JP2006306967A - イオン性色素化合物の精製方法およびインクジェット用記録液 - Google Patents

イオン性色素化合物の精製方法およびインクジェット用記録液 Download PDF

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Abstract

【課題】残留有機化合物が混入するイオン性色素化合物から残留有機溶媒を低減し、該化合物を精製する方法およびインクジェット用記録液を提供する。
【解決手段】残留有機溶媒が混入したイオン性色素化合物の水溶液または懸濁液を、多孔質分離材を介して透析する工程を含むイオン性色素化合物の精製方法を採用した。
【選択図】なし

Description

本発明は残留有機溶媒が混入したイオン性色素化合物から、残留有機溶媒を軽減し、精製する方法およびインクジェット用記録液に関する。より詳しくは、残留有機溶媒を含む不純物の混入を低減したアニオン性色素化合物の精製方法、および該精製方法で精製されたアニオン性色素化合物を含有するインクジェット用記録液に関する。
イオン性色素化合物は染料、農薬、医薬、洗剤、食品添加物など広範囲の産業分野で使用されている。イオン性色素化合物は水酸基、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基等に代表されるイオン性基と、これらイオン性基の対イオンを含有しているのが一般的である。
特に、情報記録分野において実用化されているインクジェット記録方法は、水性媒体中に水溶性染料や顔料等の色素化合物を溶解または分散させた記録液の液滴を、微小な吐出オリフィスから飛翔させて記録を行う方法である。これらの方式に使用されるインクに要求される性能としては、定着性が早くかつ印字物の印字品位が良好であること、すなわち被記録体表面におけるインクの拡がりによるドット太りに由来する画像品質の劣化や多色印刷の際の色重ね部または各色の境界部での滲みや掠れがなく、はっきりとした輪郭と鮮やかな色調を持つこと、さらにはその画像が十分な耐水性や耐光性を持つこと等が挙げられる。またインクの安定性も重要な要素であり、カートリッジ内での結晶析出やカートリッジに含有される添加物の溶出がなく、またノズル部における固化が起こらない等、長期間にわたって安定した吐出・記録が可能でなければならない。これらはインクの表面張力、pH等によって大きく影響される。
上記の諸特性は色素の性能、品質に負うところが大きい。そこでイオン性基の種類や個数、対イオンの選択を含む色素骨格設計と、夾雑する不要なイオン等の不純物の種類や量の注意深い管理によって、上記要求を満たす色素が考案、製造、品質保証されて市場に供給されている。具体的には、高い耐水性や耐滲み性が要求される色素についてはカルボキシル基やリン酸基等の比較的酸性度が弱いイオン性基を導入し、対イオンとしてはアンモニウムイオンを用いるのが一般的である。一方より高い吐出安定性、ノズル部の耐目詰まり性、記録液の保存安定性、高い色素濃度が要求される場合はスルホ基をイオン性基として選択し、対イオンとしてリチウム塩を用いることが一般的である。また諸特性の最適化のため複数個のイオン性基を導入することも広く行われているが、その場合も対イオンは最適なものが使用されるか、あるいは複数の対イオンが最適割合で使用される。
これらのイオン性基を有する色素化合物の工業的製造においては、目的物の取り出しにおいて酸析した後の中和、塩析、または貧溶媒(通常は有機溶剤)を加えての晶析等の工程を経ることが多い。しかしこれらの方法で得られるイオン性基を有する色素化合物を、このまま使用すると上記性能が満たされることは少なく、精製が必要となる。そこで、種々の精製方法が検討されている。例えば、特許文献1では水溶性染料の水溶液に炭素数1〜3のアルコールを作用させて目的染料を析出させ単離することで不純物としての塩類を低減する方法、特許文献2には無機酸と親水性有機溶剤を用いてフタロシアニン化合物の不純物を除去する方法が提案されている。しかしながら、例えば酸析を経る方法では、一般にろ過性の極めて悪い酸性ケーキをろ過する工程を少なくとも1回は含むため生産性が低く、酸性廃液が大量に発生すること、作業に長時間を有することが問題となる。また、特許文献1、2に開示されている方法は有機溶剤廃液が大量に発生し、加えて、精製した水溶性染料のろ過、乾燥を行うための設備リソースも必要となる。
一方、合成反応により得られたイオン性基を有する色素化合物は、目的の対イオンに変換するためイオン交換が行なわれている。例えば、特許文献3では特定の構造のアゾ染料に対して、酸析の後に中和し、透析によりアルカリ金属の塩化物を除去し、アンモニアまたはアミン塩に変換する方法が提案されている。また、特許文献4では、一度イオン交換樹脂処理でスルホン酸ナトリウムをスルホン酸基に変換した後、リチウム塩やアンモニウム塩に変換して逆浸透膜で不要なイオンを除去する方法が、特許文献5では、イオン交換した水溶液または分散液を、多孔性分離材を介して透析することで、イオン交換で放出された不要なイオンを除去する方法がそれぞれ提案されている。しかしながら、これらの提案で行なわれる透析は、いずれも不要なイオンを除去するために行なわれるものであり、しかも、イオン交換による方法は処理する液の濃度が生産性の律速になることが多く、イオン交換を行うには所望のイオンからなる塩化合物を大量に用いる必要がありコストアップの要因となる。
近年化学品製造プロセスの環境に対する負荷が問題になってきており、工程条件が簡便で、環境や作業に対する負荷が少なく、有害な溶剤や反応剤等を可能な限り使用しないクリーンな化学反応が求められるようになってきている(例えば、非特許文献1参照)。
このように従来の精製方法は、生産性、操作性、コスト、品質、反応1回あたりの処理量、環境への配慮等などを考慮すると決して有利な方法とは言えなかった。
特開2004−83906号公報 特開2004−315729号公報 特開平2−140270号公報 特許登録第2506327号公報 特開平11−130699号公報 化学フロンティア4 「グリーンケミストリー」,化学同人,GSCネットワーク訳,2001年11月30日
本発明者等は、残留する有機溶媒が品質上大きな問題になることを見出し、この除去方法を鋭意検討した。イオン性色素化合物のうち、特にフタロシアニン化合物やアゾ基の2つの窒素原子の両方に複素環基が置換したアゾ色素に対し、残留する有機溶媒の混入の品質への影響が大きいこともわかった。残留する有機溶媒は一度取り込まれるとその除去が困難である。
従って本発明が解決しようとする課題は、前記の諸問題点を解決し、工業的規模で経済的に、効率よく残留有機化合物が混入するイオン性色素化合物から残留有機溶媒を低減し、該化合物を精製する方法およびインクジェット用記録液を提供することにある。
本発明者等は上記の事情に鑑み残留有機化合物が混入するイオン性色素化合物から残留有機溶媒を低減し、該化合物を精製する方法についてさらに鋭意研究した結果、以下の手段によって上記の課題が解決されることを確認し、本発明を完成するに至ったものである。
(1)残留有機溶媒が混入したイオン性色素化合物の水溶液または懸濁液を、多孔質分離材を介して透析する工程を含むイオン性色素化合物の精製方法。
(2)前記残留有機溶媒が、アルコール系溶媒、芳香族系溶媒、スルホン系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒および飽和炭化水素系溶媒の少なくとも1種を含む(1)に記載の精製方法。
(3)前記残留有機溶媒の少なくとも1種が、沸点100℃以上の有機溶媒である、(2)に記載の精製方法。
(4)前記透析前のイオン性色素化合物における前記残留有機溶媒の総混入量が、1000ppm以上である、(1)〜(3)のいずれかに記載の精製方法。
