JP2008280518A - 有機顔料水分散液及びその製造方法、並びにこれを用いた着色コーティング用組成物及び塗布物 - Google Patents

有機顔料水分散液及びその製造方法、並びにこれを用いた着色コーティング用組成物及び塗布物 Download PDF

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Abstract

【課題】濃縮により顔料を高濃度化しても高い透明性(曇り度値が小さい)を維持しうる有機顔料水分散液及びその製造方法、並びにこれを用いた着色コーティング用組成物及び塗布物を提供する。より詳しくはビルドアップ法によって調製した分散液の濃縮時の分散性を向上し、高濃度でも分散液中の顔料微粒子が凝集しにくい顔料微粒子水分散液とその効率的な製造方法、更にそれを用いた均質性及び透明性に優れ、所望の膜物性の着色薄膜を形成しうる着色コーティング用組成物及び塗布物を提供する。
【解決手段】顔料濃度が6〜30質量%であり、セル光路長0.2mmの透明ガラスセル中に封入し積分球式光電光度法により測定したときの曇り度値が0.3〜10%である有機顔料水分散液とそれを用いた着色コーティング用組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性の高い有機顔料水分散液及びその製造方法、並びにこれを用いた着色コーティング用組成物及び塗布物に関し、特に薄膜にした場合に曇り度値(ヘイズ値)が低く透明性の高い着色膜を形成することができる有機顔料水分散液及びその製造方法、並びにこれを用いた着色コーティング用組成物及び塗布物に関する。更に、エレクトロニクス用、建築用、広告表示用(看板、ポスターなど)、照明用(電球、蛍光灯など)、車両用もしくは鏡用等の部材(ガラス、プラスチックおよび光沢面金属板など)の着色に用いられる有機顔料を用いた透明性の高い着色コーティング組成物及び塗布物に関する。
自動車外板やその部品(例えばドアミラー、ホイールカバー、フロントグリル)とオートバイにおいてはかなりの比率で、また最近ではパソコン、ワープロなどのOA機器、携帯電話、家電製品のキャビネットなどにも塗膜に、メタリック性(光輝性)を付与する塗料による塗装が施される。この塗料には高級な意匠感をもつ種々のカラーメタリック塗膜を形成できるものであることが求められており、鱗片状の光輝性顔料(アルミ顔料、マイカ顔料など)を含有するメタリックベースコート塗料が開発されてきた。得られるメタリック塗膜は、この塗膜中に含有させた光輝性顔料に外部からの入射光が反射してキラキラと輝き、該塗膜の各種色調と相俟って変化に富んだ独特の美粧性外観を有している。
メタリック塗膜の形成方法として、例えば比較的濃色の顔料を含有するメタリックベース塗膜の上に、この比較的濃色の顔料と同系統色の高彩度顔料を低濃度で含有するカラークリヤー塗膜を形成するメタリック塗装方法が開示されている(特許文献1)。またメタリックベース塗料、透明性を有する第2ベース塗料及びクリヤー塗料を順次塗装するメタリック塗膜形成方法が開示されている(特許文献2)。
しかしながら、特許文献1に記載の方法においては、メタリックベース塗膜中の比較的濃色の顔料がメタリック感を低下させるため、メタリック塗膜の深み感及び高彩度感を得がたい。また特許文献2に記載の方法においては、透明性を有する第2ベース塗料の塗膜膜厚のわずかな変動によって塗色が大きく変化するため塗装ラインの管理が難しい。そのため膜厚が厚くなりやすいエッジ部の色が濃くなる、いわゆる額縁現象を生じやすい。
これらの現象は、着色材(塗料を着色するために用いる材料)として透明性の高い染料を用いれば大幅に改善される。しかしながら耐候性の点で塗料に使用できるのはクロム等の重金属のキレート染料(含金染料)などその種類は限られている。また、含金染料は顔料に比べて耐候性に未だ劣る上、クロムなどの重金属が環境有害であることから新規な透明性の高い着色材の開発が望まれていた。したがってそのような着色材として顔料を用いて実現できれば前記の要求に応えることが出来る可能性が高い。すなわち高濃度でも凝集しない、安定な透明性の高い顔料分散物を製造できるかどうかが、要求を満たす着色材を提供できるかどうかの鍵になっている。
透明な顔料分散物を得るためには、粒子の平均径が小さく、粒子径分布が狭い顔料微粒子の分散液を製造する必要がある。このような分散液製造法として、顔料を砕いて製造するブレークダウン法ではなく、化学的に粒子を製造するビルドアップ法が提案されている。その方法の一つとして、有機顔料を溶解した溶液を水性媒体と徐々に接触させ顔料を析出させる方法において、いずれかに分散剤を共存させることにより安定な微粒子を製造する方法がある(特許文献3、4、5および6参照)。さらにその操作をマイクロリアクターを用いて行う方法も開示されている(特許文献7および8参照)。また、最近、顔料微粒子を重合性化合物の存在下で析出させ、この重合性化合物を重合処理することにより分散安定性を向上させた有機顔料分散液を製造する方法が開示された(特許文献9参照)。
しかしながら、前記従来の顔料微粒子分散物中の顔料濃度は低く、高濃度化すると粘度が急激に上昇したり、透明性が損なわれるなどの問題があった。
ところで、ガラス製品は一般に着色して利用されることが多く、例えば液晶表示装置などに設けられる着色フィルター、着色ガラスボトルなどの用途に利用されている。着色フィルターあるいは着色ボトル等の着色されたガラス製品を得る方法の一つとして、有機色素(例えば、染料、顔料)をシリカゾルに配合してガラス表面に塗布、焼成してゲル化させる方法、いわゆるゾル−ゲル法がある。一般に、ゾル−ゲル法による場合、焼成温度を高くしないと緻密な着色薄膜が得られない。ここで用いる有機色素が染料の場合ヘイズの少ない透明性のよい着色薄膜を得ることができる。しかし、染料は高温で分解されるため、焼成温度を高くできず、結果として膜の緻密性が劣るものとなってしまう。
これを改善する方法として、粒子サイズの小さい、例えば3nm〜300nmの有機顔料微粒子を金属アルコキシドと分散剤を用いて混合させ、ガラス表面に塗布後、焼成して着色フィルターを得る方法が開示されている(特許文献10参照)。しかしながら、従来のミル分散に基づくブレークダウン法では均一な粒径の微粒子を得ることは難しく、得られたとしても多大な労力が必要である。特に透明性を得るために求められる100nm以下で粒径の揃った微粒子を得るためにはかなりの困難を伴う。
この点を改良する方法として、金属アルコキシドおよび/または金属アルコキシドの加水分解縮重合物と、ラテントピグメントを溶解した溶液を用いる方法が開示されている(特許文献11)。この方法で得られる着色薄膜は、従来の方法に比べて透明な薄膜を得やすい。しかし、塗布後に高温熱分解して顔料を生成させる方法のため、大面積での塗布では温度分布のムラを反映したムラのある着色薄膜になってしまう。また一般に二酸化炭素のようなガスが発生するため、膜の緻密性において未だ改良の余地がある。
このように、顔料を分散させた透明度の高い着色薄膜を得ることは難しく、このことは着色ガラスや着色光沢面金属板とする場合においても同じである。そのため、均質性、透明性に優れ、所望する塗膜物性を備えた着色薄膜を形成でき、また、種々の用途に使用できる着色コーティング用組成物の開発が望まれていた。
特公平2−38267号公報 WO97/47396号公報 特開2003−26972号公報 特開2003−113341号公報 特開2003−128955号公報 特開2004−43776号公報 特開2005−307154号公報 特開2006−104448号公報 特開2007−39643号公報 特開平5−178623号公報 特開2001−207115号公報
上記特許文献3〜8に開示された方法によれば粒子径が小さい顔料微粒子を低濃度で得ることはできる。しかし、本発明者らの検討によれば、これらの方法では透明性のある高濃度の分散液が得られるとしても極めて煩雑な操作を要し、これらの方法により製造されたものから大量かつ安価に上記所望の濃度と透明性を有する分散液を調製することは難しく、実際的ではない。例えば特許文献5においては、顔料分散液を調製した後それに含まれる顔料粒子を凝集させ、メンブレンフィルターで濾過して得られるペースト状分散物を再度アルカリ水で分散する。その上、それを再度メンブレンフィルターで濾過して粗大粒子を除き、濾液とする工程が必要である。このような煩雑な操作で得られた顔料粒子分散液は所望濃度まで濃縮する際の分散安定性、高濃度での安定性が悪く、顔料微粒子を凝集させずに透明性を維持した高濃度の有機顔料分散液にすることは難しい。
本発明は、濃縮により顔料を高濃度化しても高い透明性(曇り度値が小さい)を維持しうる有機顔料水分散液及びその製造方法、並びにこれを用いた着色コーティング用組成物の提供を目的とする。より詳しくはビルドアップ法によって調製した分散液の濃縮時の分散性を向上し、高濃度でも分散液中の顔料微粒子が凝集しにくい顔料微粒子水分散液とその効率的な製造方法、更にそれを用いた均質性及び透明性に優れ、所望の膜物性の着色薄膜を形成しうる着色コーティング用組成物の提供を目的とする。
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、ビルドアップ法により有機顔料微粒子を析出させるに当り、特定の界面活性剤を共存させることにより、濃縮後も透明性の高い顔料水分散液が得られることを見出した。また、その顔料水分散液と無機酸化物とを含有させ透明性の高い着色コーティング用組成物を得ることができることを見出した。本発明はこれらの知見を基になされたものである。
本発明の上記の課題は、次の手段により達成された。
(1)顔料濃度が6〜30質量%であり、セル光路長0.2mmの透明ガラスセル中に封入し積分球式光電光度法により測定したときの曇り度値が0.3〜10%である有機顔料水分散液。
(2)前記水分散液に含まれる有機顔料の体積平均径(MV)が3〜80nmであり、かつ体積平均径(MV)/個数平均径(MN)が1.2〜1.80である(1)記載の有機顔料水分散液。
(3)前記水分散液中に少なくとも一つのアニオン性界面活性剤を含有し、該界面活性剤が非プロトン性極性溶媒に5質量%以上の溶解度を有することを特徴とする(1)又は(2)のいずれかに記載の有機顔料水分散液。
(4)前記非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)であることを特徴とする(3)に記載の有機顔料水分散液。
(5)前記水分散液中に少なくとも一つのアニオン性界面活性剤を含有し、該界面活性剤が下記一般式(I)で表されることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1項に記載の有機顔料水分散。
Figure 2008280518
(式中、Rは炭素数5〜20のアルキル基を表す。Rは炭素数3〜10のアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Rは−SOM又は−(CH−COOMを表す。ここでMはナトリウム、カリウム、もしくはアンモニウムイオンを表し、nは1もしくは2を表す。mは1〜20の整数を表す。)
(6)pH変換共沈法を用いて調製された(1)〜(5)のいずれか1項に記載の有機顔料水分散液。
(7)前記pH変換共沈法が流路中の流通過程で行われることを特徴とする(6)記載の有機顔料水分散液。
(8)前記pH変換共沈法における流路がマイクロ空間であることを特徴とする(7)記載の有機顔料水分散液。
(9)前記水分散液を下記操作1〜4により薄膜とし、該薄膜の曇り度値を積分球式光電光度法により測定した値が0.5〜5%であることを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載の有機顔料水分散液。
1.有機顔料水分散液の濃度を、蒸留水を用いて5質量%に調整する(分散物A)。
2.ポリビニルアルコール(クラレポバールPVA205〔商品名〕)を分散物Aに対して質量比で10%添加し十分攪拌する(分散物B)。
3.分散物Bを透明ガラス上に膜厚20±2μmになるようにバーコーターで塗布する。
4.50℃で3時間乾燥する。
(10)限外濾過膜により精製および濃縮されたことを特徴とする(1)〜(9)のいずれか1項に記載の有機顔料水分散液。
(11)(1)〜(10)のいずれか1項に記載の有機顔料水分散液を希釈して顔料濃度10質量%未満とすることを特徴とする有機顔料水分散液の製造方法。
(12)着色成分として(1)〜(10)のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子水分散液を含有し、かつ、少なくとも1種類のマトリックス成分として無機酸化物を含有する着色コーティング用組成物。
(13)前記着色コーティング用組成物を厚さ1.0±0.1mmのガラス基板上にスピンコートし、乾燥工程を経て300±10nmの厚さの薄膜としたときに、その薄膜の曇り度値が0.03〜0.1%であることを特徴とする(12)記載の着色コーティング用組成物。
(14)前記無機酸化物が金属アルコキシドおよび/または金属アルコキシドの加水分解縮重合物であることを特徴とする(12)又は(13)のいずれか1項に記載の着色コーティング用組成物。
(15)前記着色コーティング用組成物に含まれる溶媒が、水を主成分とする溶媒であることを特徴とする(12)〜(14)のいずれか1項に記載の着色コーティング用組成物。
(16)(1)〜(10)のいずれか1項に記載の有機顔料水分散液を用いて作成される塗布物。
本発明の有機顔料水分散物は、高濃度でありながら高い透明性を有し、これを用いて曇り度が低い着色薄膜を形成することができるという優れた作用効果を奏する。本発明の有機顔料水分散液は、メタリックベースコート塗料に含有させる着色材のような用途に有用であり、その高濃度での透明性のため、着色したときにメタリックベースコート塗料の深み感及び高彩度感を損なわず、その塗膜の高輝性を向上させることができ、さらにクロム等の重金属のキレート染料(環境有害物)を使用しなくても良くなるという環境対応性向上の実現が可能になる。更に、本発明によれば、上記の優れた有機顔料水分散液を用いて高い透明性を有する着色コーティング用組成物及び塗布物が提供可能になり、それを用いて透明性が高く曇り度(ヘイズ)が低い薄膜を形成して着色することができるという優れた作用効果を奏する。また、本発明の着色コーティング用組成物は、透明性の高い着色ガラス、光沢性の高い着色金属板やコントラストに優れる液晶やカラーフィルター等を作製する用途に有用であり、水を主溶媒としうるので環境対応上優れた薄膜コーティング方法を提供することが可能になる。よって本発明の有機顔料水分散物を用いて製造される塗布物の有用性は高い。
