JP2007130854A - 処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置 - Google Patents

処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007130854A
JP2007130854A JP2005325377A JP2005325377A JP2007130854A JP 2007130854 A JP2007130854 A JP 2007130854A JP 2005325377 A JP2005325377 A JP 2005325377A JP 2005325377 A JP2005325377 A JP 2005325377A JP 2007130854 A JP2007130854 A JP 2007130854A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid
head
ink
maintenance
treatment liquid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005325377A
Other languages
English (en)
Inventor
Terukazu Yanagi
輝一 柳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Corp
Original Assignee
Fujifilm Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fujifilm Corp filed Critical Fujifilm Corp
Priority to JP2005325377A priority Critical patent/JP2007130854A/ja
Publication of JP2007130854A publication Critical patent/JP2007130854A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)

Abstract

【課題】
本発明は、処理液の吐出ヘッド用メンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置に係り、特に、長期的に良好な印字を得るために処理液の吐出安定性を可能にするための処理液のヘッド用メンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置に関する。
【解決手段】
色材を含むインクと、前記インクを凝集可能であると共に色材を有しない処理液と、を記録媒体上に付着させる画像形成手段における処理液用ヘッドメンテナンス液であって、前記処理液用ヘッドメンテナンス液は、有機溶剤、界面活性剤、無機塩、水を少なくとも含むことを特徴とし、処理液ヘッドを長期間しない時は処理液ヘッド中の処理液を前記処理液用メンテナンスで置換することによって処理液用ヘッドの劣化を防ぎ、画像形成装置の長期安定稼動を可能にする。
【選択図】 図1

