JP2013161689A - 二次電池用電極とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の二次電池用電極84において、電極合材層90は、電極活物質130と、溶剤不溶分が相互に異なる第1の結着材110及び第2の結着材120を少なくとも含んでいる。上記第1の結着材の溶剤不溶分Aは、上記第2の結着材の溶剤不溶分Bよりも大きく、電極合材層は、厚み方向に、上記第2の結着材を上記第1の結着材よりも多く含んでいる上層部92と、上記第1の結着材を上記第2の結着材よりも多く含んでいる下層部94とを備えている
【選択図】図3
Description
本発明は、上述した課題を解決すべく創出されたものであり、その目的は、電極合材層中の結着材の偏析を抑制して電極集電体と電極合材層との剥離強度を向上させると共に、反応抵抗が低減された二次電池用電極を提供することであり、合わせて該電極を好適に製造する方法を提供することである。
25℃の温度条件下、テトラヒドロフラン50ml中に該水系の結着材20gを添加した場合において、所定の条件で混合したときの該結着材の全添加量に対する該テトラヒドロフラン中に溶解しない不溶分として残った質量の百分率;
が相互に異なる第1の結着材及び第2の結着材を少なくとも含んでいる。上記第1の結着材の溶剤不溶分Aは、上記第2の結着材の溶剤不溶分Bよりも大きい。上記電極合材層は、厚み方向に、上記第2の結着材を上記第1の結着材よりも多く含んでいる上層部と、上記第1の結着材を上記第2の結着材よりも多く含んでいる下層部とを備えていることを特徴とする。
かかる構成によると、電極集電体と電極合材層との間においてより高い剥離強度を有すると共に、反応抵抗はより低いものとなり得る。
かかる構成によると、下層部に多くの結着材が含まれているため電極集電体と電極合材層との間においてより高い剥離強度を有する。
好ましい一態様では、上記第1の結着材及び上記第2の結着材は、いずれもスチレンブタジエンゴムである。
25℃の温度条件下、テトラヒドロフラン50ml中に該水系の結着材20gを添加した場合において、所定の条件で混合したときの該結着材の全添加量に対する該テトラヒドロフラン中に溶解しない不溶分として残った質量(典型的にはゲルの形態で残った量。ゲル量)の百分率;
が相互に異なる第1の結着材及び第2の結着材を少なくとも含む電極合材層が電極集電体上に形成された二次電池用電極を製造する方法が提供される。即ちここで開示される二次電池用電極の製造方法は、上記電極活物質と上記第1の結着材とを少なくとも含むペースト状の第1の組成物を上記電極集電体の表面に塗布すること、上記電極活物質と上記第2の結着材とを少なくとも含むペースト状の第2の組成物を上記第1の組成物上に塗布すること、上記第1の組成物と上記第2の組成物とを乾燥させて電極合材層を形成すること、
を包含する。ここで、上記第1の結着材の溶剤不溶分Aは、上記第2の結着材の溶剤不溶分Bよりも大きく(即ちA>B)、上記第1の組成物中の電極活物質に対する上記第1の結着材の質量比Cが、上記第2の組成物中の電極活物質に対する上記第2の結着材の質量比Dよりも大きくなる(即ちC>D)ように上記第1の結着材及び上記第2の結着材の添加量が調整されていることを特徴とする。
このように、第1の結着材の溶剤不溶分Aが第2の結着材の溶剤不溶分Bより大きく、該第1の結着材の質量比Cが相対的に大きい第1の組成物を電極集電体上に塗布し、第2の結着材の質量比Dが第1の組成物に含まれる第1の結着材の質量比Cよりも小さい第2の組成物を上記第1の組成物上に塗布することによって、結着材の過度な偏析(具体的には電極合材層の上層部(特に表面部)への結着材の偏在)の発生が抑えられて電極集電体に近接する領域において結着材が不足するのを防止することができる。さらに、本発明の製造方法によると、形成された電極合材層中において、溶剤不溶分が相互に異なる第1の結着材と第2の結着材とが好適な割合及び存在位置にあるため、反応抵抗の低減が実現される。従って、本構成の製造方法によると、電極集電体と電極合材層との剥離強度を向上させると共に、反応抵抗が低減された二次電池用電極を製造することができる。
かかる構成によると、電極集電体と電極合材層との剥離強度をより向上させると共に、反応抵抗がより低減された二次電池用電極を製造することができる。
