JP2009083325A - 画像形成方法及びインクジェット記録装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】処理液とインクとを反応させてインクを凝集させる画像形成方式において、画像形成体上におけるドットサイズの異常やドットの位置ズレを防止し、高品位かつ定着性に優れた画像の形成を可能とする画像形成方法及びインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】中間転写体12の画像形成領域の全面にインクを凝集させない機能を有し、着色材を含有しない下塗液を付与し、下塗液層22に画像データに基づいて顔料微粒子を含有するインク液滴24を打滴し、インク液滴24に対応して凝集処理液を打滴する。下塗液層22に着弾したインク液滴24は凝集することなく所定の大きさに広がることができ、中間転写体12との所定の接着力を得ることができる。また、下塗液層22内のインク液滴24にはメニスカスが形成されないので、隣接するインク液滴に合一が発生しないドットサイズ異常やドットの位置ズレが防止された好ましい画像を得ることができる。
【選択図】図2
【解決手段】中間転写体12の画像形成領域の全面にインクを凝集させない機能を有し、着色材を含有しない下塗液を付与し、下塗液層22に画像データに基づいて顔料微粒子を含有するインク液滴24を打滴し、インク液滴24に対応して凝集処理液を打滴する。下塗液層22に着弾したインク液滴24は凝集することなく所定の大きさに広がることができ、中間転写体12との所定の接着力を得ることができる。また、下塗液層22内のインク液滴24にはメニスカスが形成されないので、隣接するインク液滴に合一が発生しないドットサイズ異常やドットの位置ズレが防止された好ましい画像を得ることができる。
【選択図】図2
Description
本発明は画像形成方法及びインクジェット記録装置に係り、特に画像形成体上でインク液滴と処理液とを反応させてドットを形成する画像形成技術に関する。
現在、デジタルカメラにより撮影された画像や印刷物の複製画像などを出力する汎用の画像形成装置としてインクジェット記録装置が好適に用いられている。インクジェット記録装置は、紙のみならず樹脂シートや金属シートなど多種多様な記録媒体を用いることが可能であり、最近の動向として、記録媒体の種類によらず高品位画像を出力したいという要望が高くなっている。
普通紙などの浸透性を有する媒体に対して、インク液滴を連続的に打滴して隣接するドットが互いに重なるようにドットを形成すると、隣接するドットを形成するインク液滴同士がその表面張力の作用によって合一し、所望の形状、サイズを有するドットを形成することができなくなるブリード(着弾干渉)と呼ばれる現象が発生してしまう。ブリードが発生すると、同一色のドットの間ではドットの形状が崩れてしまい、異色のドットの間ではドットの形状が崩れてしまう現象に加えて混色の問題も発生する。
図17(a),(b)は、上述した合一現象の説明図である。図17(a)は、少なくとも接触するように隣接して形成される2つのドットとなる2つのインク液滴200、202が記録媒体204に連続的に着弾した状態を模式的に図示している。インク液滴200、202は、大気中に存在するために、周囲にはメニスカス(気体と液体との界面)206、208が存在する。
インク液滴200のメニスカス206とインク液滴202のメニスカス208が符号210で示す接触部分において互いに接触すると、インク液滴200とインク液滴202は表面張力(表面自由エネルギーのバランス)の関係で互いに引き合い、その結果、インク液滴200及びインク液滴202は記録媒体204上で合一してしまう。図17(b)には、図17(a)に示すインク液滴200とインク液滴202が合一して一体化したインク液滴212を示す。このように、記録媒体204上で複数のインク液滴の間に合一が生じて、複数のインク液滴が一体化すると、先に説明したドット形状の異常や混色などが発生し、高品質の画像を得ることができない。
特許文献1、2にはこのような着弾干渉に関する問題を解決する技術が開示されている。即ち、特許文献1に記載された発明は、液体組成物(処理液)及びインクの何れか一方を酸性、他方をアルカリ性として、顔料(着色材)を記録媒体表面近傍で凝集させることで、記録媒体表面近傍に高密度で存在させ、光学濃度、滲み、色間滲みが優れたインク画像を得ている。
また、特許文献2に記載された発明は、インク打滴と処理液打滴の間に所定の打滴時間差を設け、インクが記録媒体内の所定範囲の深さ方向に浸透した状態で処理液をインクに対して吐出させ、インク中の着色材を紙(記録媒体)内部で反応させて不溶化させ、擦過性のよい、画像品位の良好な画像を得ている。
一方、プラスチックシート(樹脂シート)のような非浸透性或いは難浸透性を有する記録媒体を用いる場合にも、当該記録媒体の表面でインク液滴が合一して広がる現象や、インク液滴が流れてドットの位置や形状が大きく変化する現象が生じる。このような現象はビーディングと呼ばれ、記録媒体上でビーディングが発生すると記録画像が乱れてしまうという課題が存在している。
特許文献3にはこのような問題を解決するための技術が開示されている。即ち、特許文献3に記載された発明は、転写ドラムに画像固定成分(反応液)を塗布し、次いで、KMCY各色に対応する記録ヘッドからインクを付与することによりインク像を形成し、次いで、インク像上に補助液を付与した後に、そのインク像を記録媒体に転写することで、ビーディングやブリーディングが生じない高品位かつ耐擦過性に優れたインク画像を記録媒体に形成している。特許文献3に記載された発明によれば、転写ドラム上において画像固定成分とインクとを反応させて、転写ドラム上にインク凝集体を形成し、当該インク凝集体を転写ドラムに固定しているので、このようにして転写ドラム上に形成された画像はビーディングやブリーディングのない良好な画像である。また、水溶性樹脂を多く含む補助液を付与した後に転写ドラム上の画像を記録媒体に転写し、記録媒体に最終画像が記録されるので、当該最終画像には樹脂層が多く存在し、当該最終画像は耐擦過性(定着性)が向上した好ましい画像といえる。
特開2004−10633号公報
特開平11−129461号公報
特開2005−170036号公報
しかしながら、プラスチックシートのような非浸透性を有する媒体を用いる場合には、上述した問題の他に、次に掲げる(1)、(2)のような問題が存在することが本願出願人の検証により明らかになった。
(1)非浸透性を有する媒体(図18(a)に符号214で図示)に処理液が塗布されると、処理液は媒体に浸透しないために所定の厚みを有する液体層の状態を形成する。ここでいう「処理液」とは、インクと反応してインク(着色材)を凝集させる機能を有する液体を意味し、上記特許文献3の画像固定成分に対応する液体である。図18(a)には符号213で処理液によって記録媒体上に形成された層を図示する。なお、難浸透性を有する媒体を用いるときも非浸透性媒体と同様に処理液は記録媒体上に液体層の状態を形成する。
図18(a)に示すように、処理液層213が形成された記録媒体214にインク液滴212を打滴し、処理液層213にインク液滴212が着弾すると、当該インク液滴(図18(b)に符号212’で図示)に凝集反応が発現し、インク(着色材)の凝集体216は形成されるものの、当該凝集体216は所定の位置に留まらず、出力された画像が所望の画像に比べて大きく乱れてしまうという、着色材(ドット)移動による画像乱れが発生する。
(2)インク液滴212’が記録媒体214に到着するまでに、処理液層213内で凝集反応が終了してしまうので、インク液滴212’が凝集する際に所定のドット広がり率(インク液滴の真球に換算したときの直径に対するドットの直径)を得ることができない。したがって、図18(c)に示すように、インクの凝集体216によって形成されるドットと記録媒体214との間の所定の接触面積を確保できず、ドット(インク凝集体216)と記録媒体214との間の接着力を十分に得ることができない。
なお、特許文献1及び特許文献2に記載された発明は、インク、処理液(液体組成物)が浸透する浸透性を有する記録媒体に適用される技術であって、原理上非浸透性を有する記録媒体へ適用することは困難であり、上述した課題を解決するものではないといえる。
また、特許文献3に記載された発明は、潜在的に上述した課題を有しているにもかかわらず当該技術課題を認識していないので、特許文献3には本願における課題を解決する技術は開示されていない。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、処理液とインクとを反応させてインクを凝集させる画像形成方式において、画像形成体上におけるドットサイズの異常やドットの位置ズレを防止し、高品位かつ定着性に優れた画像の形成を可能とする画像形成方法及びインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る画像形成方法は、画像形成体上に着色材を含有するインク液を用いて画像を形成する画像形成方法であって、前記画像形成体に対して、前記インク液に含有する着色材の凝集反応を発現させない機能を有し、実質的に透明の下塗液を付与し、前記画像形成体上に下塗層を形成する下塗液付与工程と、前記下塗層が形成された前記画像形成体に画像データに基づいて前記インク液を液滴化して打滴するインク液滴打滴工程と、前記インク液滴打滴工程の後に、前記画像形成体に前記インク液の凝集反応を発現させる処理液を付与する処理液付与工程と、前記処理液付与工程の後に、前記画像形成体上の前記下塗液及び前記インク液、前記処理液の液体溶媒を除去する溶媒除去工程と、を含み、前記インク打滴工程において打滴されたインク液は、前記下塗層の中で前記下塗液に覆われた状態で所定の大きさに広がった後に、前記処理液工程において付与された処理液と反応して凝集作用を発現することを特徴とする。
本発明によれば、インク液の凝集作用を発現しない下塗液を画素形成媒体に付与した後に液滴化されたインク液を打滴するので、下塗液に着弾したインク液滴は下塗液中で凝集することなく所定の大きさに広がるとともに、下塗液中において複数のインク液滴同士が接触してもメニスカスが形成されることがなく、これらのインク液滴は合一しない。また、下塗液に着弾したインク液滴は下塗液中を浮遊せずに画像形成体の所定の位置に固定される。
透明の下塗液は、実質的に着色材を含まない液体とする態様も好ましい。「実質的に着色材を含まない液体」とは、下塗液の全体に対して0.2重量%以上1.0重量%以下の着色材を含有していてもよい。また、下塗液に微粒子水分散物(例えば、ポリマー微粒子)を含有する態様も好ましい。
インク液には、溶媒中に着色材として顔料微粒子を分散させた顔料系インクが好適に用いられる。また、インク液にも微粒子水分散物を含有する態様も好ましい。
本発明は、樹脂製、金属製、ゴム製などの非浸透性を有する画像形成体を用いるときに特に効果を発揮する。
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像形成方法の一態様に係り、前記下塗液の表面張力γ1と前記インク液の表面張力γ2との関係は、次式γ1≦γ2−5(mN/m)を満たすことを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、下塗液とインク液との表面張力のバランスによってインク液の拡散速度が抑制され、ドットのぼやけを防止することができる。したがって、鮮明な画像形成が可能となる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2記載の画像形成方法の一態様に係り、前記下塗液は分散粒子を含有するとともに、前記インク液は着色材粒子を含有することを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、下塗液に含まれる分散粒子と、インクに含まれる分散粒子の濃度勾配のバランスによってインク液の拡散速度が抑制され、ドットのぼやけを防止することができる。したがって、鮮明な画像形成が可能となる。
請求項4に記載の発明は、請求項1、2又は3記載の画像形成方法の一態様に係り、前記分散粒子の表面帯電極性は前記着色材粒子の表面帯電極性と同一極性であることを特徴とする。
請求項4に係る発明によれば、分散粒子間の静電反発力による相互作用により、インク液の拡散速度が抑制され、ドットのぼやけを防止することができる。したがって、鮮明な画像形成が可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の画像形成方法の一態様に係り、前記下塗液のpHは5以上であり、前記インク液はpH5未満で凝集する酸ポリマーを含有し、前記凝集処理液のpHは5未満であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明によれば、所定のドットの広がりを確保することができるとともに、鮮明な画像形成が可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の画像形成方法の一態様に係り、前記溶媒除去工程の後に、前記画像形成体上に形成された画像を記録媒体に転写する転写工程を含むことを特徴とする。
下塗液に含有する微粒子水分散物が画像形成体と画像の間に介在することで、転写工程において画像形成体から画像を容易に剥離することができ、転写工程における転写性の向上が見込まれる。
転写工程において、画像形成体及び記録媒体の温度が下塗液、インク液、凝集処理液のうち少なくとも何れかに含有する微粒子水分散物の軟化点温度となるように、画像形成体及び記録媒体を加熱する加熱工程を備える態様が好ましい。
転写工程後に画像形成体及び記録媒体を冷却する冷却工程と、画像形成体から記録媒体を剥離する剥離工程と、剥離工程後に画像形成体を清掃する清掃工程と、画像形成体から剥離された記録媒体に画像を定着させるために記録媒体を加熱する定着工程と、を含む態様が好ましい。
また、上記目的を達成するための装置発明を提供する。即ち、請求項7に記載の発明に係るインクジェット記録装置は、画像形成体上に着色材を含有するインク液を用いて画像を形成するインクジェット記録装置であって、画像形成体上に対して、前記インク液に含有する着色材の凝集反応を発現させない機能を有し、実質的に透明の下塗液を付与し、前記画像形成体上に下塗液層を形成する下塗液付与手段と、前記下塗液層が形成された前記画像形成体に画像データに基づいて前記インク液を液滴化して打滴するインクジェットヘッドと、前記インクジェットヘッドによりインク液滴が吐出された前記画像形成体に、前記インク液の凝集反応を発現させる処理液を付与する処理液付与手段と、前記処理液付与手段により前記画像形成体上に処理液が付与された後に、前記画像形成体上の前記下塗液及び前記インク液、前記処理液の液体溶媒を除去する溶媒除去手段と、を備えたことを特徴とする。
溶媒除去手段は、画像形成体に接触して画像形成体上の溶媒成分を吸収除去する接触式の吸収手段を適用してもよいし、画像形成体に非接触で画像形成体上の溶媒成分を除去する非接触式の手段を適用してもよい。
請求項8に記載の発明は、請求項7記載のインクジェット記録装置の一態様に係り、前記溶媒除去手段により前記画像形成体上の液体溶媒が除去された後に、前記画像形成体上に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段を備えたことを特徴とする。
転写手段を備える転写方式では、画像形成体に形成される1次画像は、記録媒体に形成される画像の鏡像画像となる。
転写手段による転写時に、画像形成体及び記録媒体の温度が下塗液に含有する微粒子水分散物の軟化点温度となるように、画像形成体及び記録媒体を加熱する加熱手段を備える態様が好ましい。
また、溶媒除去手段により画像形成体上の溶媒が除去された後、転写手段による転写前に、画像形成体を予備加熱する予備加熱手段を備える態様が好ましい。予備加熱手段により画像形成体及び記録媒体の温度を微粒子水分散物の軟化点温度未満とする態様が好ましい。