Description

本発明は、処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置に係り、特に、長期的に良好な印字を得るために処理液の吐出ヘッドの劣化を防ぐことにより処理液の吐出安定性を可能にするための処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置に関する。
近年のインクジェット記録技術の急速な進歩により印刷分野への展開も検討されるようになってきた。現在のインクジェットプリンティング技術は銀塩写真に匹敵する高画質で高精細な画像を形成することが可能になったが、印刷分野への応用を考えた場合、高速プリントと印刷装置の長期安定稼動が課題となる。
特に、高速プリントにおいては現在のインクジェット記録方法の主流であるシャトル方式はドットを打滴した後にその隣接ドットを打滴するまでに、先に打滴したインクを染み込ませる時間を稼ぎ、隣接ドットとのドットの合一(以後、打滴干渉と呼ぶ)を防げるが、プリント時間が長くかかることが問題であり、高速化が困難であるといった問題点があった。
それに対し、高速化が可能なページ幅1パス方式は隣接ドットを打つまでの時間が非常に短くプリントの高速化には比較的有利であるが、打滴干渉が起こり易く、画質の低下が起こってしまうという問題点がある。従って、ページ幅1パス方式で、高速・高画質を実現するためには打滴干渉の回避が課題であった。
そこで、インクと接触したときにインクと凝集物を形成する処理液を記録媒体に打滴あるいは塗布することで打滴緩衝を回避する全角液反応技術が提案されるようになってきた(特許文献1)。
ところで、従来のインクジェット記録装置は、インクヘッドの汚れ、インク詰まりをインク自身を使って洗浄する方式が主流であった。しかしながら、長期にわたって、多数の印刷をすることを前提とした印刷装置に2液反応技術を適応する場合には、インクあるいは、処理液自体を長期にわたってヘッド内部に充填しておくことはヘッドの寿命の点からも好ましくない。
特許文献1では、2液のいずれか一方に少なくとも含まれる微粒子を含有する凝集物が液吐出部に付着して目詰まりを起こした場合、前記凝集物を再分散することによって効果的に目詰まりを回復させることができる洗浄液が記載されている。
特開2004−115553号公報
しかしながら、特許文献1に挙げられるように従来のメンテナンス液は、ヘッドに付着したインク凝集物を洗浄するためのメンテナンス液であって、ヘッド内部の洗浄することはまったく意図されておらず、特許文献1の使用方法ではヘッドの寿命を延ばす効果はない。特に、反応性を有する処理液を長期間ヘッド内部に充填しておくことはヘッドの寿命を著しく低下させるため問題がある。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、処理液用ヘッドを長期間使用しない場合であっても前記処理液用ヘッドの劣化を防ぎ、寿命を長くすることができる処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置を提供することを目的とする。
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、色材を含むインクと、前記インクを凝集可能であると共に色材を有しない処理液と、を記録媒体上に付着させる画像形成装置における処理液用ヘッドメンテナンス液であって、 前記メンテナンス液は、有機溶剤、界面活性剤、無機塩、水を少なくとも含むことを特徴とする処理液用ヘッドメンテナンス液を提供する。
請求項1によれば、前記処理液用ヘッドメンテナンス液は、有機溶剤、界面活性剤、無機塩、水を少なくとも含むことにより、緩衝機能を有している。処理液のヘッド中に存在する処理液は反応性を有しており、処理液用ヘッドを劣化させ易いが、緩衝機能を有したメンテナンス液を用いて処理液用ヘッド内部のpH調整を行うメンテナンスにより、前記処理液による処理液用ヘッドの劣化を防ぐことができる。
請求項2は請求項1において、前記処理液用ヘッドメンテナンスのpHが6〜9であることを特徴とする。
請求項2によれば、緩衝機能を有した処理液用ヘッドメンテナンス液は処理液用ヘッドの劣化の原因にならない中性付近のpHに調整され、メンテナンスにより処理液用ヘッド内部を中性付近に維持できるので、長期間使用しない場合でも、処理液用ヘッドの劣化を防止できる。なお、前記処理液用ヘッドメンテナンス液のpHが6〜8であることがより好ましい。
請求項3は請求項1又は2において、前記処理液のpHが1〜6であることを特徴とする。
請求項3によれば、インクを酸性の処理液と接触させて、インクの酸性度(pH)を変化させることにより、凝集反応させるようにした。このように、インクが凝集物を生じるため、打滴干渉を抑制することができる。なお、処理液のpHは、1〜6の範囲であることが好ましく、2〜5の範囲であることがより好ましく、3〜5の範囲であることがさらに好ましい。このように処理液は酸性であることが好ましいため、長期間ヘッド中に充填しておくことは、処理液用ヘッドの劣化を招くことになる。処理液による劣化を防ぐために、使用しないときは処理液のpHを中性付近に調整できるメンテナンス液で処理液用ヘッド内部を充填することにより、画像形成装置の長期安定稼動が可能となる。
請求項4は請求項1〜3のいずれか1において、前記処理液がカルボン酸を有する化合物を少なくとも含むことを特徴とする。
これは処理液の好ましい成分を規定したものであり、カルボン酸を含むことが好ましい。しかし、カルボン酸により処理液が酸性を呈することで処理液用ヘッドの劣化の原因になるが、メンテナンス液で処理液用ヘッドの内部を充填することにより、画像形成装置の長期安定稼働が可能となる。
請求項5は請求項1〜4のいずれか1において、前記処理液が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする。
一般式(1)
Figure 2007130854
請求項5によれば、処理液として上記化合物を含有することで処理液の性能を向上できるからである。
請求項6は請求項1〜5のいずれか1において、前記有機溶剤はアルコール類またはグリコール誘導体であると共に前記処理液用ヘッドメンテナンス液中に3〜50質量%含有することを特徴とする。
請求項6によれば、有機溶剤は、乾燥防止や湿潤促進などの目的で使用される。有機溶剤はメンテナンス液に含まれる水が蒸発し無機塩が析出することによる目詰まりを防止する。なお、有機溶剤の添加量は5〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることがさらに好ましい。
請求項7は請求項1〜6のいずれか1において、前記界面活性剤はノニオン界面活性剤であると共に前記処理液用ヘッドメンテナンス液中に0.001〜5質量%含有することを特徴とする。
請求項7によれば、界面活性剤は部材との濡れ性の向上などの目的に使用される。界面活性剤をメンテナンス液中に0.001〜5質量%含有することにより、部材とメンテナンス液のぬれ性を良化させ、液の吸入及び排出をスムーズに行うことができる。なお、界面活性剤の添加量は0.01〜3質量%であることがより好ましく、0.1〜2質量%であることがさらに好ましい。
請求項8は請求項1〜7のいずれか1において、前記無機塩は水溶液中でpH緩衝機能を有するものであって、前記処理液用ヘッドメンテナンス液中に0.1〜10質量%含有することを特徴とする。
請求項8によれば、メンテナンス液に無機塩を0.1〜10質量%含有することにより、前記メンテナンス液はpH調整機能を有し、処理液用ヘッドを前記メンテナンス液で充填させることにより、反応性の高い処理液によるヘッドの劣化及び劣化による目詰まりを防止することができる。なお、無機塩の添加量は0.1〜8質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。
請求項9は請求項1〜8のいずれか1において、前記無機塩は前記処理液のpHを2以上変化させることを特徴とする。
請求項9によれば、劣化の原因となる反応性を有する処理液を前記無機塩を含んだ緩衝液で置換することによって処理液用ヘッドが劣化しない程度のpHに調整することができ、処理液用ヘッドの劣化を防ぐことができる。
請求項10は請求項1〜9のいずれか1において、前記インクが顔料インクであることを特徴とする。
請求項10によれば、インクの色材が顔料であることによって、色材が凝集・沈降を起こしやすくなり、インクの凝集成分と記録媒体の付着性を向上することができる。顔料を用いた場合、インクと接触したときにインクと凝集物を形成する処理液を記録媒体に打滴あるいは塗布することで打滴緩衝を回避する2液反応技術が有効であるが、2液のどちらか一方が反応性を有する液であることが多く、処理液用ヘッド内部に長期に充填しておくことは該処理液用ヘッドの劣化に繋がる。したがって、処理液用ヘッドの劣化を防ぎ、安定な吐出性を可能にするためにメンテナンス液を使用することは特に有効である。
請求項11は請求項10において、前記顔料の粒径が10〜100nmであることを特徴とする。
請求項11によれば、顔料の粒径が10nm以上100nm以下がよいのは、10nmより小さいと耐光性が著しく低下してしまい、100nmより大きいと色再現性が劣ってしまうからである。このように、顔料の粒径が10nm以上100nm以下であることによって、耐光性の良い、彩度の高い高精細な画像を得ることができる。
請求項12は請求項1〜11のいずれか1において、前記インク中に、分子量が2000以下の低分子分散剤を含むことを特徴とする。
請求項12によれば、高分子分散剤ではなく低分子分散剤を用いて顔料を分散させる構成としたので、高濃度なインクを低粘度化でき、顔料の分散性、吐出安定性に優れたインクを得ることができる。なお、低分子分散剤の分子量は、100〜2000がより好ましく、200〜2000がさらに好ましい。
請求項13は請求項12において、前記低分子分散剤の化学構造が、カルボン酸基又はこの塩を含むことを特徴とする。
請求項13によれば、低分子分散剤のpKaが3以上の範囲を満たすため、打滴干渉を抑制し、高速プリントが可能となる。また、カルボン酸基を含む低分子分散剤は、合成、製造が容易であるため、低コストでインクを提供することができる。
請求項14は請求項12又は13において、前記前記低分子分散剤が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする。
一般式(2)
Figure 2007130854
請求項15は請求項12〜14のいずれか1において、前記インク中にさらにポリマー微粒子を含み、ポリマーのガラス転移温度Tgが30℃以上であることを特徴とする。
請求項15によれば、インクにポリマー微粒子を添加する構成としたので、インクの記録媒体に対する定着性、耐擦性、及び耐水性を確保することができる。また、ポリマー微粒子のガラス転移温度Tgが30℃未満の場合、室温でポリマー微粒子同士が軟化するため、癒着又は製膜し、インクジェット用ヘッド内で粗大な異物を形成する。このため、ヘッド目詰まりを起こし、インクの吐出安定性が損なわれる。そのため、室温(約30℃以下)以上のガラス転移温度Tgを有するポリマー微粒子を用いるので、室温においてもインクを良好に吐出することができる。
本発明の請求項16は前記目的を達成するために、請求項1〜15のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液を使用する画像形成装置を提供する。
請求項16は、本発明の処理液用ヘッドメンテナンス液を用いた画像形成装置として構成したものである。請求項16によれば、処理液用ヘッドを長期間使用しない場合、前記処理液用ヘッド内部に残留している反応性を有する処理液をメンテナンス液で置換しておくことにより前記処理液用ヘッドの劣化を防ぎヘッドの寿命を長くすることができる。
本発明の請求項17は前記目的を達成するために、色材を含むインクと、前記インクを凝集可能であると共に色材を有しない処理液と、を記録媒体上に付着させる画像形成装置において、前記処理液を貯蔵する処理液貯蔵/装填部と、前記処理液貯蔵/装填部から処理液用ヘッドに処理液を送液する処理液用送液ラインと、前記処理液用ヘッドをメンテナンスするメンテナンス液を貯蔵するメンテナンス液貯蔵/装填部と、前記メンテナンス液貯蔵/装填部に貯蔵されたメンテナンス液を前記処理液用ヘッドに送液するメンテナンス液送液ラインと、前記処理液用送液ラインと前記メンテナンス液用送液ラインを切り換える切換手段と、排出された前記処理液用ヘッド中のメンテナンス液をメンテナンス液貯蔵/装填部に送液するメンテナンス液リサイクルラインと、を備えたことを特徴とする画像形成装置を提供する。
請求項17によれば、処理液を供給する処理液貯蔵/装填部は処理液用送液ラインを介して処理液用ヘッドと連通しているとともに、メンテナンス液を貯蔵するメンテナンス液貯蔵/装填部はメンテナンス液送液ラインを介して処理液用ヘッドと連通している。処理液用送液ラインとメンテナンス液送液ラインとは、切換手段により切換可能である。これにより、切換手段を制御することにより、2液どちらか一方が処理液用ヘッドに供給される。さらに、処理液用ヘッドに供給されたメンテナンス液が処理液用ヘッドから排出され廃棄され、該メンテナンス液がメンテナンス液貯蔵/装填部に送液され再利用するためのメンテナンス液リサイクルラインが備わっている。
請求項18は請求項17において、 前記メンテナンス液は、請求項1〜15のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液であることを特徴とする。
請求項1〜15のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液を使用することで、画像形成装置の長期安定稼動が可能となるからである。
請求項19は請求項16〜18のいずれか1において、前記画像形成手段がページ幅1パス方式であることを特徴とする。
請求項19のように、ページ幅1パス方式の画像形成装置は、高速化に適しているからである。
本発明の請求項20は前記目的を達成するために、色材を含むインクと、前記インクを凝集可能であると共に色材を含まない処理液と、を記録媒体上に付着させて画像を形成する画像形成装置のメンテナンス方法において、前記処理液を吐出する処理液用ヘッドを使用しないときは、前記処理液用ヘッドに残留する処理液を排出すると共に該処理液用ヘッド内に前記処理液に対して緩衝機能を有するメンテナンス液を供給して前記処理液と置き換え、前記画像形成装置を再稼動するときには、前記処理液用ヘッド内のメンテナンス液を排出すると共に前記処理液用ヘッド内に処理液を供給することを特徴とする画像形成装置のメンテナンス方法を提供する。
請求項20によれば、処理液用ヘッドを使用しない時は、前記処理液用ヘッド内部に残留している処理液が排出され、メンテナンス液が前記処理液用ヘッドへ供給される。画像形成装置の再稼動に伴い、前記メンテナンス液は排出され、処理液が前記処理液用ヘッドに供給される。これにより、処理液用ヘッドを使用しない時に、処理液用ヘッドが劣化することがないので、画像形成装置の長期安定稼動が可能となる。なお、排出された前記メンテナンス液は廃棄されてもよいが、メンテナンス液貯蔵/装填部に送液され再利用されてもよい。なお、ここでいう「処理液用ヘッドを使用しない時」というのは特に時間的限定はしないが、24時間程度の休止時間を目安とし、より好ましくは12時間、さらに好ましくは6時間とする。
請求項21は請求項20において、 前記メンテナンス液は、請求項1〜15のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液であることを特徴とする。
請求項1〜15のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液を使用することで、画像形成装置の長期安定稼動が可能となるからである。
本発明に係る処理液用ヘッドメンテナンス液によれば、処理液用ヘッドの劣化を防ぎ、ヘッドの寿命を長くさせることができるため長期的に良好な印字を得ることが可能である。したがって、本発明の処理液用ヘッドメンテナンス液を用いてメンテナンスすることによって、長期安定化稼動の画像形成装置を提供することができる。
まず、本発明の処理液用ヘッドメンテナンス液について、詳細に説明する。
[メンテナンス液]
処理液用ヘッドメンテナンス液は有機溶剤、界面活性剤、無機塩、水を少なくとも含む。
(有機溶剤)
本実施の形態に用いられる有機溶剤は、乾燥防止や湿潤促進などの目的で使用され、メンテナンス液に含まれる無機塩が析出し、乾燥することによる目詰まりを防止する。使用する有機溶剤としては水溶性のものが好ましく、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。好ましくは、多価アルコール類であるエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリンとグリコール誘導体であるジエチレングリコールモノブチルエーテルとする。
(界面活性剤)
本実施の形態に用いられる表面張力調整剤は、部材との濡れ性の向上などの目的に使用される。使用される表面張力調整剤としてはカチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤のどれでもよく好ましくはノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤が挙げられる。より好ましくはノニオン界面活性剤が使用される。
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)、オルフィン(日信化学)も好ましく用いられる。
(無機塩)
本実施の形態に用いられる無機塩は、処理液に対して緩衝機能を有するものであって、この無機塩を含むメンテナンス液に処理液が混合されてもメンテナンス液のpH変化が小さいものであればよい。具体的な例としては、塩化カリウム、フタル酸水素カリウム、リン酸二水素カリウム、ホウ酸、クエン酸ナトリウム、クエン酸二水素カリウム、四ホウ酸ナトリウム、コハク酸、クエン酸カリウム、グリシン、塩酸、水酸化ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、炭酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸ナトリウム、塩化アンモニウム、アンモニウム、ジエチルバルビツル水素ナトリウム、酢酸ナトリウム、N,N-ジエチルグリシンナトリウム塩、リン酸三ナトリウム、トリメチルピリジン塩酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)を組み合わせとして緩衝液を調整することができる。具体的な組み合わせとしては、塩化カリウム/塩酸、フタル酸水素カリウム/塩酸、フタル酸水素カリウム/水酸化ナトリウム、リン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム、ホウ酸+塩化カリウム/水酸化ナトリウム、グリシン+塩化ナトリウム/塩酸、グリシン+塩化ナトリウム/水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム/塩酸、クエン酸ナトリウム/水酸化ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム/塩酸、四ホウ酸ナトリウム/水酸化ナトリウム、リン酸二水素カリウム/リン酸水素二ナトリウム、クエン酸カリウム/クエン酸、クエン酸二水素カリウム/塩酸、クエン酸二水素カリウム/水酸化ナトリウム、コハク酸/四ホウ酸ナトリウム、クエン酸二水素カリウム/四ホウ酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム/四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸ナトリウム/炭酸ナトリウム、塩酸/炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム/水酸化ナトリウム、酒石酸/酒石酸ナトリウム、乳酸/乳酸ナトリウム、酢酸/酢酸ナトリウム、リン酸二水素カリウム/リン酸水素二ナトリウム、塩化アンモニウム/アンモニウム、ジエチルバルビツル水素ナトリウム+酢酸ナトリウム/塩酸、ジエチルバルビツル水素ナトリウム/塩酸、N,N-ジエチルグリシンナトリウム塩/塩酸、リン酸水素二ナトリウム/クエン酸、クエン酸+リン酸二水素カリウム+ホウ酸+ジエチルバルビツル水素ナトリウム/リン酸三ナトリウム、ホウ酸+クエン酸/リン酸三ナトリウム、トリメチルピリジン塩酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)/塩酸、2−アミノ−2−メチル−1,3プロパンジオール/塩酸、Tris/塩酸、HEPES緩衝液が挙げられる。
次に、処理液について、詳細に説明する。
[処理液]
本実施の形態に用いられる処理液は、主に、印刷におけるインクの滲みを抑制して、高速プリントを可能にする目的で、インクとセットで用いられる。
本実施の形態に用いられる処理液は、インクのpHを変化させることにより凝集物を生じさせる処理液が好ましい。このとき、処理液のpHは1〜6であることが好ましく、pHは2〜5であることがより好ましく、pHは3〜5であることがさらに好ましい。また、処理液を酸性にするために一般式(1)で表される化合物を処理液に添加される。その化合物として、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が上げられる。
また、上記の化合物としては、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくはこれらの化合物誘導体、又は、これらの塩であることが好ましい。なお、これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
また、上記の化合物に代えて、凝集剤が処理液に添加されてもよい。このような凝集剤としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、および、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
また、本実施の形態に用いられる処理液は、色材(有機顔料等)が溶解及び/又は分散されているインクを凝集させるものであれば、上述のものに制限されない。処理液の具体的な例としては、インクのpHを変化させることにより凝集させる処理液(例えば 特開平7−1837号、特開2004−359841号記載の処理液)、インクに無機塩を添加し凝集させる処理液(例えば、特開平5−202328号、特開平5−208548号、特開平9−29950号記載の処理液)、荷電を持つインクの色材と逆の荷電を持つ化合物とアニオン・カチオンとで反応させ凝集させる処理液(例えば、特登2667401号、特登3466756号、特開平8−174997号、特開2001−199151号記載の処理液)、インクの溶剤組成を変化させることにより凝集させる処理液などが挙げられる。
また、処理液は本発明の効果を害しない範囲内でその他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ、前述のインクに含まれるその他の添加剤(項目5)参照)の具体的な例に示したものが適用できる。また、処理液に、水溶性ポリマーまたは下述の[インクの構成]に記載のポリマー微粒子を含有させることにより、インクセット全体におけるポリマー微粒子の含有量を増加することができる。
次に、上述の処理液と接触させるインクについて、詳細に説明する。
[インクの構成]
本実施の形態に用いられるインクは色材、水溶性有機溶剤、水、分散剤で構成されており、より好ましくはポリマー微粒子もインク中に含まれる。
(色材)
色材は染料及び顔料でもよいが、好ましくは顔料を用いる。
本発明のインクジェット記録用染料インクの例としては以下を挙げることができる。
イエロー染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロン類、ピリドン類、開鎖型活性メチレン化合物類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物類を有するアゾメチン染料;例えばベンジリデン染料やモノメチンオキソノール染料等のようなメチン染料;例えばナフトキノン染料、アントラキノン染料等のようなキノン系染料などがあり、これ以外の染料種としてはキノフタロン染料、ニトロ・ニトロソ染料、アクリジン染料、アクリジノン染料等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエローを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
マゼンタ染料としては、例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料;例えばカップリング成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料;例えばアリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料、オキソノール染料のようなメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン系染料、例えばジオキサジン染料等のような縮合多環系色素等を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてマゼンタを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