上記比C/Dが上記範囲となるように第1の結着材及び第2の結着材の添加量をそれぞれ調整することによって、電極合材層を形成する際に結着材が良好に分散され得る。このため、反応抵抗を低減させると共に、電極集電体と電極合材層との間においてより大きな剥離強度を備える電極を製造することができる。
スチレンブタジエンゴム(SBR)は、溶剤不溶分の調整が容易であるため、所望の物性を有するSBRを用いて上記電極を製造することができる。
ここで、所定の水系の結着材について溶剤不溶分(質量%)とは、以下のように定義される。25℃の温度条件下、テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran,THF)50ml中に該水系の結着材20gを添加した場合において、所定の条件で混合(例えば、市販のスターラーを用いて500rpmの回転数で60分間混練)したときの該結着材の全添加量に対する該テトラヒドロフラン中に溶解しない不溶分として残った質量の百分率{(不溶分として残った質量)/(結着材の全添加量)×100}である。テトラヒドロフラン中に溶解しない不溶分として残った質量とは、典型的には、ゲルの形態で残った量(ゲル量)である。
また、第1の組成物に含まれる第1の結着材の含有量は、負極合材層の固形分全量を100質量%としたときに0.9質量%〜4.7質量%の範囲内であり得る。
第1の組成物に含まれる増粘材の含有量は、負極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよく、例えば、負極合材層の固形分全量を100質量%としたときに0.5質量%〜2質量%の範囲内であり得る。
また、第2の組成物に含まれる第2の結着材の含有量は、負極合材層の固形分全量を100質量%としたときに0.5質量%〜2.9質量%の範囲内であり得る。
そして、上記第1の組成物を塗布する方法と同様の技法を適宜採用することによって、上記第1の組成物上に上記第2の組成物を塗布することができる。このとき、いわゆる「wet on wet」と称される状態で第1の組成物及び第2の組成物を塗布する。なお、第2の組成物は、上記第1の組成物に使用される増粘材と同様のものを適宜採用することができる。第1の組成物に使用される増粘材と同じ増粘材を用いることが好ましい。
例えば、第1の組成物及び第2の組成物が塗布された負極集電体が乾燥炉内を通過することによって、これら組成物を連続して同時に乾燥させることができる。このときの乾燥温度は、例えば、凡そ70℃〜200℃(典型的には凡そ120℃〜150℃)である。乾燥時間は、例えば、凡そ10秒〜120秒(典型的には凡そ20秒〜60秒)である。上記各組成物から溶媒を除去することによって負極集電体82上に負極合材層90(図3参照)を形成する。その後、必要に応じて圧縮(プレス)する。これにより、負極集電体82と、該負極集電体82上に形成された負極合材層90とを備える負極84を作製することができる。圧縮(プレス)方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法等の圧縮方法を採用することができる。
図3に示すように、本実施形態に係る負極84は、負極集電体82と、該集電体82上に形成された負極合材層90とを備えている。負極合材層90は、負極活物質130及び溶剤不溶分が相互に異なる第1の結着材110及び第2の結着材120を含んでいる。負極合材層90は、厚み方向に、負極集電体82に近接する下層部94と負極集電体82よりも対極(典型的には正極)側に離れた上層部92とを備えている。上層部92は、第2の結着材120を第1の結着材110よりも多く含んでいる。下層部94は、第1の結着材110を第2の結着材120よりも多く含んでいる。また、負極合材層90は、第1の結着材110を第2の結着材よりも多く含んでいる。上記の製造方法によると、結着材の偏析の発生が防止されて、第1の組成物に含まれている第1の結着材110が下層部94に優勢に配置され、第2の組成物に含まれている第2の結着材120が上層部92に優勢に配置される。このように、結着材(即ち第1の結着材110及び第2の結着材120)の過度な偏析の発生が抑えられた負極合材層90では、負極集電体82と負極合材層90との間の密着力(剥離強度)の向上が実現できる。また、溶剤不溶分が相互に異なる第1の結着材110と第2の結着材120とがバランスよく含まれているため反応抵抗の低減が実現され得る。
