JP5586865B2 - インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Description

本発明は、インクジェット用インク、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方法は、インク小滴を普通紙や光沢メディアなどの記録媒体に付与して画像を形成する記録方法であり、その低価格化、記録速度の向上により、急速に普及が進んでいる。また、インクジェット記録方法により得られる画像の高画質化が進んだことに加えて、デジタルカメラの急速な普及に伴って、銀塩写真に匹敵する画像の出力方法として広く一般的なものになっている。
近年、インクジェット記録方法においては、インク滴の極小化や、多色インクの導入に伴う色域の向上などにより、今まで以上に高画質化が進んでいる。しかしその反面、色材やインクに対する要求はより大きくなり、発色性の向上や、目詰まり、吐出安定性などの信頼性において、より厳しい特性が要求されている。
一方で、インクジェット記録方法の問題点としては、得られた記録物が画像保存性に劣ることが挙げられる。一般に、インクジェット記録方法で得られた記録物は、銀塩写真と比較して、その画像保存性が低いという問題がある。具体的には、記録物が、光、湿度、熱、空気中に存在するオゾンガスなどに長時間さらされた際に、記録物上の色材が劣化し、画像の色調変化や褪色が発生しやすいといった問題がある。
各色の色材の中でも特に耐光性が低い色材を使用するイエローインクにより得られる画像の画像保存性を向上させるために、従来から数多くの提案がなされている。例えば、耐オゾンガス・耐光性に非常に優れ、かつ、発色性に優れた画像を形成することができるイエロー色材が提案されている(特許文献1参照)。
国際公開第2006/082669号パンフレット
下記一般式(I)で表される化合物は、分子中に電子吸引性の高い官能基を導入することで、分子の酸化電位が貴になるように設計されたイエロー色材である。このように設計することにより、該色材(化合物)は、オゾンガスなどの酸化剤によって生じる化合物の酸化が抑制されたものになっている。そして、結果として、下記一般式(I)で表される化合物を色材として含有するインクを用いて形成した画像の耐オゾン性や耐光性は、非常に優れたものになっている。
Figure 0005586865
(一般式(I)中、R1、R2、Y1及びY2はそれぞれ独立に、一価の基であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基である。また、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、水素原子又は下記の置換基の群から選ばれるいずれかの基である。置換基の群は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、及び置換若しくは無置換のヘテロ環基からなる。また、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
本発明者らは、上記一般式(I)で表されるイエロー色材についての検討を行う過程において、この色材に特有の問題点を見出した。先に述べたように、この色材は酸化しづらい分子構造に設計されている、つまり電子を外部に放出しづらい分子構造を有している。このため、逆に外部から電子を受け取りやすい、つまり求核反応を受けやすいことになる。そして、このことに起因する問題として、前記一般式(I)で表される化合物(色材)を含有するインクを所定の条件下で保存すると、インク中の該色材が分解する現象を生じる場合があることを見出した。本発明者らの検討によって、この現象は、インク中の有機溶剤などが前記色材に対する求核反応を起こし、その結果、前記色材の分解が生じていることが明らかになった。
そして、このイエロー色材における分解が生じると、インクの耐光性、発色性、及び色調などにおいて所望の性能が得られなくなることもわかった。さらに、この色材の分解率は、インク中に含有される有機溶剤の種類によって異なっており、有機溶剤の構造中における、有機溶剤の分子量に占める水酸基の分子量の割合(MOH/MW)の値が大きいほど、分解が促進されることを見出した。
そこで、本発明者らは、インク中において生じる前記一般式(I)で表される化合物(色材)の分解を抑制するべく、単純にMOH/MWの値が小さい有機溶剤のみでインクを構成することを試みた。その結果、色材の分解は抑制されたが、このような構成のインクは、耐固着性、吐出安定性などの信頼性が著しく低下したものになり、インクジェット用インクとしての特性が損なわれることがわかった。つまり、前記色材のインク中における耐分解性を向上させ、かつ信頼性を満足させるためには、インクに含まれる有機溶剤の種類、配合比を適切に選択する必要があるという知見を得た。
これらの検討の結果から、本発明者らは、一般式(I)で表される化合物を、インクジェット用インクの色材に用いる場合には、色材の耐分解性とインクとしての信頼性とを共に満足する構成を確立する必要があるとの考えに至った。
したがって、本発明の目的は、一般式(I)で表される化合物の分解の問題を解決し、非常に優れた耐オゾン性や耐光性を示す画像が得られ、しかもインクとしての信頼性、特に、耐固着性や吐出安定性に優れたインクジェット用インクを提供することにある。また、本発明の別の目的は、前記インクジェット用インクを用いることで、上記の優れた特性の画像を安定して得ることができるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、下記一般式(I)で表される化合物及び有機溶剤を含有するインクジェット用インクであって、前記有機溶剤が、前記有機溶剤の分子量に占める水酸基の分子量の割合MOH/MWが0以上0.2未満である有機溶剤A、前記MOH/MWが0.2以上0.4未満である有機溶剤B、及び前記MOH/MWが0.4以上1.0未満である有機溶剤Cを含み、前記有機溶剤Aが含窒素有機溶剤を含み、前記有機溶剤Aの全質量を基準とした、前記含窒素有機溶剤の含有量が80.0質量%以上であり、前記有機溶剤Aの含有量が、インク全質量を基準として、3.0質量%以上12.0質量%以下であることを特徴とするインクジェット用インクである。
Figure 0005586865
(前記一般式(I)中、R1、R2、Y1及びY2はそれぞれ独立に、一価の基であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基であり、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
本発明によれば、一般式(I)で表される化合物の分解の問題が解決され、非常に優れた耐オゾン性や耐光性を示す画像が得られ、しかもインクとしての信頼性、特に、耐固着性や吐出安定性に優れたイエローのインクジェット用インクが提供される。また、本発明の別の実施態様によれば、このインクジェット用インクを用いることで、上記の優れた画像を安定して得ることができるインクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット、及びインクジェット記録装置が提供される。
有機溶剤のMOH/MWの値と、分解率との関係を示すグラフである。 インクジェット記録装置の斜視図である。 インクジェット記録装置の機構部の斜視図である。 インクジェット記録装置の断面図である。 ヘッドカートリッジにインクカートリッジを装着する状態の斜視図である。 ヘッドカートリッジの分解斜視図である。 ヘッドカートリッジにおける記録素子基板を示す正面図である。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を挙げて、詳細に説明する。
なお、本発明においては、化合物が塩である場合は、インク中では塩はイオンに解離して存在しているが、便宜上、「塩を含有する」と表現する。また、以下の記載において、一般式(I)、一般式(II)、及び、一般式(III)で表される化合物は、それぞれ「一般式(I)の化合物」、「一般式(II)の化合物」、及び「一般式(III)の化合物」と省略して記載することがある。さらに、本発明において、有機溶剤や含窒素有機溶剤は、常温(20〜25℃)で固体であっても、水に溶解させて水溶液とした場合に、色材などの成分を溶解ないしは分散させる溶媒となりうるものであれば、有機溶剤や含窒素有機溶剤に含まれるものとする。
前記したように、インクジェット用インクとして広く用いられるイエロー、マゼンタ、及びシアンの各インクの中でも特に、イエローインクが堅牢性に劣る傾向がある。そこで、本発明者らはイエローインクに用いる色材について様々な検討を行った。その結果、特に、先に挙げた特許文献1に記載されている下記一般式(I)の化合物、及び、その中でも特に下記一般式(II)の化合物が、堅牢性及び発色性に優れており、インクの色材として好適であることに着目した。
Figure 0005586865
(一般式(I)中、R1、R2、Y1及びY2はそれぞれ独立に、一価の基であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基である。また、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、水素原子又は下記の置換基の群から選ばれるいずれかの基である。置換基の群は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、及び置換若しくは無置換のヘテロ環基からなる。また、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
Figure 0005586865
(一般式(II)中、X1及びX2はそれぞれ独立に、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基である。また、Y1及びY2はそれぞれ独立に、一価の基である。また、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
しかしながら、本発明者らが、色材として一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物を含有するインクを調製し、種々の画像の検討や、インクの信頼性についての検討を行ったところ、以下3つの課題があることがわかった。
1つ目の課題は、以下に述べる色材の分解の問題である。一般式(I)の化合物や一般式(II)の化合物は、分子中に電子吸引性の高い官能基を導入することで、分子の酸化電位が高くなるように設計されている。それによりオゾンガスなどの酸化剤による色材分子の酸化を防ぎ、結果として堅牢性に非常に優れた色材になっている。前記色材は、堅牢性を向上させるため、酸化されにくい分子構造、つまり電子を外部に放出しづらい分子構造に設計されていることから、逆に外部から電子を受け取りやすく、求核反応を起こされやすいものである。本発明者らの検討の結果、このことによって、一般式(I)の化合物や一般式(II)の化合物をインクの色材として用いた場合に、インク中に含有させた有機溶剤により前記色材が求電子反応を起こし、色材自体が分解してしまうことがあることが明らかになった。
具体的には、本発明者らは、以下のような検討結果を得た。先ず、グリセリン25.0質量%、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物3.0質量%、及び水72.0質量%の組成で含有する水溶液を調製した。そして、得られた水溶液を、温度70℃の条件で7日間保存し、保存前後の液体について高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて化合物のピークを測定した。そして、保存前後における化合物のピーク面積の減少率を求め、これを化合物の分解率とした。すると、この水溶液中に含有させた一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物は、28%以上も分解することが明らかとなった。また、これらの化合物の分解により、この保存後の水溶液を用いて形成した画像では、堅牢性や色調などにおいても、所望の性能が得られなくなることがわかった。
