JP2017115057A - インクジェット記録用水系インクの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】不純物量が少なく、吐出性に優れたインクジェット記録用水系インクの製造方法、及びインクジェット記録用水系インク中の顔料不純物の低減方法を提供する。【解決手段】顔料の水系分散体と、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含む有機媒体aを混合し、インク組成物を調製する工程(I)、得られたインク組成物を0.2時間以上60時間以下撹拌する工程(II)、及び得られたインク組成物に水系媒体bを加えて撹拌し、固形分を分離する工程(III)を有する水系インクの製造方法であって、媒体のSP値が下記式(1)の関係を満たす、インクジェット記録用水系インクの製造方法である。(有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値)−(有機媒体aのSP値)>0 (1)【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット記録用水系インクの製造方法、及びインクジェット記録用水系インク中の不純物の低減方法に関する。
インクジェット記録方式は、非常に微細なノズルからインク液滴を記録媒体に直接吐出し、付着させて、文字や画像を得る記録方式である。この方式は、フルカラー化が容易で、かつ安価であり、記録媒体として普通紙が使用可能、被印字物に対して非接触、という数多くの利点があるため、一般消費者向けの民生用印刷に留まらず、近年は、商業印刷、産業印刷分野に応用され始めている。
しかしながら、インクジェット記録方式は、微細な吐出ノズルをインクが通過するという構造上、例えば、顔料中にごく微量の不純物でも存在すると吐出ノズルの閉塞等の不具合を生じやすい。この微量の不純物を取り除く方法としては、遠心分離法、ろ過法、イオン交換法等の方法が知られている。インクジェット記録用水系インクの製造に用いる種々の原料は、それらを混合する前に公知の方法で精製して使用するのが一般的である。
例えば、染料、顔料に含まれる不純物を除去する方法として晶析法が知られている。
特許文献1には、高品質の水溶性フタロシアニン化合物を、イオン交換処理装置等を使用せずに、不純物である無機化合物の含量を削減することを目的として、置換フタロニトリル、置換1,3−ジイミノイソインドリン等から選ばれる1種以上の化合物と、特定の金属誘導体とを反応させ、反応混合物に親水性有機溶媒を作用させて晶析する、水溶性フタロシアニン化合物の製造方法が開示されている。
特許文献2には、安定かつ着弾精度よく吐出可能で、保存性に優れる紫外線硬化型のインクジェットインクを得ることを目的として、顔料、アミン価より酸価の大きい分散剤、重合性化合物、及び光重合開始剤を含有するインクであって、カチオン型不純物、金属不純物等をそれぞれ個別に晶析等の方法で除去し、不純物総量を500ppm以下とした紫外線硬化型インクジェットインクが開示されている。
特開2005−75778号公報 特開2005−200560号公報
上記特許文献1及び2は、原料を個別に精製するものであり、水系インクの製造時に1段階で不純物を除去できる簡便な方法は知られていない。
本発明は、不純物量が少なく、吐出性に優れたインクジェット記録用水系インクの製造方法、及びインクジェット記録用水系インク中の不純物の低減方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、特定の工程を有する水系インクの製造方法において、使用する有機媒体aと水系媒体bのSP値を適切に制御することにより、水系インク中の不純物を効果的に固形分として分離、低減し、吐出性を向上させることができることを見出した。
すなわち、本発明は、次の[1]及び[2]を提供する。
[1]下記工程(I)〜(III)を有する水系インクの製造方法であって、媒体のSP値が下記式(1)の関係を満たす、インクジェット記録用水系インクの製造方法。
工程(I):顔料の水系分散体と、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含む有機媒体aを混合し、インク組成物を調製する工程
工程(II):工程(I)で得られたインク組成物を0.2時間以上60時間以下撹拌する工程
工程(III):工程(II)で得られたインク組成物に水系媒体bを加えて撹拌し、固形分を分離する工程
(有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値)−(有機媒体aのSP値)>0 (1)
[2]下記工程(I)〜(III)を有する、水系インク中の不純物の低減方法であって、媒体のSP値が下記式(1)の関係を満たす、インクジェット記録用水系インク中の不純物の低減方法。
工程(I):顔料の水系分散体と、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含む有機媒体aを混合し、インク組成物を調製する工程
工程(II):工程(I)で得られたインク組成物を0.2時間以上60時間以下撹拌する工程
工程(III):工程(II)で得られたインク組成物に水系媒体bを加えて撹拌し、固形分を分離する工程
(有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値)−(有機媒体aのSP値)>0 (1)
本発明によれば、不純物量が少なく、吐出性に優れたインクジェット記録用水系インクの製造方法、及びインクジェット記録用水系インク中の不純物の低減方法を提供することができる。
より具体的には、本発明によれば、顔料の水系分散体を予め活性炭による吸着剤処理等の特別な精製処理に付さなくても、顔料の水系分散体中に不純物として含まれる有機化合物を効率的に除去することができるため、該不純物によって引き起こされる吐出不良等のさまざまな不具合を回避することができる。
[インクジェット記録用水系インクの製造方法]
本発明のインクジェット記録用水系インク(以下、単に「水系インク」ともいう)の製造方法は、下記工程(I)〜(III)を有する方法であって、媒体のSP値が下記式(1)の関係を満たす。
工程(I):顔料水系分散体と、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含む有機媒体aを混合し、インク組成物を調製する工程
工程(II):工程(I)で得られたインク組成物を0.2時間以上60時間以下撹拌する工程
工程(III):工程(II)で得られたインク組成物に水系媒体bを加えて撹拌し、固形分を分離する工程
(有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値)−(有機媒体aのSP値)>0 (1)
本発明の製造方法によれば、水系インク中に不純物として微量に含まれる有機化合物を効率よく除去することができるが、その理由は以下のように考えられる。
水系インクは、顔料を水系媒体に分散した分散体に、水溶性有機溶媒、水、更に必要に応じて界面活性剤等を配合して調製される。ここで一般的に使用される市販の顔料には、その製造時に副生する種々の有機化合物が不純物として混在している。
副生する有機化合物としては、アゾ顔料製造時のジアゾカップリング反応時に副生するジアゾ化合物、ジアゾ化合物に求核反応した化合物、キナクリドン系顔料やフタロシアニン顔料の製造時における閉環が不充分な化合物等が挙げられる。
より具体的には、例えば、イエローインクには、C.I.ピグメントイエロー74(以下、「PY74」ともいう)が汎用されているが、PY74は、例えば、m−ニトロ−o−アニシジンをジアゾ化してアセト酢酸−o−アニシダイドとカップリング反応させる方法により製造される。このカップリング反応において、2−[(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)アゾ]−N−(2−メトキシフェニル)エタンアミド等の有機化合物が副生する。このような顔料の製造に起因する不純物が水系インク中に含まれると、その不純物によって、インクジェット記録の際に吐出不良等の様々な不具合が発生する。
ここで、本発明方法の工程(I)〜(III)を順次行うことにより、水系インク中に存在する不純物である微量の有機化合物を、固形分として効果的に析出させることができ、該固形分を分離することにより、不純物である有機化合物を効率的に除去することができるため、得られる水系インクは不純物量が少なく、吐出性に優れたものになると考えられる。
〔工程(I)〕
工程(I)は、顔料水系分散体と、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含む有機媒体aを混合し、インク組成物を調製する工程である。
<顔料水系分散体>
本発明において、「顔料水系分散体」とは、顔料をポリマー分散剤等の存在下で微細化し、水系媒体中に分散させたものを意味する。また、「水系」とは、顔料を分散させる媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味する。
(顔料)
本発明に用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。また、必要に応じて、それらとシリカ、タルク等の体質顔料を併用することもできる。
