JP2012046609A - インクジェット用インク組成物、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット用インク組成物、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高画質で堅牢性にも優れた画像を印画可能であり、間欠吐出安定性に優れ、且つ、マゼンタインクとして好ましい色調を有し、さらには、サーマルインクジェット記録方式に用いた場合にも、発熱体の耐久性に優れるインクジェット用インク組成物を提供する。
【解決手段】特定の構造を有するアゾ化合物である第1の色材と、特定の構造を有するアントラピリドン化合物である第2の色材と、特定の構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有させた。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用インク組成物、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式は、インク小滴を形成し、それらの一部若しくは全部を紙等の被記録材に付着させて記録を行うもので、デジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真に替わる画像の出力方法として期待されている。このため、インクジェット記録方法により得られる画像には、高画質化の要求と並び、光やオゾンなどのガスによる退色を防ぐ堅牢性の向上が、これまで以上に求められている。
この堅牢性の向上を目的として、従来から数多くの提案がなされている。インクジェット記録方法に多用されるカラーインクとしては、シアン、マゼンタ、イエローがあるが、この中でも特に、マゼンタインクは、画像の堅牢性が低い傾向にあり、堅牢性の向上に関する検討が数多くなされている。
例えば、特許文献1では、マゼンタ色素として色再現性に優れた吸収特性を有し、且つ十分な堅牢性を有する新規な色素として、特定構造を有するアゾ色素が提案されている。また、特許文献2では、適度の青みを有するマゼンタ色であり、また優れた耐光性を有し、他の色のインクと共に用いる事により、広い可視領域の色調を色出しする事ができる色素として、特定構造を有するアントラピリドン化合物のスルホン酸誘導体が提案されている。さらに、特許文献3では、水に対する溶解性が高く、インクジェット記録に適する色相と鮮明性を有し、且つ記録物の耐光、耐湿、耐ガス堅牢性に優れたマゼンタ色素として、特定構造を有するアントラピリドン化合物又はその塩が提案されている。
しかし、これらの色素においても、イエロー色素などの他の色相を有する色素と比較すると、依然として耐光性の水準は十分とは言えない。
これを解決する技術として、例えば、特許文献4及び特許文献5では、特定構造を有するアゾ色素と特定構造を有するアントラピリドン化合物とを併用することで、色調が良好で、耐光性及び耐ガス性が良好な画像を形成させるマゼンタインクが提案されている。
特開2006−143989号公報 特開平10−306221号公報 特開2009−191147号公報 特開2005−105136号公報 特開2008−297542号公報 特開2009−256600号公報
ところで、インクジェット記録方法では、通常、長期間ヘッドを放置した状態からの回復を可能とするメンテナンスが行われるが、印画の高速化の観点からは、このメンテナンスに要する時間を短縮することが重要である。そのため、インクジェット記録方法に用いられるインク(以下、「インクジェット用インク」と記載する。)には、メンテナンス時間を短縮する省メンテナンス性も求められる。特に、高速印画を行うためには、メンテナンス方法の1つである空吐出と呼ばれる回復処理の回数を減らすことが重要となる。
空吐出とは、吐出ヘッドから被記録媒体への画像印画に寄与しないインクを吐出させ、インクの吐出状況を良好にする回復処理のことである。この空吐出は、ノズルにキャップしない状態で印画を停止している数秒から十数秒という時間にノズル近傍のインクの粘度が上昇することにより、インクの吐出速度が遅くなり、吐出方向がばらつく場合に有効であるが、空吐出に要する時間分が余計に必要となる。これに対して、印画停止時間が長くても良好な画質が得られるインクを用いることで、空吐出の回数を減らし、印画時間を短縮することができるものと考えられる。
また、インクジェット記録方法の記録方式としては、熱エネルギーの作用によりインクを記録ヘッドから吐出させて記録を行うサーマルインクジェット記録方式がある。このサーマルインクジェット記録方式では、インクによるコゲーションと呼ばれる発熱体上への炭化物の付着や、逆に発熱体がエッチングを受けることによる断線が起こることにより、耐久性が悪くなることも知られている。そのため、これらの発熱体の耐久性への対策も、インクジェット用インクに求められる性能として挙げられる。
このように、種々の性能が求められるインクジェット用インクであるが、高画質の画像を得るためには、被記録媒体へのインク浸透速度の制御も重要である。インク浸透速度の制御方法としては、例えば、浸透助剤や界面活性剤と呼ばれる物質を添加することが知られている。特に、インクジェット用インクに用いられる界面活性剤として、アセチレングリコール系界面活性剤は、浸透速度の制御性能に優れるとともに、発熱体の耐久性に対する悪影響も少ないなどの優れた特性を有する。
しかしながら、このような優れた特性を有するアセチレングリコール系界面活性剤を特定の染料と組み合わせて使用した場合には、該界面活性剤の界面活性能が十分に働かないという問題が生ずることが、本発明者らの検討により判明した。このような問題は、具体的には、上記特許文献1、4及び5に記載された特定構造を有するアゾ染料を含有するインク組成物において、アセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物を界面活性剤として選択した場合に生ずる。このような問題が生ずる際の機構は不明であるが、界面活性能が十分に働かなくなる結果、被記録媒体へのインクの浸透速度が遅く、カラーブリード性が悪化してしまい、高品位な画像が得られなくなることがわかった。
ここで、被記録媒体へのインクの浸透性を十分に確保するために、他の染料を用いた場合よりも多量の界面活性剤を添加するという手法も考えられる。しかし、界面活性剤等の添加物の量が多くなると、良好な印画を得るために許容される印画停止時間が顕著に短くなってしまい、間欠吐出安定性が悪化してしまうことが判明した。さらに、添加物の量が多くなると、コゲーションやエッチングによる発熱体の耐久性が低下する原因になるという問題が発生することもわかった。
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、高画質で堅牢性にも優れた画像を印画可能であり、間欠吐出安定性に優れるインクジェット用インク組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、上記インクジェット用インク組成物を用いて、高画質で堅牢性にも優れる画像が安定して得られるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、下記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、下記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、下記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物が提供される。
Figure 2012046609
前記一般式(I)中、aは、ハメットのσp値が0.20以上1.00未満の電子吸引性基である。また、b及びdは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。また、c及びeは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。
Figure 2012046609
前記一般式(II)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
Figure 2012046609
前記一般式(III)中、m及びnは、1以上の整数である。
前記インクジェット用インク組成物では、前記第1の色材が、下記一般式(IV)で表される化合物であってもよい。
Figure 2012046609
前記一般式(IV)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基であり、該アルキル基の水素原子は更に置換されていてもよい。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
前記インクジェット用インク組成物では、前記第2の色材が、下記一般式(V)で表される化合物であってもよい。
Figure 2012046609
前記一般式(V)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
前記インクジェット用インク組成物では、前記第1の色材と前記第2の色材の前記インク組成物中における合計の含有量が、1.00質量%以上5.00質量%以下であることが好ましい。
前記インクジェット用インク組成物では、前記第1の色材の前記インク組成物中における含有量(質量%)が、前記第2の色材の前記インク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で0.50倍以上4.00倍以下であることが好ましい。
前記インクジェット用インク組成物では、前記界面活性剤が、HLB(HydrophIle−LIpophIle Balance)値で10以上であることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、前記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、前記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、前記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物の液滴をインクジェット方式で吐出して記録を行う、インクジェット記録方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、前記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、前記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、前記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を備える、インクカートリッジが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、前記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、前記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、前記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を有する、インクカートリッジと、前記インク収容部に収容されたインク組成物の液滴を吐出するための記録ヘッドと、を備える、記録ユニットが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、下記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、下記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、下記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を有する、インクカートリッジと、前記インク収容部に収容されたインク組成物の液滴を吐出するための記録ヘッドと、を備える、インクジェット記録装置が提供される。