これらのことから、前記色材を用いる以上、この色材の分解性に配慮したインク処方にすることが必須となる。本発明者らのさらなる詳細な検討の結果、併存させた場合に、特に色材の分解を促進させる有機溶剤としては、例えば、グリセリンやエチレングリコールなどがあることがわかった。この事実からさらに検討した結果、有機溶剤の中でも、その分子量に占める水酸基の分子量の割合[MOH/Mw(MW:有機溶剤の分子量、MOH:有機溶剤分子中の水酸基の総分子量)]が大きいものを併存させると色材の分解が促進されることがわかった。これは、単位質量のインク中に含まれる有機溶剤由来の水酸基の総数が多いほど、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物(色材)に対する水酸基による求核反応が促進されるためと考えられる。したがって、インク中における前記色材の耐分解性を向上させるためには、インクに含有させる有機溶剤として、適切なMOH/Mwの値の範囲を有する有機溶剤を選択する必要がある。なお、本発明でいう化合物(色材)の耐分解性とは、インク(水溶液)中において、有機溶剤によって化合物(色材)の分解が促進される程度が低いことを意味する。
2つ目の課題は、以下に述べるインクジェット用インクとしての信頼性(耐固着性)の問題である。本発明者らは、1つ目の課題として記載した一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の耐分解性を向上させるために、前記色材を分解させにくい有機溶剤、つまりMOH/MWの値が小さい有機溶剤のみを使用してインクを調製した。そして、得られたインクを用いて種々の検討を行った。
具体的には、上記で得られたインクをインクジェット記録装置に搭載し、長期間インクジェット記録装置を放置した後に、正常な吐出が可能となるまでの回復性を検討した。この結果、いくつかのインクジェット記録装置において、吐出の回復性に劣り、吐出不良が生じることがわかった。そして、吐出不良を生じた記録ヘッドのノズルを観察すると、吐出の回復操作を行ったにもかかわらず吐出口付近に色材の析出が認められた。この結果から、単純に、前記色材の分解を抑制する効果がある有機溶剤のみを選択すると、インクの耐固着性が著しく低下して、インクの信頼性が損なわれることがわかった。そこで、本発明者らは、前記色材を含有させたインクを調製する場合には、MOH/MWの値が小さい有機溶剤と大きい有機溶剤を併用する必要があるとの結論に至った。そして、かかる結論を踏まえてさらなる検討をした結果、以下の構成を見出した。具体的には、MOH/MWの値が小さい有機溶剤と大きい有機溶剤を適切な比率で併用したインクという構成により、色材の耐分解性の問題と、インクの耐固着性の問題とを同時に解決し、両立させることを可能とした。なお、本発明でいうインクの耐固着性に優れることとは、以下のことを意味する。すなわち、インクを装置に搭載した状態で長期間放置した場合などに生じ得る吐出口付近に析出した色材などによる記録ヘッドの目詰まりに対して、正常な吐出が可能となるまでに回復する際に要する吐出の回復操作の回数が少なくて済むことを意味する。つまり、耐固着性に優れるインクは、より少ない回復操作の回数で正常な吐出が可能となる。
3つ目の課題は、以下に述べるインクの吐出安定性の問題である。前述の通り、MOH/MWの値が小さい有機溶剤と大きい有機溶剤とを併用した構成とすることで、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の耐分解性と、インクの耐固着性とを両立したインクを得ることは可能となった。しかし、さらなる検討の結果、上記した構成とした場合に新たな課題があることを見出した。具体的には、上記構成のインクをインクジェット記録装置に搭載し、記録中に短時間記録ヘッドを外気に接触する形態で放置した後、再び吐出させると、その吐出初期においてはインクが安定に吐出されず、結果として、画像にヨレやムラが生じることがわかった。なお、本発明でいう吐出安定性とは、インクを装置に搭載し、記録中に短時間記録ヘッドの吐出口を外気に接触する形態で放置した後、再び吐出させた場合に、吐出初期の画像にヨレやムラが生じる程度が少ないことを意味する。
本発明者らがこの現象のメカニズムについて考察した結果、上記のような場合に吐出安定性が損なわれるのは、下記のことが原因となっていることを見出した。記録ヘッドの吐出口を外気に接触する形態で放置した間に吐出口から水分が蒸発し、吐出口近傍において色材や有機溶剤の濃度が相対的に上昇し、この結果、インクの粘度が高まり、吐出口近傍のインクが吐出されにくくなることが影響していることがわかった。本発明者らは、この吐出口からの水分の蒸発を抑制することが、吐出安定性の向上に繋がると考え、保湿性に優れた有機溶剤をインクに使用することを着想した。しかし、グリセリンなどのように保湿性を有する化合物は一般的に水酸基を有するため、このような化合物を使用することは、前述のように一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の分解を促進させることとなるので、極力避けることが好ましい。そこで、本発明者らは、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物をできるだけ分解させないような化合物を見出すために、保湿性を有する種々の化合物について検討を行った。その結果、水酸基などの求核部位を有さないか、又は求核部位を有しても少なく、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の分解に関与しにくく、かつ、保湿性に優れた含窒素有機溶剤を、後述する特定の割合で使用すればよいことを見出した。含窒素有機溶剤は、一般的に、水と混ざると、化合物中の窒素と水が水素結合を形成することで水を引き寄せ、水の放出を抑制し、結果として保湿性を発揮するため、本発明のインクに好適である。
上記の検討の結果、上記した3つの課題を全て満足するインクを提供する本発明の目的を達成するためには、先ず、インクジェット用インク中に含有させる有機溶剤の構成を、下記の3種のものが必ず含まれるようにすることが有効であることを見出した。すなわち、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の分解を抑制するための有機溶剤、インクの耐固着性を確保するための有機溶剤、吐出安定性を得るための(含窒素)有機溶剤、の3種の有機溶剤を含有させる。さらに、これら3種の有機溶剤を少なくとも1種ずつ、バランスよく組み合わせてインクに含有させることが必要である。なお、本発明におけるインクに含有される有機溶剤とは、水に対して溶解し、該有機溶剤又は該有機溶剤の水溶液が色材を溶解することができるものである。
次に、本発明のインクジェット用インクを構成する有機溶剤A、B、CのMOH/Mwの閾値について説明する。本発明者らは、種々の有機溶剤について、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物に対する溶解度の検討を行った。具体的には、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物を11.0質量%含有する水溶液10gに種々の有機溶剤10gと水10gを混ぜ合わせ、その水溶液を底面積13cm2のシャーレ上に7日間室温にて放置し、水溶液の状態を観察した。
その結果、有機溶剤の分子量に占める水酸基の分子量の割合(MOH/Mw)が0以上0.2未満の有機溶剤Aにおいては、水溶液中の一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物が固化しているのが観測された。すなわち、有機溶剤Aは、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の溶解状態を安定に保つ特性が低い、つまり、貧溶媒としての特性が大きいことがわかった。また、MOH/Mwの値が0.2以上0.4未満の有機溶剤Bにおいては、水溶液がゲル状になっているのが観測された。さらに、MOH/Mwの値が0.4以上1.0未満の有機溶剤Cにおいては、水溶液の状態に殆ど変化が見られなかった。すなわち、有機溶剤Cは、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の溶解状態を安定に保つ特性が高い、つまり、良溶媒としての特性が大きいことがわかった。これらの結果から、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物に対する有機溶剤の溶解性の度合いは、有機溶剤のMOH/Mwの値によって、0以上0.2未満、0.2以上0.4未満、0.4以上1.0未満、の3つのものに分類することができる。
一方、有機溶剤の溶解性は、本発明の3つの課題である、色材の耐分解性、インクの耐固着性及び吐出安定性に対して、以下のような関係がある。色材の耐分解性に関しては、前述した通り、本発明者らの検討によって、有機溶剤のMOH/Mwの値が大きいものほど、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の分解を促進させることがわかっている。したがって、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の耐分解性の観点からは、MOH/Mwの値が大きい、つまりこれらの化合物に対して良溶媒としての特性が大きい有機溶剤ほど、インク中に含有させることが好ましくないのは明らかである。また、インクの耐固着性及び吐出安定性の観点からは、MOH/Mwの値が小さい、つまり貧溶媒としての特性が大きい有機溶剤ほどインク中に含有させるのは好ましくない。すなわち、このような有機溶剤をインクに含有させた場合は、インク中での色材の析出や、インクの粘度の上昇を引き起こす結果、インクの耐固着性及び吐出安定性といった特性の低下が生じる。
これらのことから、本発明で用いる色材の耐分解性に優れ、インクの耐固着性及び吐出安定性に優れたインクジェット用インクとするためには、インクに含有させる有機溶剤の溶解性は、重要な要素となる。このため、本発明では、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物に対する有機溶剤の溶解性を上記の検討結果に基づいて、MOH/Mwの値を0以上0.2未満、0.2以上0.4未満、0.4以上1.0未満の3段階に分類し、インクの構成を規定した。
なお、本発明においては、有機溶剤について規定するMOH/Mwの値は、小数点以下第2位を四捨五入した値とする。また、MOH/Mwの値の範囲は、有機溶剤が水酸基を有さない場合に下限の0(ゼロ)となり、有機溶剤が水酸基を多く有するほど上限の1に近づく。
本発明の特徴は、インクに含有させる有機溶剤の種類(より好ましくは含有量)を規定することで、前記一般式(I)又は(II)の化合物をインク色材として用いる上で必然的に生じる3つの課題を同時に解決したことにある。具体的には、インク中における該色材の耐分解性、インクの耐固着性及び吐出安定性の全てを満足したインクジェット用インクとしたことにある。以下に、本発明のインクジェット用インクについて、詳細に説明する。
<インクジェット用インク>
以下、本発明のインクジェット用インク(以下、単にインクと呼ぶこともある)を構成する成分や、インクの物性などについて詳細に述べる。
