JP5820714B2 - カラーフィルター用顔料分散体 - Google Patents
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Description
一方、溶剤系塗料の顔料分散剤として、グラフトポリマーを用いる例も知られている。例えば、特許文献2には、顔料の使用効率、ペイント粘度等の改善を目的として、マクロモノマーをポリマー主鎖にグラフトさせたグラフトコポリマーを含み、前記グラフトコポリマーは、主鎖に取り付けられ、アミド官能基を顔料固定基として有する顔料分散組成物が開示されている。
本発明は、コントラストに優れた硬化膜を形成することができるカラーフィルター用顔料分散体、それを含有するカラーフィルター用着色組成物、及びカラーフィルター用顔料分散体の製造方法を提供することを課題とする。
すなわち、本発明は、次の〔1〕〜〔3〕を提供する。
〔1〕ジケトピロロピロール顔料、顔料分散剤、及び下記式(1)で表される有機溶媒を含むカラーフィルター用顔料分散体であって、該顔料分散剤は、主鎖にアミド基を有する構成単位を含有し、側鎖にメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位を含有するグラフトポリマーからなり、該グラフトポリマー中の主鎖と側鎖との重量比〔主鎖/側鎖〕が30/70〜49/51である、カラーフィルター用顔料分散体。
〔2〕前記〔1〕の顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
〔3〕主鎖にアミド基を有する構成単位を含有し、側鎖にメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位を含有するグラフトポリマーである顔料分散剤、ジケトピロロピロール顔料、及び式(1)で表される有機溶媒を含む混合物を分散して顔料分散体(1)を得る工程(1)を有する、前記〔1〕の顔料分散体の製造方法。
本発明のカラーフィルター用顔料分散体は、グラフトポリマーの主鎖に、アミド基を有する構成単位を含有し、これがジケトピロロピロール顔料に吸着すると考えられる。一方、グラフトポリマーの側鎖はメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位を含有するポリマーであり、有機溶媒はアルキレングリコール部分を有するエステル系有機溶媒であるため、顔料分散体と有機溶媒が溶媒和し易く、メタクリル酸イソプロピルの分岐構造が溶媒中で広がり易いために、凝集し易いジケトピロロピロール顔料を微細かつ安定に分散することができ、得られる硬化膜のコントラストが優れたものとなると考えられる。
特に該グラフトポリマーは、主鎖よりも側鎖の重量比が大きいため、より一層溶媒中で広がり易く、安定に分散することができるものと考えられる。このようなグラフトポリマーの側鎖は、硬化膜を調製する際にも、顔料粒子同士を接近させ過ぎたり、凝集させることがなく、顔料粒子の微細な分散状態を維持させるため、得られる硬化膜のコントラストが優れたものとなると考えられる。
以下、本発明に用いられる各成分、工程等について説明する。
本発明に用いられる顔料分散剤は、有機顔料への吸着性、及び得られる硬化膜のコントラストを向上させる観点から、主鎖にアミド基を有する構成単位を含有し、側鎖にメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位を含有するグラフトポリマーである。
グラフトポリマー中の主鎖と側鎖との重量比〔主鎖/側鎖〕は、得られる硬化膜のコントラストを向上させる観点から、30/70〜49/51であり、31/69〜45/55が好ましく、32/68〜41/59がより好ましく、34/66〜40/60が更に好ましい。
グラフトポリマーの重量平均分子量は、顔料への吸着性の観点、ひいては硬化膜のコントラストを向上させる観点から、好ましくは5,000〜500,000、より好ましくは30,000〜200,000、更に好ましくは40,000〜100,000、より更に好ましくは60,000〜90,000である。また、グラフトポリマーの数平均分子量は、加熱後にもコントラストを維持する観点から、好ましくは3,000〜300,000、より好ましくは5,000〜13,000、更に好ましくは10,000〜12,000である。
グラフトポリマーの側鎖の数平均分子量は、溶媒への溶解性の観点、ひいては硬化膜のコントラストを向上させる観点から、好ましくは500〜20,000、より好ましくは1,000〜8,000、更に好ましくは1,500〜3,000である。また、側鎖の重量平均分子量は、同様の観点から、好ましくは1,000〜50,000、より好ましくは2,000〜20,000、更に好ましくは2,500〜5,000である。
なお、重量平均分子量及び数平均分子量の測定は、実施例記載の方法により行うことができる。
グラフトポリマーの主鎖の構成単位となるモノマーとしては、顔料への吸着性の観点から、アミド基を含有するビニルモノマーを含有することが好ましい。
アミド基を含有するビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリルアミド類、ビニルピロリドン類等が挙げられる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N−アルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4である)、N,N−ジアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜8、より好ましくは1〜4)アミノアルキル(アルキル基の炭素数は好ましくは1〜6)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド2−メチルプロピルスルホン酸、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチルフェニル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