なお、負極合材層90に含まれる第1の結着材110の含有量(典型的には質量)をXとし、該負極合材層90に含まれる第2の結着材120の含有量(典型的には質量)をYとしたときのX/Yは1よりも大きい。好ましくは、1<X/Y≦2の範囲内(例えば1<X/Y≦1.5の範囲内)である。
また、一般式がLiMPO4或いはLiMVO4或いはLi2MSiO4(式中のMはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素)等で表記されるようなポリアニオン系化合物(例えばLiFePO4、LiMnPO4、LiFeVO4、LiMnVO4、Li2FeSiO4、Li2MnSiO4、Li2CoSiO4)を上記正極活物質として用いてもよい。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付し、重複する説明は省略することがある。また、各図における寸法関係(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法関係を反映するものではない。
図1に示すように、本実施形態に係るリチウムイオン二次電池10は、金属製(樹脂製又はラミネートフィルム製も好適である。)の電池ケース15を備える。このケース(外容器)15は、上端が開放された扁平な直方体状のケース本体30と、その開口部20を塞ぐ蓋体25とを備える。溶接等により蓋体25は、ケース本体30の開口部20を封止している。ケース15の上面(すなわち蓋体25)には、捲回電極体50のシート状の正極64と電気的に接続する正極端子60および該電極体のシート状の負極84と電気的に接続する負極端子80が設けられている。また、蓋体25には、従来のリチウムイオン二次電池のケースと同様に、電池異常の際にケース15内部で発生したガスをケース15の外部に排出するための安全弁40が設けられている。ケース15の内部には、正極64および負極84を計二枚のセパレータ95とともに積層して捲回し、次いで得られた捲回体を側面方向から押しつぶして拉げさせることによって作製される扁平形状の捲回電極体50及び電解質(例えば非水電解液)が収容されている。
また、上記セパレータとしては、従来公知のものを特に制限なく使用することができる。例えば、樹脂からなる多孔性シート(微多孔質樹脂シート)を好ましく用いることができる。ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)等の多孔質ポリオレフィン系樹脂シートが好ましい。
<例1>
負極活物質としての平均粒径20μmの天然黒鉛と、結着材としての溶剤不溶分が95質量%であるSBRと、増粘材としてのCMCとの質量比が98:1:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させて例1に係るペースト状の組成物を調製した。例1に係る組成物を厚さ10μmの負極集電体(銅箔)の両面に片面当たり10mg/cm2(固形分基準)となるように塗布した。その後、例1に係る組成物を乾燥させて圧延処理を施すことによって負極集電体上に負極合材層が形成された例1に係る負極シートを作製した。
<例2>
溶剤不溶分が95質量%であるSBRに代えて、溶剤不溶分が80質量%のSBRを用いた他は例1と同様にして、例2に係る負極シートを作製した。
<例3>
溶剤不溶分が95質量%であるSBRに代えて、溶剤不溶分が70質量%のSBRを用いた他は例1と同様にして、例3に係る負極シートを作製した。
<例4>
溶剤不溶分が95質量%であるSBRに代えて、溶剤不溶分が61質量%のSBRを用いた他は例1と同様にして、例4に係る負極シートを作製した。
上記のように作製した例1から例4に係る負極シートに対して、JIS K6854−1に準じて90°剥離試験を行った。即ち、各負極シートの負極合材層形成部分を120mm×15mmで切り出し、負極集電体の両面に形成された負極合材層のいずれか一方において負極合材層の片方の端部から40mmを残して該負極集電体から剥がした。両面粘着テープで上記負極シートを引張試験機の架台に固定して、剥がした負極合材層を引張冶具(例えばクランプ)に固定した。そして、引張冶具を鉛直方向上側に20mm/minの速度で引張上げて、負極合材層が負極集電体から剥がれたときの剥離強度(引っ張り強度)[N/m]を測定した。測定結果を表1及び図5に示す。
