JP2012126830A - インクジェット用インク組成物、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット用インク組成物、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置 Download PDF

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Abstract

【課題】印画停止時間が長くても良好な画質が得られる、吐出安定性に優れたインク組成物を提供する。また、このインクジェット用インク組成物を用いることで、メンテナンスの頻度を少なくし、印画時間をさらに短縮することが可能な、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有させ、1,5−ペンタンジオールの含有量を、全体に対して5質量%以上30質量%以下とし、保湿剤及び浸透促進剤の含有量を、それぞれ、全体に対して3質量%以下としたインクジェット用インク組成物1。
【選択図】図4

Description

本発明は、インクジェット用インク組成物、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録方式は、インク小滴を形成し、それらの一部若しくは全部を紙等の被記録材に付着させて記録を行うもので、デジタルカメラの急速な普及に伴い、銀塩写真に替わる画像の出力方法として期待されている。このため、インクジェット記録方式に用いられるインク組成物(以下、「インクジェット用インク組成物」と記載する。)には、一般に、速乾性があること(インクの被記録媒体への吸収速度が大きいこと)、印画部の耐水性、耐光性、耐オゾン性が良好であること、インクドットの径が適正で均一であること(にじみが無いこと)、粒状性が良好であること、インクドットの真円性が高いこと、色濃度が高いこと、彩度が高いこと、などが要求される。
また、インクジェット記録方式では、通常、長期間ヘッドを放置した状態からの回復を可能とするメンテナンスが行われるが、印画の高速化の観点からは、このメンテナンスに要する時間を短縮することが重要である。そのため、インクジェット用インク組成物には、メンテナンスの頻度を少なくする省メンテナンス性も求められる。特に、高速印画を行うためには、メンテナンス方法の1つである空吐出と呼ばれる回復処理の回数を減らすことが重要となる。
空吐出とは、吐出ヘッドから被記録媒体への画像印画に寄与しないインク滴を吐出させ、インク滴の吐出状況を良好にする回復処理のことである。この空吐出は、ノズルにキャップしない状態で印画を停止している数秒から十数秒という時間にノズル近傍のインク組成物の粘度が上昇することにより、インク滴の吐出速度が遅くなり、吐出方向がばらつく場合に有効であるが、空吐出に要する時間分が余計に必要となる。これに対して、印画停止時間が長くても良好な画質が得られる、間欠吐出安定性(以下、単に「吐出安定性」と記載する。)に優れたインク組成物を用いることで、空吐出の回数を減らし、印画時間を短縮することができるものと考えられる。
このような事情に対して、インク吐出ノズルの近傍でインクが固化または増粘してしまうことを防ぐために、グリセリンと他の保湿剤とを混合することで、インクの乾燥を抑制して吐出安定性を確保する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜4を参照)。
特開2000−265092号公報 特開2003−327871号公報 特願2003−296701号公報 特開2007−039680号公報
しかしながら、上記特許文献1〜4に記載された技術では、インク組成物の用途が顔料用途に特化されているか、または、インク組成物中の保湿剤の組み合わせが最適化されていない。従って、上記の技術を採用しただけでは、インク滴の吐出を停止してから、インクが固化または増粘せずに、空吐出等の回復処理を行うことなく、再びインクを吐出することが可能な時間(数秒から十数秒)が十分ではなかった。そのため、インク滴の吐出をある程度の時間(例えば、数秒から十数秒)停止した場合には、印画中に、インク吐出ノズルの回復処理(空吐出等)を度々実施する必要があり、印画の高速化の観点からは未だ改善の余地があった。
そこで、本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、印画停止時間が長くても良好な画質が得られる、吐出安定性に優れたインク組成物を提供することにある。また、本発明の目的は、上記インクジェット用インク組成物を用いることで、メンテナンスの頻度を少なくし、印画時間をさらに短縮することが可能な、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有し、前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物が提供される。
前記インクジェット用インク組成物は、前記着色剤として、下記一般式(I)で表されるアゾ化合物を含有してもよい。
Figure 2012126830
前記一般式(I)中、aは、ハメットのσp値が0.20以上1.00未満の電子吸引性基である。また、b及びdは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。また、c及びeは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。
前記インクジェット用インク組成物において、前記アゾ化合物が、下記一般式(II)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2012126830
前記一般式(IV)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基であり、該アルキル基の水素原子は更に置換されていてもよい。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
前記インクジェット用インク組成物は、前記着色剤として、前記アゾ化合物に加えて、さらに下記一般式(III)で表されるアントラピリドン化合物を含有してもよい。
Figure 2012126830
前記一般式(III)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
前記インクジェット用インク組成物において、前記アントラピリドン化合物が、下記一般式(IV)で表される化合物であることが好ましい。
Figure 2012126830
前記一般式(V)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
前記インクジェット用インク組成物は、前記着色剤として、下記一般式(V)で表される銅フタロシアニン化合物を含有してもよい。
Figure 2012126830
前記一般式(V)中、A,B、C、及びDは、それぞれ独立に、芳香性を有する6員環であり、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムであり、Eはアルキレン基である。また、Xは、アニリノ基であり、該アニリノ基はスルホ置換、カルボキシル置換、又はホスホノ置換されていてもよい。該置換アニリノ基はさらに、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、アルキルスルホニル基、及びアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を1〜4個有していてもよい。また、Yは、水酸基又はアミノ基であり、l、m、及びnは、0≦l≦2、0≦m≦3、0.1≦n≦3であり、かつ1≦l+m+n≦4である。
前記インクジェット用インク組成物において、前記1,5−ペンタンジオールの含有量と前記保湿剤の含有量との合計が、全体に対して1質量%以上30質量%以下であり、前記浸透促進剤の含有量が、全体に対して0.1質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
前記インクジェット用インク組成物において、前記水性媒体が、前記1,5−ペンタンジオールに加えて、水溶性有機溶剤を含んでおり、当該水溶性有機溶剤が、炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、エーテル類、ポリアルキレングリコール類、アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、低級アルキルエーテルアセテート、グリセリン、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、多価アルコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群より選択される1種または2種以上の溶剤であってもよい。
前記インクジェット用インク組成物において、前記浸透促進剤が、エーテル系ノニオン性界面活性剤、エステル系ノニオン性界面活性剤、及びアセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤からなる群より選択される1種又は2種以上のノニオン系界面活性剤であることが好ましい。
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び/又は浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有し、前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物の液滴をインクジェット方式で吐出して記録を行う、インクジェット記録方法が提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び/又は浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有し、前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を備える、インクカートリッジが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び/又は浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有し、前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を有する、インクカートリッジと、前記インク収容部に収容されたインク組成物の液滴を吐出するための記録ヘッドと、を備える、記録ユニットが提供される。
