JP2012144702A - 非水系顔料分散体の製造方法 - Google Patents

非水系顔料分散体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の粒径分布を有する非水系顔料分散体を製造する方法、及び該非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供する。
【解決手段】(1)顔料、水不溶性ポリマー、及び有機溶媒を含有する顔料分散体を、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理する工程を有する、非水系顔料分散体の製造方法、及び(2)前記方法によって得られた非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物である。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水系顔料分散体の製造方法、及び該非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物に関する。
一般に、顔料を微細で安定な粒子として分散させることができれば、可視光に対する散乱が少なくなるため、カラーフィルター、インク等の情報材料等の幅広い分野で更に活用を図ることができる。
カラーフィルター用の非水系顔料分散体は、一般に湿式で顔料を粉砕・微粒化する、いわゆるブレイクダウン法により製造されている。最近の粉砕機、微粒化機の進歩により、ナノスケールの顔料分散液をブレイクダウン法により製造することが可能であるが、ブレイクダウン法では、得られる顔料が多分散性(粒径分布が大きい状態)になることは避けられない。これは粉砕前の顔料が多分散性であること、また全ての顔料粒子に均等に粉砕・微粒化エネルギーを付与することができないこと等による。
したがって、単分散性の高い(粒径分布の小さい)顔料分散体を必要とする場合は、ブレイクダウン法により微粒化した分散体を何らかの方法で分級(粒径の分画)を行い、必要な粒径の部分だけを回収する工程が必要となる。
これまで、カラーフィルターの高品質化(高輝度化、高コントラスト化等)を実現させるため、顔料や顔料分散剤を最適化することや、着色層中に含まれる顔料を微細化すること等が検討されてきた。
例えば、特許文献1には、顔料、水不溶性ポリマー、及び有機溶媒を含有する顔料分散体において、遠心分離処理又はろ過処理することにより、顔料に吸着していない水不溶性ポリマーを除去する、非水系顔料分散体の製造方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1に記載の通常の遠心分離処理又はろ過処理では、十分に満足できる結果は得られていない。
一方、多孔質ガラス膜を用いた技術として、特許文献2には、多孔質ガラスに燃料を透過させることによる、油中水滴なる均一な水滴粒子を有するエマルション燃料の生成方法が開示され、特許文献3には、多孔質ガラス膜を透過した水を分散媒として用いて、エチレン性不飽和単量体を乳化重合した合成樹脂エマルジョンが開示されている。
しかしながら、多孔質ガラス膜を用いた非水系顔料分散体の製造方法は知られていない。
特開2010−150538号公報 特開2006−182890号公報 特開2009−161674号公報
上記のように、顔料分散体の分級方法としては遠心分離法やろ過処理法がある。しかし、遠心分離法では、ナノスケールの微粒子に働く遠心力は極めて小さいため、遠心分離法により所望の粒径分布を有する顔料分散体を得ることは困難であった。また、ろ過処理法では、例えば高分子膜を用いたろ過処理法が知られているが、粒径分布の制御、高分子膜の耐久性等が十分なものとはいえず、高品質のカラーフィルター用顔料を得ることができなかった。さらに、セラミック膜のような無機膜を用いたろ過処理法が知られているが、顔料が透過せず、顔料分散体の分級方法としては使用できるものではなかった。
本発明は、容易に粒径分布を制御し、所望の粒径分布を有する非水系顔料分散体を製造する方法、及び該非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)顔料、水不溶性ポリマー、及び有機溶媒を含有する顔料分散体を、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理する工程を有する、非水系顔料分散体の製造方法。
(2)前記(1)の方法によって得られた非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
本発明によれば、多孔質ガラス膜を用いた分級ろ過処理法により、所望の粒径分布を有する非水系顔料分散体を効率的に製造することができる。また、該非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することができる。
実施例1で得られた顔料分散体のSPG膜透過液と母液の粒径分布を示す図である。 実施例2で得られた顔料分散体のSPG膜透過液と母液の粒径分布を示す図である。 実施例3で得られた顔料分散体のSPG膜透過液と母液の粒径分布を示す図である。 実施例4で得られた顔料分散体のSPG膜透過液と母液の粒径分布を示す図である。 比較例1で得られた顔料分散体のSPG膜透過液と母液の粒径分布を示す図である。
本発明の非水系顔料分散体の製造方法は、顔料、水不溶性ポリマー、及び有機溶媒を含有する顔料分散体を、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理する工程を有することを特徴とする。
本発明の方法においては、前記顔料分散体から有機溶媒に溶解している成分を分離除去した後に、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理することができる。
以下、本発明で用いる各成分、工程について説明する。
[顔料]
本発明に用いられる顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用できる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
色相は特に限定されるものではなく、赤色、黄色、青色、オレンジ、緑色、バイオレット等の有彩色顔料や白色顔料を用いることができる。
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。無機黒色顔料としてはカーボンブラックが好ましく、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
赤系有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、アゾレーキ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジケトピロロロピロール系顔料等が挙げられる。
より具体的には、Colour Index(The Society of Dyersand Colourists 出版、1997年版)でピグメント(Pigment)に分類されている化合物等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(1)で表される、C.I.ピグメント レッド254、同255等のジケトピロロピロール系顔料が特に好ましい。
Figure 2012144702
(式中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。)