本発明によれば、高画質で堅牢性にも優れた画像を印画可能であり、間欠吐出性に優れ、且つ、マゼンタインクとして好ましい色調を有するインクジェット用インク組成物を提供することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット用インク組成物を用いて、高画質で堅牢性にも優れる画像が安定して得られるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成の一例を示す分解斜視図である。 図1のインクジェット記録装置100に設けられたヘッドカートリッジの構成を示す分解斜視図である。 図2に示したヘッドカートリッジをIII−III線で切断した断面図である。 図3に示したヘッドカートリッジに設けられた記録ヘッドの構成を示す断面図であり、(a)は、発熱体上に気泡が発生した状態を模式的に示したものであり、(b)は、ノズルからインク滴が吐出される状態を模式的に示したものである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.関連技術の問題点及び解決手段の検討
2.本発明の好適な実施形態に係るインクジェット用インク組成物
3.本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録方法
4.本発明の好適な実施形態に係るインクカートリッジ
5.本発明の好適な実施形態に係る記録ユニット
6.本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置
7.まとめ
<1.関連技術の問題点及び解決手段の検討>
まず、本発明の好適な実施形態に係るインクジェット用インク組成物等について説明する前に、本発明者らが発見した本発明の関連技術の問題点、及び、本発明者らの検討により得られた新たな知見について説明する。
[1.1.関連技術の問題点]
上述したように、近年、インクジェット記録方法に用いられるインクに使用される染料(色材)の堅牢性に対して求められる水準が高まってきている。そこで、本発明者らは、上記特許文献1、4及び5に記載された堅牢性に優れるアゾ染料から、下記一般式(I)の構造を有するアゾ染料を含有するインク組成物について検討を行った。
Figure 2012046609
ここで、アセチレングリコール系界面活性剤が、インクの浸透速度の制御性能に優れるとともに、発熱体の耐久性に対する悪影響も少ないなどの優れた特性を有することは、上述したとおりである。しかし、上記アゾ染料を含有したインク組成物に添加する界面活性剤として、アセチレングリコール系界面活性剤の1種であるアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(下記一般式(III)を参照)を選択したところ、界面活性能が十分に働かないことが確認された。このような現象の機構は不明であるが、界面活性能が十分に働かなくなる結果、インク組成物の被記録媒体への浸透速度が遅く、カラーブリード性が悪化してしまい、高品位な画像が得られなくなる、という問題が生ずることがわかった。
Figure 2012046609
このような問題に対して、インク組成物の被記録媒体への浸透性を十分に確保するために、他の染料を用いた場合に比べ、より多くの界面活性剤を添加するという手法も考えられる。しかし、インク組成物中における界面活性剤等の添加物の含有量が多くなると、良好な画像を得るために許容される印画停止時間が顕著に短くなってしまい、間欠吐出安定性が悪化する、という問題が発生することがわかった。さらに、界面活性剤等の添加物の含有量が多くなると、コゲーションやエッチングによる発熱体の耐久性が低下する原因になるということもわかった。
なお、特許文献6では、一般式(I)の構造を持つ染料を用いたインクにおける、耐固着性や間欠吐出安定性に関する問題が指摘されている。この問題に対して、特許文献6においては、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンを使用する提案がなされている。しかし、その実施例によれば、通常好ましく使用される量より多量(0.8質量%以上)のアセチレングリコール系界面活性剤が添加されている。このため、特許文献6において間欠吐出安定性が良いとされている水準、具体的には、良好な吐出が得られる不吐出時間(印画停止時間)は、3秒以上という程度に過ぎない。この程度の不吐出時間では、真に高速な印画を求める場合には、間欠吐出安定性が十分とは言えない。
一方、アセチレングリコール系界面活性剤の添加量が、通常好ましく使用される0.1質量%以上0.8質量%以下の量であっても、十分に被記録媒体への浸透性が得られれば、印画停止時間が10秒を遥かに超えるような長時間であっても、良好な間欠吐出安定性が得られることは明白である。
[1.2.解決手段の検討]
そこで、本発明者らは、高画質で堅牢性にも優れた画像を印画可能であり、間欠吐出安定性に優れ、且つ、マゼンタインクとして好ましい色調を有するとともに、発熱体の耐久性に優れるインクジェット用インク組成物を得るために、鋭意検討を行った。以下、当該検討結果について詳細に説明する。
(1.2.1.間欠吐出安定性の検討)
まず初めに、本発明者らは、マゼンタとして良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス(特にオゾンガス)に対する堅牢性に優れるインク組成物を得るために、色材として、上記一般式(I)のアゾ化合物(染料)を使用したインクジェット用インク組成物を検討した。その結果、このアゾ染料に上記一般式(III)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤を併用すると、その機構は不明ながら、アセチレングリコール系界面活性剤の界面活性能が十分に働かないという現象が確認された。すなわち、色材として一般式(I)のアゾ化合物を使用すると、他の染料を用いた場合に比べ、同じアセチレングリコール系界面活性剤の含有量でも、インク組成物の表面張力が十分に下がらない。このことから、上記一般式(I)で表される染料を併用すると、他の染料を用いた場合と同量のアセチレングリコール系界面活性剤を使用しても、インク浸透速度が遅くなり、カラーブリード性が悪くなり、高品位な画像が得られなくなることがわかった。
この問題に対し、被記録媒体へのインク浸透速度を十分に確保するために、インク組成物全量に対して、界面活性剤の添加量を0.80質量%以上とすると、浸透速度が速く、ブリードなどが発生しない高品位な画像が得られることがわかった。しかしながら、界面活性剤等の添加物の量が多くなると、間欠吐出安定性が悪化すること、すなわち、良好な画像を得るために許容される印画停止時間が顕著に短くなってしまうことが判明した。
そこで、本発明者らは、界面活性剤の添加量を増やすことなく、インク組成物の間欠吐出安定性を向上させるための検討を行った。その結果、一般式(I)のアゾ化合物と一般式(III)のアセチレングリコール系界面活性剤とを含有するインク組成物に、下記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物(染料)を添加することで、上記問題を解決した。すなわち、本発明者らは、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物とを組み合わせて用いることで、一般式(I)の化合物を単独で用いた場合に比べて少量のアセチレングリコール系界面活性剤で、表面張力を低下させることができることを見出した。このような効果は、上記特許文献6においては全く論じられておらず、一般式(I)で表される化合物と一般式(II)で表される化合物とを併用した場合において、特異的に起こる現象であることを本発明者らは見出した。本発明者らは、一般式(II)の化合物が、Rの位置にイミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を有する構造を有していることが、アセチレングリコール系界面活性剤の界面活性能に影響を及ぼしていると推測している。なお、特許文献6に記載されている一般式(II)の化合物には、上記構造が存在しないため、アセチレングリコール系界面活性剤の界面活性能が低下するものと考えられる。
Figure 2012046609
以上のように、本発明者らは、一般式(I)で表されるアゾ化合物と、一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物と、一般式(III)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤とを含有するインク組成物に想到した。この本発明に係るインク組成物において、アセチレングリコール系界面活性剤は、他の染料を使用した場合に通常用いられる量と同程度の量、すなわち、インク組成物全量に対して0.10質量%以上0.80質量%未満の範囲で添加されている。そのため、本発明に係るインク組成物では、添加物量が過剰であることにより間欠吐出安定性が悪化するという問題は生じない。さらに、本発明に係るインク組成物は、マゼンタとして良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス(特にオゾンガス)に対する堅牢性に優れたものとなる。従って、本発明に係るインク組成物をインクジェット記録方法に用いることで、印画停止時間が長くても良好にインク滴を吐出させることが可能となり、メンテナンスへの負荷を軽減できるとともに、高画質で堅牢性に優れた画像を安定して得ることができる。
(1.2.2.色材の堅牢性等の検討)
また、本発明者らの検討の結果、高い間欠吐出安定性を付与するために一般式(II)の化合物を加えた場合でも、特許文献5に示されているインクと同様に、耐光性改善の効果があることが判明した。すなわち、本発明中の一般式(I)及び一般式(II)の化合物の組み合わせにおいても、これらの色材を特定の質量比率で組み合わせることで、個々の色材が有する耐光性から予測されるインク組成物の耐光性に比べ、顕著に優れた耐光性を実現できる。
上記耐光性が向上するメカニズムの詳細は明らかではないが、本発明者らはこの理由を以下のように推測している。本発明における一般式(I)の化合物のようなアゾ系染料は、被記録媒体のインク受容層に対する定着性が高い傾向があることがわかった。このようなアゾ系染料を含有するインク組成物が被記録媒体に付与されると、定着性が高いという特性があるため、多孔体に対する吸着量が多く、その結果、染料がインク受容層の厚み方向の浅い位置までしか浸透しないと考えられる。一方で、本発明者らの検討の結果、一般式(II)の化合物のようなアントラピリドン系染料は、被記録媒体のインク受容層に対する定着性が低い傾向があることがわかった。このようなアントラピリドン系染料を含有するインク組成物が被記録媒体に付与されると、定着性が低いという特性があるため、多孔体に対する吸着量が少なく、その結果、染料がインク受容層の厚み方向の深い位置にまで浸透すると考えられる。
上記特性をそれぞれ有するアゾ系染料である一般式(I)の化合物とアントラピリドン系染料である一般式(II)の化合物とを含有する本発明のインク組成物が被記録媒体に付与されると、以下のような状態になると考えられる。一般式(I)の化合物はインク受容層の厚み方向の浅い位置までしか浸透しないのに対し、一般式(II)の化合物はインク受容層の厚み方向の深い位置まで浸透すると考えられる。すなわち、一般式(I)の化合物と、一般式(II)の化合物とでは、インク受容層の厚み方向における分布位置が異なる。このため、インク受容層の厚み方向の浅い位置に分布する一般式(I)の化合物は、インク受容層の厚み方向の深い位置に分布する一般式(II)の化合物が光により分解されるのを抑制する役割を果たすと考えられる。この結果、これらの色材を特定の質量比率で組み合わせることで、一般式(I)の化合物及び一般式(II)の化合物が個々に有する耐光性から予測されるインク組成物の耐光性に比べ、顕著に優れた耐光性を実現できると推論される。
