JP5364359B2 - 非水系顔料分散体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非水系顔料分散体の製造方法、及び非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物に関する。
一般に、顔料を微細で安定な粒子として分散させることができれば、可視光に対する散乱が少なくなるため、塗料、インキ、化粧料、カラーフィルター等の情報材料等の幅広い分野で更に活用を図ることができる。
顔料の分散方法としては、メディアミル分散機を用いて、撹拌・混合によるせん断力・摩擦力、メディア同士の衝撃力等により、粒子を解砕・粉砕する方法が知られている。
顔料の分散工程では、分散処理を円滑に行うために、通常、高分子分散剤を過剰に使用する。そして、使用された高分子分散剤の一部は顔料に吸着するが、残りは顔料に未吸着の状態で存在する。
一方、顔料を微細化するにしたがって、過剰に使用した高分子分散剤の影響により、粒子間架橋等の相互作用が起こり易くなり、それに起因する粘度の増大が起こるため、分散状態を安定化させることが困難となる。そのため、顔料分散体の安定性を維持、確保するためには、増粘等の原因となり得る過剰な高分子分散剤を、顔料分散体から低減ないし除去することが好ましい。
顔料の分散安定性等の改善を目的として、特許文献1には、色材とポリマーからなる着色微粒子を形成後、限外ろ過又は精密ろ過した後、吸着剤による吸着処理を行い、精製する着色微粒子の水分散体の製造方法が開示され、特許文献2には、有機溶媒を含有する着色微粒子をイオン性界面活性剤を用いて水性媒体中で乳化、分散し、該有機溶媒を除去した後、吸着剤処理及び/又は限外ろ過膜処理により精製する着色微粒子分散物の精製方法が開示されている。
また、特許文献3には、乾式粉砕し最大粒径を20μm以下にした顔料であり、かつ、溶解度が1%以下である溶媒中に該顔料を濃度40質量%以下にした分散液を、限外ろ過膜又は精密ろ過膜を用いてろ過し顔料を精製する方法が開示されている。
しかしながら、特許文献1〜3は、インクジェット記録用インクに関するものであり、非水系顔料分散体に関する技術とは異なるものである。また、顔料に吸着した高分子分散剤を除去するためにアルコールを添加する等の開示はない。
特開2003−277672号公報 特開2005−23116号公報 特開2003−342493号公報
本発明は、保存安定性に優れる非水系顔料分散体の製造方法、及び得られた非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、次の(1)及び(2)を提供する。
(1)顔料、有機溶媒、及び水不溶性高分子分散剤を混合して得られる顔料分散体に、炭素数1〜5のアルコールを添加した後、ろ過処理することにより、水不溶性高分子分散剤を除去する、非水系顔料分散体の製造方法。
(2)前記(1)の方法によって得られた非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
本発明によれば、保存安定性に優れる非水系顔料分散体の効率的な製造方法、及び得られた非水系顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物を提供することができる。
本発明の非水系顔料分散体の製造方法は、顔料、有機溶媒、及び水不溶性高分子分散剤を混合して得られる顔料分散体に、炭素数1〜5のアルコールを添加した後、ろ過処理することにより、水不溶性高分子分散剤を除去することを特徴とする。以下、本発明で用いる各成分について説明する。
<顔料>
本発明に用いられる顔料としては、無機顔料及び有機顔料のいずれも使用できる。また、必要に応じて、それらと体質顔料を併用することもできる。
色相は特に限定されるものではなく、赤色、黄色、青色、オレンジ、緑色、バイオレット等の有彩色顔料や白色顔料を用いることができる。
無機顔料としては、カーボンブラック、金属酸化物、金属硫化物、金属塩化物等が挙げられる。無機黒色顔料としてはカーボンブラックが好ましく、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
体質顔料としては、シリカ、炭酸カルシウム、タルク等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
赤系有機顔料としては、例えば、アゾ系顔料、ジアゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、アゾレーキ顔料、キナクリドン顔料、ペリレン系顔料、アンスラキノン系顔料、ジケトピロロロピロール系顔料等が挙げられる。
より具体的には、Colour Index(The Society of Dyersand Colourists 出版、1997年版)でピグメント(Pigment)に分類されている化合物等が挙げられる。例えば、C.I.ピグメント イエロー12、同13、同14、同17、同20、同24、同31、同55、同74、同83、同93、同97、同109、同110、同120、同128、同137、同139、同151、同153、同154、同155、同166、同168、同173、同174、同180、C.I.ピグメント オレンジ36、同43、同51、同71、同73; C.I.ピグメント レッド9、同48、同57:1、同97、同122、同123、同146、同149、同176、同177、同180、同184、同185、同188、同202、同215、同254、同255、同264、同270、同272; C.I.ピグメント バイオレット19、同23、同29; C.I.ピグメント ブルー15、同15:1、同15:2、同15:3、同15:4、同16、同60; C.I.ピグメント グリーン7、同36; C.I.ピグメント ブラウン23、同25; C.I.ピグメント ブラック1、同7等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、下記一般式(1)で表される、C.I.ピグメント レッド254、同255等のジケトピロロピロール系顔料が特に好ましい。
