JP2012144519A - 抗体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 抗原結合能の低下又は喪失を招くことなく、標識物質等を結合することが可能な抗体を提供すること。
【解決手段】(1)分子中の一部のジスルフィド結合が切断され、チオール基に還元されている、(2)ジスルフィド結合の切断によって低分子化していない、及び、(3)抗原結合能を保持している、との特徴を有する、IgG型抗体により課題を解決する。
【選択図】 図3

Description

本発明は、抗体に関するものである。
抗体(抗体分子)は、種々の分野で使用されている。例えば液体クロマトグラフィーの分野では、血中の有用なタンパク質を特異的に認識する抗体を結合した担体がアフィニティークロマトグラフィーに使用されている。また免疫測定の分野では、抗体を検出可能な標識物質に結合した標識抗体や、抗体を水不溶性の担体に結合した固相化抗体が使用されている。
免疫測定は、一般的に抗原抗体反応を利用して測定対象となる抗原(抗体により特異的に認識される物質)を検出又は定量する方法であり、臨床診断の分野で広く使用されている。免疫測定の一種である、いわゆるサンドイッチ法では、抗体に酵素や化学物質等の検出可能な標識物質を結合した標識抗体と、抗体を水不溶性の担体に固定化した固相(固相化抗体)を使用して、「固相化抗体−測定対象抗原−標識抗体」という免疫複合体を形成させ、いわゆるB/F(Bound/Free)分離操作によって固相を液相と分離し、その後に固相又は液相中の標識物質の量を検出し、検出値に基づいて測定対象抗原の存在及び/又は存在量を測定する。また免疫測定においては、アビジンやビオチン等の特異的結合ペアの一方を抗体に結合し、他方を担体に結合して固相化抗体を製造することもある。
免疫測定において使用する標識抗体は、通常、抗体(例えばIgG型の抗体)をS−アセチルメルカプト無水コハク酸(SMCC)で処理することで、抗体を形成するペプチド鎖中のアミノ基にチオール基(SH基)を導入し、これを予め活性ジスルフィド基を導入した標識物質と反応させることで製造する。しかしこの方法では、SH基導入の過程で、SMCCが抗体を形成するペプチド鎖中のアミノ基に対してランダムに反応するため、抗体の抗原結合能が低下し、又、希ではあるが抗体の抗原結合能が失われることがある。
従来、上記のような課題が発生する場合には、抗体をペプシンやパパイン等の消化酵素で処理して低分子化し、生じたFabフラグメント又はF(ab’)2フラグメント中に残存するジスルフィド結合(SS結合)を還元処理することでSH基を生じさせ、これを予めマレイミドと結合した標識物質と反応させることが行われている(マレイミド・ヒンジ法)。しかしこの方法でも、IgG型抗体の場合、H鎖やL鎖を連結しているSS結合の切断により抗体のコンフォーメーションの変化が引き起こされ、抗体の抗原結合能が低下し、又、希ではあるが抗体の抗原結合能が失われることもある。
上記のような課題は抗体に標識物質を結合する場合に限られず、抗体を担体に結合する場合や、抗体をアビジンやビオチンといった結合ペアの一方を結合する場合にも同様である。
本発明の目的は、抗原結合能の低下又は喪失を招くことなく、標識物質等を結合することが可能な抗体を提供することにある。
前記目的に鑑みて成された本発明は、以下(1)から(3)の特徴を有するIgG型抗体である。
(1)分子中の一部のジスルフィド結合(SS結合)が切断され、チオール基(SH基)に還元されている、
(2)SS結合の切断によって低分子化していない、及び、
(3)抗原結合能を保持している。
また本発明は、以下(1)から(3)の特徴を有するIgG型抗体である。
(1)分子中の一部のSS結合が切断され、この切断されて生じたSH基を利用して他の物質が結合されている、
