JP2006264269A - 画像記録方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】インクの打滴干渉による滲みを確実に防止することで、高画質で高精細な画像の形成が達成できる画像記録方法及び装置を提供する。
【解決手段】記録媒体16上にカチオン性基と芳香族環の両方を含むポリマー化合物を含有する処理液110を付与し、処理液110が記録媒体16表面に所定量残存している状態で、処理液110にアニオン性色材を含むインク120を付着させて画像を形成させる。
【選択図】 図8
【解決手段】記録媒体16上にカチオン性基と芳香族環の両方を含むポリマー化合物を含有する処理液110を付与し、処理液110が記録媒体16表面に所定量残存している状態で、処理液110にアニオン性色材を含むインク120を付着させて画像を形成させる。
【選択図】 図8
Description
本発明は、画像記録方法及び装置に係り、特に記録媒体上にインク定着液である処理液を付与した後、その処理液にインクを付着させることで画像を形成する画像記録方法及び装置に関する。
近年のインクジェットプリンティング技術の進歩により、高画質で高精細な画像を形成することが可能になってきた。しかしながら、高画質で高精細な画像を形成するシャトル方式はあるドットを打滴した後にその隣接ドットを打滴するまでに、先に打滴したインクを染み込ませる時間を稼ぎ、隣接ドットとのドットの合一(以後打滴干渉と呼ぶ)を防げるが、プリントは時間が長くかかることが問題であり、高速化が困難であるといった問題点があった。
それに対し、高速化が可能なページ幅1パス方式は隣接ドットを打つまでの時間が非常に短くプリントの高速化には比較的有利であるが、打滴干渉が起こり易く、画質の低下が起こってしまうという問題点がある。従って、ページ幅1パス方式で、高速・高画質を実現するためには打滴干渉の回避が課題であった。
特許文献1によればカチオン性化合物を含む液体を記録媒体上に付着後、その液体が記録媒体上に浸透し、記録媒体表面からなくなった直後に、インクを打滴することによって耐水性、滲み抑制の向上を図ることが記載されている。
特許公報第2667401号
しかしながら、特許文献1では、インクの打滴干渉の回避効果が十分に見られず滲みが発生するため、近年要求されている高画質で高精細な画像を形成するには満足できるものではない。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、インクの打滴干渉による滲みを確実に防止することができるので、高画質で高精細な画像の形成が達成できる画像記録方法及び装置を提供する。
前記目的を達成するために請求項1の発明は、記録媒体上にカチオン性基と芳香族環の両方を含むポリマー化合物を含有する処理液を付与し、前記処理液の液体分が前記記録媒体表面に所定量以上残存している状態で、前記処理液にアニオン性色材を含むインクを付着させて画像を形成することを特徴とする画像記録方法を提供する。
本発明者は、処理液を記録媒体上に塗布又は打滴により付与し、その後インクを塗布又は打滴により付着させて画像を形成する画像記録方法において、画像が滲んでしまう原因を鋭意研究した結果、次の知見を得た。
即ち、処理液が記録媒体上に残存していないと、せっかく処理液を付与しても打滴干渉が発生してしまいインクの滲みを回避することができない。また、インクにはアニオン性基を有することから、従来から処理液にカチオン性基を含有するポリマー化合物を含有させて、処理液のカチオン性基とインクのアニオン性基との会合現象により凝集体を形成することで滲みを防止することが行われてきたが、それだけでは滲みを回避するには不十分である。
本発明の請求項1によれば、処理液の液体分が前記記録媒体表面に所定量以上残存している状態で、処理液にアニオン性色材を含むインクを付着させて画像を形成させるようにしたので、会合現象を確実に行うことができる。
本明細書中において、所定量とは、所望の画像記録速度、装置及び記録媒体によって適宜変更され得るものであるが、実質的には、目視または高速カメラでの目視により記録媒体表面の液体量が認識できる程度の量であり、好ましくは処理液の液体分が5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは40体積%以上残存している状態である。
また、本発明では、アニオン性基とカチオン性基とのイオン的相互作用による会合現象に加えて、インクの色材にある芳香族環と、処理液の芳香族環とがπ−πスタックや疎水性相互作用のより更に強い会合を起こすことができるものと推測している。
本発明の請求項2は請求項1において、前記処理液が前記記録媒体表面に残存している残存率が、10体積%以上であることを特徴とする。
ここで、残存率100体積%とは、処理液を記録媒体上に付与する前の1滴の体積とする。
請求項2は、処理液が記録媒体表面に残存しているより好ましい所定量以上を残存率で表したもので、記録媒体表面に処理液が10体積%以上残存しているときに、処理液にインクを付着させるとインクの滲みを効果的に回避することができる。尚、残存率は、事前に予備試験で記録媒体上に処理液を打滴したときの記録媒体表面の処理液の様子を高速カメラで撮影し、その撮影した映像から記録媒体表面の処理液の量を求め、打滴からの時間との関係を求めておくことで、時間で制御することができる。
本発明の請求項3は請求項1または2のうちの何れか1項において、前記処理液のポリマー化合物が水溶性ポリマーであることを特徴とする。
これは、画像記録として使用するのに好適なポリマー化合物を規定したものである。
本発明の請求項4は請求項1から3のうちの何れか1項において、前記インクのアニオン性色材が水溶性染料であることを特徴とする。
これは、画像記録として使用するのに好適なインクを規定したものである。
本発明の請求項5は請求項1〜4のうちの何れか1項において、前記インクにアニオン性ポリマーを含有すること特徴とする。
本発明の請求項5によれば、インクにアニオン性ポリマーを含有することで、さらにインクの滲みを効果的に回避することができる。
本発明の請求項6は請求項1〜5のうちの何れか1項において、前記処理液のポリマー化合物のカチオン性基数/芳香族環基数が0.1以上10以下であることを特徴とする。
これは、カチオン性基数/芳香族環基数が0.1未満であるとカチオン性基が芳香族環基よりも極めて少なくなってしまい、インクの滲みを効果的に回避することができなくなるからであり、逆に、カチオン性基数/芳香族環基数が10より大きくなると芳香族環基がカチオン性基よりも極めて少なくなってしまい、インクの滲みを効果的に回避することができなくなるからである。
カチオン性基数/芳香族環基数のより好ましい範囲は、0.2以上5以下であり、特に好ましい範囲は0.5以上5以下である。
本発明の請求項7は請求項1〜6のうちの何れか1項において、前記処理液のポリマー化合物の芳香族環が芳香族炭素水素環であることを特徴とする。
これは、画像記録として使用するのに好適な処理液のポリマー化合物を規定したものである。
本発明の請求項8は請求項1〜7のうちの何れか1項において、前記処理液のポリマー化合物の分子量が10万以下であることを特徴とする。
これは、分子量が10万を超えてしまうと、溶液への溶解性が低下し粘度の上昇が起きてしまい、処理液のポリマー化合物としては適さなくなるからである。より好ましくは500以上5万以下であり、特に好ましくは1000以上3万以下であり、本発明の課題を解決するものであれば、オリゴマーであってもよい。
本発明の請求項9は請求項1〜8のうちの何れか1項において、前記処理液のポリマー化合物が一般式(1)で表される化合物、または一般式(1)で表される化合物との共重合体であることを特徴とする。
これは、画像記録として使用するのに好適な処理液のポリマー化合物を規定したものである。
本発明の請求項10は請求項1〜9のうちの何れか1項において、画像記録方法がインクジェット記録方法であることを特徴とする。
これは、画像記録方法の中でも、インクジェット記録方法が本発明の効果をより有効に発揮できるからである。
本発明の請求項11は請求項10において、前記インクを打滴しドットを形成した際に、当該ドットと隣接するドットとの着弾時間の差が1秒以下であることを特徴とする。
これは、打滴ヘッドについて規定したもので、本発明を実施することにより、着弾時間の差が1秒以下の高速印字であっても滲みを発生しないようにできるからである。
本発明の請求項12は請求項10または11の何れか1項において、前記インクジェット記録方法のインクの打滴ヘッドがラインヘッドであることを特徴とする。
これは、打滴ヘッドについて規定したもので、本発明は高速印字を行うことのできるラインヘッドを使用することで、より効果を発揮するためである。
本発明の請求項13は請求項1〜12のうちの何れか1項において、前記記録媒体がコート紙またはアート紙であることを特徴とする
これは、記録媒体について規定したもので、コート紙やアート紙のように紙表面に疎水性ポリマーをコーティングしていると、処理液のポリマー化合物が記録媒体表面に残存している状態になり、好適にインクの滲みを回避することができるからである。