ビニルピロリドン類としては、N−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。
主鎖の全構成単位中のアミド基を含有するビニルモノマー由来の構成単位の含有量は、有機顔料への吸着を促進する観点から、好ましくは25〜60重量%、より好ましくは30〜55重量%、更に好ましくは35〜50重量%である。
前記グラフトポリマーの全構成単位中のアミド基を含有するビニルモノマー由来の構成単位の含有量は、有機顔料への吸着性の観点、及び粘度上昇の抑制や分散粒径の適正化の観点から、好ましくは1〜30重量%、より好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは10〜23重量%である。
水酸基を含有するビニルモノマーとしては、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル;グリセリンモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール等の(メタ)アクリル酸ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
これら水酸基を含有するビニルモノマーの中では、顔料への吸着性の観点から、(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルが好ましく、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルがより好ましい。
主鎖の全構成単位中の水酸基を含有するビニルモノマー由来の構成単位の含有量は、顔料への吸着を促進する観点から、好ましくは20〜50重量%、より好ましくは25〜45重量%、更に好ましくは30〜40重量%である。
前記グラフトポリマーの全構成単位中の水酸基を含有するビニルモノマー由来の構成単位の含有量は、顔料への吸着性の観点、及び粘度上昇の抑制や分散粒径の適正化の観点から、好ましくは2〜30重量%、より好ましくは5〜20重量%、更に好ましくは7〜18重量%である。
グラフトポリマーの側鎖の構成単位となるモノマーは、顔料の有機溶媒への分散性を高める観点から、メタクリル酸イソプロピルを含有する。
グラフトポリマーの側鎖中のメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位の含有量は、側鎖中の全構成単位に対して、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは80〜100重量%、更に好ましくは90〜100重量%、より更に好ましくは実質的に100重量%である。
グラフトポリマーの側鎖には、本発明の効果を損なわない範囲で、メタクリル酸イソプロピルと共重合可能なモノマーを含有してもよい。
メタクリル酸イソプロピルと共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸アルキル;(メタ)アクリル酸ベンジル;(メタ)アクリル酸イソボルニル;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル;グリセリンモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸パーフルオロオクチルエチル;(メタ)アクリル酸メトキシポリエチレングリコール等が挙げられる。これらの中では、炭素数1〜3のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキル及び/又は(メタ)アクリル酸ベンジルが好ましく、(メタ)アクリル酸メチル及び/又は(メタ)アクリル酸ベンジルがより好ましく、(メタ)アクリル酸ベンジルが更に好ましい。
上記の(メタ)アクリル酸エステルは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
グラフトポリマーの製造方法としては、(i)主鎖の構成単位であるモノマーと側鎖を構成するマクロモノマーとを共重合する方法(マクロモノマー法)、及び(ii)主鎖を構成するポリマーと側鎖を構成するポリマーとをカップリング反応させる方法(カップリング法)が挙げられるが、有機顔料の微細安定化の観点から、(ii)カップリング法が好ましい。
カップリング反応に用いられる主鎖を構成するポリマーは、反応性官能基を含有するビニルモノマー由来の構成単位を含むことが好ましい。該ポリマーは、主鎖の構成単位であるモノマーの混合物を共重合することにより得ることができる。
反応性官能基を含有するビニルモノマーとしては、エポキシ基、イソシアネート基、カルボキシ基、リン酸基、スルホン酸基、アミノ基を含有するモノマーが挙げられ、反応性、重合速度の面から、エポキシ基を含有するビニルモノマーが好ましく、グリシジル基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類が好ましく、(メタ)アクリル酸グリシジルがより好ましい。
カップリング反応に用いられる主鎖を構成するポリマーが反応性官能基として、エポキシ基を含有する場合、主鎖のエポキシ価は、側鎖との反応性等の観点から、45〜125mgKOH/gが好ましく、55〜115mgKOH/gがより好ましく、65〜105mgKOH/gが更に好ましい。