無機顔料の具体例としては、カーボンブラック、酸化チタン、酸化鉄、ベンガラ、酸化クロム等の金属酸化物、真珠光沢顔料等が挙げられる。特に黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、サーマルランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。
有機顔料の具体例としては、アゾレーキ顔料、不溶性モノアゾ顔料、不溶性ジスアゾ顔料、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料類;フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンツイミダゾロン顔料、スレン顔料等の多環式顔料類等が挙げられる。
色相は特に限定されず、イエロー、マゼンタ、シアン、ブルー、レッド、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
好ましい有機顔料の具体例としては、C.I.ピグメント・イエロー、C.I.ピグメント・レッド、C.I.ピグメント・オレンジ、C.I.ピグメント・バイオレット、C.I.ピグメント・ブルー、及びC.I.ピグメント・グリーンから選ばれる1種以上の各品番製品が挙げられる。
本発明においては、有機顔料として、C.I.ピグメント・イエロー74(PY74)を用いる場合に、本発明の効果はより特異的である。PY74は、代表的には2−[(2−メトキシ−4−ニトロフェニル)アゾ]−N−(2−メトキシフェニル)−3−オキソブタンアミドである。
上記の顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
本発明に用いられる顔料の形態に制限はなく、水系インク中で、(i)自己分散型顔料、(ii)水溶性ポリマーで分散された顔料、(iii)顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子等の形態で用いることができる。これらの中では、(iii)顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子(以下、「顔料含有ポリマー粒子」ともいう)の形態で用いることが好ましい。
(i)自己分散型顔料
自己分散型顔料とは、親水性官能基(カルボキシ基やスルホン酸基等のアニオン性親水基、又は第4級アンモニウム基等のカチオン性親水基)の1種以上を直接、又は炭素数1〜12のアルカンジイル基等の他の原子団を介して顔料の表面に結合することで、界面活性剤や樹脂を用いることなく水系媒体に分散可能である顔料を意味する。自己分散型顔料は、水に分散された水系分散体として用いることが好ましい。
(ii)水溶性ポリマーで分散された顔料
水溶性ポリマーで分散された顔料は、前記顔料を、アクリル酸又はメタクリル酸を含む、カルボキシル基を有する共重合体等の水溶性ポリマーで分散した水系分散体である。用いられる水溶性ポリマーの市販品としては、JONCRYL67、JONCRYL678、JONCRYL683、JONCRYL60J(以上、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。
水溶性ポリマーで分散された顔料は、水溶性ポリマーを溶解した水系媒体に顔料を添加し、例えば、混練機、高圧ホモジナイザー、メディア式分散機等で剪断応力を与えて分散させた顔料を含む水系分散体として用いることが好ましい。
(iii)顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子(顔料含有ポリマー粒子)の形態に特に制限はなく、少なくとも顔料と水不溶性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、該水不溶性ポリマーに顔料が内包された粒子形態、該水不溶性ポリマー中に顔料が均一に分散された粒子形態、該水不溶性ポリマー粒子の表面に顔料が露出された粒子形態、及びこれらの混合物の形態も含まれる。
(水不溶性ポリマー)
顔料含有ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーは、顔料を水系媒体中に分散させ、分散を安定に維持するための分散剤としての機能と、記録媒体に対する定着剤としての機能を有することが好ましい。
この水不溶性ポリマーの「水不溶性」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g以下であることを意味し、その溶解量は好ましくは5g以下、より好ましくは1g以下であることを意味し、分散体が透明とならないことを意味する。また分散体が目視で透明に見えたとしても、レーザー光や通常光による観察でチンダル現象が認められる場合は水不溶性であると判断する。
なお、水不溶性ポリマーがアニオン性ポリマーの場合、その溶解量は、ポリマーのアニオン性基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。水不溶性ポリマーがカチオン性ポリマーの場合、その溶解量は、ポリマーのカチオン性基を塩酸で100%中和した時の溶解量である。
水不溶性ポリマーとしては、ポリエステル、ポリウレタン、ビニル系ポリマー等が挙げられる。また、市販の水不溶性ポリマー粒子の分散液を用いることもできる。
市販の水不溶性ポリマー粒子の分散液としては、アクリル系樹脂、ウレタン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、塩化ビニル系樹脂からなる粒子の分散液が好ましい。その具体例としては、Neocryl A1127(DSM NeoResins社製、アニオン性自己架橋水系アクリル樹脂)、JONCRYL390(BASFジャパン株式会社製)等のアクリル樹脂、WBR−2018、WBR−2000U(大成ファインケミカル株式会社製)等のウレタン樹脂、SR−100、SR−102(以上、日本エイアンドエル株式会社製)等のスチレン−ブタジエン樹脂、JONCRYL7100、JONCRYL734、JONCRYL538(以上、BASFジャパン株式会社製)等のスチレン−アクリル樹脂及び、ビニブラン701(日信化学工業株式会社製)等が挙げられる。
水不溶性ポリマーは、インクの保存安定性を向上させる観点から、ビニルモノマー(ビニル化合物、ビニリデン化合物、ビニレン化合物)の付加重合により得られる水不溶性ビニル系ポリマーが好ましい。
水不溶性ビニル系ポリマーとしては、(a)イオン性モノマー(以下「(a)成分」ともいう)由来の構成単位と、(b)マクロモノマー(以下「(b)成分」ともいう)由来の構成単位とを含むビニル系ポリマーが好ましく、更に(c)疎水性モノマー(以下「(c)成分」ともいう)由来の構成単位、及び(d)ノニオン性モノマー(以下「(d)成分」ともいう)由来の構成単位から選ばれる1種以上を含有するものが好ましい。
前記水不溶性ポリマーは、例えば、(a)イオン性モノマー、(b)マクロモノマー、及び必要に応じて更に(c)疎水性モノマー、(d)ノニオン性モノマーを公知の方法により付加重合して得ることができる。
<(a)イオン性モノマー>
(a)イオン性モノマーは、水系インクの保存安定性を向上させる観点から、モノマー成分として用いることができる。
(a)イオン性モノマーとしては、アニオン性モノマー及びカチオン性モノマーが挙げられるが、水系インクの保存安定性及び吐出性の観点から、アニオン性モノマーが好ましい。
アニオン性モノマーとしては、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー、リン酸モノマー等が挙げられるが、カルボン酸モノマーが好ましい。
カルボン酸モノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられるが、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上がより好ましく、メタクリル酸が更に好ましい。
<(b)マクロモノマー>
(b)マクロモノマーは、片末端に重合性官能基を有する数平均分子量500以上100,000以下の化合物であり、水系インクの保存安定性を向上させる観点から用いることが好ましい。片末端に存在する重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が好ましく、メタクリロイルオキシ基がより好ましい。
(b)マクロモノマーの数平均分子量は1,000以上10,000以下が好ましい。なお、数平均分子量は、溶媒として1mmol/Lのドデシルジメチルアミンを含有するクロロホルムを用いたゲル浸透クロマトグラフィー法により、標準物質としてポリスチレンを用いて測定される。
(b)マクロモノマーとしては、水系インクの保存安定性を向上させる観点から、芳香族基含有モノマー系マクロモノマー及びシリコーン系マクロモノマーが好ましく、芳香族基含有モノマー系マクロモノマーがより好ましい。
芳香族基含有モノマー系マクロモノマーを構成する芳香族基含有モノマーとしては、後述する(c)疎水性モノマーで記載した芳香族基含有モノマーが挙げられ、スチレン及びベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、スチレンがより好ましい。
スチレン系マクロモノマーの具体例としては、AS−6(S)、AN−6(S)、HS−6(S)(東亞合成株式会社の商品名)等が挙げられる。