また、転写後に画像形成体及び記録媒体を冷却する冷却手段と、画像形成体から記録媒体を剥離する剥離手段と、画像形成体から記録媒体を剥離した後に画像形成体を清掃する清掃手段と、画像形成体から剥離された記録媒体に画像を定着させるために記録媒体を加熱する定着手段と、を含む態様が好ましい。
本発明によれば、インク液の凝集作用を発現しない下塗液を画素形成媒体に付与した後に液滴化されたインク液を打滴するので、下塗液に着弾したインク液滴は下塗液中で凝集することなく所定の大きさに広がるとともに、下塗液中において複数のインク液滴同士が接触してもメニスカスが形成されることがなく、これらのインク液滴は合一しない。また、下塗液に着弾したインク液滴は下塗液中を浮遊せずに画像形成体の所定の位置に固定される。
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔第1実施形態、装置構成〕
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10には、中間転写体12に1次画像(本画像の鏡像画像)を形成した後に、1次画像を記録媒体14(例えば、普通紙)に転写して、記録媒体14に本画像を形成する転写方式が適用される。
図1は、本発明の第1実施形態に係るインクジェット記録装置の概略構成図である。同図に示すように、インクジェット記録装置10には、中間転写体12に1次画像(本画像の鏡像画像)を形成した後に、1次画像を記録媒体14(例えば、普通紙)に転写して、記録媒体14に本画像を形成する転写方式が適用される。
即ち、インクジェット記録装置10は、非浸透性を有する材料を表面に含む中間転写体12と、中間転写体12にインクの凝集を発現させない機能を有する下塗液を塗布(付与)する塗布ローラ16A及び塗布ローラ16Aによって中間転写体12に塗布される下塗液を収容する下塗液収容部16Bを含む下塗液付与部16と、下塗液付与部16の後段側(中間転写体12の搬送方向下流側)に設けられ、黒(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の各色の着色材を含むインクに対応して設けられた複数のインクジェットヘッド(インクヘッド)18K,18Y,18M,18Cを有する印字部18と、印字部18の後段側に設けられ、印字部18によってインクが付与された中間転写体12に対してインクと反応してインクの凝集を発現させる機能を有する透明の凝集処理液を打滴する処理液ヘッド20と、処理液ヘッド20の後段側に設けられ、中間転写体12上に付着したインク液滴が凝集した結果、インク凝集体と分離した液体(溶媒)を吸収する吸収ローラを含む溶媒除去部36と、溶媒除去部36による溶媒除去処理が施された中間転写体12を所定の温度(50℃〜150℃)に加熱する予備加熱部38と、給紙部39から供給される記録媒体14をニップ搬送する記録媒体搬送用ローラ対40A,40Bと、中間転写体12に形成された1次画像を記録媒体14に転写する転写部42と、中間転写体12と記録媒体14とが貼り合わされた状態で中間転写体12及び記録媒体14を冷却する冷却部44と、中間転写体12から記録媒体14を剥離する剥離部46と、転写後の中間転写体12の画像形成面12Aに付着している残インクや溶媒等を除去するクリーニング部48と、を備えている。更に、剥離部46の記録媒体14の搬送方向(図1に符号Bで図示)の下流側には、中間転写体12から転写された本画像を記録媒体14に定着させる定着部49を備えている。
図1に示す中間転写体12には無端状ベルトが適用され、中間転写体12は複数の張架ローラ(図1には7つの張架ローラ30A〜30Gを図示)に巻きかけられた構造を有し、張架ローラ30A〜30Gの少なくとも1つにモータ(図1中不図示、図8に符号88として図示)の動力が伝達されることにより、中間転写体12は、図1において反時計回り方向(図1中、矢印線Aで示す方向)に所定の搬送速度で駆動される。本例では、中間転写体12の搬送速度(最大値)は500mm/sとする。
中間転写体12の画像形成面12Aを含む表面層には、ポリイミド系樹脂などの非浸透性を有する材料が用いられる。なお、非浸透性を有する材料(媒体)に代わりまたは併用して、下塗液に対する浸透速度が遅い媒体を適用することも可能である。「浸透速度が遅い媒体」とは、下塗液が付与されてから印字部18の直下に移動するまでに下塗液の量(厚み)の減少が1%を超え10%以下の低浸透性を有する媒体や、下塗液が付与されてから印字部18の直下に移動するまでに下塗液の量(厚み)の減少が1%以下の難浸透性を有する媒体をいう。
中間転写体12の画像形成面12Aを含む表面層に用いられる好ましい材料としては、ポリイミド系樹脂の他に、シリコン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリブタジエン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、フッ素系樹脂等の公知の材料が挙げられる。
また、中間転写体12の表面層の表面張力は10mN/m以上40mN/m以下とする態様が好ましい。中間転写体12の表面層の表面張力を40mN/m以上とすると、1次画像が転写される記録媒体14との表面張力差がなくなり(または、極めて小さくなり)、インク凝集体の転写性が悪化する。更に、中間転写体12の表面層の表面張力が10mN/m以下であると、下塗液のぬれ性を考慮した場合に、下塗液の表面張力を中間転写体12の表面層の表面張力よりも小さくする必要があり、下塗液の表面張力を10mN/m以下とすることが困難となり、中間転写体12及び下塗液の設計自由度(選択範囲)が狭くなる。
なお、中間転写体12の表面層に表面粗さRa0.3μm程度の凹凸があると、インク液滴やインク凝集体の移動が抑制される効果があり、より好ましい。
中間転写体12に下塗液を付与する下塗液付与部16は、中間転写体12の画像形成面12Aに表面を接触させて下塗液を塗布する塗布ローラ16Aと、下塗液が収容される塗布液容器16Bを備え、塗布ローラ16Aを介して塗布液容器16B内に収容される下塗液は中間転写体12の画像形成面12Aに塗布される。
塗布ローラ16Aは中間転写体12に対して従動して回動するか、独立して塗布ローラ16Aが駆動し回動制御可能に構成されている。
塗布ローラ16Aには、多孔質材料や表面に凹凸がある材料が望ましく、例えば、グラビアロール状のもの等を用いることができる。本例では、下塗液を中間転写体12に付与する手段としては、ローラ形状を有する塗布部材を例示したが、下塗液を中間転写体12に付与する手段はローラ形状に限定されず、ブレードにより塗布する方式やスプレー、インクジェット方式の液体吐出ヘッドを用いることができる。特に、インクジェット方式の場合、記録画像(画像データ)に応じて下塗液を正確にパターンニングして付与することができる。
下塗液の塗布厚を制御するには、塗布ローラ16Aと中間転写体12との接触時間を制御する態様が好ましい。塗布ローラ16Aと中間転写体12との接触時間を相対的に長くすると下塗液の塗布厚は相対的に大きくなり、塗布ローラ16Aと中間転写体12との接触時間を相対的に短くすると下塗液の塗布厚は相対的に小さくなる。なお、中間転写体12に対する塗布ローラ16Aの押圧制御を併用する態様がより好ましい。
印字部18の各ヘッド18K,18Y,18M,18C及び処理液ヘッド20は、中間転写体12における画像形成領域の最大幅に対応する長さを有し(図4参照)、そのインク吐出面には画像形成領域の全幅にわたりノズル(図4中不図示、図5に符号51で図示)が複数配列されたフルライン型のヘッドとなっている。
ヘッド18K,18Y,18M,18Cは、中間転写体12の搬送方向(矢印線Aで図示)に沿って上流側から黒(K),イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C)の色順に配置され、それぞれのヘッド18K,18Y,18M,18Cが中間転写体12の搬送方向と直交する方向に延在するように固定設置される。また、印字部18の中間転写体12の搬送方向下流側に設けられた処理液ヘッド20も同様に、中間転写体12の搬送方向と直交する方向に延在するように固定設置される。
中間転写体12の幅の全域をカバーするノズル列を有するフルライン型のヘッドを各色インク及び処理液に対してそれぞれ設ける構成によれば、中間転写体12の搬送方向(副走査方向、図5参照)について、中間転写体12と印字部18及び処理液ヘッド20を相対的に移動させる動作を1回行うだけで(即ち1回の副走査で)、中間転写体12の画像形成領域に1次画像を記録することができる。これにより、ヘッド18K,18Y,18M,18C及び処理液ヘッド20が中間転写体12の搬送方向と直交する主走査方向(図5参照)に往復動作するシリアル(シャトル)型ヘッドに比べて高速印字が可能であり、プリント生産性を向上させることができる。
本例では、KYMCの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。また、粘度等の条件を変えた複数種類の凝集処理液を用いる場合には、処理液の種類ごとに処理液ヘッド20を複数備える態様も可能である。
図1に示す各ヘッド18K,18Y,18M,18Cに供給する各色のインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部32は、各ヘッド18K,18Y,18M,18Cに対応する色のインクを貯蔵するインクタンク(図1中不図示、図7に符号60で図示)を有し、各色のインクタンクは所要の流路を介して各色のヘッド18K,18Y,18M,18Cと連通されている。また、インク貯蔵/装填部32は、インク残量が少なくなるとその旨を報知する報知手段(表示手段、警告音発生手段)を備えるとともに、色間の誤装填を防止するための機構を有している。処理液ヘッド20についても、インク貯蔵/装填部32と同様の構成を有する処理液貯蔵/装填部34を備えている。
本例では、凝集処理液を付与する処理液ヘッド20は、印字部18のインクヘッド18K,18Y,18M,18Cと同一構成が適用される。なお、処理液ヘッド20は中間転写体12に対して非接触で凝集処理液を付与可能なものであればよく、インクヘッド18K,18Y,18M,18Cよりも打滴密度(解像度)を落とした構造のヘッドを適用してもよいし、スプレー方式など他のインクジェット方式以外の方式を適用してもよい。
本例に示すインクジェット記録装置10では、下塗液層(図2(a)〜(c)に符号22で図示)にインク液滴(図2(a)〜(c)に符号24で図示)が付与されても、当該インク液滴は凝集しないので、当該インク液滴に凝集処理液を付与する部材が接触式であると、インク液滴が移動してしまい画像乱れが発生してしまう。したがって、凝集処理液を付与する手段は非接触式であることが好ましい。本例に示すインクジェット記録装置10では、凝集処理液が付与されて始めてインク液滴は凝集する。
凝集処理液の作用によってインク凝集体が形成され、インク凝集体と分離した下塗液の溶媒成分とインク液の溶媒成分と凝集処理液の溶媒成分は、溶媒除去部36により中間転写体12の画像形成面12Aから除去される。溶媒除去部36には、中間転写体12を挟んでローラ30Bに対向する位置に溶媒除去ローラ36Aが設けられている。溶媒除去ローラ36Aはローラ状の多孔質体で構成され、中間転写体12の画像形成面に当接させるように配置されている。
溶媒除去ローラ36Aの表面(中間転写体の画像形成面と接触する面)の表面エネルギーは中間転写体12の画像形成面12Aの表面エネルギーよりも小さいことが好ましく、本例では、溶媒除去ローラ26Aはその表面の表面エネルギーが30mN/m以下の部材が適用される。
溶媒除去ローラ36Aが前記表面エネルギーの条件を満たすことで、溶媒除去ローラ36Aにインク凝集体が付着することを防止し、中間転写体12上の溶媒のみ除去が可能となる。なお、溶媒除去部36の他の態様として、溶媒除去ローラ26Aに代わりエアナイフで余剰な溶媒を中間転写体12から取り除く方式や、中間転写体12を加熱して溶媒を蒸発させ除去する方式などを適用してもよい。溶媒除去の方式としては、先に例示した何れの方式でもよいが、加熱によらない方式を用いる方がより好ましい。
中間転写体12の表面を加熱する方式や、中間転写体12上のインク凝集体に熱を付与して溶媒を蒸発させる方式では、インク凝集体の過剰加熱により溶媒を過剰除去してしまい、転写時において好ましい凝集体の粘弾性を維持できず、かえって記録媒体14への転写性が低下することがある。更にまた、過剰加熱により生じた熱が印字部18及び処理液ヘッド20の吐出性能へ影響を与えることも懸念される。
一方、溶媒除去ローラ36Aによって中間転写体12の画像形成面上の溶媒を除去する態様では、中間転写体12の画像形成面12Aに処理液が多く付与されるような場合でも、中間転写体12上の溶媒が好適に除去されるため、転写部42で記録媒体14に多量の溶媒(分散媒)が転写されることはない。したがって、記録媒体14として紙類が用いられるような場合でも、カール、カックルといった水系溶媒に特徴的な問題が発生しない。
また、溶媒除去部36を用いてインク凝集体から余分な溶媒を除去することによって、インク凝集体を濃縮し、より内部凝集力を高めることができる。これによりインク凝集体に含まれる樹脂粒子の融着が効果的に促進され、転写部42による転写工程までにより強い内部凝集力をインク凝集体に付与することができる。更に、溶媒除去によるインク凝集体の効果的な濃縮により、記録媒体14に画像を転写した後も良好な定着性や光沢性を画像に付与することができる。
なお、溶媒除去部36によって、中間転写体12上の溶媒すべてを除去する必要は必ずしもない。過剰に除去しすぎてインク凝集体を濃縮しすぎるとインク凝集体の転写体の付着力が強くなりすぎて、転写に過大な圧力を必要とするため好ましくない。むしろ転写性に好適な粘弾性を保つためには、少量残留させることが好ましい。
このような溶媒除去ローラを用いる場合には、ローラのメニスカスのデッドスペース由来と思われる2μm厚程度の溶媒の残留が実証されており、本系に適応している。言い換えると、溶媒除去ローラ36Aを用いる場合には、溶媒除去ローラ36Aと中間転写体12との間にデッドスペース(両者が密着しない部分)が存在してしまうので、溶媒除去を行った後の中間転写体12には、膜厚は2μm程度の溶媒が残留してしまう。しかし、中間転写体12上に残留する溶媒によって転写性に好適な粘弾性を保つことができる。
中間転写体12上の溶媒を少量残留させることで得られる効果として、次のことが挙げられる。即ち、インク凝集体は疎水性であり、揮発しにくい溶媒成分(主にグリセリンなどの有機溶剤)は親水性であるので、インク凝集体と残留溶媒成分は溶媒除去実施後に分離し、残留溶媒成分からなる薄い液層がインク凝集体と中間転写体との間に形成される。したがって、インク凝集体の中間転写体12への付着力は弱くなり、転写性向上に有利である。
予備加熱部38は、中間転写体12の画像形成面12Aの裏面12B側に平板加熱ヒータ(図1中不図示、図8に符号89で図示)が配置されており、1次画像が形成された中間転写体12を50℃以上150℃以下の範囲で予備加熱する構成となっている。なお、平板加熱ヒータを中間転写体12に内蔵する態様も好ましい。
また、予備加熱における中間転写体12の温度は、転写時の加熱温度よりも低く設定することが好ましい。また、予備加熱温度はインク中に含有される樹脂微粒子の溶解温度(ガラス転移点温度)に応じて設定するとよい。
このように、中間転写体12の画像形成領域を予備加熱しておくことで、予備加熱を行わない場合に比べて、転写部42において所定の転写温度になるまでの時間を短縮することができ、転写部42における転写工程の全体に要する時間を短縮可能である。
記録媒体14を転写部42へ供給する給紙部39の構成としては、ロール紙(連続用紙)のマガジンを備える態様、或いは、ロール紙のマガジンに代えて、又はこれと併用して、カット紙が積層装填されたカセットによって用紙を供給する態様がある。ロール紙を使用する装置構成の場合、裁断用のカッターが設けられており、該カッターによってロール紙は所望のサイズにカットされる。紙幅や紙質等が異なる複数のマガジンやカセットを併設してもよい。