(色材)
〔一般式(I)で表される化合物、又は一般式(II)で表される化合物〕
本発明のインクは、画像の堅牢性や発色性に優れるという特徴を有する、下記一般式(I)の化合物を色材として含有することが必要である。下記一般式(I)の化合物の中でも特に、下記一般式(II)の化合物を使用することが好ましい。以下、これらの一般式について説明する。
Figure 0005586865
(一般式(I)中、R1、R2、Y1及びY2はそれぞれ独立に、一価の基であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基である。また、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、水素原子又は下記の置換基の群から選ばれるいずれかの基である。置換基の群は、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基からなる。また、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
Figure 0005586865
(一般式(II)中、X1及びX2はそれぞれ独立に、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基である。また、Y1及びY2はそれぞれ独立に、一価の基である。また、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
一般式(I)におけるR1、R2、Y1及びY2、並びに、一般式(II)におけるY1及びY2は、それぞれ独立に一価の基であり、具体的には、以下の置換基とすることができる。例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アルコキシ基。アリールオキシ基、シリルオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アリールアミノ基)、アシルアミノ基(アミド基)。アミノカルボニルアミノ基(ウレイド基)、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基。アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、スルファモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基。カルバモイル基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスフィニルオキシ基、ホスフィニルアミノ基、シリル基、アゾ基、及びイミド基が挙げられる。これらの基はさらに置換基を有してもよい。
上記した中でも、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基。アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、スルファモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、カルバモイル基、及びアルコキシカルボニル基が好ましい。さらに、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、及びヘテロ環基がより好ましい。特に、水素原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、及びアルキルスルホニル基が好ましい。本発明においては、一般式(II)におけるY1及びY2がそれぞれ独立に、以下の基であることが特に好ましい。すなわち、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基である。
以下に、上記に挙げた一般式(I)や一般式(II)における、R1、R2、Y1及びY2になり得る一価の基について、さらに詳しく説明する。
ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子などが挙げられ、中でも、塩素原子又は臭素原子が好ましく、特には、塩素原子が好ましい。
アルキル基としては、炭素数が1乃至30の置換又は無置換のアルキル基が挙げられる。具体的には、メチル、エチル、ブチル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、ヒドロキシエチル、シアノエチル、及び4−スルホブチルなどの各基が挙げられる。
シクロアルキル基としては、炭素数が5乃至30の置換又は無置換のシクロアルキル基が挙げられる。具体的には、シクロヘキシル、シクロペンチル、及び4−n−ドデシルシクロヘキシルなどの各基が挙げられる。
アラルキル基としては、炭素数が7乃至30の置換又は無置換のアラルキル基が挙げられる。具体的には、ベンジル及び2−フェネチルなどの各基が挙げられる。
アルケニル基としては、炭素数が2乃至30の置換又は無置換のアルケニル基が挙げられる。具体的には、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル、2−シクロペンテン−1−イル、及び2−シクロヘキセン−1−イルなどの各基が挙げられる。
アルキニル基としては、炭素数2乃至30の置換又は無置換のアルキニル基が挙げられる。具体的には、エチニル及びプロパルギルなどの各基が挙げられる。
アリール基としては、炭素数6乃至30の置換又は無置換のアリール基が挙げられる。具体的には、フェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、及びo−ヘキサデカノイルアミノフェニルなどの各基が挙げられる。
ヘテロ環(複素環)基としては、5員環又は6員環が挙げられ、置換又は無置換の、芳香族又は非芳香族のヘテロ環化合物から1個の水素原子を取り除いた一価の基であり、これらはさらに縮環していてもよい。中でも、炭素数3乃至50の5員環又は6員環である芳香族のヘテロ環基であることが好ましい。へテロ環基としては、置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、ピリミジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン。チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール。ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、及びチアゾリンなどの各基が挙げられる。
アルコキシ基としては、炭素数が1乃至30の置換又は無置換のアルコキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、n−オクチルオキシ、メトキシエトキシ、ヒドロキシエトキシ、及び3−カルボキシプロポキシなどの各基が挙げられる。
アリールオキシ基としては、炭素数6乃至30の置換又は無置換のアリールオキシ基が挙げられる。具体的には、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、及び2−テトラデカノイルアミノフェノキシなどの各基が挙げられる。
シリルオキシ基としては、炭素数3乃至20のシリルオキシ基が挙げられる。具体的には、トリメチルシリルオキシ、及びt−ブチルジメチルシリルオキシなどの各基が挙げられる。
ヘテロ環オキシ基としては、炭素数2乃至30の置換又は無置換のヘテロ環オキシ基が挙げられる。具体的には、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、及び2−テトラヒドロピラニルオキシなどの各基が挙げられる。
アシルオキシ基としては、ホルミルオキシ基、炭素数2乃至30の置換又は無置換のアルキルカルボニルオキシ基、及び炭素数6乃至30の置換又は無置換のアリールカルボニルオキシ基が挙げられる。具体的には、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、及びp−メトキシフェニルカルボニルオキシなどの各基が挙げられる。
カルバモイルオキシ基としては、炭素数1乃至30の置換又は無置換のカルバモイルオキシ基が挙げられる。具体的には、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシなどの各基が挙げられる。
アルコキシカルボニルオキシ基としては、炭素数2乃至30の置換又は無置換のアルコキシカルボニルオキシ基が挙げられる。具体的には、メトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、及びn−オクチロキシカルボニルオキシなどの各基が挙げられる。
アリールオキシカルボニルオキシ基としては、炭素数7乃至30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が挙げられる。具体的には、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、及びp−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシなどの各基が挙げられる。
アミノ基としては、炭素数1乃至30の置換又は無置換のアルキルアミノ基、及び炭素数6乃至30の置換又は無置換のアリールアミノ基が挙げられる。具体的には、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ、ヒドロキシエチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、スルフォエチルアミノ、及び3,5−ジカルボキシアニリノなどの各基が挙げられる。
アシルアミノ基としては、ホルミルアミノ基、炭素数1乃至30の置換又は無置換のアルキルカルボニルアミノ基、及び炭素数6乃至30の置換又は無置換のアリールカルボニルアミノ基が挙げられる。具体的には、ホルミルアミノ、アセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ、及び3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノなどの各基が挙げられる。
アミノカルボニルアミノ基としては、炭素数1乃至30の置換又は無置換のアミノカルボニルアミノ基が挙げられる。具体的には、カルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノなどの各基が挙げられる。
アルコキシカルボニルアミノ基としては、炭素数2乃至30の置換又は無置換のアルコキシカルボニルアミノ基が挙げられる。具体的には、メトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、及びN−メチル−メトキシカルボニルアミノなどの各基が挙げられる。
アリールオキシカルボニルアミノ基としては、炭素数7乃至30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が挙げられる。具体的には、フェノキシカルボニルアミノ、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ、及びm−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノなどの各基が挙げられる。
スルファモイルアミノ基としては、炭素数0乃至30の置換又は無置換のスルファモイルアミノ基が挙げられる。具体的には、スルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、及びN−n−オクチルアミノスルホニルアミノなどの各基が挙げられる。