これは、記録媒体について規定したもので、コート紙やアート紙のように紙表面に疎水性ポリマーをコーティングしていると、処理液のポリマー化合物が記録媒体表面に残存している状態になり、好適にインクの滲みを回避することができるからである。
前記目的を達成するために請求項14の発明は、記録媒体上にカチオン性基と芳香族環の両方を含むポリマー化合物を含有する処理液を付与する第1の手段と、前記処理液の液体分が前記記録媒体に所定量残存している状態で、前記処理液にアニオン性色材を含むインクを付着させる第2の手段と、を備えて画像を形成することを特徴とする画像記録装置を提供する。
請求項14は本発明を装置として構成したものである。
本発明の画像記録方法及び装置によれば、インクの打滴干渉による滲みを確実に防止することができるので、高画質で高精細な画像の形成が達成できる。
本発明は、記録媒体上にカチオン性基と芳香族環の両方を含むポリマー化合物を含有する処理液を付与し、処理液の液体分が記録媒体表面に所定量残存している状態で、処理液にアニオン性色材を含むインクを付着させて画像を形成させる方法及び装置であり、まず、カチオン性基と芳香族環の両方を含有するポリマー化合物に関して詳細に説明する。
[処理液中のポリマー化合物]
本発明ポリマーは水あるいは有機溶媒に溶解または、分散することが好ましく、水性媒体に溶解または分散することがより好ましく、更に好ましくは水に溶解することつまり水溶性ポリマーであることが好ましい。本発明における水溶性ポリマーの水溶性とは水に対して1%以上溶解するポリマーであり、好ましくは3%以上溶解するポリマーであり、より好ましくは5%以上溶解するポリマーであり、更に好ましくは10%以上溶解するポリマーである。
本発明ポリマーは水あるいは有機溶媒に溶解または、分散することが好ましく、水性媒体に溶解または分散することがより好ましく、更に好ましくは水に溶解することつまり水溶性ポリマーであることが好ましい。本発明における水溶性ポリマーの水溶性とは水に対して1%以上溶解するポリマーであり、好ましくは3%以上溶解するポリマーであり、より好ましくは5%以上溶解するポリマーであり、更に好ましくは10%以上溶解するポリマーである。
本発明におけるカチオン性基はカチオン性を有するものであればなんでもよく、好ましくは1級、2級、3級アミンの塩および4級アンモニウム塩、含む窒素へテロ環の塩(例えば、ピリジニウム塩、イミダゾリウム塩など)、ホスホニウム塩、スルホニウム塩であり、より好ましくは1級、2級、3級アミンの塩および4級アンモニウム塩、含む窒素へテロ環の塩であり、更に好ましくは1級、2級、3級アミンの塩および4級アンモニウム塩であり、特に好ましくは、2級のアミン塩、3級アミンの塩、4級アンモニウム塩である。
本発明における芳香族環は芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよいが、芳香族炭化水素環が好ましいい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。
芳香族炭化水素環として好ましくは(好ましくは炭素数6〜30の単環または二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる。)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。)更に好ましくはベンゼン環である。
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは窒素原子を含む芳香族へテロ環である。具体的にはイミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として更に好ましくは、イミダゾール、ピリジンである。
本発明におけるポリマーはカチオン性基と芳香族環の両方を1分子中に含んでいるものであればなんでもよいが、好ましくはカチオン性基数/芳香族環基数0.1以上10以下であり、より好ましくは0.2以上5以下である。特に好ましくは0.5以上5以下である。
本発明におけるカチオン性基と芳香族環の両方を含有するポリマー化合物のカチオン性基の対イオンとしてはアニオン性を有するものであればなんでもよく、アニオン性を有する対イオンは、カチオン性基と芳香族環の両方を含有するポリマー化合物の一部にコモノマーとして含有しても、該ポリマーと別の分子であってもよい。好ましくは、該ポリマーと別の分子である。
アニオン性の対イオンとして好ましくは1ないし3価のイオンであり、より好ましくは、1ないし2価の塩であり、更に好ましくは1価の塩であり、例えばハロゲン化物塩(フッ化物塩、塩化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩)、酢酸塩、硝酸塩、塩酸塩、スルホン酸塩等が挙げられる。
本発明におけるカチオン性基と芳香族環の両方を含有するポリマー化合物の分子量は、あまり分子量が大き過ぎると、溶液への溶解性の低下および、粘度の上昇が起こるため、好ましくは500以上10万以下であり、より好ましくは500以上5万以下であり、特に好ましくは1000以上3万以下である。
本発明におけるカチオン性基と芳香族環の両方を含有するポリマー化合物として、好ましくは一般式(1)であらわされる化合物または上記一般式(1)表される化合物との共重合体である。
一般式(1)
一般式(1)
(一般式(1)中、R1 、R2 またはR3 はそれぞれ独立に水素原子、またはアルキル基を表す。)
以下一般式(1)で表される化合物に関して詳細に説明する。
以下一般式(1)で表される化合物に関して詳細に説明する。
一般式(1)中、R1 、R2 またはR3はそれぞれ独立に水素原子、またはアルキル基を表し、アルキル基は分岐でも直鎖でもよく、また、可能な場合には更に置換を有してもよい。
R1 、R2 またはR3として好ましくは、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、より好ましくは水素原子または炭素数1〜12のアルキル基であり、更に好ましくは水素原子または炭素数1〜8のアルキル基であり、特に好ましくは水素原子または炭素数1〜4のアルキル基あり、最も好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基である。
一般式(1)で表される化合物との共重合成分としては、共重合可能なビニルモノマーであればなんでもよく、中でも、アクリル系、メタクリル系、スチレン系のモノマーが好ましい。
また、芳香族環は以下に説明する置換基Tを有していてもよい。
置換基Tとしては例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメチル、エチル、iso−プロピル、tert−ブチル、n−オクチル、n−デシル、n−ヘキサデシル、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが挙げられる。)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばビニル、アリル、2−ブテニル、3−ペンテニルなどが挙げられる。)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜12、特に好ましくは炭素数2〜8であり、例えばプロパルギル、3−ペンチニルなどが挙げられる。)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル、p−メチルフェニル、ナフチルなどが挙げられる。)、置換又は未置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜10、特に好ましくは炭素数0〜6であり、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジベンジルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜8であり、例えばメトキシ、エトキシ、ブトキシなどが挙げられる。)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルオキシ、2−ナフチルオキシなどが挙げられる。)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばアセチル、ベンゾイル、ホルミル、ピバロイルなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニルなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニルなどが挙げられる。)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセトキシ、ベンゾイルオキシなどが挙げられる。)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜10であり、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノなどが挙げられる。)