シアン染料としては、例えばインドアニリン染料、インドフェノール染料のようなアゾメチン染料;シアニン染料、オキソノール染料、メロシアニン染料のようなポリメチン染料;ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料のようなカルボニウム染料;フタロシアニン染料;アントラキノン染料;例えばカップリング成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類を有するアリールもしくはヘテリルアゾ染料、インジゴ・チオインジゴ染料を挙げることができる。これらの染料は、クロモフォアの一部が解離して初めてシアンを呈するものであってもよく、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
ブラック染料としては下記一般式(A)〜(F)で記載される染料等が挙げられる。
(一般式A)
Figure 2007130854
式中、Z1は、置換基を有するフェニル基またはナフチル基を表す。置換基の例としては炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基、ホスホノ基、カルボキシ基、スルホ基、またはスルホフェニルアゾ基が挙げられる。これらは、さらに置換されていても良い。Z2は、置換基を有していても良いフェニレン基またはナフチレン基を表す。置換基の例としては炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基を表す。これらは、さらに置換されていても良い。Z3は水素原子、または置換されていてもよいフェニル基を表す。M1はH、Li、Na、K、NH4、または有機アミン類を表す。U1は0〜1の整数を表す。
(一般式B)
Figure 2007130854
式中、Z4は、置換基を有するフェニル基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基が挙げられる。Z5は置換基を有していても良いフェニレン基を表す。置換基の例としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基が挙げられる。これらは、さらに置換されていても良い。Z6は−CO−、または次式を表す。
Figure 2007130854
式中、Z7はヒドロキシル基、置換基を有するアミノ基を表す。
(一般式C)
Figure 2007130854
式中、Z8は置換基を有するフェニル基またはナフチル基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基が挙げられる。Z9は置換基を有していても良いフェニレン基を表す。置換基の例としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ヒドロキシル基が挙げられる。これらは、さらに置換されていても良い。Z10は水素原子または次式を表す。
Figure 2007130854
式中、Z11、Z12は各々独立に、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルチオ基、炭素数1〜4のアルキルアミノ基を表す。これらは、さらに置換されていても良い。
(一般式D)
Figure 2007130854
式中、Z13は置換基を有するフェニル基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、ニトロ基が挙げられる。Z14は置換基を有していても良いフェニレン基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。Z5は置換基を有する含窒素5員複素環から誘導される一価の基を表す。M2はH、Li、Na、K、NH4、または有機アミン類を表す。
(一般式E)
Figure 2007130854
式中Z16は、置換基を有するフェニル基またはナフチル基を表す。置換基の例としては、カルボキシ基、スルホ基、ホスホノ基が挙げられる。Z17は置換基を有する炭素数1〜4のアルキル基を表す。M3は2価の金属イオンを表す。M4はH、Li、Na、K、NH4、または有機アミン類を表す。
前記一般式(A)〜(E)で表される染料の具体例を以下に示すが、併用可能な色素は下記に限定されるものではない。
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
(一般式F)
Figure 2007130854
A1及びXはそれぞれ独立に置換もしくは無置換の脂肪族基、芳香族基または複素環基を表す。X1は窒素原子またはHammetの置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基が置換した炭素原子を表す。G、R1及びR2はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、シアノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アシル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、シリルオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、複素環オキシカルボニルオキシ基、無置換のアミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、複素環アミノ基、アシルアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、アルキルスルホニルアミノ基、アリールスルホニルアミノ基、複素環スルホニルアミノ基、ニトロ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、複素環スルフィニル基、スルファモイル基、またはスルホ基を表し、各基はさらに置換されていてもよい。R3、R4はそれぞれ独立に、水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素環基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、カルボモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、スルファモイル基を表し、各基はさらに置換されていてもよい。但し、R3、R4が同時に水素原子であることはない。またR1とR2、R2とR3、あるいはR3とR4が結合して環を形成していてもよい。
また、直接染料、酸性染料、食用染料、塩基性染料、反応性染料等の水溶性染料を併用することもできる。なかでも好ましいものとしては、
C.I. ダイレクトレッド2、4、9、23、26、31、39、62、63、72、75、76、79、80、81、83、84、89、92、95、111、173、184、207、211、212、214、218、21、223、224、225、226、227、232、233、240、241、242、243、247
C.I. ダイレクトバイオレット7、9、47、48、51、66、90、93、94、95、98、100、101
C.I. ダイレクトイエロー8、9、11、12、27、28、29、33、35、39、41、44、50、53、58、59、68、86、87、93、95、96、98、100、106、108、109、110、130、132、142、144、161、163
C.I. ダイレクトブルー1、10、15、22、25、55、67、68、71、76、77、78、80、84、86、87、90、98、106、108、109、151、156、158、159、160、168、189、192、193、194、199、200、201、202、203、207、211、213、214、218、225、229、236、237、244、248、249、251、252、264、270、280、288、289、291
C.I. ダイレクトブラック9、17、19、22、32、51、56、62、69、77、80、91、94、97、108、112、113、114、117、118、121、122、125、132、146、154、166、168、173、199
C.I. アシッドレッド35、42、52、57、62、80、82、111、114、118、119、127、128、131、143、151、154、158、249、254、257、261、263、266、289、299、301、305、336、337、361、396、397
C.I. アシッドバイオレット5、34、43、47、48、90、103、126
C.I. アシッドイエロー17、19、23、25、39、40、42、44、49、50、61、64、76、79、110、127、135、143、151、159、169、174、190、195、196、197、199、218、219、222、227
C.I. アシッドブルー9、25、40、41、62、72、76、78、80、82、92、106、112、113、120、127:1、129、138、143、175、181、205、207、220、221、230、232、247、258、260、264、271、277、278、279、280、288、290、326
C.I. アシッドブラック7、24、29、48、52:1、172
C.I. リアクティブレッド3、13、17、19、21、22、23、24、29、35、37、40、41、43、45、49、55
C.I. リアクティブバイオレット1、3、4、5、6、7、8、9、16、17、22、23、24、26、27、33、34
C.I. リアクティブイエロー2、3、13、14、15、17、18、23、24、25、26、27、29、35、37、41、42
C.I. リアクティブブルー2、3、5、8、10、13、14、15、17、18、19、21、25、26、27、28、29、38
C.I. リアクティブブラック4、5、8、14、21、23、26、31、32、34
C.I. ベーシックレッド12、13、14、15、18、22、23、24、25、27、29、35、36、38、39、45、46
C.I. ベーシックバイオレット1、2、3、7、10、15、16、20、21、25、27、28、35、37、39、40、48
C.I. ベーシックイエロー1、2、4、11、13、14、15、19、21、23、24、25、28、29、32、36、39、40
C.I. ベーシックブルー1、3、5、7、9、22、26、41、45、46、47、54、57、60、62、65、66、69、71
C.I. ベーシックブラック8、等が挙げられる。
本発明のインクジェット記録用顔料インクの例としては以下を挙げることができる。
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、米国特許4311775記載のシロキサン架橋アルミニウムフタロシアニン、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
また、顔料の平均粒径は、透明性・色再現性の観点からは小さいほどよいが、耐光性の観点からは大きい方が好ましい。これらを両立する平均粒子径としては、10〜200nmが好ましく、10〜150nmがより好ましく、10〜100nmがさらに好ましい。また、顔料の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ顔料を、2種以上混合して使用してもよい。
また、顔料の添加量は、インクに対して、1〜25質量%であることが好ましく、2〜20質量%がより好ましく、5〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%が特に好ましい。
(分散剤)
本発明のインクジェット用顔料インクは、顔料を分散させる目的で高分子または低分子分散剤を含有する。なお、顔料が分散機能を持つ自己分散顔料を使用してもかまわない。
高分子分散剤とは、水溶性または自己水分散性高分子を言い、疎水性の顔料粒子表面と水性媒体との界面張力を低下させて、顔料粒子に分散性を付与するために用いられる。このような高分子としては、例えばビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ロジン変性樹脂等が挙げられるが、インクジェット用顔料インクに用いる高分子分散剤としては分散性や耐擦性が優れるビニル系共重合体、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂が好ましく、より好ましくはビニル系共重合体である。
ビニル系共重合体としては、親水性のモノマーと疎水性のモノマーとの共重合体が好ましく、親水性部と疎水性部からなるブロック共重合体やグラフト共重合体であることが更に好ましい。親水性モノマーとしては、アニオン性モノマー、カチオン性モノマー、ノニオン性モノマーから少なくとも1つ選ばれるが、アニオン性モノマーとノニオン性モノマーとの組み合わせ、あるいはカチオン性モノマーとノニオン性モノマーとの組み合わせであっても良い。
アニオン性モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸等の不飽和カルボン酸モノマー、スチレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸モノマー、あるいは不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
カチオン性モノマーとしては、N,N―ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の3級アミノ基含有モノマー、(トリメチルアンモニウム)エチル(メタ)アクリレート等の4級アンモニウム基含有モノマー等が挙げられる。
ノニオン性モノマーとしては、メトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート(例えば新中村化学(株)製、商品名:NK−エステルM−90G)、末端水酸基ポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート(例えば日本乳化剤(株)製、商品名:MA−100)、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート(例えば日本油脂(株)製、商品名:ブレンマーPP−500)等のポリアルキレングリコール基含有モノマーが挙げられる。
疎水性モノマーとしては、アクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類、スチレン等のスチレン系モノマー、スチレン系マクロマー(例えば東亜合成(株)製、商品名:AS−6)が挙げられる。
本発明に用いる高分子分散剤としては、pH変化による凝集反応性を付与するために不飽和カルボン酸モノマーを有することが好ましく、不飽和カルボン酸モノマー、ノニオン性モノマー、及び疎水性モノマーの共重合体が好適に用いられる。
高分子分散剤の好ましい添加量は顔料に対して1〜300質量%であり、より好ましくは10〜200質量%であり、特に好ましくは20〜150質量%である。
分散剤は高分子分散剤でも低分子分散剤でもかまわないが、好ましくは低分子分散剤を使用する。
本実施の形態に用いられる低分子分散剤は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させる目的で、添加されるものである。本実施の形態に用いられる低分子分散剤は、分子量2000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
本実施の形態において、低分子分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。また、親水性基と疎水性基は、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。また、親水性基と疎水性基を連結するための連結基も適宜有することができる。
親水性基はアニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等である。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよいが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基またはカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよいが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素またはリンのカチオン性基であることがより好ましい。また、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることがさらに好ましい。
ノニオン性基は、ポリエチレンオキシドやポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
本実施の形態において、親水性基はアニオン性基であることが好ましい。アニオン性基は、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、pKaが3以上であることが好ましい。低分子分散剤のpKaが3以上であれば、理論上、pH3程度の処理液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。この観点からも、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等の構造を有するが、特に、炭化水素系であることが好ましい。また、これらの疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また疎水性基は、1本鎖状構造、又はこれ以上の鎖状構造でも
よく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
また、低分子分散剤の添加量については、顔料を水溶媒に均一に分散させ、かつ、インクを安定に吐出させることができる範囲が好ましく、低分子分散剤の質量Bの有機顔料の質量Cに対する質量比B/Cが、0.0001〜1が好ましく、0.0001〜0.5がより好ましく、0.0001〜0.2がさらに好ましい。また、インクの粘度は、1〜30mPa・sの範囲が好ましく、1〜20mPa・sの範囲がより好ましく、2〜15mPa・sの範囲がさらに好ましく、2〜10mPa・sの範囲が特に好ましい。
本実施の形態に好適に用いられる低分子分散剤の具体的な例としては、下記一般式(2)、(3)、(4)で挙げる化合物が挙げられるが、本発明は、以下の具体例に限定されるものではない。また、後述するように、一般式(2)〜(4)の低分子分散剤の中でも、一般式(3)、(4)で表される低分子分散剤が好ましく、一般式(3)で表される低分子分散剤がより好ましい。
一般式(2)
Figure 2007130854
一般式(2)において、Rは置換基を表わし、RおよびRはそれぞれ水素原子又は置換基を表わす。但し、R、R、及びRの炭素数の和は13以上であり、16以上であることが好ましい。Mは、水素原子又は一価のカチオンを表わす。Lは、単結合又は二価の連結基を表すが、二価の連結基としては、アミド基、スルホンアミド基、エステル基、エーテル基、又はスルフィド基であることが好ましく、アミド基であることがより好ましい。
なお、上述の置換基は、以下の置換基(以下、置換基Tと称する)を適用することができる。置換基Tの具体的な例としては、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。これらはアルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、s−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ラウリル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)を含む〕、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−ドデシルフェニル、ナフチル、p−ヘキサデシロキシフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5員もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、ピリジル)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、4−n−ドデシロキシフェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾールー5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えばアセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えばN,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくはアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ〔アニリノ〕基、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えばカルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えばメトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えばフェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えばスルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えばメチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えばフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えばN−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えばメチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル、t-ブチルスルホニル、s-ブチルスルホニル、フェニルスルホニル、ピリジルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えばアセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えばフェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えばカルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、イミド基(好ましくはN−スクシンイミド、N−フタルイミド)が挙げられる。
また、一般式(2)において、Rは、置換基を表すが、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
は、水素原子または置換基を表すが、好ましくは置換基であり、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、カルバモイル基であることがより好ましい。また、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基であることがさらに好ましく、アリールオキシ基であることが特に好ましい。
は、水素原子又は置換基を表すが、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
Mは、水素原子又は一価のカチオンを表わし、一価のカチオンとは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、アンモニウム、第四級アンモニウム、イミダゾリウム、スルホニウム、ホスホニウム、ヨードニウム等が挙げられる。一価のカチオンとしては、水素原子、一価のアルカリ金属原子、又は第四級アンモニウムが好ましく、水素原子、リチウム、ナトリウム、又はカリウムがより好ましい。
また、R〜Rの何れかに、ヘテロ元素が一以上含まれることがさらに好ましい。
一般式(2)の好ましい様態の一つとしては、例えば、R、R、R、n、L、Mがアルキル基、アリールオキシ基、水素原子、1、単結合、水素原子である組み合わせが挙げられる。
また、一般式(2)に表される分子量2000以下の低分子分散剤の好ましい例として、以下の化合物(2−1)〜(2−27)が挙げられる。
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
また、表1のR、R、R群より選択される置換基を含む化合物も、好適に用いることができる。
Figure 2007130854


Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
また、一般式(2)のLが、アミド基である一般式(3)及び(4)で表されることが好ましい。
一般式(3)
Figure 2007130854
一般式(4)
Figure 2007130854
一般式(3)又は(4)において、Rは置換基を表し、R、RおよびRはそれぞれ水素原子または置換基を表わす。nは0〜6の整数を表す。Mは水素原子または一価のカチオンを表し、前述のMと同様である。但し、R〜Rはスルホン酸基を有することはなく、これらの炭素数の合計は13以上(好ましくは140以下)である。ここで、置換基は、前述の置換基Tを適用することができる。
また、一般式(3)及び(4)において、Rは置換基を表すが、好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基であり、更に好ましくはアルキル基であり、炭素数12以上のアルキル基が最も好ましい。
は、水素原子または置換基を表すが、置換基はアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数4以下のアルキル基がさらに好ましい。Rとしては、特に、水素原子またはメチル基が好ましい。
およびRは、水素原子または置換基を表すが、水素原子又はアルキル基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
〜Rの炭素数の合計は、13〜140が好ましく、15〜100がより好ましい。
一般式(3)又は(4)の好ましい態様の一つは、例えば、R、R、R、R、n、Mが、それぞれアルキル基、メチル基、水素原子、水素原子、2、水素原子である組み合わせが挙げられる。
また、一般式(3)及び(4)に表される分子量2000以下の低分子分散剤の好ましい例として、以下の化合物(3−1)〜(3−8)、及び化合物(4−1)〜(4−6)が挙げられる。
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
Figure 2007130854
以上の化合物(2−1)〜(2−27)、(3−1)〜(3−7)、及び化合物(4−1)〜(4−6)の分子量を、表2に示す。
Figure 2007130854
(ポリマー微粒子)
ポリマー微粒子はあってもなくてもよいが、含有しているほうが好ましい。
本実施の形態に用いられるポリマー微粒子は、主に、インクの記録媒体への定着性及び塗布面の耐擦性を向上させることを目的として、インクに添加されるものである。このようなポリマー微粒子は、ポリマーラテックスとして水および、含水有機溶媒に分散されているものが好ましい。
本実施の形態に用いられるポリマーラテックスとしては、スチレン系ラテックス、アクリル系ラテックス、酢酸ビニル系ラテックス等種々のラテックスを用いることができ、特に、スチレン系ラテックスが好ましい。スチレン系ラテックスとしては、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合のラテックスが好ましく、アート紙やコート紙に塗工されているスチレン−ブタジエン共重合体がより好ましい。
スチレン−ブタジエン共重合体における、スチレンモノマー単位とブタジエンモノマー単位との質量比は、20:80〜95:5であることが好ましく、30:70〜80:20であることがより好ましく、30:70〜55:45であることがさらに好ましい。
また、スチレンモノマー単位及びブタジエンモノマー単位の、共重合体全体に占める割合は、60〜99質量%であることが好ましい。
また、本実施の形態に用いられるポリマーラッテクスは、スチレン、ブタジエン以外のモノマーを共重合したものでもよく、共重合モノマーとしては共重合可能なモノマーであればいずれでもよく、置換基を有するスチレン(置換基としては後述の置換基Tが適用できる)アクリル酸、メタクリル酸およびそれらのエステル、アミド、などが挙げられる。
このようなポリマーラテックスとしては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸であることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド2−メチルプロパンスルホン酸であることがより好ましく、アクリル酸、メタクリル酸であることがさらに好ましい。
また、アクリル酸又はメタクリル酸を、スチレンとブタジエンとの和に対して、1〜6質量%含有することが好ましく、2〜5質量%含有することがより好ましい。なお、これらのポリマーラテックスは、アクリル酸を含有することが好ましい。
本実施の形態に好適に用いられるスチレン−ブタジエン−アクリル酸共重合体のラテックスとしては、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C(大日本インキ化学工業製)、Nipol Lx416、Nipol Lx433C,Nipol2507H(日本ゼオン製)、ナルスターSBR(日本エイアンドエル製)等が挙げられる。
また、スチレンは、置換基を有するスチレンでも良く、置換基としては前述の置換基Tを適用することができる。
インクに対して、ポリマー微粒子の添加量が多い場合、定着性、耐擦性の改良効果は大きいが、この反面、インクの粘度が上昇する。したがって、ポリマー微粒子の添加量は、インクに対して、0.5〜20質量%が好ましく、1〜20質量%がより好ましく、3〜20質量%がさらに好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
したがって、ポリマー微粒子の添加量を、これ以上に多くする必要がある場合、処理液にもポリマー微粒子を含有させることが好ましい。処理液に対するポリマー微粒子の好ましい含有量は、インクの場合と同様である。
また、本実施の形態に用いられるポリマー微粒子のガラス転移温度Tgは、下記の式を用いて算出した。
[数1]
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここで、ポリマー微粒子は、i=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただし、Σはi=1からnまでの和とする。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.Immergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を参考にして、スチレンは100°C、ブタジエンは−85°Cとして算出した。したがって、構成するモノマーの種類は同じでも、これらのモノマーの組成比を変えることにより、Tgを制御することができる。
本実施の形態に用いられるポリマー微粒子のガラス転移温度Tgは、インクの保存安定性の観点から、室温以上、すなわち30℃以上であることが好ましい。また、ガラス転移温度Tgは、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。ガラス転移温度Tgが高いことによって、印字サンプルのべたつき等の弊害が考えられるが、印字後に加熱することで、ガラス転移温度Tgが高いポリマー微粒子でも、べたつき等の弊害を低減することは可能である。
また、ポリマー微粒子の平均粒径は、10nm〜1μmの範囲が好ましく、10〜500nmの範囲がより好ましく、20〜200nmの範囲が更に好ましく、50〜200nmの範囲が特に好ましい。また、ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つポリマー微粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
(水溶性有機溶媒)
本実施の形態に用いられる水溶性有機溶媒は、乾燥防止や湿潤促進などの目的で、使用される。また、乾燥防止剤は、インクジェット記録方式におけるノズルのインク噴射口において好適に使用され、インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する。
乾燥防止剤は、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒であることが好ましい。乾燥防止剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。このうち、乾燥防止剤は、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、上記の乾燥防止剤は単独で用いても、2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤は、インク中に、10〜50質量%含有されることが好ましい。
また、浸透促進剤は、インクを記録媒体(印刷用紙)により良く浸透させる目的で、好適に使用される。浸透促進剤の具体的な例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を好適に用いることができる。これらの浸透促進剤は、インク組成物中に、5〜30質量%含有されることで、充分な効果を発揮する。また、浸透促進剤は、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲内で、使用されることが好ましい。
また、水溶性有機溶媒は、上記以外にも、粘度の調整にも用いられる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶媒の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。なお、水溶性有機溶媒は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。
(その他の添加剤)
本実施の形態に用いられるその他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合は、インクに直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合は、染料分散物の調製後、分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00重量%使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6〜10となるように添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
本実施の形態に用いられる表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、インクの表面張力を20〜60mN/mに調整する添加量が好ましく、20〜45mN/mに調整する添加量がより好ましく、25〜40mN/mに調整する添加量がさらに好ましい。
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、これら表面張力調整剤は、消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等、も使用することができる。
[インクジェット記録方式]
以下に、本発明に係るインクセットを用いて、インクジェットプリントをする場合に用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/m2が望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。さらに支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本実施の形態では、支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け染料(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本実施の形態においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に、媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15重量%が好ましく、特に3〜10重量%であることが好ましい。
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載がある。その他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
また、記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加しても、カールを防止することができる。
本発明に係るインク及びインクセットは、インクジェットの記録方式に制限されることはなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図1は画像形成装置の一形態としてのインクジェット記録装置の全体構成図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10は、処理液を吐出するための処理液用ヘッド(処理液付着手段に相当)11と、黒(K),シアン(C),マゼンタ(M),イエロー(Y)の各色のインクを吐出するために各色に対応して設けられた複数の印字ヘッド(インク液吐出手段に相当)12K,12C,12M,12Yを有する印字部12と、処理液用ヘッド11に供給する処理液を貯蔵しておく処理液貯蔵/装填部13と、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに供給する色インクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部14と、処理液ヘッド11に供給するメンテナンス液を貯蔵しておくメンテナンス液貯蔵/装填部17と、印字部12の後段に配置される溶媒吸収ローラ(溶媒吸収手段に相当)15と、記録媒体16を供給するメディア供給部18と、記録媒体16のカールを除去するデカール処理部20と、前記処理液用ヘッド11及び印字部12のノズル面(液吐出面)に対向して配置され、記録媒体16の平面性を保持しながら記録媒体16を搬送する吸着ベルト搬送部(搬送手段に相当)22と、記録済みの記録媒体16(プリント物)を外部に排出する排出部26と、を備えている。
記録媒体16の供給系に関して図1では、メディア供給部18の一例としてロール紙(連続用紙)のマガジン19が示されているが、紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンを併設してもよい。また、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給してもよい。
複数種類の記録媒体を利用可能な構成にした場合、記録媒体の種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切な処理液及びインクの吐出を実現するように吐出制御を行うことが好ましい。
メディア供給部18から送り出される記録媒体16はマガジン19に装填されていたことによる巻きクセが残り、カールする。このカールを除去するために、デカール処理部20においてマガジンの巻きクセ方向と逆方向に加熱ドラム30で記録媒体16に熱を与える。このとき、多少印字面が外側に弱いカールとなるように加熱温度を制御するとより好ましい。
ロール紙を使用する装置構成の場合、図1のように、裁断用のカッター(第1のカッター)28が設けられており、該カッター28によってロール紙は所望のサイズにカットされる。なお、カット紙を使用する場合には、カッター28は不要である。
デカール処理後、カットされた記録媒体16は、吸着ベルト搬送部22へと送られる。吸着ベルト搬送部22は、ローラ31、32間に無端状のベルト33が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部12のノズル面に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録媒体16の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引穴(不図示)が形成されている。ローラ31、32間に掛け渡されたベルト33の内側において印字部12のノズル面に対向する位置には吸着チャンバ34が設けられており、この吸着チャンバ34をファン35で吸引して負圧にすることによって記録媒体16がベルト33上に吸着保持される。
ベルト33が巻かれているローラ31、32の少なくとも一方にモータ(図7中符号88)の動力が伝達されることにより、ベルト33は図1上の反時計回り方向に駆動され、ベルト33上に保持された記録媒体16は図1の右から左へと搬送される。
なお、吸着ベルト搬送部22に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので、画像が滲み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。吸着の方式は、上記した吸引吸着(真空吸着)に限らず、静電吸着によるものでもよい。
縁無しプリント等を印字するとベルト33上にもインクが付着するので、ベルト33の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部36が設けられている。ベルト清掃部36の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
処理液用ヘッド11及び印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録媒体16の最大紙幅に対応する長さを有し(図2参照)、そのノズル面には最大サイズの記録媒体の少なくとも一辺を超える長さ(描画可能範囲の全幅)にわたりインク吐出用のノズル又は処理液吐出用のノズルが配列されたフルライン型のヘッドとなっている。
図1に示したように、印字ヘッド12K,12C,12M,12Yは、記録媒体16の送り方向に沿って上流側から黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の色順に配置され、印字部12の更に上流側に処理液用ヘッド11が配置されている。各ヘッド11,12K,12C,12M,12Yは、記録媒体16の搬送方向と略直交する方向に沿って延在するように固定設置される。
かかるヘッド配置により、印字部12で各色のインクを打滴する前に、処理液用ヘッド11によって記録媒体16の記録面(被印字面)に処理液を付着させることができる。また、吸着ベルト搬送部22により記録媒体16を搬送しつつ、処理液を付着させた記録媒体16に向けて印字ヘッド12K,12C,12M,12Yからそれぞれ異色のインクを吐出することにより記録媒体16上にカラー画像を形成することができる。このとき、記録媒体16上にあらかじめ打滴された処理液と、その後、記録媒体16上に打滴されたインクと、が記録媒体16上で反応し、凝集物を生成する。
このように、紙幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型の処理液用ヘッド11及び印字ヘッド12K,12C,12M,12Yを設ける構成によれば、紙送り方向(副走査方向)について記録媒体16と印字部12を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(すなわち1回の副走査で)、記録媒体16の全面に画像を記録することができる。これにより、記録ヘッドが紙搬送方向と直交する方向に往復動作するシャトル型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、生産性を向上させることができる。
本実施の形態では、KCMYの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについてはこれに限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出する印字ヘッドを追加する構成も可能である。また、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
処理液貯蔵/装填部13は、処理液を貯蔵する処理液タンク13を有しており、処理液タンクは適宜の管路13Aを介して処理液用ヘッド11と連通している。処理液タンクから供給された処理液は処理液用ヘッド11から液滴として吐出される。処理液貯蔵/装填部13は、処理液の残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備える。
メンテナンス液貯蔵/装填部17は、メンテナンス液を貯蔵するメンテナンス液タンク17を有しており、メンテナンス液タンク17は処理液タンク13と処理液用ヘッド11を連通する管路13Aから分岐した管路17Aを介して処理液用ヘッド11と連通している。該分岐点には管路13Aと17Aとの切換手段21を有しており、処理液用ヘッド11を使用しない時は、処理液用ヘッド11中に充填されていた処理液が排出され、管路13Aが管路17Aに切換わることによりメンテナンス液タンクからメンテナンス液が処理液用ヘッド11へ供給される。インクジェット装置の再稼動に伴い、処理液用ヘッド11中のメンテナンス液は排出され、処理液がメンテナンス液処理液タンク13から処理液用ヘッド11に供給される。メンテナンス液貯蔵/装填部17は、メンテナンス液の残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備える。
インク貯蔵/装填部14は、各印字ヘッド12K,12C,12M,12Yに対応する色のインクを貯蔵するインクタンク14K,14C,14M,14Yを有し、各タンクは不図示の管路を介して印字ヘッド12K,12C,12M,12Yと連通されている。また、インク貯蔵/装填部14は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。
溶媒吸収ローラ15は、その表面が多孔質部材15Aで構成されており、当該インクジェット記録装置10が対象とする記録媒体16の最大幅に対応する長さを有している。当該溶媒吸収ローラ15の回転軸15Bは、記録媒体16の搬送方向と直交する方向(主走査方向)に沿って配置されている。回転軸15Bを中心に回動自在に支持された溶媒吸収ローラ15は、記録媒体16の搬送速度に合わせて、記録媒体16との相対速度が0となるように回動することができ、インクの擦れによる画像の乱れを防いでいる。
なお、溶媒吸収ローラ15は、1本の(単一の)長尺ローラ部材によって記録媒体16の全幅に対応する長さを実現してもよいし、記録媒体16の搬送方向と略直交する方向(主走査方向)に沿って複数個のローラモジュールに分割し、これらを並べて所要の長さを実現してもよい。また、記録媒体16の搬送方向に沿って複数列の溶媒吸収ローラを配置する構成も可能である。
図1には示されていないが、記録媒体16に対して溶媒吸収ローラ15を上下させるための上下機構が設けられている。後述するシステム制御系の指令に応じて上下機構を制御し、溶媒吸収ローラ15の位置(記録媒体16の記録面に直交する方向の相対位置)を調整することによって、記録媒体16との接触圧力や記録媒体16とのクリアランスを可変させることができる。複数個のローラモジュールを有する構成の場合は、各ローラモジュールについて上下位置を制御するための機構を設ける態様が好ましい。
溶媒吸収ローラ15を記録媒体16上のインクに接触させながら記録媒体16を搬送方向に移動させることで、多孔質部材15Aの毛細管力により、記録媒体16上の溶媒(色材と分離された溶媒)が溶媒吸収ローラ15に吸収される。こうして、溶媒吸収ローラ15によって余分な溶媒が除去されたインクは、色材同士の結合力が増し、記録媒体16に定着される。
Aこのカッター38は、排出部26の直前に設けられており、画像余白部にテスト印字を行った場合に本画像とテスト印字部を切断するためのものである。
〔印字ヘッドの構造〕
次に、印字ヘッドの構造について説明する。色別の印字ヘッド12K,12C,12M,12Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によって印字ヘッドを示すものとする。
図2(a)は印字ヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図2(b)は、その一部の拡大図である。また、図3は印字ヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図4は1つの液滴吐出素子(1つのノズル51に対応したインク室ユニット)の立体的構成を示す断面図(図2中の4−4線に沿う断面図)である。
記録媒体16上に印字されるドットピッチを高密度化するためには、印字ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例の印字ヘッド50は、図2(a)、(b)に示したように、インク滴の吐出口であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなるインク室ユニット(液滴吐出素子)53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
記録媒体16の送り方向(矢印S方向;副走査方向)と略直交する方向(矢印M方向;主走査方向)に記録媒体16の全幅Wmに対応する長さ以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図2(a)の構成に代えて、図3に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドモジュール50'を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで記録媒体16の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成することが好ましい。ラインヘッドであると高速印字を可能とするからである。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており(図2(a)、(b)参照)、対角線上の両隅部にノズル51への流出口と供給インクの流入口(供給口)54が設けられている。なお、圧力室52の形状は、本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図4に示したように、各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインクタンク(図4中不図示、図6中符号60として記載)と連通しており、インクタンク60から供給されるインクは図4の共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の一部(図4において天面)を構成している加圧板(共通電極と兼用される振動板)56には個別電極57を備えたアクチュエータ58が接合されている。個別電極57と共通電極間に駆動電圧を印加することによってアクチュエータ58が変形して圧力室52の容積が変化し、これに伴う圧力変化によりノズル51からインクが吐出される。なお、アクチュエータ58には、チタン酸ジルコン酸鉛やチタン酸バリウムなどの圧電体を用いた圧電素子が好適に用いられる。インク吐出後、アクチュエータ58の変位が元に戻る際に、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