アルキルスルホニルアミノ基及びアリールスルホニルアミノ基としては、炭素数1乃至30の置換又は無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6乃至30の置換又は無置換のアリールスルホニルアミノ基が挙げられる。具体的には、メチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、及びp−メチルフェニルスルホニルアミノなどの各基が挙げられる。
アルキルチオ基としては、炭素数1乃至30の置換又は無置換のアルキルチオ基が挙げられる。具体的には、メチルチオ、エチルチオ、及びn−ヘキサデシルチオなどの各基が挙げられる。
アリールチオ基としては、炭素数6乃至30の置換又は無置換のアリールチオ基が挙げられる。具体的には、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、及びm−メトキシフェニルチオなどの各基が挙げられる。
ヘテロ環チオ基としては、炭素数2乃至30の置換又は無置換のヘテロ環チオ基が挙げられる。具体的には、2−ベンゾチアゾリルチオ、及び1−フェニルテトラゾール−5−イルチオなどの各基が挙げられる。
スルファモイル基としては、炭素数0乃至30の置換又は無置換のスルファモイル基が挙げられる。具体的には、以下の各基が挙げられる。すなわち、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、及びN−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイルなど。
アルキルスルフィニル基及びアリールスルフィニル基としては、炭素数1乃至30の置換又は無置換のアルキルスルフィニル基、及び炭素数が6乃至30の置換又は無置換のアリールスルフィニル基が挙げられる。具体的には、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、及びp−メチルフェニルスルフィニルなどの各基が挙げられる。
アルキルスルホニル基及びアリールスルホニル基としては、炭素数1乃至30の置換又は無置換のアルキルスルホニル基、及び炭素数が6乃至30の置換又は無置換のアリールスルホニル基が挙げられる。具体的には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、及びp−トルエンスルホニルなどの各基が挙げられる。
アシル基としては、下記のものが挙げられる。すなわち、ホルミル基、炭素数2乃至30の置換又は無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7乃至30の置換又は無置換のアリールカルボニル基、及び炭素数4乃至30の置換又は無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基である。具体的には、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、及び2−フリルカルボニルなどの各基が挙げられる。
アリールオキシカルボニル基としては、炭素数7乃至30の置換又は無置換のアリールオキシカルボニル基が挙げられる。具体的には、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、及びp−t−ブチルフェノキシカルボニルなどの各基が挙げられる。
アルコキシカルボニル基は、炭素数2乃至30の置換又は無置換のアルコキシカルボニル基が挙げられる。具体的には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、及びn−オクタデシルオキシカルボニルなどの各基が挙げられる。
カルバモイル基としては、炭素数1乃至30の置換又は無置換のカルバモイル基が挙げられる。具体的には、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、及びN−(メチルスルホニル)カルバモイルなどの各基が挙げられる。
ホスフィノ基としては、炭素数2乃至30の置換又は無置換のホスフィノ基が挙げられる。具体的には、ジメチルホスフィノ、ジフェニルホスフィノ、及びメチルフェノキシホスフィノなどの各基が挙げられる。
ホスフィニル基としては、炭素数2乃至30の置換又は無置換のホスフィニル基が挙げられる。具体的には、ホスフィニル、ジオクチルオキシホスフィニル、及びジエトキシホスフィニルなどの各基が挙げられる。
ホスフィニルオキシ基としては、炭素数2乃至30の置換又は無置換のホスフィニルオキシ基が挙げられる。具体的には、ジフェノキシホスフィニルオキシ、及びジオクチルオキシホスフィニルオキシなどの各基が挙げられる。
ホスフィニルアミノ基としては、炭素数2乃至30の置換又は無置換のホスフィニルアミノ基が挙げられる。具体的には、ジメトキシホスフィニルアミノ、及びジメチルアミノホスフィニルアミノなどの各基が挙げられる。
シリル基としては、炭素数3乃至30の置換又は無置換のシリル基が挙げられる。具体的には、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、及びフェニルジメチルシリルなどの各基が挙げられる。
アゾ基の具体的なものとしては、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、及び2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどの各基が挙げられる。
イミド基の具体的なものとしては、N−スクシンイミド、及びN−フタルイミドなどの各基が挙げられる。
これらの置換基はさらに置換されていてもよく、この場合の置換基としては、下記のものが挙げられる。炭素数1乃至12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7乃至18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2乃至12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2乃至12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基。炭素数3乃至12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3乃至12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基が挙げられる。これらの置換基は、染料の溶解性やインクの安定性を優れたものとするために、分岐鎖を有するものがより好ましく、さらには不斉炭素を有するものが特に好ましい。
置換基の具体例としては、下記の各基が挙げられる。メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、sec−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、及びシクロペンチルなどの置換又は無置換のアルキル基。塩素原子、及び臭素原子などのハロゲン原子。フェニル、4−t−ブチルフェニル、及び2,4−ジ−t−アミルフェニルなどのアリール基。イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、及び2−ベンゾチアゾリルなどのヘテロ環基。シアノ基、ヒドロキシ基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基。メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、及び2−メチルスルホニルエトキシなどのアルキルオキシ基。フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルボニルフェノキシ、及び3−メトキシカルボニルフェニルオキシなどのアリールオキシ基。アセトアミド、ベンズアミド、及び4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミドなどのアシルアミノ基。メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、及びメチルブチルアミノなどのアルキルアミノ基。フェニルアミノ、及び2−クロロアニリノなどのアニリノ基。フェニルウレイド、メチルウレイド、及びN,N−ジブチルウレイドなどのウレイド基。N,N−ジプロピルスルファモイルアミノなどのスルファモイルアミノ基。メチルチオ、オクチルチオ、及び2−フェノキシエチルチオなどのアルキルチオ基。フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、及び2−カルボキシフェニルチオなどのアリールチオ基。メトキシカルボニルアミノなどのアルキルオキシカルボニルアミノ基。メチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、及びp−トルエンスルホニルアミノなどのアルキル又はアリールスルホニルアミノ基。N−エチルカルバモイル、及びN,N−ジブチルカルバモイルなどのカルバモイル基。N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、及びN−フェニルスルファモイルなどのスルファモイル基。メチルスルホニル、オクチルスルホニル、フェニルスルホニル、及びp−トルエンスルホニルなどのスルホニル基。メトキシカルボニル、及びブチルオキシカルボニルなどのアルキルオキシカルボニル基。1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、及び2−テトラヒドロピラニルオキシなどのヘテロ環オキシ基。フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、及び2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾなどのアゾ基。アセトキシなどのアシルオキシ基。N−メチルカルバモイルオキシ、及びN−フェニルカルバモイルオキシなどのカルバモイルオキシ基。トリメチルシリルオキシ、及びジブチルメチルシリルオキシなどのシリルオキシ基。フェノキシカルボニルアミノなどのアリールオキシカルボニルアミノ基。N−スクシンイミド、及びN−フタルイミドなどのイミド基。2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、及び2−ピリジルチオなどのヘテロ環チオ基。3−フェノキシプロピルスルフィニルなどのスルフィニル基。フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、及びフェニルホスホニルなどのホスホニル基。フェノキシカルボニルなどのアリールオキシカルボニル基。アセチル、3−フェニルプロパノイル、及びベンゾイルなどのアシル基。カルボキシ基、スルホン酸基、ホスホノ基、及び4級アンモニウム基などのイオン性親水基が挙げられる。
一般式(I)又は一般式(II)におけるX1及びX2は、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基である。以下、このような置換基について説明する。
ここで、ハメット則及びハメットの置換基定数σp値(以下、「ハメットのσp値」と呼ぶ)について説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応や平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であり、今日では広く妥当性が認められている。ハメット則により求められる置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に記載がある。例えば、J.A.Dean編、Lange's Handbook of Chemistry 第12版、1979年、McGraw-Hillや、化学の領域、増刊、122号、96〜103頁、1979年、南光堂に詳細な記載がある。