また、上記課題を解決するために、本発明のさらに別の観点によれば、着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び/又は浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有し、前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を有する、インクカートリッジと、前記インク収容部に収容されたインク組成物の液滴を吐出するための記録ヘッドと、を備える、インクジェット記録装置が提供される。
本発明によれば、印画停止時間が長くても良好な画質が得られる、吐出安定性に優れたインク組成物を提供することができる。また、本発明によれば、上記インクジェット用インク組成物を用いることで、メンテナンスの頻度を少なくし、印画時間をさらに短縮することが可能な、インクジェット記録方法、インクカートリッジ、記録ユニット及びインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成の一例を示す分解斜視図である。 図1のインクジェット記録装置100に設けられたヘッドカートリッジの構成を示す分解斜視図である。 図2に示したヘッドカートリッジをIII−III線で切断した断面図である。 図3に示したヘッドカートリッジに設けられた記録ヘッドの構成を示す断面図であり、(a)は、発熱体上に気泡が発生した状態を模式的に示したものであり、(b)は、ノズルからインク滴が吐出される状態を模式的に示したものである。
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.本発明の好適な実施形態に係るインクジェット用インク組成物
2.本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録方法
3.本発明の好適な実施形態に係るインクカートリッジ
4.本発明の好適な実施形態に係る記録ユニット
5.本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置
6.まとめ
<1. 本発明の好適な実施形態に係るインクジェット用インク組成物>
本発明の主な特徴は、インクジェット用のインク組成物中に、着色剤と、1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び/又は浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤とを含有させ、且つ、1,5−ペンタンジオール、保湿剤及び浸透促進剤の含有量を所定の範囲内とすることにある。以下、本発明の好適な実施形態に係るインクジェット用インク組成物(以下、単に「インク組成物」と呼ぶこともある。)を構成する成分や、当該インク組成物の物性等について詳細に述べる。
[1.1. 着色剤]
本実施形態に係る着色剤の種類は、特に限定されるものではないが、着色剤として、以下に例示する化合物を使用することで、着色剤の溶媒(水性媒体)への溶解性が高まるので、インク組成物の安定性を向上させることができる。また、特に断らない限り、インクとして好ましい色調を有する範囲で、本実施形態の着色剤として、以下に例示する化合物と組み合わせて、他の着色剤として使用可能な化合物を含有していてもよい。
(1.1.1. アゾ化合物)
本実施形態に係るインク組成物は、着色剤として、下記一般式(I)で表されるアゾ化合物を含有することができる。このアゾ化合物を着色剤として使用したインク組成物を用いて記録すると、記録された画像の堅牢性を向上させることができる。ここでいう堅牢性とは、光やオゾンなどのガスによる退色を防ぐ性質をいい、例えば、耐光性や耐オゾン性の性質を意味する。なお、このアゾ化合物を含有するインク組成物は、マゼンタインクとして利用される。
Figure 2012126830
上記一般式(I)中、堅牢性向上等の観点から、aは、ハメットの置換基定数σp値(以下、「ハメットのσp値」と称する。)が0.20以上1.00未満の電子吸引性基であり、さらに、ハメットのσp値が0.60以上1.00未満であることが好ましい。
ここで、ハメット則及びハメットのσp値について若干説明する。ハメット則は、ベンゼン誘導体の反応又は平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために、1935年にL.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、この法則は、今日広く妥当性が認められている。ハメット則で定められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができ、例えば、J.A.Dean編、「Lange’s
Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw−Hill)や「化学の領域」増刊、122号、96〜103頁、1979年(南光堂)や丸善の化学便覧基礎編(改訂5版)等に詳しい。なお、本実施形態において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり説明したりするが、これは、本実施形態における置換基が、上記の成書で見出せる文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、置換基定数の値が文献未知であっても、ハメット則に基づいて測定した場合にその範囲内に包含されるであろう置換基をも含むことは言うまでもない。
ハメットのσp値が0.60以上の電子吸引性基としては、例えば、シアノ基(−CN)、ニトロ基(−NO)、アルキルスルホニル基(RSO−)等が該当する。本実施形態においては、上記一般式(I)中のaとして、特にシアノ基を選択することが好ましい。また、ハメットのσp値が0.20以上0.60未満の電子吸引性基としては、例えば、クロロ基(−Cl)、エチルエステル基(COEt)、カルボキシル基(−COOH)、アセチル基(−COCH)等が該当する。
一般式(I)中、b及びdは、それぞれ独立に、下記一般式(a)で表される1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。
Figure 2012126830
Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウム(例えば、第1級〜第4級アンモニウム等といったアンモニウムの水素原子がアルキル基、アリール基等の有機基で置換されたものであり、以下同様である。)である。
また、一般式(I)中、c及びeは、それぞれ独立に、下記一般式(b)で表される1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。
Figure 2012126830
Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
本実施形態におけるアゾ化合物としては、一般式(I)で表される化合物の中でも、特に、下記一般式(II)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2012126830
上記一般式(II)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基であり、該アルキル基の水素原子は更に置換されていてもよい。R、R、R及びRの位置に、大きなアルキル基が置換されると、立体障害が大きくなり、一般式(II)の化合物の収率や安定性の低下を招くため、R、R、R及びRに選択されるアルキル基としては、アルキル鎖の短いメチル基及びエチル基が特に好ましい。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
また、上記一般式(I)で表される化合物の好ましい具体例としては、下記の例示化合物1〜4が挙げられる。勿論、本実施形態におけるアゾ化合物は、上記一般式(I)に包含される化合物であればよく、下記の例示化合物1〜4に限られるものではない。ただし、画像堅牢性や発色性に優れ、水への溶解度が高いなどのマゼンタ染料としての基本特性に優れていることから、本実施形態におけるアゾ化合物として、下記の例示化合物の中でも、特に、例示化合物1を用いることが好ましい。
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
(1.1.2. アントラピリドン化合物)
本実施形態に係るインク組成物は、着色剤として、上述した下記一般式(I)で表されるアゾ化合物に加えて、さらに下記一般式(III)で表されるアントラピリドン化合物を含有することができる。このアントラピリドン化合物を一般式(I)で表されるアゾ化合物とともに着色剤として使用したインク組成物を用いて記録すると、堅牢性が向上するとともに色再現範囲が拡張され、色バランスが整うようになる。なお、このアントラピリドン化合物を含有するインク組成物は、マゼンタインクとして利用される。
Figure 2012126830
上記一般式(III)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
また、本実施形態におけるアントラピリドン化合物としては、一般式(III)で表される化合物の中でも、特に、一般式(IV)の化合物を用いることが好ましい。
Figure 2012126830
上記一般式(IV)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。
上記一般式(III)で表される化合物の好ましい具体例としては、下記の例示化合物5〜8が挙げられる。勿論、本実施形態におけるアントラピリドン化合物は、上記一般式(III)に包含される化合物であればよく、下記の例示化合物5〜8に限られるものではない。ただし、画像堅牢性や発色性に優れていることから、本実施形態におけるアントラピリドン化合物として、下記の例示化合物の中でも、特に、例示化合物5を用いることが好ましい。
