JP5567256B2 - 非水系顔料分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
インクジェット法の色材として有機顔料を使用する場合、カラー液晶表示装置に対する可視光の高透過率化と高コントラスト化の要望に応えるためには、顔料粒子の微細化を進め、顔料粒子径を可視光の波長以下にする必要がある。しかし、顔料粒子を微細化すると、微細化された粒子が再凝集し易く、それに起因する粒子径の増大や粘度の増大が起こり、分散状態を安定化させることが困難となる。
一方、有機顔料においては、高透過率、高コントラストを得る観点から、特に赤色系ではジケトピロロピロール系顔料を使用することが好ましい。しかし、この顔料は分散しにくく、特に顔料濃度が高い領域では、良好な分散安定性が得られていないのが現状である。
特許文献1には、顔料、分散剤、樹脂ワニス、溶剤からなる混合物を、直径0.2mm未満のマイクロビーズを使用して分散処理するカラーフィルター用着色組成物の製造方法が開示されている。しかしながら、微小メディアを用いて顔料を分散処理すると、顔料の微細化は進んでも、メディアミルの課題である分散進行に伴う再凝集の抑制や、増粘の課題を解消することはできない。
また、分散体中に存在する粗粒子、例えば、体積平均粒度分布における90%通過粒子(D90)の低減は難しく、大粒径側にテーリングした粒子径分布となる。これらの粗粒子の存在は、微細化効果を低減させる因子となるため、粗粒子をできるだけ低減することが望ましい。粗粒子を低減するために更に微細化、分散化することが考えられるが、その操作により分散体の増粘、安定性の低下、ハンドリング性の悪化が更に問題点となる。
(1)下記の第1工程及び第2工程を有する非水系顔料分散体の製造方法。
第1工程:少なくとも顔料、高分子分散剤、及び有機溶媒を含有する顔料組成物をホモジナイザーを用いて予備分散する工程
第2工程:得られた予備分散体を、粒径が0.1mm以下のメディア粒子を用いるメディア式分散機により分散処理する工程
(2)前記(1)の方法によって得られた非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
〔顔料〕
本発明に用いられる顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用できる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
色相は特に限定されるものではなく、赤色、黄色、青色、オレンジ、緑色、バイオレット等の有彩色顔料や白色顔料を用いることができる。
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。無機黒色顔料としてはカーボンブラックが好ましく、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
赤系有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、アゾレーキ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジケトピロロロピロール系顔料等が挙げられる。
アゾ顔料としてはC.I.ピグメントレッド3等の不溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド48:1等の溶性アゾ顔料、C.I.ピグメントレッド144等の縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、C.I.ピグメントブルー15:6等の銅フタロシアニン顔料等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(1)で表される、C.I.ピグメント レッド254、同255等のジケトピロロピロール系顔料が特に好ましい。
一般式(1)におけるX1及びX2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
ジケトピロロピロール系顔料の市販品としては、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、PR−254、商品名「Irgaphor Red B−CF」、「Irgaphor Red BT−CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、顔料表面に対して有機溶媒との親和性を高め、分散安定性を高めるという観点から、樹脂や高分子、顔料誘導体等により予め表面処理を施した顔料を用いてもよく、顔料組成物中に含有させて分散処理を行ってもよい。
本発明で用いられる高分子分散剤は、顔料を有機溶媒中で安定に微細化した状態で分散させうる分散剤であればよく、公知の分散剤を使用することができる。高分子分散剤は、カラーフィルター等を形成する場合はバインダーとしての働きも有すると考えられる。