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明の水分散物に含有される有機顔料微粒子はビルドアップ法により製造されることが好ましい。ビルドアップ法とは、溶媒に溶解(分子分散)した有機顔料または有機顔料前駆体から化学的反応を経て有機顔料微粒子を製造する方法である。本発明では、ビルドアップ法で製造した顔料微粒子を「ビルドアップ有機顔料微粒子」と呼ぶ。
本発明においては、上記ビルドアップ法のなかでも液相法が好ましく、共沈法がより好ましい。本発明において共沈法とは、顔料を良溶媒に溶解(分子分散)した顔料溶液を貧溶媒(水性媒体など)と徐々に接触させ顔料を析出形成する方法において、顔料析出時に分散剤を共存させる微粒子形成方法をいう。共沈法において分散剤を共存させる態様は特に限定されないが、上記の顔料溶液及び貧溶媒のいずれかもしくは両方に分散剤を含有させておくことが好ましく、これにより微粒子析出時の分散安定性を効果的に向上させることができる。なお、共沈法において分散剤を共存させないとき、その微粒子形成法を特に「再沈法」と区別していうことがある。
本発明において共沈法によりビルドアップ顔料微粒子を形成するとき、顔料溶液と貧溶媒とを接触させて、顔料溶液の水素イオン指数(pH)を変化させることが好ましい。この方法を本発明では「pH変換共沈法」と呼ぶ。水素イオン指数(pH)の変化は、アルカリに溶解した顔料から顔料微粒子を析出させる場合は、pH16.0〜5.0の範囲内でpHを低下させることが好ましく、pH16.0〜10.0の範囲内で低下させることがより好ましい。酸に溶解した顔料から顔料微粒子を析出させる場合は、pH1.5〜9.0の範囲内でpHを上昇させることが好ましく、pH1.5〜4.0の範囲内で上昇ることがより好ましい。変化の幅は顔料溶液の水素イオン指数(pH)の値にもよるが、顔料の析出をうながすのに十分な幅であればよい。上述のようにpHの変化という化学反応を経て微粒子形成を行うことにより、安定な顔料微粒子とすることができ好ましい。
本発明においては、顔料溶液と貧溶媒とを流路中の流通過程で接触させて顔料微粒子を析出させることが好ましい。このような流通過程で行うことにより、顔料微粒子の析出を通常の反応釜中で行うバッチ法に比べて均一な条件下で行うことができる。より好ましくは層流または層流と乱流の間に位置する過渡状態下で行うことであり、層流下で行うことが特に好ましい。層流および乱流とは以下のように説明される。管の中に水を流し、その中心軸状に細い管を挿入し着色した液を注入すると、水の流速が遅い間は、着色液は一本の線となって流れ、水は管壁に平行にまっすぐに流れる。しかし、流速を上げ、ある一定の流速に達すると急に水流の中に乱れが生じ、着色液は水流と混じって全体が着色した流れになる。前者の流れを層流(laminar flow)、後者を乱流(turbulent flow)という。その間を過渡状態の流れという。
流れが層流になるか乱流になるかは流れの様子を示す無次元数であるレイノルズ数(Reynolds number)が、ある臨界値以下であるか否かによって決まる。レイノルズ数が小さいほど層流を形成しやすい。管内の流れのレイノルズ数Reは次式で表される。
Re=D<υ>ρ/μ
Dは管の等価直径、<υ>は断面平均速度、ρは流体の密度、μは流体の粘度を表す。この式からわかるように等価直径が小さいほどレイノルズ数は小さくなるので、μmサイズの等価直径の場合は安定な層流を形成しやすくなる。また、密度や粘度の液物性もレイノルズ数に影響し、密度が小さく、粘度が大きいほどレイノルズ数は小さくなるので層流を形成しやすいことがわかる。
流れが変化する臨界値のレイノルズ数を臨界レイノルズ数(critical Reynolds number)と呼ぶ。臨界レイノルズ数は必ずしも一定とはいえないが、凡そ次の値が基準となる。(荻野文丸総編集、「化学工学ハンドブック」、p37、2004年、朝倉書店参照)。
Re<2300 層流
Re>4000 乱流
4000≧Re≧2300 過渡状態(遷移領域)
過渡状態の流れとして、例えば層流渦の領域から乱流領域までを含む流れであるカルマン渦やテーラー渦等がある。このカルマン渦やテーラー渦を含む「非層流」の詳細については後述する。
層流又は過渡状態(Re<4000)の流通過程で粒子形成(核生成から核成長を)を行い、粒子の成長速度を安定化することにより、粒子サイズが小さく、かつその分布が狭い、濁りが少ない透明性の高い顔料微粒子分散液を効率良く調製することができる。この流通過程での微粒子析出と、上述したpHの変化による微粒子析出とを組み合わせて形成した顔料微粒子は、粒子サイズ、その分布、分散安定性に優れ、しかも生産効率が高い点で特に好ましい。とりわけ、濁りが少ないことは粒径分布の幅が狭い(単分散度性に優れる)顔料微粒子であることと関係し、それにより高濃度でも透明性の高い安定な分散液を得ることができる。
本発明においては、ビルドアップ顔料微粒子の形成に、マイクロリアクター装置を使用することが好ましい。とりわけ、層流から過渡状態の流れを容易に調整できる中心衝突型と呼ばれる溶液の合流態様を採用したマイクロリアクター装置を用いることが好ましい。図1は、立体型のマイクロリアクター装置80の一例であり、マイクロリアクター装置80を構成する3つのパーツを分解した状態を斜視図で示した分解斜視図である。立体型のマイクロリアクター装置80は、主として、それぞれが円柱状の形状をした供給ブロック81、合流ブロック82、及び反応ブロック83により構成される。そして、マイクロリアクター装置80を組み立てるには、円柱状をしたこれらのブロック81、82、83を、この順番で互いの側面同士を合わせて円柱状になるようにし、この状態で各ブロック81、82、83をボルト・ナット等により一体的に締結する。
供給ブロック81の合流ブロック82に対向する側面83には、2本の環状溝84、85が同心状に穿設されており、マイクロリアクター装置80を組み立て状態において、2本の環状溝86、85は溶液Bと溶液Aとがそれぞれ流れるリング状流路を形成する。そして、供給ブロック81の合流ブロック82に対向しない反対側の側面94から外側環状溝86と内側環状溝85に達する貫通孔88、87がそれぞれ形成される。かかる2本の貫通孔88、87のうち、外側の環状溝86に連通する貫通穴88には、溶液Aを供給する供給手段(ポンプ及び連結チューブ等)が連結され、内側環状溝85に連通する貫通孔87には、溶液Bを供給する供給手段(ポンプ及び連結チューブ等)が連結される。図8では、外側環状溝86に溶液Aを流し、内側環状溝85に溶液Bを流すようにしたが、逆にしてもよい。
合流ブロック82の反応ブロック83に対向する側面89の中心には円形状の合流穴90が形成され、この合流穴90から放射状に4本の長尺放射状溝91、91・・・と4本の短尺放射状溝92、92・・・が交互に穿設される。これら合流穴90や放射状溝91,92はマイクロリアクター装置80を組み立て状態において、合流領域90となる円形状空間と溶液A,Bが流れる放射状流路とを形成する。また、8本の放射状溝91,92のうち、長尺放射状溝91の先端から合流ブロック82の厚み方向にそれぞれ貫通穴95、95・・・が形成され、これらの貫通穴95は供給ブロック81に形成されている前述の外側環状溝86に連通される。同様に、短尺放射状溝92の先端から合流ブロック82の厚み方向にそれぞれ貫通穴96、96・・・が形成され、これらの貫通穴96は供給ブロック81に形成されている内側環状溝85に連通される。
また、反応ブロック83の中心には、反応ブロック83の厚み方向に合流穴90に連通する1本の貫通孔93が形成され、この貫通孔93がマイクロ流路となる。
これにより、溶液Aは供給ブロック81の貫通孔→外側環状溝86→合流ブロック82の貫通孔95→長尺放射溝91から構成される供給流路を流れて4つの分割流に分割されて合流領域(合流穴90)に至る。一方、溶液Bは供給ブロック81の貫通孔87→内側環状溝85→合流ブロック82の貫通孔96→短尺放射溝92から構成される供給流路を流れて4つの分割流に分割されて合流領域(合流穴90)に至る。合流領域において溶液Aの分割流と溶液Bの分割流とがそれぞれの運動エネルギーを有して合流した後、90°流れ方向を変えてマイクロ流路に流入する。
また、図2−1、図2−2に示したようなY字型流路を有する反応装置を用いることも好ましい。図2−1はその反応装置10の説明図であり、図2−2は図2−1のI−I線の断面図である。本態様の装置においては、例えば2種類の液が供給口11及び供給口12にそれぞれ供給される。各流路の長さ方向に直交する断面の形は使用される微細加工技術により異なるが、台形または矩形に近い形が好ましい。導入口11及び導入口12からポンプなどにより注入された液体は導入流路13a(流路幅X)及び導入流路13b(流路幅Y)をそれぞれ経由して流体合流点13dにて接触し、安定な層流を形成して、合流後の混合領域となる反応流路13c(流路幅C、流路長さF、流路深さH)を流れる。そして例えば層流として混合領域13c(始点13d、終点14)を流れる間に、層流状態であれば、層流間の界面における分子拡散により互いが混合し反応が行われる。このとき、拡散の極めて遅い物質であれば、層流間での拡散混合が起きず、排出口14に達した後に初めて混合する場合もある。注入される2つの液体がフラスコ中でも容易に混合するような組み合わせのとき、混合領域の流路長Fを長く取れば排出口で液の流れを均一な流れにしうる。一方、このような組み合わせでも流路長Fを短くすれば排出口まで層流を保つこともできる。
その他、円筒管型流路を有する反応装置、2液の流れが層流のまま出口まで到達する場合、それらを分離できるように改良を加えた装置などを用いることができる(例えば特開2005−307154号公報の段落0049〜52及び図1〜図4参照)。また、2液の接触角度や接触流路の数を適宜に調節した平面型マイクロリアクターや立体型マイクロリアクターを用いることも好ましい(例えば特開20006−342304号公報の段落0053〜0056並びに図1〜図3参照)。
本発明においてビルドアップ顔料微粒子は、上記の顔料溶液と貧溶媒とを非層流下で接触させて顔料微粒子を形成してもよい。ここで「非層流」とは規則的または不規則な変動を含む流れのことで、例えばカルマン渦やテーラー渦等で代表される層流渦の領域から乱流領域までを含む流れをいう。
上述のように非層流は規則的または不規則な変動を含む流れである。これについて詳しくいうと、先にも述べたとおり、マイクロ流路中に第1の粘性流体(例えば水)を流し、その中心軸上にそのマイクロ流路よりも細い管を挿入して別の第2の粘性流体(例えば着色水)を注入すると、流速が十分に遅ければ、着色水は変動を含まない1本の線状の流れとなって流路軸に平行に安定的に流れる。すなわち層流となる。そして、徐々に流速を上げていくと不安定で変動を含む流れへと移行していき、ついには、その変動を起因とした乱れの中で第2の粘性流体が第1の粘性流体と混合していく。すなわち連続的に層流から乱流へと移行する。このとき層流域であるか乱流域であるかに関わらず、上記の流れの変動の形態として規則的なものと不規則なものとがあり、非層流というとき、これらの両者を含む。
例えば、規則的な変動を含む流れとしては、カルマン渦及びテーラー渦が挙げられる。一方、不規則な変動を含む流れとしては、無秩序に大小の様々な渦の発生と消滅が繰り返されるような、いわゆる乱流状態の流れが挙がられる。なお、非層流については、(1)化学工学便覧改訂六版,化学工学会編,丸善株式会社、(2)理化学辞典第5版,岩波書店、(3)M.Engler et al.,“Effective Mixing by the Use of Convective Micro Mixers”,Conference Proceedings,2005 Spring National Meeting,AIChE,128dなどを参考にすることができ、例えば特開2006−342304号公報に記載の態様により行ってもよい。
本発明の顔料水分散液に用いられる有機顔料は、色相的に限定されるものではなく、例えば、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、インダンスレン、キノフタロン、キノキサリンジオン、金属錯体アゾ、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、ナフトールAS、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンまたはイソビオラントロン系顔料またはそれらの混合物などの顔料である。