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
(1.1.3. 銅フタロシアニン化合物)
本実施形態に係るインク組成物は、着色剤として、下記一般式(V)で表される銅フタロシアニン化合物を含有することができる。この銅フタロシアニン化合物を着色剤として使用したインク組成物を用いて記録すると、記録された画像の堅牢性を向上させることができる。なお、この銅フタロシアニン化合物を含有するインク組成物は、シアンインクとして利用される。
Figure 2012126830
上記一般式(V)中、A,B、C、及びDは、それぞれ独立に、芳香性を有する6員環であり、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムであり、Eはアルキレン基である。また、Xは、アニリノ基であり、該アニリノ基はスルホ置換、カルボキシル置換、又はホスホノ置換されていてもよい。該置換アニリノ基はさらに、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、アルキルスルホニル基、及びアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を1〜4個有していてもよい。また、Yは、水酸基又はアミノ基であり、l、m、及びnは、0≦l≦2、0≦m≦3、0.1≦n≦3であり、かつ1≦l+m+n≦4である。
ここで、銅フタロシアニン化合物は、一般的に、上記一般式(V)において、置換基の位置及び数が異なるものの混合物として得られる。本実施形態に係る銅フタロシアニン化合物としては、上記一般式(V)で表される着色剤の群から選択したものを単独で、または、2種類以上を混合して用いることができる。
上記一般式(V)で表される化合物の具体例としては、C.I.ダイレクトブルー86、C.I.ダイレクトブルー87、C.I.ダイレクトブルー199などが挙げられる。
(1.1.4.着色剤の含有量)
〔マゼンタ系着色剤〕
本実施形態に係るインク組成物において、着色剤として一般式(I)で表されるアゾ化合物、または、このアゾ化合物と一般式(III)で表されるアントラピリドン化合物を用いる場合には、アゾ化合物の含有量またはアゾ化合物とアントラピリドン化合物の合計の含有量(以下、「マゼンタ系着色剤の含有量」と記載する。)が、インク組成物の全質量を基準として、1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
マゼンタ系着色剤の含有量が1質量%未満であると、印画物の濃度を十分に得ることができない場合がある。また、マゼンタ系着色剤の含有量が5質量%を超えると、インク組成物の吐出安定性が低下する場合がある。さらに、マゼンタ系着色剤の量を上記範囲とすることで、本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を、熱エネルギーの作用によりインクを吐出するサーマルインクジェット記録方式に適用しても、記録ヘッドのヒータ(発熱体)の耐久性に優れたインクとなることがわかった。
〔シアン系着色剤〕
本実施形態に係るインク組成物において、着色剤として一般式(V)で表される銅フタロシアニン化合物の含有量(以下、「シアン系着色剤の含有量」とも記載する。)が、インク粗生物の全質量を基準として、1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。シアン系着色剤の含有量が1質量%未満であると、印画物の濃度を十分に得ることができない場合がある。また、シアン系着色剤の含有量が10質量%を超えると、インク組成物の吐出安定性が低下する場合がある。インク組成物の吐出安定性を向上させるという観点からは、シアン系着色剤の含有量を6質量%以下とすることがより好ましい。
(1.1.5. 着色剤の同定方法)
一般式(I)、(II)及び(V)等の化合物(着色剤)に関しては、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、フーリエ変換赤外分光分析装置(FT−IR)、核磁気共鳴(NMR)法に加え、高速原子衝撃質量分析装置(FABMS)、熱分解ガスクロマトグラフィー質量分析法(PyGC/MS)、液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)などの質量分析で同定を行うことができる。
[1.2. 水性媒体]
本実施形態に係るインク組成物は、水性媒体(溶媒)として、水と、1,5−ペンタンジオールとを少なくとも含む混合溶媒を含有する。
水としては、脱イオン水(イオン交換水)を用いることが好ましい。インク組成物中の水の含有量(質量%)は、インク組成物の全質量を基準として、60質量%以上90質量%以下であることが好ましく、70質量%以上90質量%以下であることがより好ましい。水の含有量が上記の範囲より少ないと、インク組成物をインクジェット記録装置に用いる場合に、吐出安定性などの信頼性が得られない場合がある。
(1.2.1. 1,5−ペンタンジオール)
本実施形態に係るインク組成物においては、水と混合する水溶性有機溶剤として、1,5−ペンタンジオールを使用する。本実施形態に係るインク組成物において、1,5−ペンタンジオールを有機溶剤として使用することにより、着色剤の溶解性を向上させることができる。特に、上述した一般式(V)で表される銅フタロシアニン化合物を使用した場合には、溶解性向上の効果が特に顕著となる。
この1,5−ペンタンジオールの含有量は、インク組成物の全質量を基準として、5質量%以上30質量%以下である。含有量が5質量%未満では、着色剤の溶解性が十分でなく、含有量が30質量%を超えると、インク組成物の粘度が高くなり過ぎるため、吐出特性が低下する。なお、吐出特性が低下すると、インクの吐出が不安定になったり、インクがノズルに詰まり易くなったりする。本実施形態に係るインク組成物の吐出特性を良くするという観点からは、1,5−ペンタンジオールの含有量が、15質量%以下であることが好ましい。
(1.2.2. 使用可能な他の水溶性有機溶剤)
また、本実施形態に係るインク組成物においては、水溶性有機溶剤として、1,5−ペンタンジオールに加えて、他の有機溶剤を用いることができる。本実施形態で使用可能な1,5−ペンタンジオール以外の有機溶剤としては、水溶性であれば特に制限はなく、アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、グリコールエーテル及びその他の極性溶媒を用いることができる。このような水溶性有機溶剤の具体例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類や、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類や、アセトン、ジアセトンアルコールなどのケトン又はケトアルコール類や、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのポリアルキレングリコール類や、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、チオジグリコールなどのグリコール類や、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサントリオ−ルなどのアルキレン基が2〜6個の炭素原子を持つアルキレングリコール類や、ビス(2−ヒドロキシエチル)スルホンや、ポリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの低級アルキルエーテルアセテートや、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテルなどの多価アルコールのアルキルエーテル類や、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどが挙げられる。上記に挙げた水溶性有機溶剤は、必要に応じて1種又は2種以上を混合して用いることができる。勿論、本実施形態における水溶性有機溶剤は、上記の具体例に限られるものではない。
また、インク組成物中の上記水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク組成物の全質量を基準として、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上30質量%以下であることがさらに好ましい。水溶性有機溶剤の含有量が上記の範囲から外れると、インク組成物をインクジェット記録装置に用いる場合に、吐出安定性などの信頼性が得られない場合がある。
さらに、本実施形態に係るインク組成物においては、アルキレン基が5〜7個の炭素原子を持つ1,2−アルキレングリコールとして、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、及び1,2−オクタンジオールからなる群から選択される少なくとも1種類以上のジオール類を、インク組成物の全質量を基準として、1質量%以上4質量%未満さらに含んでも良い。
(1.2.3. 水溶性添加剤)
また、本実施形態に係るインク組成物においては、水溶性添加剤として、保湿剤を及び浸透促進剤を少なくとも含有する。
〔保湿剤〕
本実施形態に係るインク組成物は、該インク組成物をインクジェット記録方法に用いた場合に、水分の蒸発を抑制してインクを保湿する目的で、保湿剤を含有する。特に、本実施形態に係るインク組成物は、1,5−ペンタンジオールを含有しているが、この1,5−ペンタンジオールは揮発性が高く、乾燥に弱い。そのため、1,5−ペンタンジオールを含有するインク組成物は、吐出安定性が低い欠点があるが、保湿剤を所定量含有させることにより、この欠点を補うことができる。
本実施形態に係る保湿剤としては、蒸気圧が純水よりも小さい水溶性有機溶剤及び糖類から選ばれる少なくとも1種類以上を使用することができる。このような保湿剤としては、例えば、トリメチロールプロパン、キシリトール、マンニトール、尿素などが挙げられる。このなかでも、吐出安定性や湿気応答性(乾燥したインク組成物に湿気を与えてから再びインクを吐出可能になるまでの応答性)に優れるという観点から、トリメチロールプロパン、キシリトールを使用することが好ましく、トリメチロールプロパンを使用することが特に好ましい。なお、保湿剤として水溶性有機溶剤を用いると、吐出安定性を向上させたり、インク特性を変化させることなくインク組成物の粘度を容易に変更させたりすることができる。