高分子分散剤としては、例えば、特開平3−277673号公報、特開平10−339949号公報、特表2003−517063号公報等に記載の主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマー;特公平7−96654号公報、特開平7−207178号公報等に記載の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を有するポリエステル系オリゴマー;オルガノシロキサンポリマー(信越化学工業株式会社製、KP341、KP575等);(メタ)アクリル酸系(共)重合体(共栄油脂化学工業株式会社製、ポリフローNo.75、90、95等);その他市販品として、ゼネカ社製のソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、28000等の各種ソルスパース分散剤、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPB−821、PB−822〔組成(重量比):ポリアリルアミン/ポリカプロラクトン=5/95、Mw:8,000〕、三洋化成株式会社製のイソーネットS−20等が挙げられる。
例えば、顔料としてジケトピロロピロール系顔料、有機溶媒をPGMEAとした場合、主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がマクロモノマーからなるグラフトポリマーが好ましく、より具体的には、主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖にメタクリル酸エステルのマクロマー由来の構成単位を有するグラフトポリマー(x)や、主鎖にメタクリル酸エステルマクロマー由来の構成単位を有し、側鎖にポリオキサゾリン由来の構成単位を有するグラフトポリマー(y)等が好ましい。
これらの中では、前記のグラフトポリマー(x)がより好ましい。
グラフトポリマー(x)は、下記の主鎖と側鎖とを有するものが特に好ましい。
主鎖:N−ビニル−2−ピロリドン由来の構成単位(a)と、水酸基含有モノマー由来の構成単位(b)とを含有し、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(a)の含有量が2〜30重量%、該構成単位(b)の含有量が5〜30重量%である。
側鎖:数平均分子量が800〜4,000であるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有し、グラフトポリマー(x)中の該構成単位(c)の含有量が65〜92重量%である。
グラフトポリマー(x)中の構成単位(a)、(b)及び(c)の含有量は、グラフトポリマー(x)を製造する際の構成単位(a)、(b)及び(c)それぞれに相当するモノマーの仕込み量に相当する。
CH2=C(R4)COO(R5O)nH (3)
(式中、R4は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R5はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、nは平均付加モル数を示し、1〜60の数である。)
式(3)において、R4の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられ、R5のヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられる。nは好ましくは1〜30の数である。
R5O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン墓、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基、オキシヘプタメチレン基、オキシヘキサメチレン基及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。
その具体例としては、片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、又は片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方を意味する。
アルキル(メタ)アクリレートと共重合する他のモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーや、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー中、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上が更に好ましく、実質的に100重量%が特に好ましい。「実質的に」とは、不純物程度の量の他のモノマー由来の構成単位を含有してもよいことを意味する。
なお、アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのラウリルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる。
グラフトポリマー(x)は、N−ビニル−2−ピロリドン、水酸基含有モノマー、及びアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを含有するモノマー混合物(以下、「モノマー混合物」という)を共重合して得ることが好ましい。モノマー混合物には、本発明を損なわない範囲内で、更にアルキル(メタ)アクリレート等を含有していてもよい。
モノマー混合物中におけるN−ビニル−2−ピロリドンの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性の観点から、2〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中における水酸基含有モノマーの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性の観点から、5〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中におけるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの含有量は、顔料分散体中の(A)有機顔料の分散安定性を向上させる観点から、65〜92重量%であり、好ましくは65〜85重量%であり、より好ましくは65〜80重量%である。