更に詳しくは、例えば、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントバイオレット29等のペリレン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ43、もしくはC.I.ピグメントレッド194等のペリノン系顔料、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット42、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド192、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド207、もしくはC.I.ピグメントレッド209のキナクリドン系顔料、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントオレンジ48、もしくはC.I.ピグメントオレンジ49等のキナクリドンキノン系顔料、C.I.ピグメントイエロー147等のアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド168等のアントアントロン系顔料、C.I.ピグメントブラウン25、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー181、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ62、もしくはC.I.ピグメントレッド185等のベンズイミダゾロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー128)、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントレッド144(C.I.番号20735)、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントイエロー219、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド221、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド248、C.I.ピグメントレッド262、もしくはC.I.ピグメントブラウン23等のジスアゾ縮合系顔料、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー83、もしくはC.I.ピグメントイエロー188等のジスアゾ系顔料、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントレッド48、C.I.ピグメントレッド53、C.I.ピグメントオレンジ64、もしくはC.I.ピグメントレッド247等のアゾ系顔料、C.I.ピグメントブルー60等のインダントロン系顔料、C.I.ピグメントブルー60等のインダンスレン系顔料、C.I.ピグメントイエロー138等のキノフタロン系顔料、C.I.ピグメントイエロー213等のキノキサリンジオン系顔料、C.I.ピグメントイエロー129、もしくはC.I.ピグメントイエロー150等の金属錯体アゾ系顔料、C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントグリーン37、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー75、もしくはC.I.ピグメントブルー15(15:1、15:6等を含む)等のフタロシアニン系顔料、C.I.ピグメントブルー56、もしくはC.I.ピグメントブルー61等のトリアリールカルボニウム系顔料、C.I.ピグメントバイオレット23、もしくはC.I.ピグメントバイオレット37等のジオキサジン系顔料、C.I.ピグメントレッド177等のアミノアントラキノン系顔料、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントオレンジ71、もしくはC.I.ピグメントオレンジ73等のジケトピロロピロール系顔料、C.I.ピグメントレッド187、もしくはC.I.ピグメントレッド170等のナフトールAS系顔料、C.I.ピグメントレッド88等のチオインジゴ系顔料、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントオレンジ66等のイソインドリン系顔料、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、もしくはC.I.ピグメントオレンジ61等のイソインドリノン系顔料、C.I.ピグメントオレンジ40、もしくはC.I.ピグメントレッド216等のピラントロン系顔料、またはC.I.ピグメントバイオレット31等のイソビオラントロン系顔料である。
好ましい有機顔料は、アンスラキノン、ナフトール、ペリレン、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、金属錯体アゾ、ジオキサジン、ナフトロン、フタロシアニン、またはインダンスレン系顔料である。中でも、キナクリドン、ジケトピロール、ジスアゾ、フタロシアニン系顔料がより好ましく、ジケトピロール、ジスアゾ系顔料が特に好ましい。
本発明において、2種類以上の有機顔料または有機顔料の固溶体または有機顔料と無機顔料の組み合わせも使用することができる。
本発明の有機顔料水分散液は、前記のビルドアップ法、とりわけpH変換共沈法で調製するのが好ましい。pH変換共沈法で有機顔料水分散液を製造する方法において、有機顔料は塩基性または酸性で水と十分混合する有機溶媒(含水していても良い)に均一に溶解されなければならないが、酸性で溶解するか塩基性で溶解するかは対象とする顔料がどちらの条件で均一に溶解し易いかで選択される。一般に分子内に塩基で解離可能な基を有する顔料の場合は塩基性が、塩基で解離する基が存在せず、プロトンが付加しやすい窒素原子を分子内に多く有するときは酸性が用いられる。例えば、キナクリドン、ジケトピロロピロール、ジスアゾ縮合系顔料は塩基性で、フタロシアニン系顔料は酸性で溶解される。
塩基性で溶解させる場合に用いられる塩基は、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、もしくは水酸化バリウムなどの無機塩基類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシドなどの金属アルコキシド類、またはトリアルキルアミンもしくはジアザビシクロウンデセン(DBU)などの有機塩基類であるが、好ましくは無機塩基、または金属アルコキシドである。
使用される塩基の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、無機塩基の場合は好ましくは顔料に対して3〜20モル当量であり、有機塩基の場合は好ましくは顔料に対して20〜100モル当量である。
酸性で溶解させる場合に用いられる酸は、硫酸、塩酸、もしくは燐酸などの無機酸、または酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロメタンスルホン酸などの有機酸であるが好ましくは無機酸である。特に好ましくは硫酸である。
使用される酸の量は、顔料を均一に溶解可能な量であり、特に限定されないが、塩基に比べて大過剰量用いられる場合が多い。無機酸および有機酸の場合を問わず、好ましくは顔料に対して30〜500モル当量である。
次にpH変換共沈法において顔料を溶解する有機溶媒について説明する。用いられる有機溶媒は塩基または酸添加で顔料を十分に溶解できる溶媒で、かつ水と十分混合可能な有機溶媒である。例えば、メタノールまたはエタノール等の低級アルコール系溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、もしくはトリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、尿素、もしくはテトラメチル尿素等のアミド系溶媒、スルホラン、ジメチルスルホキシド、もしくは3−スルホレン等の含イオウ系溶媒、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能系溶媒、酢酸、マレイン酸、ドコサヘキサエン酸、トリクロロ酢酸、もしくはトリフルオロ酢酸等のカルボン酸系溶媒、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロスルホン酸等のスルホン酸系溶媒が挙げられる。
好ましい有機溶媒は、塩基性の場合はアミド系溶媒または含イオウ化合物系溶媒であり、酸性の場合はカルボン酸系溶媒またはスルホン酸系溶媒であるが、更に好ましくは塩基性の場合は含イオウ化合物系溶媒であり、酸性の場合はスルホン酸系溶媒である。特に好ましくは、塩基性の場合はジメチルスルホキシド(DMSO)、酸性の場合はメタンスルホン酸である。
有機溶媒が水を含む場合の水/有機溶媒の混合比は顔料を均一溶解できる比率であり、特に限定は無い。一般に、塩基性の場合には実質的に水を含まないか、または水/有機溶媒=0.005〜10(質量比)である。酸性の場合で無機酸を用いる場合は、有機溶媒を使わず、例えば硫酸単独で用いるのが好ましい。有機酸を用いるときは有機酸自身が有機溶媒であり、粘性と溶解性を調整するために複数の酸を混合したり、水を添加する。好ましくは水/有機溶剤(有機酸)=0.005〜0.1(質量比)である。
流路中、特に流路中のマイクロ空間で微粒子形成を行う場合は、均一に溶解した溶液を流路に投入することが好ましい。懸濁液を投入すると粒子径が大きくなったり、粒子分布が広い顔料微粒子になる。場合によっては容易に流路を閉塞してしまう。「均一に溶解」の意味は可視光線下で観測した場合に濁りが観測されない溶液であり、本発明では0.45μm以下のミクロフィルターを通して得られる溶液、または0.45μmのフィルターを通した場合に濾過される物を含まない溶液を均一に溶解した溶液と定義する。
次に流路中で顔料を均一に溶解した溶液と接触し、水素イオン指数(pH)を変化させる溶媒(以下接触溶媒と呼ぶ)について説明する。接触溶媒は水素イオン濃度を変化させるだけでなく、生成した顔料微粒子を析出させる貧溶媒としても働く。本発明において接触溶媒は一般に水、もしくは水に相分離しない程度の有機溶媒を溶解させた水性媒体である。接触溶媒に含有することが可能な有機溶媒の好ましいものを上げれば、メタノールまたはエタノール等の低級アルコール系溶媒、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、もしくはトリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール系溶媒、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、もしくはトリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、尿素、もしくはテトラメチル尿素等のアミド系溶媒、スルホラン、ジメチルスルホキシド、もしくは3−スルホレン等の含イオウ系溶媒、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能系溶媒、酢酸、マレイン酸、ドコサヘキサエン酸、トリクロロ酢酸、もしくはトリフルオロ酢酸等のカルボン酸系溶媒、メタンスルホン酸、もしくはトリフルオロスルホン酸等のスルホン酸系溶媒が挙げられる。
好ましい有機溶媒は、塩基性の場合はアミド系溶媒または含イオウ化合物系溶媒であり、酸性の場合はカルボン酸系溶媒またはスルホン酸系溶媒であるが、更に好ましくは塩基性の場合は含イオウ化合物系溶媒であり、酸性の場合はスルホン酸系溶媒である。特に好ましくは、塩基性の場合はジメチルスルホキシド(DMSO)、酸性の場合はメタンスルホン酸である。
水性媒体中の有機溶媒の濃度は顔料を20質量%以下であることが好ましく、特に好ましくは10質量%以下である。
次に水素指数(pH)について説明する。水素指数(pH)は、水素イオン濃度(モル濃度)の逆数の常用対数である。水素イオン濃度とは、溶液中の水素イオンHの濃度であり、1Lの溶液中に存在する水素イオンのモル数を意味する。水素イオン濃度は非常に広い範囲で変化するので通常は水素指数(pH)を用いて表す。例えば、純粋な水は1気圧、25℃では10−7モルの水素イオンを含むから、そのpHは7で中性である。pH<7の水溶液は酸性、pH>7の水溶液はアルカリ性である。pHの値を測定する方法としては、電位差測定法および比色測定法ある。
本発明の顔料分散液を調製するには、流路中を流通する過程で水素指数(pH)を変化させ、顔料微粒子を調製することが好ましいが、その方法は有機顔料の均一溶液の導入口とは異なる導入口を有する流路を用いて行われる。詳しくは、一つの導入口に有機顔料を溶解した均一溶液を導入し、もう一つの導入口に中性、酸性またはアルカリ性の水溶液を導入し、両液を流路E中で接触させることにより水素イオン濃度、すなわち水素指数(pH)を中性近辺に変化させる。
水素指数(pH)の変化は、アルカリ性水性媒体に溶解した顔料から顔料微粒子を製造する場合は、おおむね変化はpH15.0から5.0の範囲であり、好ましくはpH14.0から7.0の範囲である。酸性水性媒体に溶解した顔料から顔料微粒子を製造する場合は、おおむね変化はpH1.0から9.0の範囲であり、好ましくはpH1.0から7.0の範囲である。
流路内における反応温度は、溶媒が凝固、あるいは気化しない範囲内であることが望ましいが、好ましくは、−20〜90℃、より好ましくは0〜50℃である。特に好ましくは5〜15℃である。
流路内を流れる流体の速度(流速)は、有利には0.1mL〜300L/hr、好ましくは0.2mL〜30L/hr、更に好ましくは0.5mL〜15L/hr、特に好ましくは1.0mL〜6L/hrである。
本発明の有機顔料水分散液を製造するに当り、有機顔料を含む溶液の中、または/および水素指数(pH)を変化させるための水溶液の中に分散剤を添加することができる。分散剤は(1)析出した顔料表面に素早く吸着して、微細な顔料粒子を形成し、かつ(2)これらの粒子が再び凝集することを防ぐ作用を有するものである。本発明では、このような分散剤として、アニオン性、カチオン性、両イオン性、ノニオン性もしくは顔料性の低分子または高分子分散剤、又は高分子分散剤を使用することができる。これらの分散剤は、単独あるいは併用して使用することができる。
アニオン性分散剤(アニオン性界面活性剤)としては、アシルメチルタウリン塩、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。なかでも、アシルメチルタウリン塩が好ましい。これらアニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カチオン性分散剤(カチオン性界面活性剤)には、四級アンモニウム塩、アルコキシル化ポリアミン、脂肪族アミンポリグリコールエーテル、脂肪族アミン、脂肪族アミンと脂肪族アルコールから誘導されるジアミンおよびポリアミン、脂肪酸から誘導されるイミダゾリンおよびこれらのカチオン性物質の塩が含まれる。これらカチオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