本実施形態において、保湿剤の含有量は、インク組成物の全質量を基準として、3質量%以下である。保湿剤の効果を発揮するためには、保湿剤の含有量が多い方が良いが、保湿剤の含有量が3質量%を超えると、インク組成物の粘度が高くなり過ぎるため、インクの吐出が不安定になったり、インクがノズルに詰まり易くなったりするなど、吐出特性が低下する。そのため、本実施形態においてが、保湿剤の含有量を、インク組成物の全質量を基準として、3質量%以下とした。また、保湿剤の効果を十分に発揮させるためには、保湿剤の含有量が0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがさらに好ましい。
さらに、本実施形態に係るインク組成物では、1,5−ペンタンジオールの含有量と保湿剤の含有量との合計が、インク組成物の全質量を基準として、1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。上記合計量が1質量%未満であると、ラインヘッドプリンタを使用すると、その特性上、乾燥により吐出不良となる恐れがある。一方、上記含有量が30質量%を超えると、インク組成物の粘度が高くなり過ぎるため、インクの吐出が不安定になったり、インクがノズルに詰まり易くなったりするなど、吐出特性が低下する恐れがある。
〔浸透促進剤〕
本実施形態に係るインク組成物は、被記録媒体へのインク組成物の浸透速度を制御し、カラーブリード性を向上させ、高品位な画像を得るという目的で、浸透促進剤を含有する。本実施形態に係る浸透促進剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、及び両性界面活性剤のいずれの界面活性剤も用いることができる。より具体的には、下記に挙げる具体例のものを単独で、または、2種以上を混合して使用することができる。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型リン酸エステル、アルキル型リン酸エステル、アルキルアリルスルホン塩酸、ジエチルスルホコハク酸塩及びジエチルヘキシルスルホコハク酸ジオクチルスルホコハク酸塩などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤の具体例としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体などが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及びポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系ノニオン性界面活性剤や、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート及びポリオキシエチレンステアレート等のエステル系ノニオン性界面活性剤、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール及び3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤などが挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン及びその他イミダゾリン誘導体などが挙げられる。
ただし、インク組成物の浸透速度の制御という目的の実現のためには、本実施形態に係る浸透促進剤として、上述したようなノニオン性界面活性剤を使用することが好ましく、その中でも、アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤を使用することが特に好ましい。アセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤としては、例えば、エアープロダクツ社のサーフィノール465、サーフィノール485、サーフィノール104、サーフィノール82、日信化学工業製のオルフィンE1010、川研ファインケミカル製のアセチレノールE100等の市販されている製品を使用することができる。勿論、本実施形態における浸透促進剤は、上記製品に限られるものではない。
本実施形態において、浸透促進剤の含有量は、インク組成物の全質量を基準として、3質量%以下である。浸透促進剤の含有量が3質量%を超えると、界面活性剤の発泡作用等により気泡が混入し易くなり、吐出特性が低下する。吐出特性をさらに確実に担保するという観点からは、浸透促進剤の含有量が0.6質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。一方、浸透促進剤の効果を十分に発揮させるためには、浸透促進剤の含有量が0.1質量%以上であることが好ましく、0.3質量%以上であることがより好ましく、0.5質量%以上であることがさらに好ましい。
〔その他の水溶性添加剤〕
本実施形態に係るインク組成物は、上述した各成分に加えて、各種消泡剤、pH調整剤または防かび剤等の添加剤を含有していてもよい。
消泡剤は、インク組成物の泡立ちを防止するために用いられ、消泡剤の具体例としては、シリコーン系消泡剤、界面活性剤、ポリエーテル、高級アルコールなどの有機系消泡剤などが挙げられる。また、界面活性剤を消泡剤として用いる場合には、ポリグリコール系ノニオン系界面活性剤(市販されているものとしては、例えば、第一工業製薬社製のアンチフロスF233)が好ましく使われる。
pH調整剤としては、ナトリウム塩やカリウム塩類や、アミン類などを用いることができる。ナトリウム塩やカリウム塩類としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸リチウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、シュウ酸ナトリウム、シュウ酸カリウム、シュウ酸リチウム、ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム、フタル酸水素カリウム等が好ましく使用される。また、アミン類としては、例えば、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩酸塩、トリエタノールアミン、モルホリン誘導体、プロパノールアミン等が好ましく使用される。上記のようなpH調整剤は、インク組成物における着色剤の溶解安定性や浸透性に寄与する一方で、サーマルプリントヘッドの発熱体(ヒータ)の劣化に対しても影響を及ぼす。このような観点から、pH調整剤の含有量は、インク組成物の全質量を基準として、0.10質量%以上0.50質量%未満であることが好ましい。pH調整剤の含有量が0.10質量%未満であると、十分なpH制御ができない場合がある。また、pH調整剤の含有量が0.50質量%以上であると、ヒータの劣化を早めたり、吐出安定性にも不利に働く場合がある。さらに、着色剤の溶解安定性や浸透性を向上させるという目的に加えて、安全性も考慮すると、インク組成物のpHを6.0〜9.0の範囲に調整するように、pH調整剤を添加することが好ましい。
また、本実施形態では、上述した各種のpH調整剤のうち、特に、モルホリン誘導体である3−モルホリノプロパンスルホン酸(MOPS)を使用することが好ましい。MOPSを使用することにより、発熱体のコゲーションが起こり難くなり、発熱体の寿命を延ばすことができる。
防かび剤としては、例えば、安息香酸ナトリウム、ソルビタン酸カリウム、ベンゾイミダゾールの他、チアベンダゾール、サイアベンダゾールなど有機窒素硫黄系化合物などを使用できる。
また、本実施形態に係るインク組成物の構成成分として、モノトリエタノールアミン、ジトリエタノールアミン等のアルコールアミン類や、ジメチルホルムアミド、ジメチルケトンアミド等のアミド類などが適宜使用可能とされる。このようなアルコールアミン類やアミド類などは、主に、pH調整効果や保湿効果を得るために使用される。
[1.3. インク組成物の調製方法]
上述したような本実施形態に係るインクジェット用インク組成物は、以下のようにして調製することができる。まず、上述した着色剤と、保湿剤と、浸透促進剤と、その他の添加剤とを、所定濃度となるように計量し、水性媒体に添加する。このとき、1,5−ペンタンジオール、保湿剤、浸透促進剤の含有量を上述した範囲とする必要がある。
次に、水性媒体中に着色剤、保湿剤、浸透促進剤等を添加した溶液を十分に攪拌した後、孔径0.45μmのPTFEメンブレン・ディスクフィルターでろ過することにより、本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を得ることができる。
<2. 本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録方法>
本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録方法は、インク組成物の液滴をインクジェット方式で吐出して被記録媒体に記録を行う方法である。本実施形態に係るインクジェット記録方法としては、連続噴射型でもオンデマンド型でもよい。連続噴射型とは、制御信号(「ドット形成信号」又は「記録信号」とも称する。)にかかわらずインク滴を記録ヘッドから連続的に噴射し、記録に使用するインク滴のみを被記録媒体に到達させる方式の総称である。オンデマンド型とは、制御信号に応じて記録ヘッドからインク滴を被記録媒体に向けて吐出する方式の総称である。
また、上記オンデマンド型のインクジェット記録方法としては、インクに力学的エネルギーを作用することによりインク滴を吐出する記録方法や、インクに熱エネルギーを作用することによりインク滴を吐出する記録方法などがある。インクに力学的エネルギーを作用する記録方法としては、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)に代表される圧電体の逆圧電効果を利用してインク滴を吐出させるピエゾインクジェット方式や、帯電させたインクを被記録媒体側に静電気力で吸引する静電吸引方式などがある。特に、本実施形態に係るインクジェット記録方法としては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法(サーマルインクジェット方式)を好ましく用いることができる。