(5)前記多孔質分離材が、逆浸透膜または限外ろ過膜である、(1)〜(4)のいずれかに記載の精製方法。
(6)前記イオン性色素化合物が、2個以上のアニオン性基を有しており、かつその対イオンがアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンである、(1)〜(5)のいずれかに記載の精製方法。
(7)前記イオン性色素化合物が、フタロシアニン化合物である、(1)〜(6)のいずれかに記載の精製方法。
(8)前記フタロシアニン化合物が、下記一般式(1)または(1A)で表される化合物である、(7)に記載の精製方法。
Figure 2006306967
(一般式(1)および(1A)中、X1〜X4は各々独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、スルホ基、−CONR12または−COR1を表す。ここで、Zは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表し、R1およびR2は各々独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。なお、Zが複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Y1〜Y4は各々独立に置換基を表す。ただし、X1〜X4およびY1〜Y4の少なくとも2個は、それ自体がアニオン性基であるか、またはアニオン性基を置換基として有する基である。a1〜a4およびb1〜b4は各々独立に0〜4の整数を表す。ただし、a1〜a4のすべてが同時に0であることはなく、またb1〜b4のすべてが同時に0となることはない。さらに、a1とb1、a2とb2、a3とb3、a4とb4の、それぞれの和は4を超えることはない。なお、a1〜a4およびb1〜b4が2以上の整数である場合、複数のX1〜X4およびY1〜Y4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Mは金属原子、金属原子の酸化物、金属原子の水酸化物または金属原子のハロゲン化物を表す。)
(9)前記イオン性色素化合物が下記一般式(2)で表される化合物である、(1)〜(6)のいずれかに記載の精製方法。
A−N=N−B (2)
(一般式(2)中、AおよびBは各々独立に、少なくとも1個のアニオン性基を有する複素環基を表す。)
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載の精製方法で精製されたイオン性色素化合物を含有する、インクジェット用記録液。
本発明により、工業的規模で経済的に、効率よく残留有機化合物が混入するイオン性色素化合物から残留有機溶媒を低減し、該化合物を精製する方法およびインクジェット用記録液を提供することができる。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明が対象とするイオン性色素化合物は、残留有機溶媒が混入したイオン性色素化合物であり、イオン性基を有しているイオン性色素化合物であれば特に限定されるものではない。
イオン性色素化合物のイオン性基の数は、好ましくは2個以上、より好ましくは3個以上、さらに好ましくは4個以上であり、上限は特に限定されるものではないが、12個以下が好ましく、より好ましくは10個以下、さらに好ましくは8個以下である。
なお、本発明においては、イオン性色素化合物は、水溶性色素、水溶性の有色添加物、水に分散しうる顔料であることが好ましく、分子量400〜2000のものがより好ましい。
イオン性基とは、水溶液中でイオン解離する基またはイオン解離しうる基であり、好ましくは、アニオン性基(好ましくは、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基)または、カチオン性基(好ましくは、1〜4級アミノ基)であり、より好ましくはアニオン性基であり、カルボキシル基またはスルホ基がさらに好ましい。
なお、一のイオン性色素化合物内に、イオン性基が複数存在する場合には、これらのイオン性基は互いに同一でも異なっていてもよい。また、ノニオン性親水性基(水酸基、エチレンオキシ基等のエーテル結合を有する基等)が色素化合物の分子内に共存して親水性を高めるイオン性化合物も好ましい。
アニオン性基の対イオンとしてはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンが好ましい。アルカリ金属イオンとしては、好ましくは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオンであり、より好ましくは、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンであり、さらに好ましくはリチウムイオン、ナトリウムイオンである。またナトリウムカリウム塩、ナトリウムアンモニウム塩、リチウムアンモニウム塩といった複数種の対イオンを含む複塩であってもよく、本発明の好ましい実施形態の1つである。対イオンの形態や、複数の対イオンを含む場合の最適割合は、目的とする化合物に要求される性能に応じて適宜選択される。例えば、ナトリウムカリウム塩、ナトリウムアンモニウム塩である。
本発明における好ましいイオン性色素化合物としては、例えば、アゾ色素、ポリアゾ色素、金属錯体アゾ色素、アントラキノン色素、アントラピリドン色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ホルマザン色素、ジオキサジン色素、インドアニリン色素等を挙げることができる。
これらの中でもアゾ色素、ポリアゾ色素、金属錯体アゾ色素、アントラピリドン色素、フタロシアニン色素がより好ましく、アゾ色素、ポリアゾ色素、フタロシアニン色素がより好ましい。
本発明における好ましいイオン性色素化合物として、下記一般式(1)または(1A)で表される化合物を挙げることができる。
Figure 2006306967
一般式(1)および(1A)中、X1〜X4は各々独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、スルホ基、−CONR12または−COR1を表す。ここで、Zは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表し、R1およびR2は各々独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。なお、Zが複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Y1〜Y4は各々独立に置換基を表す。ただし、X1〜X4およびY1〜Y4の少なくとも2個は、それ自体がアニオン性基であるか、またはアニオン性基を置換基として有する基である。a1〜a4およびb1〜b4は各々独立に0〜4の整数を表す。ただし、a1〜a4のすべてが同時に0であることはなく、またb1〜b4のすべてが同時に0となることはない。さらに、a1とb1、a2とb2、a3とb3、a4とb4の、それぞれの和は4を超えることはない。なお、a1〜a4およびb1〜b4が2以上の整数である場合、複数のX1〜X4およびY1〜Y4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Mは金属原子、金属原子の酸化物、金属原子の水酸化物または金属原子のハロゲン化物を表す。