溶液重合法で用いる有機溶媒としては、グラフトポリマーと親和性の高い有機溶媒が好ましく、前記の有機溶媒を用いることができる。
重合の際には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、tert−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モル当たり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加することができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、有機溶媒の種類等によって異なるが、重合温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、重合温度等の条件により異なり一概に決めることはできないが、通常1〜20時間程度である。また、重合雰囲気は、窒素ガスやアルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離法、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
有機溶媒は特に限定されず、分散処理を行う条件下で液状の有機溶媒であればよい。
有機溶媒の好適例としては、顔料と高分子分散剤との分散性の観点から、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜4の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素;シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素;プロピレングリコール等の多価アルコール;エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル等の他、酢酸エチル、シリコーンオイル、高級アルコール、油脂等及び下記一般式(2)で表される化合物等が挙げられる。
一般式(2)において、R1及びR2の炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、及びtert−ブチル基が挙げられる。これらの中では、メチル基及びエチル基が好ましい。
カラーフィルター用途等においては、ジケトピロロピロール系顔料等の顔料の分散性と、高分子分散剤の溶解性又は分散性の観点から、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、及びプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテートからなる群から選ばれる1種以上が特に好ましい。
上記の有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
分散体中の高分子分散剤の量は、分散処理過程で不足することのない添加量とすることが分散安定性を向上させる観点から好ましい。具体的には、高分子分散剤の添加量は、顔料重量に対して5重量%以上が好ましく、7重量%以上がより好ましく、10重量%以上が更に好ましく、その上限は、分散体の増粘防止や安定性向上の観点から、顔料重量に対して200重量%以下が好ましく、100重量%以下がより好ましく、80重量%以下が更に好ましい。
分散体中の溶媒の量は、顔料濃度や高分子分散剤、その他添加剤を除いた量であり、分散処理時の操作性を向上させる観点から、30重量%以上が好ましく、50重量%以上がより好ましく、70重量%以上が更に好ましい。
本発明の非水系顔料分散体の製造方法においては、下記の第1及び第2工程を行う。
第1工程:少なくとも顔料、高分子分散剤、及び有機溶媒を含有する顔料組成物をホモジナイザーを用いて予備分散する工程
第2工程:得られた予備分散体を、粒径が0.1mm以下のメディア粒子を用いるメディア式分散機により分散処理する工程
第1工程においては、まず、少なくとも顔料、高分子分散剤、及び有機溶媒を含有する顔料組成物を調製し、調製された顔料組成物をホモジナイザーを用いて予備分散処理する。顔料組成物の調製に際しては、ホモジナイザーによる予備分散処理効果を高めるために、前記顔料組成物中で顔料が均一に分散されているように、予め混合分散処理しておくことが好ましい。
前記顔料組成物の各成分の混合順序に特に制限はないが、顔料のかさ比重を考慮して生産性を高める観点、及び顔料と有機溶媒との混合のさせ易さという観点から、有機溶媒に顔料を添加することが好ましい。高分子分散剤は、顔料を添加する前後に添加することが好ましい。
ホモジナイザーは、その高衝撃力と瞬間的な高圧を伴うキャビテーション現象を発現することで、顔料凝集体を解砕し、再凝集を抑制することにより、粗粒(顔料凝集体)を低減するとともに、顔料表面近傍に存在する分散剤を再配列することで分散体の粘度を下げ、顔料粒子を安定化させることができると考えられる。
ホモジナイザーとしては、超音波ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー等が挙げられる。超音波ホモジナイザーを使用する場合は、真空引き、脱泡、脱気を行ってから分散処理することが望ましい。また、投入する分散エネルギーの使用効率の観点からは、高圧ホモジナイザーがより好ましい。