一般式(1)におけるX1及びX2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料の製造方法に特に制限はない。例えば、ベンゾニトリル又はハロゲン化ベンゾニトリルとブロモ酢酸エステル等のハロゲン化酢酸エステルを、亜鉛粉末等の還元剤の存在下で反応させることにより、又は得られた化合物を更にスルホン化することにより製造することができる。
ジケトピロロピロール系顔料の市販品としては、BASF社製、PR−254、商品名「Irgaphor Red B-CF」、「Irgaphor Red BT-CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、顔料表面に対して有機溶媒との親和性を高め、分散安定性を高めるという観点から、樹脂や高分子、顔料誘導体等により予め表面処理を施した顔料を用いてもよく、顔料組成物中に含有させて分散処理を行ってもよい。
[水不溶性ポリマー]
本発明で用いられる水不溶性ポリマーは、顔料を有機溶媒中で安定に微細化した状態で分散させうるものであればよく、公知のポリマーからなる高分子分散剤を使用することができる。水不溶性ポリマーは、カラーフィルター等を形成する場合はバインダーとしての働きも有すると考えられる。
ここで、水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、ポリマーの塩生成基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
水不溶性ポリマーとしては、例えば、特開平3−277673号公報、特開平10−339949号公報、特表2003−517063号公報等に記載の主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマー;特公平7−96654号公報、特開平7−207178号公報等に記載の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を有するポリエステル系オリゴマー;オルガノシロキサンポリマー(信越化学工業株式会社製、KP341、KP575等);(メタ)アクリル酸系(共)重合体(共栄油脂化学工業株式会社製、ポリフローNo.75、90、95等);その他市販品として、ゼネカ社製のソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、28000等の各種ソルスパース分散剤、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPB−821、PB−822、PB−880〔組成(重量比):ポリアリルアミン/ポリカプロラクトン=5/95、Mw:8,000〕、三洋化成株式会社製のイソーネットS−20、ビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK−161、DISPERBYK−2001等が挙げられる。
特に、少なくとも顔料に吸着性を有するモノマーを含む構成単位と、有機溶媒に親和性を有するモノマーを含む構成単位からなるグラフトポリマーが、分散安定性を向上する観点から好ましい。これらは顔料や有機溶媒種により適宜選択して用いることができる。
例えば、顔料としてジケトピロロピロール系顔料、有機溶媒をPGMEAとした場合、主鎖にアミド基を有し、側鎖がマクロモノマーからなるグラフトポリマーが好ましく、より具体的には、主鎖にアミド基を有するモノマー由来の構成単位を有し、側鎖にメタクリル酸エステルのマクロマー由来の構成単位を有するグラフトポリマー(x)や、主鎖にメタクリル酸エステルマクロマー由来の構成単位を有し、側鎖にポリオキサゾリン由来の構成単位を有するグラフトポリマー(y)等が好ましい。
これらの中では、前記のグラフトポリマー(x)がより好ましい。
<グラフトポリマー(x)>
グラフトポリマー(x)は、下記の主鎖と側鎖とを有するものが特に好ましい。
主鎖:N−ビニル−2−ピロリドン由来の構成単位(a)と、水酸基含有モノマー由来の構成単位(b)とを含有し、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(a)の含有量が2〜30重量%、該構成単位(b)の含有量が5〜30重量%である。
側鎖:数平均分子量が800〜4,000であるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有し、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(c)の含有量が65〜92重量%である。
グラフトポリマー(x)中の構成単位(a)、(b)及び(c)の含有量は、グラフトポリマー(x)を製造する際の構成単位(a)、(b)及び(c)それぞれに相当するモノマーの仕込み量に相当する。
グラフトポリマー(x)の主鎖が、N−ビニル−2−ピロリドン由来の構成単位(a)を含有することにより、顔料の分散性に優れたものになると考えられる。その観点から、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(a)の含有量は2〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。該構成単位(a)の含有量が2重量%以上であれば、顔料に十分に吸着することができ、顔料の分散性の向上に寄与することができ、構成単位(b)と(c)とのバランスの観点から、その上限が30重量%以下であれば本発明の効果を有効に発現できる。
グラフトポリマー(x)の主鎖に含有される構成単位(b)を形成する水酸基含有モノマーとしては、下記式(2)で表される化合物が挙げられる。
CH2=C(R4)COO(R5O)nH (2)
(式中、R4は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R5はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、nは平均付加モル数を示し、1〜60の数である。)
式(2)において、R4の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられ、R5のヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。nは好ましくは1〜30の数である。
5O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン基、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。
水酸基含有モノマーの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ。)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリ(エチレングリコール(n=1〜15)・プロピレングリコール(n=1〜15))(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、顔料分散体の粘度安定性に優れる観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