(1.2.3.色調の検討)
さらに、本発明者らの検討の結果、以下のことがわかった。一般式(I)で表される第1の色材は、黄味がかったマゼンタの色調を有し、且つ、記録物の光学濃度が高いという特性を有する。一方、一般式(II)で表される第2の色材は、青味がかったマゼンタの色調を有し、且つ、記録物の光学濃度が低いという特性を有する。本発明においては、前記したような特性を有する一般式(I)で表される第1の色材と一般式(II)で表される第2の色材とを組み合わせて用いるため、好ましいマゼンタの色調の画像を得ることができる。また、第1の色材と第2の色材との混合比率を特定範囲とすることにより、画像の堅牢性とインクの間欠吐出安定性に優れ、且つ高品位な画像を得ることに加えて、マゼンタインクとして好ましい色調を有するインク組成物を調製することが可能となる。
ここで、本発明でいう好ましいマゼンタの色調とは、具体的には、以下のことを意味する。すなわち、マゼンタインクを用いて記録デューティを100%として形成した画像について、CIE(国際照明委員会)により規定されたL表色系におけるa及びbの値を測定する。そして、得られたa及びbの値から、下記式(A)に基づいて算出される色相角(H°)が、0°以上5°以下、又は350°以上360°未満であるか否かを判断する。その結果、上記条件を満たすと判断されたインク組成物を、本発明においては、マゼンタインクとして好ましい色調を有するインク組成物であるとしている。さらには、下記式(A)に基づいて算出される色相角(H°)が、0°以上5°以下であることが特に好ましい。なお、上記a及びbの値は、例えば、分光光度計(商品名:SpectrolIno;Gretag Macbeth製)を用いて測定することができるが、本発明におけるa及びbの値の測定方法としては、上記の方法に限られるものではない。
式(A)
≧0、b≧0(第一象現)では、H°=tan−1(b/a
≦0、b≧0(第二象現)では、H°=180+tan−1(b/a
≦0、b≦0(第三象現)では、H°=180+tan−1(b/a
≧0、b≦0(第四象現)では、H°=360+tan−1(b/a
<2.本発明の好適な実施形態に係るインクジェット用インク組成物>
以上のような検討の結果、高い堅牢性を付与するためには、色材として、一般式(I)の構造を持つアゾ化合物(染料)を使用することが好適であるという知見を得た。また、インクの浸透速度を制御するために、上記染料を使用したインク組成物にアセチレングリコール系界面活性剤を添加することが好適であるという知見も得た。さらに、本発明者らは、上記染料及び上記界面活性剤を含有するインク組成物中に、一般式(II)の構造を持つアントラピリドン化合物(染料)をさらに加えることにより、優れた耐光性及び耐オゾン性(堅牢性)に加えて、十分な被記録媒体への浸透性を損なうことなく、且つインクの間欠吐出安定性にも優れるとともに、マゼンタとして好ましい色調を有するインク組成物を得ることができる、という知見を得た。
本発明は、かかる知見に基づいてなされたものであり、その主な特徴は、特定のアゾ系染料、特定のアントラピリドン系染料、及びアセチレングリコール系界面活性剤を併用することにある。以下、本発明の好適な実施形態に係るインクジェット用インク組成物(以下、単に「インク組成物」と呼ぶこともある。)を構成する成分や、当該インク組成物の物性等について詳細に述べる。
[2.1.第1の色材]
まず、本実施形態に係るインク組成物において第1の色材として用いられる一般式(I)で表されるアゾ化合物について説明する。本実施形態に係るインク組成物は、画像の堅牢性を向上させるという目的で、下記一般式(I)で表されるアゾ化合物を第1の色材として含有することが必要である。
Figure 2012046609
上記一般式(I)中、堅牢性向上等の観点から、aは、ハメットの置換基定数σp値(以下、「ハメットのσp値」と称する。)が0.20以上1.00未満の電子吸引性基であり、さらに、ハメットのσp値が0.60以上1.00未満であることが好ましい。
ここで、ハメット則及びハメットのσp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、この法則は、今日広く妥当性が認められている。ハメット則で定められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s
Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)や丸善の化学便覧基礎編(改訂5版)等に詳しい。なお、本実施形態において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは、本実施形態における置換基が、上記の成書で見出せる文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、置換基定数の値が文献未知であっても、ハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包含されるであろう置換基をも含むことは言うまでもない。
ハメットのσp値が0.60以上の電子吸引性基としては、例えば、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO)、アルキルスルホニル基(RSO−)等が該当する。本実施形態においては、上記一般式(I)中のaとして、特にシアノ基を選択することが好ましい。また、ハメットのσp値が0.20以上0.60未満の電子吸引性基としては、例えば、クロロ基(−Cl)、エチルエステル基(COEt)、カルボキシル基(−COOH)、アセチル基(−COCH)等が該当する。
一般式(I)中、b及びdは、それぞれ独立に、下記一般式(a)で表される1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。
Figure 2012046609
Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウム(例えば、第1級〜第4級アンモニウム等といったアンモニウムの水素原子がアルキル基、アリール基等の有機基で置換されたものであり、以下同様である。)である。
また、一般式(I)中、c及びeは、それぞれ独立に、下記一般式(b)で表される1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。
Figure 2012046609
Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
本実施形態における第1の色材としては、一般式(I)で表される化合物の中でも、特に、下記一般式(IV)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2012046609
上記一般式(IV)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基であり、該アルキル基の水素原子は更に置換されていてもよい。R、R、R及びRの位置に、大きなアルキル基が置換されると、立体障害が大きくなり、一般式(IV)の化合物の収率や安定性の低下を招くため、R、R、R及びRに選択されるアルキル基としては、アルキル鎖の短いメチル基及びエチル基が特に好ましい。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
また、上記一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例としては、下記の例示化合物1〜4が挙げられる。勿論、本実施形態における第1の色材は、上記一般式(I)に包含される化合物であればよく、下記の例示化合物1〜4に限られるものではない。ただし、画像堅牢性や発色性に優れ、水への溶解度が高いなどのマゼンタ染料としての基本特性に優れていることから、本実施形態における第1の色材として、下記の例示化合物の中でも、特に、例示化合物1を用いることが好ましい。
Figure 2012046609
Figure 2012046609
Figure 2012046609
Figure 2012046609
[2.2.第2の色材]
次に、本実施形態に係るインク組成物において第2の色材として用いられる一般式(II)で表されるアントラピドリン化合物について説明する。上述したように、画像の堅牢性に優れた一般式(I)の化合物と一般式(III)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤を併用すると、該界面活性剤の表面張力を低下させる機能が十分に発揮されないという問題がある。そこで、本実施形態に係るインク組成物は、この問題を解決する目的で、下記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物を第2の色材として含有することが必要である。
Figure 2012046609
上記一般式(II)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
ここで、本発明者らは、上記界面活性剤の機能が発揮されない理由として、堅牢性に優れた色材として使用する一般式(I)の化合物の構造が、一般式(III)の界面活性剤の界面活性能を阻害しているもの予測しているが、その機構は明確には分かっていない。しかし、本発明者らの検討の結果、第2の色材として一般式(II)で表される化合物をインク組成物中に添加することによって、界面活性剤の添加量を増やすことなく、十分に表面張力を低下させることができることが判明している。一方、一般式(II)中のRに、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択した化合物が、堅牢性に優れた色材として報告されている。しかし、本発明者らが確認したところによると、このような構造を有する化合物では、界面活性剤の添加量を増やすことなく、十分に表面張力を低下させるという効果は認められなかった。
また、本実施形態における第2の色材としては、一般式(II)で表される化合物の中でも、特に、一般式(V)の化合物を用いることが好ましい。
Figure 2012046609
上記一般式(V)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
上記一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例としては、下記の例示化合物5〜8が挙げられる。勿論、本実施形態における第2の色材は、上記一般式(II)に包含される化合物であればよく、下記の例示化合物5〜8に限られるものではない。ただし、上述した界面活性剤の機能発現に関する問題点を改善することができるとともに、画像堅牢性や発色性に優れていることから、本実施形態における第2の色材として、下記の例示化合物の中でも、特に、例示化合物5を用いることが好ましい。
Figure 2012046609
Figure 2012046609
Figure 2012046609
Figure 2012046609
[2.3.界面活性剤]
次に、本実施形態に係るインク組成物において界面活性剤として用いられる一般式(III)で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物について説明する。本実施形態に係るインク組成物は、被記録媒体へのインク組成物の浸透速度を制御し、カラーブリード性を向上させ、高品位な画像を得る、という目的で、下記一般式(III)で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物を界面活性剤として含有することが必要である。