なお、エポキシ価の測定は実施例記載の方法により行うことができる。
主鎖を構成するポリマーの反応性官能基がエポキシ基である場合は、側鎖を構成するポリマーの片末端はカルボキシ基又はアミノ基であることが好ましい。
カップリング反応に用いられる側鎖を構成するポリマーは、例えば、反応性官能基であるカルボキシ基又はアミノ基を含有する重合開始剤や連鎖移動剤を使用し、溶液重合によって得ることが好ましい。
側鎖を構成するポリマーと主鎖を構成するポリマーとのカップリング反応は、それぞれの反応性官能基が十分反応する条件で行えばよいが、触媒存在下、有機溶媒中にそれぞれのポリマーを溶解させて行うことが好ましい。
触媒としては、第四級アンモニウムハライド等の第四級アンモニウム塩、トリエチルアミン等の第三級アミン、アルカリ金属の水酸化物、無機酸、スルホン酸、カルボン酸、固体酸、固体塩基等が挙げられる。これらの中では、第四級アンモニウムハライドがより好ましく、テトラブチルアンモニウムブロマイドが更に好ましい。
グラフトポリマーは、重合、もしくはカップリング反応で得られたものをそのまま用いてもよいが、未反応モノマー等を除去することで分散安定性を向上させるために精製して用いることが好ましい。
本発明に用いられるジケトピロロピロール系顔料(以下、単に「顔料」ともいう)は、カラーフィルターに好適に用いられるものであれば、特に制限はない。
具体的には、下記式(2)で表されるC.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド272、C.I.ピグメントオレンジ71等が挙げられる。
これらの中では、本発明の効果をより有効に発現させる観点から、C.I.ピグメントレッド254が好ましい。
ジケトピロロピロール系顔料の市販品の好適例としては、BASF社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「Irgaphor Red B-CF」、「Igaphor Red BK-CF」、「Irgaphor Red BT-CF」、「Irgazin DPP Red BO」、「Irgazin DPP Red BL」、「Cromophtal DPP Red BP」、「Cromophtal DPP Red BOC」等が挙げられる。
一般式(2)で表されるジケトピロロピロール系顔料は、例えば、ベンゾニトリル又はハロゲン化ベンゾニトリルとブロモ酢酸エステル等のハロゲン化酢酸エステルを、亜鉛粉末等の還元剤の存在下で反応させることにより、又は得られた化合物を更にスルホン化することにより製造することができる。
顔料は、明度Y値の向上の観点から、その平均一次粒子径を、好ましくは100nm以下、更に好ましくは20〜60nmにした微粒化処理品を用いることが望ましい。顔料の平均一次粒子径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測してその平均値をその粒子の粒子径とし、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積を、粒子径を一辺とする立方体と近似して体積平均粒子径を求め、それを平均一次粒子径とする。
上記のジケトピロロピロール系顔料は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明においては、下記式(1)で表される有機溶媒が用いられる。
有機溶媒としては、1気圧での沸点が100℃以上、好ましくは110℃〜300℃、より好ましくは120〜280℃、更に好ましくは130〜260℃の高沸点の有機溶媒が好ましい。
有機溶媒は、顔料分散体を用いた硬化膜のコントラストを向上させる観点から、25℃での粘度が0.8〜5.0mPa・sであり、0.9〜4.0mPa・sであることが好ましく、1.0〜3.5mPa・sであることが更に好ましい。
これらの中では、ジケトピロロピロール系顔料の分散性の観点から、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA、沸点:146℃、25℃での粘度:1.1mPa・s、SP値:8.73)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA、沸点:247℃、25℃での粘度:3.1mPa・s、SP値:8.94)が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)がより好ましい。
本発明のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法に特に制限はないが、コントラストに優れる硬化膜を得る観点から、下記工程(1)を有することが好ましい。
工程(1):主鎖にアミド基を有する構成単位を含有し、側鎖にメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位を含有するグラフトポリマーである顔料分散剤(以下、単に「顔料分散剤」ともいう)、ジケトピロロピロール顔料及び式(1)で表される有機溶媒を含む混合物(以下、単に「混合物」ともいう)を分散して顔料分散体(1)を得る工程
また、得られる硬化膜のコントラストを向上させる観点から、更に下記工程(2)を有することがより好ましい。
工程(2):工程(1)で得られた顔料分散体(1)から、顔料に未吸着の顔料分散剤の少なくとも一部を除去して、顔料分散体(2)を得る工程
工程(1)における分散方法に特に制限はなく、前記混合物を一度の分散で目的とする顔料分散体(1)を得てもよいが、前記混合物を予備分散した後、更に本分散を行うことが、より微細で均一な顔料分散体(1)を得る観点から好ましい。
