JP2004035773A - スルホ基を有する色素化合物の製造方法 - Google Patents

スルホ基を有する色素化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】色素化合物(基質)を分解・変質させることなく、所望の数のスルホ基を有する色素化合物を得ることができる製造方法を提供する。
【解決手段】色素化合物(基質)をスルホン化してスルホ基を有する色素化合物を製造する方法において、スルホン化剤と、芳香族ニトロ化合物、芳香族ハロゲン化物、脂肪族ハロゲン化物、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸およびスルホン類から選ばれる化合物(共存物)の少なくとも1種とを前記色素化合物基質に共存させて反応させることを特徴とする、スルホ基を有する色素化合物の製造方法。
【選択図】 選択図なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はスルホ基を有する色素化合物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
色素化合物にスルホ基を導入することによって、色素化合物に親水性を付与すること、またスルホ基を誘導して所望の性能を付与する方法はこれまでにも幅広くおこなわれている。色素化合物にスルホ基を導入する例として、例えば、特開2001−64528にはメチン色素を、特開2001−139836 にはアントラピリドン色素を、特開平6−25259 にはアゾメチン色素を、Ukr. Khim. Zh. 1991 年, 57巻, 969 ページにはインダンスレン色素を、特開昭51−73530にはアントラキノン色素を、PL−78725にはアゾ色素をスルホン化する例が示されている。
【0003】
スルホン化反応の反応条件は、スルホン化反応の難易、スルホン化数(本発明においては、スルホン化反応によって導入されたスルホ基の数を意味することとする)の多少などによって様々であるが、スルホン化剤として硫酸または発煙硫酸を用いる場合が多い。しかし、スルホン化反応中に分解や官能基変換してしまうような化合物の場合、選択できる反応条件は限られてしまう。例えば、日本化学会編“新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III”1779ページ(1978年丸善)には、1−ナフトニトリルのスルホン化をクロロスルホン酸でおこなうと5−シアノ−1−ナフタレンスルホン酸が得られるが、硫酸でおこなうとシアノ基が加水分解されてしまう例が示されている。色相や各種性能を制御するためにさまざまな官能基を有する色素化合物においては、適用できる反応条件が厳しく限定されることは容易に類推できる。さらに、スルホン化数を多くするためは、スルホン化剤の当量数の増加、反応温度の向上、反応時間の延長など、反応条件を厳しくする必要があるため、条件の選択はより難しくなる。
【0004】
スルホン化反応において、溶媒を用いることは一般的におこなわれている。なお、発煙硫酸の場合には、三酸化硫黄を含む濃硫酸と見れば、実質的には濃硫酸溶媒と考えることができる。日本化学会編“新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III ”1776ページ(1978年 丸善)、および“新実験化学講座8 無機化合物の合成I ”220ページ(1976年 丸善)によれば、各種スルホン化剤を用いた場合の溶媒として、次に示すものが挙げられている。硫酸:四塩化炭素、テトラクロロエタン、酢酸、無水酢酸、酢酸エチル、エーテル、アセトニトリル、液体二酸化硫黄。三酸化硫黄:クロロホルム、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、ニトロメタン、ニトロベンゼン、液体二酸化硫黄、濃硫酸、塩化スルホニル、CFCl、二硫化炭素、四塩化炭素。クロロ硫酸:二硫化炭素、ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエタン、液体ニ酸化硫黄。三酸化硫黄錯体:ニトロメタン、アセトニトリル、トリクロロフルオロメタン。
【0005】
これらのうち、三酸化硫黄をスルホン化剤として用いる場合の溶媒としては、スルホン化剤を溶解できるだけでなく、溶媒自身が反応しないことも必要である。すなわち、三酸化硫黄を溶解できる二硫化炭素、四塩化炭素、ニトロメタンでは、室温程度でも溶媒あるいは三酸化硫黄が分解してしまうことが、日本化学会編“新実験化学講座8 無機化合物の合成I ”220 ページ(1976年 丸善)に記載されている。また、三酸化硫黄はルイス塩基となる化合物とルイス酸−塩基錯体を形成するので、混合時に激しく反応したり固体化したりするため、溶媒としての使用に適さない場合がある。