かかる構造を有するインク室ユニット53を図5に示す如く主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向とに沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、高密度のノズル列を実現することが可能になる。
なお、印字可能幅の全幅に対応した長さのノズル列を有するフルラインヘッドで、ノズルを駆動する時には、(1)全ノズルを同時に駆動する、(2)ノズルを片方から他方に向かって順次駆動する、(3)ノズルをブロックに分割して、ブロックごとに片方から他方に向かって順次駆動する等が行われ、用紙の幅方向(用紙の搬送方向と直交する方向)に1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)を印字するようなノズルの駆動を主走査と定義する。
特に、図5に示すようなマトリクス状に配置されたノズル51を駆動する場合は、上記(3)のような主走査が好ましい。すなわち、ノズル51-11 、51-12 、51-13 、51-14 、51-15 、51-16 を1つのブロックとし(他にはノズル51-21 、…、51-26 を1つのブロック、ノズル51-31 、…、51-36 を1つのブロック、…として)、記録媒体16の搬送速度に応じてノズル51-11 、51-12 、…、51-16 を順次駆動することで記録媒体16の幅方向に1ラインを印字する。
一方、上述したフルラインヘッドと用紙とを相対移動することによって、上述した主走査で形成された1ライン(1列のドットによるライン又は複数列のドットから成るライン)の印字を繰り返し行うことを副走査と定義する。
そして、上述の主走査によって記録される1ライン(或いは帯状領域の長手方向)の示す方向を主走査方向といい、上述の副走査を行う方向を副走査方向という。すなわち、本実施形態では、記録媒体16の搬送方向が副走査方向であり、それに直交する方向が主走査方向ということになる。
本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されない。また、本実施形態では、ピエゾ素子(圧電素子)に代表されるアクチュエータ58の変形によってインク滴を飛ばす方式が採用されているが、本発明の実施に際して、インクを吐出させる方式は特に限定されず、ピエゾジェット方式に代えて、ヒータなどの発熱体によってインクを加熱して気泡を発生させ、その圧力でインク滴を飛ばすサーマルジェット方式など、各種方式を適用できる。
処理液用ヘッド11の構造は、図示しないが、上述した印字ヘッド50と概略共通している。ただし、処理液は、記録媒体16上においてインクが打滴される領域に略一様(略均一)に付着させればよいため、インクに比べると高密度ドット形成は要求されない。したがって、処理液用ヘッド11はインク吐出用のヘッド50に比べて、ノズル数を少なく(ノズル密度を低く)した構成も可能である。また、処理液用ヘッド11のノズル径をインク吐出用の印字ヘッド50のノズル径よりも大きくする構成も可能である。
〔インク供給系の構成〕
図6(A)は、インクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。インクタンク60は印字ヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部14に設置される。すなわち、図6(A)のインクタンク60は、図1のインク貯蔵/装填部14と等価のものである。インクタンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に、不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図6(A)に示したように、インクタンク60と印字ヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下とすることが好ましい。図6(A)には示さないが、印字ヘッド50の近傍又は印字ヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ノズル面50Aの清掃手段としてのクリーニングブレード66とが設けられている。これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニット(回復手段)は、不図示の移動機構によって印字ヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置から印字ヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によって印字ヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、印字ヘッド50に密着させることにより、ノズル面50Aをキャップ64で覆う。
クリーニングブレード66は、ゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構により印字ヘッド50のノズル面50A(ノズル板表面)に摺動可能である。ノズル板表面にインク液滴又は異物が付着した場合、クリーニングブレード66をノズル板に摺動させることでノズル板表面を拭き取る。
印字中又は待機中において、特定のノズルの使用頻度が低くなり、ノズル近傍のインク粘度が上昇した場合、その劣化インクを排出すべくキャップ64(インク受けとして兼用)に向かって予備吐出が行われる。
印字ヘッド50は、ある時間以上吐出しない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してノズル近傍のインクの粘度が高くなってしまい、吐出駆動用のアクチュエータ58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなる。したがって、この様な状態になる手前で(アクチュエータ58の動作によってインク吐出が可能な粘度の範囲内で)、インク受けに向かってアクチュエータ58を動作させ、粘度上昇したノズル近傍のインクを吐出させる「予備吐出」が行われる。また、ノズル面50Aの清掃手段として設けられているクリーニングブレード66等のワイパーによってノズル板表面の汚れを清掃した後に、このワイパー摺擦動作によってノズル51内に異物が混入するのを防止するためにも予備吐出が行われる。なお、予備吐出は、「空吐出」、「パージ」、「唾吐き」などと呼ばれる場合もある。
その一方で、ノズル51や圧力室52に気泡が混入したり、ノズル51内のインクの粘度上昇があるレベルを超えたりすると、上記予備吐出ではインクを吐出できなくなる。このような場合、印字ヘッド50のノズル面50Aに吸引手段たるキャップ64を当接させて、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク又は増粘インク)を吸引する。かかる吸引動作によって吸引除去されたインクは回収タンク68へ送られる。回収タンク68に集められたインクは、再利用してもよいし、再利用不能な場合は廃棄してもよい。
上記の吸引動作は、圧力室52内のインク全体に対して行われるためインク消費量が大きいため、粘度上昇が少ない場合はなるべく予備吐出を行うことが好ましい。なお、上記の吸引動作は、印字ヘッド50へのインク初期装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも行われる。
〔メンテナンス液供給系の構成〕
図6(B)は、インクジェット記録装置10におけるメンテナンス供給系の構成を示した概要図である。図6(B)のインク供給系の構成とほぼ同様であるが、図1で説明した処理液貯蔵/装填部13と等価である処理液タンク63及びメンテナンス液貯蔵/装填部17と等価であるメンテナンス液タンク61が配置されており、処理液タンク63とメンテナンス液タンク61とを処理液ヘッド11に連結させる管路を切換える切換え部65が備わっている。また、メンテナンス液を回収する回収タンク68Aが配置されており、回収されたメンテナンス液は廃棄されても、メンテナンス液リサイクルライン69を介してメンテナンス液タンクに送液され再利用されてもよい。本記載では処理液を回収する回収タンクは省略したが、処理液を前記回収タンクで回収し、再利用してもよいし、再利用不能な場合は破棄してもよい。また、メンテナンス液供給系と同様な構成で、前記回収タンクを処理液タンク63に連結させる処理液用リサイクルラインを配置し、回収した処理液を前記処理液用リサイクルラインを介して処理液タンク63に送液し、再利用する手段を備えていてもよい。尚、符号64Aは処理液ヘッド11のキャップであり、符号67Aは処理液ヘッド11の吸引ポンプである。
〔制御系の説明〕
図7はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、画像メモリ74、ROM75、モータドライバ76、ヒータドライバ78、溶媒吸収ローラ駆動部79、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、処理液用ヘッドドライバ83、インク用ヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB、IEEE1394、イーサネット、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦画像メモリ74に記憶される。画像メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。画像メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、画像メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、画像メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
ROM75には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、ROM75は、書き換え不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書き換え可能な記憶手段であってもよい。画像メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示に従ってモータ88を駆動するドライバ(駆動回路)である。ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示にしたがって、乾燥部、加熱部17等のヒータ89を駆動するドライバである。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、画像メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)を処理液用ヘッドドライバ83及びインク用ヘッドドライバ84に供給する制御部である。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。図7において画像バッファメモリ82はプリント制御部80に付随する態様で示されているが、画像メモリ74と兼用することも可能である。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
画像入力から印字出力までの処理の流れを概説すると、印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、画像メモリ74に蓄えられる。この段階では、例えば、RGBの画像データが画像メモリ74に記憶される。
インクジェット記録装置10では、インク(色材)による微細なドットの打滴密度やドットサイズを変えることによって、人の目に疑似的な連続階調の画像を形成するため、入力されたデジタル画像の階調(画像の濃淡)をできるだけ忠実に再現するようなドットパターンに変換する必要がある。そのため、画像メモリ74に蓄えられた元画像(RGB)のデータは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてディザ法や誤差拡散法などのハーフトーン化技術によってインク色ごとのドットデータに変換される。
すなわち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをK,C,M,Yの4色のドットデータに変換する処理を行う。また、プリント制御部80は、各色のドットデータを基に処理液の打滴領域(処理液の打滴が必要な記録面の領域)を判別し、処理液打滴用のドットデータを生成する。こうして、プリント制御部80で生成されたドットデータ(処理液用及び各色用)は、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
処理液用ヘッドドライバ83は、画像バッファメモリ82に記憶された処理液打滴用のドットデータに基づき、処理液用ヘッド11の駆動制御信号を生成する。処理液用ヘッドドライバ83で生成された駆動制御信号が処理液用ヘッド11に加えられることによって、処理液用ヘッド11から処理液が吐出される。
同様に、インク用ヘッドドライバ84は、画像バッファメモリ82に記憶されたインク打滴用のドットデータに基づき、印字ヘッド50の駆動制御信号を生成する。インク用ヘッドドライバ84で生成された駆動制御信号が印字ヘッド50に加えられることによって、印字ヘッド50からインクが吐出される。なお、処理液用ヘッドドライバ83及びインク用ヘッドドライバ84には、それぞれヘッドの駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
記録媒体16の搬送速度に同期して処理液用ヘッド11からの処理液の吐出、及び印字ヘッド50からのインクの吐出を制御することにより、記録媒体16に画像が形成される。
上記のように、プリント制御部80における所要の信号処理を経て生成されたドットデータに基づき、処理液用ヘッドドライバ83及びインク用ヘッドドライバ84を介して各ノズルからの液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
本例のインクジェット記録装置10は、更に、インク情報読取部90、処理液情報読取部92及びメディア種検出部94を備えている。インク情報読取部90は、インク種の情報を取得する手段である。具体的には、例えば、インクタンク60(図6参照)のカートリッジの形状(インク種を識別可能な特定の形状)、或いはカートリッジに組み込まれたバーコードやICチップなどからインクの識別情報や物性情報を読み取る手段を用いることができる。その他、ユーザインターフェースを利用してオペレータが必要な情報を入力してもよい。
同様に、処理液情報読取部92は、処理液の種類に関する情報を取得する手段である。具体的には、例えば、処理液タンクのカートリッジの形状(液種を識別可能な特定の形状)、或いはカートリッジに組み込まれたバーコードやICチップなどから処理液の識別情報や物性情報を読み取る手段を用いることができる。その他、ユーザインターフェースを利用してオペレータが必要な情報を入力してもよい。
メディア種検出部94は、記録媒体の種類(紙種)やサイズを検出する手段である。例えば、メディア供給部18のマガジン19に付されたバーコード等の情報(識別情報やメディア種情報など)を読み込む手段、メディア搬送路中の適当な場所に配置されたセンサ(メディア幅検出センサ、メディアの厚みを検出するセンサ、メディアの反射率を検出するセンサなど)が用いられ、これらの適宜の組み合わせも可能である。また、これら自動検出の手段に代えて、若しくはこれと併用して、所定のユーザインターフェースからの入力によって紙種やサイズ等の情報を指定する構成も可能である。
インク情報読取部90、処理液情報読取部92及びメディア種検出部94の各手段から得られた情報はシステムコントローラ72に送られ、処理液及びインクの吐出制御(吐出量や吐出タイミングの制御)等に利用され、条件に応じた適切な打滴が実行される。すなわち、システムコントローラ72は、インク情報読取部90、処理液情報読取部92及びメディア種検出部94の各手段から得られた情報に基づいて、記録媒体16の浸透速度特性を判別し、処理液を用いるか否かの判断、並びに、処理液を用いる場合にはその吐出量の制御を行う。
例えば、インクジェット記録装置10は、メディア種と浸透速度特性とを対応付けたメディア種テーブルのデータを格納した情報記憶手段(例えば、図7に示したROM75、或いは、不図示の内部メモリ又は外部メモリ)を備えており、システムコントローラ72は、このメディア種テーブルを参照して、使用する記録媒体16の浸透速度特性を判断する。
記録媒体16の浸透速度特性を把握する手段としては、メディア種検出部94からメディアのID(識別情報)を取得し、メディア種テーブルを参照して、当該メディアの浸透速度特性を把握してもよいし、マガジンに付したバーコード等の情報記録体にメディアの浸透速度特性を示す情報を記録しておき、メディア種検出部94から直接的にメディアの浸透速度特性の情報を読み込んでもよい。
或いはまた、記録媒体16の浸透速度を実際に測定する手段を用いることも可能である。例えば、記録媒体16上にインク又は処理液、若しくはこれら両方を打滴し、そのテスト打滴によって形成されるドットの様子を撮像素子などの検出手段(不図示)によって読み込み、得られた情報に基づいて浸透速度を計算することができる。
図1で説明したとおり、本例のインクジェット記録装置10では、印字部12の上流に処理液用ヘッド11を備え、印字部12によるインクの打滴前に、先行する(上流の)処理液用ヘッド11によって予め記録媒体16の印字面に処理液を1回だけ付着させる構成としている。かかる構成の場合、印字部12によるインクの打滴量の増加に伴って、次第に記録媒体16上の処理液量は減少するため、印字部12の下流側へ行くほど、記録媒体16上の処理液量は少なくなる。印字部12における最終段(最下流)の印字ヘッド(図1においてイエローのヘッド12Y)による打滴が終了するまで、記録媒体16の表面近傍に処理液が残存していることが必要となるため、記録媒体16の種類や処理液の物性、インクの吐出量、記録媒体16の搬送速度などから、所要の処理液量を確保できるように処理液用ヘッド11による処理液の打滴量が決定される。
また、図7に示したシステムコントローラ72は、記録媒体16の厚みや浸透速度特性などに応じて溶媒吸収ローラ駆動部79を制御して、溶媒吸収ローラ15の上下位置(記録媒体16への当接圧又は記録媒体16とのクリアランス量)並びに回転速度を適切に制御する。溶媒吸収ローラ駆動部79は、記録媒体16の記録面に対する溶媒吸収ローラ15の位置並びに回転速度を調節するための手段であり、溶媒吸収ローラ15を上下移動させる上下機構と、その機構を電動で駆動するための動力源となるモータ(アクチュエータ)及びドライバ、モータの駆動力を上下機構に伝達する動力伝達機構(ベルト、プーリー又はギア、若しくはこれらの適宜の組み合わせなど)、溶媒吸収ローラ15を回転させるための動力源となるモータ及びドライバ、動力伝達機構、記録媒体16上に生成した凝集物を加熱乾燥する加熱部17のヒータドライバ等を含んで構成される。
〔画像形成プロセスの説明〕
次に、本例のインクジェット記録装置10における画像形成プロセスについて説明する。図8はインクジェット記録装置10の印字部12周辺の要部構成を模式的に描いた拡大図である。同図では、図示を簡略化するために、処理液用ヘッド11の後段にインク用ヘッド(印字ヘッド50)を1つのみ描いているが、実際の印字部12は、図1で説明したように、4色の色別に印字ヘッド12K,12C, 12M, 12Yを備えている。
図8において、記録媒体16は右から左へと搬送される。画像形成のプロセスは、以下のとおりである。
(工程1)記録媒体搬送方向(図8中矢印A方向)の上流に配置された処理液用ヘッド11から処理液110を液滴として吐出し、予め記録媒体16の記録面16Aに処理液110を付着させておく。
(工程2)処理液用ヘッド11の下流に配置された印字ヘッド50からインク120を液滴として吐出し、表面に処理液110の液体分が残存している状態に、記録媒体16上にインク120を着弾させる。
(工程3)記録媒体16表面上で処理液110とインク120が混合されることにより、インク120中に、色材とともに分散している低分子分散剤中のアニオン性基が、処理液110との接触によるpHの変化を受けて、凝集反応を生じる。これにより、インク120中の色材等が凝集して、色材凝集物126が生成される。
(工程4)そして、図8に示したように、色材凝集物126は、記録媒体16側(下方)に沈降する。こうして、記録媒体16上のインク120の液滴(ドット)130は、沈降した色材凝集物126から成る色材層132と、溶媒134の層とに分離される。
(工程5)記録媒体16の搬送(図8中矢印A方向への搬送)に伴い、色材層132と溶媒134に分離された液滴130が溶媒吸収ローラ15の位置まで移動される。当該液滴130の溶媒134が溶媒吸収ローラ15に接触すると、多孔質部材15Aの毛細管力によって溶媒134が溶媒吸収ローラ15に吸収される。溶媒吸収ローラ15は、記録媒体16の搬送速度に合わせて、記録媒体16との相対速度が0となるように図8中矢印B方向に回転し、インクの擦れによる画像の乱れを防いでいる。また、このとき、各ドット130の周りにはポリマーの膜124が形成されているため、記録媒体16表面上で色材の移動が抑制され、溶媒吸収ローラ15への色材の付着も抑止されるため、画像の乱れなども発生しない。すなわち、溶媒吸収ローラ15による溶媒吸収時にもドット間に膜124が存在するため、この膜124がインクの移動を抑制し、溶媒吸収ローラ15とインクの接触時の画像の乱れを防ぐ役割を果たす。
なお、印字ヘッド50から吐出されたインク120の着弾時(すなわち、2液の混合時)から溶媒134が溶媒吸収ローラ15に接触するまでの時間は、2液反応による色材/溶媒の分離が完了するまでの時間よりも長くなるように、印字ヘッド50と溶媒吸収ローラ15との位置関係(着弾位置から溶媒接触位置までの距離L)及び記録媒体16の搬送速度が設定される。
(工程6)こうして、溶媒吸収ローラ15によって溶媒が除去されたインク(図8において符号138)は、色材同士の結合力が増し、記録媒体16に定着される。これにより、滲みの発生が防止されるとともに、色間ブリーディング防止、乾燥、定着の促進、コックリングの防止等の効果が得られる。
(工程7)さらにその後、加熱部17により約30℃に加熱された熱風が記録媒体16に当てられ、色材凝集物126に含まれる溶媒成分が、さらに蒸発、乾燥される。そして、色材とともに分散したポリマー微粒子が乾燥硬化されて製膜され、色材が記録媒体16に強固に定着される(符号139)。また、ポリマー微粒子は疎水性であることから、耐水性も向上する。これにより、耐擦性、耐水性、及び定着性に優れた印字が形成される。
次に、実施例により、本発明を更に詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例 1)
実施例及び比較例を挙げて本発明を説明する。先ず、実施例及び比較例に使用するメンテナンス液及び処理液を下記のようにして調整した。
[1.メンテナンス液の調液]
(1−1)メンテナンス液M−1の調液
和光純薬製標準緩衝液pH6.86(中性リン酸塩標準液)40mLにグリセリン10g、オルフィンE1010 1gを添加し、攪拌した。得られたメンテナンス液をpHメータ−HM−50G(東亜ディ−ケ−ケ−(株)製)で測定した結果、pHは6.8だった。
(1−2)メンテナンス液M−1の調液
和光純薬製標準緩衝液pH9.18(ホウ酸塩標準液)40mLにグリセリン10g、オルフィンE1010 1gを添加し、攪拌した。得られたメンテナンス液をpHメータ−HM−50G(東亜ディ−ケ−ケ−(株)製)で測定した結果、pHは6.5だった。
(1−3 メンテナンス液M−3の調液)
0.1モル/Lのリン酸二水素カリウム水溶液50gに0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液6.1gを加え、イオン交換水で33g、グリセリン10g、オルフィンE1010 1gを計量し攪拌した。得られたメンテナンス液をpHメータ−HM−50G(東亜ディ−ケ−ケ−(株)製)で測定した結果、pHは6.0だった。
(1−4)メンテナンス液M−4の調液
0.1モル/Lのホウ酸50gと0.1モル/Lの塩化カリウム水溶液50gに0.1モル/L水酸化ナトリウム水溶液3.9g、オルフィンE1010 1gを計量し攪拌した。得られたメンテナンス液のpHは6.2だった。
[2.処理液の調液]
ジエチレングリコール : 20.0g
オルフィンE1010 : 1.0g
2−ピロリドン−5−カルボン酸 : 1.0g
水酸化ナトリウム : 0.25g
イオン交換水 : 77.8g
を攪拌混合して処理液を作成した。処理液のpHは4.0であった。
[3.吐出評価]
(株)リコー製IPSIO G515のヘッドに処理液を充填し、1時間放置後、処理液を吸引してヘッドから排出した後、下記メンテナンス液を充填し、3日経時後、ヘッド内のメンテナンス液を排出してから、再び処理液を充填し、吐出した際の吐出率の結果を表1に示す。
尚、表3のNo1はメンテナンス液の代わりに処理液を3日間充填した以外はまったく同様の方法で評価した。No2は処理液の代わりにイオン交換水を入れた以外はまったく同様の方法で評価した。
Figure 2007130854
吐出率50%以下 :×
吐出率50〜80% :△
吐出率80〜95% :○
吐出率95%以上 :◎
[4.モデル評価]
処理液1mLに対して、メンテナンス液9mL混ぜた時のpHをMix−pHとして表4に示す。
Figure 2007130854
上記表3の結果から分かるように、インクジェット装置の休止時において本発明のメンテナンス液を処理液用ヘッドに置換して充填しておくことによって前記処理液用ヘッドの劣化を防ぎ、長期休止後も安定した吐出が可能となった。なお、モデル評価では、処理液の排出後も処理液ヘッド中に多少の処理液が残留すると考え、1mlの処理液及び9mlのメンテナンス液の混合液のpHを測定した。上記表4の結果から分かるように、混合液は中性付近に調整されている。
(実施例2)
[1.インクの調液]
チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR−122)60.0g、N−オレオイルサルコシン 6.0g、グリセリン30.0g、2mol/L水酸化ナトリウム水溶液9.0g及びイオン交換水204.0gを攪拌混合させたのちアイメックス(株)製サンドグラインダーミル1/4Gでディスクを3枚使用し、直径0.1mmのビーズミルで15時間分散を行った。得られた分散液をろ布でろ過し20%顔料分散液とした。
一方別途
グリセリン :5.0g
ジエチレングリコール :10.0g
オルフィンE1010(日信化学工業製) :1.0g
イオン交換水 :36.0g
を秤量攪拌混合した液を、攪拌した
40%SBR水溶液(アクリル酸含量3%) :23.0g(ポリマー微粒子)
にゆっくりと滴下し、混合した。更にこの混合液を上記20%顔料分散液25gにゆっくりと滴下し、攪拌混合し、マゼンタインクINK−M1を100g作製した。
[2.吐出評価]
(株)リコー製IPSIO G515のヘッドに処理液を充填し、1時間放置後、処理液を吸引してヘッドから排出した後、下記メンテナンス液を充填し、3日経時後、メンテナンス液をヘッドから排出した後、再び処理液を充填した。
富士ゼロックス(株)製C2紙に、吐出量6pL 600dpiで処理液吐出後、1秒以内にインクを吐出し吐出評価を行った。得られた画像を顕微鏡で拡大し、ドットの形状を評価した。
ドットが円状のものが50%以下 :×
ドットが円状のものが50〜80% :△
ドットが円状のものが80〜95% :○
ドットが円状のものが95%以上 :◎
Figure 2007130854