1〜X4は、−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、−CONR12が好ましく、−SO2−Z、−SO2NR12がより好ましく、−SO2−Zがさらに好ましい。なお、X1〜X4はそれぞれ同じ置換基でもよく、あるいは、例えばX1〜X4がすべて−SO2−Zであり、かつ各Zが異なるものを含む場合のように、同じ種類の置換基であるが部分的にお互い異なる置換基であってもよく、あるいは互いに異なる置換基を、例えば−SO2−Zと−SO2NR12とを、含んでいてもよい。
Zは、好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基であり、より好ましくは置換アルキル基、置換アリール基、または置換複素環基である。
1、R2は、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基が好ましく、水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、または置換複素環基がより好ましい。また、R1が水素原子の場合、R2は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基が好ましい。
1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素原子数が1〜30のアルキル基が好ましい。色素化合物の溶解性やインクの安定性をより高めるという理由から分岐のアルキル基が好ましく、不斉炭素を有する場合はラセミ体での使用がさらに好ましい。置換アルキル基の置換基の例としては、前述のイオン性基や後述のY1〜Y4における置換基が挙げられる。中でも水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基が色素化合物の会合性を高め、堅牢性を向上させるのでより好ましい。この他にハロゲン原子やアニオン性基、ノニオン性親水性基を有していても良い。なおアルキル基の炭素原子数は置換基の炭素原子を含まず、他の基についても同様である。
1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜30のシクロアルキル基が好ましい。色素化合物の溶解性やインクの安定性をより高めるという理由から、不斉炭素を有する場合はラセミ体での使用がより好ましい。置換シクロアルキル基の置換基の例としては、前述のイオン性基や後述のY1〜Y4における置換基が挙げられる。中でも水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基が色素化合物の会合性を高め、堅牢性を向上させるのでより好ましい。この他にハロゲン原子やアニオン性基、ノニオン性親水性基を有していても良い。
1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のアルケニル基としては、炭素原子数が2〜30のアルケニル基が好ましい。色素化合物の溶解性やインクの安定性をより高めるという理由から、分岐のアルケニル基が好ましく、不斉炭素を有する場合はラセミ体での使用がさらに好ましい。置換アルケニル基が有していてもよい置換基としては、前述のイオン性基や後述のY1〜Y4における置換基が好ましい例として挙げられる。中でも水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基が色素化合物の会合性を高め、堅牢性を向上させるのでより好ましい。この他にハロゲン原子やアニオン性基、ノニオン性親水性基を有していても良い。
1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜30のアラルキル基が好ましい。色素化合物の溶解性やインクの安定性を高めるという理由から、分岐のアラルキル基が好ましく、不斉炭素を有する場合はラセミ体での使用がより好ましい。置換アラルキル基の置換基の例としては、前述のイオン性基や後述のY1〜Y4における置換基が挙げられる。中でも水酸基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、シアノ基、アシルアミノ基、スルホンアミド基が色素化合物の会合性を高め、堅牢性を向上させるのでより好ましい。この他にハロゲン原子やアニオン性基、ノニオン性親水性基を有していても良い。
1、R2およびZが表す置換もしくは無置換のアリール基としては、炭素原子数が6〜30のアリール基が好ましい。置換アリール基の置換基の例としては、前述のイオン性基や後述のY1〜Y4における置換基が好ましい例として挙げられる。中でも色素化合物の酸化電位を基とし堅牢性を向上させるので電子吸引性基が好ましい。電子吸引性基としては、ハメットの置換基定数σp値が正のものが挙げられる。中でもハロゲン原子、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、またはスルホ基が好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基またはスルホ基がより好ましい。
1、R2およびZが表す複素環基としては5員環または6員環のものが好ましく、それらはさらに縮環していてもよい。また、複素環基は芳香族複素環でも非芳香族複素環であってもよい。
複素環基を、置換位置を省略して環の名称で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジン環であれは2位、3位、4位で置換することが可能である。他にはピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、ピロール環、インドール環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−オキサジアゾール環、1,3,4−オキサジアゾール環、ピロリジン環、ピペラジン環、チアゾリン環等が挙げられる。これらの中でも芳香族複素環基が好ましく、その具体例としてはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環等を挙げることができる。これらは置換基を有していてもよく、該置換基の例としては、前述のイオン性基や後述のY1〜Y4における置換基が挙げられる。好ましい置換基は前記アリール基の置換基と同一である。
1〜Y3における置換基としてはハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基(アルキレンジオキシ基を部分構造に含むものも包含する)、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、複素環基、シアノ基、ニトロ基、水酸基、カルボキシル基、スルホ基、アミノ基、アルキルアキノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、イミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、アシルアミノ基、アシルオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ニトロ基、ホルミル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基などを挙げることができるが、これらに限定されることはない。
また、これらの各基はさらに置換基を有してもよい。このような場合、該置換基としては上記に例示したものが好ましい。これらの置換基はさらに置換基で置換されていてもよく、例えばアリール基を置換基として有する基の場合、そのアリール基上に、アルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基などを、好ましくは1〜5個、より好ましくは1〜2個有していてもよい。また本明細書において「ハロゲン原子」という場合にはフッ素、塩素、臭素、またはヨウ素のいずれでもよく、ハロゲン原子を含む置換基(例えばハロアルキル基など)において2個以上のハロゲン原子が存在する場合にはそれらは同一でも異なっていてもよい。