【0006】
また、本発明の課題を困難なものにしている要因として、スルホン化の進行に伴う基質から生成物への親水性の変化が大きいことが挙げられる。すなわち、親水性基を有していない化合物の場合、ハロゲン系溶媒などの疎水的溶媒に易溶する場合が多いが、スルホン化が進行するにつれて親水性が向上し、スルホン化生成物は疎水的溶媒に溶解できなくなり、反応系から析出してしまうことがある。析出した場合にはこれ以上のスルホン化は困難である。このことは疎水性の高い基質や溶媒を用いた場合や、スルホン化数が大きい場合などに顕著な問題となることは容易に推測できる。よって基質、スルホン化剤、生成物およびスルホン化数が少ない中間生成物なども溶解できる溶媒を選ぶことが必要となる。
【0007】
これまで述べたように、色素化合物をスルホン化する場合、そのスルホン化数に応じた適当なスルホン化条件が要求されるが、色素化合物の安定性と、スルホン化数のいずれも満足できるような反応条件を見つけ出すことは非常に困難であることがわかる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
色素化合物を分解・変質させることなく、所望の数のスルホ基を有する色素化合物を効率よく得ることができる製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は反応条件を種々検討した結果、スルホン化剤と特定の化合物を共存させることで、スルホ基を有する色素化合物を効率よく製造できることを見出した。
(1) 色素化合物(基質)をスルホン化してスルホ基を有する色素化合物を製造する方法において、スルホン化剤と、芳香族ニトロ化合物、芳香族ハロゲン化物、脂肪族ハロゲン化物、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸およびスルホン類から選ばれる化合物(共存物)の少なくとも1種とを前記色素化合物基質に共存させて反応させることを特徴とする、スルホ基を有する色素化合物の製造方法。
(2) 色素化合物(基質)が分子内に少なくとも1つの芳香族基を有する色素化合物であることを特徴とする、(1)に記載の色素化合物の製造方法。
(3) (2)におけるスルホン化される色素化合物(基質)が一般式 (I)で表される化合物であることを特徴とする、(2)に記載の色素化合物の製造方法。
【0010】
一般式 (I)
A−N=N−B
一般式 (I)中、AおよびBは各々独立して、置換されていてもよい複素環基を表す。
(4) 前記スルホン化剤が三酸化硫黄であることを特徴とする、(1)、(2)または(3)記載の色素化合物の製造方法。
(5) 前記共存物が、ニトロベンゼンまたはスルホランであることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の色素化合物製造方法。
(6) (3)に記載の一般式 (I)で表される化合物を、三酸化硫黄を用いてスルホン化することを特徴とするスルホ基を有する色素化合物の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明を詳細に説明する。本発明はスルホ基を有する色素化合物を製造する方法において、スルホン化剤の他に、特定の種類の化合物、すなわち芳香族ニトロ化合物、芳香族ハロゲン化物、脂肪族ハロゲン化物、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸およびスルホン類から選ばれる化合物を共存させて反応をおこなうことに特徴がある。(本発明で使用するスルホン化剤と共存して使用する化合物を、「共存物」と略する。)
本発明における共存物は、反応基質である色素化合物および/またはスルホン化剤の溶媒として機能することが期待されるが、共存物の機能としてはこれに限定されない。
【0012】
共存物を併用することで、反応系において生成物であるスルホン化された色素化合物も溶解できる場合、複数のスルホ基を有する化合物を製造することができる。また共存物を含んだ複数の化合物の混合物とすることで、反応基質と生成物および中間生成物の溶解度差を利用して反応の制御をおこなうことも可能となり、所望の数のスルホ基を化合物に導入することが比較的容易できるようになる。
【0013】
すなわち、スルホ基の数にあまり影響を受けずに化合物を溶解できる溶媒、例えば硫酸を用いた場合には、所望のスルホン化数に達してもさらにスルホン化が進行してしまい、反応の制御が困難になり、スルホン化数の異なる混合物になるために生成物の精製も容易ではなくなる。本発明においては、共存物を使用することで所望のスルホン化数に達すると析出するような反応系を構築することも可能になるため、過剰な反応を抑えることができ、目的とする色素化合物を容易に製造することができる。