チャンバー式高圧ホモジナイザーを用いる場合に、原料の顔料に粗大粒子が多く含まれていると、チャンバーが閉塞するおそれがあるため、ジェットミル等の乾式粉砕機を用いて粗大顔料粒子を予め粉砕して微細化したり、メッシュ(金網)やストレーナー等で粗大顔料粒子を予め除去しておくことが好ましい。
顔料粒子の再凝集を抑制すると共に、分散体の粘度を下げて分散安定化を図る観点から、分散圧力は20MPa以上であることが好ましく、50MPa以上がより好ましい。また、同様の観点から、処理パス数は少なくとも1パス以上、好ましくは3パス以上、より好ましくは5パス以上である。パスさせる運転方式としては、第2工程におけるメディア式分散機同様に、循環方式、連続方式があり、パス回数分布が生じにくい観点から連続方式がより好ましい。
分散処理時の温度は特に限定されないが、5〜80℃が好ましい。
また、混合分散させる際に、粗大粒子の含有量を低減させる観点から、2回以上の予備分散処理や、異なる予備分散処理を組み合わせてもよい。予備分散処理回数は、煩雑性や生産性の観点から、好ましくは10回以下、より好ましくは5回以下である。
なお、混合分散処理した後、得られた混合分散体に粗大粒子が多い場合には、必要に応じて撹拌力よりも強力な剪断力を加えて所望の粒径となるまで微粒化したり、遠心分離機で粗大粒子を除去することもできる。
また、微粒化効果が高いメディア粒子、例えば0.1mm以上のメディア粒子、好ましくは0.2mm以上のメディア粒子を用いたメディアミル等によって1パス以上の連続分散処理を行うこともできる。微粒化効果が高いメディア粒子を用いた市販のメディアミルとしては、ダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製、0.6L−ECM)等が挙げられる。
第2工程は、第1工程で得られた予備分散体を、粒径が0.1mm以下のメディア粒子を用いるメディア式分散機により、好ましくは連続的に分散処理して、顔料を更に微粒化することを目的とした工程である。第2工程で得られた分散処理物とメディア粒子は、その後分離する。
第2工程において用いるメディア式分散機は、0.1mm以下の微細なメディア粒子を使用するもので、顔料の1次粒子近くの大きさまで分散、微粒化ができる剪断力、衝突力、粉砕力を与えることができるので好適である。
メディア式分散機としては、連続処理が可能なものが、生産性向上の観点から好適である。このようなメディア式分散機は、分散室(ミル)内にメディア粒子を滞留させ、そこを流通する予備分散体にメディア粒子による粉砕、剪断、衝突という分散エネルギーを与えながら分散を行い、同時にメディア粒子と分散処理物とを遠心分離等により分離し、分散処理物のみを分散室外に流出させる。
0.1mm以下の微小メディア粒子が使用でき、連続処理可能なメディア式分散機としては、例えば、スターミル(アシザワ・ファインテック株式会社、商品名)、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社、商品名)、DCPスーパーフロー、コスモ(日本アイリッヒ株式会社、商品名)、MSCミル(三井鉱山株式会社、商品名)等の公知の分散機が挙げられる。
前記混合液をメディア粒子から分離する方式としては、遠心分離方式、又はスクリーン方式と遠心分離方式とを組み合わせた方式等を採用することができる。
このように分散過程と分離過程とを同時にかつ連続的に行う運転方式としては循環方式と連続方式がある。循環方式としては、例えば1槽のタンクとメディア式分散機を設置し、配管により循環系を形成して循環パスさせる方法(1槽循環方式、図1参照)がある。また、連続方式としては、2槽のタンクとメディア式分散機を設置し、キャッチボール方式でパスさせる方法、1パスさせた分散液を再度元のタンクに戻し、同様のパス操作を繰り返す方法(2槽による液戻し方式、図2参照)、メディア式分散機を必要な台数直列に配列して1パスさせる方法(2槽による液戻し方式、図2参照)等が挙げられる。これらの中では、分散液がメディア式分散機へ流通パスする際のパス回数分布が生じにくい、連続方式が好ましい。なお、メディア式分散機を直列配列する場合には、分散処理後の液温が上昇することから、分散機出口には冷却器を設置することが好ましい。
顔料を微粒化するための剪断力や衝突力、粉砕力の大きさは、メディア粒子の比重が大きくなるのに伴い大きくなることから、これらの中では比較的比重が大きなセラミックメディア粒子が好ましく、耐摩耗性の点からジルコニア、チタニア等がより好ましい。また、メディア粒子としては、メディア粒子から発生するコンタミをより低減する観点からは、高周波誘導熱プラズマ法により製造されたメディア粒子を用いてもよい。が好ましい。一方、化粧品用途としては、ジルコニア等の微量金属の混入を防止する観点から、ガラスが好ましい。
前記メディア式分散機に用いるメディア粒子の粒径(直径)としては、所望のサイズを用いることができるが、メディア粒子の粒径が小さいほど、メディアからのコンタミ発生が少なくなり、さらに顔料の微粒化時間が短縮できることから、メディア粒子の粒径は0.1mm以下が好ましく、0.07mm以下がより好ましく、0.05mm以下が特に好ましく、メディア粒子と顔料分散体とを分離する観点から0.003mm以上が好ましく、0.005mm以上が好ましく、0.01mm以上が特に好ましい。