Figure 0005364359
(式中、X1及びX2は、それぞれ独立して、水素原子又はハロゲン原子を示し、Y1及びY2は、それぞれ独立して、水素原子又は−SO3H基を示す。)
一般式(1)におけるX1及びX2のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子等が挙げられる。
一般式(1)で表されるジケトピロロピロール系顔料の製造方法に特に制限はない。例えば、ベンゾニトリル又はハロゲン化ベンゾニトリルとブロモ酢酸エステル等のハロゲン化酢酸エステルを、亜鉛粉末等の還元剤の存在下で反応させることにより、又は得られた化合物を更にスルホン化することにより製造することができる。
顔料は、明度Y値の向上の観点から、その平均一次粒子径を、好ましくは100nm以下、より好ましくは20〜60nmにした微粒化処理品を用いることが望ましい。顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測してその平均をその粒子の粒子径として求め、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積を、求めた粒子径を一辺とする立方体と近似して体積平均粒子径を求め、それを平均一次粒子径とする。
ジケトピロロピロール系顔料の市販品の好適例としては、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254(前記式(1)において、X1及びX2が塩素原子、Y1及びY2が水素原子である化合物)、商品名「Irgaphor Red B−CF」、「Irgaphor Red BT−CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
上記の顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、顔料表面に対して有機溶媒との親和性を高め、分散安定性を高めるという観点から、樹脂や高分子、顔料誘導体等により予め表面処理を施した顔料を用いてもよく、顔料組成物中に含有させて分散処理を行ってもよい。
<有機溶媒>
本発明で用いられる有機溶媒は、炭素数1〜5のアルコール以外であれば特に限定されないが、特にカラーフィルター用の油性インクとして用いる場合、沸点が100℃以上の高沸点有機溶媒を用いることが好ましい。このような高沸点有機溶媒としては、以下の(i)〜(v)等が挙げられる。
(i)エチレングリコールアルキルエーテル類(セロソルブ類):エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等
(ii)ジエチレングリコールアルキルエーテル類(カルビトール類):ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等
(iii)アルコール類:エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等
(iv)アルカンジイルグリコールジアルキルエーテル類:プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル等
(v)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート類:エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、エチレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルプロピオネート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等
上記有機溶媒の中では、水不溶性高分子分散剤の溶解性又は分散性と顔料の分散性の観点から、(iv)アルカンジイルグリコールモノアルキルエーテルアセテート類が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146℃)、及びジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA、沸点:247℃)が特に好ましい。
これらの有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
<水不溶性高分子分散剤>
本発明で用いられる水不溶性高分子分散剤(以下、単に「高分子分散剤」ともいう)は、顔料を有機溶媒中で安定に微細化した状態で分散させうるものであればよく、公知の水不溶性高分子分散剤を使用することができる。水不溶性高分子分散剤は、カラーフィルター等を形成する場合はバインダーとしての働きも有すると考えられる。
ここで、水不溶性高分子分散剤とは、高分子分散剤を構成するポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下、好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下であるポリマーをいう。溶解量は、ポリマーが塩生成基を有する場合は、その種類に応じて、ポリマーの塩生成基を酢酸又は水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