両イオン性分散剤は、前記アニオン性分散剤が分子内に有するアニオン基部分とカチオン性分散剤が分子内に有するカチオン基部分を共に分子内に有する分散剤である。
ノニオン性分散剤(ノニオン性界面活性剤)としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステルなどを挙げることができる。なかでも、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルが好ましい。これらノニオン性分散剤は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料性の低分子または高分子分散剤とは、親物質としての有機顔料から誘導され、その親構造を化学修飾することで製造される顔料性分散剤である。例えば、糖含有顔料分散剤、ピペリジル含有顔料分散剤、ナフタレンまたはペリレン誘導顔料分散剤、メチレン基を介して顔料親構造に連結された官能基を有する顔料分散剤、ポリマーで化学修飾された顔料親構造を有する分散剤、スルホン酸基を有する顔料分散剤、スルホンアミド基を有する顔料分散剤、エーテル基を有する顔料分散剤、あるいはカルボン酸基、カルボン酸エステル基またはカルボキサミド基を有する顔料分散剤などがある。
さらに前記の高分子分散剤としては、具体的には、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド、ビニルアルコール−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール−部分ホルマール化物、ポリビニルアルコール−部分ブチラール化物、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロック共重合体、ポリアクリル酸塩、ポリビニル硫酸塩、ポリ(4−ビニルピリジン)塩、ポリアミド、ポリアリルアミン塩、縮合ナフタレンスルホン酸塩、スチレン−アクリル酸塩共重合物、スチレン−メタクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、アクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−アクリル酸塩共重合物、メタクリル酸エステル−メタクリル酸塩共重合物、スチレン−イタコン酸塩共重合物、イタコン酸エステル−イタコン酸塩共重合物、ビニルナフタレン−アクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−メタクリル酸塩共重合物、ビニルナフタレン−イタコン酸塩共重合物、酸価60〜200を有し、カルボン酸基が末端基である側鎖を有するアクリル系重合物、セルロース誘導体、澱粉誘導体などが挙げられる。その他、アルギン酸塩、ゼラチン、アルブミン、カゼイン、アラビアゴム、トラガントゴム、リグニンスルホン酸塩などの天然高分子類も使用できる。なかでも、ポリビニルピロリドンが好ましい。これら高分子は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては高分子分散剤としてブロック共重合体を用いることができる。このブロック共重合体について、さらに詳しく述べる。ブロック共重合体の具体的な例として以下を挙げることができる。即ち、アクリル系、メタクリル系ブロック共重合体、ポリスチレンと他の付加重合系または縮合重合系のブロック共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシアルキレンのブロックを有するブロック共重合体等である。そして、従来から知られているブロック共重合体を用いることもできる。本発明において、ブロック共重合体はAB、ABA、ABD等のブロック形態がより好ましい。A、B、Dはそれぞれ異なるブロックセグメントを示す。本発明に用いられるブロック共重合体は両親媒性であることが好ましい。具体的に好ましい形としては、疎水セグメントと有機酸あるいはそのイオン性塩ユニットを持つ親水セグメントからなるABジブロック共重合体を挙げることができる。また、疎水セグメントと有機酸あるいはそのイオン性塩ユニットを持つ親水セグメントとさらに別のセグメントを有するABCトリブロック共重合体が好ましく用いられる。ABCトリブロックの場合、Aが疎水セグメント、Bが非イオン性の親水セグメント、Cが有機酸あるいはそのイオン性塩ユニットを持つ親水セグメントである形が好ましく用いられ、内包状態の安定化の意味でも好ましい。
本発明で用いられうるブロック共重合体の分子量分布=Mw(重量平均分子量)/Mn(数平均分子量)は2.0以下であることが好ましい。更に好ましくは1.6以下であり、更に好ましくは1.3以下である。さらに好ましくは1.2以下である。本発明で用いられるブロックポリマーの数平均分子量Mnは1000〜30万であるが好ましい。本発明で用いられるブロックポリマーの数平均分子量Mnが1000〜30万であると、所定の機能を奏する物質を溶媒中において良好に分散できる。
また、分散安定性向上、包接性向上のためにはブロック共重合体の分子運動性がよりフレキシブルであることが色材物質表面と物理的に絡まり親和しやすい点を有しているため好ましい。さらには後に詳述するように被記録媒体上で被覆層を形成しやすい点でもフレキシブルであることが好ましい。特にインクとして使用した場合、被記録媒体上でブロック共重合体の被覆層を形成しやすい点でもフレキシブルであることが好ましい。このブロック共重合体の被覆層は内包された色材の酸化や光劣化を抑制し耐環境性を向上することが可能になる。このためにはブロックポリマーの主鎖のガラス転移温度Tgは、好ましくは20℃以下であり、より好ましくは0℃以下であり、さらに好ましくは−20℃以下である。この点でもポリビニルエーテル構造を有するポリマーは、ガラス転移点が低く、フレキシブルな特性を有するため、好ましく用いられる。
分散剤の配合量は、顔料の均一分散性および保存安定性をより一層向上させるために、顔料100質量部に対して0.1〜250質量部の範囲であることが好ましく、より好ましくは1〜100質量部の範囲である。
本発明の顔料水分散液の調製方法において好ましい実施態様は、少なくとも一つのアニオン性界面活性剤を分散剤として含有させることである。用いられるアニオン性界面活性剤は、顔料を溶解するために用いる有機溶媒に2質量%以上の溶解度を有するアニオン性界面活性剤が好ましく、5質量%以上の溶解度を有するアニオン性界面活性剤がより好ましい。更に好ましくは、非プロトン性極性溶媒に5質量%以上の溶解度を有するアニオン性界面活性剤である。特に好ましくは非プロトン性極性溶媒であるジメチルスルホキシド(DMSO)に5質量%以上の溶解度を有するアニオン性界面活性剤である。このような有機溶媒に溶解するアニオン性界面活性剤としては、分子量400〜2000の、アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸エステル塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、 ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、または、下記一般式(I)で表される化合物等が挙げられ、中でも、分子量400〜1000の、アシルメチルタウリン塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、または、下記一般式(I)で表される化合物を用いることが好ましく、分子量450〜800の、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩、または、下記一般式(I)で表される化合物を用いることがより好ましく、下記一般式(I)で表される化合物を用いることが特に好ましい。
このように有機溶媒溶解性のアニオン界面活性剤を用いることにより、共沈法により顔料水分散液を製造する際、アニオン性界面活性剤を顔料を溶解した有機溶媒中に含有させることができ好ましい。さらに具体的にいうと、pH変換共沈法により有機顔料水分散物を得る際、pH変換するために用いる水性媒体中に含有させるよりも、顔料溶液中に上記界面活性剤を含有させることが好ましい。これにより、微粒子の粒子径がより小さくて粒子分布がより狭く、そして高濃度化しても微粒子がより凝集しにくい分散安定性の高い水分散液を得ることができる。なお、本発明において非プロトン性極性溶媒とはpKaが20以下の解離性水素を有しない溶媒と定義され、具体的には、ジメチルスルホキシド、 N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジオン、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、またはエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
本発明においては、上述のとおり、アニオン性界面活性剤として下記一般式(I)で表される化合物を用いることが好ましい。
Figure 2008280518
式中、Rは炭素数5〜20のアルキル基と表す。Rは炭素数3〜10のアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Rは−SOM又は−(CH−COOMを表す(ここでMはナトリウム、カリウム、もしくはアンモニウムイオンを表し、nは1もしくは2を表す。)。mは1〜20の整数を表す。
およびRについて詳しく述べれば、Rは直鎖もしくは分岐鎖の炭素数5〜20のアルキル基が好ましく、Rは直鎖もしくは分岐鎖の炭素数3〜20のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基であることが好ましい。より好ましくはRは直鎖もしくは分岐鎖の炭素数8〜12のアルキル基であり、Rは直鎖の炭素数3〜10のアルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基である。特に好ましくは、Rは直鎖および分岐のデシル基又はドデシル基を有するアルキル基であり、Rは1−プロピル基、2−プロペン−1−イル基、もしくは2−プロピン−1−ニル基である。
およびmについて詳しく述べれば、好ましくはRは−SONHもしくは‐CHCOONaであり、mは3〜12の整数である。特に好ましくはRは−SONHであり、mは5または10である。ただし、mについては含率が50%以上で最も多いPEO基(ポリエチレンオキシ基)を表す数値である。
以下に、本発明に用いられる一般式(I)で表されるアニオン性界面活性剤の具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 2008280518
Figure 2008280518
一般式(I)で表されるアニオン性界面活性剤は、特開平7−18009号、同7−18010号、および同11−349612号に記載の方法およびその方法に準じて製造することができる。
一般式(I)で表されるアニオン性界面活性剤は、一種を用いても、二種化合物を用いてもよい。二種の化合物を用いるとき、その混合比に特に制限はない。
本発明の有機顔料水分散液は、加熱処理されたものであることが好ましい。好ましい加熱温度は30℃〜99℃であり、より好ましくは50℃〜90℃である。加熱はバッチ反応装置で行ってもマイクロ流路中フローで行ってもよい。加熱時間は特に限定されないが、1〜400分が好ましく、2〜200分がより好ましい。加熱処理により分散液の粘度を下げ、また保存安定性を向上させうる点で好ましい。
本発明において顔料微粒子の分散液を加熱処理するときの加熱温度は、機顔料の種類、量、共存する化合物の種類などによって異なるが、40℃〜100℃で行うことが好ましく、50〜100℃がより好ましく、60〜95℃が特に好ましい。加熱処理前の温度は特に限定されないが、60℃以下であることが好ましく、0〜40℃であることがより好ましく、10〜40℃であることが特に好ましい。この温度は、例えばビルドアップ法でのマイクロリアクター装置内での有機顔料微粒子を析出させる直前の温度(換言すれば混合前の有機顔料溶液及び貧溶媒の温度)を加熱前の温度とみなし、この加熱前の温度よりも上記有機顔料微粒子が析出するときの温度を高いものとすることで、上記加熱処理とすることがきる。
加熱処理の実施態様はこれに限らず、顔料微粒子を析出させて分散液とし、次いでこれ加熱し顔料微粒子を析出させたときの温度より高い温度としてもよく、加熱処理を顔料微粒子を析出させたときのものとは異なる槽で行ってもよい。例えば、顔料微粒子を析出させた分散液を、その調製後に精製、濃縮などの工程を経る場合には、いずれの段階において加熱処理を行ってもよく、順序は特に問わない。例えば有機顔料微粒子分散物を、流路内で加熱した後、洗浄工程を経て濃縮する形態、洗浄工程を経た分散液を再度流路内を流通させ加熱しその後濃縮する形態、洗浄工程、濃縮工程の後で再度流路内を流通させ加熱する形態などを取ることができる。操作の簡便性から、流路内で加熱した後洗浄、濃縮する形態が好ましい。また、流路中での加熱を行う方法の一として、マイクロリアクターの出口に加熱部分を連結して粒子析出と加熱工程を連続して行わせることが可能であり、コスト的な観点からも好ましい形態である。
このように加熱処理することで、粘度上昇を抑制した顔料微粒子の水分散液とすることができる。これにより例えば上記水分散液の濃縮が容易になりインクジェットインクにした際の吐出性能を向上させたり、経時による粒径変化を抑制したりすることができる。また、水分散液を濃縮した際に良好な透明性を維持しうるものにしたりすることができる点で好ましい。
流路内の液体を加熱処理する際、その流路の直径はとくに限定されないが、等価直径が0.1mm以上16mm以下の部分を有することが好ましい。流路の直径を小さくし、流路の器壁の厚みを薄くすることにより熱交換は速くなり内温をすばやく外温と殆んど同じ温度に昇温でき、かつ液全体を均一温度、均一時間でむらなく加熱できることが可能になる。ただし、単位時間に加熱できる液量が少なくなったり、加熱時間が短すぎたりする場合があるため、目的に応じて適当な直径の流路を選択することが好ましい。熱交換をすばやく行うための径の細い流路の後に、十分な加熱時間を確保するための太い流路を連結することも可能であり、好ましい方法の一つである。