a1〜a4、b1〜b4において、a1とb1、a2とb2、a3とb3、a4とb4のそれぞれの和は4を超えることはない。好ましいa1〜a4は、それぞれ0〜2であり、より好ましくはそれぞれ1または2であり、さらに好ましくはa1〜a4がすべて1を表す場合である。好ましいb1〜b4はそれぞれ0〜2であり、より好ましくはそれぞれ0または1であり、最も好ましくはb1〜b4がすべて0を表す場合である。なおa1〜a4、b1〜b4が2以上の整数である場合、複数のX1〜X4、Y1〜Y4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。
但し、X1〜X4、Y1〜Y4の少なくとも2つは、それ自体が、アニオン性基であるか、またはアニオン性基を置換基として有する。アニオン性基の具体例、好ましい範囲は先に説明した内容と同一である。なお、アニオン性基の対イオンは、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンが好ましく、その具体例、好ましい範囲も先に説明した内容と同一である。
Mは金属原子、金属原子の酸化物、金属原子の水酸化物または金属原子のハロゲン化物を表す。
金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、SbおよびBi等が挙げられる。金属原子の酸化物としてはVOおよびGeO等が挙げられる。金属原子の水酸化物としてはSi(OH)2、Cr(OH)2およびSn(OH)2等が挙げられる。金属原子のハロゲン化物としてはAlCl、SiCl2、VCl、VCl2、VOCl、FeClおよびZrCl等が挙げられる。
Mは、Li、Mg、Ti、Zr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Al、VOが好ましく、Mg、Ti、Mo、Co、Ni、Cu、Zn、Al、VOがより好ましく、Ni、Cu、Zn、VOがさらに好ましく、Cuが最も好ましい。
本発明における第二の好ましいイオン性色素化合物は、下記一般式(2)で表される化合物を挙げることができる。
A−N=N−B (2)
一般式(2)中、AおよびBは各々独立に、少なくとも1個のアニオン性基を有する複素環基を表す。
複素環基としては5員環または6員環のものが好ましく、単環構造であっても2つ以上の環が縮合した多環構造であってもよい。該複素環基は環構成原子に窒素原子、酸素原子、硫黄原子のいずれかを少なくとも1つ含むものが好ましい。また複素環基は、AおよびBのうちの少なくとも一方が芳香族複素環基であることが好ましく、両方が芳香族複素環基であることがさらに好ましい。
複素環基の具体例としてはチエニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソオキサゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基等を挙げることができる。より好ましくはチエニル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソオキサゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基であり、さらに好ましくはピロリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピリミジル基、キノリル基、イソキノリル基であり、最も好ましくはイミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ピリジル基である。該複素環基は置換基を有していてもよく、置換基としては前述のイオン性基もしくはイオン性基を有する置換基、Y1〜Y4における置換基が好ましい例として挙げられる。複素環基が有するアニオン性基は、該複素環上若しくは前記複素環上に置換したアリール基上に存在する場合、または、複素環上に置換した置換基であるアリール基に存在している場合が好ましい。アニオン性基の具体例、好ましい範囲は先に説明した内容と同一である。好ましいアニオン基の個数は2〜7の範囲であるが、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは3〜5である。アニオン性基の対イオンとしてはアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンが好ましい。その具体例、好ましい範囲も先に説明した内容と同一である。
一般式(2)で表される化合物の好ましい骨格としては、例えば、特開2001−279145号公報(該公報中、一般式(2)〜(4)で表される化合物が好ましい)、特開2002−371079号公報(該公報中、一般式(1)で表される化合物が好ましい)、特開2002−371214号公報(該公報中、一般式(1)、(AZ−1)で表される化合物が好ましい)に記載の色素化合物が挙げられる。従って、本願明細書は、これらの公報に記載された上記対応の一般式の説明における記載部分を、好ましく取り込まれる。
一般式(1)、(1A)および一般式(2)で表される化合物は、置換基の種類によっては1個または2個以上の不斉炭素を有する場合があるが、該不斉炭素に基づく任意の光学異性体またはジアステレオ異性体はいずれも本発明の範囲に包含される。また純粋な形態の異性体のほか、それらの任意の混合物、ラセミ体なども本発明の範囲に包含される。一般式(1)、(1A)および一般式(2)で表される化合物が1個または2個以上の二重結合を含む場合には、該二重結合に基づく任意の幾何異性体も本発明の範囲に包含される。
以下に本発明における好ましいイオン性色素化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下に示す化合物には互変異性体が存在する場合があるが、本明細書に記載された化学構造式は便宜上これらの互変異性体の1つを記載したものであることを理解すべきである。従って、いずれの互変異性体も本発明の範囲に包含されることはいうまでもない。
Figure 2006306967
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Figure 2006306967

Figure 2006306967
Figure 2006306967
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一般式(1)、(1A)、(2)で表される化合物は、特開2004−83906号公報、特開2004−315729号公報、特開2004−357773号公報、特開2001−279145号公報、特開2002−371079号公報、特開2002−371214号公報に記載の方法またはこれに準じた方法で容易に合成することができる。
次に、残留有機化合物が混入する上記イオン性色素化合物から残留有機溶媒を低減し、該化合物を精製する方法について具体的に説明する。
本発明では、残留有機溶媒が混入したイオン性色素化合物の水溶液または懸濁液を、多孔質分離材を介して透析することにより、残留有機溶媒の混入量を低減し、イオン性色素化合物を精製するものである。このとき、混入する他の不純物(例えば、無機塩、無機イオン、反応に使用した触媒や有機若しくは無機の酸や塩基等)も除去できる。なお、本発明においては、水溶性の反応液をそのまま透析する場合には、反応液自体にイオン性色素化合物が溶解または懸濁状態となっているものを使用する限りにおいて、本発明に包含されるものである。