ICM−31(マゼンタ)、ICC−31(シアン)は(株)エプソン製
表5から分かるように、本発明のメンテナンス液を用いることにより、処理液が安定に吐出され、インクを印字した際のドット形状も円状に整っていることがわかる。
画像形成装置の一形態としてのインクジェット記録装置の全体構成図 印字ヘッドの構造例を示す平面透視図 フルライン型印字ヘッドの他の構成例を示す平面透視図 図2中の4−4線に沿う断面図 図2に示した印字ヘッドのノズル配列を示す拡大図 インクジェット記録装置のインク供給系の構成を示した概要図 インクジェット記録装置のメンテナンス液供給系の構成を示した概要図 インクジェット記録装置のシステム構成を示す要部ブロック図である。 本例のインクジェット記録装置における画像形成プロセスを説明するために 用いた模式図
符号の説明
10…インクジェット記録装置、11…処理液用ヘッド、12K,12M,12C,12Y…印字ヘッド、13…処理液タンク、13A…処理液送液ライン、15…溶媒吸収ローラ、15A,15E…多孔質部材、16…記録媒体、17…メンテナンス液タンク、17A…メンテナンス液送液ライン、21…切換部、33…搬送ベルト、69…メンテナンス液リサイクルライン、110…処理液、120…インク、124…膜、126…色材凝集物、134…溶媒