加熱部分の流速、流路長も特に限定されず、適宜好ましい値に調整することが可能である。ただし、加熱部分の直径、流速、流路長の組み合わせとしては液の加熱時間が10秒以上となることが好ましい。加熱時間が短すぎると所望の効果が得られなくなるためである。加熱時間の上限は特にないが粒径維持やコストの観点で5時間以下とすることが好ましい。加熱時間はより好ましくは15秒以上3時間以内であり、更に好ましくは20秒以上2.5時間以内であり、特に好ましくは60秒以上2.5時間以内である。
本発明の有機顔料水分散液に、重合性化合物が含有されている時は重合処理を行ってもよい。重合処理とは重合開始剤を添加し、加熱処理やUV照射などの処理である。このとき重合体は、有機顔料微粒子表面上、顔料微粒子内部のいずれに存在していてもよく、重合体のすべて(あるいはその一部)が該有機顔料微粒子と接している状態であればよく、微粒子の分散液中での移動によっても脱離しないように接着していることが好ましい。ここで重合体とは、重合性化合物2分子以上が重合した結果生じた化合物をいい、微粒子上のすべての重合性化合物が重合反応に関与している必要はなく、未反応の重合性化合物が残存していてもよい。
顔料水分散液に含まれる有機顔料微粒子の粒径の計測法において、数値化して集団の平均の大きさを表現する方法があるが、よく使用されるものとして、分布の最大値を示すモード径、積分分布曲線の中央値に相当するメジアン径、および各種の平均径(長さ平均、面積平均、重量平均、個数平均(MN)、体積平均(MV)など)がある。本発明では特に断らない限り、体積平均径(MV)にて平均粒径を表すこととする。なお、本発明において、分散液濃縮前の有機顔料微粒子の粒径測定は調整した分散液そのものについて行い、濃縮後のものについては得られた濃縮液を1.0質量%まで蒸留水で希釈した分散液について行うものとする。また、本発明において、有機顔料微粒子の粒径の測定は特に断らない限り動的光散乱法にて行った値をいう。本発明における有機顔料微粒子の粒径は、濃縮後1.0質量%に調製して測定した場合で1〜100nmが好ましく、特に好ましくは3〜80nmである。
微粒子の粒径が揃っていること、すなわち単分散微粒子系は、含まれる粒子の大きさが揃っているだけではなく、粒子内の化学組成や結晶構造にも粒子間の変動がないことを意味し、粒子の性能を決める重要な要素である。特に粒子径がナノメートルの超微粒子においてはその粒子の特性を支配する因子として重視される。本発明の顔料水分散液を調製するに当り用いるpH変換共沈法は、粒径の小さい微粒子とするだけではなく、その大きさをコントロールし、そのサイズを揃えることも可能な製造方法として好ましい。サイズが揃っていることを表す指標として種々の方法があるが、本発明においては体積平均径MVを個数平均径MNで除した値(MV/MN)を単分散性(粒子径分布幅が狭い意味)の指標として使用する。この値が1に近いほど単分散性に優れている粒子ということになる。本発明おいて、有機顔料微粒子の単分散性(濃縮後1質量%に蒸留水で濃度調整して粒径測定)は1.20〜1.80であることが好ましく、1.20〜1.60であることがより好ましく、1.20〜1.40であることが特に好ましい。
pH変換共沈法に基づく方法により製造された顔料水分散液は顔料を溶解するのに用いた有機溶媒を含むので、水分散液を用いるアプリケーションによっては、それを除去するなどの精製操作や濃厚化するための濃縮操作が必要になることがある。その操作は限外濾過法により行われることが好ましい。精製操作は適切な限外濾過膜(中空糸型が好ましい)を装着した循環式限外濾過装置を用いて液量を保持するよう蒸留水(少量の界面活性剤を含有していても良い)を加えながら循環させることにより行われる。この操作により含有する有機溶媒や過剰の低分子分散剤や塩基などが除去され、溶媒としてはほとんど水のみで分散された分散液が得られる。精製がほぼ終了したら、蒸留水を加えることを止めると引き続き濃縮操作に入ることが出来る。循環式限外濾過装置での濃縮操作は循環可能な粘度まで可能であり、一般的には顔料濃度10質量%程度まで可能である。それ以上の濃度では一般に粘度がかなり高くなるので、循環式ではなく限外濾過用平膜等を用いた圧力濾過や減圧薄膜濃縮により濃厚化する。これにより30質量%程度まで濃縮が可能になる。本発明の水分散液の顔料濃度は6〜30質量%であり、特に好ましくは6〜20質量%である。なお、本発明において限外ろ過は、顔料分散液に溶解している無機物や分子量1000以下の溶媒や余分な界面活性剤などの有機化合物を除去するものであり、好ましくは無機塩および分子量500以下の有機化合物の除去を行う。用いられる限外ろ過膜はこれらの目的に合うものなら特に制限はないが、効率よく行える中空糸膜やセラミック膜が好ましい。
本発明の顔料水分散液の利点は、顔料濃度が高濃度でも曇り度値(ヘイズ値)が小さく透明であり、それを用いて作製した薄膜が同様に曇り度値(ヘイズ値)が小さく透明であることである。本発明において、水分散液の曇り度値(ヘイズ値)は、水分散液の場合はセル光路長0.2mmの特注の透明ガラス(好ましくは石英ガラス)セルに分散液を封入し積分球式光電光度法により測定した値をいい、その薄膜については後述の操作1〜4により作製した薄膜片を用いて積分球式光電光度法により測定した値をいう。ここで曇り度値(ヘイズ値)(Th)は、試験セルおよび薄膜片の散乱光線透過率(Td)を全光線透過率(Tt)で除し100を乗じた値であり、単位は%で表される。すなわち、Th(%)=Td/Tt×100で表される。この値が小さい程、曇りが少ない、すなわちより透明であることを意味する。
本発明の水分散液は上記方法で曇り度値(ヘイズ値)(Th)を測定すると、6〜30質量%の顔料濃度の水分散液ではTh=0.3〜10%であり、0.3〜8%であることが好ましい。また、6〜10質量%の顔料濃度の水分散液でTh=0.3〜5%であることが好ましい。この値の範囲の水分散液は目視でも透明性の高いものである。
本発明の水分散液は、以下の操作1〜4を経て作製した薄膜片の曇り度値(ヘイズ値)が0.5〜5%であることが好ましい。水分散液を用いて作製した薄膜において、これほど小さなヘイズ値を示すもしくは、目視でも透明性の高い着色薄膜である。
1.有機顔料水分散液の濃度を、蒸留水を用いて5質量%に調整する(分散物A)。
2.ポリビニルアルコール(例えば、クラレポバールPVA205〔商品名〕)を分散物Aに対して重量比で10%添加し十分攪拌する(分散物B)。
3.分散物Bを透明ガラス上に膜厚20±2μmになるようにバーコーターで塗布する。
4.50℃で3時間乾燥する。
次に本発明の着色コーティング用組成物について説明する。本発明の着色コーティング用組成物は着色材としての上記有機顔料水分散液と、少なくとも1種類のマトリックス成分(本発明において、マトリックス成分とは着色成分に含まれる有機顔料微粒子等をガラスなどの基板に固定するための材料と定義される。)としての無機酸化物とを含む。この無機酸化物を生成する主原料としては、金属アルコキシドおよび/または金属アルコキシドの加水分解縮重合物であることが好ましい。金属アルコキシドは下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
R1nM(OR2)m−n 一般式(A)
(式中、R1は独立して置換または非置換の有機基を表す。Mは金属原子を表す。R2は独立して低級アルキル基を表す。mは金属の酸化数を表す。nは0〜2の整数を表す。)で表される。
上記金属アルコキシドの金属(M)としては、ケイ素(Si)、チタン(Ti)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)、亜鉛(Zn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、ベリリウム(Be)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)、ストロンチウム(Sr)、バリウム(Ba)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(Ce)、ハフニウム(Hf)、バナジウム(V)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、マンガン(Mn)、銅(Cu)、ホウ素(B)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)、ゲルマニウム(Ge)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、リン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)、イオウ(S)、セレン(Se)、テルル(Te)などが挙げられる。この中でも、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムが好ましく用いられる。
上記金属アルコキシドの、置換または非置換の有機基R1としては、(シクロ)アルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、又はその他の置換アルキル基が好ましい。(シクロ)アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。アリール基としては、フェニル基などが挙げられる。アラルキル基としては、ベンジル基などが挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基などが挙げられる。その他の置換アルキル基としては、メタクリロキシプロピル、グリシドキシプロピル基、エポキシシクロヘキシルエチル基、アミノプロピル基、アミノエチルアミノプロピル基、メルカプトプロピル基、ウレイドプロピル基、イソシアネートプロピル基、トリフルオロプロピル基などが挙げられる。R1が置換の有機基の場合、それがポリマー鎖の一部であってもよい。
上記金属アルコキシドのR2としては、低級アルキル基が好ましい。中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、またはブチル基がより好ましい。
上記金属Mの酸化数mは、2〜8が好ましく、3〜4がさらに好ましい。
上記金属アルコキシドの具体例としては、以下の化合物が挙げられる。例えば、シランアルコキシドとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
チタンの金属アルコキシドとしては、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタンなどが挙げられる。
ジルコニウムの金属アルコキシドとしては、テトラ−n−ブトキシジルコニウムなどが挙げられる。アルミニウムの金属アルコキシドとしては、トリ−s−ブトキシアルミニウムなどが挙げられる。
さらに各金属アルコキシドのホモオリゴマーおよびヘテロオリゴマーも、本発明の金属アルコキシドとして用いられる。
これらの金属アルコキシドは、単独であるいは2以上を組合せて用いられる。シランアルコキシドを2種以上組合せて用いる場合、少なくとも一つは、上記一般式(A)のnが1であることが好ましい。
本発明において、金属アルコキシドの加水分解縮重合物を用いてもよい。金属アルコキシドの加水分解縮重合物は通常の方法で得られる。例えば、前記金属アルコキシドの1種を、または2種以上を混合して、適切な溶媒に溶解し、触媒と水とを加えて混合、攪拌して反応させることにより、得られる。
前記のように、本発明に用いられる着色成分である有機顔料微粒子の分散液は、好ましくはpH変換共沈法にて得られる水分散液であるので、本発明の着色コーティング用組成物は水を主成分とした溶媒で調製されるのが好ましい。水を主成分とした溶媒で調製されるということの意味であるが、本発明では着色コーティング用組成物に含まれる揮発成分の50質量%以上が水であることと定義する。水以外の溶媒を揮発成分として添加する場合、その溶媒は水溶性である必要があることが好ましく、助溶媒はアルコール系溶媒であることがより好ましい。
アルコール系溶媒を具体的に例示すると、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、またはプロピレングリコールモノメチルエーテルが挙げられる。これらの溶媒は、単独で、または2種以上混合して用いることができる。好ましいアルコール系溶媒はメタノール、エタノール、またはエチレングリコールである。
上記金属アルコキシドのゾル液を調製するために触媒を用いることができるが、この触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸もしくはリン酸などの無機酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸もしくはトリフルオロ酢酸などの有機酸、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムもしくはアンモニアなどの塩基、ジブチルスズジラウリレートもしくはジブチルスズジアセテートなどの有機スズ化合物、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、チタニウムビス(ブトキシ)ビス(アセチルアセトネート)もしくはジルコニウムビス(イソプロポキシ)ビス(アセチルアセトネート)などの金属キレート化合物、ホウ酸ブトキシドもしくは三フッ化ホウ素などのホウ素化合物が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ゾル液調製反応の温度は一般に20〜30℃の室温で行うが、反応調整のために加温または冷却してもよい。