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは炭素数2〜16、特に好ましくは炭素数2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは炭素数7〜16、特に好ましくは炭素数7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノなどが挙げられる。)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ、ベンゼンスルホニルアミノなどが挙げられる。)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは炭素数0〜16、特に好ましくは炭素数0〜12であり、例えばスルファモイル、メチルスルファモイル、ジメチルスルファモイル、フェニルスルファモイルなどが挙げられる。)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばカルバモイル、メチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、フェニルカルバモイルなどが挙げられる。)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメチルチオ、エチルチオなどが挙げられる。)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは炭素数6〜16、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニルチオなどが挙げられる。)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメシル、トシルなどが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばメタンスルフィニル、ベンゼンスルフィニルなどが挙げられる。)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばウレイド、メチルウレイド、フェニルウレイドなどが挙げられる。)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなどが挙げられる。)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には例えばイミダゾリル、ピリジル、キノリル、フリル、ピペリジル、モルホリノ、ベンゾオキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリルなどが挙げられる。)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24であり、例えば、トリメチルシリル、トリフェニルシリルなどが挙げられる)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に本発明におけるカチオン性基と芳香族環の両方を含有するポリマー化合物に関して具体例を挙げて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
なお、カチオンポリマーには対イオンが存在し、対アニオンは無機アニオンでも有機アニオンでもよい。また、分子内で電荷が0になるようなアニオン性基を有してもよい。また、対イオンの価数としては1価以上であればよいが、好ましくは1価〜3価のアニオン、より好ましくは1価〜2価のアニオンである。
アニオンとして好ましくは、ヨードイオン、臭素イオン、塩素イオン、硫酸イオン、燐酸イオン、硝酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン等が挙げられる。
本発明における処理液中のカチオン性基と芳香族環の両方を含有するポリマー化合物の含量は1〜20質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%であり、更に好ましくは1〜5質量%であり、最も好ましくは2〜5質量%である。
本発明における処理液は本発明の効果を害しない範囲内において後述のインクジェット用インクの添加剤(色材を除く)記載の成分を適量含有することができる。
本発明の画像記録方法としては処理液を記録媒体に付着させ、処理液が記録媒体からなくなる前にアニオン性色材を含むインクを付着させるものであるが、処理液およびインクを記録媒体上に付着させる方法としては塗布方式、インクジェット方式などが挙げられ、インクジェット方式が好ましい。
アニオン性色材を含むインクの付着のタイミングは、処理液が記録媒体からなくなる前であるが、処理液が記録媒体表面に残存している残存率が好ましくは5体積%以上、より好ましくは10体積%以上、更に好ましくは40体積%以上残存しているタイミングである。
次いで、本発明におけるインクジェット用インクについて説明する。
[インクの構成]
インクジェット用インクは、親油性媒体や水性媒体中に色材を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。本発明におけるアニオン性色材はアニオン性の染料、アニオン性基を表面に有する自己分散顔料、アニオン性基を有するポリマーにより被服分散された顔料などがあり、アニオン性色材として好ましくは水溶性のアニオン性の染料である。
インクジェット用インクは、親油性媒体や水性媒体中に色材を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。本発明におけるアニオン性色材はアニオン性の染料、アニオン性基を表面に有する自己分散顔料、アニオン性基を有するポリマーにより被服分散された顔料などがあり、アニオン性色材として好ましくは水溶性のアニオン性の染料である。
水性媒体を用いる場合、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有される。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
乾燥防止剤はインクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50重量%含有することが好ましい。
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50重量%含有することが好ましい。
浸透促進剤は、インクジェット用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。浸透促進剤としてはエタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30重量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00重量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては前記中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
表面張力調整剤としてはノニオン、カチオン、アニオン、ベタイン界面活性剤が挙げられる。表面張力の調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、本発明におけるインクの表面張力を20〜60mN/mに調整する量が好ましく、より好ましくは20〜45mN/m、更に好ましくは25〜40mN/mに調整できる量である。
界面活性剤の例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。
これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
また本発明におけるインクジェット用インクの粘度は30mPa・s以下が好ましい。更に20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
本発明におけるインクジェット用インクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
本発明におけるインクとして適用できるイエロー染料としては、任意のものを使用する事が出来る。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類、などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。
例えば、カラーインデックス記載の染料としてはC.I.アシッド・イエロー17、C.I.アシッド・イエロー23、C.I.アシッド・イエロー42、C.I.アシッド・イエロー44、C.I.アシッド・イエロー79、C.I.アシッド・イエロー142、C.I.ダイレクト・イエロー33、C.I.ダイレクト・イエロー44、C.I.ダイレクト・イエロー50、C.I.ダイレクト・イエロー86、C.I.ダイレクト・イエロー144、C.I.リアクティブ・イエロー17などが適用できる。