シリコーン系マクロモノマーとしては、片末端に重合性官能基を有するオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
<(c)疎水性モノマー>
水不溶性ポリマーには、水系インクの保存安定性を向上させる観点から、更に、(c)疎水性モノマーをモノマー成分として用いることが好ましい。(c)疎水性モノマーとしては、アルキル(メタ)アクリレート、芳香族基含有モノマー等が挙げられる。
アルキル(メタ)アクリル酸エステルとしては、炭素数1〜22、好ましくは炭素数6〜18のアルキル基を有するものが好ましく、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソドデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なお、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートから選ばれる1種以上を意味する。以下における「(メタ)」も同義である。
芳香族基含有モノマーとしては、ヘテロ原子を含む置換基を有していてもよい、炭素数6〜22の芳香族基を有するビニルモノマーが好ましく、スチレン系モノマー、芳香族基含有(メタ)アクリレートがより好ましい。
スチレン系モノマーとしてはスチレン、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、及びジビニルベンゼンが好ましく、スチレン、2−メチルスチレンがより好ましい。
また、芳香族基含有(メタ)アクリレートとしては、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート等が好ましく、ベンジル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(c)疎水性モノマーは、前記のモノマーを2種以上使用してもよく、スチレン系モノマーと芳香族基含有(メタ)アクリル酸エステルを併用してもよい。
<(d)ノニオン性モノマー>
水不溶性ポリマーには、水系インクの保存安定性を向上させる観点から、更に、(d)ノニオン性モノマーをモノマー成分として用いることが好ましい。
(d)ノニオン性モノマーとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2〜30、nはオキシアルキレン基の平均付加モル数を示す。以下同じ)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(n=1〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレート 2−エチルヘキシルエーテル等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ(エチレングリコール・プロピレングリコール共重合)(n=1〜30、その中のエチレングリコール:n=1〜29)(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの中では、ポリプロピレングリコール(n=2〜30)(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(n=2〜6)メタクリレート 2−エチルヘキシルエーテルがより好ましい。
商業的に入手しうる(d)成分の具体例としては、新中村化学工業株式会社のNKエステルM−20G、同40G、同90G、同230G、同EH−4E等、日油株式会社のブレンマーPE−90、同200、同350等、PME−100、同200、同400等、PP−500、同800、同1000等、AP−150、同400、同550等、50PEP−300、50POEP−800B、43PAPE−600B等が挙げられる。これらの中では、特に印字濃度の観点から、新中村化学工業株式会社製のNKエステルEH−4E(ポリエチレングリコール[n=4]メタクリレート 2−エチルヘキシルエーテル)が好ましい
上記(a)〜(d)成分は、それぞれ単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(モノマー混合物中又は水不溶性ポリマー中における各成分又は構成単位の含有量)
水不溶性ポリマー製造時における、上記(a)〜(d)成分のモノマー混合物中における含有量(未中和量としての含有量)又は水不溶性ポリマー中における(a)〜(d)成分に由来する構成単位の含有量は、顔料含有ポリマー粒子の水系インク中における分散安定性を向上させる観点から、次のとおりである。
(a)成分の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは7質量%以上であり、そして、好ましくは35質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
(b)成分の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、更に好ましくは20質量%以下である。
(c)成分を含有する場合、(c)成分の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
(d)成分を含有する場合、(d)成分の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、更に好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下、更に好ましくは40質量%以下である。
また、[(a)成分/〔(b)成分+(c)成分〕]の質量比は、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.05以上、更に好ましくは0.10以上であり、そして、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.80以下、更に好ましくは0.60以下である。
(水不溶性ポリマーの製造)
水不溶性ポリマーは、前記モノマー混合物を塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法等の公知の重合法により共重合させることによって製造される。これらの重合法の中では、溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に特に制限はないが、極性有機溶媒が好ましい。極性有機溶媒が水混和性を有する場合には、水と混合して用いることもできる。極性有機溶媒としては、炭素数1〜3の脂肪族アルコール、炭素数3〜5のケトン類、エーテル類、エステル類等が挙げられる。これらの中では、脂肪族アルコール、ケトン類、又はこれらと水との混合溶媒が好ましく、メチルエチルケトン又はそれと水との混合溶媒が好ましい。
重合の際には、重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物や、t−ブチルペルオキシオクトエート、ベンゾイルパーオキシド等の有機過酸化物等の公知のラジカル重合開始剤が挙げられ、重合連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、2−メルカプトエタノール等のメルカプタン類、チウラムジスルフィド類等の公知の連鎖移動剤が挙げられる。
また、重合モノマーの連鎖の様式に制限はなく、ランダム、ブロック、グラフト等のいずれの重合様式でもよい。
好ましい重合条件は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、通常、重合温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より80℃以下である。重合時間は、好ましくは1時間以上、より好ましくは2時間以上であり、そして、好ましくは20時間以下、より好ましくは10時間以下である。また、重合雰囲気は、好ましくは窒素ガス雰囲気、アルゴン等の不活性ガス雰囲気である。
重合反応の終了後、反応溶液から再沈澱、溶媒留去等の公知の方法により、生成したポリマーを単離することができる。
水不溶性ポリマーの重量平均分子量は、顔料への吸着性、及び分散安定性の観点から、好ましくは6,000以上、より好ましくは8,000以上であり、そして、好ましくは100,000以下、より好ましくは80,000以下である。
なお、重量平均分子量の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
〔顔料含有ポリマー粒子の製造〕
顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子(顔料含有ポリマー粒子)は、顔料の水系分散体として下記の工程a及び工程bを有する方法により、効率的に製造することができる。
工程a:水不溶性ポリマー、有機溶媒、顔料、及び水を含有する混合物(以下、「顔料混合物」ともいう)を分散処理して、顔料含有ポリマー粒子の分散体を得る工程
工程b:工程aで得られた分散体から前記有機溶媒を除去して、顔料含有ポリマー粒子の水系分散体(顔料水系分散体)を得る工程
(工程a)
工程aでは、まず、水不溶性ポリマーを有機溶媒に溶解させ、次に顔料、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散体を得る方法が好ましい。水不溶性ポリマーの有機溶媒溶液に加える順序に制限はないが、水、中和剤、顔料の順に加えることが好ましい。