<例1〜例4>
正極活物質としてのLiNi1/3Mn1/3Co1/3O2と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、結着材としてのPVDFとの質量比が90:5:5となるように秤量し、これら材料をNMPに分散させてペースト状の正極合材層形成用組成物を調製した。該組成物を厚さ15μmの正極集電体(アルミニウム箔)の両面に片面当たり塗布量15mg/cm2(固形分基準)となるように塗布した。その後、該組成物を乾燥させて圧延処理を施すことによって正極集電体上に正極合材層が形成された例1に係る正極シートを作製した。
そして、上記作製した例1に係る正極シート及び例1に係る負極シートを厚さ25μmのセパレータシート(ポリプロピレン/ポリエチレン複合体多孔質膜)を挟んで対向配置させ(積層させ)、これを電解液と共にラミネート型のケース(ラミネートフィルム)に収容することにより例1に係るリチウムイオン二次電池を構築した。電解液としては、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との体積比3:3:4の混合溶媒に1mol/LのLiPF6を溶解させたものを使用した。また、例2から例4に係る負極シートを用いて、上記例1に係るリチウムイオン二次電池と同様にして例2から例4に係るリチウムイオン二次電池を構築した。
上記作製した例1から例4に係るリチウムイオン二次電池に適当なコンディショニング処理(例えば、正極理論容量の1/10Cの充電レートで3時間の定電流(CC)充電を行い、さらに1/3Cの充電レートで4.1Vまで定電流で充電する操作と、1/3Cの放電レートで3.0Vまで定電流放電させる操作とを2〜3回繰り返す初期充放電処理)を行った後、SOC40%の充電状態に調整した。ここで1Cとは、正極の理論容量より予測した電池容量(Ah)を1時間で充電できる電流量を意味する。
そして、SOC40%に調整された各二次電池に対して、測定温度−30℃において、測定周波数範囲0.001Hz〜100kHz、振幅5mVの条件で交流インピーダン測定を行い、得られたCole−Coleプロットにおける円弧の直径を測定し、その値を反応抵抗[mΩ]とした。各二次電池の反応抵抗を表1及び図5に示す。
<例5>
負極活物質としての平均粒径20μmの天然黒鉛と、第1の結着材としての溶剤不溶分が95質量%であるSBRと、増粘材としてのCMCとの質量比が98:1.2:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させて例5に係るペースト状の第1の組成物を調製した。
また、負極活物質としての平均粒径20μmの天然黒鉛と、第2の結着材としての溶剤不溶分が80質量%であるSBRと、増粘材としてのCMCとの質量比が98:0.8:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させて例5に係るペースト状の第2の組成物を調製した。
そして、例5に係る第1の組成物を厚さ10μmの負極集電体(銅箔)の両面に片面当たり5mg/cm2(固形分基準)となるように塗布した。その後、上記第1の組成物が乾燥する前に、例5に係る第2の組成物を上記第1の組成物上に片面当たり5mg/cm2(固形分基準)となるように塗布した。その後、例5に係る第1の組成物及び第2の組成物を乾燥させて圧延処理を施すことによって負極集電体上に負極合材層が形成された例5に係る負極シートを作製した。
負極活物質としての平均粒径20μmの天然黒鉛と、第1の結着材としての溶剤不溶分80質量%であるSBRと、CMCとの質量比が98:1.2:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させて例6に係るペースト状の第1の組成物を調製した。例5に係る第1の組成物に代えて、例6に係る第1の組成物を用いた他は例5と同様にして、例6に係る負極シートを作製した。
負極活物質としての平均粒径20μmの天然黒鉛と、第2の結着材としての溶剤不溶分95質量%であるSBRと、CMCとの質量比が98:0.8:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させて例7に係るペースト状の第2の組成物を調製した。例5に係る第2の組成物に代えて、例7に係る第2の組成物を用いた他は例5と同様にして、例7に係る負極シートを作製した。