高分子分散剤としては、例えば、特開平3−277673号公報、特開平10−339949号公報、特表2003−517063号公報等に記載の主鎖にアミド系骨格を有し、側鎖がメタクリル酸エステルによるマクロモノマーからなるグラフトポリマー;特公平7−96654号公報、特開平7−207178号公報等に記載の脂肪族ヒドロキシカルボン酸残基を有するポリエステル系オリゴマー;オルガノシロキサンポリマー(信越化学工業株式会社製、KP341、KP575等);(メタ)アクリル酸系(共)重合体(共栄油脂化学工業株式会社製、ポリフローNo.75、90、95等);その他市販品として、ゼネカ社製のソルスパース3000、5000、9000、12000、13240、13940、17000、20000、24000、26000、28000等の各種ソルスパース分散剤、味の素ファインテクノ株式会社製のアジスパーPB−821、PB−822、PB−880〔組成(重量比):ポリアリルアミン/ポリカプロラクトン=5/95、Mw:8,000〕、三洋化成株式会社製のイソーネットS−20、ビックケミー・ジャパン株式会社製のDISPERBYK−161、DISPERBYK−2001等が挙げられる。
特に、少なくとも顔料に吸着性を有するモノマーを含む構成単位と、有機溶媒に親和性を有するモノマーを含む構成単位からなるポリマーが、分散安定性を向上する観点から好ましい。これらは顔料や有機溶媒種により適宜選択して用いることができる。
例えば、顔料としてジケトピロロピロール系顔料、有機溶媒をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)やジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)とした場合、顔料への吸着性を向上させる観点から、主鎖に下記の構成単位(a)を含むことが好ましく、顔料分散体の粘度安定性を向上させる観点から、主鎖に下記の構成単位(b)を含むことが好ましく、有機溶媒との親和性を向上させる観点から、側鎖に下記の構成単位(c)を含むことが好ましい。
主鎖:窒素原子を含有するビニルモノマー由来の構成単位(a)及び
水酸基を含有するビニルモノマー由来の構成単位(b)
側鎖:アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)
上記構成単位(a)〜(c)は、種々の目的に応じて適宜選択することができる。
〔構成単位(a)〕
高分子分散剤の主鎖に含有される構成単位(a)を形成する、窒素原子を含有するビニルモノマーとしては、アミド結合を有するビニルモノマーが好ましく、より具体的には、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類、ビニルピリジン類、含窒素スチレン系モノマー、含窒素(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、顔料への吸着性の観点から、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類が好ましく、N−ビニルピロリドンが特に好ましい。
〔構成単位(b)〕
高分子分散剤の主鎖に含有される構成単位(b)を形成する、水酸基を含有するビニルモノマーとしては、下記一般式(2)で表される化合物が挙げられる。
CH2=C(R4)COO(R5O)nH (2)
(式中、R4は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R5はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、nは平均付加モル数を示し、1〜60の数である。)
式(2)において、R4の好適例としては、メチル基、エチル基、(イソ)プロピル基等が挙げられ、R5のヘテロ原子としては、例えば、窒素原子、酸素原子、ハロゲン原子及び硫黄原子が挙げられ、R5O基の好適例としては、オキシエチレン基、オキシトリメチレン墓、オキシプロパン−1,2−ジイル基、オキシテトラメチレン基等及びこれらの2種以上の組合せからなる炭素数2〜7のオキシアルカンジイル基(オキシアルキレン基)が挙げられる。nは好ましくは1〜30の数である。
これらの中でも、顔料分散体の粘度安定性の観点から、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールメタクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
〔構成単位(c)〕
高分子分散剤の側鎖に含有される構成単位(c)を形成する、アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーは、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を有し、その片末端に重合性官能基を有するものであってもよい。アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有する側鎖は、この片末端に重合性官能基を有するアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを共重合することにより得ることができ、該構成単位(c)は、側鎖に1種又は2種以上含まれていてもよい。その具体例としては、片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートの単独重合体、又は片末端に重合性官能基を有する、アルキル(メタ)アクリレートと他のモノマーとの共重合体が挙げられる。