水不溶性ポリマーを溶解させる有機溶媒に制限はないが、炭素数1〜3の脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等が好ましく、顔料への濡れ性、水不溶性ポリマーの溶解性、及び水不溶性ポリマーの顔料への吸着性を向上させる観点から、炭素数4〜8のケトンがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが更に好ましく、メチルエチルケトンがより更に好ましい。
水不溶性ポリマーを溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
(中和)
水不溶性ポリマーのカルボキシ基の少なくとも一部は、中和剤を用いて中和してもよい。中和する場合は、pHが7以上11以下になるように中和することが好ましい。
中和剤としては、得られる水系インクの保存安定性、吐出性の観点から、アルカリ金属水酸化物が用いられる。アルカリ金属水酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。また、該水不溶性ポリマーを予め中和しておいてもよい。
中和剤は、十分かつ均一に中和を促進させる観点から、中和剤水溶液として用いることが好ましい。中和剤水溶液の濃度は、上記の観点から、3質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上が更に好ましく、また、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましい。
水不溶性ポリマーのカルボキシ基の中和度は、得られる水系インクの保存安定性、吐出性の観点から、好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは50モル%以上であり、また、好ましくは300モル%以下、より好ましくは200モル%以下、更に好ましくは150モル%以下である。
ここで中和度とは、アルカリ金属水酸化物のモル当量数を水不溶性ポリマーのカルボキシ基のモル当量数で除した値である。本来、中和度は100モル%を超えることはないが、本発明では中和剤の使用量から計算するため、中和剤を過剰に用いた場合は100モル%を超える。
(顔料混合物の分散処理)
工程aにおいては、前記顔料混合物を分散処理して、顔料含有ポリマー粒子の分散体を得る。分散体を得る分散方法に特に制限はない。本分散だけで顔料粒子の平均粒径を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、好ましくは顔料混合物を予備分散させた後、更に剪断応力を加えて本分散を行い、顔料粒子の平均粒径を所望の粒径とするよう制御することが好ましい。
工程aの予備分散における温度は、好ましくは0℃以上であり、そして、好ましくは40℃以下、より好ましくは30℃以下、更に好ましくは25℃以下であり、分散時間は好ましくは0.5時間以上、より好ましくは0.8時間以上であり、そして、好ましくは30時間以下、より好ましくは10時間以下、更に好ましくは5時間以下である。
顔料混合物を予備分散させる際には、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができるが、中でも高速撹拌混合装置が好ましい。
本分散の剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー(Microfluidic社製)等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製)等が挙げられる。これらの装置は複数を組み合わせることもできる。これらの中では、顔料を小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザーを用いることが好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いて本分散を行う場合、処理圧力やパス回数の制御により、顔料を所望の粒径になるように制御することができる。
処理圧力は、生産性及び経済性の観点から、好ましくは60MPa以上、より好ましくは100MPa以上、更に好ましくは130MPa以上であり、また、好ましくは200MPa以下、より好ましくは180MPa以下である。
また、パス回数は、好ましくは3以上、より好ましくは10以上であり、また、好ましくは30以下、より好ましくは25以下である。
(工程b)
工程bでは、工程aで得られた分散体から、公知の方法で有機溶媒を除去することで、顔料含有ポリマー粒子の水系分散体(顔料水系分散体)を得ることができる。得られた顔料水系分散体中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、残存していてもよい。残留有機溶媒の量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下である。
また必要に応じて、有機溶媒を留去する前に分散体を加熱撹拌処理することもできる。
得られた顔料水系分散体は、顔料含有ポリマー粒子が水を主媒体とする媒体中に分散しているものである。ここで、顔料含有ポリマー粒子の形態は特に制限はなく、少なくとも顔料と水不溶性ポリマーにより粒子が形成されていればよい。例えば、水不溶性ポリマーに顔料が内包された粒子形態、水不溶性ポリマー中に顔料が均一に分散された粒子形態、水不溶性ポリマーの粒子表面に顔料が露出された粒子形態等が含まれ、これらの混合物も含まれる。
得られた顔料水系分散体の不揮発成分濃度(固形分濃度)は、顔料水系分散体の分散安定性を向上させる観点及び水系インクの調製を容易にする観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、また、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下である。
なお、顔料水系分散体の固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
顔料水系分散体中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、粗大粒子を低減し、水系インクの吐出安定性を向上させる観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは60nm以上、更に好ましくは70nm以上であり、また、好ましくは200nm以下、より好ましくは160nm以下、更に好ましくは150nm以下である。
なお、顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
また、水系インク中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径は、粒子の膨潤や収縮、粒子間の凝集を生じさせないことが好ましく、顔料水系分散体中の平均粒径とほぼ同じであることがより好ましい。水性インク中の顔料含有ポリマー粒子の好ましい平均粒径の態様は、顔料水系分散体中の平均粒径の好ましい態様と同じである。
以上のようにして得られた顔料含有ポリマー粒子の水系分散体を、顔料水系分散体として、以下に詳述する有機媒体aと混合し、インク組成物を調製し、更に水系インクを製造する。
<有機媒体a>
工程(I)に係る有機媒体aは、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含む媒体である。有機媒体aは、水系インクの溶媒として用いることができる。
有機媒体aは特定の水溶性有機溶媒を含んでいればよく、更に他の成分を含んでいてもよい。具体的には、水や、沸点が前記範囲以外の有機溶媒を含んでいてもよい。
(水溶性有機溶媒)
本発明の水系インクは、不純物量を低減し、吐出性を向上させる観点から、沸点が有機溶媒の含有量(質量%)で重み付けした加重平均値で100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含有する。
水溶性有機溶媒としては、沸点が100℃以上270℃以下の水溶性有機溶媒を1種単独で用いることもできるが、沸点の異なる複数の水溶性有機溶媒を用いて、各有機溶媒の沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下となる範囲で用いることが好ましい。
水溶性有機溶媒の沸点の加重平均値は、不純物量を低減し、吐出性を向上させる観点から、好ましくは150℃以上、より好ましくは180℃以上であり、そして、好ましくは260℃以下、より好ましくは255℃以下、更に好ましくは230℃以下、より更に好ましくは210℃以下である。
なお、水溶性有機溶媒の「水溶性」とは、水と任意の割合で混合できる性質を意味する。
水溶性有機溶媒としては、例えば、多価アルコール、多価アルコールアルキルエーテル、含窒素複素環化合物、アミド、アミン、含硫黄化合物等が挙げられる。