例5に係る第1の組成物に代えて例6に係る第1の組成物を用い、例5に係る第2の組成物に代えて例7に係る第2の組成物を用いた他は例5と同様にして、例8に係る負極シートを作製した。
負極活物質としての平均粒径20μmの天然黒鉛と、第1の結着材としての溶剤不溶分80質量%であるSBRと、増粘材としてのCMCとの質量比が98:1:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させて例9に係るペースト状の第1の組成物を調製した。
そして、例9に係る第1の組成物を厚さ10μmの負極集電体(銅箔)の両面に片面当たり5mg/cm2(固形分基準)となるように塗布した。その後、上記第1の組成物が乾燥する前に、例9に係る第2の組成物として例9に係る第1の組成物を上記第1の組成物上にさらに片面当たり5mg/cm2(固形分基準)となるように塗布した。その後、例9に係る第1の組成物及び第2の組成物を乾燥させて圧延処理を施すことによって負極集電体上に負極合材層が形成された例9に係る負極シートを作製した。
負極活物質としての平均粒径20μmの天然黒鉛と、第1の結着材としての溶剤不溶分95質量%であるSBRと、増粘材としてのCMCとの質量比が98:1:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させて例10に係るペースト状の第1の組成物を調製した。例9に係る第1の組成物に代えて例10に係る第1の組成物を用い、例9に係る第2の組成物に代えて例10に係る第1の組成物を用いた他は例9と同様にして、例10に係る負極シートを作製した。
例5に係る第1の組成物に代えて例10に係る第1の組成物を用い、例5に係る第2の組成物に代えて例9に係る第1の組成物を用いた他は例5と同様にして、例11に係る負極シートを作製した。
例10に係る第1の組成物を厚さ10μmの負極集電体(銅箔)の両面に片面当たり10mg/cm2(固形分基準)となるように塗布した。その後、例10に係る第1の組成物を乾燥させて圧延処理を施すことによって負極集電体上に負極合材層が形成された例12に係る負極シートを作製した。
例9に係る第1の組成物を厚さ10μmの負極集電体(銅箔)の両面に片面当たり10mg/cm2(固形分基準)となるように塗布した。その後、例9に係る第1の組成物を乾燥させて圧延処理を施すことによって負極集電体上に負極合材層が形成された例13に係る負極シートを作製した。
負極活物質としての平均粒径20μmの天然黒鉛と、結着材としての溶剤不溶分が95質量%であるSBRと、溶剤不溶分が80質量%であるSBRと、増粘材としてのCMCとの質量比が98:0.5:0.5:1となるように秤量し、これら材料を水に分散させて例14に係るペースト状の組成物を調製した。例14に係る組成物を厚さ10μmの負極集電体(銅箔)の両面に片面当たり10mg/cm2(固形分基準)となるように塗布した。その後、例14に係る組成物を乾燥させて圧延処理を施すことによって負極集電体上に負極合材層が形成された例14に係る負極シートを作製した。例5から例14に係る負極シートの構成を表2及び表3に示す。
上記のように作製した例5から例14に係る負極シートに対して、JIS K6854−1に準じて90°剥離試験を行った。かかる剥離試験は、例1から例4に係る負極シートの場合と同様にして測定した。測定結果を表2及び表3、図6に示す。
<例5〜例14>
例1に係る負極シートに代えて、例5から例14に係る負極シートを用いた他は例1と同様にして、例5から例14に係るリチウムイオン二次電池を作製した。
作製した例5から例14に係るリチウムイオン二次電池について、上記例1から例4に係る二次電池の場合と同様にして、反応抵抗[mΩ]を測定した。測定結果を表2及び表3、図7に示す。
また、第1の組成物中の負極活物質に対する第1の結着材の質量比が、第2の組成物中の負極活物質に対する第2の結着材の質量比よりも大きい場合には、剥離強度が大きく向上するとともに反応抵抗が大きく低減していることが確認された(例5及び例11)。