グラフトポリマー(x)の主鎖が、水酸基含有モノマー由来の構成単位(b)を含有することにより、顔料分散体の粘度安定性が向上するものと考えられる。その観点から、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(b)の含有量は5〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。該構成単位(b)の含有量が5重量%以上であれば、十分な粘度安定性に寄与することができ、構成単位(b)と(c)とのバランスの観点から、その上限が30重量%以下であれば本発明の効果を有効に発現できる。
また、グラフトポリマー(x)の側鎖が、数平均分子量が800〜4000であるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有することにより、(A)有機顔料の分散性を向上し、顔料分散体の低粘度化に寄与しうると考えられる。その観点から、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(c)の含有量は65〜92重量%であり、好ましくは65〜85重量%であり、より好ましくは65〜80重量%である。該構成単位(c)の含有量が65重量%以上であれば、(A)有機顔料を十分に分散させることができ、構成単位(b)と(c)とのバランスの観点から、その上限が92重量%以下であれば本発明の効果を有効に発現できる。
本発明のグラフトポリマーの側鎖に含有される構成単位(c)を形成するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーは、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有し、その片末端に重合性官能基を有するものである。アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有する側鎖は、この片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得ることができ、該構成単位(c)は、側鎖に1種又は2種以上含まれていてもよい。
その具体例としては、片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、又は片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、顔料分散体の低粘度化を促進する観点から、好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものが好ましい。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及び(イソ)プロピル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方を意味する。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートと共重合する他のモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーや、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー中、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上が更に好ましく、実質的に100重量%が特に好ましい。「実質的に」とは、不純物程度の量の他のモノマー由来の構成単位を含有してもよいことを意味する。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの数平均分子量は、顔料分散体の低粘度化を促進する観点から、800〜4,000であり、好ましくは1,000〜3,500であり、より好ましくは1,500〜3,000である。その数平均分子量が800以上であれば、十分な立体反発を生じて分散性を向上させることができ、4,000以下であることが顔料分散体の低粘度化に適している。
なお、アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのラウリルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
(グラフトポリマー(x)の製造)
グラフトポリマー(x)は、N−ビニル−2−ピロリドン、水酸基含有モノマー、及びアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを含有するモノマー混合物(以下、「モノマー混合物」という)を共重合して得ることが好ましい。モノマー混合物には、本発明を損なわない範囲内で、更にアルキル(メタ)アクリレート等を含有していてもよい。
モノマー混合物中におけるN−ビニル−2−ピロリドンの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性の観点から、2〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中における水酸基含有モノマーの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性の観点から、5〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中におけるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性を向上させる観点から、65〜92重量%であり、好ましくは65〜85重量%であり、より好ましくは65〜80重量%である。
グラフトポリマー(x)は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、前記モノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、顔料分散体に有機溶媒を用いる観点から、溶液重合法が好適である。
溶液重合法で用いる有機溶媒としては、グラフトポリマーと親和性の高い有機溶媒が好ましく、前記の有機溶媒を用いることができる。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、tert−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モル当たり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加することができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、有機溶媒の種類等によって異なるが、重合温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、重合温度等の条件により異なり一概に決めることはできないが、通常1〜20時間程度である。また、重合雰囲気は、窒素ガスやアルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離法、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
得られるグラフトポリマー(x)の重量平均分子量(Mw)は、顔料分散体中の(A)有機顔料、特にジケトピロロピロール系顔料の分散安定性を向上させる観点から、5,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000が更に好ましく、6,000〜70,000が特に好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのラウリルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