複数種類の記録媒体を利用可能な構成にした場合、メディアの種類情報を記録したバーコード或いは無線タグなどの情報記録体をマガジンに取り付け、その情報記録体の情報を所定の読取装置によって読み取ることで、使用される記録媒体の種類(メディア種)を自動的に判別し、メディア種に応じて適切なインク吐出を実現するようにインク吐出制御を行うことが好ましい。
本例に適用される記録媒体14の具体例を挙げると、普通紙、インクジェット専用紙などの浸透性媒体、コート紙などの非浸透性又は低浸透性の媒体、裏面に粘着剤と剥離ラベルの付いたシール用紙、OHPシートなどの樹脂フィルム、金属シート、布、木など様々な媒体がある。
転写部42は、ヒータ(図1中不図示、図8に複数のヒータを代表して符号89で図示)を有した転写加熱ローラ42Aが配置されており、この転写加熱ローラ42Aと、これに対向して配置される加熱加圧ニップ用の加熱対向ローラ42Bとによって中間転写体12と記録媒体14とを挟み込み、所定の温度(例えば、インクに含有する樹脂微粒子の軟化点以上の温度)に加熱しながら、所定の圧力(ニップ圧)で加圧することにより、中間転写体12上に形成された1次画像を記録媒体14に転写する構成となっている。
転写部42による転写時の加熱温度は50℃以上150℃以下が好ましい。転写部42による転写時の加熱温度が150℃以上になると、中間転写体12の変形等の問題があり、一方、50℃以下になると転写性が悪化するという問題がある。
転写部42におけるニップ圧は0.5MPa以上3.0MPa以下とする態様が好ましい。なお、転写時のニップ圧を調整するための手段としては、例えば、転写加熱ローラ42Aを図1の上下方向(符号Cで図示)に移動させる機構(駆動手段)が挙げられる。
冷却部44は、転写部42を通過して中間転写体12と記録媒体14が張り合わさった状態のものを冷却する。冷却部44には、冷却ファン等で冷気を送風する態様が適用され、冷却温度等を調整可能であることが好ましい。本例に示す冷却部44は、中間転写体12及び記録媒体14を所望の温度まで冷却するための中間転写体12の移動時間(冷却時間)が確保されている構成となっている。所望の温度に冷却した後に中間転写体12と記録媒体14と剥離することで、温度ムラ等に起因した転写不良を防止することができ、安定した画像の転写(剥離)が可能となる。
剥離部46は、中間転写体12の剥離ローラ30Eの巻き付け曲率によって、記録媒体14自身の剛性(腰の強さ)で中間転写体12から記録媒体14を剥離するように構成されている。剥離部46には、剥離爪等の剥離を促進させる手段を併用してもよい。
定着部49は、50℃以上200℃以下の範囲で温度調整可能な加熱ローラ対49Aを含んで構成され、所定の定着温度において0.5MPa以上3.0MPa以下の加圧力を付与して記録媒体14に本画像を定着させる。
本例では、下塗液及びインク液滴、凝集処理液の少なくとも1つにポリマー微粒子を含有しているので、当該ポリマー微粒子を造膜させる(画像の最表面にポリマー微粒子が溶解した薄膜が形成される)ことで、定着性・耐擦過性を向上させることができる。転写部42にて転写性と造膜化が両立することができれば、定着部49を省略する態様も可能である。
記録媒体14への画像転写終了後の中間転写体12をクリーニング(洗浄)する手段としてのクリーニング部48は、中間転写体12の画像形成面12Aに当接しながら残インク凝集体を払拭除去するブレード(不図示)と、除去された残インク凝集体を回収する回収部(不図示)を有している。なお、中間転写体12から残インクを除去するクリーニング手段の構成は、上記の例に限らず、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、粘着ロール方式或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
〔画像形成方法の説明〕
図2(a)〜(f)は、本実施形態に係る画像形成方法の各工程を模式的に図示した説明図である。以下に、図1に示すインクジェット記録装置10の構成と、図2(a)〜(f)の各工程と、を対比して本実施形態に係る画像形成方法について説明する。
図2(a)〜(f)は、本実施形態に係る画像形成方法の各工程を模式的に図示した説明図である。以下に、図1に示すインクジェット記録装置10の構成と、図2(a)〜(f)の各工程と、を対比して本実施形態に係る画像形成方法について説明する。
図1に示すクリーニング部48による洗浄工程を経た中間転写体12(画像形成面12A)には、下塗液付与部16から下塗液が付与される。この下塗液は、印字部18から打滴されるインクから着色材を取り除いた液体であるとともに、インクと反応してインクを凝集させる成分を含有していない液体である。言い換えると、下塗液はインクを凝集させない機能を有した無色透明の液体である。
なお、下塗液は、全体に対して0.2重量%以上1.0重量%以下の着色材を含有していても実質的には透明であるといえるので、最終画像の画像品質に影響を及ぼさない程度であれば、着色材を含有していてもよい。
中間転写体12に下塗液が付与されると、図2(a)に示すように、下塗液は図1の中間転写体12に浸透せず、中間転写体12上には所定の厚みtを有する下塗層22が形成される。下塗層22の厚みtは、1回の吐出動作で吐出されるインク液滴(1滴のインク液滴のサイズ)によって決められる。
例えば、1滴のインク液滴の体積viを0.1(pl)≦vi≦20(pl)とすると、下塗層22の厚みtは、1(μm)≦t≦50(μm)とすることが好ましい。また、1滴のインク液滴の体積viを0.5(pl)≦vi≦5(pl)とすると、下塗層22の厚みtは、2(μm)≦t≦20(μm)とすることが好ましい。
次いで、下塗層22が形成された中間転写体12にインク液滴24が連続して打滴される。本例に適用されるインクには、溶媒中に顔料粒子などの着色材を分散させた顔料系インクが好適に用いられる。
本例に示すインクジェット記録装置における記録密度(記録解像度)は、中間転写体12の搬送方向(副走査方向、図5参照)及び中間転写体12の搬送方向と直交する方向(主走査方向、図5参照)とも1200dpiであり、このときのインク液滴24の吐出体積viは2plである。なお、インク液滴24の吐出体積viが2plの場合、真球に換算したときの直径d1は15.6μmであり、ドットの直径d2(図2(b)に図示)は30μmである。
本例に適用される下塗液はインク液滴を凝集させる機能を有していないので、下塗層22に着弾したインク液滴24は、インク液滴24の飛翔エネルギーと界面エネルギーとの関係によって下塗層22内で十分に広がることができる。図2(b)には、下塗層22内で広がって記録媒体14’着弾したインク液滴を符号24’で図示する。
インク液滴24が連続的に順次打滴されると、隣接する打滴位置に打滴され記録媒体14’に着弾したインク液滴24’が互いに接触した状態となるが(図2(c)参照)、隣接するインク液滴24’、24’の境界部分(接触部分)にはメニスカス(気体と液体の界面)が存在しないので、インク液滴24’、24’の表面張力に起因する着弾干渉(合一)は発生せず、インク液滴24’、24’は別個に存在する。即ち、下塗層22は、インク液滴24’、24’を被覆して、インク液滴24’、24’の間にメニスカスを形成しない(存在させない)機能を有している。
なお、図2(c)には、隣接するドットを形成するインク液滴24’、24’の外周部がちょうど接触するように隣接するドットが形成される態様を例示したが、隣接するドットを形成するインク液滴24’、24’同士が互いに重なり合う場合にも着弾干渉は発生しない。
したがって、インク液滴24の真球に換算したときの直径d1と下塗層22の厚みtとの関係が、0.1≦t/d1≦3.0を満たすと、インク液滴24が下塗層22内で十分に広がることができ、かつ、下塗層22に着弾後のインク液滴24’、24’のブリードが防止される。0.1≦t/d1は、インク液滴24が下塗層22の中に入り込み、下塗層22内のインク滴敵24’24’の境界部にメニスカスが形成されないための条件であり、t/d1≦3.0は、インク液滴が中間転写体12上で十分に広がるための条件である。
なお、インク液滴24’、24’と下塗液との間には、濃度拡散による着色材の移動が発生するが、拡散速度は大きいものではなく、図2(d)に示す凝集処理液25の打滴をインク液滴の打滴から所定の時間内に行うことができれば、拡散によるドットのぼやけは許容範囲内に抑止することが可能である。
即ち、拡散によるドット径の拡大(ぼやけ)は制御することが可能である。下塗液の表面エネルギーがインク液滴24’の表面エネルギーより大きい場合は、系全体(インク液滴24’と下塗液)の表面エネルギーを低下させるために、下塗液中のインク液滴(ドット)は拡散し拡大する。即ち、(インク液滴の表面エネルギー)<(下塗液の表面エネルギー)の場合には、インク液滴24’が第1処理液に対して相対的に広がることで系全体の表面エネルギーが小さくなり安定した状態に遷移する。
しかしながら、下塗液の表面エネルギーがインク液滴24’の表面エネルギーより小さい場合には、同様の理由により系全体のエネルギーが高くなるので、下塗液中のインク液滴の拡大が抑えられる。それ以降(表面エネルギー差によってインク液滴の広がる面積が規定された以降)の熱拡散(インク液滴の拡散)は極めて遅いため、凝集処理液が供給されるまでの間(1秒以下)に拡散はほとんど進行しない。したがって、(インク液滴の表面エネルギー)>(下塗液の表面エネルギー)の場合には、インク液滴24’が下塗液に対して相対的に縮むことで系全体の表面エネルギーが小さくなり安定した状態に遷移する。
なお、濃度拡散の速度を抑制するために、下塗液はインクから着色材を除いた液体とし、下塗液とインクの組成の差を最小限とすることとが好ましい。但し、拡散速度によっては、下塗液に水を適用することも可能である。
また、濃度拡散の速度を抑制する他の方法として、下塗液(下塗層22)とインク液滴24(24’)の表面張力差をより小さくすることが考えられる。即ち、下塗液の表面張力γ1とインクの表面張力γ2との関係を、γ1≦γ2−5(mN/m)とすることで、界面エネルギーのバランスの関係でインク液滴が下塗層22内で拡散せずにその状態を維持しようとする作用を発現し、下塗層22内におけるインク液滴24’の拡散が有効的に防止され、鮮明なドットが形成される。
下塗液の表面張力γ1及びインクの表面張力γ2は、界面活性剤の含有量で調整することができる。例えば、界面活性剤の含有量を相対的に大きくすると表面張力を相対的に大きくすることができ、界面活性剤の含有量を相対的に小さくすると表面張力を相対的に小さくすることができる。
濃度拡散の速度を抑制する更に他の方法として、インクに含有する着色材を顔料(分散粒子)とし、下塗液にも分散粒子を含有させることが考えられる。インクに含有する顔料の濃度と下塗液に含有する分散粒子の濃度とのバランスを取ることによって、下塗層内におけるインク液滴の拡散が抑制される。特に、下塗液に含有する分散粒子の表面帯電の極性をインクに含有する顔料粒子の表面帯電極性(−)と同極性とすることで、顔料粒子と下塗液に含有する分散粒子との間に静電反発力が発生し、塗層内におけるインク液滴の拡散をより効果的に低減化することができる。
図2(d)には、下塗層22内のインク液滴24’、24’に対して凝集処理液25、25が打滴される状態を示す。インク液滴24’、24’と凝集処理液25、25が接触してインク液滴24’、24’の凝集反応が発現すると、インクに含有する顔料(着色材)が不溶化してインク凝集体26、26が形成される。図2(d)に図示すように、インク液滴24’、24’が十分に広がった状態を維持したまま凝集処理液と反応すると、十分に広がった状態のインク凝集体26、26が形成されるので、インク凝集体26、26と中間転写体12の間には十分な接着力が確保され、インク凝集体26、26の不安定な移動を防止することができる。
本例では、凝集処理液25の打滴密度(解像度)は、中間転写体12の搬送方向(副走査方向)及び中間転写体12の搬送方向と直交する方向(主走査方向)とも1200dpiであり、このときの凝集処理液25の打滴量(体積)vsは,vs=2plである。即ち、図1に示すインクジェット記録装置10では、インク液滴と凝集処理液の打滴条件を同一条件としている。
インク液滴24’、24’と凝集処理液25との凝集反応が終了すると、図2(f)に示すように、中間転写体12上にインク凝集体(ドット)26、26が形成される。
また、下塗液に樹脂微粒子などの微粒子水分散物を含有する態様も好ましい。図3(a)に示すように、中間転写体12に微粒子水分散物21を含有する下塗層22’を形成したのちにインク液滴(図3(a)では不図示)を打滴すると、インク液滴24’は微粒子水分散物21の存在によって下塗層22’内において移動が抑制されるので、中間転写体12の画像形成面12Aの所定の位置に固定される。図3(b)には、中間転写体12の所定の位置に固定されたインク液滴24’を図示する。
更に、凝集処理液(不図示)を打滴すると、図3(c)に示すように、所定の位置に所定のサイズを有するドット26が形成される。
微粒子水分散物21同士は分散機能を有しているので、下塗層22’内における微粒子水分散物21の移動が抑止され、微粒子水分散物21がインク液滴24の浮遊や移動を抑えるという効果を発揮するとともに、中間転写体12とインク液滴24との間に微粒子水分散物21があることで、中間転写体12とインク液滴との密着性を高める効果を発揮する。
このようにして、下塗層22(22’)内にインク凝集体(ドット)26が形成されると、溶媒除去工程、予備加熱工程、転写記録工程、剥離工程が実行される。剥離工程の後に記録媒体14には定着工程が施され、本画像が記録された記録媒体14は装置外部に排出される。一方、中間転写体12にはクリーニング工程が施され、次の画像形成が行われる。
〔ヘッドの構造〕
次に、図1及び図4に示すインクヘッド18K,18Y,18M,18C及び処理液ヘッド20の構造について詳説する。インクヘッド18K,18Y,18M,18C及び処理液ヘッド20の構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示す。
次に、図1及び図4に示すインクヘッド18K,18Y,18M,18C及び処理液ヘッド20の構造について詳説する。インクヘッド18K,18Y,18M,18C及び処理液ヘッド20の構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号50によってヘッドを示す。
図5(a)はヘッド50の構造例を示す平面透視図であり、図5(b)はその一部の拡大図である。また、図5(c)はヘッド50の他の構造例を示す平面透視図、図6はインク室ユニットの立体的構成を示す断面図(図5(a),(b)中の6−6線に沿う断面図)である。
中間転写体12上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド50におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド50は、図5(a),(b)に示すように、インク滴の吐出孔であるノズル51と、各ノズル51に対応する圧力室52等からなる複数のインク室ユニット53を千鳥でマトリクス状に(2次元的に)配置させた構造を有し、これにより、ヘッド長手方向(紙送り方向と直交する副走査方向)に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
中間転写体12の搬送方向と略直交する方向に中間転写体12の全幅に対応する長さにわたり1列以上のノズル列を構成する形態は本例に限定されない。例えば、図5(a)の構成に代えて、図5(c)に示すように、複数のノズル51が2次元に配列された短尺のヘッドブロック50’を千鳥状に配列して繋ぎ合わせることで中間転写体12の全幅に対応する長さのノズル列を有するラインヘッドを構成してもよい。また、図示は省略するが、短尺のヘッドを一列に並べてラインヘッドを構成してもよい。