なお、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位(c)を形成するアルキル(メタ)アクリレートとしては、好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜3の直鎖又は分岐鎖のアルキル基を有するものが挙げられる。具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ又はターシャリー)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、(イソ)オクチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、及び(イソ)プロピル(メタ)アクリレートが特に好ましい。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、1種単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
なお、本明細書にいう「(イソ又はターシャリー)」及び「(イソ)」は、これらの基が存在している場合とそうでない場合の双方を意味し、これらの基が存在していない場合には、ノルマルであることを示す。また、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの双方を意味する。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートと共重合する他のモノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のスチレン系モノマーや、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート系マクロマー中、アルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位の含有量は、80重量%以上が好ましく、90重量%以上が更に好ましく、実質的に100重量%が特に好ましい。「実質的に」とは、不純物程度の量の他のモノマー由来の構成単位を含有してもよいことを意味する。
アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの数平均分子量は、顔料分散体の低粘度化を促進する観点から、800〜4,000であり、好ましくは1,000〜3,500であり、より好ましくは1,500〜3,000である。その数平均分子量が800以上であれば、十分な立体反発を生じて分散性を向上させることができ、4,000以下であることが顔料分散体の低粘度化に適している。
なお、アルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのラウリルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定することができる
〔高分子分散剤の特に好適な具体例〕
本発明の高分子分散剤の特に好適な具体例としては、下記の主鎖と側鎖とを有するグラフトポリマーが挙げられる。
主鎖:N−ビニル−2−ピロリドン由来の構成単位(a’)と、水酸基を含有するビニルモノマー由来の構成単位(b)とを含有し、高分子分散剤中の該構成単位(a)の含有量が2〜30重量%、該構成単位(b)の含有量が5〜30重量%である。
側鎖:数平均分子量が800〜4,000であるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有し、高分子分散剤中の該構成単位(c)の含有量が65〜92重量%である。
高分子分散剤中の構成単位(a)又は(a’)、(b)及び(c)の含有量は、高分子分散剤を製造する際の構成単位(a)又は(a’)、(b)及び(c)それぞれに相当するモノマーの仕込み量に相当する。
〔高分子分散剤の製造〕
上記の特に好適な高分子分散剤は、N−ビニル−2−ピロリドン、水酸基を含有するビニルモノマー、及びアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーを含有するモノマー混合物(以下、「モノマー混合物」という)を共重合して得ることができる。モノマー混合物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、更にアルキル(メタ)アクリレート等を含有していてもよい。
モノマー混合物中におけるN−ビニル−2−ピロリドンの含有量は、顔料分散体中の有機顔料の分散安定性の観点から、2〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中における水酸基含有モノマーの含有量は、顔料分散体中の有機顔料の分散安定性の観点から、5〜30重量%であり、好ましくは5〜25重量%であり、より好ましくは10〜20重量%である。
モノマー混合物中におけるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマーの含有量は、顔料分散体中の有機顔料の分散安定性を向上させる観点から、65〜92重量%であり、好ましくは65〜85重量%であり、より好ましくは65〜80重量%である。
高分子分散剤は、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により、前記モノマー混合物を共重合させることによって製造することができる。これらの重合法の中では、顔料分散体に有機溶媒を用いる観点から、溶液重合法が好適である。
溶液重合法で用いる有機溶媒としては、グラフトポリマーと親和性の高い有機溶媒が好ましく、前記の有機溶媒を用いることができる。
重合の際には、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、tert−ブチルペルオキシオクトエート、ジベンゾイルペルオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。
ラジカル重合開始剤の量は、モノマー混合物1モル当たり、好ましくは0.001〜5モル、より好ましくは0.01〜2モルである。