なお、本発明においては、一般式(I)又は一般式(II)におけるX1及びX2の各置換基をハメットのσp値により規定している。しかし、本発明では、上記したような文献に具体的にσp値が記載された置換基のみに限定されるものではない。本発明は、上記したような文献にσp値が記載されていない置換基であっても、ハメット則に基づいてσp値を算出した場合に、その範囲内に含まれるであろう置換基をも含む。一般式(I)の化合物及び一般式(II)の化合物はいずれもベンゼン誘導体ではないが、本発明においては、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を用いるものとする。以下に、本発明に用いる、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の有する置換基において、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基として用いることができる置換基の具体例を、ハメットのσp値の範囲ごとに列挙する。
ハメットのσp値が0.60以上の電子吸引性基としては、以下のものが挙げられる。シアノ基、ニトロ基、アルキルスルホニル基(例えば、メタンスルホニル基)、アリールスルホニル基(例えば、ベンゼンスルホニル基)。
ハメットのσp値が0.45以上の電子吸引性基としては、上記に加えて、以下のものが挙げられる。
アシル基(例えば、アセチル基)。アルコキシカルボニル基(例えば、ドデシルオキシカルボニル基)。アリールオキシカルボニル基(例えば、m−クロロフェノキシカルボニル基)。アルキルスルフィニル基(例えば、n−プロピルスルフィニル基)。アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル基)。スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基)。ハロゲン化アルキル基(例えば、トリフロロメチル基)。
ハメットのσp値が0.30以上の電子吸引性基としては、上記に加えて、以下のものが挙げられる。
アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基)。カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基)。ハロゲン化アルコキシ基(例えば、トリフロロメチルオキシ基)。ハロゲン化アリールオキシ基(例えば、ペンタフロロフェニルオキシ基)。スルホニルオキシ基(例えば、メチルスルホニルオキシ基)。ハロゲン化アルキルチオ基(例えば、ジフロロメチルチオ基)。2つ以上のσp値が0.15以上の電子吸引性基で置換されたアリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基、ペンタクロロフェニル基)、複素環(例えば、2−ベンゾオキサゾリル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−フェニル−2−ベンズイミダゾリル基)。
ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基は、上記に加えて、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)などが挙げられる。
一般式(I)におけるZ1及びZ2はそれぞれ独立に、以下に挙げる置換基のいずれかである。すなわち、水素原子、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基、置換若しくは無置換のアラルキル基、置換若しくは無置換のアリール基、又は置換若しくは無置換のヘテロ環基のいずれかである。前記アルキル基としては、先にR1、R2、Y1及びY2の説明で挙げたアルキル基と同じものが挙げられる。前記アルケニル基は、先にR1、R2、Y1及びY2の説明で挙げたアルケニル基と同じものが挙げられる。前記アルキニル基は、先にR1、R2、Y1、及びY2の説明で挙げたアルキニル基と同じものが挙げられる。前記アラルキル基は、先にR1、R2、Y1及びY2の説明で挙げたアラルキル基と同じものが挙げられる。前記アリール基は、先にR1、R2、Y1及びY2の説明で挙げたアリール基と同じものが挙げられる。前記へテロ環基は、先にR1、R2、Y1及びY2の説明で挙げたヘテロ環基と同じものが挙げられる。また、これらの置換基はさらに置換されていてもよく、この場合の置換基は、先にR1、R2、Y1及びY2の説明で挙げた置換基をさらに置換する基として挙げた基と、同じものが挙げられる。
一般式(I)及び一般式(II)におけるMは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。前記アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、及びカリウムなどが挙げられる。前記有機アンモニウムとしては、例えば、アセトアミド、ベンズアミド、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、及びフェニルアミノなどが挙げられる。
前記一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の好ましい具体例としては、下記の例示化合物1〜14が挙げられる。なお、下記の例示化合物は、遊離酸の形で記載する。勿論、本発明においては、前記一般式(I)又は一般式(II)の構造及びその定義に包含されるものであれば、下記の例示化合物に限られるものではない。本発明においては、下記の例示化合物の中でも、特に、例示化合物5、6、7、8、及び10を用いることが好ましい。
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〔一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の分解性についての考察〕
本発明者らは、上記で説明したような構造を有する一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物が、該化合物(色材)と併用する有機溶剤の種類によって分解性が異なることを、次の方法で検証した。ここでは、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物として、上記例示化合物5を例に挙げて具体的に説明する。先ず、例示化合物5:3.0質量%、下記表1に示す各有機溶剤:25.0質量%、水:72.0質量%を混合して、インク1〜5を得た。得られた各インクをそれぞれ温度70℃の条件で7日間保存し、保存前後のインクについて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて色材のピークを測定した。そして、保存前後における色材のピーク面積の減少率を求め、これを色材の分解率とした。各インクに用いた有機溶剤の種類と、上記の方法で求めた例示化合物5の分解率の値とを表1に示した。また、有機溶剤のMOH/MWの値と、一般式(I)の化合物の分解率との関係を図1のグラフに示した。図1より、MOH/MWの値と一般式(I)の化合物の分解率との間にはよい相関が見られ、MOH/MWの値が大きいほど分解率も大きくなっているのがわかった。また、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物と同様にトリアジン環を有する、ジスアゾ系のイエロー染料として一般的なC.I.ダイレクトイエロー86に関しても同様な実験を行ったが、染料の分解は生じていなかった。
Figure 0005586865
〔色材の含有量〕
インク中の色材(一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物)の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、1.0質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。色材の含有量の合計が1.0質量%未満であると、画像の堅牢性や発色性が十分に得られない場合があり、含有量の合計が10.0質量%を超えると、耐固着性などのインクジェット特性が得られない場合がある。
(インクのpH)
本発明のインクは、pHが7.0以上10.0以下であることが好ましい。インクのpHが10.0を超えると、インクカートリッジやインクジェット記録装置のインクと接触する部材を構成する材料において、その材料の種類によっては、以下の問題が起こる場合があるためである。すなわち、不純物がインク中に溶出して、インクの性能が低下する場合がある。また、インクと接触する部材を構成する材料が劣化する場合がある。さらに、長期間連続して記録を長期間行う際に、記録ヘッドの発熱部接液面の劣化(溶解)や、配線の断線が起きる場合がある。一方、インクのpHが7.0未満であると、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の溶解性が低下するため、インクの保存安定性が低下する場合がある。
(水性媒体)
本発明のインクには、水及び有機溶剤の混合溶媒である水性媒体を用いることができる。本発明のインクに含有させる有機溶剤の種類や含有量に関しては、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の耐分解性、耐固着性、吐出安定性の点から適切なものを選択しなければならない。具体的には、有機溶剤の分子量に占める水酸基の割合(MOH/MWの値)が、0以上0.2未満の有機溶剤Aと0.2以上0.4未満の有機溶剤Bと0.4以上1.0未満の有機溶剤Cの3つをインク中に含有していなければならない。すなわち、本発明のインクは、有機溶剤A、B及びCのそれぞれを少なくとも1種ずつ含有してなることを要する。なお、本発明における有機溶剤とは、水に対して溶解し、該有機溶剤又は該有機溶剤の水溶液が色材を溶解することができるものである。インク中の有機溶剤の総含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、5.0質量%以上90.0質量%以下、さらには5.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。また、水は、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上90.0質量%以下であることが好ましい。
(有機溶剤A)
本発明で使用する有機溶剤Aに分類される有機溶剤は、分子量に占める水酸基の割合(MOH/MWの値)が、0以上0.2未満の化合物であるが、本発明のインク中に、少なくとも1種が含有されていることを要する。さらに、本発明のインクにおいては、有機溶剤Aに分類される有機溶剤のうちの80.0%以上が含窒素有機溶剤からなることを要する。含窒素有機溶剤は、保湿性に優れ、水分と共存すると水分を吸収、又は、水分を逃がしにくくする特性がある。インク中の有機溶剤Aの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上12.0質量%以下、さらには4.0質量%以上11.0質量%以下であることが好ましい。含有量が3.0質量%未満であると、吐出安定性を向上する効果が十分に得られない場合がある。また、含有量が12.0質量%を超えると、インクの粘度が高くなることにより、吐出不良が起き、結果として吐出安定性を向上する効果が十分に得られない場合がある。また、有機溶剤Aに該当する有機溶剤を2種以上使用する場合、質量基準で、80.0%以上は含窒素有機溶剤とする必要がある。これは、有機溶剤Aのうち含窒素有機溶剤が80.0%未満である場合には、吐出安定性を向上する効果が不十分になるからである。なお、本発明においては、有機溶剤Aに該当する有機溶剤のうち80.0%以上が含窒素有機溶剤であることを満足することを要するため、インクが1種類のみの有機溶剤Aを含有してなる場合は、該有機溶剤Aが含窒素有機溶剤であることが必要である。