連続式のメディア式分散機における分散室内のメディア粒子の見かけの充填率は、分散室内の空間を基準にして、50〜90体積%の範囲にあることが好ましい。50体積%以下の場合、メディアによる粉砕、剪断、衝突といった効果が少なくなり、顔料の分散効果が低減される。
また、分散エネルギーの与え方にも注意を払う必要があり、処理流量を適切な範囲にし、また発熱による顔料分散体の粒径や粘度変化を防止する観点から、分散室内における1パスあたりの平均滞留時間としては、20秒〜10分の範囲が好ましい。また、平均滞留時間にパス回数をかけた総平均滞留時間としては、分散機の容量、大きさにもよるが5分〜100分の範囲が好ましい。ここでいう平均滞留時間とは分散室内においてメディア粒子の容積を除いた空間容積[L]を処理流量[L/h]で除した値を意味する。
分散処理時の温度は特に限定されないが、5〜60℃が好ましい。
前記第1及び第2工程を施すことにより、分散体中の顔料粒子が微細で、粗粒子量が極めて少なく、かつ低粘度で保存安定性に優れる非水系顔料分散体を得ることができる。
上記で得られた非水系顔料分散体は、カラーフィルター用着色組成物として有用であり、特に、低粘度分散体であるため、インクジェット法により作製されるカラーフィルター用着色組成物として有用である。すなわち、非水系顔料分散体に各種のバインダー、多官能モノマー、光重合開始剤、溶剤、添加剤等を添加することにより、カラーフィルター用着色組成物(カラーレジスト色材)として用いることができる。
バインダーとしては、(メタ)アクリル酸と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体、スチレン/無水マレイン酸共重合体とアルコール類との反応物等を挙げることができる。その重量平均分子量は、5000〜200,000が好ましい。バインダーの含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して20〜80重量%が好ましい。
多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等を挙げることができる。多官能モノマーの含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して10〜60重量%が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類を挙げることができる。特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]が好ましい。光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して0.2〜10重量%が好ましい。
製造例1(高分子分散剤の製造)
窒素導入管を備え付けた反応容器に、メタクリル酸メチル50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という。有機溶媒)25部、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)5部を量り込み、窒素シールをしながら75℃まで昇温した。次に、メタクリル酸メチル200部、PGMEA100部、前記連鎖移動剤16.7部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)2部の混合物を3時間で滴下した。その後、PGMEA125部、前記連鎖移動剤0.9部、前記重合開始剤2部の混合物を1時間かけて滴下し、更に2時間熟成し、数平均分子量2,080、重量平均分子量3,350のメタクリル酸メチルマクロマー前駆体を合成した。
次いで、窒素導入管を空気導入管に切替え、得られたマクロマー前駆体に気体ポンプで空気を吹き込み、グリシジルメタクリレート23.3部、テトラブチルアンモニウムブロミド7.9部、p−メトキシフェノール0.8部、PGMEA17部を添加し、90℃で10時間反応し、数平均分子量2,200、重量平均分子量3,500、固形分(有効分)含有量60%のメタクリル酸メチルマクロマーを得た。
得られたポリマーのゲルクロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレンを標準物質として測定した結果、数平均分子量(Mn)5,200、重量平均分子量(Mw)28,000であった。
PGMEA84部、製造例1で得られた高分子分散剤6部を混合したものに、ホモミキサー(IKAジャパン株式会社製、ウルトラタラックス)を用いて17,000rpmの撹拌下、顔料としてジケトピロロピロール系顔料10部(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、PR254:商品名「IRGAPHOR BT−CF」)を投入し、30分間撹拌混合して一次混合分散体を得た。
得られた混合物を、0.2mmφのジルコニアビーズを充填(充填率60vol%)したダイノーミル(シンマルエンタープライゼス製、0.6L−ECM)を撹拌周速8m/s、滞留時間5分の条件で、連続方式により3パス処理し、数μmの粗大粒子を分散し、二次混合分散体を得た。
次に、得られた二次混合分散体をマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、MF−110H)により150MPaの圧力で、連続方式により6パス処理した(第1工程)。
次に、0.05mmφのジルコニアビーズを充填(充填率64vol%)したウルトラアペックスミル(内容積0.17L、寿工業株式会社製、商品名)を撹拌周速6m/s、滞留時間0.6分の条件で、連続方式により50パス処理した(第2工程)(2槽による液戻し方式、図2参照)。