[有機溶媒]
有機溶媒は特に限定されず、分散処理を行う条件下で液状の有機溶媒であればよい。
有機溶媒の好適例としては、顔料と水不溶性ポリマーとの分散性の観点から、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜4の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコール等の多価アルコール;エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル等の他、酢酸エチル、シリコーンオイル、高級アルコール、油脂等及び下記一般式(3)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 2012144702
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立して、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基、R3は水素原子又はメチル基を示す。)
一般式(3)において、R1及びR2の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。これらの中では、メチル基及びエチル基が好ましい。
一般式(3)で表される化合物としては、例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート等のグリコールエーテルエステルが挙げられる。
カラーフィルター用途等においては、ジケトピロロピロール系顔料等の顔料の分散性と、水不溶性ポリマーの溶解性又は分散性の観点から、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。
上記の有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料分散体中の顔料の量は、分散時の生産性を向上させる観点から、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上である。また、分散時のハンドリング性を確保する観点から、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。
顔料分散体中の水不溶性ポリマーの量は、分散処理過程で不足する事のない添加量とする事が分散安定性を向上させる観点から好ましい。具体的には、顔料重量に対して、5重量%以上、好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。また、顔料分散体の適度な粘度が得る観点から、顔料重量に対して、200重量%以下、好ましくは100重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
顔料分散体中の溶媒の量は、顔料濃度や水不溶性ポリマー、その他添加剤を除いた量であり、分散処理時の操作性を向上させる観点から30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
[多孔質ガラス膜]
多孔質ガラスとは、一般にガラスからなる多孔体をいい、特に限定されないが、ガラスのミクロ相分離を利用して製造される多孔質ガラスが好ましい。例えば、原料となるSiO2(ケイ砂)、H3BO3(ホウ酸)、Na2CO3(ソーダ灰)等から通常の溶融プロセスによりNa2O−B23−SiO2系ガラスを作製し、これを成形した後に450℃以上で熱処理して、ガラス内部でSiO2リッチ相とNa2O−B23リッチ相に数nmのスケールでスピノーダル分解による分相を生じさせ、この分相ガラスを酸溶液に浸漬し、Na2O−B23相のみを酸で溶出させることにより得られる、SiO2骨格を持つガラス多孔体が挙げられる。
好適な多孔質ガラスとしては、シラス多孔質ガラス、米国のコーニング社のバイコール(商品名)等が挙げられる。
本発明においては、特にシラス多孔質ガラス(略称SPG)からなる膜が好適に用いられる。SPGは、宮崎県工業試験場により開発されたもので、シラス、ホウ酸、石灰を1300〜1400℃で溶解して得たアルミノホウケイ酸カルシウムガラスを600〜800℃で熱処理して、ホウ酸カルシウムガラスとケイ酸アルミニウムガラスとの間で相分離させた後、酸処理して得られるものである。
本発明においてシラス多孔質ガラス(SPG)膜とは、SPG膜のみならず、SPGをアミノシラン化、オクタデシルシリル化、トリメチルシリル化等により疎水修飾した誘導体からなるシラス多孔質ガラス膜を総称したものを意味する。
SPG膜の具体例としては、特公昭62−025618号公報に開示されたCaO−B23−SiO2−Al23系多孔質ガラス、特公昭63−066777号公報及び米国特許第4657875号明細書に開示されたCaO−B23−SiO2−Al23−NaO2系多孔質ガラス、CaO−B23−SiO2−Al23−NaO2−MgO系多孔質ガラス、CaO−B23−SiO2−ZrO2系多孔質ガラス等からなる膜が挙げられる。
SPG膜は、貫通する無数の超微細孔を有し、気孔率が非常に高く、細孔の均一性に優れている。SPG膜の形状は特に限定されず、使用目的に応じて、平板状、円柱状、中空糸膜状のSPGを束ねたフィルター等の形状に成形して使用することができるが、円柱状にすれば表面積を大きくすることができるため好ましい。
SPG膜の平均細孔径は、顔料の粒径分布を制御する観点から、好ましくは0.01〜10μm、より好ましくは0.02〜5μm、より好ましくは0.03〜3μm、より好ましくは0.05〜2μm、更に好ましくは0.06〜1.2μmである。なお、SPG膜の平均細孔径は、株式会社島津製作所製の「水銀圧入式自動ポロシメーター」により測定することができる。
また、多孔質ガラス膜の平均細孔径は、顔料分散体を分級ろ過処理する観点から、母液である顔料分散体の最小粒径より大きく、最大粒径より小さい範囲内の平均細孔径を有する膜を通常用いる。好ましくは、分級ろ過処理する顔料分散体のD1(体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して1%になる粒径)〜D99の範囲の平均細孔径が好ましく、D5〜D95の平均細孔径がより好ましい。顔料分散体の粒径は、例えば実施例記載の方法により求めることができる。
SPG膜の気孔率は、好ましくは40〜65%、より好ましくは45〜60%である。
円柱状のSPG膜としては、エス・ピー・ジーテクノ株式会社製、商品名:SPG膜等が挙げられる。
SPG膜の膜厚は、特に制限はないが、通常0.1〜1mm、好ましくは0.2〜0.9mm、より好ましくは0.3〜0.8mmであり、セラミック膜の膜厚(数10μm程度)と比べて桁違いに厚い。膜の透過性は一般に膜厚に大きく依存することから、技術常識からするとSPG膜の顔料透過性はセラミック膜に比べ著しく低いと考えられ易いにも拘らず、SPG膜は高い顔料透過性と良好な孔径分画性を示すことは全く予想し難い結果であるといえる。
[ろ過膜]