[2.1. 使用可能なインク]
本実施形態に係るインクジェット記録方法においては、インク組成物として、上述したような本発明の好適な実施形態に係るインクジェット用インク組成物を使用する。
[2.2. 使用可能な被記録媒体]
本実施形態に係るインクジェット記録方法において、画像を形成する際に用いる被記録媒体(メディア)としては、インクを付与して記録を行うための被記録媒体であればいずれのものでも用いることができる。本実施形態においては、染料や顔料などの色材をインク受容層の多孔質構造を形成する微粒子に吸着させる、インクジェット用の被記録媒体を用いることが好ましい。特に、支持体上のインク受容層に形成された空隙によりインクを吸収する、いわゆる隙間吸収タイプのインク受容層を有する被記録媒体を用いることが好ましい。隙間吸収タイプのインク受容層は、微粒子を主体として構成されるものであり、さらに必要に応じて、バインダーやその他の添加剤を含有してもよい。
隙間吸収タイプのインク受容層の主体となる微粒子としては、具体的には、無機顔料や有機顔料を用いることができる。無機顔料としては、例えば、シリカ、クレー、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、アルミナ又はアルミナ水和物などの酸化アルミニウム、珪藻土、酸化チタン、ハイドロタルサイト、又は酸化亜鉛などが挙げられる。有機顔料としては、例えば、尿素ホルマリン樹脂、エチレン樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの微粒子は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
特に、本実施形態に係るインク組成物を用いて画像を形成する際には、平均粒子径が1μm以下である微粒子を主体としてインク受容層を形成した被記録媒体を用いることが好ましい。このような微粒子の具体例としては、例えば、コロイダルシリカに代表されるシリカ微粒子、酸化アルミニウム微粒子、アルミナ水和物微粒子(アルミナ系顔料)などが挙げられる。
上記アルミナ系顔料の中でも、下記式で表される擬ベーマイトなどのアルミナ水和物を特に好適なものとして挙げることができる。
AlO3−n(OH)2n・mH
(式中、nは1〜3の整数であり、mは0〜10、好ましくは0〜5である。ただし、mとnは同時に0とはならない。)
mHOは、多くの場合、mHO結晶格子の形成に関与しない脱離可能な水相をも表すものである。このため、mは整数又は整数でない値を取ることができる。また、この種のアルミナ水和物を加熱すると、mは0に達することがあり得る。上記のアルミナ水和物は、下記のような公知の方法で製造することができる。例えば、米国特許第4,242,271号明細書、米国特許第4,202,870号明細書に記載のアルミニウムアルコキシドの加水分解やアルミン酸ナトリウムの加水分解で製造することができる。また、特公昭57−44605号公報に記載のアルミン酸ナトリウムなどの水溶液に、硫酸ナトリウムや塩化アルミニウムなどの水溶液を加えて中和を行う方法で製造することができる。
隙間吸収タイプのインク受容層に含有されるバインダーとしては、水溶性高分子やラテックスなどを使用できる。このような水溶性高分子やラテックス等としては、例えば、ポリビニルアルコール、澱粉、ゼラチン、又はこれらの変性体や、アラビアゴムや、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、又はヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロース誘導体や、SBRラテックス、NBRラテックス、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体ラテックス、官能基変性重合体ラテックス、又はエチレン酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体ラテックスや、ポリビニルピロリドンや、無水マレイン酸若しくはその共重合体、又はアクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。これらのバインダーは、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。
隙間吸収タイプのインク受容層に含有されるその他の添加剤としては、例えば、分散剤、増粘剤、pH調整剤、潤滑剤、流動性変性剤、界面活性剤、消泡剤、離型剤、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、染料定着剤などを用いることができる。
本実施形態に係るインクジェット記録方法に用いる被記録媒体は、上述したインク受容層を支持するための支持体を有することが好ましい。支持体は、インク受容層が、上記多孔質の微粒子で形成することが可能であって、且つインクジェット記録装置などの搬送機構によって搬送可能な剛度を与えるものであれば、特に制限はなく、いずれのものも用いることができる。具体的には、支持体として、例えば、天然セルロース繊維を主体としたパルプ原料で構成される紙支持体を用いることができる。また、支持体として、例えば、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート)、セルローストリアセテート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリイミドなどの材料で形成されるプラスチック支持体を用いることができる。さらに、支持体として、基紙の少なくとも一方の面に白色顔料などを添加したポリオレフィン樹脂被覆層を有する樹脂被覆紙(例:RCペーパー)を用いることができる。
また、本実施形態においては、被記録媒体の表面のpHが3.0以上8.0以下であることが好ましい。また、本実施形態に係るインク組成物を使用した場合の効果、すなわち、高画質で堅牢性にも優れた画像を得ることができる等の効果を十分に得るためには、被記録媒体の表面のpHが4.0以上6.0以下であることが特に好ましい。
<3. 本発明の好適な実施形態に係るインクカートリッジ>
本発明の好適な実施形態に係るインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部を備え、インクとして、上述した本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を使用するものである。インク収容部としては、例えば、ブラックインクを収容するためのインク収容部のみが設けられていてもよいし、ブラックインクに加えて、イエロー、マゼンタ及びシアンの各色のインクを収容するためのインク収容部が設けられていてもよい。なお、このインクカートリッジの具体例については後述する。
<4. 本発明の好適な実施形態に係る記録ユニット>
本発明の好適な実施形態に係る記録ユニットは、インクを収容するインク収容部と、当該インク収容部に収容されたインクを吐出するための記録ヘッドと、を備え、インクとして、上述した本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を使用するものである。特に、本実施形態に係るインク組成物を用いて記録を行うのに好適な記録ヘッドとしては、制御信号に対応した熱エネルギーをインクに作用することによりインク滴を吐出するサーマルインクジェット方式の記録ユニットを用いることができる。このような記録ユニットの中でも、本実施形態においては、金属と金属酸化物の少なくともいずれか一方を含有する発熱部接液面を有する記録ヘッドを用いることが、特に好ましい。発熱部接液面を構成する金属や金属酸化物としては、例えば、Ta、Zr、Ti、Ni、若しくはAlなどの金属、又はこれらの金属の酸化物などが挙げられる。なお、この記録ユニットの具体例については後述する。
<5. 本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置>
[5.1. インクジェット記録装置の概要]
本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置は、インクを収容するインク収容部と、当該インク収容部に収容されたインクを吐出するための記録ヘッドと、を備え、インクとして、上述した本実施形態に係るインクジェット用インク組成物を使用するものである。本実施形態に係るインクジェット記録装置は、インク収容部と記録ヘッドを備える記録ユニットの他に、被記録媒体を供給及び排出する機構や、被記録媒体を搬送する機構や、記録ヘッドのメンテナンスを行う機構などを有する。
特に、本実施形態に係るインク組成物を用いて記録を行うのに好適なインクジェット記録装置としては、制御信号に対応した熱エネルギーをインクに作用することによりインク滴を吐出するサーマルインクジェット方式のインクジェット記録装置を用いることができる。
[5.2. インクジェット記録装置の具体例]
ここで、図1〜図4を参照しながら、本実施形態に係るインクジェット記録装置の一例として、被記録媒体の幅方向に沿って複数のノズルが略直線状に配置された記録ヘッド(ラインヘッド)を有するラインタイプのインクジェット記録装置100を挙げて、本実施形態に係るインクジェット記録装置の具体的な構成を説明する。なお、図1は、本発明の好適な実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成の一例を示す分解斜視図である。図2は、図1のインクジェット記録装置100に設けられたヘッドカートリッジの構成を示す分解斜視図である。図3は、図2に示したヘッドカートリッジをIII−III線で切断した断面図である。図4は、図3に示したヘッドカートリッジに設けられた記録ヘッドの構成を示す断面図であり、(a)は、発熱体上に気泡が発生した状態を模式的に示したものであり、(b)は、ノズルからインク滴が吐出される状態を模式的に示したものである。
図1に示すインクジェット記録装置100は、本実施形態に係るインク組成物を、ブラックインク1b、マゼンタインク1m、シアンインク1c、またはイエローインク1yとして用いて、カラー画像や文字を記録物として形成する。なお、以下の説明では、ブラックインク1b、マゼンタインク1m、シアンインク1c及びイエローインク1yを合わせて、単にインク1という場合もある。