Figure 2012046609
上記一般式(III)中、m、nは1以上の整数である。
ここで、本実施形態に係るインク組成物は、一般式(III)で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物(アセチレングリコール系界面活性剤)を、インク組成物全量に対して0.10質量%以上0.80質量%未満含有することを必須とする。このように、アセチレングリコール系界面活性剤の含有量を0.10重量%以上とすることで、被記録媒体への十分な浸透性を得ることができる。また、アセチレングリコール系界面活性剤の含有量を0.80質量%未満とすることで、画像のにじみ(ブリード)の発生を防止し、且つ間欠吐出安定性に優れ、良好な画像を得るために許容される印画停止時間を長くでき、メンテナンス負荷を減らすことができる。上記効果をより向上させるという観点から、一般式(IV)のアセチレングリコール系界面活性剤の含有量は、0.0.5質量%程度であることが好ましい。
上記一般式(III)で表されるアセチレングリコールのエチレンオキサイド付加物としては、例えば、サーフィノール465、サーフィノール485、日信化学工業製のオルフィンE1010、川研ファインケミカル製のアセチレノールE100等の市販されている製品を使用することができる。勿論、本実施形態における界面活性剤は、上記一般式(III)に包含される化合物であればよく、上記製品に限られるものではない。
また、本実施形態においては、カラーブリード性をさらに向上させ、より高品位な画像を得るという観点から、一般式(III)で表される界面活性剤のHLB(HydrophIle−LIpophIle Balance)値が、10以上であることが特に好ましい。
[2.4.色材の含有量]
本実施形態に係るインク組成物においては、一般式(I)で表される第1の色材と一般式(II)で表される第2の色材の合計の含有量(以下、「色材の合計量」と記載する場合がある。)が、インク組成物の全質量を基準として、1.00質量%以上5.00質量%以下であることが好ましい。
色材の合計量が1.00質量%未満であると、印画物の濃度を十分に得ることができない場合がある。また、色材の合計量が5.00質量%を超えると、インク組成物の間欠吐出安定性が低下する場合がある。さらに、色材の合計量を上記範囲とすることで、一般式(III)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤の含有量(質量%)を0.10質量%以上0.80質量%未満とした本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するサーマルインクジェット記録方式に適用しても、記録ヘッドのヒータ(発熱体)の耐久性に優れたインクとなることがわかった。
[2.5.色材の含有比率]
また、本実施形態に係るインク組成物においては、インク組成物の全質量を基準として、一般式(I)で表される第1の色材の含有量(質量%)が、一般式(II)で表される第2の色材の含有量(質量%)に対して、質量比率で、0.50倍以上4.00倍以下であることが好ましい。
第1の色材と第2の色材との含有比率を上記範囲とすることで、一般式(III)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤の界面活性能を十分に維持し、加えて、優れた耐光性を実現でき、且つマゼンタインクとして特に好ましい色調の画像を与えることが可能なインク組成物とすることができる。
[2.6.色材の同定方法]
一般式(I)及び(II)の化合物(色材)に関しては、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、フーリエ変換赤外分光分析装置(FT−IR)、核磁気共鳴(NMR)法に加え、高速原子衝撃質量分析装置(FABMS)、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法(PyGC/MS)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)などの質量分析で同定を行うことができる。
[2.7.溶媒]
本実施形態に係るインク組成物においては、溶媒(水性媒体)として、水、又は、水と水溶性有機溶剤との混合溶媒を用いることができる。
水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク組成物中の水の含有量(質量%)は、インク組成物の全質量を基準として、60.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましく、70.0質量%以上90.0質量%以下であることがより好ましい。
水溶性有機溶剤としては、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル及びその他の極性溶媒を用いることができる。このような水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類や、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類や、アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類や、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのグリコール類や、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオ−ルなどのアルキレン基が2〜6個の炭素原子を持つアルキレングリコール類や、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンや、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの低級アルキルエーテルアセテートや、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類や、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。上記に挙げた水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を混合して用いることができる。勿論、本実施形態における水溶性有機溶剤は、上記の具体例に限られるものではない。
また、インク組成物中の上記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク組成物の全質量を基準として、5.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましく、10.0質量%以上30.0質量%以下であることがさらに好ましい。水の含有量が上記の範囲より少ないか、あるいは、水溶性有機溶剤の含有量が上記の範囲から外れると、インク組成物をインクジェット記録装置に用いる場合に、間欠吐出安定性などの信頼性が得られない場合がある。
さらに、本実施形態に係るインク組成物においては、アルキレン基が5〜7個の炭素原子を持つ1,2−アルキレングリコールとして、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種類以上のジオール類を、インク組成物の全質量を基準として、1.0質量%以上4.0質量%未満さらに含んでも良い。
[2.8.その他の添加剤]
本実施形態に係るインク組成物は、溶媒中に、各種消泡剤、pH調整剤または防かび剤等の添加物を添加するようにしてもよい。
消泡剤は、インク組成物の泡立ちを防止するために用いられ、消泡剤の具体例としては、シリコーン系消泡剤、界面活性剤、ポリエーテル、高級アルコールなどの有機系消泡剤などが挙げられる。また、界面活性剤を消泡剤として用いる場合には、ポリグリコール系ノニオン系界面活性剤(市販されているものとしては、例えば、第一工業製薬社製のアンチフロスF233)が好ましく使われる。
pH調整剤としては、ナトリウム塩やカリウム塩類や、アミン類などを用いることができる。ナトリウム塩やカリウム塩類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、フタル酸水素カリウム等が好ましく使用される。また、アミン類としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、トリエタノールアミン、モルホリン誘導体、プロパノールアミン等が好ましく使用される。上記のようなpH調整剤は、インク組成物における着色剤の溶解安定性や浸透性に寄与する一方で、サーマルプリントヘッドの発熱体(ヒータ)の劣化に対しても影響を及ぼす。このような観点から、pH調整剤の含有量は、インク組成物の全質量を基準として、0.10質量%以上0.50質量%未満であることが好ましい。pH調整剤の含有量が0.10質量%未満であると、十分なpH制御ができない場合がある。また、pH調整剤の含有量が0.50質量%以上であると、ヒータの劣化を早めたり、間欠吐出安定性にも不利に働く場合がある。さらに、着色剤の溶解安定性や浸透性を向上させるという目的に加えて、安全性も考慮すると、インク組成物のpHを6.0〜9.0の範囲に調整するように、pH調整剤を添加することが好ましい。
また、本実施形態では、上述した各種のpH調整剤のうち、特に、モルホリン誘導体である3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)を使用することが好ましい。MOPSを使用することにより、発熱体のコゲーションが起こり難くなり、発熱体の寿命を延ばすことができる。
防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビタン酸カリウム、ベンゾイミダゾールの他、チアベンダゾール、サイアベンダゾールなど有機窒素硫黄系化合物などを使用できる。
また、本実施形態に係るインク組成物の構成成分として、モノトリエタノールアミン、ジトリエタノールアミン等のアルコールアミン類や、ジメチルホルムアミド、ジメチルケトンアミド等のアミド類などが適宜使用可能とされる。このようなアルコールアミン類やアミド類などは、主に、pH調整効果や保湿効果を得るために使用される。
さらに、本実施形態に係るインク組成物中には、蒸気圧が純水よりも小さい水溶性有機溶剤及び糖類から選ばれる少なくとも1種類以上の保湿剤を含むことができる。このような保湿剤としては、例えば、キシリトールの他、トリメチロールプロパンや尿素などを使用することができる。インク組成物中に上記保湿剤を含むことにより、本実施形態に係るインク組成物をインクジェット記録方法に用いた場合に、水分の蒸発を抑制してインクを保湿することができる。また、保湿剤として水溶性有機溶剤を用いると、吐出安定性を向上させたり、インク特性を変化させることなくインク組成物の粘度を容易に変更させたりすることができる。
[2.9.インク組成物の調製方法]
上述したような本実施形態に係るインクジェット用インク組成物は、以下のようにして調製することができる。まず、一般式(I)で表される第1の色材と、一般式(II)で表される第2の色材と、一般式(III)で表されるアセチレングリコール系界面活性剤と、その他の添加剤とを、所定濃度となるように計量し、溶媒に添加する。このとき、色材の含有量や含有比率を上述した範囲とすることが好ましい。
次に、溶媒中に色材や界面活性剤等を添加した溶液を十分に攪拌した後、孔径0.45μmのPTFEメンブレン・ディスクフィルターでろ過することにより、本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を得ることができる。
<3.本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録方法>