多価アルコールとしては、エチレングリコール(沸点197℃)、ジエチレングリコール(沸点244℃)、分子量200〜600のポリエチレングリコール(沸点250℃)、プロピレングリコール(沸点188℃)、ジプロピレングリコール(沸点232℃)、分子量300〜1200のポリプロピレングリコール、1,2−プロパンジオール(沸点188℃)、1,3−プロパンジオール(沸点210℃)、1,2−ブタンジオール(沸点193℃)、1,3−ブタンジオール(沸点208℃)、1,4−ブタンジオール(沸点230℃)、3−メチル−1,3−ブタンジオール(沸点203℃)、1,2−ペンタンジオール(沸点206℃)、1,5−ペンタンジオール(沸点242℃)、1,2−ヘキサンジオール(沸点224℃)、1,6−ヘキサンジオール(沸点250℃)、2−メチル−2,4−ペンタンジオール(沸点196℃)、1,2,6−ヘキサントリオール(沸点178℃)、1,2,4−ブタントリオール(沸点190℃)、1,2,3−ブタントリオール(沸点175℃)、トリメチロールプロパン(沸点160℃)、ペトリオール(沸点216℃)等が挙げられる。
これらの中では、不純物量を低減し、吐出性を向上させる観点から、1,2−ヘキサンジオール(沸点224℃)、トリメチロールプロパン(沸点160℃)、分子量200〜600のポリエチレングリコール(沸点250℃)、及びジエチレングリコール(沸点244℃)から選ばれる1種以上が好ましい。
また、ペンタエリスリトール(沸点276℃)、トリエチレングリコール(沸点287℃)、トリプロピレングリコール(沸点273℃)、グリセリン(沸点290℃)等の沸点が270℃を越える水溶性有機溶媒を、沸点が260℃未満の化合物と組み合わせて、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下となるよう調整して用いることができる。
多価アルコールアルキルエーテルとしては、エチレングリコールモノエチルエーテル(沸点135℃)、エチレングリコールモノブチルエーテル(沸点171℃)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点194℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点202℃)、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル(沸点207℃)、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点230℃)、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点122℃)、トリエチレングリコールモノイソブチルエーテル(沸点160℃)、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル(沸点158℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃)、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点227℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点100℃)、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。また、トリエチレングリコールモノブチルエーテル(沸点276℃)等を沸点が270℃未満の水溶性有機溶媒と組み合わせて、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下となるよう調整して用いることができる。これらの中では、不純物量を低減し、吐出性を向上させる観点から、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル等のポリエチレングリコールモノアルキルエーテルが好ましい。
含窒素複素環化合物としては、N−メチル−2−ピロリドン(沸点202℃)、2−ピロリドン(沸点245℃)、1,3−ジメチルイミダゾリジノン(沸点220℃)、ε−カプロラクタム(沸点136℃)等が挙げられる。
アミドとしては、ホルムアミド(沸点210℃)、N−メチルホルムアミド(沸点199℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点153℃)等が挙げられる。
アミンとしては、例えば、モノエタノ−ルアミン(沸点170℃)、ジエタノールアミン(沸点217℃)、トリエタノールアミン(沸点208℃)等が挙げられる。
含硫黄化合物としては、ジメチルスルホキシド(沸点189℃)等が挙げられる。
これらの中でも、不純物量を低減し、吐出性を向上させる観点から、多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上の化合物が好ましい。より具体的には、多価アルコール2種以上の併用、多価アルコールアルキルエーテル2種以上の併用、及び多価アルコール1種以上と多価アルコールアルキルエーテル1種以上の併用が好ましく、多価アルコール1種以上の併用、及び多価アルコール1種以上と多価アルコールアルキルエーテル1種以上の併用がより好ましい。
水溶性有機溶媒中の、多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上の含有量は、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは95質量%以上、より更に好ましくは実質的に100質量%であり、最も好ましくは100質量%である。
なお、水溶性有機溶媒の沸点の加重平均値は、例えば、実施例1の場合、グリセリンの含有量が7質量%、トリエチレングリコールの含有量が7質量%、トリメチロールプロパンの含有量が5質量%であるので、下記のように254.7℃と算出される。
[〔グリセリンの含有量(質量%)×グリセリンの沸点(290℃)〕+〔トリエチレングリコールの含有量(質量%)×トリエチレングリコールの沸点(287℃)〕+〔トリメチロールプロパンの含有量(質量%)×トリメチロールプロパンの沸点(160℃)〕]/[グリセリンの含有量(質量%)+トリエチレングリコールの含有量(質量%)+トリメチロールプロパンの含有量(質量%)]
=[〔0.07×290℃〕+〔0.07×287℃〕+〔0.05×160℃〕]/[0.07+0.07+0.05]=254.7℃
有機媒体a中の水溶性有機溶媒の含有量は、顔料水系分散体中の不純物である有機化合物を有機媒体aに充分に溶出させる観点から、好ましくは20質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上であり、そして、好ましくは80質量%以下、より好ましくは60質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
顔料水系分散体と有機媒体aとの混合温度は、顔料水系分散体中の不純物である有機化合物の有機媒体aへの溶出を促進する観点から、好ましくは12℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは18℃以上であり、そして、エネルギー消費低減等の経済性の観点から、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
〔工程(II)〕
本発明における工程(II)は、工程(I)で得られたインク組成物を0.2時間以上60時間以下撹拌する工程である。
工程(II)におけるインク組成物の撹拌は、強いせん断力を与えないように行うことが好ましい。具体的な方法としては、プロペラ型、パドル型、フラットパドル型、ディスク付きタービン型、コーン型、リボンスクリュー型、アンカー型等の撹拌翼を用いた撹拌が挙げられる。またマグネティックスターラーと磁気回転子による撹拌も好ましい。磁気回転子の形状としてはシリンダー型、ディスク型、十字型、オーバル型等、任意のものを用いることができる。
撹拌の周速は、撹拌翼や回転子の形状によって異なるので一概に決定できないが、せん断力が高くなりすぎないように、低速〜中速であることが好ましい。例えば、撹拌機の周速は、好ましくは0.1m/s以上、より好ましくは0.5m/s以上、更に好ましくは1m/s以上であり、そして、好ましくは10m/s以下、より好ましくは9m/s以下、更に好ましくは8m/s以下である。
一方、ディスパーやディゾルバー等のように、高速回転する軸にディスク状羽根を取り付け、強力なせん断力を与える方法は、激しい泡立ちを引き起こすため好ましくない。また、ビーズ等を用いるメディア式分散機による方法や、超音波振動等の非常に強力なエネルギーを与える方法は、インク組成物が変質したり、分散安定性が損なわれる可能性があるため好ましくない。
撹拌時間は、短すぎると顔料水系分散体から有機媒体aへの不純物である有機化合物の溶出が不充分となり、長すぎても効果は増大せず工業的に不利となるため、0.2時間以上であり、好ましくは0.4時間以上、より好ましくは1時間以上、更に好ましくは6時間以上であり、そして、60時間以下であり、好ましくは50時間以下、より好ましくは30時間以下、更に好ましくは20時間以下、より更に好ましくは15時間以下である。
撹拌温度は、顔料水系分散体から有機媒体aへの不純物の溶出を促進する観点から、好ましくは12℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは18℃以上であり、そして、水系インクの品質低下抑制の観点から、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
〔工程(III)〕
工程(III)は、工程(II)で得られたインク組成物に水系媒体bを加えて撹拌し、固形分を分離する工程である。