本発明の着色コーティング用組成物は、マトリックス成分である金属アルコキシドおよび/または金属アルコキシドの加水分解縮重合物の溶液に対して、着色成分として有機顔料微粒子の分散液を加えることにより調製することができる。その混合の割合は特に限定されないが、組成物中における金属アルコキシドおよび/または金属アルコキシドの加水分解縮重合物の含有量は0.1〜50質量%であることが好ましく、有機顔料の含有量(換言すると、有機顔料微粒子分散液中の有機顔料の含有量)は0.01〜10質量%であることが好ましく、前者は約1〜20質量%であることがより好ましく、後者は0.1〜5重量%であることがより好ましい。運搬、保存等を考慮すると、金属アルコキシドおよび/または金属アルコキシドの加水分解縮重合物溶液および顔料分散液をそれぞれ別個に用意しておき、使用時にあるいは組成物製造時に、上記濃度となるように混合して本発明の着色コーティング用組成物を製造してもよい。
なお、本発明の着色コーティング用組成物には、必要に応じて、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、光安定剤、レベリング剤などの添加剤が含まれてもよい。また、塗膜物性を改良するために、ポリオール樹脂、ポリイソシアネート化合物、シリコーン樹脂などのポリマー類が含まれていてもよい。
このようにして得られた着色コーティング用組成物は、ローラーコーティング法、スピンコーティング法、ディッピング法、フローカーテン法、スプレー法、リバースコート法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法などの方法で、塗布基板に塗布することができる。
塗布基板としては特に限定されず、本発明の着色コーティング用組成物の上記利点が生きるものであることが好ましく、中でも金属基板(特に光沢面)、ガラス(ガラス板、ガラス繊維、またはガラス管など)、プラスティック、またはセラミックスなどが好ましい。表示装置などに用いる場合は、特に、ガラスなどの光透過性材料が好ましい。
塗布基板に本発明の着色コーティング用組成物を塗布後、乾燥を行い薄膜を形成することができる。乾燥工程に用いる乾燥温度は特に制限がないが、20〜150℃の間で行うことが好ましく、50〜100℃で行うことがより好ましい。着色薄膜形成後にその上に保護膜用塗布液を塗布するような場合は、250〜400℃の温度で熱処理することにより、着色膜と保護膜とを同時に硬化して有機顔料着色基板を得ることも可能である。また、本発明によれば、このような昇温により着色塗膜を焼成して膜組織を緻密化することができる。
着色薄膜の厚さは、特に制限がなく、目的に合わせて決定すればよいが、乾燥後の薄膜の厚さは、好ましくは10〜500nmであり、より好ましくは50〜300nmである。
このようにして得られた基板は、均一かつ透明な、そして強固な着色薄膜を有する。光透過性材料(例えば、ガラス)上に着色薄膜が形成された場合、得られた薄膜は、含まれる顔料により、特定の波長域の波長を選択的に吸収するので、カラーフィルターとして、表示装置に用いることができる。カラーフィルターが適用される表示装置としては、液晶表示装置、カラー受像管、白黒受像管、プラズマ表示装置、有機電界発光表示装置などが挙げられる。
また、本発明の組成物を用いて作製された着色ガラスは、カラーフィルター以外にも、建築用の窓材、間仕切り材、車両用の窓材等、その他産業用等の各種用途に特に装飾用として使用することが可能であるが、例えば使用方法の一例として、人が外から見ている場所では、プライバシー性とデザイン性を兼ね備えた機能性ガラスとして用いることが可能である。さらに、例えば汎用の板ガラスを製造する際に、該着色ガラスを約5cm角程度の大きさに粗砕しカレット原料として溶融窯に投入し再溶融してリサイクルすることができる。なお、先にも述べたように、本発明の着色コーティング用組成物を用いて作製される着色ガラスは板ガラスに限定するものではなく、ビンガラス等のその他のガラスにも適用できる。また、種々のガラスのカレット原料としてもリサイクルすることが可能である。
本発明の着色コーティング用組成物の利点として、それを用いて作製した薄膜の曇り度値(ヘイズ値)を小さくし、透明なものとしうることが挙げられる。本発明の着色コーティング用組成物の薄膜の曇り度値(ヘイズ値)は、特に断らない限り、1.0±0.1mmの石英ガラス基板上に乾燥後に300±30nmの厚さになるようにスピンコート法にて薄膜を形成し、その薄膜形成着色ガラス板を積分球式光電光度法により測定した値をいう。ここで曇り度値(ヘイズ値)(Th)は薄膜形成着色ガラスの散乱光線透過率(Td)を全光線透過率(Tt)で除し100を乗じた値であり、単位は%で表される。すなわち、Th(%)=Td/Tt×100で表される。
上記のガラス基板上の薄膜は、スピンコート・乾燥工程を経て300±30nmの厚さになるように作製した。そのような薄膜の作製条件は着色コーティング用組成物の物性によって変化し、一様な操作で作製できるものではないので、試行錯誤的に行うことで各試料の厚さ300±10nmの薄膜を作製した。例えば、このときの乾燥条件は各試料の物性等に応じて適宜に定めればよいが、例えば30〜200℃で5〜60分間としての行うことができる。作製した薄膜の膜厚は特に断らない限り、触針式段差計(ULVAC, DEKTAK 6M〔商品名〕)を用いて測定した値をいう。
本発明の着色コーティング用組成物による着色ガラス(膜厚300±10nm、ガラス厚1.0±0.1mm)の曇り度値(ヘイズ値)(Th)は、0.03〜0.1%であることが好ましく、0.03〜0.05%であることがより好ましい。この値は通常染料を用いた場合とほぼ同じ範囲であり、従来の顔料系着色材では実現が困難であり、実用上要求される透明性を高いレベルで満足するものである。
本発明の透明ナノ顔料水分散液は上記着色コーティング剤としてのみならず、広く構造体の着色塗布に用いることができる材料を提供する。代表的塗布物としては、エレクトロニクス用、建築用、広告表示用(看板、ポスターなど)、照明用(電球、蛍光灯など)、車両用(外装および内装用など)、もしくは鏡用等の部材(ガラス、プラスチックおよび光沢面金属板など)の着色塗布物が上げられる。取り分け、塗布物として広告表示用、照明用、車両用の塗布物が有用である。
以下に実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例に示す粒径分布は、日機装(株)製のマイクロトラックUPA150〔商品名〕で測定した。また、曇り度値(ヘイズ値)は、特に限らない限り積分球式光電光度法(日本電色工業(株)製NDH2000〔商品名〕を使用した。)により測定した。
まず、ここで実施例及び比較例で用いたアニオン性界面活性剤についていうと、実施例に用いた一般式(I)で表される化合物のDMSOへの溶解度は15〜30%と非プロトン系極性有機溶媒に良く溶解した。そのため顔料を溶解した溶液に高濃度で溶解することができた。一方、比較例に用いた代表的アニオン性界面活性剤であるN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩はDMSOへの溶解度は1%程度であり、高濃度で非プロトン系極性有機溶媒に溶解させることは難しかった。そのため顔料を溶解した溶液(I液)に十分な量を溶解させて添加することは難しく、実際上、水溶液(II液)に添加する方法でしか使用できなかった。
(実施例1)
2,9−ジメチルキナクリドン(PR122、クラリアント社製、HOSTAPERM PINK E〔商品名〕)0.5gを、ジメチルスルホキシド7.0mL、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(和光純薬(株)社製)0.85mLおよび、例示化合物(1)0.5gを混合し均一溶液を調製しIA液とした。IA液のpHは測定限界(pH14)を超えており、測定不能であった。蒸留水をIIA液とした。これらを0.45μmのミクロフィルター(ザルトリウス社製)を通すことでごみ等の不純物を除いた。次に、図2−1の反応装置の流路構成を有する簡易型の反応装置を用いて下記の手順で反応を行った。すなわち、等価直径500μmを有するテフロン(登録商標)製Y字コネクター(東京理化器械(株)社製)の二つの入り口に長さ50cm、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブ2本をコネクターを用いて接続し、その先にそれぞれIA液とIIA液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。コネクターの出口には長さ1.5m、等価直径500μmを有するテフロン(登録商標)チューブを接続した。IA液を96mL/h、IIA液を600mL/hの送液速度にて送り出した(レイノルズ数約500)。チューブ出口先端より2,9−ジメチルキナクリドンの分散液が得られたのでこれを捕集した。この液のpHは約13.0であった。得られた分散液の体積平均径MVは19.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.40であった。次に、この顔料分散液を限外濾過装置(アドバンテック東洋社製、UHP−25K〔商品名〕、分画分子量20万)により液量を保持するよう蒸留水を加えながら精製し、引き続き濃縮することにより、顔料濃度7.5質量%の水分散液(試料1)を得た。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは20.8nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.45であった。
(比較例1)
2,9−ジメチルキナクリドン(PR122、クラリアント社製、HOSTAPERM PINK E〔商品名〕)0.5gを、ジメチルスルホキシド7.0mL、および28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(和光純薬(株)社製)0.85mLと混合し、均一溶液を調製しIB液とした。IB液のpHは測定限界(pH14)を超えており、測定不能であった。アニオン性界面活性剤としてN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩を蒸留水に溶解し0.1質量%の水溶液を調製し、それをIIB液とした。これらを0.45μmのミクロフィルター(ザルトリウス社製)を通すことでごみ等の不純物を除いた。それらを実施例1のIA液、IIA液に置き換える以外は全く同様にして微粒子分散液を製造した。この液のpHは約13.0であった。製造した分散液の体積平均径MVは20.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.65であった。次に、この顔料分散液を限外濾過装置(アドバンテック東洋社製、UHP−25K〔商品名〕、分画分子量20万)により液量を保持するよう蒸留水を加えながら精製し、引き続き濃縮することにより、顔料濃度7.4質量%の水分散液(比較試料1)を得た。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは35.8nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.95であった。
(実施例2)
50mLビーカーに攪拌子を入れ、25.0mLの実施例1のIIA液(蒸留水のみ)を室温で攪拌した。これにシリンジを用いて実施例1で調製したIA液を0.5mL注ぎ2,9−ジメチルキナクリドン(PR122)の分散液を得た。分散液のpHは約13.0であった。顔料分散液の体積平均径MVは46.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.50であった。次に、実施例1と同様にして、精製・濃縮を行い7.4質量%の本発明の顔料分散液2(試料2)を得た。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは50.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.60であった。
(比較例2)
50mLビーカーに攪拌子を入れ、25.0mLの比較例1で調製したIIB液(を室温で攪拌した。これにシリンジを用いて比較例1で調製したIB液を0.5mL注ぎ2,9−ジメチルキナクリドン(PR122)の分散液を得た。分散液のpHは約13.0であった。顔料分散液の体積平均径MVは48.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.78であった。次に、実施例2と同様にして、精製・濃縮を行い7.0質量%の比較顔料分散液2(比較試料2)を得た。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは80.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.95であった。
(実施例3)
ピグメントレッド254(チバスペシャリティケミカルズ社製、CROMOPHTALRED 2030〔商品名〕)0.6gとジメチルスルホキシド5.50mL、8mol/L KOH水溶液(和光純薬(株)社製)0.63mL、アニオン性界面活性剤として例示化合物(9)0.6gを室温で混合して溶解し、IC液とした。IC液のpHは測定限界(pH14)を超えており、測定不能であった。蒸留水をIIC液とした。これらを0.45μmのミクロフィルター(ザルトリウス社製)を通すことでごみ等の不純物を除いた。次に、図2−1の反応装置を用いて下記の手順で反応を行った。等価直径500μmを有するテフロン(登録商標)製Y字コネクター(東京理化器械(株)社製)の二つの入り口に長さ50cm、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブ2本をコネクターを用いて接続し、その先にそれぞれIC液とIIC液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。コネクターの出口には長さ1.5m、等価直径500μmを有するテフロン(登録商標)チューブを接続した。IC液を96mL/h、IIC液を600mL/hの送液速度にて送り出した(レイノルズ数約500)。チューブ出口先端よりピグメントレッド254の分散液が得られたのでこれを捕集した。得られた分散液のpHは約12.6であった。分散液に含まれる微粒子の体積平均径MVは39.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.40であった。次に、この顔料分散液を限外濾過装置(アドバンテック東洋社製、UHP−25K、分画分子量20万)により液量を保持するよう蒸留水を加えながら精製・濃縮し、濃度8.2質量%の顔料水分散液(試料3)を得た。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは41.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.45であった。