本発明で使用することができる具体的な有機溶剤Aとしては、下記のものが挙げられる。例えば、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコール。平均分子量200乃至1,000程度、具体的には200、400、600、1,000のポリエチレングリコール、及び含窒素有機溶剤などが挙げられる。勿論、本発明においては、有機溶剤Aの定義に包含されるものであれば、上記の化合物に限られるものではない。これら有機溶剤Aは、本発明のインク中に少なくとも1種類含有されていることを要するが、2種類以上含有してもよい。
含窒素有機溶剤としては、保湿性に優れるため、尿素、尿素誘導体類、及びピロリドン類から選ばれる化合物が好ましい。本発明においては特に、下記一般式(III)で表される化合物を用いることが好ましい。このような環状の含窒素有機溶剤が好ましい理由としては、インクの保存によってインクのpH変化を起こさないためである。尿素などの非環状の含窒素有機溶剤では保存により分解が起こり、インクのpHを上昇させてしまうという問題を生じる場合があるが、環状の含窒素化合物は分解が生じにくいからである。インクのpHの上昇が生じると、一般式(I)の化合物又は一般式(II)の化合物の分解や析出が起こる場合がある。環状の含窒素有機溶剤としては、具体的には、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレン尿素、N,N’−ジメチルエチレン尿素などが挙げられる。本発明においては、有機溶剤Aに分類されるものとして、含窒素有機溶剤のみを使用することが特に好ましい。
Figure 0005586865
(一般式(III)中、R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はアシル基である。R4は、N−R5又はCH2であり、R5は、水素原子又はアルキル基である。Zは、一般式(III)中のウレア基又は置換若しくは無置換のアミドメチレン基と共に、単環又は多環の環構造を形成する原子団である。)
一般式(III)における各置換基は以下のものであることが好ましい。アルキル基としては、炭素数が1乃至10のアルキル基が挙げられる。シクロアルキル基としては、炭素数が3乃至10のシクロアルキル基が挙げられる。アラルキル基としては、炭素数が7乃至10のアラルキル基が挙げられる。アリール基としては、炭素数6乃至10のアリール基が挙げられる。アシル基としては、ホルミル基、炭素数2乃至10のアルキルカルボニル基、炭素数7乃至10のアリールカルボニル基、及び、炭素数4乃至10の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基である。これらの基はいずれも置換基を有していても、又は無置換であってもよい。また、Zはエチレン基であることが好ましい。
(有機溶剤B)
本発明で使用する有機溶剤Bに分類される有機溶剤は、分子量に占める水酸基の割合(MOH/MWの値)が、0.2以上0.4未満の化合物である。インク中の有機溶剤Bの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上15.0質量%以下、さらには4.0質量%以上14.0質量%以下であることが好ましい。有機溶剤Bの含有量が3.0質量%未満であると、耐固着性などのインクの信頼性が得られない場合がある。また、インク中における有機溶剤Bの含有量が15.0質量%を超えると、インクの粘度が上昇して、吐出不良が起き、結果として吐出安定性を向上する効果が十分に得られない場合がある。本発明で使用することができる具体的な有機溶剤Bとしては、下記のものが挙げられる。例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、3−メトキシ−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジプロピレングリコール。1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホン、トリエタノールアミンなどが挙げられる。勿論、本発明においては、有機溶剤Bの定義に包含されるものであれば、上記の化合物に限られるものではない。これらの有機溶剤Bは、本発明のインク中に少なくとも1種類含有されていることを要するが、2種類以上を含有してもよい。
(有機溶剤C)
本発明で使用する有機溶剤Cに分類される有機溶剤は、分子量に占める水酸基の割合(MOH/MWの値)が、0.4以上1.0未満の化合物である。インク中の有機溶剤Cの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、2.0質量%以上12.0質量%以下、さらには3.0質量%以上11.0質量%以下であることが好ましい。有機溶剤Cの含有量が2.0質量%未満であると、耐固着性などのインクの信頼性が得られない場合がある。また、有機溶剤Cの含有量が12.0質量%を超えると、一般式(I)の化合物の耐分解性の低下が起きる場合がある。
また、インク中における有機溶剤Cの含有量は、有機溶剤Bの含有量と同じかそれ以下であることが好ましい。また、有機溶剤Cの含有量が有機溶剤Bの含有量よりも多いと耐分解性と耐固着性を両立することが難しくなる場合がある。有機溶剤Cの具体的なものとしては、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、1,2−プロパンジオールなどが挙げられる。勿論、本発明においては、有機溶剤Cの定義に包含されるものであれば、上記の化合物に限られるものではない。これらの有機溶剤Cは、本発明のインク中に少なくとも1種類含有されていることを要するが、2種類以上を含有してもよい。
(界面活性剤)
本発明のインクは、上記で挙げた成分以外にも、界面活性剤を含有することが好ましい。インク中の界面活性剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として2.0質量%未満であることが好ましい。界面活性剤の含有量が上記した範囲より多いと、インクをインクジェット記録装置に用いる場合に吐出安定性が十分に得られない場合がある。また、インク中の界面活性剤の含有量(質量%)の下限は、インク全質量を基準として、0.0質量%を超えることが好ましく、さらには0.1質量%以上であることが好ましい。界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、及びアニオン性界面活性剤などが挙げられる。本発明のインクにおいては、ノニオン性界面活性剤を用いることが好ましく、特には、アセチレングリコール系の界面活性剤を用いることが好ましい。アセチレングリコール系の界面活性剤としては、例えば、アセチレノールEH、E100(以上、川研ファインケミカル製)、サーフィノール104、82、465、オルフィンSTG(以上、日信化学製)などが挙げられる。なお、本発明においては、界面活性剤は有機溶剤に含まれないものとする。
(その他の添加剤)
本発明のインクは、上記で挙げた成分以外にも必要に応じて、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、及び水溶性ポリマーなど、種々の添加剤を含有してもよい。なお、本発明においては、添加剤は有機溶剤に含まれないものとする。
(その他のインク)
本発明のインクは、インクジェット記録方法などに好適に用いられるが、フルカラー画像などを形成するために、本発明のインクを、本発明のインクとは別の色調を有するインクと組み合わせて用いることができる。本発明のインクは、例えば、ブラックインク、シアンインク、マゼンタインク、イエローインク、レッドインク、グリーンインク及びブルーインクなどから選択される少なくともいずれか1種のインクと共に用いることが好ましい。また、これらのインクと実質的に同一の色調を有する、所謂淡インクをさらに組み合わせて用いることもできる。これらのインク又は淡インクの色材は、公知の染料であっても、新規に合成された色材であっても用いることができる。
<インクジェット記録方法>
本発明のインクは、インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行う本発明のインクジェット記録方法に用いることが特に好ましい。インクジェット記録方法には、インクに力学的エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用することによりインクを吐出する記録方法などがあるが、本発明のインクは、いずれにも適用できる。本発明のインクジェット記録方法においては、特に、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を用いることが好ましい。
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、本発明のインクを収容してなるインク収容部を備えてなることを特徴とする。
<記録ユニット>
本発明の記録ユニットは、本発明のインクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えてなることを特徴とする。特に、前記記録ヘッドが、記録信号に対応した熱エネルギーをインクに作用することによりインクを吐出する記録ユニットである形態が好ましい。特に、本発明の記録ユニットにおいては、金属及び/又は金属酸化物を含有する発熱部接液面を有する記録ヘッドを具備するものであることが好ましい。前記発熱部接液面を構成する金属及び/又は金属酸化物の具体的なものとしては、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、若しくはAlなどの金属、又はこれらの金属の酸化物などが挙げられる。
<インクジェット記録装置>
本発明のインクジェット記録装置は、本発明のインクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えてなることを特徴とする。好ましい形態としては、前記インクを収容するインク収容部を有する記録ヘッドの内部のインクに、記録信号に対応した熱エネルギーを作用することによりインクを吐出する方式のインクジェット記録装置が挙げられる。
以下に、本発明の一例のインクジェット記録装置について、機構部の概略構成を説明する。インクジェット記録装置は、各機構の役割から、給紙部、搬送部、キャリッジ部、排紙部、クリーニング部、及びこれらを保護し、意匠性を持たせる外装部などで構成される。
図2は、インクジェット記録装置の斜視図である。また、図3及び図4は、インクジェット記録装置の内部機構を説明する図であり、図3は右上部からの斜視図、図4はインクジェット記録装置の側断面図をそれぞれ示す。
給紙を行う際には、給紙トレイM2060を含む給紙部において、記録媒体の所定枚数のみが給紙ローラM2080と分離ローラM2041から構成されるニップ部に送られる。記録媒体はニップ部で分離され、最上位の記録媒体のみが搬送される。搬送部に搬送された記録媒体は、ピンチローラホルダM3000及びペーパーガイドフラッパーM3030に案内されて、搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対に搬送される。搬送ローラM3060とピンチローラM3070とのローラ対は、LFモータE0002の駆動により回転し、この回転により記録媒体がプラテンM3040上を搬送される。