本発明における残留有機溶媒は、イオン性色素化合物を合成する際に、反応溶媒に有機溶媒を使用した場合や反応処理に有機溶媒を使用した場合に、合成されたイオン性色素化合物に混入するものである。これらの有機溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1−ブタノール)、芳香族系溶媒(例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、ニトロベンゼン)、スルホン系溶媒(例えば、スルホラン、ジメチルスルホキシド)、ハロゲン系溶媒(例えば、脂肪族ハロゲン化溶媒、芳香族ハロゲン化溶媒を含む)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピリドン)、エステル系溶媒(例えば、酢酸エチル、酢酸n−ブチル)、エーテル系溶媒(例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドルフラン、ジオキサン)、飽和炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル)が挙げられ、本発明においてはアルコール系溶媒、芳香族系溶媒、スルホン系溶媒が残留する場合により好ましく適用される。
これらのうち、沸点が100℃以上(好ましくは150℃上で、上限は特に限定されるものではないが、400℃以下が好ましい)の有機溶媒が混入した場合に、特に有効である。ここで、沸点が100℃以上の溶媒としては、エチレングリコール、トルエン、ニトロベンゼン、スルホランを例示することができ、好ましく適用される。中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1−ブタノール、ニトロベンゼン、スルホランの場合に特に好ましく適用される。
本発明の精製方法は、イオン性色素化合物に混入する残留有機溶媒の総混入量が1000ppm以上の場合に好ましく適用され、より好ましくは沸点が100℃以上の有機溶媒の混入量が1000ppm以上の場合である。残留有機溶媒の除去操作後の残留有機溶媒の混入量は0ppmが望ましいが、少なくとも1000ppm未満にすることが望ましく、特に沸点100℃以上の有機溶媒の場合、700ppm以下が好ましく、600ppmがより好ましく、500ppm以下が最も好ましい。
本発明では、イオン性色素化合物は、反応後に抽出、晶析、ろ過等の付帯的な工程を伴っていてもよい任意の化学合成的工程によって得られる、有機溶媒、さらにはこれに加えて目的外の塩化合物を含むイオン性色素化合物、好ましくはイオン性色素化合物のケーキ、粉体、溶液が原料として使用される。なお、ケーキまたは粉体を用いる場合は、水に溶解または分散した水溶液もしくはスラリーにし、被処理液として用いられる。
本発明において、多孔質分離材処理に付される被処理液中のイオン性色素化合物の濃度としては好ましくは0.5〜50%、より好ましくは1.0〜25%、さらに好ましくは4.0〜15%である。0.5%以上とすることにより、被処理液量が多くなり過ぎず、処理時間をより短時間とすることができる。また、50%以下とすることにより、透過流速が低くなり過ぎず、処理時間をより短時間とすることができ、さらに残留有機溶媒および目的外の塩化合物の除去効率もより高くなるため好ましい。
多孔質分離材としては逆浸透膜または限外ろ過膜が挙げられる。本発明において用いられる逆浸透膜または限外ろ過膜としては、イオン性色素化合物と残留有機溶媒、さらには目的外の塩化合物(無機イオン)の透過率に差が生じるものであれば特に限定されないが、好ましくは塩化ナトリウム阻止率を基準とした場合、5〜99%程度の逆浸透膜が、より好ましくはナノフィルトレーション膜あるいはルーズRO膜等と呼ばれる塩化ナトリウム阻止率が5〜50%のものが好ましい。塩化ナトリウム阻止率50%以下の膜を用いることにより、残存有機溶媒、さらには目的外の塩化合物をより効果的に透過させ、より分離効率を高くすることができ、また、透過流速が低くならず高圧を要しないため、工程上より有利である。イオン性色素化合物が透過流出しない場合、さらに細孔径の大きな限外ろ過膜等の分離膜を用いることで、より効率的に処理を行える。なお塩化ナトリウム阻止率とは、塩化ナトリウム含有量が2000ppmの水溶液を5.0kg/cm2、25℃の条件下で処理したとき、膜によって阻止される塩化ナトリウム量(%)、すなわち(1−透過液濃度/原液濃度)×100で表されるものである。
本発明で使用される多孔質分離材の材質は特に限定されるものではないが、酢酸セルロース系、ポリアミド系、ポリイミド系、合成高分子系のものが好ましい。より好ましくは荷電性合成高分子膜である。ここでいう荷電性合成高分子膜とは、構成分子中に正あるいは負に帯電する官能基を有する膜のことである。さらに好ましくは負荷電性の膜で、被処理液である色素化合物が複数個のアニオン性基を有する場合、色素化合物の阻止率、すなわち多孔質分離材により阻止される割合がより高くなり、より高収率での精製が可能となる。負荷電性の膜としては、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン等の有機重合体や、セラミック、多孔質ガラス等の無機物質にカルボキシル基やスルホン基等を導入した膜が例として挙げられる。
分離膜の形状に関しても特に限定されるものではなく、例えばチューブラー型、スパイラル型、中空糸型、平板型等が代表例として挙げられるが、いずれの形態のものも用いることができる。
本発明の多孔質分離材を介する残留有機化合物が混入するイオン性色素化合物から残留有機溶媒を低減し、該化合物を精製する方法においては、工程方式は特に限定されない。例えば、回分式(デッドエンドフィルトレーション方式)、循環式(クロスフローフィルトレーション方式)、被処理液槽に水を加え、色素化合物の濃度を一定に保ちながらクロスフローで循環させる方式(ダイアフィルトレーション方式)のいずれの方法でも精製を行うことができる。いずれの場合においても膜面付近の濃度分極を防止し、液全体の濃度を均一にすることが透過流速の低下を防止する点から望ましい。そのために回分式の場合には攪拌機等による攪拌を行い、循環式の場合には被処理液循環速度を適宜調節することが望ましい。
多孔質分離材を介する本発明の精製方法において、透析処理を行う際の圧力、pHは、分離膜の種類や原料として用いるイオン性色素化合物のケーキ、粉体、溶液の種類や品質によって異なり、適宜定めることができる。
圧力は、0.1〜50kg/cm2の範囲が好ましい。圧力を0.1kg/cm2以下とすることにより、被処理液の透過流速が遅くなるのをより効果的に抑止でき、50kg/cm2以上とすることにより、分離材あるいはユニットを形成しているハウジング部、シール部等の耐久性をより効果的に保持できる。
pHは、膜の耐久範囲内(例えば、pH2.0〜11.0の範囲)から選択され、多孔質分離材を介して処理されるイオン性色素化合物がカルボキシル基、スルホ基、リン酸基を有する場合は、結晶析出をより効果的に防ぐため、好ましくは5.0〜10.0、より好ましくは6.0〜9.0のpH範囲で処理が行われる。温度は5.0〜80℃、好ましくは10〜60℃、より好ましくは15〜45℃の間の温度が選ばれる。分離膜の材質や形態、処理液の粘度等によって最適操作温度は異なり、予備実験にて確認される。
本発明の精製方法では、例えば、残留溶媒が、精製前の5%以下まで低減することができる。特に、沸点100℃以上の有機溶媒を、例えば、精製前の1%以下まで低減することができる。さらに、無機イオンについても、精製前の1%以下まで低減することができる。
以上説明した精製方法により、残留有機溶媒、さらには目的外の塩化合物が低減されたイオン性色素化合物を得ることができる。