工程(1)の予備分散は、顔料分散剤、ジケトピロロピロール顔料、及び式(1)で表される有機溶媒の全成分を一度に混合し、分散してもよいが、顔料分散剤及び式(1)で表される有機溶媒を予め混合して予備混合物を調製し、得られた予備混合物に顔料を混合し、分散して最終的な混合物を得ることが好ましい。
予備分散工程における、顔料分散液中の顔料の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
予備分散工程における、顔料分散液中の顔料分散剤の含有量は、分散体の低粘度化の観点、及びコントラストに優れた硬化膜を得る観点から、2〜15重量%が好ましく、4〜15重量%がより好ましい。
予備分散工程において、顔料に対する顔料分散剤の重量比〔顔料分散剤/顔料〕は、顔料に必要量の顔料分散剤を付着させ、ひいては得られる硬化膜のコントラストを向上させる観点から、0.4〜1.6であり、0.6〜1.4とすることが好ましく、0.8〜1.2とすることがより好ましい。
予備分散工程における、前記有機溶媒の含有量は、均一に分散させる観点から、20〜90重量%が好ましく、40〜85重量%がより好ましい。
予備分散工程における分散時間は特に制限はないが、0.1〜10時間が好ましく、0.5〜4時間がより好ましく、1〜3時間が更に好ましい。
これらの中では、有機顔料を有機溶媒中に均一に混合させる観点から、ホモミキサー等の高速撹拌混合装置、ペイントシェーカーやビーズミル等のメディア式分散機がより好ましい。
メディア式分散機を用いる場合に、予備分散工程で用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの直径としては、有機顔料中の凝集粒子を解砕する観点から、0.1〜0.5mmが好ましく、0.1〜0.4mmがより好ましい。
本分散は、予備分散で得られた予備分散液を分散処理する工程であり、前記予備分散工程で得られた混合物を更に微細化するために行われるが、有機顔料を微細化する観点から、メディア式分散機を用いることが好ましく、前記の高圧式分散機を併用してもよい。
本分散工程で用いるメディアの材質としては、ジルコニア、チタニア等のセラミックス、ポリエチレン、ナイロン等の高分子材料、金属等が好ましく、摩耗性の観点からジルコニアが好ましい。また、メディアの直径としては、有機顔料を微細化する観点から、0.15mm以下が好ましく、0.1mm以下がより好ましく、0.07mm以下が更に好ましく、メディアを顔料と分離する観点から、0.003mm以上がより好ましく、0.01mm以上が更に好ましい。
以上の観点から、本分散工程で用いるメディア直径としては、0.003〜0.1mmが好ましく、0.01〜0.07mmがより好ましい。
本分散工程で用いるメディア式分散機としては、ペイントシェーカー、ビーズミル等が好ましく、市販のメディア式分散機としては、ウルトラ・アペックス・ミル(寿工業株式会社製、商品名)、ピコミル(浅田鉄工株式会社製、商品名)等が挙げられる。
得られる顔料分散液の保存安定性の観点から、分散時の温度を10〜35℃に保つことが好ましく、15〜30℃がより好ましく、18〜27℃が更に好ましい。
本分散の分散時間は、有機顔料を十分に微細化する観点から、2〜200時間が好ましく3〜50時間がより好ましい。
また、顔料分散液の粘度は、1〜100mPa・s(20℃)が好ましく、1〜80mPa・s(20℃)がより好ましく、1〜50mPa・s(20℃)が更に好ましい。該粘度は、分散機の動力や、ジケトピロロピロール顔料、顔料分散剤、及び有機溶媒の混合比率を調整することによって調整することができる。
工程(2)は、工程(1)で得られた顔料分散体(1)から、顔料に未吸着の顔料分散剤の少なくとも一部を除去して顔料分散体(2)を得る工程である。
ただし、顔料に対する顔料分散剤の重量比〔顔料分散剤/顔料〕が、工程(2)では0.2〜0.5である。
顔料分散剤の少なくとも一部を除去する方法としては、特に限定されないが、遠心分離処理、ろ過処理による方法が好ましい。
遠心分離処理としては、具体的には以下の方法が挙げられる。
まず、工程(1)で得られた顔料分散体(1)を、遠心分離機を用いて遠心分離し、液分と固形分とに分離し、液分を除去して固形分を回収する。
次に、顔料に未吸着の顔料分散剤は有機溶媒中に存在するため、遠心分離中ないし遠心分離後に、該上層部(上澄み液)の全部又は一部を除去することにより、該未吸着の顔料分散剤を適切に取り除くことができる。また、回収される固形分は、主として顔料分散剤が顔料に吸着した粒子からなり、遠心分離後にスラリー状ないしケーキ状となって、遠心分離機の側壁ないし底部に残存しているので、容易に回収することができる。
液分を除去して固形分を回収し、顔料に未吸着の分散剤量を合計で2重量%以下にすることで、得られる顔料分散体(2)の保存安定性、及び得られる硬化膜のコントラストを大幅に改善することができる。
遠心分離機の運転方法にも特に制限はない。(i)顔料分散体(1)を供給しながら分離液層を排出する連続式、及び(ii)顔料分散体(1)を供給した後、分離液層が形成されたところで該液層を排出するバッチ式のいずれの運転方法であってもよい。
遠心分離処理における遠心加速度は、顔料分散体(1)に含有されている有機顔料に未吸着の顔料分散剤量を低減させる観点から、好ましくは5,000〜50,000G、より好ましくは10,000〜30,000Gである。
更に、遠心分離処理の場合は、遠心分離処理して得た固形分に有機溶媒を加えて再分散することもできる。有機溶剤としては、前記有機溶媒を用いることができる。