<水系媒体b>
工程(III)に係る水系媒体bとは、該媒体中で水が最大割合を占めている媒体を意味する。水系媒体bは、水系インクの溶媒として用いることができる。
本発明においては、工程(I)で混合する「水溶性有機溶媒を含む有機媒体a」のSP値をAとし、該「水溶性有機溶媒を含む有機媒体a」と工程(III)で加える「水系媒体b」との混合液のSP値をBとしたとき、B−A>0を満たすように、混合する有機媒体aと水系媒体bの組成及び量を決定する。
前記(B−A)の値は、水系インク中の不純物量を効果的に低減し、吐出性を向上させる観点から、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.15以上、更に好ましくは0.2以上であり、そして、好ましくは2.0以下、より好ましくは1.5以下、更に好ましくは1.0以下である。
前記A及びBの値は、各溶媒のsp値と含有量(配合量)の加重平均で算出する。
例えば、工程(I)で混合する水溶性有機溶媒を含む有機媒体aが、グリセリン7質量部、トリエチレングリコール7質量部、トリメチロールプロパン5質量部、及び水35.5質量部である場合の有機媒体aのsp値は、以下のように計算され、20.4となる。
(19.4×7+13.4×7+15.6×5+22.6×35.5)/(7+7+5+35.5)=20.4
また、上記有機媒体aに水系媒体b(水)20質量部を加えた混合液のSP値は、
(19.4×7+13.4×7+15.6×5+22.6×55.5)/(7+7+5+55.5)=21.0 となるので、この場合は、〔(有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値)−(有機媒体aのSP値)〕=21.0−20.4=0.6となる。
なお、SP値の算出においては、下記(1)(2)の条件下で算出する。
(1)顔料水系分散体に当初から含まれている水については算入しない。
(2)水溶性有機溶媒を含む有機媒体a、水系媒体bのそれぞれにおいて含有量が2質量%以下の微量成分(界面活性剤、殺菌剤等)は算入しない。
(水溶性有機溶媒のSP値の算出方法)
本発明においては、有機媒体aのsp値の算出にあたり、有機媒体aに含まれる水溶性有機溶媒のSP値の算出には、Fedors法を用いる。即ち、官能基毎に設定される凝集エネルギーΔEと単位体積ΔVを用いて、下記式(2)により有機媒体aのSP値を算出する。
水溶性有機溶媒のSP値=[官能基aの数×(ΔEa/ΔVa)+官能基bの数×(ΔEb/ΔVb)+官能基cの数×(ΔEc/ΔVc)+・・・]1/2 (2)
ここで、官能基毎の凝集エネルギーΔE(cal/mol)と単位体積ΔV(cm/mol)については、以下の表1に記載した値を用いる。
表1に記載した値を用いて計算すると、水のSP値は22.6(単位:(cal/cm1/2;以下同じ)、グリセリンのSP値は19.4、トリエチレングリコールのSP値は13.4、トリメチロールプロパンのSP値は15.6と算出される。
工程(II)で得られたインク組成物に水系媒体bを加えて撹拌することにより、インク組成物の極性を上げることができる。不純物である有機化合物は、顔料合成時に副生する有機化合物、ポリマーに含まれる未反応モノマー、ラジカル重合開始剤等の分解生成物と考えられるが、これらは極性が低いと考えられる。そこで、インク組成物の極性を上げれば、該有機化合物が不溶化し、その固形分を分離除去することにより、不純物を容易に除去ないし低減することができる。
工程(III)における操作は、上記有機化合物の除去に効果を発揮するが、中でも顔料合成時に副生する有機化合物の除去に対してより高い効果を発揮する。
顔料合成時に副生する有機化合物の具体例としては、アゾ顔料製造時のジアゾカップリング反応時に副生するジアゾ化合物、ジアゾ化合物に求核反応した化合物、キナクリドン系顔料やフタロシアニン顔料の製造時における閉環が不充分な化合物等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
これらの中でも、不純物の除去する効果をより発揮する観点から、顔料としてはアゾ顔料が好ましく、アゾ顔料の中でもPY74がより好ましい。
工程(III)における撹拌は、工程(II)と同様に、強力なせん断力やエネルギーを与えることなく、緩やかな撹拌の条件下で行うことが好ましい。
用いる撹拌翼や回転子、撹拌の周速は、工程(II)と同様であることが好ましい。例えば、撹拌機の周速は、好ましくは0.1m/s以上、より好ましくは0.5m/s以上、更に好ましくは1m/s以上であり、そして、好ましくは10m/s以下、より好ましくは9m/s以下、更に好ましくは8m/s以下である。
撹拌時間は、顔料水系分散体から有機媒体aへの不純物である有機化合物の溶出を促進する観点から、好ましくは0.1時間以上、より好ましくは0.2時間以上、更に好ましくは0.5時間以上であり、そして、時間が長すぎても効果が飽和するため生産性の観点から、好ましくは10時間以下、より好ましくは6時間以下、更に好ましくは3時間以下である。
撹拌温度は、顔料水系分散体から有機媒体aへの不純物の溶出を促進する観点から、好ましくは12℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは18℃以上であり、そして、水系インクの品質低下抑制の観点から、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
また、有機化合物の溶解度は温度に影響され、温度差が大きい方が不純物である有機化合物の析出量を上げることができる。そこで、工程(II)と(III)の温度は同じでもよいが、工程(II)を高い温度で行い、工程(III)を低い温度で行うことができる。
工程(III)において析出した固形分を分離、除去する方法に特に制限はない。例えば、透析、限外ろ過等の膜処理、遠心分離−分別処理、ゲルろ過処理等を行うことができるが、効率と費用の観点から、膜処理、遠心分離処理が好ましく、膜処理がより好ましい。
膜処理としては、表面ろ過型、深層ろ過型等の公知の方法を用いることができ、フィルターの材質としては、ポリプロピレン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂等の合成樹脂、ガラス、ステンレス、アルミニウム等の金属、セルロース等が挙げられる。
膜処理をする場合、フィルターのろ過精度(フィルターを通過するろ過物の最大粒径)は、不純物のろ過精度及び生産性の観点から、好ましくは10μm以下、より好ましくは8μm以下、更に好ましくは6μm以下であり、そして、好ましくは0.2μm以上、より好ましくは0.6μm以上、更に好ましくは0.8μm以上、より更に好ましくは1μm以上、より更に好ましくは2μm以上である。
なお、ろ過精度には公称ろ過精度と絶対ろ過精度があるが、各ろ材メーカーが公表している公称ろ過精度を用いることができる。
ろ過操作の温度は、不純物のろ過精度及び水系インクの品質低下抑制の観点から、好ましくは12℃以上、より好ましくは15℃以上、更に好ましくは18℃以上であり、そして、好ましくは60℃以下、より好ましくは50℃以下、更に好ましくは40℃以下である。
上記の膜処理においては、不純物である有機化合物が水系媒体中で明確な電荷を有さないものである場合に、特に有効に除去することができる。
本発明のインクジェット記録用水系インクの製造方法においては、更に必要に応じて、水系インクに通常用いられる、表面張力を調整する界面活性剤、印刷媒体への濡れ広がりや浸透性を制御する浸透剤、インクの乾燥を抑制する保湿剤、湿潤剤、分散剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を添加し、更にフィルター等によるろ過処理を行うことができる。
本発明の製造方法により得られる水系インクの各成分の含有量、インク物性は以下のとおりである。
(顔料の含有量)
水系インク中の顔料の含有量は、水系インクの印刷濃度を向上させる観点から、好ましくは1.0質量%以上、より好ましくは2.0質量%以上、更に好ましくは2.5質量%以上である。また、溶媒揮発時のインク粘度を低くし、吐出安定性、保存安定性を向上させる観点から、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、更に好ましく7.0質量%以下である。
(顔料と水不溶性ポリマーとの合計含有量)
水系インク中の顔料と水不溶性ポリマーとの合計含有量は、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは2.5質量%以上、更に好ましくは3.0質量%以上、より更に好ましくは3.5質量%以上であり、そして、好ましくは17.0質量%以下、より好ましくは12.0質量%以下、更に好ましくは10.0質量%以下、より更に好ましくは8.0質量%以下、より更に好ましくは6.0質量%以下である。
(水溶性有機溶媒の含有量)
水系インク中の水溶性有機溶媒の含有量は、不純物である有機化合物の含有量を低減する観点、及びインク組成物の保存安定性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上であり、また、インク組成物の印字濃度の観点から、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、更に好ましくは25質量%以下である。