重合の際には、さらに、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の重合連鎖移動剤を添加することができる。
モノマー混合物の重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、有機溶媒の種類等によって異なるが、重合温度は、通常30〜100℃、好ましくは50〜80℃であり、重合時間は、重合温度等の条件により異なり一概に決めることはできないが、通常1〜20時間程度である。また、重合雰囲気は、窒素ガスやアルゴン等の不活性ガス雰囲気であることが好ましい。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。また、得られたポリマーは、再沈澱を繰り返したり、膜分離法、クロマトグラフ法、抽出法等により、未反応のモノマー等を除去して精製することができる。
得られる高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は、顔料分散体中の有機顔料、特にジケトピロロピロール系顔料の分散安定性を向上させる観点から、5,000〜200,000が好ましく、5,000〜100,000が更に好ましく、6,000〜70,000が特に好ましい。なお、ポリマーの重量平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのラウリルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲルクロマトグラフィー(GPC)法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
〔顔料分散体の組成〕
顔料分散体中の顔料の量は、分散時の生産性を向上させる観点から、好ましくは1重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは10重量%以上である。また、分散時のハンドリング性を確保する観点から、好ましくは60重量%以下、より好ましくは50重量%以下、更に好ましくは40重量%以下である。
顔料分散体中の溶媒の量は、顔料濃度や高分子分散剤、その他添加剤を除いた量であり、分散処理時の操作性を向上させる観点から30重量%以上、好ましくは50重量%以上、更に好ましくは70重量%以上である。
顔料分散体中の高分子分散剤の量は、分散処理過程で不足する事のない添加量とする事が分散安定性を向上させる観点から好ましい。具体的には、顔料重量に対して、5重量%以上、好ましくは7重量%以上、より好ましくは10重量%以上である。また、分散体の適度な粘度が得る観点から、顔料重量に対して、200重量%以下、好ましくは100重量%以下、より好ましくは80重量%以下である。
<非水系顔料分散体の製造>
本発明の非水系顔料分散体の製造方法においては、下記の工程(1)及び(2)を行う。
工程(1):顔料、有機溶媒、及び高分子分散剤を混合して顔料分散体を得る工程
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散体に、炭素数1〜5のアルコールを添加した後、ろ過処理して、高分子分散剤を除去する工程
〔工程(1)〕
工程(1)においては、顔料、有機溶媒、及び高分子分散剤を混合することにより得られる混合物(以下、単に「混合物」という)を分散処理して、顔料分散体を得る工程である。
各成分の混合順序に特に制限はないが、顔料のかさ比重を考慮して生産性を高める観点、及び顔料と有機溶媒との混合させ易さという観点から、有機溶媒に顔料を添加することが好ましい。高分子分散剤は、顔料を添加する前後に添加することが好ましい。
混合物を、本分散だけで平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは予備分散させた後、さらに剪断応力を加えて本分散を行い、平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。
(予備分散)
混合物を予備分散する場合に用いる混合装置としては、アンカー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。混合撹拌装置の中では、ウルトラディスパー(淺田鉄工株式会社、商品名)、エバラマイルダー(株式会社荏原製作所、商品名)、TKホモミクサー、TKパイプラインミクサー、TKホモジェッター、TKホモミックラインフロー、フィルミックス(以上、プライミクス株式会社、商品名)、ウルトラタラックス、DISPAX-REACTOR、コロイドミル、CMS、MHD(IKAジャパン株式会社、商品名)、クリアミックス(エム・テクニック株式会社、商品名)、ケイディーミル(キネティック・ディスパージョン社、商品名)等の高速撹拌混合装置が好ましい。
また、混合物を予備分散する場合、工程(1)後の粗大粒子の含有量を低減させる観点から、2回以上の予備分散処理や、異なる予備分散処理を組み合わせてもよい。予備分散処理回数は、煩雑性や生産性の観点から、好ましくは10回以下、より好ましくは5回以下である。
例えば、予備分散後における顔料の平均粒径(体積平均粒度分布における50%通過粒子径:D50)を0.2μm以下、好ましくは0.15μm以下に調整することが好ましい。また、粗大粒子の含有量を低減させる観点から、予備分散後におけるD90(体積平均粒度分布における90%通過粒子径)を1μm以下にすることが好ましく、0.6μm以下にすることが更に好ましく、0.4μm以下にすることが特に好ましい。なお、平均粒径(D50)、及びD90は、上記粒径範囲が測定可能な動的光散乱式粒度分布計やレーザードップラー式粒度分布計等によって測定することができる。
(本分散)