本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴をインクジェット方式で吐出して被記録媒体に記録を行う方法である。本実施形態に係るインクジェット記録方法としては、連続噴射型でもオンデマンド型でもよい。連続噴射型とは、画像信号(ドット形成信号)にかかわらずインク滴を記録ヘッドから連続的に噴射し、記録に使用するインク滴のみを被記録媒体に到達させる方式の総称である。オンデマンド型とは、画像信号に応じて記録ヘッドからインク滴を被記録媒体に向けて吐出する方式の総称である。
また、上記オンデマンド型のインクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用することによりインク滴を吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用することによりインク滴を吐出する記録方法などがある。インクに力学的エネルギーを作用する記録方法としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電体の逆圧電効果を利用してインク滴を吐出させるピエゾインクジェット方式や、帯電させたインクを被記録媒体側に静電気力で吸引する静電吸引方式などがある。特に、本実施形態に係るインクジェット記録方法としては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法(サーマルインクジェット方式)を好ましく用いることができる。
[3.1.使用可能なインク]
本実施形態に係るインクジェット記録方法においては、インク組成物として、上述したような本発明の好適な実施形態に係るインクジェット用インク組成物を使用する。
[3.2.使用可能な被記録媒体]
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、画像を形成する際に用いる被記録媒体(メディア)としては、インクを付与して記録を行うための被記録媒体であればいずれのものでも用いることができる。本実施形態においては、染料や顔料などの色材をインク受容層の多孔質構造を形成する微粒子に吸着させる、インクジェット用の被記録媒体を用いることが好ましい。特に、支持体上のインク受容層に形成された空隙によりインクを吸収する、いわゆる隙間吸収タイプのインク受容層を有する被記録媒体を用いることが好ましい。隙間吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体として構成されるものであり、さらに必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有してもよい。
隙間吸収タイプのインク受容層の主体となる微粒子としては、具体的には、無機顔料や有機顔料を用いることができる。無機顔料としては、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナ又はアルミナ水和物などの酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、又は酸化亜鉛などが挙げられる。有機顔料としては、例えば、尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの微粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
特に、本実施形態に係るインク組成物を用いて画像を形成する際には、平均粒子径が1μm以下である微粒子を主体としてインク受容層を形成した被記録媒体を用いることが好ましい。このような微粒子の具体例としては、例えば、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子、酸化アルミニウム微粒子、アルミナ水和物微粒子(アルミナ系顔料)などが挙げられる。
上記アルミナ系顔料の中でも、下記式で表される擬ベーマイトなどのアルミナ水和物を特に好適なものとして挙げることができる。
AlO3−n(OH)2n・mH
(式中、nは1〜3の整数であり、mは0〜10、好ましくは0〜5である。ただし、mとnは同時に0とはならない。)
mHOは、多くの場合、mHO結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである。このため、mは整数又は整数でない値を取ることができる。また、この種のアルミナ水和物を加熱すると、mは0に達することがあり得る。上記のアルミナ水和物は、下記のような公知の方法で製造することができる。例えば、米国特許第4,242,271号明細書、米国特許第4,202,870号明細書に記載のアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解で製造することができる。また、特公昭57−44605号公報に記載のアルミン酸ナトリウムなどの水溶液に、硫酸ナトリウムや塩化アルミニウムなどの水溶液を加えて中和を行う方法で製造することができる。
隙間吸収タイプのインク受容層に含有されるバインダーとしては、水溶性高分子やラテックスなどを使用できる。このような水溶性高分子やラテックス等としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉、ゼラチン、又はこれらの変性体や、アラビアゴムや、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体や、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、又はエチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックスや、ポリビニルピロリドンや、無水マレイン酸若しくはその共重合体、又はアクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
隙間吸収タイプのインク受容層に含有されるその他の添加剤としては、例えば、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料定着剤などを用いることができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いる被記録媒体は、上述したインク受容層を支持するための支持体を有することが好ましい。支持体は、インク受容層が、上記多孔質の微粒子で形成することが可能であって、且つインクジェット記録装置などの搬送機構によって搬送可能な剛度を与えるものであれば、特に制限はなく、いずれのものも用いることができる。具体的には、支持体として、例えば、天然セルロース繊維を主体としたパルプ原料で構成される紙支持体を用いることができる。また、支持体として、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート)、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリイミドなどの材料で形成されるプラスチック支持体を用いることができる。さらに、支持体として、基紙の少なくとも一方の面に白色顔料などを添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(例:RCペーパー)を用いることができる。
また、本実施形態においては、被記録媒体の表面のpHが3.0以上8.0以下であることが好ましい。また、本実施形態に係るインク組成物を使用した場合の効果、すなわち、高画質で堅牢性にも優れた画像を得ることができる等の効果を十分に得るためには、被記録媒体の表面のpHが4.0以上6.0以下であることが特に好ましい。
<4.本発明の好適な実施形態に係るインクカートリッジ>
本発明の好適な実施形態に係るインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備え、インクとして、上述した本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を使用するものである。インク収容部としては、本実施形態に係るインク組成物(ブラックインク)を収容するものの他に、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のインクを収容するためのインク収容部が設けられていてもよい。なお、このインクカートリッジの具体例については後述する。
<5.本発明の好適な実施形態に係る記録ユニット>
本発明の好適な実施形態に係る記録ユニットは、インクを収容するインク収容部と、当該インク収容部に収容されたインクを吐出するための記録ヘッドと、を備え、インクとして、上述した本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を使用するものである。特に、本実施形態に係るインク組成物を用いて記録を行うのに好適な記録ヘッドとしては、画像信号に対応した熱エネルギーをインクに作用することによりインク滴を吐出するサーマルインクジェット方式の記録ユニットを用いることができる。このような記録ユニットの中でも、本実施形態においては、金属と金属酸化物の少なくともいずれか一方を含有する発熱部接液面を有する記録ヘッドを用いることが、特に好ましい。発熱部接液面を構成する金属や金属酸化物としては、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、若しくはAlなどの金属、又はこれらの金属の酸化物などが挙げられる。なお、この記録ユニットの具体例については後述する。
<6.本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置>
[6.1.インクジェット記録装置の概要]
本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、当該インク収容部に収容されたインクを吐出するための記録ヘッドと、を備え、インクとして、上述した本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を使用するものである。本実施形態に係るインクジェット記録装置は、インク収容部と記録ヘッドを備える記録ユニットの他に、被記録媒体を供給及び排出する機構や、被記録媒体を搬送する機構や、記録ヘッドのメンテナンスを行う機構などを有する。
特に、本実施形態に係るインク組成物を用いて記録を行うのに好適なインクジェット記録装置としては、画像信号に対応した熱エネルギーをインクに作用することによりインク滴を吐出するサーマルインクジェット方式のインクジェット記録装置を用いることができる。
[6.2.インクジェット記録装置の具体的構成例]
ここで、図1〜図4を参照しながら、本実施形態に係るインクジェット記録装置の一例として、被記録媒体の幅方向に沿って複数のノズルが略直線状に配置された記録ヘッド(ラインヘッド)を有するラインタイプのインクジェット記録装置100を挙げて、本実施形態に係るインクジェット記録装置の具体的な構成を説明する。なお、図1は、本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成の一例を示す分解斜視図である。図2は、図1のインクジェット記録装置100に設けられたヘッドカートリッジの構成を示す分解斜視図である。図3は、図2に示したヘッドカートリッジをIII−III線で切断した断面図である。図4は、図3に示したヘッドカートリッジに設けられた記録ヘッドの構成を示す断面図であり、(a)は、発熱体上に気泡が発生した状態を模式的に示したものであり、(b)は、ノズルからインク滴が吐出される状態を模式的に示したものである。
図1に示すインクジェット記録装置100は、本実施形態に係るインク組成物をマゼンタインク1mとして使用し、さらに、他の色のシアンインク1c、イエローインク1y及びブラックインク1bと共に用いて、カラー画像や文字を記録物として形成する。なお、以下の説明では、マゼンタインク1m、シアンインク1c、イエローインク1y及びブラックインク1bを合わせて、単にインク1という場合もある。