図1に示すように、インクジェット記録装置100は、被記録媒体(例えば、記録紙P)の幅方向、すなわち、図1における矢印Wの方向に、インク滴を吐出するノズル略直線状に1列以上並設された、いわゆるラインタイプのインクジェット記録装置である。このインクジェット記録装置100は、本実施形態に係る記録ユニットの一例としてのインクジェットプリンタヘッドカートリッジ(以下、「ヘッドカートリッジ」と記載する。)110と、装置本体160とを備える。
(5.2.1. ヘッドカートリッジの構成)
ヘッドカートリッジ110は、装置本体160に対して着脱可能に設けられており、例えば、制御信号に対応した熱エネルギーをインクに作用させるために、発熱体として発熱抵抗体を用いてインク1を吐出し、記録紙Pの表面にインク1を着弾させる。このヘッドカートリッジ110には、図2及び図3に示すように、インク1が収容されたインクカートリッジ111が装着される。
〔インクカートリッジ〕
インクカートリッジ111は、ブラックインク1b、マゼンタインク1m、シアンインク1c、イエローインク1yのそれぞれに対応して、4つのインクカートリッジ111b、111m、111c、111yを備える。すなわち、インクカートリッジ111b、111m、111c、111yは、それぞれ、ブラックインク1b、マゼンタインク1m、シアンインク1c、イエローインク1yとして、本実施形態に係るインク組成物または他のインク組成物を収容するインク収容部を備える。また、インクカートリッジ111は、その長手方向が記録紙Pの幅方向の寸法とほぼ同じ寸法であり、その水平断面が略矩形状となるように形成されている。さらに、インクカートリッジ111は、ヘッドカートリッジ110のカートリッジ本体121にインク1を供給するためのインク供給部112を備えている。
インク供給部112は、インクカートリッジ111の底面の略中央部に設けられている。このインク供給部112は、インクカートリッジ111の底面から突出して形成されたノズルであり、このノズルの先端が後述するヘッドカートリッジ110の接続部125に嵌合されることにより、インクカートリッジ111とヘッドカートリッジ110のカートリッジ本体121とが接続される。このように、インクカートリッジ111とカートリッジ本体121とが接続されることにより、インク1をインクカートリッジ111からカートリッジ本体121へ供給することが可能となる。また、インク供給部112には、インクカートリッジ111からカートリッジ本体121へのインク1の供給量を調整する弁機構(図示せず。)が設けられている。なお、インクカートリッジ111は、カートリッジ本体121と物理的に一体に形成されていてもよい。
〔カートリッジ本体〕
ヘッドカートリッジ110は、上述したインクカートリッジ111の他に、このインクカートリッジ110が装着されるカートリッジ本体121を備える。カートリッジ本体121は、インクカートリッジ111が装着される装着部122と、インク1の液滴(以下、「インク滴1d」と記載する。)を吐出する記録ヘッド123と、記録ヘッド123を保護するヘッドキャップ124とを有する。
装着部122の長手方向の略中央部には、装着部122に装着されたインクカートリッジ111のインク供給部112と接続される接続部125が設けられている。この接続部125は、装着部122に装着されたインクカートリッジ111のインク供給部112からカートリッジ本体121の底面に設けられたインク滴1dを吐出する記録ヘッド123にインク1を供給するインク供給路となる。また、接続部125には、インクカートリッジ111から記録ヘッド123へのインク1の供給量を調整する弁機構(図示せず。)が設けられている。
記録ヘッド123は、カートリッジ本体121の底面に設けられており、複数のノズル127a(詳細は後述する。)を有している。これら複数のノズル127aは、接続部125から供給されるインク1の液滴を吐出する吐出口であり、記録紙Pの幅方向、すなわち、図3における矢印Wの方向に略直線状に配置されている。また、このノズル127aは、ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの色毎に設けられており、それぞれ、ブラックのノズルライン、マゼンタのノズルライン、シアンのノズルライン、イエローのノズルラインを構成している。そして、各色のノズルラインが、記録紙Pの幅方向と略垂直な方向にそって並ぶように配置されている。記録ヘッド123は、以上のような構成を有することから、インク滴1dを吐出する際に、記録紙Pの幅方向に移動することなく、ノズルライン毎にインク滴1dを吐出することができる。
また、図4に示すように、記録ヘッド123には、電気熱変換式の発熱抵抗体126aが設けられた回路基板126と、複数のノズル127aとが形成されている。また、記録ヘッド123には、ニッケルめっき等の金属薄膜で形成されたノズルシート127と、回路基板126とノズルシート127との間に設けられたフィルム128とによって、接続部125から供給されたインク1を各ノズル127aに供給するインク流路129が形成されている。このインク流路129は、その長手方向が、ノズル127aが配置されている方向、すなわち、図3における矢印Wの方向となるように形成されている。これにより、記録ヘッド123では、インクカートリッジ111からヘッドカートリッジ110の接続部125を介してインク1がインク流路129に流れ込み、インク流路129から各ノズル127aにインク1が供給されるようになる。また、記録ヘッド123には、回路基板126と、ノズルシート127と、フィルム128とによって囲まれ、発熱抵抗体126aがインク1を加圧するインク液室130が形成されている。
以上のような構成を有する記録ヘッド123では、印刷データに基づいて生成された制御信号が回路基板126に伝送され、この制御信号に基づいて選択された発熱抵抗体126aに対して、所定時間(例えば、1〜3μ秒程度)パルス電流が供給される。パルス電流が供給された記録ヘッド123では、発熱抵抗体126aが駆動し、急速に加熱される。このとき、記録ヘッド123では、発熱抵抗体126aが加熱されると、図4(a)に示すように、発熱抵抗体126aと接するインク1に気泡Bが発生する。次に、記録ヘッド123では、図4(b)に示すように、気泡Bが膨張しながらインク1を加圧し、この気泡Bにより押し退けられたインク1が液滴の状態となってノズル127aから吐出される。また、記録ヘッド123では、インク滴1dを吐出した後、インクカートリッジ111から接続部125を介してインク流路129を経てインク1をインク液室130に供給することによって、再び吐出前の状態に戻る。記録ヘッド123では、制御信号に基づいて、上述した動作を繰り返し、記録紙P上にインク滴1dを吐出して画像を形成する。
本実施形態では、ヘッドカートリッジ110は、記録ヘッド123のインク吐出面123aを保護するためのヘッドキャップ124を有している。このヘッドキャップ124は、図2に示すように、記録ヘッド123がインク滴1dを吐出せず、記録動作を行っていない間、記録ヘッド123の吐出面123aを閉塞し、ノズル127aを乾燥等から保護するものである。記録動作を行う際には、ヘッドキャップ124は、図2に示すように、ヘッドカートリッジ110の底面から装置本体160の前面側に移動し、吐出面123aを外部に露出させて開放する。また、ヘッドキャップ124には、吐出面123aに付着している余分なインク1を取り去るためのクリーニングローラ124aが設けられている。ヘッドキャップ124は、吐出面123aを開放する際に、クリーニングローラ124aにより吐出面123aをクリーニングする。
(5.2.2. 装置本体の構成)
装置本体160は、図1に示すように、ヘッドカートリッジ装着部161と、給紙トレイ162と、排紙トレイ163と、給排紙機構(図示せず。)と、ヘッドキャップ開閉機構(図示せず。)とを有する。ヘッドカートリッジ装着部161は、装置本体160の上面側に設けられ、ヘッドカートリッジ110が装着される。給紙トレイ162は、装置本体160の前面下側に設けられ、画像等の記録前の記録紙Pが積層して収納される。排紙トレイ163は、装置本体160の前面上側に設けられ、画像等の記録後の記録紙Pが収納される。また、給排紙機構は、装置本体160内で記録紙Pを搬送する機構であり、ヘッドキャップ開閉機構は、ヘッドキャップ124を開閉する、すなわち、記録ヘッド123の吐出面123aを開放又は閉塞させるようにヘッドキャップ124を移動させる機構である。
(5.2.3. インクジェット記録装置の動作)
以上のような構成を有するインクジェット記録装置100は、外部に設けられた情報処理装置から入力された印刷データに基づき、給排紙機構、ヘッドキャップ開閉機構及び記録ヘッド123の動作を制御するための制御信号を生成する。この制御信号は、給排紙機構、ヘッドキャップ開閉機構及び記録ヘッド123への電流の供給を制御する制御回路に設けられた制御部により生成される。そして、制御信号により制御された電流が給排紙機構、ヘッドキャップ開閉機構及び記録ヘッド123へ供給されることにより、記録紙Pの給排紙、ヘッドキャップ124の開閉、記録ヘッド123によるインク滴1dの吐出などの動作が行われる。
より具体的には、インクジェット記録装置100では、まず、装置本体160に設けられた操作ボタン160aの操作により、制御部に印刷開始の命令がされると、制御部から伝送された制御信号により、給排紙機構及びヘッドキャップ開閉機構が駆動して、印刷が可能な状態となる。すなわち、ヘッドキャップ開閉機構が、ヘッドカートリッジ110に対して、給紙トレイ162及び排紙トレイ163が設けられている側である装置本体160の前面側に、ヘッドキャップ124を移動させる。これにより、記録ヘッド123の吐出面123aに設けられたノズル127aが外部に露出した開放状態となり、記録ヘッド123は、インク1を吐出できるようになる。
次に、給排紙機構が、給紙トレイ162から記録紙Pを1枚だけ引き出し、記録ヘッド123の吐出面123aと対向する位置に記録紙Pを搬送する。これにより、記録紙Pは、吐出面123aと対向した状態となる。