各ノズル51に対応して設けられている圧力室52は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部にノズル51と供給口54が設けられている。各圧力室52は供給口54を介して共通流路55と連通されている。共通流路55はインク供給源たるインク供給タンク(図5中不図示、図7に符号60で図示)と連通しており、該インク供給タンクから供給されるインクは図6の共通流路55を介して各圧力室52に分配供給される。
圧力室52の天面を構成し共通電極と兼用される振動板56には個別電極57を備えた圧電素子58が接合されており、個別電極57に駆動電圧を印加することによって圧電素子58が変形してノズル51からインクが吐出される。インクが吐出されると、共通流路55から供給口54を通って新しいインクが圧力室52に供給される。
本例では、ヘッド50に設けられたノズル51から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子58を適用したが、圧力室52内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
かかる構造を有するインク室ユニット53を図5(b)に示す如く、主走査方向に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に多数配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
即ち、主走査方向に対してある角度θの方向に沿ってインク室ユニット53を一定のピッチdで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルのピッチPはd× cosθとなり、主走査方向については、各ノズル51が一定のピッチPで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列が1インチ当たり1200個(1200ノズル/インチ)におよぶ高密度のノズル構成を実現することが可能になる。
なお、本発明の実施に際してノズルの配置構造は図示の例に限定されず、副走査方向に1列のノズル列を有する配置構造など、様々なノズル配置構造を適用できる。
また、本発明の適用範囲はライン型ヘッドによる印字方式に限定されず、中間転写体12の幅方向の長さに満たない短尺のヘッドを中間転写体12の幅方向に走査させて当該幅方向の印字を行い、1回の幅方向の印字が終わると中間転写体12を幅方向と直交する方向に所定量だけ移動させて、次の印字領域の中間転写体12の幅方向の印字を行い、この動作を繰り返して中間転写体12の印字領域の全面にわたって印字を行うシリアル方式を適用してもよい。
〔供給系の構成〕
図7はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。なお、処理液ヘッド20についても図7に図示するインク供給系と同様の構成が備えられている。
図7はインクジェット記録装置10におけるインク供給系の構成を示した概要図である。なお、処理液ヘッド20についても図7に図示するインク供給系と同様の構成が備えられている。
インク供給タンク60はヘッド50にインクを供給する基タンクであり、図1で説明したインク貯蔵/装填部32に含まれる。インク供給タンク60の形態には、インク残量が少なくなった場合に不図示の補充口からインクを補充する方式と、タンクごと交換するカートリッジ方式とがある。使用用途に応じてインク種類を変える場合には、カートリッジ方式が適している。この場合、インクの種類情報をバーコード等で識別して、インク種類に応じた吐出制御を行うことが好ましい。
図7に示したように、インク供給タンク60とヘッド50の中間には、異物や気泡を除去するためにフィルタ62が設けられている。フィルタ・メッシュサイズは、ノズル径と同等若しくはノズル径以下(一般的には、20μm程度)とすることが好ましい。
なお、図7には示さないが、ヘッド50の近傍又はヘッド50と一体にサブタンクを設ける構成も好ましい。サブタンクは、ヘッドの内圧変動を防止するダンパー効果及びリフィルを改善する機能を有する。
また、インクジェット記録装置10には、ノズル51の乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ64と、ヘッド50のインク吐出面の清掃手段としてクリーニングブレード66が設けられている。
これらキャップ64及びクリーニングブレード66を含むメンテナンスユニットは、不図示の移動機構によってヘッド50に対して相対移動可能であり、必要に応じて所定の退避位置からヘッド50下方のメンテナンス位置に移動される。
キャップ64は、図示せぬ昇降機構によってヘッド50に対して相対的に昇降変位される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ64を所定の上昇位置まで上昇させ、ヘッド50に密着させることにより、ノズル面をキャップ64で覆う。
印字中又は待機中において、特定のノズル51の使用頻度が低くなり、ある時間以上インクが吐出されない状態が続くと、ノズル近傍のインク溶媒が蒸発してインク粘度が高くなってしまう。このような状態になると、圧電素子58が動作してもノズル51からインクを吐出できなくなってしまう。
このような状態になる前に(圧電素子58の動作により吐出が可能な粘度の範囲内で)圧電素子58を動作させ、その劣化インク(粘度が上昇したノズル近傍のインク)を排出すべくキャップ64(インク受け)に向かって予備吐出(パージ、空吐出、つば吐き、ダミー吐出)が行われる。
なお、中間転写体12に向けてインク及び凝集処理液を打滴して予備吐出を行う態様も可能である。例えば、複数の画像を連続的に形成する場合には、画像間で予備吐出を実行することが可能である。特に、同一画像を複数枚形成する場合には、特定のノズルにおいてインク(処理液)吐出の頻度が低くなり、吐出異常の発生する可能性が高くなり、当該特定のノズルについて画像間で予備吐出を行うことが好ましい。
中間転写体12に予備吐出を行う場合には、溶媒除去ローラ36Aや転写加熱ローラ42Aに予備吐出によるインク(処理液)が付着しないように、溶媒除去ローラ36A及び転写加熱ローラ42Aを移動させて、溶媒除去ローラ36A及び転写加熱ローラ42Aと中間転写体12との間に所定のクリアランス(例えば、10mm程度)を設けるとよい。
また、ヘッド50内のインク(圧力室52内)に気泡が混入した場合、圧電素子58が動作してもノズルからインクを吐出させることができなくなる。このような場合にはヘッド50にキャップ64を当て、吸引ポンプ67で圧力室52内のインク(気泡が混入したインク)を吸引により除去し、吸引除去したインクを回収タンク68へ送液する。
この吸引動作は、初期のインクのヘッドへの装填時、或いは長時間の停止後の使用開始時にも粘度上昇(固化)した劣化インクの吸い出しが行われる。なお、吸引動作は圧力室52内のインク全体に対して行われるので、インク消費量が大きくなる。したがって、インクの粘度上昇が小さい場合には予備吐出を行う態様が好ましい。
クリーニングブレード66はゴムなどの弾性部材で構成されており、図示せぬブレード移動機構によりヘッド50のインク吐出面に摺動可能である。インク吐出面にインク液滴または異物が付着した場合、クリーニングブレード66をインク吐出面に摺動させることでインク吐出面を拭き取り、インク吐出面を清掃する。
〔制御系の説明〕
図8はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、インクヘッドドライバ84等を備えている。
図8はインクジェット記録装置10のシステム構成を示す要部ブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース70、システムコントローラ72、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78、プリント制御部80、画像バッファメモリ82、インクヘッドドライバ84等を備えている。
通信インターフェース70は、ホストコンピュータ86から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース70にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。ホストコンピュータ86から送出された画像データは通信インターフェース70を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、一旦メモリ74に記憶される。
メモリ74は、通信インターフェース70を介して入力された画像を一旦格納する記憶手段であり、システムコントローラ72を通じてデータの読み書きが行われる。メモリ74は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。
システムコントローラ72は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。即ち、システムコントローラ72は、通信インターフェース70、メモリ74、モータドライバ76、ヒータドライバ78等の各部を制御し、ホストコンピュータ86との間の通信制御、メモリ74の読み書き制御等を行うとともに、搬送系のモータ88やヒータ89を制御する制御信号を生成する。
メモリ74には、システムコントローラ72のCPUが実行するプログラム及び制御に必要な各種データなどが格納されている。なお、メモリ74は、書換不能な記憶手段であってもよいし、EEPROMのような書換可能な記憶手段であってもよい。メモリ74は、画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域としても利用される。
モータドライバ76は、システムコントローラ72からの指示にしたがってモータ88を駆動するドライバである。図8には、装置内の各部に配置されるモータ(アクチュエータ)を代表して符号88で図示されている。例えば、図8に示すモータ88には、図1のローラ30A〜30Gの中の駆動ローラを駆動するモータや、溶媒除去ローラ36Aの移動機構のモータ、転写加熱ローラ42Aの移動機構のモータなどが含まれている。
ヒータドライバ78は、システムコントローラ72からの指示に従って、ヒータ89を駆動するドライバである。図8には、インクジェット記録装置10に備えられる複数のヒータを代表して符号89で図示されている。例えば、図8に示すヒータ89には、図1に示す予備加熱部38の平板加熱ヒータや、定着部49の加熱ローラ対49Aに含まれるヒータなどが含まれている。
また、図8には図示しないが、図1に示す冷却部44の冷却温度を制御する冷却制御部を備え、冷却制御部はシステムコントローラ72からの指示に従って、冷却部44の制御を行う。
転写制御部79は、転写部42の転写加熱ローラ42Aの押圧制御や温度制御を行う。記録媒体14の種類やインクの種類ごとに、転写加熱ローラ42Aの押圧最適値や温度最適値が予め求められ、データテーブル化されて所定のメモリ(例えば、メモリ74)に記憶され、記録媒体14の情報や使用インクの情報を取得すると、当該メモリを参照して転写加熱ローラ42Aの押圧や温度が制御される。
プリント制御部80は、システムコントローラ72の制御に従い、メモリ74内の画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号処理機能を有し、生成した印字データ(ドットデータ)をインクヘッドドライバ84に供給する制御部である。プリント制御部80において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、インクヘッドドライバ84を介してヘッド50のインク液滴の吐出量や吐出タイミングの制御が行われる。これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。
プリント制御部80には画像バッファメモリ82が備えられており、プリント制御部80における画像データ処理時に画像データやパラメータなどのデータが画像バッファメモリ82に一時的に格納される。また、プリント制御部80とシステムコントローラ72とを統合して1つのプロセッサで構成する態様も可能である。
下塗液付与制御部81は、図1に示す塗布ローラ16Aによる下塗液の塗布量を制御する。本例では、中間転写体12と塗布ローラ16Aとを接触、離間可能に構成し、塗布ローラ16Aを中間転写体12に接触させる時間を可変することで、下塗液の付与量を制御する。
また、塗布液容器16B(図1参照)内の下塗液の残量を検出するセンサを備え、下塗液付与制御部81は該センサから得られる情報に基づいて塗布液容器16B(図1参照)内の下塗液の残量を判断し、残量が所定量以下になると、その旨を報知する。
インクヘッドドライバ84は、プリント制御部80から与えられる画像データに基づいてヘッド50(インクヘッド18K,18Y,18M,18C)の圧電素子58に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を圧電素子58に印加して圧電素子58を駆動する駆動回路を含んで構成される。なお、図8に示すインクヘッドドライバ84には、ヘッド50の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
また、処理液ヘッドドライバ85は、プリント制御部80から与えられる画像データに基づいて処理液ヘッド20の圧電素子58に印加される駆動信号を生成するとともに、該駆動信号を圧電素子58に印加して圧電素子58駆動する駆動回路を含んで構成される。
印刷すべき画像のデータは、通信インターフェース70を介して外部から入力され、メモリ74に蓄えられる。この段階では、RGBの画像データがメモリ74に記憶される。
メモリ74に蓄えられた画像データは、システムコントローラ72を介してプリント制御部80に送られ、該プリント制御部80においてインク色ごとのドットデータ及び凝集処理液のドットデータに変換される。即ち、プリント制御部80は、入力されたRGB画像データをKCMYの4色のドットデータ及び凝集処理液のドットデータに変換する処理を行う。プリント制御部80で生成されたドットデータは、画像バッファメモリ82に蓄えられる。
なお、中間転写体12上に形成される1次画像は、転写の際に反転することを考慮して、最終的に記録媒体14に形成される本画像の鏡面画像としなければならない。即ち、インクヘッド18K,18Y,18M,18C及び処理液ヘッド20に供給される駆動信号は鏡面画像に対応した駆動信号であり、プリント制御部80にて入力画像に対して反転処理を施す必要がある。
プログラム格納部90には各種制御プログラムが格納されており、システムコントローラ72の指令に応じて、制御プログラムが読み出され、実行される。プログラム格納部290はROMやEEPROMなどの半導体メモリを用いてもよいし、磁気ディスクなどを用いてもよい。外部インターフェースを備え、メモリカードやPCカードを用いてもよい。もちろん、これらの記録媒体のうち、複数の記録媒体を備えてもよい。なお、プログラム格納部90は動作パラメータ等の記録手段(不図示)と兼用してもよい。
〔下塗液の説明〕
次に、下塗液について説明する。
次に、下塗液について説明する。
本実施形態に適用される下塗液は、処理液に含有するインクの凝集作用を発現される成分を含有していない。また、インクに含有する着色材(顔料)を含有していない。
また、本実施形態に適用される下塗液には、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤の一例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。