(粒度分布)
各工程で得られた分散体をPGMEAで300倍に希釈し、日機装株式会社製のレーザードップラー式粒度分布計「マイクロトラック UPA150」を用いて体積基準の粒度分布を測定した。
(マイクロフルイダイザー処理後の減粘率)
マイクロフルイダイザー(MF)処理前後の顔料分散体の粘度を、E型粘度計〔測定温度20℃、測定時間1分、回転数20rpm、標準ローター(1°34′×R24)〕を用いて測定し、以下の式により、MF処理後の減粘率を算出した。
MF処理後の減粘率(%)=[1−(MF処理後の分散体粘度)/(MF処理前の分散体粘度)]×100
(保存安定性)
顔料分散体の保存前の粘度を、E型粘度計〔測定温度20℃、測定時間1分、回転数20rpm、標準ローター(1°34′×R24)〕を用いて測定した。同様にして、顔料分散体を40℃で1週間保存した後の粘度を測定し、保存前後の粘度を対比することにより保存安定性を評価した。
実施例1と同様の処理を行い、第2工程で得られた50パス処理品を、再度マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、MF−110H)により150MPaの圧力で、連続方式により6パス処理した。
実施例2では、2度マイクロフルイダイザー処理を行ったので、表1のマイクロフルイダイザー処理後の減粘率は、2度目のマイクロフルイダイザー処理後の減粘率を示した。
比較例1
実施例1において、マイクロフルイダイザー処理を行わなかった以外は同様の操作を行い、同様に評価した。結果を表1に示す。
一次混合における高分子分散剤として、味の素ファインテクノ株式会社製、アジスパーPB−822〔組成(重量比):ポリアリルアミン/ポリカプロラクトン=5/95、Mw:8,000〕を用い、二次混合におけるダイノーミルの処理周速を6.5m/sとした以外は、実施例1と同様の処理を行い、同様に評価した。結果を表1に示す。
実施例4
一次混合における高分子分散剤として、味の素ファインテクノ株式会社製、アジスパーPB−822〔組成(重量比):ポリアリルアミン/ポリカプロラクトン=5/95、Mw:8,000〕を用い、二次混合におけるダイノーミルの処理周速を6.5m/sとした以外は、実施例2と同様の処理を行い、同様に評価した。結果を表1に示す。
比較例2
実施例3において、マイクロフルイダイザー処理を行わなかった以外は同様の操作を行い、同様に評価した。結果を表1に示す。
回転衝撃式乾式粉砕機(ホソカワミクロン株式会社製、ACM-2EC、12000rpm)を用いて予め粉砕したジケトピロロピロール系顔料10部(PR254:商品名「IRGAPHOR BT−CF」)、PGMEA84部、製造例1で得られた高分子分散剤6部をスターラーで混合して粉砕顔料混合物を得た。
得られた粉砕顔料混合物を、マイクロフルイダイザーにより150MPaの圧力で、連続的に6パス処理し、一次予備分散体を得た(第1工程)。
次に、第2工程を実施例1と同様の条件で行い評価した。結果を表1に示す。
比較例3
実施例5において、マイクロフルイダイザー処理を行わなかった以外は同様の操作を行い評価した。結果を表1に示す。
通常、D90を低減しようとすると、更に分散を進め、D50まで小さくする必要がある。例えば、表1の比較例1のD90は140.6nmであるが、実施例1又は2と同じ程度にD50を小さくしようとすると分散の負荷が大きくなり、粘度も高くなる。
Claims (8)
- 下記の第1工程及び第2工程を有する非水系顔料分散体の製造方法。
第1工程:少なくとも顔料、高分子分散剤、及び有機溶媒を含有する顔料組成物を高速撹拌混合装置で混合分散し、チャンバー式高圧ホモジナイザーを用いて予備分散する工程
第2工程:得られた予備分散体を、粒径が0.1mm以下のメディア粒子を用いるメディア式分散機により分散処理する工程 - 第2工程の後に、更に超音波又は高圧ホモジナイザーで処理する工程を有する、請求項1に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
- 第1工程において、チャンバー式高圧ホモジナイザーの予備分散処理前、且つ混合攪拌装置で混合分散した後に、更に0.2mm以上のメディア粒子を用いたメディア式分散機で処理する、請求項1又は2に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
- 第2工程において、第1工程で得られた予備分散体を、連続的に分散し、かつ得られた分散処理物とメディア粒子とを連続的に分離する、請求項1〜3のいずれかに記載の非水系顔料分散体の製造方法。
- メディア粒子の粒径が0.003〜0.07mmである、請求項1〜4のいずれかに記載の非水系顔料分散体の製造方法。
- 高分子分散剤が、主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖にメタクリル酸エステルマクロマー由来の構成単位を有するグラフトポリマーである、請求項1〜5のいずれかに記載の非水系顔料分散体の製造方法。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の方法によって得られた非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
- カラーフィルターがインクジェット法で作製されるものである、請求項7に記載のカラーフィルター用着色組成物。
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