顔料分散体から有機溶媒に溶解している成分を分離除去するために用いられるろ過膜は、有機溶媒により劣化しないものであれば特に制限はない。例えば、セルロース膜、304及び316ステンレススチール膜、漂白コットン膜、ポリスルホン(PS)膜、ポリプロピレン(PP)膜、ポリエーテルサルフォン(PES)膜、ポリエチレンテレフタレート(PET)膜、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)膜、ポリカーボネイト(PCTE)膜、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)膜、セラミック膜等の各種の材料を主原料とするろ過膜が挙げられる。これらの中でも、ポリスルホン(PS)膜、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)膜、ポリエーテルサルフォン(PES)膜、ポリエチレンテレフタレート(PET)膜、ポリフッ化ビニルデン膜及びポリカーボネイト(PCTE)膜が好ましく、ポリエーテルサルフォン(PES)膜が更に好ましい。
精密ろ過に用いられるろ過膜としては、ろ材の内部で異物を捕捉するデプスタイプ(厚みろ過型)や、ろ材の表面で異物を捕捉するサーフェスタイプ(面ろ過型)が挙げられる。精密ろ過に用いられるろ過膜の市販品としては、サーフェスタイプについては、エポセル(株式会社日本触媒製)、ポールセル(日本ポール株式会社製)等のセルロース膜、リジメッシュ(日本ポール株式会社製)等の304ステンレススチール膜、ミクロピュア(ロキテクノ株式会社製)等のポリプロピレン膜、サスピュア(ロキテクノ株式会社製)等の316ステンレススチール膜、TCP、TCPE、TC(東洋濾紙株式会社製)等のポリプロピレン膜が挙げられる。また、デプスタイプについては、プロファイル(日本ポール株式会社製)等のポリプロピレン膜、マイクロシリア(株式会社ロキテクノ製)等の漂白コットン、ダイア、ダイアII(P)、ダイアII(C)、ピュアロン、シリアクリーン、SL、SLN、グラスロン等のポリプロピレン膜、TCPD、TCW−PP、TCW−CS、TCW−EP(東洋濾紙株式会社製)等のポリプロピレン膜、MEMBRALOX(ノリタケカンパニー社製)等のセラミック膜、SPG膜(エス・ピー・ジーテクノ株式会社製)、バイコール(コーニング社製)等の多孔質ガラス膜が挙げられる。
なお、ここで用いられるろ過膜の孔径としては、後述する工程(2)で用いる多孔質ガラス膜の孔径より小さい孔径が用いられる。
限外ろ過は、加圧又は減圧下で行うが、用いられるろ過膜の市販品としては、例えば、
NTUシリーズの商品名:2020、2120、3520、3150、3006、3050、3250、3550、4208、4220、NFSシリーズの商品名:100、101、103、NTM−9002、RS−30(日東電工株式会社製)等のポリスルホン膜、AIP−0013、ACP−0013、ACP−0053、AHP−0013、AIVシリーズの商品名:3010、5010、ACVシリーズの商品名:3010、3050、5010、5050、SIW−3054、SEP−0013、SAP−0013、SIP−0013、SLP−0053、マイクローザ(旭化成工業株式会社製)等のポリフッ化ビニルデン膜、ミニクロス、クロスフロモジュール(東洋紡績株式会社製)等のポリプロピレン膜、MEMBRALOX(ノリタケカンパニー社製)等のセラミック膜が挙げられ、研究用としては、アミコン社製のCentriprep、ミリポア社製のペリコン、ミリタン等が挙げられる。
[非水系顔料分散体の製造]
本発明の非水系顔料分散体の製造方法は、顔料、水不溶性ポリマー、及び有機溶媒を含有する顔料分散体を、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理する工程を有するが、この工程は、下記の工程(1)及び(2)を有することが好ましい。
工程(1):顔料、水不溶性ポリマー、及び有機溶媒を含有する顔料分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散体を、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理する工程
<工程(1)>
工程(1)においては、顔料、水不溶性ポリマー、及び有機溶媒を含有する顔料組成物を混合することにより得られる混合物(以下、単に「混合物」という)を分散処理して、顔料分散体を得る工程である。
本分散だけで平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散(1次分散)させた後、さらに剪断応力を加えて本分散(2次分散、3次分散)を行い、平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。
例えば、予備分散して、工程(1)終了後における顔料の平均粒径(体積平均粒度分布における50%通過粒子径、換言すれば体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して50%になる粒径:D50)を0.2μm以下、好ましくは0.15μm以下に調整する。
また粗大粒子の含有量を低減させる観点から、工程(1)終了後におけるD90(体積平均粒度分布における90%通過粒子径、換言すれば体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して90%になる粒径)を1μm以下にすることが好ましく、0.6μm以下にすることが更に好ましく、0.4μm以下にすることが特に好ましい。なお、平均粒径(D50)、及びD90は、上記粒径範囲が測定可能な動的光散乱式粒度分布計やレーザードップラー式粒度分布計等によって測定することができ、例えば、実施例記載の粒径分布の測定方法が好ましく挙げられる。
各成分の混合順序に特に制限はないが、顔料のかさ比重を考慮して生産性を高める観点、及び顔料と有機溶媒との混合させ易さという観点から、有機溶媒に顔料を添加することが好ましい。水不溶性ポリマーは、顔料を添加する前後に添加することが好ましい。
また、混合物を分散させる際に、工程(1)後の粗大粒子の含有量を低減させる観点から、2回以上の予備分散処理や、異なる予備分散処理を組み合わせてもよい。予備分散処理回数は、煩雑性や生産性の観点から、好ましくは10回以下、より好ましくは5回以下である。
(予備分散)
予備分散に用いる混合装置としては、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー(淺田鉄工株式会社、商品名)、エバラマイルダー(株式会社荏原製作所、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)、ウルトラタラックス、DISPAX-REACTOR、コロイドミル、CMS、MHD(IKAジャパン株式会社、商品名)、クリアミックス(エム・テクニック株式会社、商品名)、ケイディーミル(キネティック・ディスパージョン社、商品名)等の高速撹拌混合装置が好ましい。
なお、混合物を工程(1)で予備分散させた後、得られた予備分散体に粗大粒子が多い場合には、必要に応じて撹拌力よりも強力な剪断力を加えて所望の粒径となるまで微粒化を行ったり、遠心分離機で粗大粒子を除去することもできる。
微粒化効果が高いメディア粒子、例えば0.1mm以上のメディア粒子、好ましくは0.2mm以上のメディア粒子を用いたメディアミル、高圧ホモジナイザー等によって1パス以上の連続分散処理を行う方法等が例示される。微粒化効果が高いメディア粒子を用いた市販のメディアミルとしては、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製、0.6L−ECM)等が挙げられる。
(本分散)