再分散処理は、顔料の凝集体を解砕・安定化することを目的とする。顔料は、微粒化に伴って、表面積、表面エネルギーが増加し、この表面エネルギーを低下させようとして顔料は再凝集を始めることから、この顔料を更に解砕し、顔料粒子を安定化するため、再分散処理を行うことが好ましい。
再分散の方法に特に限定はなく、前記のペイントシェーカーや高圧ホモジナイザー等の分散機等を用いて混合、分散させることができる。
また、超音波ホモジナイザー等を用いて再分散することもできる。
高出力超音波ホモジナイザーの市販例としては、シャープ株式会社製のSILENTSONIC UT−204、株式会社日本精機製作所製の超音波ホモジナイザーUS−300T、同US−1200T、同RUS−1200T、同MUS−1200T、ヒールッシャー社製の超音波プロセッサーUIPシリーズ等が挙げられる。これらの超音波照射装置を用いて好ましくは25kHz以下の周波数で微細分散することができる。
超音波照射方式としては、アジテーター、マグネチックスターラー、ディスパー等の攪拌手段を併用するバッチ式、超音波照射部を備えたチャンバー中に分散液を一定流量で送るフロー式が挙げられる。超音波ホモジナイザーと前記のペイントシェーカーや高圧ホモジナイザー等とを併用することもできる。
本工程で遠心分離処理して得た固形分に有機溶媒を加えた予備混合物を超音波照射処理等により再分散することで、顔料に未吸着の顔料分散剤量が低減された高品質な顔料分散液を効率的に製造することができる。
ろ過処理の方法に特に制限はないが、精密ろ過膜(MF膜)、限外ろ過膜(UF膜)、逆浸透膜(RO膜)、ナノろ過(NF)膜から選ばれる1種以上のろ過膜を用いるろ過処理方法が好ましい。このろ過処理によって、顔料粒子とこれに吸着した顔料分散剤を顔料分散体(母液)中に残し、顔料に未吸着の顔料分散剤の少なくとも一部を前記母液から分離・除去することができる。
ろ過処理の方式は特に制限はなく、全量ろ過方式でもクロスフローろ過方式でもよいが、供給する顔料分散体中の懸濁物質等が膜面に堆積するのを防止等の観点から、クルスフローろ過方式が好ましい。
用いるろ過膜の孔径としては、精密ろ過膜、限外ろ過膜、逆浸透膜、ナノろ過膜等の孔径域を使用し得る。ろ過膜の孔径は、好ましくは1〜50nm、より好ましくは2〜30nm、更に好ましくは3〜20nmである。
用いられるろ過膜としては、有機溶媒により劣化しないものであればよく、特に制限はない。例えば、セルロース膜、304及び316ステンレススチール膜、漂白コットン膜、ポリスルホン(PS)膜、ポリプロピレン(PP)膜、ポリエーテルサルフォン(PES)膜、ポリエチレンテレフタレート(PET)膜、ポリフッ化ビニルデン(PVDF)膜、ポリ4フッ化エチレン(PTFE)膜、セラミック膜等の各種の材料を主原料とするろ過膜を使用することができる。
ろ過膜タイプとしては、ろ材の内部で異物を捕捉するデプスタイプ(厚みろ過型)や、ろ材の表面で異物を捕捉するサーフェスタイプ(面ろ過型)が挙げられる。
ろ過処理は、加圧又は減圧下で行うが、膜の形状としては、中空糸状型、管型、平板型、モノリス型等が挙げられ、分散体を流す方式としては、内圧ろ過方式でも外圧ろ過方式でもよい。
ろ過処理としては、限外ろ過膜を用いたクロスフローろ過方式がより好ましい。また、有機溶媒を加えながらろ過する透析ろ過(ダイアフィルトレーション)方式も好ましい。
本発明の製造方法により得られるカラーフィルター用顔料分散体は、前記グラフトポリマーである顔料分散剤、ジケトピロロピロール顔料及び式(1)で表される有機溶媒を含む。
顔料分散体中のジケトピロロピロール顔料の割合は、良好な着色性を得る観点から、3重量%以上が好ましく、良好な着色性及び粘度を得る観点から、3〜30重量%が好ましく、5〜20重量%がより好ましい。
顔料分散体中の顔料に対する顔料分散剤の重量比〔顔料分散剤/顔料〕は、コントラストを向上させる観点から、0.2〜1.5であり、0.3〜1.2が好ましく、0.4〜1.0がより好ましい。
顔料分散体中の有機溶媒の含有量は、良好な着色性及び分散体の低粘度化の観点から、20〜90重量%が好ましく、40〜85重量%がより好ましい。
なお、体積中位粒径(D50)とは、体積分率で計算した累積体積頻度が小粒径側から累積して50%になる粒径を意味する。体積中位粒径(D50)の値は、製造直後の顔料分散体をプロピレングリコールモノメチルエテルアセテート(PGMEA)で300倍に希釈し、粒度分析計(シスメックス社製、ZETASIZER Nano−ZS)を用いて、測定条件として、例えばジケトピロロピロール系顔料の場合、顔料粒子屈折率:1.51、顔料密度:1.45g/cm3、PGMEA屈折率:1.400、PGMEA粘度:1.3cpsを入力して、20℃で測定することができる。
本発明の製造方法により得られる顔料分散体の固形分12重量%における粘度(20℃)は、カラーフィルター用色材として良好な粘度とするために、1〜200mPa・sが好ましく、1〜100mPa・sがより好ましい。
本発明のカラーフィルター用着色組成物は、前記製造方法によって得られたカラーフィルター用顔料分散体を含有するが、顔料分散剤であるグラフトポリマー、ジケトピロロピロール顔料及び式(1)で表される有機溶媒以外にバインダー成分等を含有することができる。
バインダー成分としては、電離放射線硬化性成分を含有するバインダー成分等が挙げられる。
電離放射線硬化性成分を含有するバインダー成分には、アルカリ可溶性樹脂、多官能モノマーや電離放射線により活性化する光重合開始剤を含有し、更に多官能オリゴマー、単官能のモノマー、及び増感剤等を配合することができる。