本発明の精製方法は種々の用途に供されるイオン性色素化合物に適用可能であるが、好適な対象の1つとしてインクジェット用記録液に用いる色素が挙げられる。本発明の精製方法により精製された色素化合物を、必要に応じ高純度水を加えて所望の色濃度に調整する。色濃度の調整は、溶液の吸光度を測定することで判断することができる。記録液の調整は常法に従って行うことが可能であり、得られた色素水溶液に公知の各種添加剤を配合し、インクジェット記録液が得られる。
添加剤の例としては、例えば乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用され、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(またはブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、N‐メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の複素環類、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらの中でもグリセリン等の多価アルコールあるいはトリエチレングリコールモノエチル(またはブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類がより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの乾燥防止剤はインク中に5.0〜50質量%含有することが好ましい。
浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。浸透促進剤としてはジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5.0〜30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
紫外線吸収剤は画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号明細書等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャー No.24239に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
褪色防止剤は画像の保存性を向上させる目的で使用される。 褪色防止剤としては各種の有機系あるいは金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機系褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、クロマン類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.18716の650ページ左欄、同No.36544の527ページ、同No.307105の872ページ、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や、特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式および化合物例に記載された化合物を使用することができる。
防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロ岸安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびそのナトリウム塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.0質量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては有機塩基、無機塩基を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6.0〜10.0となるように添加するのが好ましい。
表面張力調整剤としてはノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤またはアニオン性界面活性剤が挙げられる。インクジェット用インクの表面張力は20〜60mN/mが好ましく、25〜45mN/mがより好ましい。またインクジェット用インクの粘度は30mM/m以下が好ましく、20mN/m以下に調整することがより好ましい。
界面活性剤としては脂肪酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤やポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。またアセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
消泡剤としてはフッ素系、シリコーン系化合物や、EDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
本発明のインクジェット用記録液の記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337948号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載されているインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
本発明のインクジェット用記録液は記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、およびインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数放射する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
参考例1: 化合物1−1の合成
特開2004−315729号公報に記載の方法に準じて合成した。反応式を以下に示す。
Figure 2006306967
化合物A(26.3g)、酢酸(2.5mL)をエチレングリコール(50mL)に懸濁し、内温120℃まで加熱して溶解した。内温85℃まで冷却ののち、酢酸リチウム(5.4g)、塩化第2銅(2.9g)を添加し、さらにエチレングリコール(20mL)を加えた。反応混合物を85℃で1時間、100℃で3時間攪拌ののち70℃まで冷却し、塩化リチウム(5g)を加えてそのままの温度で1時間攪拌した。
アセトン(500mL)を内温70℃に保ちながら滴下し、反応混合物を1時間加熱還流した。25℃まで冷却ののち析出した結晶をろ過して集め、アセトンで洗浄、乾燥して目的とする化合物1−1を青紫色粉体として得た。収量は25.8gであった。これを化合物1−1(粗)とする。
参考例2: 化合物1−2の合成
反応式を以下に示す。
Figure 2006306967
原料として化合物A(23.2g)、化合物B(9.0g)を用いて特開2004−315729号公報に記載の方法に準じて合成を行い、化合物1−2を青紫色粉体として得た。収量は28.4gであった。これを化合物1−2(粗)とする。
参考例3: 化合物1−3の合成
反応式を以下に示す。
Figure 2006306967
原料として化合物A(15.5g)、化合物B(18g)を、溶媒としてジエチレングリコールを用いて特開2004−315729号公報に記載の方法に準じて合成を行い、化合物1−3を青紫色粉体として得た。収量は27.1gであった。これを化合物1−3(粗)とする。
参考例4: 化合物2−1の合成
特開2004−35773号公報に記載の方法に従って合成した。反応式を以下に示す。
Figure 2006306967