よって本発明は、複数のスルホ基をスルホン化によって導入する場合に特に有効である。とりわけ3個以上5個以下のスルホ基を導入する場合に適用されることが好ましい。
【0014】
本発明におけるスルホン化剤については、例えば、日本化学会編“新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応III”1776ページ(1978年 丸善)に記載されているスルホン化反応の例で用いられているスルホン化剤が挙げられる。いずれのスルホン化剤を使用しても良いが、特に三酸化硫黄を使用することが好ましい。
なお、発煙硫酸は三酸化硫黄を濃硫酸に添加したものと見ることができるので、発煙硫酸が反応剤として使用された場合も、三酸化硫黄がスルホン化剤として使用されたものとみなすこととする。発煙硫酸は市販のものを使用しても、硫酸に任意量の三酸化硫黄を添加して調製してもよい。
【0015】
三酸化硫黄については、純粋な三酸化硫黄を固体・液体・気体いずれかの状態で使用することができる。例えば、和光純薬工業(株)によって試薬として市販されている三酸化硫黄は白色固体として入手することができるが、これをそのまま使用しても、融解させて使用しても、気化させて使用してもよい。
また、日本化学会編“新実験化学講座8 無機化合物の合成I ”220 ページ(1976年 丸善)に記載されているように、液体三酸化硫黄に安定化剤(例えばBCl、B、SOCl、NaSiF、TiCl、SbCl、スルホン酸誘導体、メチルシロキサンなど)を添加して室温で液体状態を保つようにしたものが安定化無水硫酸として市販されており、これを使用してもよい。
【0016】
続いて本発明においてスルホン化剤と共存させて使用する化合物(共存物)について説明する。共存物は、芳香族ニトロ化合物、芳香族ハロゲン化物、脂肪族ハロゲン化物、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸およびスルホン類から選ばれる化合物である。
但し、三酸化硫黄とルイス酸−塩基錯体を形成するようなルイス塩基となり得る官能基、例えばカルボニル基、アミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基などを有するものは、三酸化硫黄と激しく反応する恐れや、錯形成によって三酸化硫黄を消費して三酸化硫黄の必要量を増加させる可能性があるため、共存物として使用するためにはあまり好ましくない。しかし、ルイス塩基となる官能基を有する共存物でも、スルホン化反応の制御(スルホン化数、スルホン化の位置など)に効果がある場合においてはその限りではない。
【0017】
本発明における共存物のうち、芳香族ニトロ化合物の例としては、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、2−ニトロトルエン、3−ニトロトルエン、4−ニトロトルエン、2−クロロニトロベンゼン、3−クロロニトロベンゼン、4−クロロニトロベンゼン、2−フルオロニトロベンゼン、3−フルオロニトロベンゼン、4−フルオロニトロベンゼンなどが挙げられる。好ましくはニトロベンゼン、2−クロロベンゼン、2−ニトロトルエン、4−フルオロニトロベンゼンであり、特に好ましくはニトロベンゼンである。
【0018】
芳香族ハロゲン化物の例としては、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、ブロモベンゼン、フルオロベンゼンなどが挙げられる。好ましくはo−ジクロロベンゼン、m−ジクロロベンゼンであり、特に好ましくはo−ジクロロベンゼンである。
【0019】
脂肪族ハロゲン化物の例としては、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、テトラクロロエチレン、トリフルオロメチルベンゼンなどが挙げられる。好ましくはジクロロメタン、ジクロロエタン、トリフルオロメチルベンゼンである。
【0020】
芳香族スルホン酸の例としては、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸などが挙げられる。好ましくはベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸である。
【0021】
脂肪族スルホン酸の例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などが挙げられる。好ましくはメタンスルホン酸である。
【0022】