また、例5及び例8より、第1の組成物に含まれる第1の結着材の溶剤不溶分が第2の組成物に含まれる第2の結着材の溶剤不溶分よりも大きい場合に、剥離強度が大きく向上するとともに反応抵抗が大きく低減していることが確認された。
以上の各試験の結果より、例5に係る負極シート及びリチウムイオン二次電池が最も優れていることが確認された。
15 電池ケース
20 開口部
25 蓋体
30 ケース本体
40 安全弁
50 捲回電極体
60 正極端子
62 正極集電体
64 正極
66 正極合材層
80 負極端子
82 負極集電体
84 負極
90 負極合材層
92 上層部
94 下層部
95 セパレータ
100 車両(自動車)
110 第1の結着材
120 第2の結着材
130 負極活物質
Claims (9)
- 電極集電体上に電極合材層が形成された二次電池用電極であって、
前記電極合材層は、電極活物質と、水系の結着材であって以下のように定義される溶剤不溶分(質量%):
25℃の温度条件下、テトラヒドロフラン50ml中に該水系の結着材20gを添加した場合において、所定の条件で混合したときの該結着材の全添加量に対する該テトラヒドロフラン中に溶解しない不溶分として残った質量の百分率;
が相互に異なる第1の結着材及び第2の結着材を少なくとも含んでおり、
前記第1の結着材の溶剤不溶分Aは、前記第2の結着材の溶剤不溶分Bよりも大きく、
前記電極合材層は、厚み方向に、前記第2の結着材を前記第1の結着材よりも多く含んでいる上層部と、前記第1の結着材を前記第2の結着材よりも多く含んでいる下層部とを備えていることを特徴とする、二次電池用電極。 - 前記第1の結着材の溶剤不溶分Aは90質量%以上であり、前記第2の結着材の溶剤不溶分Bは85質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の二次電池用電極。
- 前記上層部に含まれる結着材よりも前記下層部に含まれる結着材のほうが多いことを特徴とする、請求項1又は2に記載の二次電池用電極。
- 前記第1の結着材及び前記第2の結着材は、いずれもスチレンブタジエンゴムであることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の二次電池用電極。
- 電極活物質と、水系の結着材であって以下のように定義される溶剤不溶分(質量%):
25℃の温度条件下、テトラヒドロフラン50ml中に該水系の結着材20gを添加した場合において、所定の条件で混合したときの該結着材の全添加量に対する該テトラヒドロフラン中に溶解しない不溶分として残った質量の百分率;
が相互に異なる第1の結着材及び第2の結着材を少なくとも含む電極合材層が電極集電体上に形成された二次電池用電極を製造する方法であって、
前記電極活物質と前記第1の結着材とを少なくとも含むペースト状の第1の組成物を前記電極集電体の表面に塗布すること、
前記電極活物質と前記第2の結着材とを少なくとも含むペースト状の第2の組成物を前記第1の組成物上に塗布すること、
前記第1の組成物と前記第2の組成物とを乾燥させて電極合材層を形成すること、
を包含し、
ここで、前記第1の結着材の溶剤不溶分Aは、前記第2の結着材の溶剤不溶分Bよりも大きく、
前記第1の組成物中の電極活物質に対する前記第1の結着材の質量比Cが、前記第2の組成物中の電極活物質に対する前記第2の結着材の質量比Dよりも大きくなるように前記第1の結着材及び前記第2の結着材の添加量が調整されていることを特徴とする、二次電池用電極の製造方法。 - 前記第1の結着材として溶剤不溶分Aが90質量%以上の結着材を使用し、且つ、前記第2の結着材として溶剤不溶分Bが85質量%以下の結着材を使用することを特徴とする、請求項5に記載の製造方法。
- 前記質量比Cと前記質量比Dとの比C/Dが1<C/D≦2となるように前記第1の結着材及び前記第2の結着材の添加量が調整されていることを特徴とする、請求項5又は6に記載の製造方法。
- 前記第1の結着材及び前記第2の結着材としていずれもスチレンブタジエンゴムを用いることを特徴とする、請求項5から7のいずれか一項に記載の製造方法。
- 請求項1から4のいずれか一項に記載の二次電池用電極或いは請求項5から8のいずれか一項に記載の製造方法により得られた二次電池用電極を備える二次電池。
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