記録媒体に画像を形成する際には、キャリッジ部は、記録ヘッドH1001(図5;詳細な構成は後述する)を目的の画像を形成する位置に配置して、電気基板E0014からの信号にしたがって記録媒体にインクを吐出する。記録ヘッドH1001により記録を行いながらキャリッジM4000が列方向に走査する主走査と、搬送ローラM3060により記録媒体を行方向に搬送する副走査とを交互に繰り返すことにより、記録媒体に画像を形成する。画像が形成された記録媒体は、排紙部において、第1の排紙ローラM3110と拍車M3120とのニップに挟まれた状態で搬送されて、排紙トレイM3160に排出される。
なお、クリーニング部は、画像を形成する前後の記録ヘッドH1001をクリーニングする。キャップM5010で記録ヘッドH1001の吐出口をキャッピングした状態で、ポンプM5000を作動すると、記録ヘッドH1001の吐出口から不要なインクなどが吸引されるようになっている。また、キャップM5010を開いた状態で、キャップM5010の内部に残っているインクなどを吸引することにより、残インクによる固着やその他の弊害が起こらないようになっている。
(記録ヘッドの構成)
ヘッドカートリッジH1000の構成について説明する。図5は、ヘッドカートリッジH1000の構成を示した図であり、また、ヘッドカートリッジH1000にインクカートリッジH1900を装着する様子を示した図である。ヘッドカートリッジH1000は、記録ヘッドH1001と、インクカートリッジH1900を搭載する手段、及びインクカートリッジH1900から記録ヘッドにインクを供給する手段を有しており、キャリッジM4000に対して着脱可能に搭載される。
インクジェット記録装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、淡マゼンタ、淡シアン、及びグリーンの各インクで画像を形成する。したがって、インクカートリッジH1900も7色分が独立に用意されている。なお、上記において、少なくともひとつのインクに、本発明のインクを用いる。そして、図5に示すように、それぞれのインクカートリッジH1900が、ヘッドカートリッジH1000に対して着脱可能となっている。なお、インクカートリッジH1900の着脱は、キャリッジM4000にヘッドカートリッジH1000を搭載した状態でも行うことができる。
図6は、ヘッドカートリッジH1000の分解斜視図である。ヘッドカートリッジH1000は、記録素子基板、プレート、電気配線基板H1300、カートリッジホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、シールゴムH1800などで構成される。記録素子基板は第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101で構成され、プレートは第1のプレートH1200及び第2のプレートH1400で構成される。
第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101はSi基板であり、その片面にインクを吐出するための複数の記録素子(ノズル)がフォトリソグラフィ技術により形成されている。各記録素子に電力を供給するAlなどの電気配線は成膜技術により形成されており、個々の記録素子に対応した複数のインク流路はフォトリソグラフィ技術により形成されている。さらに、複数のインク流路にインクを供給するためのインク供給口が裏面に開口するように形成されている。
図7は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101の構成を説明する正面拡大図である。H2000〜H2600は、それぞれ異なるインク色に対応する記録素子の列(以下、ノズル列ともいう)である。第1の記録素子基板H1100には、イエローインクのノズル列H2000、マゼンタインクのノズル列H2100、及びシアンインクのノズル列H2200の3色分のノズル列が形成されている。第2の記録素子基板H1101には、淡シアンインクのノズル列H2300、ブラックインクのノズル列H2400、グリーンインクのノズル列H2500、及び淡マゼンタインクのノズル列H2600の4色分のノズル列が形成されている。
各ノズル列は、記録媒体の搬送方向(副走査方向)に1200dpi(dot/inch;参考値)の間隔で並ぶ768個のノズルによって構成されている。そして、各ノズルからは、それぞれ約2ピコリットルのインクが吐出される。このため、各吐出口における開口面積は、およそ100μm2に設定されている。
以下、図5及び図6を参照して説明する。第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101は第1のプレートH1200に接着固定されている。ここには、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101にインクを供給するためのインク供給口H1201が形成されている。さらに、第1のプレートH1200には、開口部を有する第2のプレートH1400が接着固定されている。この第2のプレートH1400は、電気配線基板H1300と第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101とが電気的に接続されるように、電気配線基板H1300を保持する。
電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に形成されている各ノズルからインクを吐出するための電気信号を印加する。この電気配線基板H1300は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101に対応する電気配線と、この電気配線端部に位置し、インクジェット記録装置からの電気信号を受け取るための外部信号入力端子H1301とを有する。外部信号入力端子H1301は、カートリッジホルダーH1500の背面側に位置決め固定されている。
インクカートリッジH1900を保持するカートリッジホルダーH1500には、流路形成部材H1600が、例えば、超音波溶着により固定され、インクカートリッジH1900から第1のプレートH1200に通じるインク流路H1501を形成する。インクカートリッジH1900と係合するインク流路H1501のインクカートリッジ側端部には、フィルターH1700が設けられており、外部からの塵埃の侵入を防止し得るようになっている。また、インクカートリッジH1900との係合部にはシールゴムH1800が装着され、係合部からのインクの蒸発を防止し得るようになっている。
さらに、上記したように、カートリッジホルダー部と記録ヘッド部H1001とを接着などで結合することで、ヘッドカートリッジH1000が構成される。なお、カートリッジホルダー部は、カートリッジホルダーH1500、流路形成部材H1600、フィルターH1700、及びシールゴムH1800から構成される。また、記録ヘッド部H1001は、第1の記録素子基板H1100及び第2の記録素子基板H1101、第1のプレートH1200、電気配線基板H1300及び第2のプレートH1400から構成される。
なお、ここでは記録ヘッドの一形態として、電気信号に応じた膜沸騰をインクに生じさせるための熱エネルギーを生成する電気熱変換体(記録素子)を用いて記録を行うサーマルインクジェット方式の記録ヘッドについて述べた。この代表的な構成や原理については、例えば、米国特許第4,723,129号明細書、同第4,740,796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて行うものが好ましい。この方式は、所謂、オンデマンド型、コンティニュアス型のいずれにも適用することができる。
サーマルインクジェット方式は、オンデマンド型に適用することが特に有効である。オンデマンド型の場合には、インクを保持する液流路に対応して配置されている電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を超える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を印加する。このことによって、電気熱変換体に熱エネルギーを発生せしめ、インクに膜沸騰を生じさせて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応したインク内の気泡を形成できる。この気泡の成長及び収縮により吐出口を介してインクを吐出することで、少なくともひとつの滴を形成する。駆動信号をパルス形状とすると、即時、適切に気泡の成長及び収縮が行われるので、特に応答性に優れたインクの吐出が達成でき、より好ましい。
また、本発明のインクは、前記のサーマルインクジェット方式に限らず、下記に述べるような、力学的エネルギーを利用したインクジェット記録装置においても好ましく用いることができる。かかる形態のインクジェット記録装置は、複数のノズルを有するノズル形成基板と、ノズルに対向して配置される圧電材料と導電材料からなる圧力発生素子と、この圧力発生素子の周囲を満たすインクを備えてなる。そして、印加電圧により圧力発生素子を変位させ、インクをノズルから吐出する。
インクジェット記録装置は、上記したように、記録ヘッドとインクカートリッジとが別体となったものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いてもよい。さらに、インクカートリッジは、記録ヘッドに対して分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもの、また、インクジェット記録装置の固定部位に設けられて、チューブなどのインク供給部材を介して記録ヘッドにインクを供給するものでもよい。また、記録ヘッドに対して、好ましい負圧を作用させるための構成をインクカートリッジに設ける場合には、以下の構成とすることができる。すなわち、インクカートリッジのインク収容部に吸収体を配置した形態、又は可撓性のインク収容袋とこれに対してその内容積を拡張する方向の付勢力を作用するばね部とを有した形態などとすることができる。また、インクジェット記録装置は、上記したようなシリアル型の記録方式を採るもののほか、記録媒体の全幅に対応した範囲にわたって記録素子を整列させてなるラインプリンタの形態をとるものであってもよい。
以下、実施例及び比較例を用いて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。なお、特に指定のない限り、「部」又は「%」とあるのは質量基準である。
<色材の調製>
[例示化合物5の合成と特性値の測定]
以下に示す合成フロー及び手順にしたがって、例示化合物5(カリウム塩)を合成した。
Figure 0005586865
(1)化合物bの合成
炭酸水素ナトリウム25.5g及びイオン交換水150mLを混合して40℃に加温し、これに塩化シアヌル(東京化成製;化合物a)25.0gを10分ごとに5等分して添加し、1時間撹拌して溶液を調製した。得られた溶液を、ヒドラジン一水和物52.8mL及びイオン交換水47mLの混液(8℃)中に、内温が10℃を超えないようにして滴下した。その後、内温を50℃に昇温して、30分撹拌した。析出した結晶をろ過して、23.4gの化合物b(ヒドラジン誘導体、融点>300℃)を得た。収率は94.7%であった。
(2)化合物cの合成
上記で得られた化合物b(ヒドラジン誘導体)35.0gをエチレングリコール420mLに懸濁し、内温を50℃にして撹拌した。これに、濃塩酸59mLを添加し、次にピバロイルアセトニトリル(東京化成製)60.1gを添加し、温度50℃で10時間撹拌した。これに、濃塩酸95mL、メタノール145mLを添加して、さらに8時間撹拌した。室温になるまで冷却した後、析出した結晶をろ別し、81.6gの化合物c(5−アミノピラゾール誘導体、融点=233〜235℃)を得た。収率は94.2%であった。