マゼンタ染料としては、任意のものを使用する事が出来る。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類などを有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、シアニン染料、オキソノール染料などのようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環染料等を挙げることができる。
例えばカラーインデックス記載のC.I.アシッド・レッド35、C.I.アシッド・レッド42、C.I.アシッド・レッド52、C.I.アシッド・レッド82、C.I.アシッド・レッド87、C.I.アシッド・レッド92、C.I.アシッド・レッド134、C.I.アシッド・レッド249、C.I.アシッド・レッド254、C.I.アシッド・レッド289、 C.I.ダイレクト・レッド4、C.I.ダイレクト・レッド95、C.I.ダイレクト・レッド242、C.I.ダイレクト・レッド9、C.I.ダイレクト・レッド17、C.I.ダイレクト・レッド28、C.I.ダイレクト・レッド81、C.I.ダイレクト・レッド83、C.I.ダイレクト・レッド89、C.I.ダイレクト・レッド225、C.I.ダイレクト・レッド227、 C.I.リアクティブ・レッド6などが適用できる。
シアン染料としては、任意のものを使用する事が出来る。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料などのようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料などのようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料; インジゴ・チオインジゴ染料などを挙げることができる。
例えばカラーインデックス記載のC.I.アシッド・ブルー1、C.I.アシッド・ブルー9、C.I.アシッド・ブルー15、C.I.アシッド・ブルー59、C.I.アシッド・ブルー93、C.I.アシッド・ブルー249、C.I.ダイレクト・ブルー15、C.I.ダイレクト・ブルー76、C.I.ダイレクト・ブルー86、C.I.ダイレクト・ブルー200、C.I.ダイレクト・ブルー201、C.I.ダイレクト・ブルー202、C.I.リアクティブ・ブルー2などが適用できる。
前記の各染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであっても良く、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ染料のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。カラーインデックス記載の染料としてはC.I.アシッド・ブラック2、C.I.フード・ブラック2、C.I.ダイレクト・ブラック19、C.I.ダイレクト・ブラック22、C.I.ダイレクト・ブラック32、C.I.ダイレクト・ブラック51、C.I.ダイレクト・ブラック154などが適用できる。また、イエロー、マゼンタ、シアン以外の色(例えば、赤、青、緑等)の染料も利用可能である。
本発明におけるインクとして適用できる顔料の具体例としては、オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、等が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても,後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特願2000−363090号、同2000−315231号、同2000−354380号、同2000−343944号、同2000−268952号、同2000−299465号、同2000−297365号に記載された方法を好ましく用いることができる。
以下に、本発明におけるインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15重量%が好ましく、特に3〜10重量%であることが好ましい。
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載がある。その他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント,ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加しても、カールを防止することができる。
本発明におけるインクはインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は画像形成装置の一形態としてのインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、処理液を吐出するための処理液用ヘッド(処理液付着手段に相当)11と、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色のインクを吐出するために各色に対応して設けられた複数の印字ヘッド(インク液吐出手段に相当)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、処理液用ヘッド11に供給する処理液を貯蔵しておく処理液貯蔵/装填部13と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給する色インクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、印字部12の後段に配置される溶媒吸収ローラ(溶媒吸収手段に相当)15と、記録媒体16を供給するメディア供給部18と、記録媒体16のカールを除去するデカール処理部20と、前記処理液用ヘッド11及び印字部12のノズル面(液吐出面)に対向して配置され、記録媒体16の平面性を保持しながら記録媒体16を搬送する吸着ベルト搬送部(搬送手段に相当)22と、記録済みの記録媒体16(プリント物)を外部に排出する排出部26と、を備えている。
図1は画像形成装置の一形態としてのインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示したように、このインクジェット記録装置10は、処理液を吐出するための処理液用ヘッド(処理液付着手段に相当)11と、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色のインクを吐出するために各色に対応して設けられた複数の印字ヘッド(インク液吐出手段に相当)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、処理液用ヘッド11に供給する処理液を貯蔵しておく処理液貯蔵/装填部13と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給する色インクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、印字部12の後段に配置される溶媒吸収ローラ(溶媒吸収手段に相当)15と、記録媒体16を供給するメディア供給部18と、記録媒体16のカールを除去するデカール処理部20と、前記処理液用ヘッド11及び印字部12のノズル面(液吐出面)に対向して配置され、記録媒体16の平面性を保持しながら記録媒体16を搬送する吸着ベルト搬送部(搬送手段に相当)22と、記録済みの記録媒体16(プリント物)を外部に排出する排出部26と、を備えている。
記録媒体16の供給系に関して図1では、メディア供給部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジン19が示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録媒体を利用可能な構成にした場合、記録媒体の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切な処理液及びインクの吐出を実現するように吐出制御を行うことが好ましい。
メディア供給部18から送り出される記録媒体16はマガジン19に装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録媒体16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録媒体16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録媒体16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録媒体16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図7中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の反時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録媒体16は図1の右から左へと搬送される。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。吸着の方式は、上記した吸引吸着(真空吸着)に限らず、静電吸着によるものでもよい。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