また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)に界面活性剤として挙げられたものも使うことができる。更に、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系、シリコーン系の界面活性剤も用いることができる。これら表面張力調整剤は消泡剤としても使用することができ、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も使用することができる。
下塗液に上述した界面活性剤を含有する態様によれば、下塗液の表面張力を相対的に下げて、中間転写体12上における下塗液のぬれ性を高め、中間転写体12上に形成される下塗液層(図2の符号22、図3の符号22’)の膜厚tをより薄くすることができる。
また、下塗液の表面張力γ1は、10(mN/m)≦γ1≦30(mN/m)であることが好ましく、インク液滴中の着色材拡散防止の観点から、下塗液の表面張力γ1はインクの表面張力γ2より小さいこと(γ1<γ2)が好ましい。下塗液付与後に打滴されるインク液滴により発生する引けを抑えるという観点からは、下塗液の表面張力γ1は、15(mN/m)≦γ1≦25(mN/m)であることが更に好ましい。
下塗液の粘度σ2は、液体吐出方式(インクジェットヘ方式)で下塗液を付与する場合には1.0(cP)≦σ2≦20.0(cP)であることが好ましい。なお、必要に応じて、下塗液にpH緩衝剤、酸化防止剤、防カビ剤、粘度調整剤、導電剤、紫外線吸収剤、等を添加してもよい。
また、先に説明したように、下塗液は微粒子水分散物(例えば、樹脂微粒子)を含有する態様も好ましい。下塗液に含まれる微粒子水分散物は、シリコンオイルやワックス、ポリマー微粒子等が好適に用いられる。
特に、微粒子水分散物としてポリマー微粒子を用いる場合には、アニオン部位とカチオン部位の両方を備えた構造が好ましい。凝集処理液(図2(a)〜(f)、図3(a)〜(c)の符号25)を打滴した後に、下塗液(図2(a)〜(f)の符号22、図3(a)〜(c)の符号22’)とインク液滴(図2(a)〜(f)、図3(a)〜(c)の符号24’)と凝集処理液の混合液がpH5未満となると、微粒子水分散物(ポリマー微粒子)がマイナスからプラスへの極性変換を起こし、インク液滴に含有する着色材との間に引力が発生し凝集力が強くなるとともに、インク液滴の凝集速度が速くなり、インク液滴は素早く凝集することができる。
〔インクの説明〕
次に、KCMY各色インクについて詳説する。本例では、溶媒中に着色材(顔料粒子)を分散させた顔料系インクが好適に用いられる。また、本例に適用されるインクには、以下に示す成分を含有している。
次に、KCMY各色インクについて詳説する。本例では、溶媒中に着色材(顔料粒子)を分散させた顔料系インクが好適に用いられる。また、本例に適用されるインクには、以下に示す成分を含有している。
(低分子分散剤)
本実施の形態に用いられる低分子分散剤は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させる目的で、添加されるものである。本実施の形態に用いられる低分子分散剤は、分子量2000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
本実施の形態に用いられる低分子分散剤は、インクを低粘度に保ちつつ、有機顔料を水溶媒に安定に分散させる目的で、添加されるものである。本実施の形態に用いられる低分子分散剤は、分子量2000以下の低分子分散剤である。また、低分子分散剤の分子量は、100〜2000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
本実施の形態において、低分子分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。また、親水性基と疎水性基は、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、また、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。また、親水性基と疎水性基を連結するための連結基も適宜有することができる。
親水性基はアニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等である。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよいが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基またはカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよいが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素またはリンのカチオン性基であることがより好ましい。また、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることがさらに好ましい。
ノニオン性基は、ポリエチレンオキシドやポリグリセリン、糖ユニットの一部等が挙げられる。
本実施の形態において、親水性基はアニオン性基であることが好ましい。アニオン性基は、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることがさらに好ましい。
また、低分子分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、pKaが3以上であることが好ましい。なお、本発明において、低分子分散剤のpKaは、テトラヒドロフラン/水(テトラヒドロフラン:水=3:2=V/V)溶液に低分子分散剤1ミリmol/l溶解させた液を、酸又はアルカリ水溶液で滴定して得られる滴定曲線から実験的に求めた値である。低分子分散剤のpKaが3以上であれば、理論上、pH3程度の処理液と接したときに、アニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。この観点からも、低分子分散剤が、アニオン性基としてカルボン酸基を有していることが好ましい。
本実施形態に用いられる酸ポリマーは、カルボン酸系の酸ポリマーが好ましく用いられる。カルボン酸のpKaは概ね3〜4であるため、酸ポリマーのpHが5未満であれば、非解離状態となり電化反発が失われ、凝集を起こす。一方、酸ポリマーのpHが5以上であれば、当該酸ポリマーはほとんど解離した状態であるので、電化反発により分散安定性を有し、凝集を起こさない。したがって、インクにはpH5未満の酸ポリマーを含有する態様が好ましい。
疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等の構造を有するが、特に、炭化水素系であることが好ましい。また、これらの疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。また疎水性基は、1本鎖状構造、又はこれ以上の鎖状構造でも
よく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
よく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。
また、疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
また、低分子分散剤の添加量については、顔料を水溶媒に均一に分散させ、かつ、インクを安定に吐出させることができる範囲が好ましく、低分子分散剤の質量Bの有機顔料の質量Cに対する質量比B/Cは0.0001以上1以下が好ましく、0.0001以上0.5以下がより好ましく、0.0001以上0.2以下がさらに好ましい。また、インクの粘度は、1mPa・s以上30mPa・s以下の範囲が好ましく、1mPa・s以上20mPa・s以下の範囲がより好ましく、2mPa・s以上15mPa・s以下の範囲がさらに好ましく、2mPa・s以上10mPa・s以下の範囲が特に好ましい。
本実施の形態に好適に用いられる低分子分散剤の具体的な例としては、下記一般式 (1)、(2)、(3)で挙げる化合物が挙げられるが、本発明は、以下の具体例に限定されるものではない。また、後述するように、一般式(1)〜(3)の低分子分散剤の中でも、一般式(2)、(3)で表される低分子分散剤が好ましく、一般式(2)で表される低分子分散剤がより好ましい。
一般式(1)
一般式(1)
一般式(1)において、R1は置換基を表わし、R2およびR3はそれぞれ水素原子又は置換基を表わす。但し、R1、R2、及びR3の炭素数の和は13以上であり、16以上であることが好ましい。Mは、水素原子又は一価のカチオンを表わす。L1は、単結合又は二価の連結基を表すが、二価の連結基としては、アミド基、スルホンアミド基、エステル基、エーテル基、又はスルフィド基であることが好ましく、アミド基であることがより好ましい。
なお、上述の置換基は、以下の置換基(以下、置換基Tと称する)を適用することができる。置換基Tの具体的な例としては、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。これらはアルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、s−ブチル、n−ヘキシル、n−オクチル、n−ラウリル)、シクロアルキル基(好ましくは炭素数5〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えばシクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)を含む〕、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−ドデシルフェニル、ナフチル、p−ヘキサデシロキシフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3〜30の5員もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル、ピリジル)、ヒドロキシル基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えばメトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、4−n−ドデシロキシフェノキシ、1−ナフトキシ)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えばアセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基、例えばN,N−ジメチルカルバモイルオキシ、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ、モルホリノカルボニルオキシ、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ、N−n−オクチルカルバモイルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくはアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ〔アニリノ〕基、例えばアミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N-メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ、ピバロイルアミノ、ラウロイルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ、例えばカルバモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ、モルホリノカルボニルアミノ)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えばメトキシカルボニルアミノ、エトキシカルボニルアミノ、t−ブトキシカルボニルアミノ、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えばフェノキシカルボニルアミノ、p-クロロフェノキシカルボニルアミノ、m-n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基、例えばスルファモイルアミノ、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ)、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ、例えばメチルスルホニルアミノ、ブチルスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ、p−メチルフェニルスルホニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えばフェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えばN−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えばメチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えばメチルスルホニル、エチルスルホニル、t-ブチルスルホニル、s-ブチルスルホニル、フェニルスルホニル、ピリジルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えばアセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えばフェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル、例えばカルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル)、イミド基(好ましくはN−スクシンイミド、N−フタルイミド)が挙げられる。
また、一般式(1)において、R1は、置換基を表すが、アルキル基、アリール基、又はヘテロ環基が好ましく、アルキル基がより好ましい。
R2は、水素原子または置換基を表すが、好ましくは置換基であり、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基、カルバモイル基であることがより好ましい。また、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、ヘテロ環チオ基であることがさらに好ましく、アリールオキシ基であることが特に好ましい。
R3は、水素原子又は置換基を表すが、水素原子又はアルキル基であることが好ましい。
Mは、水素原子又は一価のカチオンを表わし、一価のカチオンとは、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子、アンモニウム、第四級アンモニウム、イミダゾリウム、スルホニウム、ホスホニウム、ヨードニウム等が挙げられる。一価のカチオンとしては、水素原子、一価のアルカリ金属原子、又は第四級アンモニウムが好ましく、水素原子、リチウム、ナトリウム、又はカリウムがより好ましい。
また、R1〜R3の何れかに、ヘテロ元素が一以上含まれることがさらに好ましい。
一般式(1)の好ましい様態の一つとしては、例えば、R1、R2、R3、n、L1、Mがアルキル基、アリールオキシ基、水素原子、1、単結合、水素原子である組み合わせが挙げられる。
また、一般式(1)に表される分子量2000以下の低分子分散剤の好ましい例として、以下の化合物(1−1)〜(1−27)が挙げられる。
また、表1のR1、R2、R3群より選択される置換基を含む化合物も、好適に用いることができる。
また、一般式(1)のL1が、アミド基である一般式(2)及び(3)で表されることが好ましい。