電離放射線硬化性成分からなる着色組成物中のバインダー成分の含有量は、溶媒を除いた有効分中20〜80重量%が好ましく、光重合開始剤の含有量は、溶媒を除いた有効分中0.2〜20重量%が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量は5,000〜50,000が好ましい。
光重合開始剤としては、芳香族ケトン類、ロフィン2量体、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類、ポリハロゲン類等が挙げられる。例えば4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体の組み合わせ、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン]、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノンが好ましい。
上記のアルカリ可溶性樹脂、多官能モノマー、光重合開始剤、更に多官能オリゴマー、単官能のモノマー、及び増感剤等の添加剤等は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
N,N−ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲルクロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC−8120GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSK−GEL、α−M×2本)、流速:1mL/min〕にN,N−ジメチルホルムアミドで0.3wt%に希釈したポリマー溶液を0.1ml注入し、測定した。なお、標準物質としてポリスチレンを用いた。
ポリマー溶液に塩酸を加え、クロルヒドリン化により消費された量を水酸化カリウムのmg数で表したものをいう。
(3)グラフトポリマーの酸価の測定
JIS K0070 に従い測定した。
実施例及び比較例で得られた顔料分散体、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(多官能モノマー:日本化薬株式会社製、DPHA)、2−メチル−4’−(メチルチオ)−2−モルホリノプロピオフェノン(光重合開始剤:和光純薬工業株式会社製)0.035部、PGMEA0.474部を均一になるまで混合し、着色組成物を得た。なお、顔料、グラフトポリマー、DPHAは下記式の通りになるように配合した。
顔料/(グラフトポリマー+DPHA)=0.45
得られた着色組成物をガラス基板上にスピンコーターで塗布した後、水平台にて6分間静置し、80℃で3分間ホットプレートにより乾燥した。次いで、得られた塗膜に紫外線ファイバースポット照射装置(株式会社モリテックス製、MUV−202U)を用いて60mJ/cm2の紫外線を照射し、硬化膜を得た。硬化膜のコントラスト比をコントラスト比測定器(壺坂電機株式会社製、CT−1)で測定した。その後、オーブン(株式会社ADVANTEC製、DRC433FA)を用いて、230℃で、90分間ポストベークを行った。ポストベーク終了後、再度、硬化膜のコントラスト比を測定した。
コントラスト比の値が大きいものほど、コントラストが良好である。
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコにN−ビニル−2−ピロリドン(以下、「VP」という)100g、メタクリル酸グリシジル(以下、「GMA」という)15.2g、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(以下、「HEMA」という)24.0g、メルカプトエタノール(以下「ME」という)3.0g、エタノール194.7gを仕込み、窒素置換を行った。77℃で攪拌しながら、エタノール25.1gに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業株式会社製、アゾ系重合開始剤、商品名:V−65。以下、「V−65」という)3.9gを溶解させた溶液を添加した。
77℃で攪拌しながら、VP 150.0g、GMA 76.2g、HEMA 120.2g、V−65 6.4g、エタノール 445.3g、ME 6.7gを混合した溶液を、90分かけて滴下した。
次に、VP 96.1g、GMA 60.9g、HEMA 96.1g、V−65 2.6g、エタノール 167g、ME 3.1gを混合した溶液を3時間かけて滴下した。1時間攪拌した後、エタノール19.2gにV−65 0.6gを溶解させた溶液を加えた。更に1時間攪拌した後、エタノール19.2gにV−65 0.6gを溶解させた溶液を加えた。更に1時間攪拌した後、冷却し、ポリ(メタクリル酸グリシジル・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル・N−ビニルピロリドン)(a1)(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル由来の構成単位の含有量32.5%、N−ビニルピロリドン由来の構成単位の含有量46.9%)のエタノール溶液を得た。
(a1)の数平均分子量は3600、重量平均分子量は13900、エポキシ価は84mgKOH/g、溶液の固形分は43.3%であった。