(3)化合物eの合成
化合物d(東京化成製)90.57gを、水500mLに懸濁して、これに、130mLの濃塩酸を添加し、添加後の内温が5℃以下になるまで冷却した。次に、亜硝酸ナトリウム36.23gを含む70mLの水溶液を内温4〜6℃の範囲で滴下し、さらに内温を5℃以下として30分撹拌した。次に、159gの亜硫酸ナトリウム及び636mLの水を、内温を20℃以下に保ちながら添加し、さらに内温を25℃として250mLの濃塩酸を添加し、続いて内温を90℃として1時間撹拌した。その後、内温を室温まで冷却した後、ろ過を行い、200mLの水で洗浄した後、風乾して、80.0gの化合物eを得た。
(4)化合物fの合成
上記で得た23.3gの化合物eを、209mLのエタノールに懸濁して、これに、トリエチルアミン28mLを室温で滴下した。その後、これに、12.2gのエトキシメチレンマロノニトリル(ALDRICH製)を数回に分けて添加した。さらに、3時間還流を行った後、室温まで冷却して、ろ過を行い、400mLのイソプロピルアルコールで洗浄した後、乾燥して、23.57gの化合物fを得た。
(5)例示化合物5の合成
内温を4℃以下として硫酸32.4mLに酢酸145.56mLを添加し、内温を7℃以下として撹拌下で40質量%のニトロシル硫酸15.9mL(ALDRICH製)を滴下した。これに、上記で得た32.4gの化合物fを数回に分けて添加し、内温を10℃として60分撹拌した。その後、尿素1.83gを添加した18.8gの化合物cを470mLのメタノールに懸濁した溶液中に、内温を0℃未満として化合物fのジアゾニウム塩を滴下して、内温を0℃未満として30分撹拌した。その後、反応液の内温を室温まで昇温した後、ろ過を行い、メタノールで洗浄し、さらに水で洗浄して、粗結晶を得た。得られた粗結晶をメタノール400mLに懸濁して、還流下で60分撹拌した後、室温まで冷却して、ろ過を行い、メタノール、水、メタノールの順序でそれぞれ洗浄した後、75℃で一晩乾燥して、例示化合物5の遊離酸型結晶34.4gを得た。得られた結晶を水に溶解して10質量%の水溶液(25℃:pH≒8.3:KOH水溶液で調整)とした後、内温50℃でイソプロパノールを添加して晶析した後、冷却して、ろ過を行い、さらにイソプロパノールで洗浄して、乾燥した。このようにして、35.0gの例示化合物5(カリウム塩)を得た。
<有機溶剤のMOH/MWの値>
インクの調製に用いた各有機溶剤について、MOH/MWの値を求めた結果を下記表2に示した。
Figure 0005586865
<インクの調製>
上記で得られたイエロー色材である例示化合物5を用い、下記表3に示した各成分をそれぞれ混合して、十分撹拌した。その後、ポアサイズ0.2μmのフィルターにて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。
Figure 0005586865
Figure 0005586865
Figure 0005586865
Figure 0005586865
<評価>
(耐分解性)
各インク中の色材がどの程度分解しているかの検証は、インクを70℃/7日間保存し、保存前後のインクを高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて色材のピークを測定し、保存前後における色材のピーク面積の減少率を色材の分解率として行った。
高速液体クロマトグラフィーの分析条件は、以下に示す通りである。純水で約1,000倍に希釈した液体(インク)を測定用サンプルとした。そして、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーでの分析を行った。
・カラム:SunFire C18(日本ウォーターズ製)2.1mm×150mm
・カラム温度:40℃
・流速:0.2mL/min
・PDA:200nm〜700nm
・移動相及びグラジエント条件:下記表4
Figure 0005586865
耐分解性の評価基準は以下の通りである。評価結果を表5に示した。なお、本発明においては、下記の評価基準でB以上を許容できるレベルとし、中でも、Aが優れているレベル、また、Cが許容できないレベルとした。
A:分解率が20%未満であった。
B:分解率が20%以上25%未満であった。
C:分解率が25%以上であった。
(耐固着性)
上記で得られた各インクをそれぞれ、インクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン製)用のインクカートリッジに充填した。このインクカートリッジを前記インクジェット記録装置のヘッドカートリッジに装着した。その後、ヘッドカートリッジをインクジェット記録装置から取り外して、吐出口を露出した状態で、温度35℃、湿度10%の環境下で2週間保存した。その後、ヘッドカートリッジを再度上記と同様のインクジェット記録装置に装着して、吸引を所定の回数行い、回復性を確認することで、インクの耐固着性の評価を行った。なお、吸引とは、前記インクジェット記録装置に具備された機能の一つである、「プリントヘッドのクリーニング」のことである。耐固着性の評価基準は以下の通りである。得られた評価結果を表5に示した。なお、本発明においては、下記の評価基準でB2以上を許容できるレベルとし、中でも、B1が良好であるレベル、Aが優れているレベルとし、また、Cが許容できないレベルとした。
A:4回以下の吸引で全ての吐出口が問題なく吐出できる状態に回復した。
B1:5回の吸引で全ての吐出口が問題なく吐出できる状態に回復した。
B2:6回の吸引で全ての吐出口が問題なく吐出できる状態に回復した。
C:7回以上の吸引を行っても吐出できない吐出口があった。
(吐出安定性)
上記で得られた各インクをそれぞれ、インクジェット記録装置(商品名:PIXUS iP8600;キヤノン製)用のインクカートリッジに充填した。このインクカートリッジを前記インクジェット記録装置のヘッドカートリッジに装着した。その後、インクジェット装置を温度15℃、湿度10%の環境に放置し、その後、あるノズルからインクを吐出させ、そのノズルをキャッピングしない状態で1分間放置した。次に、そのノズルからインクを吐出して形成した記録物を目視で確認して、吐出安定性の評価を行った。吐出安定性の評価基準は以下の通りである。得られた評価結果を表5に示した。なお、本発明においては、下記の評価基準でB2以上を許容できるレベルとし、中でも、B1が良好であるレベル、Aが優れているレベルとし、また、Cが許容できないレベルとした。
A:正常に記録できた。
B1:2ノズル未満において記録の乱れがあった。
B2:2ノズル以上5ノズル未満において記録の乱れがあった。
C:吐出できない吐出口があった。
Figure 0005586865
(有機溶剤A)
比較例1〜8実施例1〜4、7〜18、及び参考例5、6の結果から、含窒素有機溶剤80.0%以上からなる有機溶剤Aを含有するインクの方が、吐出安定性に優れているのがわかる。また、実施例3、4及び参考例5、6の結果から吐出安定性に効果がある有機溶剤Aの含有量は、3.0質量%以上12.0質量%以下であるのがわかる。また、実施例2と15の結果から、用いる有機溶剤Aは、含窒素有機溶剤の中でも環状の含窒素有機溶剤の方が耐分解性、耐固着性に優れているのがわかる。
(有機溶剤B)
比較例6の結果から、有機溶剤Bを含有していないインクにおいては耐分解性と耐固着性の両立が図れていないのがわかる。また、実施例7〜10の結果から吐出安定性と耐固着性の両立がよく図れる有機溶剤Bの含有量は、3.0質量%以上15.0質量%以下であるのがわかる。
(有機溶剤C)
比較例7の結果から、有機溶剤Cを含有していないインクでは耐固着性が著しく低いのがわかる。また、実施例11〜14の結果からインクの耐分解性と耐固着性の両立が図れる有機溶剤Cの含有量は、2.0質量%以上12.0質量%以下であるのがわかる。
(界面活性剤)
実施例16と17の結果から、吐出安定性に影響を与えない界面活性剤の含有量は2.0質量%未満であるのがわかる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(I)で表される化合物及び有機溶剤を含有するインクジェット用インクであって、
    前記有機溶剤が、前記有機溶剤の分子量に占める水酸基の分子量の割合MOH/MWが0以上0.2未満である有機溶剤A、前記MOH/MWが0.2以上0.4未満である有機溶剤B、及び前記MOH/MWが0.4以上1.0未満である有機溶剤Cを含み、
    前記有機溶剤Aが含窒素有機溶剤を含み、
    前記有機溶剤Aの全質量を基準とした、前記含窒素有機溶剤の含有量が80.0質量%以上であり、
    前記有機溶剤Aの含有量が、インク全質量を基準として、3.0質量%以上12.0質量%以下であることを特徴とするインクジェット用インク。
    Figure 0005586865
    (前記一般式(I)中、R1、R2、Y1及びY2はそれぞれ独立に、一価の基であり、X1及びX2はそれぞれ独立に、ハメットのσp値が0.20以上の電子吸引性基であり、Z1及びZ2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アラルキル基、アリール基、又はヘテロ環基であり、Mは、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムである。)
  2. 前記含窒素有機溶剤が、下記一般式(III)で表される化合物である請求項1に記載のインクジェット用インク。
    Figure 0005586865
    (前記一般式(III)中、R3は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基、アリール基、又はアシル基であり、R4は、N−R5又はCH2であり、R5は、水素原子又はアルキル基であり、Zは、一般式(III)中のウレア基又はアミドメチレン基と共に、単環又は多環の環構造を形成する原子団である。)
  3. 前記有機溶剤Bの含有量が、インク全質量を基準として、3.0質量%以上15.0質量%以下である請求項1又は2に記載のインクジェット用インク。
  4. 前記有機溶剤Cの含有量が、インク全質量を基準として、2.0質量%以上12.0質量%以下である請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット用インク。
  5. インクをインクジェット方式で吐出して記録媒体に記録を行うインクジェット記録方法であって、前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録方法。
  6. インクを収容してなるインク収容部を備えたインクカートリッジであって、前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクカートリッジ。
  7. インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えた記録ユニットであって、前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とする記録ユニット。
  8. インクを収容してなるインク収容部と、インクを吐出するための記録ヘッドとを備えたインクジェット記録装置であって、前記インクが、請求項1乃至のいずれか1項に記載のインクジェット用インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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