本分散に用いる混合装置としては、例えば、ロールミル、ニーダー、エクストルーダ等の混練機、スターミル(アシザワ・ファインテック株式会社、商品名)、ウルトラアペックスミル(寿工業株式会社、商品名)、ピコミル(淺田鉄工株式会社、商品名)、DCPスーパーフロー、コスモ(日本アイリッヒ株式会社、商品名)、MSCミル(三井鉱山株式会社、商品名)等のビーズミル、高圧ホモゲナイザー〔株式会社イズミフードマシナリ、商品名〕、ミニラボ8.3H型〔Rannie社、商品名〕に代表されるホモバルブ式の高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー〔Microfluidics 社、商品名〕、ナノマイザー〔ナノマイザー株式会社、商品名〕、アルティマイザー〔スギノマシン株式会社、商品名〕、ジーナスPY(白水化学株式会社、商品名)、DeBEE2000(日本ビーイーイー株式会社、商品名)等のチャンバー式の高圧ホモジナイザー等が挙げられる。
また、工程(1)後の粗大粒子の含有量を低減させる観点から、2回以上の本分散処理や、異なる本分散処理を組み合わせてもよい。
これらの中では、混合物に含まれている顔料の小粒子径化の観点から、本分散装置としてはビーズミルが好ましい。
〔工程(2)〕
工程(2)は、工程(1)で得られた顔料分散体に、炭素数1〜5のアルコールを添加した後、ろ過処理して、高分子分散剤を除去する工程である。このろ過処理によって、工程(1)で発生した不安定な顔料に吸着していない高分子分散剤の含有量を低減し、顔料に余剰に吸着した高分子分散剤を除去し、顔料分散体を精製することができる。
(炭素数1〜5のアルコール)
炭素数1〜5のアルコールとしては、炭素数1〜5の飽和一価アルコールが好ましく、例えばメタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、各種ペンチルアルコール等が挙げられる。これらの中では、炭素数2又は3の飽和一価アルコールが好ましく、エタノールが特に好ましい。炭素数1〜5のアルコールの添加量は、顔料分散体100部に対して、好ましくは10〜1000部であり、より好ましくは30〜500部である。
(ろ過処理)
ろ過処理の方法に特に制限はないが、限外ろ過処理及び/又は精密ろ過処理が好ましい。ろ過処理の方式は特に制限はなく、全量ろ過方式でもクロスフローろ過方式でもよいが、供給する分散体中の懸濁物質等が膜面に堆積するのを防止等の観点から、クルスフローろ過方式が好ましい。用いるろ過膜の孔径としては、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)等の孔径域を使用し得る。ろ過膜の孔径は、好ましくは1〜50nm、より好ましくは2〜30nm、更に好ましくは3〜20nmである。
用いられるろ過膜としては、有機溶媒により劣化しないものであれば特に限定されない。例えば、セルロース膜、304及び316ステンレススチール膜、漂白コットン膜、ポリスルホン(PS)膜、ポリプロピレン(PP)膜、ポリエーテルサルフォン(PES)膜、ポリエチレンテレフタレート(PET)膜、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)膜、ポリカーボネイト(PCTE)膜、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)等の各種の材料を主原料とするろ過膜が挙げられる。これらの中でも、ポリスルホン(PS)膜、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)膜、ポリエーテルサルフォン(PES)膜、ポリエチレンテレフタレート(PET)膜、ポリフッ化ビニルデン膜及びポリカーボネイト(PCTE)膜が好ましく、ポリエーテルサルフォン(PES)膜が更に好ましい。
精密ろ過に用いられるろ過膜としては、ろ材の内部で異物を捕捉するデプスタイプ(厚みろ過型)や、ろ材の表面で異物を捕捉するサーフェスタイプ(面ろ過型)が挙げられる。精密ろ過に用いられるろ過膜の市販品としては、サーフェスタイプについては、株式会社日本触媒製のエポセル、日本ポール株式会社製のポールセル等のセルロース膜、日本ポール株式会社製のリジメッシュ等の304ステンレススチール膜、ロキテクノ株式会社製のミクロピュア等のポリプロピレン膜、ロキテクノ株式会社製のサスピュア等の316ステンレススチール膜、東洋濾紙株式会社製のTCP、TCPE、TC等のポリプロピレン膜が挙げられる。また、デプスタイプについては、日本ポール株式会社製のプロファイル、株式会社ロキテクノ製のマイクロシリア、ダイア、ダイアII(P)、ダイアII(C)、ピュアロン、シリアクリーン、SL、SLN、グラスロン、東洋濾紙株式会社製のTCPD、TCW−PP、TCW−CS、TCW−EP等のポリプロピレン膜が挙げられる。
限外ろ過は、加圧又は減圧下で行うが、用いられるろ過膜の市販品としては、例えば、日東電工株式会社製のNTUシリーズの商品名:2020、2120、3520、3150、3006、3050、3250、3550、4208、4220、NFSシリーズの商品名:100、101、103、NTM−9002、RS−30等のポリスルホン膜、旭化成工業株式会社製のAIP−0013、ACP−0013、ACP−0053、AHP−0013、AIVシリーズの商品名:3010、5010、ACVシリーズの商品名:3010、3050、5010、5050、SIW−3054、SEP−0013、SAP−0013、SIP−0013、SLP−0053、マイクローザ等のポリフッ化ビニルデン膜、東洋紡績株式会社製のミニクロス、クロスフロモジュール等のポリプロピレン膜が挙げられる。
膜の形状としては、中空糸状型、管型、平板型、モノリス型等が挙げられ、分散体を流す方式としては、内圧ろ過方式でも外圧ろ過方式でもよい。