一般式(2)
一般式(2)
一般式(3)
一般式(2)又は(3)において、R1は置換基を表し、R2、R3およびR4はそれぞれ水素原子または置換基を表わす。nは0〜6の整数を表す。Mは水素原子または一価のカチオンを表し、前述のMと同様である。但し、R1〜R4はスルホン酸基を有することはなく、これらの炭素数の合計は13以上(好ましくは140以下)である。ここで、置換基は、前述の置換基Tを適用することができる。
また、一般式(2)及び(3)において、R1は置換基を表すが、好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロ環オキシ基、アミノ基であり、更に好ましくはアルキル基であり、炭素数12以上のアルキル基が最も好ましい。
R2は、水素原子または置換基を表すが、置換基はアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アシル基、スルホニル基が好ましく、アルキル基がより好ましく、炭素数4以下のアルキル基がさらに好ましい。R2としては、特に、水素原子またはメチル基が好ましい。
R3およびR4は、水素原子または置換基を表すが、水素原子又はアルキル基が好まし
く、水素原子がさらに好ましい。
く、水素原子がさらに好ましい。
R1〜R4の炭素数の合計は、13〜140が好ましく、15〜100がより好ましい。
一般式(2)又は(3)の好ましい態様の一つは、例えば、R1、R2、R3、R4、n、Mが、それぞれアルキル基、メチル基、水素原子、水素原子、2、水素原子である組み合わせが挙げられる。
また、一般式(2)及び(3)に表される分子量2000以下の低分子分散剤の好ましい例として、以下の化合物(2−1)〜(2−8)、及び化合物(3−1)〜(3−6)が挙げられる。
以上の化合物(1−1)〜(1−27)、(2−1)〜(2−7)、及び化合物(3−1)〜(3−6)の分子量を、表2に示す。
(ポリマー微粒子)
本実施の形態に用いられるポリマー微粒子は、主に、インクの記録媒体への定着性及び塗布面の耐擦性を向上させることを目的として、インクに添加されるものである。このようなポリマー微粒子は、ポリマーラテックスとして水および、含水有機溶媒に分散されているものが好ましい。
本実施の形態に用いられるポリマー微粒子は、主に、インクの記録媒体への定着性及び塗布面の耐擦性を向上させることを目的として、インクに添加されるものである。このようなポリマー微粒子は、ポリマーラテックスとして水および、含水有機溶媒に分散されているものが好ましい。
本実施の形態に用いられるポリマーラテックスとしては、不飽和2重結合を有するモノマー化合物の重合体からなるものであればよく、特に限定されない。
モノマーとしては、例えば、芳香族ビニル化合物、アクリル酸及びそのエステル化合物・アミド化合物、メタクリル酸及びそのエステル化合物・アミド化合物、ビニルエステル化合物、ビニルシアン化合物、オレフィン化合物、ジエン化合物等の単独或いは共重合体が挙げられ、更に具体的にはスチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン等の芳香族ビニル単量体類;アクリル酸及びメチルアクリレート、エチルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、n−アミルアクリレート、イソアミルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、デシルアクリレート、ドデシルアクリレート、オクタデシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、グリシジルアクリレート、N、N−ジメチルアミノエチルアクリレート等のアクリル酸エステル類;アクリルアミド、N、N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、N、N−ジメチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−イソプロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド等のアクリル酸アミド化合物;メタクリル酸及びメチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、イソアミルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、等のメタクリル酸エステル類;及び酢酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニルシアン化合物類;塩化ビニリデン、塩化ビニル、等のハロゲン化単量体類;エチレン、プロピレン、イソプロピレン、等のオレフィン類;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;ビニルエーテル、ビニルケトン、ビニルピロリドン等のビニル単量体類;が挙げられる。なお、ラテックスの分散を安定化させるために、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマール酸、マレイン酸等の解離性基を有するモノマーが含まれているのがより好ましい。
ポリマーラテックスとしては、スチレンを構成モノマーとして有するスチレン系ラテックス、アクリル酸エステルを構成モノマーとして有するアクリルラテックス、酢酸ビニルを構成モノマーとして有する酢酸ビニル系ラテックスが好ましい。より好ましくは、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン―イソプレン共重合体、スチレンーアクリル酸エステル共重合体等のスチレン系ラテックス、アクリル酸エステルからなるアクリル系ラテックスである。更に好ましくは、スチレン系ラテックスであり、スチレン―ブタジエン共重合ラテックス、スチレン―イソプレン共重合ラテックス、スチレン―アクリル酸エステル共重合ラテックスであり、特に好ましくはスチレン―ブタジエン共重合ラテックスである。
スチレン−ブタジエン共重合体における、スチレンモノマー単位とブタジエンモノマー単位との質量比は、20:80〜95:5であることが好ましく、30:70〜80:20であることがより好ましく、30:70〜55:45であることがさらに好ましい。
また、スチレンモノマー単位及びブタジエンモノマー単位の、共重合体全体に占める割合は、60質量%以上99質量%以下であることが好ましい。
また、アクリル酸又はメタクリル酸を、スチレンとブタジエンとの和に対して、1質量%以上6質量%以下含有することが好ましく、2質量%以上5質量%以下含有することがより好ましい。なお、これらのポリマーラテックスは、アクリル酸を含有することが好ましい。
本実施の形態に好適に用いられるスチレン−ブタジエン−アクリル酸共重合体のラテックスとしては、市販品であるLACSTAR−3307B、7132C(大日本インキ化学工業製)、Nipol Lx416(日本ゼオン製)、ナルスターSBR(日本エイア
ンドエル製)等が挙げられる。
ンドエル製)等が挙げられる。
また、スチレンは、置換基を有するスチレンでも良く、置換基としては前述の置換基Tを適用することができる。
インクに対して、ポリマー微粒子の添加量が多い場合、定着性、耐擦性の改良効果は大きいが、この反面、インクの粘度が上昇する。したがって、ポリマー微粒子の添加量は、インクに対して、0.5質量%以上20質量%以下が好ましく、1質量%以上20質量%以下がより好ましく、3質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上15質量%以下がさらに好ましい。
したがって、ポリマー微粒子の添加量を、これ以上に多くする必要がある場合、処理液にもポリマー微粒子を含有させることが好ましい。処理液に対するポリマー微粒子の好ましい含有量は、インクの場合と同様である。
また、本実施の形態に用いられるポリマー微粒子のガラス転移温度Tgは、下記の式を用いて算出した。
[式1]
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここで、ポリマー微粒子は、i=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただし、Σはi=1からnまでの和とする。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.I
mmergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を参考にして、スチレンは100°C、ブタジエンは−85°Cとして算出した。したがって、構成するモノマーの種類は同じでも、これらのモノマーの組成比を変えることにより、Tgを制御することができる。
1/Tg=Σ(Xi/Tgi)
ここで、ポリマー微粒子は、i=1からnまでのn個のモノマー成分が共重合しているとする。Xiはi番目のモノマーの重量分率(ΣXi=1)、Tgiはi番目のモノマーの単独重合体のガラス転移温度(絶対温度)である。ただし、Σはi=1からnまでの和とする。なお、各モノマーの単独重合体ガラス転移温度の値(Tgi)は、Polymer Handbook(3rd Edition)(J.Brandrup, E.H.I
mmergut著(Wiley−Interscience、1989))の値を参考にして、スチレンは100°C、ブタジエンは−85°Cとして算出した。したがって、構成するモノマーの種類は同じでも、これらのモノマーの組成比を変えることにより、Tgを制御することができる。
本実施の形態に用いられるポリマー微粒子のガラス転移温度Tgは、インクの保存安定性の観点から、室温以上、すなわち30℃以上であることが好ましい。また、ガラス転移温度Tgは、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。ガラス転移温度Tgが高いことによって、印字サンプルのべたつき等の弊害が考えられるが、印字後に加熱することで、ガラス転移温度Tgが高いポリマー微粒子でも、べたつき等の弊害を低減することは可能である。
また、ポリマー微粒子の平均粒径は、10nm以上1μm以下の範囲が好ましく、10nm以下500nm以上の範囲がより好ましく、20nm以上200nm以下の範囲が更に好ましく、50nm以上200nm以下の範囲が特に好ましい。また、ポリマー微粒子の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つポリマー微粒子を、2種以上混合して使用してもよい。
(有機顔料)
本実施の形態に用いられるインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク等を用いることができる。
本実施の形態に用いられるインクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。また、イエロー、マゼンタ、シアン色調インク以外のレッド、グリーン、ブルー、白色インクやいわゆる印刷分野における特色インク等を用いることができる。
本実施の形態に用いられる顔料の具体的な例を以下に示す。
オレンジ又はイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185等が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7、米国特許4311775記載のシロキサン架橋アルミニウムフタロシアニン等が挙げられる。
また、ブラック用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブラック1、C.I.ピグメントブラック6、C.I.ピグメントブラック7等が挙げられる。
また、有機顔料の平均粒径は、透明性・色再現性の観点からは小さいほどよいが、耐光性の観点からは大きい方が好ましい。これらを両立する平均粒子径としては、10nm以上200nm以下が好ましく、10nm以上150nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下がさらに好ましい。また、有機顔料の粒径分布に関しては、特に制限は無く、広い粒径分布を持つもの、又は単分散の粒径分布を持つもの、いずれでもよい。また、単分散の粒径分布を持つ有機顔料を、2種以上混合して使用してもよい。
また、有機顔料の添加量は、インクに対して、1質量%以上25質量%以下であることが好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上15質量%以下が特に好ましい。
(水溶性有機溶媒)
本実施の形態に用いられる水溶性有機溶媒は、乾燥防止や湿潤促進などの目的で、使用される。また、乾燥防止剤は、インクジェット記録方式におけるノズルのインク噴射口に
おいて好適に使用され、インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する。
本実施の形態に用いられる水溶性有機溶媒は、乾燥防止や湿潤促進などの目的で、使用される。また、乾燥防止剤は、インクジェット記録方式におけるノズルのインク噴射口に
おいて好適に使用され、インクジェット用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する。
乾燥防止剤は、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶媒であることが好ましい。乾燥防止剤の具体的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。このうち、乾燥防止剤は、グリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールが好ましい。また、上記の乾燥防止剤は単独で用いても、2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤は、インク中に、10質量%以上50質量%以下含有されることが好ましい。
また、浸透促進剤は、インクを記録媒体(印刷用紙)により良く浸透させる目的で、好適に使用される。浸透促進剤の具体的な例としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を好適に用いることができる。これらの浸透促進剤は、インク組成物中に、5〜30質量%含有されることで、充分な効果を発揮する。また、浸透促進剤は、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲内で、使用されることが好ましい。
また、水溶性有機溶媒は、上記以外にも、粘度の調整にも用いられる。粘度の調整に用いることができる水溶性有機溶媒の具体的な例としては、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。なお、水溶性有機溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(その他の添加剤)
本実施の形態に用いられるその他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合は、インクに直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合は、染料分散物の調製後、分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
本実施の形態に用いられるその他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合は、インクに直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合は、染料分散物の調製後、分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.151