処理液用ヘッド11及び印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録媒体16の最大紙幅に対応する長さを有し(図2参照)、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズル又は処理液吐出用のノズルが配列されたフルライン型のヘッドとなっている。
図1に示したように、印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録媒体16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、印字部12の更に上流側に処理液用ヘッド11が配置されている。各ヘッド11,12K,12C,12M,12Yは、記録媒体16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
かかるヘッド配置により、印字部12で各色のインクを打滴する前に、処理液用ヘッド11によって記録媒体16の記録面(被印字面)に処理液を付着させることができる。また、吸着ベルト搬送部22により記録媒体16を搬送しつつ、処理液を付着させた記録媒体16に向けて印字ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録媒体16上にカラー画像を形成することができる。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型の処理液用ヘッド11及び印字ヘッド12K,12C,12M,12Yを設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録媒体16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録媒体16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本例では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
処理液貯蔵/装填部13は、処理液を貯蔵する処理液タンクを有し、該タンクは適宜の管路を介して処理液用ヘッド11と連通されている。処理液タンクから供給された処理液は処理液用ヘッド11から液滴として吐出される。処理液貯蔵/装填部13は、処理液の残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備える。
インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンク14K,14C,14M,14Yを有し、各タンクは不図示の管路を介して印字ヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
溶媒吸収ローラ15は、その表面が多孔質部材15Aで構成されており、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録媒体16の最大幅に対応する長さを有している。当該溶媒吸収ローラ15の回転軸15Bは、記録媒体16の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に沿って配置されている。回転軸15Bを中心に回動自在に支持された溶媒吸収ローラ15は、記録媒体16の搬送速度に合わせて、記録媒体16との相対速度が0となるように回動することができ、インクの擦れによる画像の乱れを防いでいる。
なお、溶媒吸収ローラ15は、1本の(単一の)長尺ローラ部材によって記録媒体16の全幅に対応する長さを実現してもよいし、記録媒体16の搬送方向と略直交する方向(主走査方向)に沿って複数個のローラモジュールに分割し、これらを並べて所要の長さを実現してもよい。また、記録媒体16の搬送方向に沿って複数列の溶媒吸収ローラを配置する構成も可能である。
図1には示されていないが、記録媒体16に対して溶媒吸収ローラ15を上下させるための上下機構が設けられている。後述するシステム制御系の指令に応じて上下機構を制御し、溶媒吸収ローラ15の位置(記録媒体16の記録面に直交する方向の相対位置)を調整することによって、記録媒体16との接触圧力や記録媒体16とのクリアランスを可変させることができる。複数個のローラモジュールを有する構成の場合は、各ローラモジュールについて上下位置を制御するための機構を設ける態様が好ましい。
溶媒吸収ローラ15を記録媒体16上のインクに接触させながら記録媒体16を搬送方向に移動させることで、多孔質部材15Aの毛細管力により、記録媒体16上の溶媒(色材と分離された溶媒)が溶媒吸収ローラ15に吸収される。こうして、溶媒吸収ローラ15によって余分な溶媒が除去されたインクは、色材同士の結合力が増し、記録媒体16に定着される。
本例では、溶媒を吸収除去するための手段として、多孔質部材15Aから成る溶媒吸収ローラ15を用いたが、溶媒吸収手段の形状は、ローラ状に限定されるものでなく、ベルト状であってもよい。
こうして、生成されたプリント物(印字によって生成された結果物)は排出部26から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット記録装置10では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部26A、26Bへと送るために排紙経路を切り換える不図示の選別手段が設けられている。
なお、大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列に形成する場合は、カッター(第2のカッター)38によってテスト印字の部分を切り離す。このカッター38は、排出部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。
また、図1には示さないが、本画像の排出部26Aには、オーダー別に画像を集積するソーターが設けられる。
〔印字ヘッドの構造〕
次に、印字ヘッドの構造について説明する。色別の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
〔印字ヘッドの構造〕
次に、印字ヘッドの構造について説明する。色別の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
図2(a) は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図2(b) はその一部の拡大図である。また、図3は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4は1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2中の4−4線に沿う断面図)である。
記録媒体16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図2(a),(b) に示したように、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなるインク室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体16の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録媒体16の全幅Wm に対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2(a) の構成に代えて、図3に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール50'を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成することが好ましい。ラインヘッドであると高速印字を可能とするからである。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図2(a),(b) 参照)、対角線上の両隅部にノズル51への流出口と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。なお、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図4に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(図4中不図示、図6中符号60として記載)と連通しており、インクタンク60から供給されるインクは図4の共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の一部(図4において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されている。個別電極57と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なお、アクチュエータ58には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有するインク室ユニット53を図5に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、高密度のノズル列を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録媒体16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録媒体16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録媒体16の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