(比較例3)
ピグメントレッド254(チバスペシャリティケミカルズ社製、CROMOPHTALRED 2030〔商品名〕)0.6gとジメチルスルホキシド5.50mL、8mol/L KOH水溶液(和光純薬(株)社製)0.63mL、アニオン性界面活性剤としてN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩0.06gを室温で混合して溶解し、ID液とした。ID液のpHは測定限界(pH14)を超えており、測定不能であった。N−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩0.06gは析出することなく溶解できる限度の量である。次にN−オレイル−N−メチルタウリンナトリウム塩を蒸留水に溶解し0.1質量%の水溶液を調製し、それをIID液とした。これらを0.45μmのミクロフィルター(ザルトリウス社製)を通すことでごみ等の不純物を除いた。その後は実施例3のIC液、IIC液にそれらを置き換え、同様にして分散液を製造した。得られた分散液(pHは約12.4)に含まれる微粒子の体積平均径MVは41.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.55であった。次に、この顔料分散液を限外濾過装置(アドバンテック東洋社製、UHP−25K、分画分子量20万)により液量を保持するよう蒸留水を加えながら精製・濃縮し、濃度8.0質量%の顔料水分散液(比較試料3)を得た。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは60.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.96であった。
(実施例4)
ピグメントイエロー128(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、CROMOPHTAL YELLOW 8GNP)3.0gとジメチルスルホキシド45.5mL、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(和光純薬(株)社製)2.49mL、アニオン性界面活性剤として例示化合物(1)と(2)の1:1混合物2.4g、N−ビニルピロリドン(和光純薬(株)社製)0.6g、ポリビニルピロリドンK30〔商品名〕(東京化成工業(株)社製)0.15g、VPE0201(和光純薬(株)社製)1.5gを室温で混合し、均一に溶解させIE液とした。IE液のpHは測定限界(pH14)を超えており、測定不能であった。蒸留水をIIE液とした。これらを0.45μmのミクロフィルター(ザルトリウス社製)を通すことでごみ等の不純物を除いた。マイクロリアクター装置として、以下の分割数(流路本数)等を有する図1に示したような立体型のマイクロリアクター装置を使用した。
(i)供給流路本数(n)・・・2種類の反応液それぞれについて5本に分割(合計10本の流路が合流する。なお図2の装置は各4本合計8本流路が合流する装置である。)
(ii)供給流路91、92の幅(W)・・・各400μm
(iii)供給流路91、92の深さ(H)・・・各400μm
(iv)合流領域90の直径(D)・・・800μm
(v)マイクロ流路93の直径(R)・・・800μm
(vi)合流領域90において各供給流路91、92とマイクロ流路93との中心軸同士の交差角度…90°
(vii)装置の材質・・・ステンレス(SUS304)
(viii)流路加工法・・・マイクロ放電加工で行い、供給ブロック81、合流ブロック82、反応ブロック83の3つのパーツの封止方法は鏡面研磨による金属面シールで行った。二つの入り口に長さ50cm、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブ2本をコネクターを用いて接続し、その先にそれぞれIE液とIIE液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。コネクターの出口には長さ1.5m、等価直径2mmを有するテフロン(登録商標)チューブを接続した。IE液を150mL/min、IIE液を600mL/minの送液速度にて送り出した。チューブ出口先端よりピグメントイエロー128の分散液(pHは約11.0)が得られたのでこれを捕集し、それを80℃で5時間加熱した後、粒径を測定したところ体積平均径MVは25.5nm、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.35であった。その分散液を限外濾過装置(アドバンテック東洋社製、UHP−62K、分画分子量5万)により液量を保持するよう蒸留水を加えながら精製・濃縮し、顔料濃度10.2質量%の顔料水分散液(試料4)を得た。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは26.0nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.36であった。
(比較例4)
ピグメントイエロー128(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、CROMOPHTAL YELLOW 8GNP〔商品名〕)3.0gとジメチルスルホキシド45.5mL、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液(和光純薬(株)社製)2.49mL、2.4g、N−ビニルピロリドン(和光純薬(株)社製)0.6g、ポリビニルピロリドンK30〔商品名〕(東京化成工業(株)社製)0.15g、VPE0201〔商品名〕(和光純薬(株)社製)1.5gを室温で混合し、均一に溶解させIF液とした。IF液のpHは測定限界(pH14)を超えており、測定不能であった。次に蒸留水にN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩溶解し、0.1質量%濃度の水溶液を調製しIIF液とした。実施例4のIE液、IIE液をこれらの液に置き換える以外は全く同様にして分散液の合成・重合処理を行った。得られた分散液(pHは約10.8)の粒径を測定したところ体積平均径MVは30.1nm、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.46であった。その分散液を限外濾過装置(アドバンテック東洋社製、UHP−62K〔商品名〕、分画分子量5万)により液量を保持するよう蒸留水を加えながら精製・濃縮し、顔料濃度10.0質量%の顔料水分散液(比較試料4)を得た。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは50.0nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.85であった。
(実施例5)
実施例4で得られた試料4を、限外濾過用平膜を用いて更に濃縮した。すなわちアドバンテック社製のウルトラフィルターQ0500(分画分子量50,000)を装着したアドバンテック社製の攪拌型ウルトラホルダーを用いて顔料濃度23.5質量%に濃縮した。得られた分散液(試料5)はかなり粘度の高いものであったが透明性は維持していた。得られた濃縮分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは26.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.37であった。
(比較例5)
実施例4で用いたピグメントイエロー128の質量に対して等重量のアニオン性界面活性剤である例示化合物(1)と蒸留水を加え、超音波分散法(ブレークダウン法)にて顔料水分散液(比較試料5)を得た。濃度は25.0質量%になるように調製した。得られた分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは110.6nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は2.20であった。
(実施例6)
ピグメントイエロー128(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製、CROMOPHTAL YELLOW 8GNP〔商品名〕)80g、28%ナトリウムメトキシドメタノール溶液(和光純薬(株)社製)63g、例示化合物(1)64g、ポリビニルピロリドンK30(商品名、東京化成工業(株)社製)20gをジメチルスルホキシド1200mLに室温で溶解し、これをIF液とした。蒸留水をIIF液とした。マイクロリアクター装置として実施例4と同じ図1の立体型のマイクロリアクター装置を使用した。二つの入り口に長さ50cm、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブ2本をコネクターを用いて接続し、その先にそれぞれIE液とIIE液を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。コネクターの出口には長さ10m、等価直径8mmを有するテフロン(登録商標)チューブを接続した。
コネクターの出口に接続したテフロン(登録商標)チューブのうちの6m長(出口から1m地点から7m地点)を温度を90℃に保ったオイルバスに浸けた状態で、IF液を40mL/min、IIF液を160mL/minの送液速度にて送り出した。チューブ出口先端よりピグメントイエロー128の分散液が得られたのでこれを捕集した。この液の顔料粒子の体積平均径MVは18.0nmであり、単分散性の指標である体積平均径Mv/個数平均径MNの比は1.35であった。
この液を限外濾過装置(アドバンテック東洋社製、UHP−62K〔商品名〕、分画分子量5万)により蒸留水を加えてろ液を排除して体積を一定にしながら精製した後、顔料9.0質量%まで濃縮した。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは18.5nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.36であった。
(比較例6)
実施例6のIF液から例示化合物(1)を除いた以外は同様にしてIG液(1340ml)を調製した。蒸留水にN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩64gを溶解しIIG液、5360mlを調製した。これらの液を実施例6のIF、IIF液と置き換える以外は全く同様にしてピグメントイエロー128の分散液を得た。この液の顔料粒子の体積平均径MVは40.0nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は1.70であった。この液を実施例6と同様の方法で濃縮し、10.5質量%の分散液を得た。濃縮後の分散液を1質量%に希釈し粒子径を測定すると、含まれる微粒子の体積平均径MVは61.2nmであり、単分散性の指標である体積平均径MV/個数平均径MNの比は2.02であった。
〔水分散液の曇り度値の測定〕
本発明の水分散液である試料1〜6、比較用水分散液である比較試料1〜6の曇り度値(ヘイズ値)をセル光路長0.2mmの透明ガラス(石英ガラス)セルに分散液を封入し積分球式光電光度法により、(日本電色工業(株)製NDH2000〔商品名〕を使用して測定した。その結果を表1に示した。この結果より、本発明の試料は低い曇り度値(ヘイズ値)を示し、分散安定性が良く、高濃度化しても顔料微粒子が凝集しにくいことが分かる。
Figure 2008280518
*)濃縮前の粒径(MV、MN)は反応生成液をそのまま測定した。濃縮後のものについては蒸留水で1質量%に希釈して測定した。
**)分散液の曇り度値は、濃縮液を濃度調整せず、濃縮後の濃度のまま0.2mmのセルに封入して測定した。薄膜の曇り度値は、濃縮液を5質量%に希釈したものを用いて塗布液を調製し、それを塗布して作製した薄膜を測定した。
〔薄膜片の曇り度値の測定〕
本発明の水分散液である試料1〜6、比較用水分散液である比較試料1〜6を用いて、以下の操作1〜4を経て薄膜片を作製した。
1.有機顔料水分散液の濃度を、蒸留水を用いて5質量%に調整する(分散物A)。
2.ポリビニルアルコール(クラレポバールPVA205〔商品名〕)を分散物Aに対して重量比で10%添加し十分攪拌する(分散物B)。
3.分散物Bを透明ガラス上に膜厚20±2μmになるようにバーコーターで塗布する。
4.50℃で3時間乾燥する。
作製した薄膜片の曇り度値(ヘイズ値)を測定すると、本発明の試料から作製した薄膜片は比較試料のそれに比べて大幅に小さな値を示した(表1)。目視でもその透明性の違いは明らかであった。この結果は、本発明の水分散物は分散安定性が高く、薄膜状態にしても顔料微粒子が凝集せずに透明性を維持することを示している。
また試料1〜3の薄膜は見た目に鮮やかでクリアな赤色であり、試料4〜6は鮮やかでクリアな黄色であった。また、いずれも深み感及び高彩度感があり、その塗膜は高輝性を有していた。さらに、いずれの分散液試料も水を主溶媒とすものであり環境対応性のものであった。
(実施例7)
