗工液)を調整する。
てしまうからである。
<塗工方法>
作製した活物質層形成用組成物の塗工方法に関しては、一般的なウェット材料の塗工方法が採用され、スラリー状となった活物質層形成用組成物の粘度等の物性に合わせて塗工が可能である。例えば、グラビアコート、マイクログラビアコート、ダイコート、デップコート、スリットコート、コンマコート、リップコート、ダイレクトコート法が挙げられる。一般的には、活物質塗膜の厚みが0.01mm以上1mm以下になることが好ましく、さらに好ましくは0.03mm以上0.2mm以下になることが良い。
<乾燥工程>
乾燥工程は、活物質層に分散媒が残留しない状態とできれば、特に制限はなく、例えば、小型乾燥オーブンなどでの温風乾燥、熱風乾燥、真空乾燥、遠赤外乾燥、恒温高湿乾燥が好ましい。これら乾燥方法は、1種類を単独で行ってもよく、2種類以上を組み合わせて行っても良い。
<プレス工程>
単位面積当たりのエネルギー密度の向上のために、再加熱後、あるいは再加熱しながら前記活物質塗膜のプレスを行う。プレスには、金属ロールプレス法、ゴムロールプレス法、平板プレス法が挙げられる。
<二次電池の作成方法>
上記のように作製した正極、負極をセパレーターと組み合わせて正極/セパレータ/負極に正極と負極が触れないように積層、または巻回し、コイン型、角型、円筒型、ラミネート型等の容器の中に非水電解液である有機電解液とともに封入する。これにより非水電解液二次電池を作製する。作製時には、低露点(−50℃以下)の雰囲気であるドライルームや、アルゴンガスが容積の95質量部以上100質量部以下を占めるグローブボックス等で作業を行い、水分が非水電解液二次電池に封入されないようにすることが必須である。
以下の材料を活物質:導電材:結着材=100:10:6の割合で混錬し、固形物が65質量%となるように分散媒で希釈し、正極活物質層形成用組成物とした。
結着材:PVdF(ポリフッ化ビニリデン)(##7500:クレハ製)
導電材:デンカブラック(電気化学工業製 HS100)
正極活物質:LiFePO4、LiMnPO4
分散媒:NMP(N−メチル−2−ピロリジノン)(関東化学製、鹿特級)
アセトン(関東科学製、鹿特級)
水
(実施例1)
<正極インクの混練>
調液フローは図.1のハイビスミックス(プライミクス製)を使用した。最終的なインクの重量が500g、インク中の固形分が50重量部になるように導電材、結着材、活物質、分散媒を精密天秤で秤量した。活物質にはLiFePO4を、分散溶媒にはNMPを使用した。その後、すべての粉体をハイビスミックスの釜に投入し、120分混合し、その後NMPを加えて固形分が75重量部になるように添加し(固練り作製工程)、102pmの回転数で、ブレードにてかき混ぜることによって、粉体−液体状態がファニキュラー状態である、粉体−液体の塊を作製した。その塊をハイビスミックス中で、回転数102rpmで30分混練した(固練り工程)。その後、分散媒であるNMPを10回ほど小分けで投入し、正極インクを調液した(希釈工程)。
正極の集電基材としてアルミ箔(厚み15μm)を幅30cm、長さ50cmに切り取り、当該銅箔の中央部に、スリットクリアランス150μmのYA−Cアプリケーターで先に調整した正極活物質層形成用組成物を幅10cm、長さ40cmに渡って塗工し、正極活物質塗膜を形成した(塗工工程)。
実施例1の活物質をLiMnPO4にした。その他の条件は実施例1と同様である。
(実施例3)
実施例1の混練条件の固練り工程をブレードの回転数は同じにして60分混練した。その他の条件は実施例1と同様である。
(実施例4)
実施例2の混練条件の固練り工程をブレードの回転数は同じにして60分混練した。その他の条件は実施例2と同様である。
(実施例5)
実施例1の混練条件の固練り工程をブレードの回転数は同じにして120分混練した。その他の条件は実施例1と同様である。
(実施例6)