スルホン類の例としては、メチルスルホン、エチルスルホン、メチルビニルスルホン、ビニルスルホン、フェニルスルホン、スルホラン、2,4−ジメチルスルホラン、ブタジエンスルホンなどが挙げられる。好ましくはメチルスルホン、フェニルスルホン、スルホラン、2,4−ジメチルスルホランであり、特に好ましくはスルホランである。
【0023】
次に、本発明における色素化合物について述べる。
色素化合物としてはいずれの構造のものであっても良い。例えば、横手正夫、芝宮福松著“合成染料”(1978年 日刊工業新聞社)、P. F. Gordon,P. Gregory著“Organic Chemistry in Colour ”(1987年 Springer−Verlag )などに記載の色素の構造による分類に属するいずれの構造を有していてもよい。但し、本発明においてはスルホン化反応をおこなってスルホ基を導入することを目的とするため、スルホン化され得る構造を有していること、中でも少なくとも1つの芳香族基を有していることが好ましい。芳香族基としては複素芳香環基も含まれるが、炭化水素環からなる芳香族基が好ましい。これらの芳香族基はアリール基および置換アリール基が好ましい。アリール基は、フェニル基またはナフチル基であることが好ましく、フェニル基が特に好ましい。芳香族基の炭素原子数は6〜20であることが好ましく、6から16がさらに好ましい。
芳香族基の例には、フェニル基、p−トリル基、p−メトキシフェニル基、o−クロロフェニル基およびm−(3−スルホプロピルアミノ)フェニル基が挙げられる。
【0024】
本発明においては、スルホン化される色素化合物が一般式 (I)で表される構造を有する場合が特に好ましい。続いて一般式(I)について説明する。
【0025】
一般式 (I)
A−N=N−B
一般式 (I)中、AおよびBは各々独立して、置換されてもよい複素環基を表す。一般式 (I)で表される色素化合物はスルホン化されるため、前記複素環基としてはAまたはBの少なくとも一方にスルホン化可能な部位を有していること、またはスルホン化可能な芳香族基を置換基として有していることが必要である。前記複素環基としては、5員環または6員環から構成された複素環基が好ましく、単環構造であっても、2以上の環が縮合した多環構造であってもよい。また、前記複素環基としては、N、O、S原子のいずれかを少なくとも含む複素環基が好ましい。
【0026】
AおよびBで表される複素環基として好ましい5または6員環から構成された複素環基としては、チエニル基、フリル基、ピロリル基、インドリル基、イミダゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ピラゾリル基、インダゾリル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、イソチアゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、イソオキサゾリル基、1,2,4−チアジアゾリル基、1,3,4−チアジアゾリル基、1,2,4−オキサジアゾリル基、1,3,4−オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピリダジル基、キノリル基、イソキノリル基、フタラジニル基などが挙げられる。これらは置換基を有していても良い。複素環基上の2つの置換基が結合して縮合環を形成しても良い。また複素環基中に窒素原子を含む場合、該窒素原子は4級化されていてもよい。
【0027】
本発明における一般式 (I)で表される色素化合物の具体例としては、特開2001−279145 記載の化合物例1−1 〜1−16、2−1 〜2−20および3−1 〜3−12、特願2002−12108記載の化合物例1−1 〜1−17、2−1 〜2−23、3−1 〜3−5 、4−1 〜4−5 、5−1 〜5−5 、6−1 〜6−8 、7−1 〜7−10および8−1 〜8−3 、特願2002−12015記載の化合物例a−1 〜a−36、b−1 〜b−8 、c−1 〜c−5 、d−1 〜d−5 、e−1 〜e−5 およびf−1 〜f−5 で例示された色素化合物、およびそれらからスルホ基を取り除いた構造を有する色素化合物などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
これらの色素化合物のうちスルホ基を有するものは、これをそのままスルホン化反応の基質として使用してもよいし、その化合物からスルホ基だけを取り除いた構造を有する色素化合物をスルホン化反応に使用してもよい。また複数のスルホ基を有する場合には、スルホ基の一部のみを取り除いた構造を有する色素化合物をスルホン化反応の基質として使用してもよい。
【0028】