また、限外ろ過膜を有する限外ろ過装置としては、市販のものを使用することができ、研究用としては、例えばアミコン社製のCentriprep、ミリポア社製のペリコン、ミリタン等が挙げられる。
上記の中では、限外ろ過膜を用いたクルスフローろ過方式がより好ましい。また、有機溶媒を加えながらろ過する透析ろ過(ダイアフィルトレーション)方式も好ましい。
本発明においては、ろ過処理により、顔料に吸着していない高分子分散剤を除去するが、保存安定性を高める観点から、ろ過処理後における分散体中の顔料に吸着していない高分子分散剤の濃度は、好ましくは1.8重量%以下、より好ましくは1.5重量%以下、更に好ましくは1重量%以下であり、未吸着のポリマーが存在しないことが更に好ましい。また、その下限は特に制限はないが、生産性及び保存安定性の観点から、0.01重量%以上が好ましい。
さらに、顔料に吸着している高分子分散剤の量は、顔料分散体の保存安定性の観点から、好ましくは60重量%以下、より好ましくは55重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。なお、顔料に吸着している高分子分散剤の量の測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
<カラーフィルター用着色組成物>
本発明の製造方法により得られた非水系顔料分散体は、保存安定性に優れているため、特にインクジェット法により作製されるカラーフィルター用着色組成物として有用である。すなわち、各種のバインダー、多官能モノマー、光重合開始剤、溶剤、添加剤等を添加、混合することにより、カラーフィルター用着色組成物(カラーレジスト色材)として用いることができる。
多官能モノマーとしては、エチレン性不飽和二重結合を2個以上有する(メタ)アクリル酸エステル、ウレタン(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸アミド、アリル化合物、ビニルエステル等を挙げることができる。多官能モノマーの含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して10〜60重量%が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類を挙げることができる。特に4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]が好ましい。光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。光重合開始剤の含有量は、顔料分散組成物中の全固形分に対して0.2〜10重量%が好ましい。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「重量部」及び「重量%」である。
実施例及び比較例で得られた顔料分散体中に残存する高分子分散剤量の測定、及び保存安定性の評価は、以下の方法により行った。
(1)高分子分散剤の残存量の測定
ろ過後に残存する高分子分散剤の残存量は、ろ液中の固形分量すなわち高分子分散剤量を測定し、分散に使用した高分子分散剤量との差分から求めた。
ろ液中の固形分量は、ろ液をアルミカップに1g精秤し、105℃の減圧乾燥機(圧力8kPa)中で4時間乾燥した後の重量から測定でき、下記計算式(1)より求められる。
上澄み液中の固形分(重量%)=[(乾燥後の総重量−アルミカップ重量)/(乾燥前の総重量−アルミカップ重量)]×100 (1)
(2)保存安定性の評価
顔料分散体調製直後(保存前)の粘度を、E型粘度計〔測定温度:20℃、測定時間:1分、回転数:20rpm、標準ローター(1°34′×R24)〕を用いて測定した。同様にして、顔料分散体を40℃で1週間保存した後の粘度を測定し、保存前後の粘度変化を対比して、下記計算式(2)により粘度増加率を求め、保存安定性を評価できる。
粘度増加率=(40℃で1週間保存後の粘度/調製直後の粘度)×100 (2)
製造例1(高分子分散剤の製造)
窒素導入管を備え付けた反応容器に、メタクリル酸メチル50部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、有機溶媒)25部、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤)5部を量り込み、窒素シールをしながら75℃まで昇温した。次に、メタクリル酸メチル200部、PGMEA100部、前記連鎖移動剤16.7部、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(重合開始剤)2部の混合物を3時間で滴下した。その後、PGMEA125部、前記連鎖移動剤0.9部、前記重合開始剤2部の混合物を1時間かけて滴下し、更に2時間熟成し、数平均分子量2,080、重量平均分子量3,350のメタクリル酸メチルマクロマー前駆体を合成した。
次いで、窒素導入管を空気導入管に切替え、得られたマクロマー前駆体に気体ポンプで空気を吹き込み、グリシジルメタクリレート23.3部、テトラブチルアンモニウムブロミド7.9部、p−メトキシフェノール0.8部、PGMEA17部を添加し、90℃で10時間反応し、数平均分子量2,200、重量平均分子量3,500、固形分(有効分)含有量60%のメタクリル酸メチルマクロマーを得た。
窒素導入管を備え付けた反応容器に、PGMEA10部を計り込み、窒素シールをしながら80℃まで昇温した。この反応容器に得られたメタクリル酸メチルマクロマーを固形分として72.5部、N−ビニル−2−ピロリドン12.8部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート14.7部、PGMEA120部の混合液230部、前記重合開始剤2部、及び2−メルカプトエタノール(連鎖移動剤)の0.4部を、2時間にわたって滴下し、滴下終了後さらに3時間反応させ、固形分(有効分)含有量40%のグラフトポリマー(高分子分散剤)溶液を得た。