実施例2の混練条件の固練り工程をブレードの回転数は同じにして120分混練した。その他の条件は実施例2と同様である。
実施例1の混練条件の固練り工程をブレードの回転数は同じにして240分混練した。その他の条件は実施例1と同様である。
実施例2の混練条件の固練り工程をブレードの回転数は同じにして240分混練した。その他の条件は実施例2と同様である。
実施例7の分散媒をNMPからアセトンに変更した。その他の条件は実施例5と同様である。
実施例8の分散媒をNMPからアセトンに変更した。その他の条件は実施例5と同様である。
実施例7の分散媒をNMPから水に変更した。その他の条件は実施例5と同様である。
実施例8の分散媒をNMPから水に変更した。その他の条件は実施例5と同様である。
実施例1の混練条件の固練り工程をブレードの回転数は同じにして15分混練した。その他の条件は実施例1と同様である。
実施例2の混練条件の固練り工程をブレードの回転数は同じにして15分混練した。その他の条件は実施例2と同様である。
実施例1の混練条件の固練り工程を省き、導電材、結着材、活物質をハイビスミックスの釜に投入し、120分混合したあと、NMPをインク中の固形分が50重量部になるように一気に投入し、実施例1の固練り工程と希釈工程を合わせた時間混合した。その他の条件は実施例1と同様である。
実施例2の混練条件の固練り工程を省き、導電材、結着材、活物質をハイビスミックスの釜に投入し、120分混合したあと、NMPをインク中の固形分が50重量部になるように一気に投入し、実施例1の固練り工程と希釈工程を合わせた時間混合した。その他の条件は実施例2と同様である。
粒度分布測定にはMultisizer4(ベックマン・コールター製)を使用し、粒度分布を測定した。粒度分布は繰り返し3回行い、その精度が95%以上であることを確認した。粒度分布のデータは3回繰り返した平均値で求めた。測定条件は100μmの電流を流し、粒子が電極間を流れるときの抵抗値から粒子の体積を求め、粒径を測定した。
断が長時間かかり、それにより粒径がより細かくなることがわかった。また、分散媒はNMPがより好ましく分散していることが分かった。
粘度測定にはE型粘度計を使用した。詳しくは、レオメーター(Hakke製)を使用し、60°コーンでせん断速度0.1〜1000s−1の範囲で20点を計測した。評価としてはせん断速度が10s−1時の粘度(mPa/s)で評価し、繰り返し5回測定した平均値を求めた。その結果を表1に示す。せん断時間を伸ばすとより低粘度側にシフトし、また、分散媒もNMPがより高分散のほうにシフトすることが言える。したがって、粒径と粘度は強い相関があることが分かる。
実施例1〜12及び比較例1〜4にて作成した積層体を、平坦なステンレス板に粘着テープで貼り付けて4隅を固定した。活物質層に粘着テープ(住友スリーエム株式会社製Scotchメンディングテープ230−3−12、12mm幅)を貼り付け、手で180℃の方向に当該テープを剥離した(図4参照)。引き剥がされた粘着テープと活物質層の外観を観察することで、活物質層と集電体との密着性を以下の基準により評価した。結果を表1(密着性評価)欄に示す。
5点:剥離した活物質層の重量が元の活物質層の重量に対して0重量部以上20重量部未満
4点:剥離した活物質層の重量が元の活物質層の重量に対して20重量部以上〜40重量部未満
3点:剥離した活物質層の重量が元の活物質層の重量に対して40重量部以上〜60重量部未満
2点:剥離した活物質層の重量が元の活物質層の重量に対して60重量部以上〜80重量部未満
1点:剥離した活物質層の重量が元の活物質層の重量に対して80重量部以上〜100重量部以下
実施例1〜12及び比較例1〜4で作製したサンプルに関して、5cm×5cmに切り出し、水銀圧入式ポロシメータを用いて30nmから1μmの範囲にある空孔の空隙率測定をした。