次に、インクジェット記録装置100は、記録ヘッド123に設けられた複数の発熱抵抗体126aのうち、印刷データに基づく制御信号によって選択された発熱抵抗体126aに駆動電流を供給し、選択された発熱抵抗体126aを加熱する。インクジェット記録装置100は、発熱抵抗体126aを加熱することによって、図4に示すように、吐出面123aと対向する位置に搬送された記録紙Pに対して、加熱された発熱抵抗体126aに対応するノズル127aによりインク滴1dを吐出し、画像や文字等を記録する。
次に、給排紙機構は、画像や文字等の記録が終了した記録紙Pを排紙トレイ163に送り出し、排紙トレイ163に記録後の記録紙Pを排紙する。このようにして、インクジェット記録装置100では、記録紙Pに画像や文字等の記録を行う。記録後には、ヘッドキャップ開閉機構が、装置本体160の前面側に待機しているヘッドキャップ124を、ヘッドカートリッジ110の底面に移動させ、記録ヘッド123の吐出面123aを閉塞して保護する。なお、この際に、クリーニングローラ124aで吐出面123aをクリーニングするようにしてもよい。
<6. まとめ>
以上説明したように、本実施形態に係るインク組成物は、水溶性有機溶剤として、1,5−ペンタンジオールを5質量%以上30質量%以下含有することにより、着色剤の溶解性に優れている。特に、着色剤として、一般式(V)で表される銅フタロシアニン化合物を使用した場合には、他の有機溶剤を使用した場合と比較して、着色剤の溶解性に非常に優れている。また、本実施形態に係るインク組成物では、着色剤が非常に良く溶解するので、着色剤の固化を常温(〜60℃程度)・常湿(〜40%程度)で防ぐことができる。さらには、このように着色剤の固化を常温・常湿で防げることや、使用する浸透促進剤(界面活性剤)量を3質量%以下とすることにより、インク組成物中に気泡が発生することが防止することができる。従って、本実施形態に係るインク組成物をインクジェット記録方式に使用した場合でも、ノズルの詰まりを防ぐことができる。
また、本実施形態に係るインク組成物は、保湿剤を1.5−ペンタンジオールや浸透促進剤と併せて含有しているため、吐出安定性(間欠復帰性)が良くなり、さらには、インク組成物に吸湿させた場合のインク吐出の回復(復帰)が早くなる。これにより、本実施形態に係るインク組成物を用いて印画した印画物のドット抜けを防ぐことができるようになり、また、空吐出とよばれる回復処理の回数を大幅に減らすことができるようになる。このため、メンテナンスに要する時間を短縮することができるので、本実施形態に係るインク組成物を用いれば、長時間の連続印画が可能となる。さらに、このように連続印画が可能となることにより、印画速度が飛躍的に向上し、印画のさらなる高速化を実現することができる。
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<着色剤の合成または準備>
[アゾ化合物(例示化合物1)の合成]
一般式(I)で表されるアゾ化合物として、例示化合物1を製造した。例示化合物1は、上記特許文献1(特開2006−143989号公報)の実施例1に記載の方法に準じて合成した。以下に、例示化合物1の合成方法を記載する。
(1)化合物1−1の合成
5−アミノ−3−tert−ブチル−4−シアノピラゾール(下記化合物A)24.1gを、濃塩酸45ml、酢酸30ml、及びプロピオン酸45mlの混合溶媒に添加し、内温0℃で攪拌した。さらに、攪拌後の溶液に、水20mlに溶解させた亜硝酸ナトリウム10.1gを10分間で滴下後、そのまま30分間攪拌した。
次に、カプラー成分(下記化合物B)84.7gをメタンスルホン酸231ml、酢酸147ml、及びプロピオン酸221mlの混合溶媒に溶解させ、0℃で攪拌し、攪拌後の溶媒に、上記化合物Aの反応溶液(ジアゾニウム塩)を30分間で加えた。ジアゾニウム塩の添加後、さらに反応液を30分攪拌させた後、水2250mlに氷750gを添加し攪拌したところへ、上記反応液を徐々に加え、析出した化合物を吸引濾過することにより単離して、化合物1−1を得た。
Figure 2012126830
(2)化合物(化合物1−2)の合成
上記化合物1−1を21g容器に移し、さらに、当該容器に、ヘテリル化剤(下記化合物C)26.6g、炭酸カリウム21.7g、及びDMSO(ジメチルスルホキシド)147mlを加え、窒素バブリングさせながら内温92℃で4時間加熱攪拌させた。攪拌終了後、内容液を室温まで冷却し、反応系から析出した化合物を吸引濾過にて単離した。さらに、この粗結晶を水3L中に分散させ、過剰の炭酸カリウムを溶解させ、吸引ろ過して目的の化合物(下記化合物1−2)を得た。
Figure 2012126830
(3)例示化合物1の合成
30質量%発煙硫酸33mlを10℃に冷却し、化合物1−2を4.7g、内温25℃以下で分割添加した。内温30℃で2.5時間反応させた後、内温を0℃に冷却し、水24ml、次いで28%アンモニア水42mlを滴下した。イソプロパノール/n−ブタノール(21:5)26mlで染料を抽出した後、25質量%水酸化ナトリウム水溶液でpHを9に調整し、そこへエタノール20mlを滴下した。析出した無機塩をろ過により除き、メタノール10ml、酢酸ナトリウム6.0g、及び酢酸カリウム2.4gを加え、内温を65℃まで上昇させた後、エタノール80mlを滴下した。さらに、反応溶液を室温まで冷却し、析出した結晶を濾取した。得られた結晶を水36mlに溶解させ、この溶液を、ナトリウム型強酸性陽イオン交換樹脂50ml(オルガノ(株)社製:商品名アンバーライトIR−120Bをナトリウム型に変換したもの)を円筒形のカラムに充填した充填塔の中を25℃、約SV4の流速で通液した。通液した水溶液を、希水酸化リチウム水溶液を用いてpH7に調整した後に、平均孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いてろ過を行った。ろ液を減圧濃縮乾固した後、70℃で1晩乾燥させ、例示化合物1を得た。
[アントラピリドン化合物(例示化合物5)の合成]
一般式(III)で表されるアントラピリドン化合物として、例示化合物5を製造した。例示化合物5は、特許文献2(特開平10−306221号公報)の実施例2に記載の方法に準じて合成した。以下に、例示化合物5の合成方法を記載する。
(1)化合物5−1の合成
1−メチルアミノ−4−(3−メチル−アニリノ)アントラキノン(下記化合物D)25.7g、炭酸ナトリウム0.75g、マロン酸ジエチルエステル30.0g及びオルソジクロロベンゼン45gを反応器に仕込み、175〜180℃で5時間反応させた。反応は生成するエタノール及び水を反応系から追い出しながら行った。反応の完了をHPLC(高速液体クロマトグラフィ)にて確認後、水冷し、メタノール170mlを加え、更に氷冷攪拌を1時間行い、析出した結晶を濾過した。次いで、得られた結晶をメタノール225mlで洗浄し、80℃の純水180mlで洗浄後、乾燥させ、下記化合物5−1を紫赤色の結晶として得た。
Figure 2012126830
(2)例示化合物5の合成
96質量%硫酸31.0gを反応器に仕込み、氷冷下30質量%発煙硫酸33.4gを加えて7質量%の発煙硫酸を調製した。この発煙硫酸に、氷冷下20℃以下で化合物5−1を8.8ml加え、20〜25℃の温度で3時間スルホン化反応を行った。0℃の純水400ml中に、上記の反応液を加えて攪拌下、塩化ナトリウム60gを添加して塩析を行った。さらに2時間攪拌した後、平均孔径0.22μmのメンブランフィルターを用いてろ過を行った。ろ液を減圧濃縮乾固した後、70℃で1晩乾燥させ、例示化合物5を得た。
[銅フタロシアニン化合物の準備]
本実施例では、シアン系着色剤である銅フタロシアニン化合物として、C.I.ダイレクトブルー86とC.I.ダイレクトブルー87とを混合したものを使用した。
<インクの調製>
全てのインク組成物には、マゼンタインクとして、上記で得られた例示化合物1または例示化合物1と例示化合物5の混合物、シアンインクとして、C.I.ダイレクトブルー86とC.I.ダイレクトブルー87の混合物を用いた。
実施例としてのインク組成物は、各成分が表1−1〜1−3の上段に記載した含有比率(質量%)となるように、比較例としてのインク組成物は、各成分が表2−1〜2−8の上段に記載した含有比率(質量%)となるように、下記に示す実施例1の調製法に準じて調製した。
[実施例1のインク組成物の調製]
インク組成物全量に対して、一般式(I)で表されるアゾ化合物として例示化合物1の濃度が4.0質量%、1,5−ペンタンジオールの濃度が5.0質量%、1,2−ヘキサンジオールの濃度が3.0質量%、保湿剤としてトリメチロールプロパンが3.0質量%、浸透促進剤として日信化学工業株式会社製のアセチレングリコール系界面活性剤であるオルフィンE1010が0.5質量%となるように計量し、イオン交換水にこれらを添加して混合した。
上記の溶液を十分に撹拌後、孔径0.45μmのフィルターにて濾過して、実施例1のインク組成物を得た。なお、攪拌からインク組成物を得るまでの操作は、全実施例及び比較例で全く同様である。
<インク組成物の評価方法>
上記で得られた各インク組成物の微小液滴の状態を観察した。また、各インク組成物をそれぞれ、ラインヘッドを有するソニー製サーマルインクジェットプリンター(LPR−E5000)に搭載し、各インク組成物の吐出安定性及び湿気応答性を評価した。以下に、インク組成物の評価方法の詳細を記載する。
[微小液滴の状態]
上記のようにして得られた各インク組成物を、スライドグラス上に0.2μL程度の微小液滴として、1列に20滴程度並べ、常温常湿下にて1日放置後、キーエンス社製のマイクロスコープにて液滴の状態を観察した。その結果、1日放置後でも液状であるものを○、液状ではあるものの一部固化が進んでいるものを△、完全に固化しているものを×と評価した。評価結果を表1−1〜1−3、2−1〜2−8にそれぞれ示した。
[吐出安定性]
上記のようにして得られた各インク組成物をそれぞれ、ラインヘッドを有するソニー製サーマルインクジェットプリンター(LPR−E5000)に搭載した。記録密度を600dpi×600dpiとし、温度10℃、湿度15%RHの環境で、所定のノズルからインクを吐出させた。その後、一定時間前記所定のノズルを使用せず、再度前記所定のノズルからインクを吐出させ、被記録媒体として、三菱製紙製のインクジェット光沢紙(IJ−RC−UF170)に記録を行った。この際、一旦インクの吐出を停止して放置した後に再度吐出をすることが可能であった最大の時間(以下、「再吐出時間」と記載する。)[分:秒]を測定した。その結果を表1−1〜1−3、2−1〜2−8にそれぞれ示した。
[湿気応答性]