図1に示すように、インクジェット記録装置100は、被記録媒体(例えば、記録紙P)の幅方向、すなわち、図1における矢印Wの方向に、インク滴を吐出するノズル略直線状に1列以上並設された、いわゆるラインタイプのインクジェット記録装置である。このインクジェット記録装置100は、インクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、「ヘッドカートリッジ」と記載する。)110と、装置本体160とを備える。
(6.2.1.ヘッドカートリッジの構成)
ヘッドカートリッジ110は、装置本体160に対して着脱可能に設けられており、例えば、画像信号に対応した熱エネルギーをインクに作用させるために、発熱体として発熱抵抗体を用いてインク1を吐出し、記録紙Pの表面にインク1を着弾させる。このヘッドカートリッジ110には、図2及び図3に示すように、インク1が収容されたインクカートリッジ111が装着される。
〔インクカートリッジ〕
インクカートリッジ111は、マゼンタインク1m、シアンインク1c、イエローインク1y、ブラックインク1bのそれぞれに対応して、4つのインクカートリッジ111m、111c、111y、111bを備える。すなわち、インクカートリッジ111mは、マゼンタインク1mとして本実施形態に係るインク組成物を収容するインク収容部を備える。同様に、インクカートリッジ111c、111y、111bは、それぞれ、シアンインク1c、イエローインク1y、ブラックインク1bを収容するインク収容部を備える。また、インクカートリッジ111は、その長手方向が記録紙Pの幅方向の寸法とほぼ同じ寸法であり、その水平断面が略矩形状となるように形成されている。さらに、インクカートリッジ111は、ヘッドカートリッジ110のカートリッジ本体121にインク1を供給するためのインク供給部112を備えている。
インク供給部112は、インクカートリッジ111の底面の略中央部に設けられている。このインク供給部112は、インクカートリッジ111の底面から突出して形成されたノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ110の接続部125に嵌合されることにより、インクカートリッジ111とヘッドカートリッジ110のカートリッジ本体121とが接続される。このように、インクカートリッジ111とカートリッジ本体121とが接続されることにより、インク1をインクカートリッジ111からカートリッジ本体121へ供給することが可能となる。また、インク供給部112には、インクカートリッジ111からカートリッジ本体121へのインク1の供給量を調整する弁機構(図示せず。)が設けられている。なお、インクカートリッジ111は、カートリッジ本体121と物理的に一体に形成されていてもよい。
〔カートリッジ本体〕
ヘッドカートリッジ110は、上述したインクカートリッジ111の他に、このインクカートリッジ110が装着されるカートリッジ本体121を備える。カートリッジ本体121は、インクカートリッジ111が装着される装着部122と、インク1の液滴(以下、「インク滴1d」と記載する。)を吐出する記録ヘッド123と、記録ヘッド123を保護するヘッドキャップ124とを有する。
装着部122の長手方向の略中央部には、装着部122に装着されたインクカートリッジ111のインク供給部112と接続される接続部125が設けられている。この接続部125は、装着部122に装着されたインクカートリッジ111のインク供給部112からカートリッジ本体121の底面に設けられたインク滴1dを吐出する記録ヘッド123にインク1を供給するインク供給路となる。また、接続部125には、インクカートリッジ111から記録ヘッド123へのインク1の供給量を調整する弁機構(図示せず。)が設けられている。
記録ヘッド123は、カートリッジ本体121の底面に設けられており、複数のノズル127a(詳細は後述する。)を有している。これら複数のノズル127aは、接続部125から供給されるインク1の液滴を吐出する吐出口であり、記録紙Pの幅方向、すなわち、図3における矢印Wの方向に略直線状に配置されている。また、このノズル127aは、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックの色毎に設けられており、それぞれ、マゼンタのノズルライン、シアンのノズルライン、イエローのノズルライン、ブラックのノズルラインを構成している。そして、各色のノズルラインが、記録紙Pの幅方向と略垂直な方向にそって並ぶように配置されている。記録ヘッド123は、以上のような構成を有することから、インク滴1dを吐出する際に、記録紙Pの幅方向に移動することなく、ノズルライン毎にインク滴1dを吐出することができる。
また、図4に示すように、記録ヘッド123には、電気熱変換式の発熱抵抗体126aが設けられた回路基板126と、複数のノズル127aとが形成されている。また、記録ヘッド123には、ニッケルめっき等の金属薄膜で形成されたノズルシート127と、回路基板126とノズルシート127との間に設けられたフィルム128とによって、接続部125から供給されたインク1を各ノズル127aに供給するインク流路129が形成されている。このインク流路129は、その長手方向が、ノズル127aが配置されている方向、すなわち、図3における矢印Wの方向となるように形成されている。これにより、記録ヘッド123では、インクカートリッジ111からヘッドカートリッジ110の接続部125を介してインク1がインク流路129に流れ込み、インク流路129から各ノズル127aにインク1が供給されるようになる。また、記録ヘッド123には、回路基板126と、ノズルシート127と、フィルム128とによって囲まれ、発熱抵抗体126aがインク1を加圧するインク液室130が形成されている。
以上のような構成を有する記録ヘッド123では、印刷データに基づいて生成された画像信号が回路基板126に伝送され、この画像信号に基づいて選択された発熱抵抗体126aに対して、所定時間(例えば、1〜3μ秒程度)パルス電流が供給される。パルス電流が供給された記録ヘッド123では、発熱抵抗体126aが駆動し、急速に加熱される。このとき、記録ヘッド123では、発熱抵抗体126aが加熱されると、図4(a)に示すように、発熱抵抗体126aと接するインク1に気泡Bが発生する。次に、記録ヘッド123では、図4(b)に示すように、気泡Bが膨張しながらインク1を加圧し、この気泡Bにより押し退けられたインク1が液滴の状態となってノズル127aから吐出される。また、記録ヘッド123では、インク滴1dを吐出した後、インクカートリッジ111から接続部125を介してインク流路129を経てインク1をインク液室130に供給することによって、再び吐出前の状態に戻る。記録ヘッド123では、画像信号に基づいて、上述した動作を繰り返し、記録紙P上にインク滴1dを吐出して画像を形成する。
本実施形態では、ヘッドカートリッジ110は、記録ヘッド123のインク吐出面123aを保護するためのヘッドキャップ124を有している。このヘッドキャップ124は、図2に示すように、記録ヘッド123がインク滴1dを吐出せず、記録動作を行っていない間、記録ヘッド123の吐出面123aを閉塞し、ノズル127aを乾燥等から保護するものである。記録動作を行う際には、ヘッドキャップ124は、図2に示すように、ヘッドカートリッジ110の底面から装置本体160の前面側に移動し、吐出面123aを外部に露出させて開放する。また、ヘッドキャップ124には、吐出面123aに付着している余分なインク1を取り去るためのクリーニングローラ124aが設けられている。ヘッドキャップ124は、吐出面123aを開放する際に、クリーニングローラ124aにより吐出面123aをクリーニングする。
(6.2.2.装置本体の構成)
装置本体160は、図1に示すように、ヘッドカートリッジ装着部161と、給紙トレイ162と、排紙トレイ163と、給排紙機構(図示せず。)と、ヘッドキャップ開閉機構(図示せず。)とを有する。ヘッドカートリッジ装着部161は、装置本体160の上面側に設けられ、ヘッドカートリッジ110が装着される。給紙トレイ162は、装置本体160の前面下側に設けられ、画像等の記録前の記録紙Pが積層して収納される。排紙トレイ163は、装置本体160の前面上側に設けられ、画像等の記録後の記録紙Pが収納される。また、給排紙機構は、装置本体160内で記録紙Pを搬送する機構であり、ヘッドキャップ開閉機構は、ヘッドキャップ124を開閉する、すなわち、記録ヘッド123の吐出面123aを開放又は閉塞させるようにヘッドキャップ124を移動させる機構である。
(6.2.3.インクジェット記録装置の動作)
以上のような構成を有するインクジェット記録装置100は、外部に設けられた情報処理装置から入力された印刷データに基づき、給排紙機構、ヘッドキャップ開閉機構及び記録ヘッド123の動作を制御するための制御信号を生成する。この制御信号は、給排紙機構、ヘッドキャップ開閉機構及び記録ヘッド123への電流の供給を制御する制御回路に設けられた制御部により生成される。そして、制御信号により制御された電流が給排紙機構、ヘッドキャップ開閉機構及び記録ヘッド123へ供給されることにより、記録紙Pの給排紙、ヘッドキャップ124の開閉、記録ヘッド123によるインク滴1dの吐出などの動作が行われる。
より具体的には、インクジェット記録装置100では、まず、装置本体160に設けられた操作ボタン160aの操作により、制御部に印刷開始の命令がされると、制御部から伝送された制御信号により、給排紙機構及びヘッドキャップ開閉機構が駆動して、印刷が可能な状態となる。すなわち、ヘッドキャップ開閉機構が、ヘッドカートリッジ110に対して、給紙トレイ162及び排紙トレイ163が設けられている側である装置本体160の前面側に、ヘッドキャップ124を移動させる。これにより、記録ヘッド123の吐出面123aに設けられたノズル127aが外部に露出した開放状態となり、記録ヘッド123は、インク1を吐出できるようになる。
次に、給排紙機構が、給紙トレイ162から記録紙Pを1枚だけ引き出し、記録ヘッド123の吐出面123aと対向する位置に記録紙Pを搬送する。これにより、記録紙Pは、吐出面123aと対向した状態となる。
次に、インクジェット記録装置100は、記録ヘッド123に設けられた複数の発熱抵抗体126aのうち、印刷データに基づく制御信号によって選択された発熱抵抗体126aに駆動電流を供給し、選択された発熱抵抗体126aを加熱する。インクジェット記録装置100は、発熱抵抗体126aを加熱することによって、図4に示すように、吐出面123aと対向する位置に搬送された記録紙Pに対して、加熱された発熱抵抗体126aに対応するノズル127aによりインク滴1dを吐出し、画像や文字等を記録する。
次に、給排紙機構は、画像や文字等の記録が終了した記録紙Pを排紙トレイ163に送り出し、排紙トレイ163に記録後の記録紙Pを排紙する。このようにして、インクジェット記録装置100では、記録紙Pに画像や文字等の記録を行う。記録後には、ヘッドキャップ開閉機構が、装置本体160の前面側に待機しているヘッドキャップ124を、ヘッドカートリッジ110の底面に移動させ、記録ヘッド123の吐出面123aを閉塞して保護する。なお、この際に、クリーニングローラ124aで吐出面123aをクリーニングするようにしてもよい。
<7.まとめ>
以上説明したように、本実施形態に係るインク組成物は、一般式(I)のアゾ染料と一般式(III)のアセチレングリコール系界面活性剤とを併用した場合に生ずる問題を解決するものである。具体的には、上記染料と界面活性剤を含むインク組成物中に、一般式(II)のアントラピリドン染料を加えることにより、一般式(III)の界面活性剤の含量を増やすことなく、界面活性能を十分に発揮させることができる。