還流冷却器、温度計、窒素導入管及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、メタクリル酸イソプロピル(以下、「i−PrMA」という)100g、3−メルカプトプロピオン酸(連鎖移動剤、以下、「MPA」という)5.3g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」という)50gを仕込み、窒素置換したあと、78℃で攪拌しながら、i−PrMA 400g、MPA 21.2g、PGMEA 200g、V−65 4gを混合した混合液を3時間かけて滴下した。その後1時間攪拌し、82℃に昇温して、V−65 4g、MPA 2g、PGMEA 200gを混合した混合液を加え2時間攪拌した。冷却後、片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸イソプロピル(b1)のPGMEA溶液を得た。数平均分子量は2000、重量平均分子量は3400、酸価は29.9mgKOH/g、溶液の固形分は52.7%であった。
合成例2において、i−PrMAの代わりにメタクリル酸メチル(以下、「MMA」という)に変更した以外は合成例2と同様にして、片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸メチル(b2)のPGMEA溶液を得た。なお、得られたポリマーの数平均分子量は1800、重量平均分子量は3200、酸価は38.1mgKOH/g、溶液の固形分は53.8%であった。
合成例2において、i−PrMAの代わりにメタクリル酸n−ブチル(以下、「n−BMA」という)に変更した以外は合成例2と同様にして、片末端カルボン酸型ポリメタクリル酸n−ブチル(b3)のPGMEA溶液を得た。なお、得られたポリマーの数平均分子量は2100、重量平均分子量は3800、酸価は30.0mgKOH/g、溶液の固形分は53.0%であった。
還流冷却器、温度計、及び攪拌装置を取り付けたセパラブルフラスコに、合成例1で得られた(a1)溶液100g(固形分43.3g)、合成例2で得られた(b1)溶液167.0g(固形分88.0g)、PGMEA43.3g、テトラブチルアンモニウムブロマイド(触媒、以下「TBAB」という)3.3gを仕込み、85℃で3時間攪拌した。反応率は98%であった。
冷却後、エバポレーターにて(バス温63℃、圧力92kPa)、エタノールを除去し、グラフトポリマー(A−1’)のPGMEA溶液を得た。
グラフトポリマー中の低分子量成分を除去する為、得られた(A−1’)をアセトンで10%溶液になるよう溶解し、ヘキサン4.5Lが入った5Lのポリビーカーにグラフトポリマーの10%溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、30分静置したのち、ろ過装置で吸引ろ過した。ろ過できなかったものを回収し、再度アセトンで10%溶液になるよう溶解した。その後、蒸留水4.5Lが入った5Lのポリビーカーに(A−1’)の10%溶液を2時間かけて滴下した。滴下終了後、30分静置したのち、ろ過装置で吸引ろ過した。ろ過できなかったものを回収し、PGMEAで溶解し、エバポレーターにて(バス温63℃、圧力92kPa)、アセトン及び水を除去し、エポキシ基とカルボン酸のカップリング反応で得られたグラフトポリマー(A−1)(側鎖中のメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位の含有量100%、ポリマー中のメタクリル酸2−ヒドロキシエチル由来の構成単位の含有量10.7%、N−ビニルピロリドン由来の構成単位の含有量15.4重量%)を得た。ポリマー(A−1)の数平均分子量は14000、重量平均分子量は69000、ポリマー溶液の固形分は33%であった。
製造例1において、(b1)溶液添加量を139.7g(固形分73.6g)、TBAB添加量を1.4gに変更した以外は製造例1と同様にして、グラフトポリマー(A−2)(側鎖中のメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位の含有量100%、ポリマー中のメタクリル酸2−ヒドロキシエチル由来の構成単位の含有量12.0%、N−ビニルピロリドン由来の構成単位の含有量17.4重量%)を得た。なお、得られたポリマー(A−2)溶液の固形分は32%であった。
製造例3(グラフトポリマー(A−3)の製造)
製造例1において、(b1)溶液添加量を100.3g(固形分52.9g)、TBAB添加量を1.1gに変更した以外は製造例1と同様にして、グラフトポリマー(A−3)(側鎖中のメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位の含有量100%、ポリマー中のメタクリル酸2−ヒドロキシエチル由来の構成単位の含有量14.6%、N−ビニルピロリドン由来の構成単位の含有量21.2重量%)を得た。なお、得られたポリマー(A−3)溶液の固形分は22%であった。
製造例1において、(b1)溶液添加量を202.0g(固形分106.5g)、TBAB添加量を4.0gに変更した以外は製造例1と同様にして、精製グラフトポリマー(A−4)を得た。なお、得られたポリマー(A−4)溶液の固形分は28%であった。
製造例5(グラフトポリマー(B)の製造)
製造例1において、合成例2で得られた(b1)溶液に代えて合成例3で得られた(b2)溶液136.8g(固形分73.6g)、TBAB添加量を4.0gに変更した以外は製造例1と同様にして、グラフトポリマー(B)を得た。なお、得られたポリマー(B)溶液の固形分は28%であった。
製造例6(グラフトポリマー(C)の製造)
製造例1において、合成例2で得られた(b1)溶液に代えて合成例3で得られた(b2)溶液163.6g(固形分88.0g)に変更した以外は製造例1と同様にして、グラフトポリマー(C)を得た。なお、得られたポリマー(C)溶液の固形分は27%であった。
製造例7(グラフトポリマー(D)の製造)