Claims (21)

  1. 色材を含むインクと、前記インクを凝集可能であると共に色材を有しない処理液と、を記録媒体上に付着させる画像形成装置における処理液用ヘッドメンテナンス液であって、 前記メンテナンス液は、有機溶剤、界面活性剤、無機塩、水を少なくとも含むことを特徴とする処理液用ヘッドメンテナンス液。
  2. 前記処理液用ヘッドメンテナンスのpHが6〜9であることを特徴とする請求項1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液
  3. 前記処理液のpHが1〜6であることを特徴とする請求項1又は2に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  4. 前記処理液がカルボン酸を有する化合物を少なくとも含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  5. 前記処理液が下記一般式(1)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
    一般式(1)
    Figure 2007130854


    式中、Xは、O、CO、NH、NR、S、又はSOを表し、Rは、アルキル基を表す。Mは、水素原子、アルカリ金属又はアミン類を表す。lは、1〜5の整数であり、mは、1又は2であり、nは、3〜7の整数である。
  6. 前記有機溶媒はアルコール類またはグリコール誘導体であると共に前記処理液用ヘッドメンテナンス液中に3〜50質量%含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  7. 前記界面活性剤はノニオン界面活性剤であると共に前記処理液用ヘッドメンテナンス液中に0.001〜5質量%含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  8. 前記無機塩は緩衝機能を有するものであって、前記処理液用ヘッドメンテナンス液中に0.1〜10質量%含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  9. 前記無機塩は前記処理液のpHを2以上変化させることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  10. 前記インクが顔料インクであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  11. 前記顔料の粒径が10〜100nmであることを特徴とする請求項10に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  12. 前記インク中に、分子量が2000以下の低分子分散剤を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれ1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  13. 前記低分子分散剤の化学構造が、カルボン酸基又はこの塩を含むことを特徴とする請求項12に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  14. 前記低分子分散剤が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項12又は13に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
    一般式(2)
    Figure 2007130854
  15. 前記インク中にさらにポリマー微粒子を含み、ポリマーのガラス転移温度Tgが30℃以上であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液。
  16. 請求項1〜15のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液を使用する画像形成装置。
  17. 色材を含むインクと、前記インクを凝集可能であると共に色材を有しない処理液と、を記録媒体上に付着させる画像形成装置において、
    前記処理液を貯蔵する処理液貯蔵/装填部と、
    前記処理液貯蔵/装填部から処理液用ヘッドに処理液を送液する処理液用送液ラインと、
    前記処理液用ヘッドをメンテナンスするメンテナンス液を貯蔵するメンテナンス液貯蔵/装填部と、
    前記メンテナンス液貯蔵/装填部に貯蔵されたメンテナンス液を前記処理液用ヘッドに送液するメンテナンス液送液ラインと、
    前記処理液用送液ラインと前記メンテナンス液用送液ラインを切り換える切換手段と、
    排出された前記処理液用ヘッド中のメンテナンス液をメンテナンス液貯蔵/装填部に送液するメンテナンス液リサイクルラインと、を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  18. 前記メンテナンス液は、請求項1〜14のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液であることを特徴とする請求項17の画像形成装置。
  19. 前記画像形成装置がページ幅1パス方式であることを特徴とする請求項16〜18のいずれか1に記載の画像形成装置。
  20. 色材を含むインクと、前記インクを凝集可能であると共に色材を含まない処理液と、を記録媒体上に付着させて画像を形成する画像形成装置のメンテナンス方法において、
    前記処理液を吐出する処理液用ヘッドを使用しないときは、前記処理液用ヘッドに残留する処理液を排出すると共に該処理液用ヘッド内に前記処理液に対して緩衝機能を有するメンテナンス液を供給して前記処理液と置き換え、
    前記画像形成装置を再稼動するときには、前記処理液用ヘッド内のメンテナンス液を排出すると共に前記処理液用ヘッド内に処理液を供給することを特徴とする画像形成装置のメンテナンス方法。
  21. 前記メンテナンス液は、請求項1〜14のいずれか1に記載の処理液用ヘッドメンテナンス液であることを特徴とする請求項20の画像形成装置のメンテナンス方法。
JP2005325377A 2005-11-09 2005-11-09 処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置 Pending JP2007130854A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005325377A JP2007130854A (ja) 2005-11-09 2005-11-09 処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005325377A JP2007130854A (ja) 2005-11-09 2005-11-09 処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007130854A true JP2007130854A (ja) 2007-05-31