実施例1〜12及び比較例1〜4で得られたサンプルの電池特性は以下のように評価した。得られたサンプルを、直径15mmの円板に打ち抜き、この電極を用いて厚み300μmの金属リチウム(本城金属製)を対極としたコインセルを作製し、電池特性の評価を行った。コインセルには、セパレータとして厚さ25μmのポリプロピレン多孔膜(セルガード製)を、有機電解液としてはエチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)とジメチルカーボネート(DMC)及び6フッ化リン酸リチウム(LiPF
6)を重量比で1:1:1:1に混合した液を使用した。
103・・・混練釜
104・・・攪拌翼
105・・・導電材、活物質、結着材の混合粒子
110・・・スポイト
111・・・分散媒
201・・・導電材、活物質、結着材に分散媒を加え、粉体−液体状態がファニキュラー状態にしたときの混合系
401・・・集電体
402・・・粘着テープ
403・・・活物質層
404・・・粘着テープ
405・・・剥離方向
Claims (12)
- 集電基材上にLiMPO4(MはFeまたはMnまたはこの混合物)からなる活物質と導電材と結着材からなり嵩密度が1.2g/cm3以上である活物質層が積層している非水電解液二次電池用正極。
- 前記活物質と導電材と結着材が結着した粉体二次粒子の粒径が、500nm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池用正極。
- 請求項1または2記載の非水電解液二次電池用正極と負極がセパレータを介して複数層積層され、各々正極および負極の引き出し電極を配線し、さらに非水電解液を満たして正極および負極の引き出し電極を引き出した状態で封入されていることを特徴とする非水電解液二次電池。
- 活物質がLiMPO4(MはFeまたはMnまたはこの混合物)である系において、導電材と結着材と活物質を混練し、混練したこれら混合粒子に分散媒を加え、粉体−液体状態がファニキュラー状態で混練し、混合物を作成する固練り工程と前記混合物にさらに分散媒を追加し、粉体−液体状態でスラリーになるように希釈分散しながら混練し、ペースト状の非水電解液二次電池用正極インクを製造することを特徴とする非水電解液二次電池用正極インクの製造方法。
- 前記インク中に分散している導電材と結着材と活物質が結着した粉体二次粒子の粒径が、500nm以上10μm以下であることを特徴とする請求項4記載の非水電解液二次電池用正極インクの製造方法。
- 前記ファニキュラー状態での混練が30分以上であることを特徴とする請求項4または5記載の非水電解液二次電池用正極インクの製造方法。
- 分散媒がN−メチル−2−ピロリドン、アセトン、水からなる群より選ばれる少なくとも1種類であることを特徴とする請求項4乃至6何れか記載の非水電解液二次電池用正極インクの製造方法。
- 請求項4乃至7何れか記載の非水電解液二次電池用正極インクの製造方法により製造された非水電解液二次電池用正極インク。
- 請求項4ないし7何れか記載の製造方法により製造された非水電解液二次電池用正極インクを集電基材に塗布し、乾燥、圧縮する工程を経て製造することを特徴とする非水電解液二次電池用正極の製造方法。
- 請求項9記載の製造方法により製造された非水電解液二次電池用正極が、集電基材層上にLiMPO4(MはFeまたはMnまたはこの混合物)からなる活物質と導電材と結着材からなり嵩密度が1.2g/cm3以上である活物質層が積層しているものであることを特徴とする非水電解液二次電池用正極の製造方法。
- 請求項9または10の製造方法で作製された非水電解液二次電池用正極と負極を、セパレータを介して複数層積層し、各々正極および負極の引き出し電極を配線し、さらに非水電解液を満たして正極および負極の引き出し電極を引き出した状態で封入することを特徴とする非水電解液二次電池の製造方法。
- 請求項11の製造方法で製造された非水電解液二次電池。
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