本発明によって得られるスルホ基を有する色素化合物は、その色素構造中のいずれの位置にスルホ基を有していてもよい。反応条件によっては、色素構造中のスルホン化可能な位置のすべてにスルホ基が導入されずに、任意の位置に任意の数だけ導入されるため、その構造は多種である。本発明において一般式 (I)で表される色素化合物をスルホン化して得られる色素化合物の構造については、実施例にて化合物例を提示する。
【0029】
本発明の一般式 (I)で表されるアゾ化合物中のアゾ基は、化合物の構造によってアゾ型およびヒドラゾ型を取り得るが、本発明においてはすべてアゾ型で記載している。その他の互変異性体が存在する場合においても、本発明においては代表的な形の一つで記載しているが、本発明の記述と異なる互変異性体も本発明の化合物に含まれる。
【0030】
続いて、本発明におけるスルホン化反応の反応条件について説明する。
本発明において、色素化合物、スルホン化剤、共存物を添加する順序としては、いずれの順序であっても良い。共存物を溶媒として使用する場合には、色素化合物と共存物をあらかじめ混合し、これにスルホン化剤を添加していく順序で添加していくことが好ましい。共存物を溶媒としない場合でも、色素化合物と共存物が混合している状態にスルホン化剤を添加していく順序が好ましい。
【0031】
本発明において反応に用いるスルホン化剤の当量数は、いずれの量であってもよいが、好ましくは、スルホン化によって導入するスルホ基1つ当たり1〜20当量であり、より好ましくは1〜10当量、さらに好ましくは2〜8当量である。
【0032】
本発明における共存物の使用量は、いずれの量であってもよい。色素化合物や共存物の構造などに依存するため、好ましい使用量を数値範囲として示すことは適切ではないが、好ましくは色素化合物を分散・溶解できる最小必要量以上である。特に所望のスルホン化数の色素化合物を得るためには、基質化合物およびスルホン化数の小さい色素化合物を分散・溶解しうる量以上で、所望のスルホン化数の色素化合物は析出する量以下となるように共存物を使用するのが好ましい。
【0033】
本発明においては、基質、スルホン化剤、共存物以外のものも使用することができる。例えば、溶媒としてスルホン化剤の溶媒の例で挙げた化合物などを使用してもよい。また、本発明の共存物を2種類以上使用してもよい。
【0034】
本発明におけるスルホン化反応の反応温度は、いずれの温度であってもよいが、−20℃から150℃が好ましい。より好ましくは−5℃から50℃であり、より好ましくは0℃から40℃である。反応時間は反応温度その他の条件によって異なるが、10分〜36時間が好ましく、30分〜12時間がより好ましい。
【0035】
本発明において、共存物のみを溶媒として使用した場合には、反応後の単離・精製においても有用である。すなわち、発煙硫酸を用いてスルホン化をおこなった場合には、過剰のスルホン化剤および硫酸を中和することが必要となり、中和で生じた塩を取り除く操作も必要となる。
一方、本発明の共存物を溶媒とした場合には、反応終了後、三酸化硫黄をクエンチできる非水系溶媒、例えばイソプロパノールを添加して、これに生成物の貧溶媒を加えて析出させ、ろ過・洗浄すれば、反応生成物を水に触れることなく取り出すことができる。得られた色素のスルホ基は−SOH あるいは色素分子内で分子内塩を形成して−SO − となっており、実質的に対塩を有していない。これを水に溶解して所望の塩基と反応させれば、所望の対塩を有する色素溶液が非常に簡便に調製できる。
【0036】
【実施例】
本発明を実施例によって更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>
色素化合物(特願2002−12108の化合物例2−1)4.8g(6mmol)とニトロベンゼン14.4mlを室温で混合して溶解させた。これを氷冷して内温20℃以下に保ちながら三酸化硫黄3.9ml(96mmol)を滴下した。得られた反応混合物は内温30℃に保持しながら3時間かくはんした。このときの反応進行度は、色素化合物にスルホ基が4個導入されたもの(特願2002−12108の化合物例6−4 およびその異性体)が主生成物(生成率86%)となっており、3個以下のものおよび5個以上のものは極少量であった。
反応混合物を氷冷し、内温を20℃以下に保ちながら2−プロパノール7.3ml を滴下した。さらに酢酸エチル200ml を添加し、氷冷下1時間攪拌した。得られた固形成分をろ過し、酢酸エチルで洗浄し、乾燥箱中で乾燥させることによって、色素化合物のテトラスルホン化体(特願2002−12108の例示化合物7−1)粗生成物を5.2g得た。収率77% 。λmax=560nm(DMSO)。
【0037】
【化1】
Figure 2004035773
【0038】
なお、反応の進行度はHPLCによって追跡した。それぞれのピークの帰属は、LC−MSによって分子量からスルホン化数を決定した。スルホン化数は同じでもスルホン化の位置などが異なる異性体の混合物となるため、スルホン化数が同じものを合計して生成率とした。