製造例1において、合成例2で得られた(b1)溶液に代えて合成例4で得られた(b3)溶液138.9g(固形分73.6g)に変更した以外は製造例1と同様にして、グラフトポリマー(D)を得た。なお、得られたポリマー(D)溶液の固形分は30%であった。
(工程(1):顔料分散体の製造)
PGMEA89.5g、製造例1で得られたグラフトポリマー(A−1)溶液45.5g(有効分15g)、ジケトピロロピロール系顔料(BASF社製、C.I.ピグメントレッド254、商品名「IRGAPHOR RED BK−CF」、平均一次粒径30nm(カタログ値))15.0g、さらに0.3mmφのジルコニアビーズ300gを500mlポリ容器に入れ、ペイントシェーカーにて25〜30℃で3時間撹拌した後、ジルコニアビーズを除去して予備分散液を得た。
次いで、この予備分散液100gと、0.05φジルコニアビーズ200gを250mlポリ容器に入れ、ペイントシェーカーにて25〜30℃で24時間攪拌し、ジルコニアビーズを除去した後、顔料分散液を得た。
(工程(2):顔料に未吸着のグラフトポリマー(A−1)〔顔料分散剤〕の除去)
得られた顔料分散液40gをPGMEA 80gで希釈し、遠心分離機(日立工機株式会社製、himac CP56G)を用いて、26323Gの条件下で12時間遠心分離後、上澄みを捨て、沈降物9gを得た。
得られた沈降物9gにPGMEA 31gを加え、超音波洗浄機(シャープ株式会社製、SILENTSONIC UT−204)を用いて、超音波照射して再分散処理を行い、顔料分散液(1)を得た。
得られた顔料分散体(1)の評価結果を表1に示す。
実施例1において、グラフトポリマー(A−1)溶液及びPGMEA 89.5gに変えて、実施例2ではグラフトポリマー(A−2)溶液46.9g(有効分15g)及びPGMEA 88.1g、実施例3ではグラフトポリマー(A−3)溶液68.2g(有効分15g)及びPGMEA 66.8g、比較例1ではグラフトポリマー(A−4)溶液53.6g(有効分15g)及びPGMEA 81.4g、比較例2ではグラフトポリマー(B)溶液53.6g(固形分15g)及びPGMEA 81.4g、比較例3ではグラフトポリマー(C)溶液55.6g(固形分15g)及びPGMEA 79.4g、比較例4ではグラフトポリマー(D)溶液50.0g及びPGMEA 85.0gとした以外は実施例1と同様にして、顔料分散体(2)〜(7)を得た。得られた顔料分散体(2)〜(7)の評価結果を表1に示す。
なお、本評価でコントラストが100程度異なると、硬化膜を透過する光量が大きく異なるため、液晶表示装置とした際の画質の鮮やかさの違いが目視で明確に分かる。
Claims (11)
- ジケトピロロピロール顔料、顔料分散剤、及び下記式(1)で表される有機溶媒を含むカラーフィルター用顔料分散体であって、該顔料分散剤は、主鎖にアミド基を有する構成単位を含有し、側鎖にメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位を含有するグラフトポリマーからなり、該グラフトポリマー中の主鎖と側鎖との重量比〔主鎖/側鎖〕が30/70〜49/51であり、該グラフトポリマーの側鎖ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000〜20,000である、カラーフィルター用顔料分散体。
- グラフトポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量が30,000〜100,000である、請求項1に記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- グラフトポリマーの側鎖ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量が2,000〜5,000である、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- グラフトポリマーが水酸基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- 式(1)で表される有機溶媒がプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである、請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- アミド基を有する構成単位がビニルピロリドン由来である、請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の顔料分散体を含有するカラーフィルター用着色組成物。
- さらに、(メタ)アクリル酸エステルと(メタ)アクリル酸の共重合体であるアルカリ可溶性樹脂を含む、請求項7に記載のカラーフィルター用着色組成物。
- 主鎖にアミド基を有する構成単位を含有し、側鎖にメタクリル酸イソプロピル由来の構成単位を含有するグラフトポリマーである顔料分散剤、ジケトピロロピロール顔料、及び式(1)で表される有機溶媒を含む混合物を分散して顔料分散体(1)を得る工程(1)を有する、請求項1〜6のいずれかに記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
- 工程(1)で得られた顔料分散体(1)から、顔料に未吸着の顔料分散剤の少なくとも一部を除去して、顔料分散体(2)を得る工程(2)を有する、請求項9に記載のカラーフィルター用顔料分散体の製造方法。
- 請求項9又は10に記載の方法により得られる顔料分散体を含有させるカラーフィルター用着色組成物の製造方法。
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