本分散に用いる混合装置としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、スターミル(アシザワ・ファインテック株式会社、商品名)、ウルトラアペックスミル(寿工業株式会社、商品名)、ピコミル(淺田鉄工株式会社、商品名)、DCPスーパーフロー、コスモ(日本アイリッヒ株式会社、商品名)、MSCミル(三井鉱山株式会社、商品名)等のビーズミル、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕、アルティマイザー〔スギノマシン株式会社、商品名〕、ジーナスPY(白水化学株式会社、商品名)、DeBEE2000(日本ビーイーイー株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
これらの中では、混合物に含まれている顔料の小粒子径化の観点から、本分散装置としてはビーズミルが好ましく、3次分散装置としては高圧ホモジナイザーが好ましい。
(有機溶媒に溶解している成分の除去)
本発明の方法においては、必要に応じて、工程(1)で得られた顔料分散体を工程(2)に供する前に、該顔料分散体から有機溶媒に溶解している成分を分離除去することができる。あるいは、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理する工程(2)で得られた顔料分散体から有機溶媒に溶解している成分を分離除去してもよい。該分離除去方法としては、遠心分離、吸着処理、ろ過処理等を用いることができるが、収率、操作性等の観点からろ過処理が好ましい。ろ過処理では、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、逆浸透膜(RO膜)、ナノろ過(NF)膜から選ばれる1種以上のろ過膜を用いるろ過処理方法が好ましい。このろ過処理によって、顔料粒子とこれに吸着した水不溶性ポリマーを顔料分散体(母液)中に残し、有機溶媒に溶解している成分を前記母液から分離・除去することができる。
有機溶媒に溶解している成分としては、顔料に吸着していない水不溶性ポリマー、顔料誘導体、その他微量の不純物等が挙げられる。これらの有機溶媒に溶解している成分は、顔料分散体の塗膜乾燥時に析出し、コントラスト比の向上を妨げる原因成分となるため、有機溶媒に溶解していて塗膜乾燥時に析出する可能性の成分はできるだけ分離除去しておくことが好ましい。
ろ過処理の方式は特に制限はなく、全量ろ過方式でもクロスフローろ過方式でもよいが、供給する顔料分散体中の懸濁物質等が膜面に堆積するのを防止等の観点から、クルスフローろ過方式が好ましい。
用いるろ過膜の孔径としては、精密ろ過膜、限外ろ過膜、逆浸透膜、ナノろ過膜等の孔径域を使用し得る。ろ過膜の孔径は、好ましくは1〜50nm、より好ましくは2〜30nm、更に好ましくは3〜20nmであり、より更に好ましくは3〜10nmである。本ろ過処理で用いる膜の孔径は、工程(2)で用いる多孔質ガラス膜の孔径より小さい。
用いられるろ過膜としては、前記の各種のろ過膜が挙げられる。
膜の形状としては、中空糸状型、管型、平板型、モノリス型等が挙げられ、分散体を流す方式としては、内圧ろ過方式でも外圧ろ過方式でもよい。
上記の中では、限外ろ過膜を用いたクルスフローろ過方式がより好ましい。また、有機溶媒を加えながらろ過する透析ろ過(ダイアフィルトレーション)方式も好ましい。
ダイアフィルトレーション方式でろ過を行う場合、母液中の不純物の量はろ液(透過液)の量に応じて指数関数的に減少する。母液容積に対する透過液総容積の倍率を洗浄倍率と定義すると、洗浄倍率は不純物低減の観点からは大きい方が好ましく、時間的負荷低減やコスト負担低減、廃液量低減の観点からは小さい方が好ましい。そこで本発明における洗浄倍率は、好ましくは0.01以上、1000以下であり、より好ましくは0.1以上、100以下であり、さらに好ましくは1以上、10以下である。
<工程(2)>
工程(2)は、工程(1)又はその後のろ過処理工程で得られた顔料分散体を、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理する工程である。この多孔質ガラス膜による分級ろ過処理によって、膜の細孔径よりも大きな粒径の顔料粒子は母液中に残り、細孔径よりも小さな粒径の顔料粒子は多孔質ガラス膜を透過して透過液中に移ることから、膜の細孔径を境に、顔料粒子を母液と透過液に分離することができる。したがって、膜が入手可能である限り任意の細孔径において、顔料粒子を分離することができる。例えば、平均粒径0.1μm未満の顔料粒子が必要な場合は、平均細孔径0.1μmの多孔質ガラス膜を透過した透過液を回収すればよく、平均細孔径よりも大きな粒径の顔料粒子が必要な場合は母液を回収すればよい。さらに、平均細孔径の異なる2種類の膜を使用することにより、その2つの平均細孔径が粒径分布の上限と下限になるような顔料分散体を得ることができる。なお、カラーフィルター用顔料分散体として、粗大粒子を除去する観点から、透過液を回収して用いることが好ましい。
分級ろ過処理の方式は特に制限はなく、全量ろ過方式でもクロスフローろ過方式でもよいが、供給する顔料分散体中の懸濁物質等が膜面に堆積するのを防止等の観点から、クロスフローろ過方式が好ましい。用いるろ過膜は、前記の多孔質ガラス膜である。
顔料分散体を流す方式としては、内圧ろ過方式でも外圧ろ過方式でもよい。また、有機溶媒を加えながらろ過する透析ろ過(ダイアフィルトレーション)方式も採用できる。
ろ過温度を上げることにより分散体が減粘し、ろ過効率が上昇する。ろ過温度としては使用する膜の適用範囲内、かつ分散安定性を保持できる範囲であればよく、20℃〜150℃が好ましく、25℃〜100℃がより好ましく、25〜60℃が更に好ましい。
ろ過圧力を上げることにより透過流束が増加し生産性が高まるため、ろ過圧力としては0.005MPa以上が好ましく、0.015MPa以上がより好ましく、0.025MPa以上が更に好ましい。また、装置の能力の観点から、2MPa以下が好ましい。
顔料濃度は、生産性の観点から濃い方がよく、0.05重量%以上が好ましく、1.00重量%以上がより好ましく、5.00重量%以上が更に好ましい。また、分級ろ過の効率性の観点から、60重量%以下が好ましい。
顔料分散体中の水不溶性ポリマーの量は、分級ろ過処理過程で分散安定性を維持させる観点から、顔料重量に対して、5重量%以上が好ましく、7重量%以上がより好ましく、10重量%以上が更に好ましい。また、顔料分散体の適度な粘度が得る観点から、顔料重量に対して、200重量%以下が好ましい。
また循環流量が多いほどケーク層が形成されにくくろ過抵抗が抑制できるため、循環流量としては0.1L/minが好ましく、0.5L/min以上がより好ましく、0.8L/min以上がより好ましく、1.5L/min以上が更に好ましい。また、装置の能力の観点から、10L/min以下が好ましい。
前述のとおり、工程(2)の後に、得られた顔料分散体から有機溶媒に溶解している成分を分離除去する工程を行ってもよい。
<カラーフィルター用着色組成物>
本発明の製造方法により得られた非水系顔料分散体は、保存安定性に優れているため、特にインクジェット法により作製されるカラーフィルター用着色組成物として有用である。すなわち、各種のバインダー、多官能モノマー、光重合開始剤、溶剤、添加剤等を添加、混合することにより、カラーフィルター用着色組成物(カラーレジスト色材)として用いることができる。
バインダーとしては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体とアルコール類との反応物等を挙げることができる。その重量平均分子量は、5000〜200,000が好ましい。バインダーの含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して20〜80重量%が好ましい。