テトラエチルオルトチタネート0.97g、アセチルアセトン0.85g、エタノール18.89gを室温で10分間撹拌混合し、その後蒸留水を入れ、さらに1時間撹拌した。これを触媒液とする。次に蒸留水4.41g、ポリビニルアルコール(クラレPVA205〔商品名〕)を0.17g、前記触媒液1.01g、テトラメチルオルトシラン0.52gを混合し、室温下2時間撹拌した。その後冷蔵庫に一晩放置し、これをゾルゲル液とした。このゾルゲル液に、有機顔料微粒子分散液である試料1〜6の分散液を蒸留水で濃度5質量%に調製した後、4g加え混合し、着色コーティング用組成物を試料7〜12をそれぞれ得た。これらのコーティング組成物をそれぞれガラス基板(1.0±0.1mm)上に1000rpmの速度でスピンコーティングした。得られた塗膜を20秒間室温で放置後、100℃で10分間加熱乾燥して膜厚が305nmの膜試料7〜12をそれぞれ得た。
(比較例7)
有機顔料水分散液を試料1〜6から比較試料1〜6に置き換える以外は全く同様にして、比較膜試料7〜12を得た。何れも膜厚は300±10nmであった。
このようにして得られた試料の曇り度値(ヘイズ値)を表2に示す。曇り度値(ヘイズ値)は、積分球式光電光度法により、日本電色工業(株)製NDH2000を使用して測定した。この結果から、本発明の有機顔料水分散液を用いた着色コーティング用組成物によれば、曇り度値(ヘイズ値)がきわめて低く、透明性の優れる着色薄膜を形成しうることが分かる。
また膜試料7〜9は見た目に鮮やかでクリアな赤色であり、膜試料10〜12は鮮やかでクリアな黄色を呈していた。さらに、いずれの着色コーティング用組成物も水を主溶媒とするものであり環境対応性のものであった。
Figure 2008280518
(実施例8)
マイクロリアクター装置として実施例6と同じ図1の立体型のマイクロリアクター装置を使用した。二つの入り口に長さ50cm、等価直径1mmのテフロン(登録商標)チューブ2本をコネクターを用いて接続し、その先にそれぞれIF液とIIF液(実施例6参照)を入れたシリンジを繋ぎ、ポンプにセットした。コネクターの出口には長さ10m、等価直径8mmを有するテフロン(登録商標)チューブを接続した。
コネクターの出口に接続したテフロン(登録商標)チューブのうちの6m長(出口から1m地点から7m地点)を温度を90℃に保ったオイルバスに浸けた状態で、IF液を40mL/min、IIF液を160mL/minの送液速度にて送り出した。チューブ出口先端よりピグメントイエロー128の分散液が得られたのでこれを捕集した。この液を試料8aとした。
この液を限外濾過装置(アドバンテック東洋社製、UHP−62K〔商品名〕、分画分子量5万)により蒸留水を加えてろ液を排除して体積を一定にしながら精製した後、可能な限り濃縮した。得られた粘性の高い溶液を凍結乾燥装置を用いてさらに濃縮し、凡そ30質量%の粘ちょうな水分散液を得た。
次に用いる界面活性剤を例示化合物(1)から表3に示したものに同一量で置き換える以外はまったく同様にして試料8bおよび8cを作製した。更に顔料種をPR254の等モル量で置き換え、界面活性剤を表3に示したものに同一量で置き換える以外は全く同様にして試料8d、8eおよび8fを作製した。
これらの試料を実施例1で示した限外濾過装置(アドバンテック東洋社製、UHP−25K、分画分子量20万)を用いて可能な限り精製・濃縮し、得られた高粘溶液をさらに凍結乾燥装置を用いて濃厚化した。得られた粘ちょうな高濃度サンプルを厚さ0.2mmの分離型セルに塗りこみガラスの蓋をして曇り度値を測定した。その結果を表3に示した。
(比較例8)
実施例6のIF液から例示化合物(1)を除いた以外は同様にしてIG液(1340ml)を調製した。蒸留水にN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩64gを溶解しIIG液、5360mlを調製した。これらの液を実施例6のIF、IIF液と置き換える以外は全く同様にしてピグメントイエロー128の分散液を得た。得られた分散液を比較試料8aとした。
次に、比較試料8aのN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩を、オレイン酸カリウムに同一量で置き換える以外は全く同様にして比較試料8bを作製した。また、比較例8aの顔料をPR254に等モル量で置き換え、更にN−オレオイル−N−メチルタウリンナトリウム塩を同一量の7−エチル−2−メチルウンデカン−4−イルスルホン酸モノエステルナトリウム塩に同量で置き換える以外は全く同様にして比較試料8cを作製した。これらの比較試料を実施例8の方法と同様の方法で高濃度化し、同様にして曇り度値を測定した。その結果を表3に示した。
表3の結果からわかるように、本発明の試料から得られた高濃度サンプルの曇り度値は比較試料に比べて低く、本発明の試料は高濃度でも高い透明性を示すことがわかる。
Figure 2008280518
(実施例9)
ピグメントイエロー128 132G、アクアロンKH−10 105.6G、ポリビニルピロリドンK30 13.2G、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 103.5G をジメチルスルホキシド 2.18L に室温で溶解した。これを0.45ΜMのミクロフィルター(ザルトリウス社製)を通してごみ等の不純物を除きこれをI液とした。蒸留水をII液とした。
マイクロリアクター装置として、図1の立体型のマイクロリアクター(2種類の反応液それぞれについて3本に分割)装置を使用した。
マイクロリアクターの二つの入り口からそれぞれI液とII液をそれぞれ40mL/min、160mL/minの送液速度にて送り出し、出口から得られたピグメントイエロー128の分散液を捕集し、この液にポリビニルピロリドンK30 19.8gを水200mlに溶かした水溶液を加え、窒素雰囲気下で70℃で2時間加熱した。この液を限外濾過装置を用いて液量を保持するよう蒸留水を加えながら精製・濃縮し、濃度を調整して10.0質量%とした。
この液の顔料粒子の体積平均粒径Mvは28.7nm、個数平均粒径Mnは21.1nmであった。D90,D50,D10 はそれぞれ 29.1nm、19.2nm、15.2nmであった。(全顔料粒子の90個数%が D90、50個数%がD50、10個数%が D10)。(顔料粒子の粒径は日機装(株)社製のナノトラックUPA−EX150にて、蒸留水で顔料濃度0.2質量%に希釈して室温で測定した。)
(実施例10)
2,9−ジメチルキナクリドン 72g、アクアロンKH−10 57.5g、ポリビニルピロリドンK15 14.4g、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 163g、メタノール 300mL をジメチルスルホキシド 1.5L に室温で溶解した。これを0.45μmのミクロフィルター(ザルトリウス社製)を通してごみ等の不純物を除きこれをI液とした。蒸留水をII液とした。
マイクロリアクター装置として、図1の立体型のマイクロリアクター(2種類の反応液それぞれについて3本に分割)装置を使用した。
マイクロリアクターの二つの入り口からそれぞれI液とII液をそれぞれ40mL/min、160mL/minの送液速度にて送り出し、出口から得られた分散液を捕集し、この液にポリビニルピロリドンK15 14.4gを水140mlに溶かした水溶液を加え、窒素雰囲気下で70℃で2時間加熱した。この液を限外濾過装置を用いて液量を保持するよう蒸留水を加えながら精製・濃縮し、濃度を調整して10.0質量%とした。
この液の顔料粒子の体積平均粒径Mvは24.8nm、個数平均粒径Mnは17.9nmであった。D90,D50,D10 はそれぞれ 25.1nm、16.2nm、12.9nmであった。(全顔料粒子の90個数%が D90、50個数%がD50、10個数%が D10)。(顔料粒子の粒径は日機装(株)社製のナノトラックUPA−EX150にて、蒸留水で顔料濃度0.2質量%に希釈して室温で測定した。)
(実施例11)
ピグメントレッド254(チバスペシャリティケミカルズ社製、CROMOPHTALRED 2030)15.5g、アクアロンKH−10 12.4g、ポリビニルピロリドンK15 3.1g、28%ナトリウムメトキシドのメタノール溶液 11.2g をジメチルスルホキシド 670mL に室温で溶解した。これを0.45μmのミクロフィルター(ザルトリウス社製)を通してごみ等の不純物を除きこれをI液とした。蒸留水をII液とした。
マイクロリアクター装置として、図1の立体型のマイクロリアクター(2種類の反応液それぞれについて3本に分割)装置を使用した。
マイクロリアクターの二つの入り口からそれぞれI液とII液をそれぞれ40mL/min、160mL/minの送液速度にて送り出し、出口から得られた分散液を捕集し窒素雰囲気下で70℃で2時間加熱した。この液を限外濾過装置を用いて液量を保持するよう蒸留水を加えながら精製・濃縮し、濃度を調整して10.0質量%とした。
この液の顔料粒子の体積平均粒径Mvは14.5nm、個数平均粒径Mnは11.9nmであった。D90,D50,D10 はそれぞれ 13.8nm、8.9nm、7.1nmであった。(全顔料粒子の90個数%が D90、50個数%がD50、10個数%が D10)。(顔料粒子の粒径は日機装(株)社製のナノトラックUPA−EX150にて、蒸留水で顔料濃度0.2質量%に希釈して室温で測定した。)
立体型のマイクロリアクター装置の分解した状態を示す分解斜視図である。 片側にY字型流路を有する反応装置の説明図である。 図2−1のI−I線の断面図である。
符号の説明
10、80 反応装置本体
11、12 導入口
13、 流路
13a、13b 導入流路
13c 反応流路
13d 流体合流点
14 排出口
81 供給ブロック
82 合流ブロック
83 反応ブロック
86 外側環状溝
85 内側環状溝
87、88 供給ブロックの貫通孔
90 合流穴(合流領域)
91 長尺放射状溝
92 短尺放射状溝
95、96 合流ブロックの貫通孔
93 反応ブロックの貫通孔(マイクロ流路)

Claims (16)

  1. 顔料濃度が6〜30質量%であり、セル光路長0.2mmの透明ガラスセル中に封入し積分球式光電光度法により測定したときの曇り度値が0.3〜10%である有機顔料水分散液。
  2. 前記水分散液に含まれる有機顔料の体積平均径(MV)が3〜80nmであり、かつ体積平均径(MV)/個数平均径(MN)が1.2〜1.80である請求項1記載の有機顔料水分散液。
  3. 前記水分散液中に少なくとも一つのアニオン性界面活性剤を含有し、該界面活性剤が非プロトン性極性溶媒に5質量%以上の溶解度を有することを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の有機顔料水分散液。
  4. 前記非プロトン性極性溶媒がジメチルスルホキシド(DMSO)であることを特徴とする請求項3に記載の有機顔料水分散液。
  5. 前記水分散液中に少なくとも一つのアニオン性界面活性剤を含有し、該界面活性剤が下記一般式(I)で表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の有機顔料水分散液。
    Figure 2008280518
    (式中、Rは炭素数5〜20のアルキル基を表す。Rは炭素数3〜10のアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表す。Rは−SOM又は−(CH−COOMを表す。ここでMはナトリウム、カリウム、もしくはアンモニウムイオンを表し、nは1もしくは2を表す。mは1〜20の整数を表す。)
  6. pH変換共沈法を用いて調製された請求項1〜5のいずれか1項に記載の有機顔料水分散液。
  7. 前記pH変換共沈法が流路中の流通過程で行われることを特徴とする請求項6記載の有機顔料水分散液。
  8. 前記pH変換共沈法における流路がマイクロ空間であることを特徴とする請求項7記載の有機顔料水分散液。
  9. 前記水分散液を下記操作1〜4により薄膜とし、該薄膜の曇り度値を積分球式光電光度法により測定した値が0.5〜5%であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の有機顔料水分散液。
    1.有機顔料水分散液の濃度を、蒸留水を用いて5質量%に調整する(分散物A)。
    2.ポリビニルアルコール(クラレポバールPVA205〔商品名〕)を分散物Aに対して質量比で10%添加し十分攪拌する(分散物B)。
    3.分散物Bを透明ガラス上に膜厚20±2μmになるようにバーコーターで塗布する。
    4.50℃で3時間乾燥する。
  10. 限外濾過膜により精製および濃縮されたことを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の有機顔料水分散液。
  11. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機顔料水分散液を希釈して顔料濃度10質量%未満とすることを特徴とする有機顔料水分散液の製造方法。
  12. 着色成分として請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機顔料微粒子水分散液を含有し、かつ、少なくとも1種類のマトリックス成分として無機酸化物を含有する着色コーティング用組成物。
  13. 前記着色コーティング用組成物を厚さ1.0±0.1mmのガラス基板上にスピンコートし、乾燥工程を経て300±10nmの厚さの薄膜としたときに、その薄膜の曇り度値が0.03〜0.1%であることを特徴とする請求項12記載の着色コーティング用組成物。
  14. 前記無機酸化物が金属アルコキシドおよび/または金属アルコキシドの加水分解縮重合物であることを特徴とする請求項12又は13のいずれか1項に記載の着色コーティング用組成物。
  15. 前記着色コーティング用組成物に含まれる溶媒が、水を主成分とする溶媒であることを特徴とする請求項12〜14のいずれか1項に記載の着色コーティング用組成物。
  16. 請求項1〜10のいずれか1項に記載の有機顔料水分散液を用いて作製される塗布物。
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