処理液用ヘッド11の構造は、図示しないが、上述した印字ヘッド50と概略共通している。ただし、処理液は、記録媒体16上においてインクが打滴される領域に略一様(略均一)に付着させればよいため、インクに比べると高密度ドット形成は要求されない。したがって、処理液用ヘッド11はインク吐出用のヘッド50に比べて、ノズル数を少なく(ノズル密度を低く)した構成も可能である。また、処理液用ヘッド11のノズル径をインク吐出用の印字ヘッド50のノズル径よりも大きくする構成も可能である。
〔インク供給系の構成〕
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。すなわち、図6のインクタンク60は、図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図6はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。すなわち、図6のインクタンク60は、図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図6に示したように、インクタンク60と印字ヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下とすることが好ましい。図6には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニット(回復手段)は、不図示の移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aをキャップ64で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構により印字ヘッド50のノズル面50A(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板表面にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取る。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64(インク受けとして兼用)に向かって予備吐出が行われる。
印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(アクチュエータ58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かってアクチュエータ58を動作させ、粘度上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル板表面の汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
その一方で、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面50Aに吸引手段たるキャップ64を当接させて、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク又は増粘インク)を吸引する。かかる吸引動作によって吸引除去されたインクは回収タンク68へ送られる。回収タンク68に集められたインクは、再利用してもよいし、再利用不能な場合は廃棄してもよい。
上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きいため、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。なお、上記の吸引動作は、印字ヘッド50へのインク初期装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われる。
処理液の供給系については、図示しないが、図6で説明したインク供給系の構成と略同様である。
〔制御系の説明〕
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、溶媒吸収ローラ駆動部79、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、処理液用ヘッドドライバ83、インク用ヘッドドライバ84等を備えている。
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、溶媒吸収ローラ駆動部79、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、処理液用ヘッドドライバ83、インク用ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
ROM75には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM75は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって後乾燥部等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)を処理液用ヘッドドライバ83及びインク用ヘッドドライバ84に供給する制御部である。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。図7において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
インクジェット記録装置10では、インク(色材) による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ74に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてディザ法や誤差拡散法などのハーフトーン化技術によってインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。また、プリント制御部80は、各色のドットデータを基に処理液の打滴領域(処理液の打滴が必要な記録面の領域)を判別し、処理液打滴用のドットデータを生成する。こうして、プリント制御部80で生成されたドットデータ(処理液用及び各色用)は、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
処理液用ヘッドドライバ83は、画像バッファメモリ82に記憶された処理液打滴用のドットデータに基づき、処理液用ヘッド11の駆動制御信号を生成する。処理液用ヘッドドライバ83で生成された駆動制御信号が処理液用ヘッド11に加えられることによって、処理液用ヘッド11から処理液が吐出される。
同様に、インク用ヘッドドライバ84は、画像バッファメモリ82に記憶されたインク打滴用のドットデータに基づき、印字ヘッド50の駆動制御信号を生成する。インク用ヘッドドライバ84で生成された駆動制御信号が印字ヘッド50に加えられることによって、印字ヘッド50からインクが吐出される。なお、処理液用ヘッドドライバ83及びインク用ヘッドドライバ84には、それぞれヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
記録媒体16の搬送速度に同期して処理液用ヘッド11からの処理液の吐出、及び印字ヘッド50からのインクの吐出を制御することにより、記録媒体16に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部80における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、処理液用ヘッドドライバ83及びインク用ヘッドドライバ84を介して各ノズルからの液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
本例のインクジェット記録装置10は、更に、インク情報読取部90、処理液情報読取部92及びメディア種検出部94を備えている。インク情報読取部90は、インク種の情報を取得する手段である。具体的には、例えば、インクタンク60(図6参照)のカートリッジの形状(インク種を識別可能な特定の形状)、或いはカートリッジに組み込まれたバーコードやICチップなどからインクの識別情報や物性情報を読み取る手段を用いることができる。その他、ユーザインターフェースを利用してオペレータが必要な情報を入力してもよい。