(水の含有量)
水系インク中の水の含有量は、インク組成物の保存安定性の観点から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは65質量%以上であり、そして、インク組成物の印字濃度の観点から、好ましくは99質量%以下、より好ましくは90質量%以下、更に好ましくは80質量%以下である。
(水系インク物性)
水系インクの32℃の粘度は、インクの保存安定性を向上させる観点から、好ましくは2.0mPa・s以上であり、より好ましくは3.0mPa・s以上であり、更に好ましくは5.0mPa・s以上であり、そして、好ましくは12mPa・s以下であり、より好ましくは9.0mPa・s以下であり、更に好ましくは7.0mPa・s以下である。
水系インクのpHは、インクの保存安定性を向上させる観点から、好ましくは7.0以上であり、より好ましくは8.0以上であり、更に好ましくは8.5以上である。また、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、pHは、好ましくは11.0以下であり、より好ましくは10.0以下であり、更に好ましくは9.5以下である。
[インクジェット記録用水系インク中の不純物の低減方法]
本発明のインクジェット記録用水系インク中の不純物の低減方法は、下記工程(I)〜(III)を有する方法であって、媒体のSP値が下記式(1)の関係を満たす。
工程(I):顔料水系分散体と、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含む有機媒体aを混合し、インク組成物を調製する工程
工程(II):工程(I)で得られたインク組成物を0.2時間以上60時間以下撹拌する工程
工程(III):工程(II)で得られたインク組成物に水系媒体bを加えて撹拌し、固形分を分離する工程
(有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値)−(有機媒体aのSP値)>0 (1)
本発明の不純物の低減方法により、水系インク中の不純物である有機化合物の含有量は、吐出性を向上させる観点から、工程(II)を行わない場合の不純物量を100とした相対値で、好ましくは50以下、より好ましくは40以下であり、そして、生産性の観点から、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、更に好ましくは3以上、より更に好ましくは4以上である。
以下の製造例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。なお、ポリマーの重量平均分子量は、次の方法により測定した。
(1)ポリマーの重量平均分子量の測定方法
溶媒として、60mmol/Lのリン酸と50mmol/Lのリチウムブロマイドを含有するN,N−ジメチルホルムアミドを溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕により、標準物質として分子量が既知の単分散ポリスチレンを用いて測定した。
(2)平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム「ELS−8000」(大塚電子株式会社製)を用いてキュムラント解析を行い測定した。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力した。測定濃度が5×10−3質量%(固形分濃度換算)になるように水で希釈して行った。
(3)顔料水系分散体の固形分濃度の測定
顔料を含有するポリマー粒子の水系分散体1gと硫酸ナトリウム(芒硝)10gとを均一に混合し、蒸発皿(10.5cm)に均一に広げて、105℃、2時間、−0.07MPaで減圧乾燥させ、乾燥後の水系分散体の重量を測定し、次式により固形分濃度(質量%)を求めた。
固形分濃度(%)=(乾燥後の水系分散体の質量/乾燥前の水系分散体の質量)×100
製造例1(ポリマー分散剤の製造)
反応容器内に、メチルエチルケトン20部及び重合連鎖移動剤(2−メルカプトエタノール)0.03部、表2に示す各モノマーの合計200部の10%を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行い、混合溶液を得た。
一方、滴下ロートに、表2に示すモノマーの残りの90%を仕込み、前記重合連鎖移動剤0.27部、メチルエチルケトン60部及びラジカル重合開始剤(2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、和光純薬工業株式会社製、商品名:V−65)1.2部を入れて混合し、十分に窒素ガス置換を行い、混合溶液を得た。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を撹拌しながら65℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から65℃で2時間経過後、前記ラジカル重合開始剤0.3部をメチルエチルケトン5部に溶解した溶液を加え、更に65℃で2時間、70℃で2時間熟成させ、重量平均分子量62,000のポリマー溶液を得た。結果を表2に示す。
なお、表2に示す化合物の詳細は、以下のとおりである。
(b)スチレンマクロマー:東亜合成株式会社製、商品名:AS−6(S)、数平均分子量:6000、重合性官能基:メタクロイルオキシ基、固形分濃度50%
(d)ポリエチレングリコールモノメタクリレート 2−エチルヘキシルエーテル:新中村化学工業株式会社製、商品名:NKエステルEH−4E、エチレンオキシド平均付加モル数=4、末端:2−エチルへキシル基
調製例1(顔料水系分散体(1)の調製)
製造例1で得られたポリマー溶液を減圧乾燥させて得られたポリマー25部をメチルエチルケトン70部に溶かし、その中に中和剤(5N水酸化ナトリウム溶液、和光純薬工業株式会社製、容量分析用)6.7部(中和度75%)及びイオン交換水230部を加えて塩生成基を中和し、これに更にイエロー顔料(C.I.ピグメントイエロー74、山陽色素株式会社製、商品名:Fast Yellow 7413-A)75部を加え、プライミクス株式会社製、TKロボミックス(商品名)+TKホモディスパー2.5型を用いて回転数8000/分で60分間分散し、さらに、マイクロフルイダイザー(Microfluidics 社製、商品名)で150MPaの圧力で10パス分散処理した。
得られた分散液に、イオン交換水250部を加えて撹拌した後、減圧下、60℃でメチルエチルケトンを除去し、更に一部の水を除去し、顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の形態である顔料水系分散体(固形分濃度25%)を得た。
得られた顔料水系分散体を、日立工機株式会社製の冷却遠心分離機「himacCR22G」及びロータ(R12A半径15.1cm)を用い、同社製遠心沈降管500PAボトルに300g入れて、12000回転/分で遠心加速度24300Gをかけ、この状態で6分間保持した。
分取した分散液を公称ろ過精度5μmの表面ろ過型フィルター(アセチルセルロース膜、外径:2.5cm、ザルトリウス社製)を取り付けた容量25mLの針なしシリンジ(テルモ株式会社製)で濾過したのちに適宜イオン交換水で希釈して固形分濃度が20%になるように調整し、顔料水系分散体(1)を得た。この顔料水系分散体(1)中の顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径は、120nmであった。
調製例2(顔料水系分散体(2)の調製)
調製例1においてイエロー顔料の代わりにマゼンタ顔料(C.I.ピグメントレッド122、DIC株式会社製、商品名:Fastgen Super Magenta RG)を用いた以外は調製例1と同様にして顔料水系分散体(2)を得た。この顔料水系分散体(2)中の顔料を含有する水不溶性ポリマー粒子の平均粒径は、155nmであった。
実施例1(インクジェット記録用水系インクの製造)
調製例1で得られた顔料水系分散体(1)25部を100mlのガラス製スクリュー管に量り取り、100mlのポリプロピレン製ディスポーザブルカップに水溶性有機溶媒としてグリセリン7部、トリエチレングリコール7部、トリメチロールプロパン5部を混合し、更にアセチレノールE100(川研ファインケミカル株式会社製、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールのエチレンオキシド10モル付加物)0.5部、イオン交換水35.5部を入れ、シリンダー型磁気回転子を入れてマグネティックスターラーで10分間混合してインク組成物を調製(工程(I))し、20℃の恒温室においてマグネティックスターラーを用いて1時間撹拌混合(工程(II))した後、20部のイオン交換水を加えて更に1時間撹拌混合(工程(III))した後、公称ろ過精度5μmの表面ろ過型フィルター(アセチルセルロース製、外径:2.5cm、ザルトリウス社製)を取り付けた容量25mLのシリンジで濾過して水系インクを得た。これらの操作はすべて20℃の恒温室で実施した。結果を表3に示す。
なお、水溶性有機溶媒の沸点の加重平均値は、[〔0.07×290℃〕+〔0.07×287℃〕+〔0.05×160℃〕]/[0.07+0.07+0.05]=254.7℃であった。