従って、本実施形態によれば、高画質で堅牢性にも優れた記録物を記録可能であり、且つ、間欠吐出安定性に優れたインクジェット用インク組成物を得ることができる。特に、間欠吐出性に関しては、後述する実施例に示すように、印画停止時間が5秒以上、さらに好ましい例では10秒以上であっても、良好な画像を安定して得ることができる。また、本実施形態によれば、マゼンタインクとしての好ましい色調を有するインクジェット用インク組成物を得ることができる。さらには、本実施形態に係るインクジェット用インク組成物は、サーマルインクジェット記録方式に用いた場合にも、発熱体(ヒータ)の耐久性に優れている。
また、本実施形態に係るインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置によれば、マゼンタインクとして、本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を用いることにより、印画停止時間が長くても、高画質で堅牢性に優れた(耐光性に優れ、保存性の高い)画像を安定して得ることができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<色材の調製>
[例示化合物1〜4の合成]
例示化合物1〜4は、上記特許文献1(特開2006−143989号公報)の実施例1に記載の方法に準じて合成した。以下に、具体例として例示化合物1の合成方法を記載する。
(1)化合物1−1の合成
5−アミノ−3−tert−ブチル−4−シアノピラゾール(下記化合物A)24.1gを、濃塩酸45ml、酢酸30ml、及びプロピオン酸45mlの混合溶媒に添加し、内温0℃で攪拌した。さらに、攪拌後の溶液に、水20mlに溶解させた亜硝酸ナトリウム10.1gを10分間で滴下後、そのまま30分間攪拌した。
次に、カプラー成分(下記化合物B)84.7gをメタンスルホン酸231ml、酢酸147ml、及びプロピオン酸221mlの混合溶媒に溶解させ、0℃で攪拌し、攪拌後の溶媒に、上記化合物Aの反応溶液(ジアゾニウム塩)を30分間で加えた。ジアゾニウム塩の添加後、さらに反応液を30分攪拌させた後、水2250mlに氷750gを添加し攪拌したところへ、上記反応液を徐々に加え、析出した化合物を吸引濾過することにより単離して、化合物1−1を得た。
Figure 2012046609
(2)化合物(化合物1−2)の合成
上記化合物1−1を21g容器に移し、さらに、当該容器に、ヘテリル化剤(下記化合物C)26.6g、炭酸カリウム21.7g、及びDMSO(ジメチルスルホキシド)147mlを加え、窒素バブリングさせながら内温92℃で4時間加熱攪拌させた。攪拌終了後、内容液を室温まで冷却し、反応系から析出した化合物を吸引濾過にて単離した。さらに、この粗結晶を水3L中に分散させ、過剰の炭酸カリウムを溶解させ、吸引ろ過して目的の化合物(下記化合物1−2)を得た。
Figure 2012046609
(3)例示化合物1の合成
30質量%発煙硫酸33mlを10℃に冷却し、化合物1−2を4.7g、内温25℃以下で分割添加した。内温30℃で2.5時間反応させた後、内温を0℃に冷却し、水24ml、次いで28%アンモニア水42mlを滴下した。イソプロパノール/n−ブタノール(21:5)26mlで染料を抽出した後、25質量%水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に調整し、そこへエタノール20mlを滴下した。析出した無機塩をろ過により除き、メタノール10ml、酢酸ナトリウム6.0g、及び酢酸カリウム2.4gを加え、内温を65℃まで上昇させた後、エタノール80mlを滴下した。さらに、反応溶液を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を水36mlに溶解させ、この溶液を、ナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂50ml(オルガノ(株)社製:商品名アンバーライトIR−120Bをナトリウム型に変換したもの)を円筒形のカラムに充填した充填塔の中を25℃、約SV4の流速で通液した。通液した水溶液を、希水酸化リチウム水溶液を用いてpH7に調整した後に、平均孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いてろ過を行った。ろ液を減圧濃縮乾固した後、70℃で1晩乾燥させ、例示化合物1を得た。
[例示化合物5〜8の合成]
例示化合物5〜7は、特許文献2(特開平10−306221号公報)の実施例2に記載の方法に準じて合成した。また、例示化合物8は、特許文献3(特開2009−191147号公報)の実施例1に記載の方法に準じて合成した。以下に、具体例として例示化合物5及び6の合成方法を記載する。
(1)化合物5−1の合成
1−メチルアミノ−4−(3−メチル−アニリノ)アントラキノン(下記化合物D)25.7g、炭酸ナトリウム0.75g、マロン酸ジエチルエステル30.0g及びオルソジクロロベンゼン45gを反応器に仕込み、175〜180℃で5時間反応させた。反応は生成するエタノール及び水を反応系から追い出しながら行った。反応の完了をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)にて確認後、水冷し、メタノール170mlを加え、更に氷冷攪拌を1時間行い、析出した結晶を濾過した。次いで、得られた結晶をメタノール225mlで洗浄し、80℃の純水180mlで洗浄後、乾燥させ、下記化合物5−1を紫赤色の結晶として得た。
Figure 2012046609
(2)例示化合物5の合成
96質量%硫酸31.0gを反応器に仕込み、氷冷下30質量%発煙硫酸33.4gを加えて7質量%の発煙硫酸を調製した。この発煙硫酸に、氷冷下20℃以下で化合物5−1を8.8ml加え、20〜25℃の温度で3時間スルホン化反応を行った。0℃の純水400ml中に、上記の反応液を加えて攪拌下、塩化ナトリウム60gを添加して塩析を行った。さらに2時間攪拌した後、平均孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いてろ過を行った。ろ液を減圧濃縮乾固した後、70℃で1晩乾燥させ、例示化合物5を得た。
また、上記で得られた例示化合物5を水に溶解させ、酸を添加して酸性とした後、ろ過して得られたケーキを再び水に溶解させ、水酸化リチウムを添加することにより、リチウム塩の例示化合物6を得た。
<インクの調製>
全てのインク組成物には、色材として、上記で得られた例示化合物1〜8、下記比較化合物1、下記比較化合物2、及びC.I.ダイレクトブラック154から選択した色素を用いた。
Figure 2012046609
実施例としてのインク組成物は、各成分が表1−1〜表1−3の上段に記載した含有比率(質量%)となるように、比較例としてのインク組成物は、各成分が表2−1及び表2−2の上段に記載した含有比率(質量%)となるように、下記に示す実施例1の調製法に準じて調製した。
なお、表1−1〜1−3及び表2−1〜2−2の下段には、各インクの特性として、インク組成物中における染料の合計の含有量(染料濃度)と、インク組成物中のアゾ化合物/アントラピリドン化合物 比を掲載した。
[実施例1のインク組成物の調製]
インク組成物全量に対して、一般式(I)で表される第1の色材として例示化合物1の濃度が3.2質量%、一般式(II)で表される第2の色材として例示化合物5の濃度が0.8質量%、一般式(III)のアセチレングリコール系界面活性剤としてサーフィノールE1010(日信化学工業(株)製)の濃度が0.1質量%、グリセリンの濃度が2.0質量%、1,5−ペンタンジオールの濃度が10.0質量%、1,2−ペンタンジオールの濃度が3.0質量%、キシリトールの濃度が1.0質量%となるように計量し、イオン交換水にこれらを添加して混合した。
上記の溶液を十分に撹拌後、孔径0.5μmのフィルターにて濾過して、実施例1のインク組成物を得た。
Figure 2012046609
Figure 2012046609
Figure 2012046609
Figure 2012046609
Figure 2012046609
<インク組成物の評価方法>
上記で得られた各インク組成物をそれぞれ、ラインヘッドを有するソニー製サーマルインクジェットプリンター(LPR−E5000)に搭載した。そして、被記録媒体として、三菱製紙製のインクジェット光沢紙(IJ−RC−UF170)に記録デューティを0%から100%まで10%刻みで変化させた画像を記録して、得られた画像を温度24℃、相対湿度60%で24時間自然乾燥させた。
このようにして得られた記録物を用いて、CIE(国際照明委員会)により規定されたL表色系におけるa、b及び光学濃度について、分光光度計(SpectorolIno;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。
[印画物の色調]
得られたa及びbの値から、下記式(A)に基づいて色相角(H°)をそれぞれ算出して、色調(色相角)の評価を行った。
式(A)
≧0、b≧0(第一象現)では、H°=tan−1(b/a
≦0、b≧0(第二象現)では、H°=180+tan−1(b/a
≦0、b≦0(第三象現)では、H°=180+tan−1(b/a
≧0、b≦0(第四象現)では、H°=360+tan−1(b/a
色調(色相角)の評価基準は以下の通りである。また、評価結果を表3に示した。なお、本実施例では、下記の評価基準で、Aが特に好ましいマゼンタの色調を有するインク組成物であり、Bが好ましいマゼンタの色調を有するインク組成物であり、Cがマゼンタの色調として許容できないインク組成物であるとしている。
A:H°が0°以上5°以下
B:H°が5°超50°以下、又は、350°以上360°未満
C:H°が50°超350°未満
[印画物の耐光性]
上記条件で、初期の光学濃度(OD)を測定した後、さらに、スーパーキセノンウエザーメーターXL−75(スガ試験機(株)製)を用いて、照射強度60キロルクス、槽内温度22℃、相対湿度60%の条件下にて、上記記録物を180時間曝露した。その後、曝露試験後の光学濃度(OD)を分光光度計(SpectorolIno;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。この測定結果から、次式により光学濃度残存率(ROD[%])を求め、下記の判定基準により耐光性を評価した。なお、本実施例では、下記の評価基準で、Aが特に好ましい耐光性を有するインク組成物であり、Bが好ましい耐光性を有するインク組成物であり、Cが耐光性として許容できないインク組成物であるとしている。
ROD(%)=(曝露試験後のOD/初期のOD)×100
A:RODが80%以上
B:RODが70%以上80%未満
C:RODが70%未満
[印画物の耐オゾン性]
上記条件で、初期の光学濃度(OD)を測定した後、さらに、上記記録物に、オゾンウエザーメーターOMS−H(スガ試験機(株)製)を用い、24℃、相対湿度60%RH、オゾン濃度5ppmの条件下にて、上記記録物を72時間曝露した。その後、曝露試験後の光学濃度(OD)を分光光度計(SpectorolIno;Gretag Macbeth製)を用いて、光源:D50、視野:2°の条件で測定した。この測定結果から、次式により光学濃度残存率(ROD[%])を求め、下記の判定基準により耐オゾン性を評価した。なお、本実施例では、下記の評価基準で、Aが特に好ましい耐オゾン性を有するインク組成物であり、Bが好ましい耐オゾン性を有するインク組成物であり、Cが耐オゾン性として許容できないインク組成物であるとしている。
ROD(%)=(曝露試験後のOD/初期のOD)×100
A:RODが80%以上
B:RODが70%以上80%未満
C:RODが70%未満
[間欠吐出安定性]
表1−1〜1−3及び表2に記載の各インク組成物をそれぞれ、ラインヘッドを有するソニー製サーマルインクジェットプリンター(LPR−E5000)に搭載した。記録密度を600dpi×600dpiとし、温度10℃、湿度15%RHの環境で、所定のノズルからインクを吐出させた。その後、一定時間前記所定のノズルを使用せず、再度前記所定のノズルからインクを吐出させ、被記録媒体として、三菱製紙製のインクジェット光沢紙(IJ−RC−UF170)に記録を行った。このようにして得られた画像を目視で確認して、間欠吐出安定性の評価を行った。間欠吐出安定性の評価基準は以下の通りである。また、評価結果を表3に示した。なお、本実施例では、下記の評価基準で、Aが特に好ましい間欠吐出安定性を有するインク組成物であり、Bが好ましい間欠吐出安定性を有するインク組成物であり、Cが間欠吐出安定性として許容できないインク組成物であるとしている。