【0039】
<実施例2>
色素化合物(特願2002−12108の化合物例2−1)1.6g(2mmol)とニトロベンゼン4.8ml を室温で混合して溶解させた。これを氷冷して内温20℃以下に保ちながら三酸化硫黄1.5ml(36mmol)を滴下した。得られた反応混合物は内温30℃に保持しながら24時間かくはんした。このときの反応進行度は、スルホ基が4個導入されたもの(特願2002−12108の化合物例7−1 およびその異性体)が主生成物となっており(生成率89% )、3個以下および5個以上のものは極少量であった。
この反応混合物にさらに三酸化硫黄0.73ml(18mmol)を添加し、室温で3時間攪拌して反応進行度を確認したが、スルホ基が5個導入されたものは増加しなかった。
本発明の共存物を使用した場合に、過剰のスルホン化剤を使用して反応時間を延長しても、選択的に色素化合物(特願2002−12108の化合物例2−1)のテトラスルホン化体(特願2002−12108の化合物例7−1およびその異性体)を得ることができる。
【0040】
<実施例3>
色素化合物(特願2002−12108の化合物例2−1)2.4gとスルホラン2.4ml を室温で混合し、内温20℃以下に保ちながら濃硫酸2.4ml を滴下した。これを氷冷して内温25℃以下に保ちながら三酸化硫黄3.6ml(88mmol)を滴下した。得られた反応混合物は室温で4時間かくはんした。このときの反応進行度は、スルホ基が4個導入されたもの(特願2002−12108の化合物例7−1 およびその異性体)が主生成物となっており(生成率87% )、3個以下および5個以上のものは極少量であった。
【0041】
<比較例>
濃硫酸59.5g に色素化合物(特願2002−12108の化合物例2−1)16g(20mmol)を内温20℃以下に保ちながら分割添加した。得られた混合物はしばらく室温で攪拌したが、濃硫酸と色素化合物が混ざりにくいために色素化合物が塊になった。このまま内温25℃以下に保ちながら三酸化硫黄36.8gを滴下した。得られた反応混合物は室温で4時間攪拌したが、塊は徐々に消失していくものの完全にはなくならなかった。このときの塊ではない部分の反応進行度は、スルホ基が4個導入されたものが主生成物となっており(生成率78%)、3個のもの(約11%)および5個のもの(約2%)もそれぞれ確認された。
特願2002−12108の合成例4に倣って後処理をおこなったが、脱塩膜で脱塩をおこなうために水に溶解した際に、水に不溶の色素化合物(スルホン化反応時に塊になって反応しなかったもの)が確認された。すなわち、実施例1および3と比較して、スルホン化反応は同様におこなえるものの、色素化合物の不溶解分が発生するという問題を有している。
また、内温30℃でさらに反応を続けたところ、スルホ基が5個導入されたものが増加していき、さらに色素化合物とは全く色相の異なる分解物の生成も確認された。
すなわち、本発明の共存物を使用しない場合には、実施例2のようにスルホン化反応の制御ができない。
【0042】
【発明の効果】
本発明における共存物を使用することで、基質の不溶解物の発生による収率の低下を防ぎ、目的とするスルホン化数のものを過剰反応なしで得ることができるため、スルホ基を有する色素化合物を効率よく製造することができる。

Claims (5)

  1. 色素化合物(基質)をスルホン化してスルホ基を有する色素化合物を製造する方法において、スルホン化剤と、芳香族ニトロ化合物、芳香族ハロゲン化物、脂肪族ハロゲン化物、芳香族スルホン酸、脂肪族スルホン酸およびスルホン類から選ばれる化合物(共存物)の少なくとも1種とを前記色素化合物基質に共存させて反応させることを特徴とする、スルホ基を有する色素化合物の製造方法。
  2. 請求項1におけるスルホン化される色素化合物(基質)が一般式 (I)で表される化合物であることを特徴とする、請求項1に記載の色素化合物の製造方法。
    一般式 (I)
    A−N=N−B
    一般式 (I)中、AおよびBは各々独立して、置換されていてもよい複素環基を表す。
  3. 前記スルホン化剤が三酸化硫黄であることを特徴とする、請求項1または2に記載の色素化合物の製造方法。
  4. 前記共存物が、ニトロベンゼンまたはスルホランであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の色素化合物の製造方法。
  5. 請求項2に記載の一般式 (I)で表される化合物を、三酸化硫黄を用いてスルホン化することを特徴とするスルホ基を有する色素化合物の製造方法。
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