得られたポリマーのゲルクロマトグラフィー(GPC)法によりポリスチレンを標準物質として測定した結果、数平均分子量(Mn)5,200、重量平均分子量(Mw)28,000であった。
実施例1
(1)顔料分散混合物の製造
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、SP値8.73、沸点145℃)75部、製造例1で得られた高分子分散剤(固形分含有量40%)12.5部を混合したものに、ホモミキサー(プライミクス社製、商品名:ロボミックス)6,000rpmで撹拌下、顔料としてジケトピロロピロール系顔料(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ株式会社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「Irgaphor Red BT−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))12.5部を投入し、60分間撹拌混合して顔料分散混合物を得た。
(2)予備分散体の製造
得られた顔料分散混合物を、0.2mmφのジルコニアビーズを充填(充填率60容積%)したダイノーミル(シンマルエンタープライゼス社製、商品名、型式0.6L−ECM)を撹拌周速8m/s、滞留時間5分の条件で、連続方式により3パス処理して予備分散体を得た。
(3)顔料分散体の製造
得られた予備分散体を、0.05mmφのジルコニアビーズを充填(充填率64容積%)したウルトラアペックスミル(内容積0.17L、寿工業株式会社製、メディア式分散機、商品名、型式UAM-10、メディア粒子:ジルコニアビーズ、粒径:0.05mm)を撹拌周速8m/s、滞留時間1.8分の条件で、連続方式により200パス処理して顔料分散体を得た。
(4)顔料分散体の製造
上記(3)で得られた顔料分散体100部をPGMEA145部で希釈し、さらにエタノール13部を添加した顔料分散体を、限外ろ過膜装置(ミリポア社製、ペリコンIIカセットシステム、バイオマックス、Vスクリーン、PES膜、分画分子量500kD、膜面積0.1m2)を用いて、透過流速と同じ流量でPGMEAを連続的に滴下する透析ろ過方式でクロスフローろ過しながら、透過液の総量が1680部になるまで精製した。この間、除去した分散剤量を測定するため、逐次透過液側から透過液のサンプリングを行った。
得られた顔料分散体中に残存する高分子分散剤量(顔料分散体中の顔料に対する割合)は55%であった。結果を表1に示す。
比較例1
実施例1で得られた顔料分散体(3)100部をPGMEA145部で希釈した顔料分散体を、前記限外ろ過膜装置を用いて、実施例1と同様に処理した。
得られた顔料分散体中に残存する高分子分散剤量(顔料分散体中の顔料に対する割合)は65%であった。結果を表1に示す。
Figure 0005364359
表1から、実施例1の顔料分散体は、比較例1の顔料分散体に比べて、ろ過後に残存する高分子分散剤の残存量が少ないためろ過直後の粘度が小さく、かつ、保存後の粘度増加率が小さい、すなわち保存安定性が向上していることが分かる。

Claims (7)

  1. ジケトピロロピロール系顔料、有機溶媒、及び水不溶性高分子分散剤を混合して得られる顔料分散体に、炭素数1〜5のアルコールを添加した後、ろ過処理することにより、水不溶性高分子分散剤を除去する、非水系顔料分散体の製造方法であって、水不溶性高分子分散剤が、下記の主鎖と側鎖を有するグラフトポリマーである、非水系顔料分散体の製造方法。
    主鎖:アミド結合を含有するビニルモノマー由来の構成単位(a)及び水酸基を含有するビニルモノマー由来の構成単位(b)を含有し、高分子分散剤中の該構成単位(a)の含有量が2〜30重量%、該構成単位(b)の含有量が5〜30重量%である。
    側鎖:数平均分子量が800〜4,000であるアルキル(メタ)アクリレート系マクロマー由来の構成単位(c)を含有し、高分子分散剤中の該構成単位(c)の含有量が65〜92重量%である。
  2. アミド結合を含有するビニルモノマーがN−ビニル−2−ピロリドンである、請求項1に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  3. 水酸基を含有するビニルモノマーが、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の非水系顔料分散体の製造方法。
    CH 2 =C(R 4 )COO(R 5 O) n H (2)
    (式中、R 4 は水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基、R 5 はヘテロ原子を有していてもよい炭素数1〜30の2価の炭化水素基、nは平均付加モル数を示し、1〜60の数である。)
  4. アルコールがエタノールである、請求項1〜3のいずれかに記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  5. ろ過処理が限外ろ過処理及び/又は精密ろ過である、請求項1〜4のいずれかに記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  6. ろ過処理がクロスフローろ過処理である、請求項1〜のいずれかに記載の非水系顔料分散体の製造方法。
  7. ろ過処理が透析ろ過処理である、請求項1〜のいずれかに記載の非水系顔料分散体の製造方法。
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