A:10秒間ノズルを使用しなかった後でも、正常に記録できた。
B:5秒間ノズルを使用しなかった後でも、正常に記録できた。
C:5秒間ノズルを使用しなかった後に、不吐出又は記録の乱れがあった。
[カラーブリード性]
表1−1〜1−3及び表2に記載の各インク組成物をそれぞれ、ラインヘッドを有するソニー製サーマルインクジェットプリンター(LPR−E5000)に搭載した。記録密度600dpi×600dpi、吐出量3.5pLで、被記録媒体として、三菱製紙製のインクジェット光沢紙(IJ−RC−UF170)にマゼンタに隣接してイエロー,シアン,ブラックの単色パターンを記録デューティが0%から100%まで10%刻みとなるように印画した。その後、画像を温度24℃、相対湿度60%で24時間自然乾燥させ、カラーブリード性の評価を行った。カラーブリード性の評価基準は以下の通りである。また、評価結果を表3に示した。なお、本実施例では、下記の評価基準で、Aが特に好ましいカラーブリード性を有するインク組成物であり、Bが好ましいカラーブリード性を有するインク組成物であり、Cがカラーブリード性として許容できないインク組成物であるとしている。
A:記録デューティが80%以上でも色のまじりがなく、境界が鮮明である。
B:記録デューティが60%以上でも色のまじりがなく、境界が鮮明である。
C:記録デューティが60%未満でも色のまじりが発生する。
Figure 2012046609
表3に示すように、実施例1〜18のインク組成物は、印画物の色調、印画物の耐光性、印画物の耐オゾン性、間欠吐出安定性、及びカラーブリード性のいずれも、好ましい評価または特に好ましい評価が得られた。
また、実施例1〜4では、アセチレングリコール系界面活性剤の含有量のみを変更し他の条件を同一にしている。これらの実施例を見ると、カラーブリード性と間欠吐出性をいずれも高レベルで両立させるためには、アセチレングリコール系界面活性剤の含有量を0.5質量%程度とすることが好ましいということがわかる。
また、色材の合計量が5.00質量%を超える実施例12では、間欠吐出安定性が「B」の評価となった。さらに、アゾ化合物/アントラピリドン化合物比が、本発明の範囲を外れる実施例9及び10では、色調の評価が「B」となった。
一方、界面活性剤を含まない比較例1では、カラーブリード性が劣っていた。また、アセチレン系界面活性剤の含有量が0.8質量%以上である比較例2〜4では、間欠吐出安定性が劣っていた。また、一般式(I)のアゾ化合物を含み、且つ、一般式(II)のアントラピリドン化合物を含まない比較例5〜8では、カラーブリード性に劣る結果となった。また、堅牢性に優れる一般式(I)のビスアゾ染料を含まない比較例9は、画像の堅牢性(印画物の耐光性及び印画物の耐オゾン性)や印画物の色調に劣る結果となった。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、インクジェット記録装置の構成に関し、ラインタイプのインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明に係るインクジェット記録装置は、記録ヘッドが被記録媒体の搬送方向とは直交した方向に往復移動しながら記録するシリアルタイプのインクジェット記録装置であってもよい。
1 インク(インク組成物)
1d インク滴
100 インクジェット記録装置
110 ヘッドカートリッジ
111 インクカートリッジ
112 インク供給部
121 カートリッジ本体
122 装着部
123 記録ヘッド
123a インク吐出面
124 ヘッドキャップ
124a クリーニングローラ
125 接続部
126 回路基板
126a 発熱抵抗体
127 ノズルシート
127a ノズル
128 フィルム
129 インク流路
130 インク液室
160 装置本体
161 ヘッドカートリッジ装着部
162 給紙トレイ
163 排紙トレイ
P 記録紙

Claims (10)

  1. 下記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、
    下記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、
    下記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、
    を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物。
    Figure 2012046609
    (前記一般式(I)中、aは、ハメットのσp値が0.20以上1.00未満の電子吸引性基である。また、b及びdは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。また、c及びeは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(II)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(III)中、m及びnは、1以上の整数である。)
  2. 前記第1の色材が、下記一般式(IV)で表される化合物である、請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
    Figure 2012046609
    (前記一般式(IV)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基であり、該アルキル基の水素原子は更に置換されていてもよい。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
  3. 前記第2の色材が、下記一般式(V)で表される化合物である、請求項2に記載のインクジェット用インク組成物。
    Figure 2012046609
    (前記一般式(V)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
  4. 前記第1の色材と前記第2の色材の前記インク組成物中における合計の含有量が、1.00質量%以上5.00質量%以下である、請求項3に記載のインクジェット用インク組成物。
  5. 前記第1の色材の前記インク組成物中における含有量(質量%)が、前記第2の色材の前記インク組成物中における含有量(質量%)に対して、質量比率で0.50倍以上4.00倍以下である、請求項4に記載のインクジェット用インク組成物。
  6. 前記界面活性剤が、HLB(HydrophIle−LIpophIle Balance)値で10以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のインクジェット用インク組成物。
  7. 下記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、下記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、下記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物の液滴をインクジェット方式で吐出して記録を行う、インクジェット記録方法。
    Figure 2012046609
    (前記一般式(I)中、aは、ハメットのσp値が0.20以上1.00未満の電子吸引性基である。また、b及びdは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。また、c及びeは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(II)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(III)中、m及びnは、1以上の整数である。)
  8. 下記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、下記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、下記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を備える、インクカートリッジ。
    Figure 2012046609
    (前記一般式(I)中、aは、ハメットのσp値が0.20以上1.00未満の電子吸引性基である。また、b及びdは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。また、c及びeは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(II)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(III)中、m及びnは、1以上の整数である。)
  9. 下記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、下記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、下記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を有する、インクカートリッジと、
    前記インク収容部に収容されたインク組成物の液滴を吐出するための記録ヘッドと、
    を備える、記録ユニット。
    Figure 2012046609
    (前記一般式(I)中、aは、ハメットのσp値が0.20以上1.00未満の電子吸引性基である。また、b及びdは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。また、c及びeは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(II)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(III)中、m及びnは、1以上の整数である。)
  10. 下記一般式(I)で表されるアゾ化合物である第1の色材と、下記一般式(II)で表されるアントラピリドン化合物である第2の色材と、下記一般式(III)で表される構造を有する化合物である界面活性剤と、を少なくとも含むインク組成物中に、前記界面活性剤を0.10質量%以上0.80質量%未満含有する、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を有する、インクカートリッジと、
    前記インク収容部に収容されたインク組成物の液滴を吐出するための記録ヘッドと、
    を備える、インクジェット記録装置。
    Figure 2012046609
    (前記一般式(I)中、aは、ハメットのσp値が0.20以上1.00未満の電子吸引性基である。また、b及びdは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。また、c及びeは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(II)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
    Figure 2012046609
    (前記一般式(III)中、m及びnは、1以上の整数である。)
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