多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等を挙げることができる。多官能モノマーの含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して10〜60重量%が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類を挙げることができる。特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]が好ましい。光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して0.2〜10重量%が好ましい。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
実施例及び比較例で記載した、顔料分散体の粒径分布と吸光度の測定、膜の孔径分画性と顔料透過性の評価は、以下のとおり行った。
(1)粒径分布の測定
顔料分散体の粒径分布を、マルバーン社製、ゼータサイザー(粒子径、ゼータ電位、分子量測定装置)を用いて測定した。
顔料分散体をジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)、で300倍に希釈し、粒度分析計(シスメックス社製、ZETASIZER Nano−ZS)を用いて、分散質屈折率:1.510、分散質密度:1.45g/cm3、分散媒屈折率:1.426、分散媒粘度:3.6cpsの条件下において20℃で測定した。
(2)吸光度の測定
顔料分散体の吸光度を、株式会社日立テクノロジーズ製、U−3010(分光光度計)を用いて測定した。
(3)孔径分画性の評価
下記の基準で孔径分画性を評価した。
A:透過液の粒径分布の上限が多孔質ガラス膜の平均細孔径と一致している場合(多孔質ガラス膜孔径よりも大きな粒子が除去されているので、孔径分画性は良好と判断される。)
B:透過液の粒径分布の上限が多孔質ガラス膜の平均細孔径よりも大きい場合(多孔質ガラス膜孔径よりも大きな粒子が透過しているので、孔径分画性は不良と判断される。)
C:透過液の粒径分布の上限が多孔質ガラス膜の平均細孔径よりも小さい場合(本来透過すべき粒子が透過していないので、孔径分画性は不良と判断される。)
(4)顔料透過性の評価
用いた顔料(C.I.ピグメントレッド254)の吸光度スペクトルは、波長450〜600nmの間に2つのピークを有する2峰性の形状を示す。2つのピークのうち、波長551nmのピークは顔料濃度に比例する。よって母液、透過液ともに2峰性のピークが得られた場合(評価A:顔料透過)の顔料透過率(%)は、
(波長551nmにおける透過液の吸光度÷母液の吸光度)×100
によって算出した。
また、透過液の吸光度スペクトルが波長551nmにピークを有しない単峰性の形状を示す場合、顔料はSPG膜を透過しなかったと判断した(評価B:顔料不透過)。
(5)コントラスト比の測定
顔料分散体をガラス基板に塗布し、スピンコーターを用いて回転数を変えることにより、厚みの異なる塗工膜(1〜10μm)を数点(好ましくは3点)作成したのち、80℃のホットプレートの上で30分間乾燥させた。得られた、厚みの異なる数点の乾燥塗膜のコントラスト比を、コントラスト測定器CT−1(壺坂電機株式会社製)を用いて測定した。得られた、X値(XYZ表色系)の異なる数点の測定値から、X=0.645のおける値を内挿により求め、これを顔料分散体のコントラスト比とした。
製造例1(水不溶性ポリマーの製造)
窒素導入管を備え付けた反応容器に、メタクリル酸メチル50部、BCA 25部、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)5部を量り込み、窒素シールをしながら75℃まで昇温した。次に、メタクリル酸メチル200部、BCA 100部、前記連鎖移動剤16.7部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)2部の混合物を3時間で滴下した。その後、BCA 125部、前記連鎖移動剤0.9部、前記重合開始剤2部の混合物を1時間かけて滴下し、更に2時間熟成し、数平均分子量2,080、重量平均分子量3,350のメタクリル酸メチルマクロマー前駆体を合成した。
次いで、窒素導入管を空気導入管に切替え、得られたマクロマー前駆体に気体ポンプで空気を吹き込み、グリシジルメタクリレート23.3部、テトラブチルアンモニウムブロマイド7.9部、p−メトキシフェノール0.8部、BCA 17部を添加し、90℃で10時間反応し、数平均分子量2,200、重量平均分子量3,500、固形分(有効分)含有量60%のメタクリル酸メチルマクロマーを得た。
窒素導入管を備え付けた反応容器に、BCA 10部を計り込み、窒素シールをしながら80℃まで昇温した。この反応容器に得られたメタクリル酸メチルマクロマーを固形分として72.5部、N−ビニル−2−ピロリドン12.8部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート14.7部、BCA 120部の混合液230部、前記重合開始剤2部、及び2−メルカプトエタノール(連鎖移動剤)の0.4部を、2時間にわたって滴下し、滴下終了後さらに3時間反応させ、固形分(有効分)含有量40%の水不溶性グラフトポリマー溶液を得た。
得られた水不溶性ポリマーのゲルクロマトグラフィー(GPC)法(標準物質:ポリスチレン)により測定した数平均分子量(Mn)は5,200、重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
製造例2(顔料分散体(1)の製造)
ジケトピロロピロール系顔料(A)(BASF社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR BK−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))10部、BCA 52.5部、製造例1で得られた水不溶性ポリマー(固形分40%)37.5部、φ0.3mmジルコニアビーズ200部をポリビンに入れ、予備分散処理工程としてペイントシェーカー(淺田鉄工株式会社製)にて3時間振とうし、次いでその分散液80部とφ0.05mmのジルコニアビーズ160部をポリビンに入れ、同様に本分散処理工程としてペイントシェーカーにて24時間振とうし、顔料分散体(1)を得た。
実施例1(SPG膜による顔料分散体(1)の分級ろ過)
平均細孔径0.1μm、気孔率50%のエス・ピー・ジーテクノ株式会社製チューブ型SPG膜(チューブ内径5mm、チューブ長さ125mm)を膜モジュールに装着し、循環ラインにセットした。循環ラインは母液槽、循環ポンプ、膜モジュール、圧力計、圧力・流量調整用のニードルバルブから構成され、膜モジュールには透過液の排出ラインを設けた。
得られた顔料分散体(1)を、BCAを用いて顔料濃度0.1%に希釈し、これを母液とした。母液を母液槽に仕込んだのち循環ポンプを起動し、母液の循環を開始した。循環が安定したのちニードルバルブを用いて圧力と流量を調整し、クロスフロー方式の分級ろ過を開始した。分級ろ過の条件は、温度20℃で圧力0.03MPa、循環流量0.348L/minであった。
所定時間後に母液と透過液から採取したサンプルの吸光度測定と粒径測定を行い、顔料透過性の評価と孔径分画性の評価を行った。その結果、顔料はSPG膜を透過し顔料透過率は29%、孔径分画性は良好であった。得られた顔料分散体のSPG膜透過液と母液の粒径分布を図1に示す。
実施例2(SPG膜による顔料分散体(1)の分級ろ過)