化合物C(5.0g)とニトロベンゼン(15mL)からなる混合物に、内温20℃以下で三酸化硫黄(4mL)を滴下した。反応混合物を内温30℃で4時間攪拌の後、蒸留水(10mL)をゆっくり加えて反応を停止した。10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH6.0まで中和し、メタノール(10mL)を滴下した。反応混合物25℃まで冷却ののち析出した無機塩をろ過して除去し、濾液にエタノール(75mL)を25℃にて滴下すると結晶が析出した。析出した結晶をろ過して集め、エタノールで洗浄、乾燥して目的とする化合物2−1を暗赤色粉体として得た。収量は5.5gであった。これを化合物2−1(粗)とする。
参考例5: 化合物2−2の合成
特開2004−35773号公報に記載の方法に準じて合成した。反応式を以下に示す。
Figure 2006306967
化合物C(14.0g)とスルホラン(50mL)からなる混合物に、内温30℃以下で三酸化硫黄(13g)を滴下した。反応混合物を内温65℃で2.5時間攪拌ののち40℃まで冷却し、蒸留水(15mL)を加えて反応を停止した。10%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH1.0まで中和し、さらに28%ナトリウムメトキシド/メタノール溶液を加えてpH2.2まで中和し、メタノール(40mL)を添加した。
析出した無機塩をろ過して除去し、濾液に無水酢酸カリウム(7.8g)を添加した。さらにメタノール(40mL)、エタノール(160mL)をこの順に滴下し、反応混合物を内温0〜10℃で攪拌した。析出した結晶をろ過して集め、エタノールで洗浄、乾燥して目的とする化合物2−2を暗赤色粉体として得た。収量は18.5gであった。これを化合物2−2(粗)とする。
参考例6: 水溶性アゾ染料 化合物2−3の合成
反応式を以下に示す。なお、中間体Dは特開2002−322151号公報、特開2002−371079号公報に記載されている中間体の誘導体であり、2,4,6−トリメチルアニリンの代わりに2,6−ジエチル−4−メチルアニリンを用いることで合成することが可能である。
Figure 2006306967
化合物D(3.0g)とスルホラン(9mL)からなる混合物に、内温30℃以下で三酸化硫黄(1.4mL)を滴下した。反応混合物を内温60℃で2.5時間攪拌ののち40℃まで冷却し、蒸留水(3mL)を加えて反応を停止した。4規定水酸化リチウム水溶液を加えてpH6.0まで中和し、1−ブタノールを加えて抽出した。上層の1−ブタノール層を分取し、1−ブタノール層を20%塩化リチウム水溶液で洗浄した。1−ブタノールを留去したのち、残渣に内温50℃で酢酸エチルを加えると結晶が析出した。反応混合物を50℃で30分攪拌ののち20℃まで冷却した。
析出した結晶をろ過して集め、酢酸エチルで洗浄、乾燥して目的とする化合物2−3を暗赤色粉体として得た。収量は4.1gであった。これを化合物2−3(粗)とする。
参考例7: 化合物2−4の合成
反応式を以下に示す。
Figure 2006306967
化合物C(3.0g)とスルホラン(9mL)からなる混合物に、内温30℃以下で三酸化硫黄(1.4mL)を滴下した。反応混合物を内温60℃で2.5時間攪拌ののち40℃まで冷却し、蒸留水(3mL)を加えて反応を停止した。28%アンモニア水を加えてpH6.0まで中和し、1−ブタノールを加えて抽出した。上層の1−ブタノール層を分取し、1−ブタノール層に酢酸ナトリウム(600mg)を加えて50℃で2時間攪拌した。1−ブタノールを留去したのちに、残渣に内温50℃で酢酸エチルを加えると結晶が析出した。反応混合物を50℃で30分攪拌ののち10℃まで冷却した。析出した結晶をろ過して集め、酢酸エチルで洗浄、乾燥して目的とする化合物2−4を暗赤色粉体として得た。収量は3.9gであった。これを化合物2−4(粗)とする。
実施例1
参考例1、参考例4に記載の方法で得た化合物1−1(粗)20gおよび化合物2−1(粗)20gのそれぞれに230gのイオン交換水を加え、60℃で2時間攪拌し、化合物1−1(粗)および化合物2−1(粗)の染料水溶液を調製した。日東電工(株)製メンブレンマスター平膜セルC40−Bに塩化ナトリウム排除率50%の逆浸透膜であるNTR−7450(材質:ポリエーテルスルホン)を装着して染料水溶液を仕込み、窒素圧(ろ過圧)15kg/cm2、25℃、攪拌子回転数400rpm、pH8で1.5時間に渡って全質量が180gになるまで逆浸透膜処理を行った。処理方式は回分式で行った。
得られた180gの染料水溶液に70gのイオン交換水を加えて希釈し、再度全質量が180gになるまで逆浸透膜処理を行った。この操作を7回繰り返して、化合物1−1および化合物2−1の染料水溶液を各々180g得た。逆浸透膜処理を行う前、処理を行った後の染料水溶液中の無機イオン、残留有機溶剤含量を分析した結果を表1に示した。
Figure 2006306967
実施例2
参考例2、参考例5に記載の方法で得た化合物1−2(粗)20g、および、化合物2−2(粗)20gそれぞれに230gのイオン交換水を加え、60℃で2時間攪拌し、化合物1−2(粗)および化合物2−2(粗)の染料水溶液を調製した。以下実施例1に記載の方法に従って逆浸透膜処理を行った。逆浸透膜処理を行う前、処理を行った後の染料水溶液中の無機イオン、残留有機溶剤含量を分析した結果を表2に示す。
Figure 2006306967
実施例3
参考例6に記載の方法で得た化合物2−3(粗)20gに230gのイオン交換水を加え、60℃で2時間攪拌し染料水溶液を調製した。以下実施例1に記載の方法に従って逆浸透膜処理を行った。
逆浸透膜処理を行う前、処理を行った後の染料水溶液中の無機イオン、残留有機溶剤含量を分析した結果を表3に示す。
Figure 2006306967
実施例4
参考例2、参考例5に記載の方法で得た化合物1−2(粗)20g、および、化合物2−2(粗)それぞれに500gのイオン交換水を加え、60℃で2時間攪拌し、化合物1−2(粗)および化合物2−2(粗)の染料水溶液をそれぞれ調製した。日東電工(株)製メンブレンマスター平膜セルC−10Tに、公称分画分子量20,000の限外ろ過膜であるNTU−2120(材質:ポリオレフィン)を装着して染料水溶液を仕込み、窒素圧(ろ過圧)2.0kg/cm2、25℃、循環流量1.5L/min、pH8で約1.5時間にわたって全質量が250gになるまで限外ろ過膜処理を行った。処理方式はクロスフロー式で行った。
得られた250gの染料水溶液に250gのイオン交換水を加えて希釈し、再度全質量が250gになるまで逆浸透膜処理を行った。この操作を3回繰り返して、化合物1−2および化合物2−2の染料水溶液を各々250g得た。限外ろ過膜処理を行う前、処理を行った後の染料水溶液中の無機イオン、残留有機溶剤含量を分析した結果を表4に示す。
Figure 2006306967
実施例5
参考例2、参考例5に記載の方法で得た化合物1−2(粗)2.0kg、および化合物2−2(粗)2.0kgそれぞれに18kgのイオン交換水を加え、60℃で1時間攪拌して化合物1−2(粗)および化合物2−2(粗)の染料水溶液をそれぞれ調製した。日東電工(株)製RUW−5型逆浸透膜装置に塩化ナトリウム排除率30%の逆浸透膜NTR−7410(材質:ポリエーテルスルホン)、S2−F(スパイラルモジュール)を装着して上記染料水溶液を仕込み、窒素圧(ろ過圧)15kg/cm2、40℃、pH8で、処理透過液量40kgになるまでダイアフィルトレーション方式で逆浸透膜処理を行って化合物1−2および化合物2−2の染料水溶液を得た。逆浸透膜処理を行う前、処理を行った後の染料水溶液中の無機イオン、残留有機溶剤含量を分析した結果を表5に示す。