また、工程(I)で混合する水溶性有機溶媒を含む有機媒体a(グリセリン、トリエチレングリコール、トリメチロールプロパン、及び水を含む)のsp値は、(19.4×7+13.4×7+15.6×5+22.6×35.5)/(7+7+5+35.5)=20.4である。
また、有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値は、(19.4×7+13.4×7+15.6×5+22.6×55.5)/(7+7+5+55.5)=21.0であるので、〔(有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値)−(有機媒体aのSP値)〕=21.0−20.4=0.6である。
(a)不純物量の測定
得られた水系インク2gを日立工機株式会社製の遠心沈降管(パーツNo.S404332A)にいれ、同社製の超高速遠心分離機(CS120FNX、同社製ロータS110AT)にて、110000rpm×28分間の条件で遠心分離処理した。処理液の上澄みの透明部分を高速液体クロマトグラフに対応した、超高速シングル四重極型質量分析計(株式会社島津製作所製、LCMS−2020)で分析し、質量数を求めた結果、207.2であり、更にNMR装置により構造を確認した結果、分離除去した不純物は2’−メトキシアセトアセトアニリドであると判明した。
また、2’−メトキシアセトアセトアニリドの量を、NMR装置に接続されている紫外・可視分光光度計(波長254nm)で分析した。結果を、比較例1の不純物量を100とする相対値で示す。この数値が大きいほど不純物量が多く、精製の効率が低いことを示す。
得られた水系インクを用いて、以下の方法で吐出性を評価した。
(b)吐出性の評価
調製した水系インクを市販のインクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製、商品名:EM930C、ピエゾ方式)を用い、普通紙(ゼロックス社製、商品名:4200)に10枚ベタ印字して、10枚目の印字状態を観察し、スジの数(正常に吐出していないノズルの数)を記録した。
スジの数が少ない方が、ノズルの閉塞等の不具合による不吐出現象の発生がなく、吐出性が良好であることを示す。
実施例2〜4
実施例1において、工程(II)の撹拌時間を、それぞれ12時間、48時間、0.5時間に変更した以外は実施例1と同様にして水系インクを調製し、評価した。結果を表3に示す。
実施例5
調製例1で得られた顔料水系分散体(1)25部を100mlのガラス製スクリュー管に量り取る。100mlのポリプロピレン製ディスポーザブルカップに水溶性有機溶媒としてグリセリン5.6部、トリエチレングリコール5.6部、トリメチロールプロパン4.0部を混合し、更にアセチレノールE100 0.4部、イオン交換水40.2部を入れ、シリンダー型磁気回転子を入れてマグネティックスターラーで10分間混合してインク組成物を調製(工程(I))し、20℃の恒温室においてマグネティックスターラーを用いて撹拌周速が約0.5m/sの条件で、12時間撹拌混合(工程(II))した後、グリセリン1.4部、トリエチレングリコール1.4部、トリメチロールプロパン1.0部、アセチレノールE100 0.1部、イオン交換水15.3部を加えて更に1時間撹拌(工程(III))し、実施例1と同様に濾過して水系インクを得た。結果を表3に示す。
なお、使用した水溶性有機溶媒の沸点の加重平均値は254.7℃であった。
比較例1
調製例1で得られた顔料水系分散体(1)25部を100mlのガラス製スクリュー管に量り取り、100mlのポリプロピレン製ディスポーザブルカップに水溶性有機溶媒としてグリセリン7部、トリエチレングリコール7部、トリメチロールプロパン5部を混合し、更にアセチレノールE100 0.5部、イオン交換水55.5部を入れ、シリンダー型磁気回転子を入れてマグネィックスターラーで10分間混合してインク組成物を調製(工程(I))し、20℃の恒温室においてマグネティックスターラーを用いて撹拌周速が約0.5m/sの条件で、12時間混合(工程(II))した後、さらに1時間撹拌し、実施例1と同様に濾過して水系インクを得た。結果を表3に示す。
比較例2
調製例1で得られた顔料水系分散体(1)25部を100mlのガラス製スクリュー管に量り取り、100mlのポリプロピレン製ディスポーザブルカップに水溶性有機溶媒としてグリセリン1.4部、トリエチレングリコール1.4部、トリメチロールプロパン1.0部を混合し、更にアセチレノールE100 0.1部、イオン交換水52.7部を入れ、シリンダー型磁気回転子を入れてマグネィックスターラーで10分間混合してインク組成物を調製(工程(I))し、20℃の恒温室においてマグネティックスターラーを用いて撹拌周速が約0.5m/sの条件で、12時間混合(工程(II))した後、グリセリン5.6部、トリエチレングリコール5.6部、トリメチロールプロパン4.0部、アセチレノールE100 0.4部、イオン交換水2.8部を加えて更に1時間撹拌(工程(III))し、実施例1と同様に濾過して水系インクを得た。結果を表3に示す。
実施例6
調製例2で得られた顔料水系分散体(2)25部を100mlのガラス製スクリュー管に量り取り、100mlのポリプロピレン製ディスポーザブルカップに水溶性有機溶媒としてグリセリン7部、トリエチレングリコール7部、トリメチロールプロパン5部を混合し、更にアセチレノールE100 0.5部、イオン交換水35.5部を入れ、シリンダー型磁気回転子を入れてマグネィックスターラーで10分間混合してインク組成物を調製(工程(I))し、20℃の恒温室においてマグネティックスターラーを用いて撹拌周速が約0.5m/sの条件で、12時間撹拌混合(工程(II))した後、20部のイオン交換水を加えて更に1時間撹拌し、実施例1と同様に濾過して水系インクを得た。
得られた水系インクを用いて、下記の方法で不純物量を測定した。結果を表3に示す。
(a’)不純物量の測定
前記の「(a)微量不純物量の測定」と同様にして、不純物を分離除去した。
質量分析により、ピーク高さの減少度合いが最も大きかったものの質量数を確認した結果、358.37であった。ジメチルキナクリドンの合成方法から考えると、分離除去した不純物は、C.I.ピグメントレッド122の閉環反応が一部未完了の化合物であると推定される。
また、その不純物量を、NMR装置に接続されている紫外・可視分光光度計(波長254nm)で分析した。結果を、比較例3の不純物量を100とする相対値で示す。この数値が大きいほど不純物量が多く、精製の効率が低いことを示す。
比較例3
比較例1において、調製例1で得られた顔料水系分散体(1)の代わりに、調製例2で得られた顔料水系分散体(2)を用いた以外は、比較例1と同様の手順で水系インクを得た。結果を表3に示す。
表3において、実施例1〜5と比較例1〜2の対比、及び実施例6と比較例3の対比から、実施例で得られた水系インクは、比較例で得られた水系インクに比べて、不純物量が少なく、印刷物にノズル欠けがないことが分かる。
本発明の製造方法によれば、顔料に不純物として微量含まれる有機化合物を効率よく除去でき、ノズル欠けがない優れた記録物を得ることができるインクジェット記録用水系インクを得ることができる。

Claims (5)

  1. 下記工程(I)〜(III)を有する水系インクの製造方法であって、媒体のSP値が下記式(1)の関係を満たす、インクジェット記録用水系インクの製造方法。
    工程(I):顔料の水系分散体と、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含む有機媒体aを混合し、インク組成物を調製する工程
    工程(II):工程(I)で得られたインク組成物を0.2時間以上60時間以下撹拌する工程
    工程(III):工程(II)で得られたインク組成物に水系媒体bを加えて撹拌し、固形分を分離する工程
    (有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値)−(有機媒体aのSP値)>0 (1)
  2. 水溶性有機溶媒が、多価アルコール及び多価アルコールアルキルエーテルから選ばれる1種以上の化合物である、請求項1に記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
  3. 有機媒体a中の水溶性有機溶媒の含有量が、20質量%以上80質量%以下である、請求項1又は2に記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
  4. 顔料がC.I.ピグメントイエロー74である、請求項1〜3のいずれかに記載のインクジェット記録用水系インクの製造方法。
  5. 下記工程(I)〜(III)を有する、水系インク中の不純物の低減方法であって、媒体のSP値が下記式(1)の関係を満たす、インクジェット記録用水系インク中の不純物の低減方法。
    工程(I):顔料の水系分散体と、沸点の加重平均値が100℃以上270℃以下である水溶性有機溶媒を含む有機媒体aを混合し、インク組成物を調製する工程
    工程(II):工程(I)で得られたインク組成物を0.2時間以上60時間以下撹拌する工程
    工程(III):工程(II)で得られたインク組成物に水系媒体bを加えて撹拌し、固形分を分離する工程
    (有機媒体aと水系媒体bとの混合液のSP値)−(有機媒体aのSP値)>0 (1)
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