実施例1において、SPG膜の平均細孔径を0.08μm、圧力を0.03MPa、循環流量を1.05L/minにした以外は、実施例1と同じ条件でクロスフロー方式の分級ろ過を行った。
その結果、顔料はSPG膜を透過し、顔料透過率は15%、孔径分画性は良好であった。得られた顔料分散体のSPG膜透過液と母液の粒径分布を図2に示す。
実施例3(SPG膜による顔料分散体(1)の分級ろ過)
実施例1で得られた顔料分散体(1)を母液として母液槽に仕込んだ後、循環ポンプを起動し、母液の循環を開始した。循環が安定したのちニードルバルブを用いて圧力と流量を調整し、クロスフロー方式の分級ろ過を開始した。分級ろ過の条件は、温度20℃で圧力0.03MPa、循環流量1.62L/minであった。
所定時間後に母液と透過液から採取したサンプルの吸光度測定と粒径測定を行い、顔料透過性の評価と孔径分画性の評価を行った。その結果、顔料はSPG膜を透過し、顔料透過率は58%、孔径分画性は良好であった。得られた顔料分散体のSPG膜透過液と母液の粒径分布を図3に示す。
また、分級ろ過後に得られた顔料分散体のコントラスト比を測定したところ、3057であった。
実施例4(SPG膜による顔料分散体(1)の分級ろ過)
実施例1において、SPG膜の平均細孔径を0.05μm、圧力を0.03MPa、循環流量を0.52L/minにした以外は、実施例1と同じ条件でクロスフロー方式の分級ろ過を行った。
その結果、顔料はSPG膜を透過し、顔料透過率は1.0%、孔径分画性は良好であったが、透過液の粒径分布が想定よりも小粒径であった。得られた顔料分散体のSPG膜透過液と母液の粒径分布を図4に示す。
実施例5(限外ろ過膜による顔料分散体(1)のろ過とSPG膜による分級ろ過)
実施例1で得られた顔料分散体(1)を母液として母液槽に仕込んだ後、限外ろ過用の循環ポンプを起動し、ポリエーテルスルホン製の限外ろ過膜(孔径0.006μm、膜面積0.1m2)に母液の循環を開始した。循環が安定したのちニードルバルブを用いて圧力と流量を調整し、クロスフロー方式のろ過を開始した。ろ過の条件は、温度20℃で圧力0.1MPa、洗浄倍率5.5であった。なお、透過液による母液の減少は、同量のBCAを母液に補充することにより、顔料濃度を一定に保った。
ろ過後に母液粒径測定を行ったところ、ろ過前と同じ粒径分布であった。
続いて、実施例3と同じSPG膜による分級ろ過処理を行った。
分級ろ過後に得られた顔料分散体のコントラスト比を測定したところ、3772であった。
比較例1(PTFE膜による顔料分散体(1)の分級ろ過)
平均細孔径0.1μmのアドバンテック東洋株式会社販売、ディスク型PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)メンブレンフィルター(ディスク径47mm)をフィルターホルダーに装着し、円筒形の母液槽の底部にセットした。
実施例1で得られた顔料分散体(1)を、BCAを用いて顔料濃度0.1%に希釈し、これを母液とした。母液を母液槽に仕込んだのち窒素加圧ライン付きの蓋で密閉し、圧力レギュレータにより圧力を調整後、窒素加圧によりデッドエンド方式の分級ろ過を開始した。分級ろ過の条件は、温度20℃で圧力0.01MPaであった。
所定時間後に母液と透過液から採取したサンプルの吸光度測定と粒径測定を行い、顔料透過性の評価と孔径分画性の評価を行った。その結果、顔料はPTFE膜を透過したものの、透過液の粒径分布は膜の平均細孔径の大粒径側と小粒径側に分布したことから孔径分画性は不良であった。得られた顔料分散体のPTFE膜透過液と母液の粒径分布を図5に示す。
比較例2(セラミック膜による顔料分散体(1)の分級ろ過)
平均細孔径0.1μm、気孔率37%の株式会社ノリタケカンパニー製チューブ型セラミック膜(チューブ内径7mm、チューブ長さ250mm)を膜モジュールに装着し、循環ラインにセットした。循環ラインは母液槽、循環ポンプ、膜モジュール、圧力計、圧力・流量調整用のボールバルブから構成され、膜モジュールには透過液の排出ラインを設けた。
実施例1で得られた顔料分散体(1)を、BCAを用いて顔料濃度0.1%に希釈し、これを母液とした。母液を母液槽に仕込んだのち循環ポンプを起動し、母液の循環を開始した。循環が安定したのちボールバルブを用いて圧力と流量を調整し、クロスフロー方式の分級ろ過を開始した。分級ろ過の条件は、温度20℃で圧力0.02MPa、循環流量1.88L/minであった。
所定時間後に母液と透過液から採取したサンプルの吸光度測定と粒径測定を行い、顔料透過性の評価と孔径分画性の評価を行った。その結果、顔料はセラミック膜を透過しなかった。
比較例3(セラミック膜による顔料分散体(1)の分級ろ過)
比較例2において、圧力を0.03MPa、循環流量を1.38L/minにした以外は、比較例2と同じ条件でクロスフロー方式の分級ろ過を行った。その結果、顔料はセラミック膜を透過しなかった。
Figure 2012144702
表1から、実施例1〜5で得られた顔料分散体は、比較例1〜3で得られた顔料分散体に比べて、膜の孔径分画性、顔料透過性に優れていることが分かる。
本発明によれば、所望の粒径分布を有する非水系顔料分散体を効率的に製造することができる。また、得られたカラーフィルター用着色組成物は、耐熱性、コントラスト比に優れているため、液晶表示素子や固体撮像素子等のカラーフィルター用色材として好適に使用することができる。

Claims (8)

  1. 顔料、水不溶性ポリマー、及び有機溶媒を含有する顔料分散体を、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理する工程を有する、非水系顔料分散体の製造方法。
  2. 多孔質ガラス膜がシラス多孔質ガラス膜である、請求項1に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  3. 多孔質ガラス膜の平均細孔径が0.01〜10μmである、請求項1又は2に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  4. 分級ろ過処理がクロスフローろ過処理である、請求項1〜3のいずれかに記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  5. 多孔質ガラス膜の平均細孔径よりも大きな粒径の顔料粒子を分離除去する、請求項1〜4のいずれかに記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  6. 顔料分散体から有機溶媒に溶解している成分を分離除去した後に、多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理するか、又は多孔質ガラス膜を用いて分級ろ過処理した後に顔料分散体から有機溶媒に溶解している成分を分離除去する、請求項1に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  7. 顔料分散体から有機溶媒に溶解している成分を分離除去する方法が、精密ろ過膜、限外ろ過膜、逆浸透膜、及びナノろ過膜から選ばれる1種以上のろ過膜を用いるろ過処理である、請求項6に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の方法によって得られた非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
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