Figure 2006306967
実施例6: インクジェット用記録液の実施例および評価
実施例5で精製した化合物1−2および化合物2−2の染料水溶液および下記成分を使用した。これらに高純度水を加えて容量1.0Lとした後、30〜40℃の範囲で加熱しながら1時間攪拌した。25℃まで冷却したのち平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧ろ過してインク液を調液した。なお処理前および実施例3で処理を行なったフタロシアニンおよびアゾ色素について作製した。
・ シアンインク
化合物1−2の染料水溶液 35.0g(染料原末換算)
ジエチレングリコール 130g
グリセリン 180g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 140g
サーフィノール465 10.5g
トリエタノールアミン 6.3g
ベンゾトリアゾール 0.08g
Proxel XL2 1.2g
・ シアンインク(比較例)
化合物1−2(粗) 35.0g
ジエチレングリコール 130g
グリセリン 180g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 140g
サーフィノール465 10.5g
トリエタノールアミン 6.3g
ベンゾトリアゾール 0.08g
Proxel XL2 1.2g
・ マゼンタインク
化合物2−2の染料水溶液 30.0g (染料原末換算)
ジエチレングリコール 110g
尿素 46g
グリセリン 160g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 140g
サーフィノール465 10.0g
トリエタノールアミン 7.0g
ベンゾトリアゾール 0.07g
Proxel XL2 1.5g
・ マゼンタインク (比較例)
化合物2−2(粗) 30.0g
ジエチレングリコール 110g
尿素 46g
グリセリン 160g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 140g
サーフィノール465 10.0g
トリエタノールアミン 7.0g
ベンゾトリアゾール 0.07g
Proxel XL2 1.5g
調液したこれらのインクを、EPSON社製インクジェットプリンターPM−950Cのシアンインクまたはマゼンタインクのカートリッジにそれぞれ充填し、その他の色のインクはPM−950C用のインクを用いて、シアンあるいはマゼンタの単色画像を印字させた。受像シートは富士写真フイルム(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」に画像を印刷し、高湿条件下における画像堅牢性の評価を行った。
印字品質は吐出安定性で評価した。すなわちカートリッジをプリンターにセットし全ノズルからのインクの突出を確認したのち機械を止め、15℃/30%相対湿度(RH)の環境、さらに35℃/90%相対湿度(RH)の環境にプリンターをそれぞれ240時間ずつ放置し、その後A4画像100枚を出力して以下の基準で評価した。結果を表6に示す。
A:印刷開始から終了まで印字の乱れなし
B:印字の乱れのある出力が発生する
C:印刷開始から終了まで印字の乱れあり
Figure 2006306967
以上の結果より、本発明の精製方法によって精製されたイオン性色素化合物を含むインクジェット用記録液は、インクジェット記録した場合インク吐出部におけるつまりがなく、印字品質に優れることは明らかである。
またシアンインク(比較例)、マゼンタインク(比較例)は室温、28日間の保管で析出物が認められた。

Claims (10)

  1. 残留有機溶媒が混入したイオン性色素化合物の水溶液または懸濁液を、多孔質分離材を介して透析する工程を含むイオン性色素化合物の精製方法。
  2. 前記残留有機溶媒が、アルコール系溶媒、芳香族系溶媒、スルホン系溶媒、ハロゲン系溶媒、アミド系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒および飽和炭化水素系溶媒の少なくとも1種を含む請求項1に記載の精製方法。
  3. 前記残留有機溶媒の少なくとも1種が、沸点100℃以上の有機溶媒である、請求項2に記載の精製方法。
  4. 前記透析前のイオン性色素化合物における前記残留有機溶媒の総混入量が、1000ppm以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の精製方法。
  5. 前記多孔質分離材が、逆浸透膜または限外ろ過膜である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の精製方法。
  6. 前記イオン性色素化合物が、2個以上のアニオン性基を有しており、かつその対イオンがアルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンである、請求項1〜5のいずれか1項に記載の精製方法。
  7. 前記イオン性色素化合物が、フタロシアニン化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の精製方法。
  8. 前記フタロシアニン化合物が、下記一般式(1)または(1A)で表される化合物である、請求項7に記載の精製方法。
    Figure 2006306967
    (一般式(1)および(1A)中、X1〜X4は各々独立に−SO−Z、−SO2−Z、−SO2NR12、スルホ基、−CONR12または−COR1を表す。ここで、Zは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表し、R1およびR2は各々独立に水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のシクロアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアラルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換の複素環基を表す。なお、Zが複数個存在する場合、それらは同一でも異なっていてもよい。Y1〜Y4は各々独立に置換基を表す。ただし、X1〜X4およびY1〜Y4の少なくとも2個は、それ自体がアニオン性基であるか、またはアニオン性基を置換基として有する基である。a1〜a4およびb1〜b4は各々独立に0〜4の整数を表す。ただし、a1〜a4のすべてが同時に0であることはなく、またb1〜b4のすべてが同時に0となることはない。さらに、a1とb1、a2とb2、a3とb3、a4とb4の、それぞれの和は4を超えることはない。なお、a1〜a4およびb1〜b4が2以上の整数である場合、複数のX1〜X4およびY1〜Y4はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。Mは金属原子、金属原子の酸化物、金属原子の水酸化物または金属原子のハロゲン化物を表す。)
  9. 前記イオン性色素化合物が下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の精製方法。
    A−N=N−B (2)
    (一般式(2)中、AおよびBは各々独立に、少なくとも1個のアニオン性基を有する複素環基を表す。)
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の精製方法で精製されたイオン性色素化合物を含有する、インクジェット用記録液。

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