62、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
62、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を用いることができる。
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02重量%以上1.00重量%以下使用するのが好ましい。
pH調整剤としては、中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤はインクジェット用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット用インクがpH6以上pH10以下となるように添加するのが好ましく、pH7以上pH10以下となるように添加するのがより好ましい。
本実施の形態に用いられる表面張力調整剤としては、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、ベタイン界面活性剤等が挙げられる。
また、表面張力調整剤の添加量は、インクジェットで良好に打滴するために、インクの表面張力を20mN/m以上60mN/m以下に調整する添加量が好ましく、20mN/m以上45mN/m以下に調整する添加量がより好ましく、25mN/m以上40mN/m以下に調整する添加量がさらに好ましい。
界面活性剤の具体的な例としては、炭化水素系では脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。
更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも用いることができる。
また、特開2003−322926号、特開2004−325707号、特開2004−309806号の各公報に記載されているようなフッ素(フッ化アルキル系)系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等を用いることにより、耐擦性を良化することもできる。
また、これら表面張力調整剤は、消泡剤としても使用することができ、フッ素系化合物、シリコーン系化合物、及びEDTAに代表されるキレート剤等、も使用することができる。
〔凝集処理液の説明〕
本実施の形態に用いられる凝集処理液は、インクのpHを変化させることにより凝集物を生じさせる処理液が好ましい。このとき、凝集処理液のpHは1以上6以下であることが好ましく、pHは2以上5以下であることがより好ましく、pHは3以上5以下であることがさらに好ましい。また、処理液を酸性にするために、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が、処理液に添加される。
本実施の形態に用いられる凝集処理液は、インクのpHを変化させることにより凝集物を生じさせる処理液が好ましい。このとき、凝集処理液のpHは1以上6以下であることが好ましく、pHは2以上5以下であることがより好ましく、pHは3以上5以下であることがさらに好ましい。また、処理液を酸性にするために、フラン、ピロール、ピロリン、ピロリドン、ピロン、ピロール、チオフェン、インドール、ピリジン、キノリン構造を有し、更に官能基としてカルボキシル基を有する化合物等、例えば、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、ピロールカルボン酸、フランカルボン酸、ビリジンカルボン酸、クマリン酸、チオフェンカルボン酸、ニコチン酸、若しくはこれらの化合物の誘導体、又はこれらの塩等が、処理液に添加される。
また、上記の化合物としては、ピロリドンカルボン酸、ピロンカルボン酸、フランカルボン酸、クマリン酸、若しくはこれらの化合物誘導体、又は、これらの塩であることが好ましい。なお、これらの化合物は、1種類で使用されてもよく、2種類以上併用されてもよい。
また、上記の化合物に代えて、凝集剤が処理液に添加されてもよい。このような凝集剤としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオン及び、アルミニウムイオン、バリウムイオン、カルシウムイオン、銅イオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、マンガンイオン、ニッケルイオン、スズイオン、チタンイオン、亜
鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、および、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
鉛イオン等の多価金属イオンと、塩酸、臭素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、チオシアン酸、および、酢酸、蓚酸、乳酸、フマル酸、フマル酸、クエン酸、サリチル酸、安息香酸等の有機カルボン酸及び、有機スルホン酸の塩等が挙げられる。
また、本実施の形態に用いられる処理液は、色材(有機顔料等)が溶解及び/又は分散されているインクを凝集させるものであれば、上述のものに制限されない。処理液の具体的な例としては、インクのpHを変化させることにより凝集させる処理液(例えば 特開平7−1837号、特開2004−359841号記載の処理液)、インクに無機塩を添加し凝集させる処理液(例えば、特開平5−202328号、特開平5−208548号、特開平9−29950号記載の処理液)、荷電を持つインクの色材と逆の荷電を持つ化合物とアニオン・カチオンとで反応させ凝集させる処理液(例えば、特登2667401号、特登3466756号、特開平8−174997号、特開2001−199151号記載の処理液)、インクの溶剤組成を変化させることにより凝集させる処理液などが挙げられる。
また、凝集処理液は、本発明の効果を害しない範囲内で、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられ、前述のインクに含まれるその他の添加剤(項目5)参照)の具体的な例に示したものが適用できる。また、処理液に、上述のポリマー微粒子を含有させることにより、インクセット全体におけるポリマー微粒子の含有量を増加することができる。
〔下塗液、インク、凝集処理液の作製例〕
次に、上述した下塗液及びインク、凝集処理液の具体的な作製例を説明する。本実施形態に適用される各色インク、下塗液及び凝集処理液を以下に示す処方に従い作製した。
次に、上述した下塗液及びインク、凝集処理液の具体的な作製例を説明する。本実施形態に適用される各色インク、下塗液及び凝集処理液を以下に示す処方に従い作製した。
<下塗液の作製>
下塗液は、以下の材料を混合して作製した。
・44%SBR分散 23g
(ポリマー微粒子:アクリル酸3質量%。Tg(ガラス転移点温度)30℃
・グリセリン 5g
・ジエチレングリコール 10g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1g
・イオン交換水 61g
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された下塗液のpHを測定したところ、pH値は9.0であった。
下塗液は、以下の材料を混合して作製した。
・44%SBR分散 23g
(ポリマー微粒子:アクリル酸3質量%。Tg(ガラス転移点温度)30℃
・グリセリン 5g
・ジエチレングリコール 10g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1g
・イオン交換水 61g
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された下塗液のpHを測定したところ、pH値は9.0であった。
<顔料インクCの作製>
(顔料分散物の作製)
大日精化社製のシアニンブルーA−22(PB15:3)10g、低分子量分散剤2−1、10.0g、グリセリン4.0g、イオン交換水26gを攪拌混合させて分散液を調製した。次いで、超音波照射装置(SONICS社製 Vibra-cell VC-750、テーパーマイクロチップ:φ5mm、Ampitude:30%)を用いて、前述の分散液に、超音波を間欠照射(照射0.5秒、休止1.0秒)で2時間照射して顔料を更に分散させ、20質量%顔料分散液とした。なお、低分子量分散剤2−1は次の化学式で表される。
(顔料分散物の作製)
大日精化社製のシアニンブルーA−22(PB15:3)10g、低分子量分散剤2−1、10.0g、グリセリン4.0g、イオン交換水26gを攪拌混合させて分散液を調製した。次いで、超音波照射装置(SONICS社製 Vibra-cell VC-750、テーパーマイクロチップ:φ5mm、Ampitude:30%)を用いて、前述の分散液に、超音波を間欠照射(照射0.5秒、休止1.0秒)で2時間照射して顔料を更に分散させ、20質量%顔料分散液とした。なお、低分子量分散剤2−1は次の化学式で表される。
上述したものとは別に、以下に示す化合物を秤量攪拌混合して、混合液Iを調製した。
グリセリン 5.0g
ジエチレングリコール 10.0g
オルフィンE1010(日信化学工業製) 1.0g
イオン交換水 11.0g
この混合液Iを、攪拌した44%SBR分散液(ポリマー微粒子:アクリル酸3質量%、Tg(ガラス転移点温度)30℃)23.0gにゆっくりと滴下して攪拌混合し、混合液IIを調製した。
ジエチレングリコール 10.0g
オルフィンE1010(日信化学工業製) 1.0g
イオン交換水 11.0g
この混合液Iを、攪拌した44%SBR分散液(ポリマー微粒子:アクリル酸3質量%、Tg(ガラス転移点温度)30℃)23.0gにゆっくりと滴下して攪拌混合し、混合液IIを調製した。
また、混合液IIを上述した20質量%顔料分散液にゆっくりと滴下しながら攪拌混合して、シアン色の顔料インクC(シアンインク)を100g調製した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGを用いて、このようにして調製された顔料インクCのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
<顔料インクMの作製>
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR-122)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でマゼンタ色の顔料インクM(マゼンダインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクMのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のCromophtal Jet Magenta DMQ(PR-122)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でマゼンタ色の顔料インクM(マゼンダインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクMのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
<顔料インクYの作製>
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のIrgalite Yellow GS(PY74)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でイエロー色の顔料インクY(イエローインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクYのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
顔料インクCの調製に使用した顔料に代えて、チバ・スペシャリティーケミカルズ社のIrgalite Yellow GS(PY74)とした。顔料以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でイエロー色の顔料インクY(イエローインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクYのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
<顔料インクKの作製>
顔料インクCの調製に使用した顔料分散液をCABOT社製分散体CAB−O−JETTM_200(カーボンブラック)としたこと以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でブラック色の顔料インクK(ブラックインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクKのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
顔料インクCの調製に使用した顔料分散液をCABOT社製分散体CAB−O−JETTM_200(カーボンブラック)としたこと以外は、上述した顔料インクCの調製と同様の方法でブラック色の顔料インクK(ブラックインク)を調整した。東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された顔料インクKのpHを測定したところ、pH値は8.5であった。
<凝集処理液の作製>
凝集処理液は、以下の材料を混合して作製した。
・ジエチレングリコール 20g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1g
・2−ピロリドン−5−カルボン酸 1g
・水酸化ナトリウム 0.25g
・イオン交換水 77.8g
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された凝集処理液のpHを測定したところ、pH値は3.5であった。
〔評価実験とその評価結果〕
上記作製例に示した下塗液、インク、凝集処理液を用いて、先に説明したインクジェット記録装置10と同等のシステムにより画像記録を行い、記録画像の評価を行った。以下にその評価結果を示す。
凝集処理液は、以下の材料を混合して作製した。
・ジエチレングリコール 20g
・オルフィンE1010(日信化学工業製) 1g
・2−ピロリドン−5−カルボン酸 1g
・水酸化ナトリウム 0.25g
・イオン交換水 77.8g
東亜DKK(株)製pHメーターWM−50EGにて、このように調製された凝集処理液のpHを測定したところ、pH値は3.5であった。
〔評価実験とその評価結果〕
上記作製例に示した下塗液、インク、凝集処理液を用いて、先に説明したインクジェット記録装置10と同等のシステムにより画像記録を行い、記録画像の評価を行った。以下にその評価結果を示す。
<ドット(着色材)移動による画像乱れ評価>
(評価実験A)
次に、評価実験Aについて説明する。評価実験Aでは、本例の画像形成方法(「本例」)によって形成されたベタ画像と、従来の2液凝集方式(「比較例」)によって形成されたベタ画像と、を比較した。実験条件を図9に示す。
(評価実験A)
次に、評価実験Aについて説明する。評価実験Aでは、本例の画像形成方法(「本例」)によって形成されたベタ画像と、従来の2液凝集方式(「比較例」)によって形成されたベタ画像と、を比較した。実験条件を図9に示す。
図10には、「本例」の実験結果の画像を示し、図11には、「比較例」の実験結果の画像を示す。図10に示す「本例」の画像100では、各ドット102の形成位置の誤差はドット間ピッチの1/2以下であり、各ドット100は所定の着弾位置に固定されているといえる。