Family

ID=38152907

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005325377A Pending JP2007130854A (ja) 2005-11-09 2005-11-09 処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007130854A (ja)

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009040892A (ja) * 2007-08-09 2009-02-26 Fujifilm Corp 水性インク組成物、インクセット、及び画像記録方法
JP2009096175A (ja) * 2007-09-25 2009-05-07 Fujifilm Corp 画像形成方法及び画像形成装置
JP2010058340A (ja) * 2008-09-02 2010-03-18 Fujifilm Corp インクジェット記録用インクセットおよび画像記録方法
JP2010215853A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Fujifilm Corp インクセット及び画像記録方法
JP2011063777A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Fujifilm Corp メンテナンス液、インクセット及びメンテナンス方法
JP2011068085A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Fujifilm Corp インクジェット記録用メンテナンス液、インクセット及び画像形成方法
JP2011156818A (ja) * 2010-02-03 2011-08-18 Fujifilm Corp インクジェット記録用メンテナンス液、インクジェット記録用インクセット及び画像形成方法
JP2011207002A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Fujifilm Corp インクジェット記録用メンテナンス液、インクジェット記録用メンテナンス液の製造方法、インクジェット記録用インクセット、及び画像形成方法
JP2012056221A (ja) * 2010-09-10 2012-03-22 Seiko Epson Corp 吐出検査方法、吐出検査装置、描画方法、及び描画装置
WO2022208702A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 コニカミノルタ株式会社 インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、メンテナンス方法及びインクジェット記録装置
US12030320B2 (en) 2022-03-31 2024-07-09 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Liquid discharging device

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009040892A (ja) * 2007-08-09 2009-02-26 Fujifilm Corp 水性インク組成物、インクセット、及び画像記録方法
JP2009096175A (ja) * 2007-09-25 2009-05-07 Fujifilm Corp 画像形成方法及び画像形成装置
JP2010058340A (ja) * 2008-09-02 2010-03-18 Fujifilm Corp インクジェット記録用インクセットおよび画像記録方法
JP2010215853A (ja) * 2009-03-18 2010-09-30 Fujifilm Corp インクセット及び画像記録方法
JP2011063777A (ja) * 2009-09-18 2011-03-31 Fujifilm Corp メンテナンス液、インクセット及びメンテナンス方法
US8702199B2 (en) 2009-09-18 2014-04-22 Fujifilm Corporation Maintenance liquid, ink set, and maintenance method
JP2011068085A (ja) * 2009-09-28 2011-04-07 Fujifilm Corp インクジェット記録用メンテナンス液、インクセット及び画像形成方法
JP2011156818A (ja) * 2010-02-03 2011-08-18 Fujifilm Corp インクジェット記録用メンテナンス液、インクジェット記録用インクセット及び画像形成方法
JP2011207002A (ja) * 2010-03-29 2011-10-20 Fujifilm Corp インクジェット記録用メンテナンス液、インクジェット記録用メンテナンス液の製造方法、インクジェット記録用インクセット、及び画像形成方法
JP2012056221A (ja) * 2010-09-10 2012-03-22 Seiko Epson Corp 吐出検査方法、吐出検査装置、描画方法、及び描画装置
WO2022208702A1 (ja) * 2021-03-31 2022-10-06 コニカミノルタ株式会社 インクジェット記録用インクセット、インクジェット記録方法、メンテナンス方法及びインクジェット記録装置
US12030320B2 (en) 2022-03-31 2024-07-09 Brother Kogyo Kabushiki Kaisha Liquid discharging device

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2007100071A (ja) インクセット、画像記録方法及び装置
US20070054981A1 (en) Ink set and method and apparatus for recording image
JP2007130854A (ja) 処理液用ヘッドメンテナンス液、メンテナンス方法及び画像形成装置
JP2007260984A (ja) 画像記録方法及び画像記録装置
JP2009083325A (ja) 画像形成方法及びインクジェット記録装置
JP5623718B2 (ja) インクセット及び画像形成方法
JP5079538B2 (ja) インクジェット記録用インクセットおよび画像記録方法
JP2006263984A (ja) インクジェット記録方法及び装置
JP5538964B2 (ja) インク組成物、インクセット、及びこれを用いた画像形成方法
JP5785799B2 (ja) 新規なアゾ化合物、水溶液、インク組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、インクジェット記録用インクカートリッジ、及びインクジェット記録物
JP5398425B2 (ja) インクセット及び画像形成方法
JP4070432B2 (ja) インク組成物及びインクジェット記録方法
JP5579468B2 (ja) インク組成物、インクセット及びこれを用いた画像形成方法
JP2006095870A (ja) インクジェットプリンタ及びその記録方法並びにこのプリンタで用いるインクと記録媒体
JP2009233867A (ja) インクジェット記録方法及び記録物
JP2007203636A (ja) インクジェット記録用セット、及びインクジェット記録方法
JP2010065170A (ja) インク組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法
JP2010076233A (ja) 画像形成方法
JP5414596B2 (ja) 画像形成方法
JP2009149725A (ja) インク組成物、インクセット、及びインクジェット記録方法
JP2007516317A (ja) インクジェット用インクセットおよびインクジェット用ブラックインク
JP2005255868A (ja) モノアゾ染料、画像形成用着色組成物、インク、インクジェット記録方法、感熱記録材料、カラートナーおよびカラーフィルター
JP2013159765A (ja) 着色組成物、インク組成物並びにインクジェット記録用インク
JP5491907B2 (ja) インクセット及び画像形成方法
JP2006264269A (ja) 画像記録方法及び装置