上記のようにして得られた各インク組成物をそれぞれ、ラインヘッドを有するソニー製サーマルインクジェットプリンター(LPR−E5000)に搭載した。記録密度を600dpi×600dpiとし、温度10℃、湿度15%RHの環境で、所定のノズルからインクを吐出させた。インクの吐出後、ノズル面を16時間、常温常湿で開放したまま放置した後に、ノズル面の2mm下に純水を含んだ特殊なスポンジを設置し、再びインクの吐出が可能になるまでの時間、すなわち、インク組成物に湿度を与えてから復帰するまでの時間(以下、「復帰時間」と記載する。)[分:秒]を測定した。その結果を表1−1〜1−3、2−1〜2−8にそれぞれ示した。
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
Figure 2012126830
以上のことから、本発明における着色剤と、所定の含有量の1,5−ペンタンジオール、保湿剤及び浸透促進剤との組み合わせによって、印画速度において重要なメンテナンス回数を飛躍的に減らすことができ、連続印画が可能なインクジェット用インク組成物を得ることができた。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上記実施形態では、インクジェット記録装置の構成に関し、ラインタイプのインクジェット記録装置を例に挙げて説明したが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、本発明に係るインクジェット記録装置は、記録ヘッドが被記録媒体の搬送方向とは直交した方向に往復移動しながら記録するシリアルタイプのインクジェット記録装置であってもよい。
1 インク(インク組成物)
1d インク滴
100 インクジェット記録装置
110 ヘッドカートリッジ
111 インクカートリッジ
112 インク供給部
121 カートリッジ本体
122 装着部
123 記録ヘッド
123a インク吐出面
124 ヘッドキャップ
124a クリーニングローラ
125 接続部
126 回路基板
126a 発熱抵抗体
127 ノズルシート
127a ノズル
128 フィルム
129 インク流路
130 インク液室
160 装置本体
161 ヘッドカートリッジ装着部
162 給紙トレイ
163 排紙トレイ
P 記録紙

Claims (13)

  1. 着色剤と、
    水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、
    保湿剤及び浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、
    を含有し、
    前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、
    前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物。
  2. 前記着色剤として、下記一般式(I)で表されるアゾ化合物を含有する、請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
    Figure 2012126830
    (前記一般式(I)中、aは、ハメットのσp値が0.20以上1.00未満の電子吸引性基である。また、b及びdは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するフェニル基であり、該フェニル基の水素原子はさらに置換されていてもよい。また、c及びeは、それぞれ独立に、1つのスルホ基を有するベンゾチアゾール環基からなり、該ベンゾチアゾール環基の水素原子はさらに置換されていてもよい。)
  3. 前記アゾ化合物が、下記一般式(II)で表される化合物である、請求項2に記載のインクジェット用インク組成物。
    Figure 2012126830

    (前記一般式(IV)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立に、アルキル基であり、該アルキル基の水素原子は更に置換されていてもよい。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
  4. 前記着色剤として、前記アゾ化合物に加えて、さらに下記一般式(III)で表されるアントラピリドン化合物を含有する、請求項2に記載のインクジェット用インク組成物。
    Figure 2012126830
    (前記一般式(III)中、Rは、炭素数1から6のアルコキシ基又は3−スルホフェニル基であり、Rは、水素原子又はメチル基である。Rは、水素原子又はメチル基であり、該メチル基の水素原子はさらに置換されていてもよいが、イミノ橋(−NH−)で架橋された置換基を選択することはできない。また、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
  5. 前記アントラピリドン化合物が、下記一般式(IV)で表される化合物である、請求項4に記載のインクジェット用インク組成物。
    Figure 2012126830
    (前記一般式(V)中、Mは、それぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム又は有機アンモニウムである。)
  6. 前記着色剤として、下記一般式(V)で表される銅フタロシアニン化合物を含有する、請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
    Figure 2012126830
    (前記一般式(V)中、A,B、C、及びDは、それぞれ独立に、芳香性を有する6員環であり、Mはそれぞれ独立に、水素原子、アルカリ金属、アンモニウム、又は有機アンモニウムであり、Eはアルキレン基である。また、Xは、アニリノ基であり、該アニリノ基はスルホ置換、カルボキシル置換、又はホスホノ置換されていてもよい。該置換アニリノ基はさらに、スルホン酸基、カルボキシル基、ホスホノ基、スルファモイル基、カルバモイル基、水酸基、アルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アセチルアミノ基、ウレイド基、アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、アルキルスルホニル基、及びアルキルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも一つの置換基を1〜4個有していてもよい。また、Yは、水酸基又はアミノ基であり、l、m、及びnは、0≦l≦2、0≦m≦3、0.1≦n≦3であり、かつ1≦l+m+n≦4である。)
  7. 前記1,5−ペンタンジオールの含有量と前記保湿剤の含有量との合計が、全体に対して1質量%以上30質量%以下であり、
    前記浸透促進剤の含有量が、全体に対して0.1質量%以上3質量%以下である、請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
  8. 前記水性媒体が、前記1,5−ペンタンジオールに加えて、水溶性有機溶剤を含んでおり、
    当該水溶性有機溶剤が、炭素数1〜4のアルキルアルコール類、アミド類、ケトン類、ケトアルコール類、エーテル類、ポリアルキレングリコール類、アルキレン基が2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類、低級アルキルエーテルアセテート、グリセリン、多価アルコールの低級アルキルエーテル類、多価アルコール、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群より選択される1種または2種以上の溶剤である、請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
  9. 前記浸透促進剤が、エーテル系ノニオン性界面活性剤、エステル系ノニオン性界面活性剤、及びアセチレングリコール系ノニオン性界面活性剤からなる群より選択される1種又は2種以上のノニオン系界面活性剤である、請求項1に記載のインクジェット用インク組成物。
  10. 着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び/又は浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有し、前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物の液滴をインクジェット方式で吐出して記録を行う、インクジェット記録方法。
  11. 着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び/又は浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有し、前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を備える、インクカートリッジ。
  12. 着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び/又は浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有し、前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を有する、インクカートリッジと、
    前記インク収容部に収容されたインク組成物の液滴を吐出するための記録ヘッドと、
    を備える、記録ユニット。
  13. 着色剤と、水と1,5−ペンタンジオールを少なくとも含む水性媒体と、保湿剤及び/又は浸透促進剤を少なくとも含む水溶性添加剤と、を含有し、前記1,5−ペンタンジオールの含有量は、全体に対して5質量%以上30質量%以下であり、前記保湿剤及び前記浸透促進剤の含有量は、それぞれ、全体に対して3質量%以下である、インクジェット用インク組成物を収容するインク収容部を有する、インクカートリッジと、
    前記インク収容部に収容されたインク組成物の液滴を吐出するための記録ヘッドと、
    を備える、インクジェット記録装置。

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