一方、図11に示す「比較例」の画像120では、凝集反応とともにドットが不安定状態となって、明らかなドット102の移動が確認された。例えば、符号122で示すドットは、図11における横方向に位置ズレを生じており、ドット間ピッチの1/2を超える形成位置の誤差を有している。また、符号124で示す2つのドットは位置ズレだけでなく一体化している。更に、符号126に示す位置には本来形成されるべきドットが存在していない。即ち、「本例」では凝集に起因するドットの位置ズレは発生せず、好ましいベタ画像が形成された。
(評価実験B)
評価実験Bでは、評価実験Aと同一の実験条件において所定の文字を描画して、「本例」と「比較例」とを目視で比較した。なお、評価実験Bにおいて、描画した文字の評価は溶媒除去前の1次画像で行った。評価実験Bの評価結果を図12に示す。
評価実験Bでは、評価実験Aと同一の実験条件において所定の文字を描画して、「本例」と「比較例」とを目視で比較した。なお、評価実験Bにおいて、描画した文字の評価は溶媒除去前の1次画像で行った。評価実験Bの評価結果を図12に示す。
図12に示すように、「本例」では描画した文字は鮮明であり、当該文字を目視で正確に認識することができた(評価○)。一方、「比較例」では描画した文字が不鮮明であり、当該文字はぼやけてしまい、目視で正確に認識することができなかった(評価×)。即ち、「本例」では凝集に起因するドットの位置ズレは発生せず、好ましい文字の描画が可能である。
(評価実験C)
評価実験Cでは、下塗液の表面張力γ1を変えたときの画像影響を評価した。下塗液の表面張力γ1を17mN/m、23mN/m、29mN/m、32mN/mとし、それぞれの場合に所定の文字を描画し、溶媒除去前の1次画像を目視して評価を行った。なお、下塗液の界面活性剤の含有量を調整して下塗液の表面張力を変え、インクの表面張力γ2は28mN/m(固定)とした。
評価実験Cでは、下塗液の表面張力γ1を変えたときの画像影響を評価した。下塗液の表面張力γ1を17mN/m、23mN/m、29mN/m、32mN/mとし、それぞれの場合に所定の文字を描画し、溶媒除去前の1次画像を目視して評価を行った。なお、下塗液の界面活性剤の含有量を調整して下塗液の表面張力を変え、インクの表面張力γ2は28mN/m(固定)とした。
評価実験Cにおいて、目視にて文字の認識が可能な場合の評価を○、更に、文字の輪郭が鮮明な場合の評価を◎とした。図13に評価実験Cの評価結果を示す。
図13に示すように、下塗液の表面張力が32mN/m、29mN/mのときには、描画された文字を認識することができ(評価○)、下塗液の表面張力が23mN/m、17mN/mのときには、描画された文字の輪郭が鮮明であった(評価◎)。
即ち、下塗液の表面張力γ1とインクの表面張力γ2との関係が、γ1≦γ2−5の関係を満たすときには(インクの表面張力γ2が28mN/m、下塗液の表面張力γ1が17mN/mのとき及び23mN/mのときには)、ドットの移動がなく、鮮明な画像形成が可能である。
(評価実験D)
評価実験Dでは、評価実験Cの実験条件のうち、インクの表面張力を24mN/mとして、同様の実験を行った。図14に評価実験Dの評価結果を示す。
評価実験Dでは、評価実験Cの実験条件のうち、インクの表面張力を24mN/mとして、同様の実験を行った。図14に評価実験Dの評価結果を示す。
図14に示すように、評価実験Dにおいて、評価実験Cと同様の結果を得ることができた。即ち、下塗液の表面張力γ2とインクの表面張力γ1との関係が、γ1≦γ2−5の関係を満たすときには(インクの表面張力γ2が24mN/m、下塗液の表面張力γ1が16mN/mのとき及び19mN/mのときには)、ドットの移動がなく、鮮明な画像形成が可能である。
<ドット広がり率の評価>
次に、ドット広がり率(=ドットの直径d2/インク液滴の真球に換算したときの直径d1)の評価について説明する。
次に、ドット広がり率(=ドットの直径d2/インク液滴の真球に換算したときの直径d1)の評価について説明する。
(評価実験E)
評価実験Eでは、上述した評価実験Aの実験条件において、下塗液のpHを調整してドットの広がりを評価した。また、凝集処理液のpHを調整して画像の鮮明度を評価した。ドットの広がりの評価では、溶媒除去前の1次画像においてドットの直径を測定し、インク吐出量から算出されたインク液滴の真球に換算したときの直径を算出して、ドット広がり率を算出した。ドットの広がりについて、ドット広がり率が1.5未満であれば評価○、ドット広がり率が1.5以上であれば評価◎とした。
評価実験Eでは、上述した評価実験Aの実験条件において、下塗液のpHを調整してドットの広がりを評価した。また、凝集処理液のpHを調整して画像の鮮明度を評価した。ドットの広がりの評価では、溶媒除去前の1次画像においてドットの直径を測定し、インク吐出量から算出されたインク液滴の真球に換算したときの直径を算出して、ドット広がり率を算出した。ドットの広がりについて、ドット広がり率が1.5未満であれば評価○、ドット広がり率が1.5以上であれば評価◎とした。
また、当該1次画像を目視して画像の鮮明度の評価を行った。目視にて文字の認識が可能な場合の評価を○、更に、文字の輪郭が鮮明な場合の評価を◎とした。図15に評価実験Eの評価結果を示す。
図15に示すように、下塗液のpHが5未満の場合には、ドット広がり率は1.5未満であり(評価○)、下塗液のpHが5以上の場合には、ドット広がり率は1.5以上となる(評価◎)。即ち、下塗層のpHを5以上にすることでドット広がり率が1.5以上となり、好ましいサイズのドットが形成される。なお、ドット広がり率の評価のしきい値を1.5に設定した理由は、以下のとおりである。
例えば、出力解像度を1200dip、ドットの直径を30μmとして画像を設計した場合に、文字品質とベタ画像の濃度を両立させるには、ドット広がり率が1.5以上であれば1滴のインク液滴(1回の吐出で吐出されるインク液滴)で1ドットを形成することができる。一方、ドット広がり率が1.5未満の場合には、1ドットを2滴以上のインク液滴で形成しなければならない。
しかし、2滴以上のインク液滴で1ドットを形成する場合には、中間転写体に付与される溶媒量が増えてしまい、溶媒除去の負荷が大きくなってしまう。また、中間転写体上の溶媒を除去しきれない場合には、余分な溶媒が記録媒体に転写されてしまい、記録媒体のカールやコックリングが懸念される。
画像の鮮明度については、凝集処理液のpHが5未満の場合には、文字の輪郭が鮮明であり(評価◎)、凝集処理液のpHが5以上であっても下塗液のpHが5未満であれば文字の輪郭が鮮明である(評価◎)。一方、凝集処理液のpH、下塗層のpHがともに5以上の場合には、目視にて文字の認識が可能である(評価○)。即ち、凝集処理液のpHが5未満の条件を満たす場合、凝集処理液のpHが5以上であっても下塗液のpHが5未満の条件を満たす場合には、輪郭が鮮明な文字の描画が可能である。
また、ドットの広がりと画像の鮮明度が両立する条件(ドット広がり率が1.5以上となり、かつ、画像の鮮明度について文字の輪郭が鮮明である条件)は、下塗液のpHが5以上、かつ、凝集処理液のpHが5未満の場合である。
上記の如く構成された本インクジェット記録装置及び画像形成方法によれば、中間転写体上に着色材を含有しない透明の液体層(下塗層22)を形成した後に、高速かつ連続的にインク液滴24を打滴すると、隣接ドットを形成する2個のインク領域の境界部でメニスカスを形成しないため、凝集化に頼ることなく表面張力のバランスの関係で発生するブリードの防止を実現可能とした。
また、インクの凝集作用が発現する前にインクを中間転写体に着弾させるので、凝集する前にインク液滴を十分に広げることができる。更に、インク液滴が十分に広がることで、インク液滴と中間転写体との間の十分な接触面積が確保され、インク液滴と中間転写体との間に十分な接着力を持たせることができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図16は、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置10’の概略構成図である。図16に示すインクジェット記録装置10’は、樹脂シートや金属シートなどの非浸透性(難浸透性、低浸透性)を有する記録媒体14’に直接画像を形成する方式が適用される。なお、図16中、図1と同一または類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図16は、本発明の第2実施形態に係るインクジェット記録装置10’の概略構成図である。図16に示すインクジェット記録装置10’は、樹脂シートや金属シートなどの非浸透性(難浸透性、低浸透性)を有する記録媒体14’に直接画像を形成する方式が適用される。なお、図16中、図1と同一または類似する部分には同一の符号を付し、その説明は省略する。
インクジェット記録装置10’は、記録媒体14’に下塗液を付与する下塗液付与部16’と、下塗液が付与されて下塗液層が形成された記録媒体14にKYMYの各色インクを記録媒体14に打滴するインクヘッド18K,18Y,18M,18Cを含む印字部18と、KYMYの各色インクが打滴された記録媒体14’に凝集処理液を打滴する処理液ヘッド20と、凝集処理液が打滴された後に記録媒体14’上に残留する溶媒成分を除去する溶媒除去ローラ36Aを含む溶媒除去部36と、を備えている。
給紙部(不図示)から送り出される記録媒体14’は、吸着ベルト搬送部130に送られる。吸着ベルト搬送部130は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも下塗液付与部16’及び印字部18、処理液ヘッド20に対向する部分が水平面(フラット面)をなすように構成されている。
ベルト33は、記録媒体14’の幅よりも広い幅を有しており、ベルト面には多数の吸引口(不図示)が形成されている。図16に示したとおり、ローラ131、132に掛け渡されたベルト133の内側において、下塗液付与部16’及び印字部18、処理液ヘッド20に対向する位置には吸着チャンバー134が設けられており、この吸着チャンバー134をポンプ135で吸引して負圧にすることによってベルト133上の記録媒体14が吸着保持される。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図16中不図示、図8に符号88で図示)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図13上の反時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録媒体14は図13の右から左へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。ベルト清掃部136の構成について詳細は図示しないが、例えば、ブラシ・ロール、吸水ロール等をニップする方式、清浄エアーを吹き掛けるエアーブロー方式、或いはこれらの組み合わせなどがある。清掃用ロールをニップする方式の場合、ベルト線速度とローラ線速度を変えると清掃効果が大きい。
なお、吸着ベルト搬送部130に代えて、ローラ・ニップ搬送機構を用いる態様も考えられるが、印字領域をローラ・ニップ搬送すると、印字直後に用紙の印字面をローラが接触するので画像が染み易いという問題がある。したがって、本例のように、印字領域では画像面を接触させない吸着ベルト搬送が好ましい。
下塗液付与部16’には、図1に示す塗布ローラ16Aを含む構成を適用してもよいし、インクジェットヘッドを適用してもよい。なお、図13に示すインクジェット記録装置10’のインク及び凝集処理液の供給系、インクヘッド18K,18Y,18M,18C及び処理液ヘッド20のメンテナンス機構、制御系については、図7及び図8に示した構成が適用される。
なお、図16に図示を省略した構成としては、給紙部から送り出された記録媒体14のカールを除去するデカール処理部、長尺の記録媒体(ロール状の記録媒体)を用いる場合に、記録媒体を所定のサイズにカットするカッター、記録媒体14を加熱するヒータなどがある。
図16に示すインクジェット記録装置10’は、記録媒体14’に下塗液、インク、凝集処理液に対して非浸透性を有する媒体(非浸透媒体)を適用するときに、特に効果を発揮する。非浸透性媒体の一例を挙げると、コート紙、OHPフィルムなどの樹脂フィルム、金属シートなどが挙げられる。なお、記録媒体14の適用範囲は非浸透性を有する媒体に限定されず、普通紙などの浸透性を有する媒体に比べて浸透速度が遅い低浸透性を有する媒体を適用してもよい。
本発明の第2実施形態によれば、非浸透性媒体(低浸透性媒体)に対して直接画像を形成する方式においても、ドット位置の異常やドット形状の異常が抑制された好ましい画像を得ることができる。
10,10’…インクジェット記録装置、12…中間転写体、14,14’…記録媒体、16…下塗液付与部、18…印字部、20…処理液ヘッド、22…下塗液(層)、24…インク液滴、25…凝集処理液、26…インク凝集体
Claims (8)
- 画像形成体上に着色材を含有するインク液を用いて画像を形成する画像形成方法であって、
前記画像形成体に対して、前記インク液に含有する着色材の凝集反応を発現させない機能を有し、実質的に透明の下塗液を付与し、前記画像形成体上に下塗層を形成する下塗液付与工程と、
前記下塗層が形成された前記画像形成体に画像データに基づいて前記インク液を液滴化して打滴するインク液滴打滴工程と、
前記インク液滴打滴工程の後に、前記画像形成体に前記インク液の凝集反応を発現させる処理液を付与する処理液付与工程と、
前記処理液付与工程の後に、前記画像形成体上の前記下塗液及び前記インク液、前記処理液の液体溶媒を除去する溶媒除去工程と、
を含み、
前記インク打滴工程において打滴されたインク液は、前記下塗層の中で前記下塗液に覆われた状態で所定の大きさに広がった後に、前記処理液工程において付与された処理液と反応して凝集作用を発現することを特徴とする画像形成方法。 - 前記下塗液の表面張力γ1と前記インク液の表面張力γ2との関係は、次式
γ1≦γ2−5(mN/m)
を満たすことを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。 - 前記下塗液は分散粒子を含有するとともに、前記インク液は着色材粒子を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成方法。
- 前記分散粒子の表面帯電極性は前記着色材粒子の表面帯電極性と同一極性であることを特徴とする請求項1、2又は3記載の画像形成方法。
- 前記下塗液のpHは5以上であり、前記インク液はpH5未満で凝集する酸ポリマーを含有し、前記凝集処理液のpHは5未満であることを特徴とする請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の画像形成方法。
- 前記溶媒除去工程の後に、前記画像形成体上に形成された画像を記録媒体に転写する転写工程を含むことを特徴とする請求項1乃至5のうち何れか1項に記載の画像形成方法。
- 画像形成体上に着色材を含有するインク液を用いて画像を形成するインクジェット記録装置であって、
画像形成体上に対して、前記インク液に含有する着色材の凝集反応を発現させない機能を有し、実質的に透明の下塗液を付与し、前記画像形成体上に下塗液層を形成する下塗液付与手段と、
前記下塗液層が形成された前記画像形成体に画像データに基づいて前記インク液を液滴化して打滴するインクジェットヘッドと、
前記インクジェットヘッドによりインク液滴が吐出された前記画像形成体に、前記インク液の凝集反応を発現させる処理液を付与する処理液付与手段と、
前記処理液付与手段により前記画像形成体上に処理液が付与された後に、前記画像形成体上の前記下塗液及び前記インク液、前記処理液の液体溶媒を除去する溶媒除去手段と、
を備えたことを特徴とするインクジェット記録装置。 - 前記溶媒除去手段により前記画像形成体上の液体溶媒が除去された後に、前記画像形成体上に形成された画像を記録媒体に転写する転写手段を備えたことを特徴とする請求項7記載のインクジェット記録装置。
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