同様に、処理液情報読取部92は、処理液の種類に関する情報を取得する手段である。具体的には、例えば、処理液タンクのカートリッジの形状(液種を識別可能な特定の形状)、或いはカートリッジに組み込まれたバーコードやICチップなどから処理液の識別情報や物性情報を読み取る手段を用いることができる。その他、ユーザインターフェースを利用してオペレータが必要な情報を入力してもよい。
メディア種検出部94は、記録媒体の種類(紙種)やサイズを検出する手段である。例えば、メディア供給部18のマガジン19に付されたバーコード等の情報(識別情報やメディア種情報など)を読み込む手段、メディア搬送路中の適当な場所に配置されたセンサ(メディア幅検出センサ、メディアの厚みを検出するセンサ、メディアの反射率を検出するセンサなど)が用いられ、これらの適宜の組み合わせも可能である。また、これら自動検出の手段に代えて、若しくはこれと併用して、所定のユーザインターフェースからの入力によって紙種やサイズ等の情報を指定する構成も可能である。
インク情報読取部90、処理液情報読取部92及びメディア種検出部94の各手段から得られた情報はシステムコントローラ72に送られ、処理液及びインクの吐出制御(吐出量や吐出タイミングの制御)等に利用され、条件に応じた適切な打滴が実行される。すなわち、システムコントローラ72は、インク情報読取部90、処理液情報読取部92及びメディア種検出部94の各手段から得られた情報に基づいて、記録媒体16の浸透速度特性を判別し、処理液を用いるか否かの判断、並びに、処理液を用いる場合にはその吐出量の制御を行う。
例えば、インクジェット記録装置10は、メディア種と浸透速度特性とを対応付けたメディア種テーブルのデータを格納した情報記憶手段(例えば、図7に示したROM75、或いは、不図示の内部メモリ又は外部メモリ)を備えており、システムコントローラ72は、このメディア種テーブルを参照して、使用する記録媒体16の浸透速度特性を判断する。
記録媒体16の浸透速度特性を把握する手段としては、メディア種検出部94からメディアのID(識別情報)を取得し、メディア種テーブルを参照して、当該メディアの浸透速度特性を把握してもよいし、マガジンに付したバーコード等の情報記録体にメディアの浸透速度特性を示す情報を記録しておき、メディア種検出部94から直接的にメディアの浸透速度特性の情報を読み込んでもよい。
或いはまた、記録媒体16の浸透速度を実際に測定する手段を用いることも可能である。例えば、記録媒体16上にインク又は処理液、若しくはこれら両方を打滴し、そのテスト打滴によって形成されるドットの様子を撮像素子などの検出手段(不図示)によって読み込み、得られた情報に基づいて浸透速度を計算することができる。
図1で説明したとおり、本例のインクジェット記録装置10では、印字部12の上流に処理液用ヘッド11を備え、印字部12によるインクの打滴前に、先行する(上流の)処理液用ヘッド11によって予め記録媒体16の印字面に処理液を1回だけ付着させる構成としている。かかる構成の場合、印字部12によるインクの打滴量の増加に伴って、次第に記録媒体16上の処理液量は減少するため、印字部12の下流側へ行くほど、記録媒体16上の処理液量は少なくなる。印字部12における最終段(最下流)の印字ヘッド(図1においてイエローのヘッド12Y)による打滴が終了するまで、記録媒体16の表面近傍に処理液が残存していることが必要となるため、記録媒体16の種類や処理液の物性、インクの吐出量、記録媒体16の搬送速度などから、所要の処理液量を確保できるように処理液用ヘッド11による処理液の打滴量が決定される。
また、図7に示したシステムコントローラ72は、記録媒体16の厚みや浸透速度特性などに応じて溶媒吸収ローラ駆動部79を制御して、溶媒吸収ローラ15の上下位置(記録媒体16への当接圧又は記録媒体16とのクリアランス量)並びに回転速度を適切に制御する。溶媒吸収ローラ駆動部79は、記録媒体16の記録面に対する溶媒吸収ローラ15の位置並びに回転速度を調節するための手段であり、溶媒吸収ローラ15を上下移動させる上下機構と、その機構を電動で駆動するための動力源となるモータ(アクチュエータ)及びドライバ、モータの駆動力を上下機構に伝達する動力伝達機構(ベルト、プーリー又はギア、若しくはこれらの適宜の組み合わせなど)、溶媒吸収ローラ15を回転させるための動力源となるモータ及びドライバ、動力伝達機構等を含んで構成される。
〔画像形成プロセスの説明〕
次に、本例のインクジェット記録装置10における画像形成プロセスについて説明する。図8はインクジェット記録装置10の印字部12周辺の要部構成を模式的に描いた拡大図である。同図では、図示を簡略化するために、処理液用ヘッド11の後段にインク用ヘッド(印字ヘッド50)を1つのみ描いているが、実際の印字部12は、図1で説明したように、4色の色別に印字ヘッド12K,12C, 12M, 12Yを備えている。
次に、本例のインクジェット記録装置10における画像形成プロセスについて説明する。図8はインクジェット記録装置10の印字部12周辺の要部構成を模式的に描いた拡大図である。同図では、図示を簡略化するために、処理液用ヘッド11の後段にインク用ヘッド(印字ヘッド50)を1つのみ描いているが、実際の印字部12は、図1で説明したように、4色の色別に印字ヘッド12K,12C, 12M, 12Yを備えている。
図8において、記録媒体16は右から左へと搬送される。画像形成のプロセスは、以下のとおりである。
(工程1)記録媒体搬送方向(図8中矢印A方向)の上流に配置された処理液用ヘッド11から処理液110を液滴として吐出し、予め記録媒体16の記録面16Aに処理液110を付着させておく。
(工程2)処理液用ヘッド11の下流に配置された印字ヘッド50からインク120を液滴として吐出し、表面に処理液110の液体分が所定量以上残存している状態に記録媒体16上にインク120を着弾させる。尚、所定量とは、所望の画像記録速度、装置及び記録媒体によって適宜変更され得るものであるが、所定量以上とは例えば、残存率が5体積%以上であり、より好ましくは10体積%以上であり、更に好ましくは40重量%以上であり、最も好ましくは90体積%以上である。
(工程3)記録媒体16表面上で処理液110とインク120が混合されることにより、アニオン性基とカチオン性基とのイオン的相互作用による会合現象に加えて、インク120の色材にある芳香族環と、処理液110の芳香族環とがπ−πスタックによる相互作用により会合現象を起こさせて凝集体を形成する。これにより、インク120中の色材が凝集して凝集物(色材凝集物)126が生成される。
(工程4)そして、図8に示したように、色材凝集物126は、記録媒体16側(下方)に沈降する。こうして、記録媒体16上のインク120の液滴(ドット)130は、沈降した色材凝集物126から成る色材層132と、溶媒134の層とに分離される。
(工程5)記録媒体16の搬送(図8中矢印A方向への搬送)に伴い、色材層132と溶媒134に分離された液滴130が溶媒吸収ローラ15の位置まで移動される。当該液滴130の溶媒134が溶媒吸収ローラ15に接触すると、多孔質部材15Aの毛細管力によって溶媒134が溶媒吸収ローラ15に吸収される。溶媒吸収ローラ15は、記録媒体16の搬送速度に合わせて、記録媒体16との相対速度が0となるように図8中矢印B方向に回転し、インクの擦れによる画像の乱れを防いでいる。また、このとき、各ドット130の周りにはポリマーの膜124が形成されているため、記録媒体16表面上で色材の移動が抑制され、溶媒吸収ローラ15への色材の付着も抑止されるため、画像の乱れなども発生しない。すなわち、溶媒吸収ローラ15による溶媒吸収時にもドット間に膜124が存在するため、この膜124がインクの移動を抑制し、溶媒吸収ローラ15とインクの接触時の画像の乱れを防ぐ役割を果たす。
なお、印字ヘッド50から吐出されたインク120の着弾時(すなわち、2液の混合時)から溶媒134が溶媒吸収ローラ15に接触するまでの時間は、2液反応による色材/溶媒の分離が完了するまでの時間よりも長くなるように、印字ヘッド50と溶媒吸収ローラ15との位置関係(着弾位置から溶媒接触位置までの距離L)及び記録媒体16の搬送速度が設定される。
(工程6)こうして、溶媒吸収ローラ15によって溶媒が除去されたインク(図8において符号138)は、色材同士の結合力が増し、記録媒体16に定着される。これにより、にじみの発生が防止されるとともに、色間ブリーディング防止、乾燥、定着の促進、コックリングの防止等の効果が得られる。
〔実施例1〕
<滲み評価>
凝集評価1:
下記表1記載のカチオン性ポリマーの3質量%の水溶液をスポイトで三菱製紙製特菱両面アートN(以下アート紙)上に2滴(約60mg)垂らし、該液体がアート紙上に染み込む前(残存率で40体積%)に、該液体上にアニオン性染料を含有するインクをスポイトで1滴(約30mg)滴下した。アニオン性染料インクはセイコーエプソン社製PM−G800用マゼンタインク(ICM32)を用いた。
<滲み評価>
凝集評価1:
下記表1記載のカチオン性ポリマーの3質量%の水溶液をスポイトで三菱製紙製特菱両面アートN(以下アート紙)上に2滴(約60mg)垂らし、該液体がアート紙上に染み込む前(残存率で40体積%)に、該液体上にアニオン性染料を含有するインクをスポイトで1滴(約30mg)滴下した。アニオン性染料インクはセイコーエプソン社製PM−G800用マゼンタインク(ICM32)を用いた。
表1におけるカチオンポリマーのうちのNo1〜No9は、カチオン性基のみを含むポリマー化合物を含有する処理液であり、No10とNo11はカチオン性基と芳香族環の両方を含むポリマー化合物を含有する処理液である。また、No10とNo11は、芳香族環として化合物1を含有させた場合であり、No12は化合物2を含有させた場合である。尚、化合物1及び化合物2は、本明細書中の一般式(1)に表される化合物との共重合体である。
そして、インク滴下直後から2秒以内の着色部の直径に対して滴下後2分後の着色部の直径を比較し、滲み評価を行った。尚、表1のNo10はカチオン性ポリマーの3質量%の水溶液をスポイトでアート紙上に2滴(約60mg)垂らし、該液体がアート紙上に完全に浸透してなくなった後に、インクを滴下した以外は同様の方法で評価を行ったものである。
◎ :着色範囲の拡大が1.1倍未満
○ :着色範囲の拡大が1.1倍以上1.2倍未満
△ :着色範囲の拡大が1.2倍以上1.5倍未満
× :着色範囲の拡大が1.5倍以上
凝集評価2:
上記凝集評価1のアニオン性染料を含有するインクに、インクに対して分子量34万のポリスチレンスルホン酸(アニオン性ポリマー)を3.3質量部追加したインクを使用する以外は上記凝集評価1と同様の方法で評価した。
○ :着色範囲の拡大が1.1倍以上1.2倍未満
△ :着色範囲の拡大が1.2倍以上1.5倍未満
× :着色範囲の拡大が1.5倍以上
凝集評価2:
上記凝集評価1のアニオン性染料を含有するインクに、インクに対して分子量34万のポリスチレンスルホン酸(アニオン性ポリマー)を3.3質量部追加したインクを使用する以外は上記凝集評価1と同様の方法で評価した。
また、No10のカチオンポリマーは、カチオン性基と芳香族環の両方を含有するカチオンポリマーであるが、処理液が紙表面からなくなった後にインクを付着させた為、凝集評価1及び2ともに×の評価であった。
これに対し、カチオン性基と芳香族環の両方を含むポリマー化合物を含有する処理液を紙面に付与し、処理液の液体分が紙面に所定量残存している状態で、処理液にインクを付着させたNo11とNo12の本実施例は、○〜◎であり顕著な滲み抑制効果が認められた。また、No11における凝集評価1と凝集評価2との比較から分かるように、インクにアニオン性ポリマーを含有させることにより滲み抑制効果が向上する。
〔実施例2〕
<インクジェット打滴、ライン評価>
処理液:3.2質量%の化合物1水溶液9.02gにグリセリン503mg、ジエチレングリコール509mg、オルフィンE1010を107mg添加し、カチオン性ポリマーを含有する処理液とした。
<インクジェット打滴、ライン評価>
処理液:3.2質量%の化合物1水溶液9.02gにグリセリン503mg、ジエチレングリコール509mg、オルフィンE1010を107mg添加し、カチオン性ポリマーを含有する処理液とした。
本発明における処理液の表面張力を協和界面科学社製CBVP−Zを用いて、白金プレート法で測定した結果、29.9mN/mであった。また、粘度をBROOKFIELD社製DV−II+ VISCOMETERで回転数50rpmで測定した結果、4.7mPa・sであった。
アニオン性染料インク:セイコーエプソン社製PM−G800用マゼンタインク(ICM32)を用いた。
印字媒体:三菱製紙製特菱両面アートNを用いた。
MicroJet社製IJET1000にてヘッドを固定し、可動式ステージの上にアート紙をのせ、1ドッドの液滴量80〜100pLに調整し、ヘッドの吐出周波数1kHz、ステージの稼動スピード100mm/s(隣接ドットの中心間距離100μm、隣接ドッドを打滴するまでの時間1ミリ秒に設定)、の条件で打滴し、ラインを作成した。
そして、処理液を打滴してから、インクを打滴するまでの時間を変え、ドッド形状の保存性(打滴干渉の評価)を比較した。尚、ドット形状の保存性はラインを作成したサンプルを光学顕微鏡で200倍に拡大し、評価を行った。
◎ :ドッド間の境目が容易に確認できる。
○ :ドッド間の境目がわずかに確認できる。
× :ドッド間の境目が確認できない。(ドットが合一している。)
尚、表2中の媒体上の処理液残存率(体積%)は、高速度カメラでの撮影による目視により求めた。
尚、表2中の媒体上の処理液残存率(体積%)は、高速度カメラでの撮影による目視により求めた。
これに対し、処理液を打滴してからインクを打滴するまでの時間が45秒と短く、媒体上の処理液の残存率が10〜30体積%であるNo3の実施例は、ドット形状の保存が良く○の評価であり、隣接ドッドとの打滴干渉を回避していることが分かる。更に、処理液を打滴してからインクを打滴するまでの時間が1秒と極めて短く、媒体上の処理液の残存率が90〜100体積%と多いNo1の実施例は、ドット形状の保存性評価が◎で極めて良い結果であった。即ち、処理液が媒体表面上からなくなる前にインクを打滴することにより打滴干渉が回避でき、処理液の残存率が10体積%以上でインクを打滴することが好ましいことが分かる。
また、ライン幅の評価から、媒体上の処理液の残存率が0体積%と少ないNo4の比較例ではライン幅が320μmであるのに対し、媒体上に処理液が残存している間にインクを打滴したものは、シャープなラインを描けることが分かる。即ち、処理液が媒体表面上からなくなる前にインクを打滴することによりシャープなラインを描くことができ、処理液の残存率が10体積%以上でインクを打滴することが好ましいことが分かる。
10…インクジェット記録装置、11…処理液用ヘッド、12K,12M,12C,12Y…印字ヘッド、15…溶媒吸収ローラ、15A,15E…多孔質部材、16…記録媒体、33…搬送ベルト、110…処理液、120…インク、124…膜、126…色材凝集物、134…溶媒
Claims (14)
- 記録媒体上にカチオン性基と芳香族環の両方を含むポリマー化合物を含有する処理液を付与し、前記処理液の液体分が前記記録媒体表面に所定量以上残存している状態で、前記処理液にアニオン性色材を含むインクによって画像を形成することを特徴とする画像記録方法。
- 前記処理液が前記記録媒体表面に残存している残存率が、10体積%以上であることを特徴とする請求項1記載の画像記録方法。
- 前記処理液のポリマー化合物が水溶性ポリマーであることを特徴とする請求項1または2のうちの何れか1項に記載の画像記録方法。
- 前記インクのアニオン性色材が水溶性染料であることを特徴とする請求項1〜3のうちの何れか1項に記載の画像記録方法。
- 前記インクにアニオン性ポリマーを含有すること特徴とする請求項1〜4のうちの何れか1項に記載の画像記録方法。
- 前記処理液のポリマー化合物のカチオン性基数/芳香族環基数が0.1以上10以下であることを特徴とする請求項1〜5うちの何れか1項に記載の画像記録方法。
- 前記処理液のポリマー化合物の芳香族環が芳香族炭素水素環であることを特徴とする請求項1〜6のうちの何れか1項に記載の画像記録方法。
- 前記処理液のポリマー化合物の分子量が10万以下であることを特徴とする請求項1〜7のうちの何れか1項に記載の画像記録方法。
- 前記画像記録方法がインクジェット記録方法であることを特徴とする請求項1〜9のうちの何れかの画像記録方法。
- 前記インクを打滴しドットを形成した際に、当該ドットと隣接するドットとの着弾時間の差が1秒以下であることを特徴とする請求項10記載の画像記録方法。
- 前記インクジェット記録方法のインクの打滴ヘッドがラインヘッドであることを特徴とする請求項10または11の何れか1項に記載の画像記録方法。
- 前記記録媒体がコート紙またはアート紙であることを特徴とする請求項1〜12のうちの何れか1項に記載の画像記録方法。
- 記録媒体上にカチオン性基と芳香族環の両方を含むポリマー化合物を含有する処理液を付与する第1の手段と、
前記処理液の液体分が前記記録媒体表面に所定量残存している状態で、前記処理液にアニオン性色材を含むインクを付着させる第2の手段と、を備えて画像を形成することを特徴とする画像記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005089560A JP2006264269A (ja) | 2005-03-25 | 2005-03-25 | 画像記録方法及び装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009226781A (ja) * | 2008-03-24 | 2009-10-08 | Fujifilm Corp | インクジェット画像の形成方法 |
JP2019214208A (ja) * | 2014-09-19 | 2019-12-19 | セイコーエプソン株式会社 | 記録方法 |
-
2005
- 2005-03-25 JP JP2005089560A patent/JP2006264269A/ja active Pending
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