(2)SS結合の切断によって抗体自体は低分子化していない、及び、
(3)抗原結合能を保持している。
以下、本発明の抗体を詳細に説明する。
本発明の抗体は、IgG型抗体に対してゆるやかな還元処理をして製造し得るものである。IgG型抗体は、ラクダIgG抗体等、特殊なものを除き、二本のH鎖(重鎖)と二本のL鎖(軽鎖)からなり、H鎖−L鎖間がそれぞれ1個以上のSS結合で連結される一方、H鎖同士もまた複数のSS結合によって連結されている(以下、天然形態のIgG型抗体を、「インタクト抗体」という)。本発明の抗体を製造するのに用いるインタクト抗体としては、ヒト、サル、ウサギ、イヌ、ヒツジ、マウス、ラット、ラクダ等、由来する動物種の区別無く、またそのサブクラスの制限無く使用することができる。また抗体の種類としてはモノクローナル抗体であってもポリクローナル抗体であっても良く、また更には遺伝子組換え(リコンビナント)の手法により製造されたIgG型抗体(本明細書においては、便宜上、当該抗体もインタクト抗体と記載する)であっても良い。ただし、後述する還元処理の前に、適切な精製操作を行なって夾雑物を除去しておくことが好ましい。
本発明の抗体を製造するための方法としては、還元剤を用いた還元処理が例示できる。還元剤としては、2−メルカプトエチルアミン、ジチオトレイトール(DTT)、β−メルカプトエタノール、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩(TCEP)等、一般に入手可能な還元剤を使用することができる。還元剤による還元処理は、抗体の抗原結合能を低下せず、かつ、還元処理を阻害しない緩衝剤によって適切なpHに調製した緩衝液中で実施すれば良い。そのような緩衝液として例えば、リン酸緩衝液、トリスヒドロキシメチルアミノメタン(Tris)緩衝液、グリシン緩衝液であって、pHがpH6.0からpH7.5、好ましくはpH6.5から7.0の緩衝液があげられる。特に、本発明の抗体を製造した後、引き続き後述するような標識物質の結合を行なう場合であって、その際にマレイミドを使用する場合には、マレイミドの加水分解を防止するためにpHを中性付近、具体的にはpH6.0からpH7.0とすると好ましい。上記緩衝液には、SH基の酸化を抑制するため、EDTAやEGTA等の酸化防止剤を更に添加すると好ましい。
還元処理は、インタクト抗体の一部のSS結合を切断し、その切断によってインタクト抗体を低分子化することがなく、かつ処理後の抗体が抗原結合能を維持する、即ち、インタクト抗体の二本のH鎖間の全SS結合を切断することのなく、H鎖とL鎖間の全SS結合を切断することのなく、かつ処理後の抗体が抗原結合能を維持するものであれば良い。例えばH鎖間の全SS結合が切断されればH鎖間の連結が解かれ、インタクト抗体は2分子化し、各分子はなお抗原結合能を保持するとしても、その分子量は1/2になり、低分子化してしまう。またいずれかのH鎖とL鎖間の全SS結合が切断されれば鎖間の連結は解かれ、いずれか一方の分子はなお抗原結合能を保持するとしても、分子量は低分子化してしまう。
本発明の抗体を前記したような還元剤を用いた還元処理によって製造する場合、温度条件として4℃から40℃、好ましくは35℃から37℃の範囲を選択する。還元反応時間としては温度条件によって異なるが、4℃から8℃の場合、8時間から36時間、好ましくは12時間から24時間の範囲を選択し、35℃から37℃の場合、60分から240分、好ましくは90分から180分の範囲を選択し、かつ、単に溶液を室温放置して処理する方法等が例示できる。また還元剤を用いる場合、還元処理温度や処理時間のみならず、処理されるべきインタクト抗体と還元剤のモル比の制御も重要である。上記例示した還元剤のうち、例えば、2−メルカプトエチルアミンを用いる場合であって、上記例示したpH、温度及び反応時間で処理を行なう場合、インタクト抗体のモル濃度1に対し、還元剤のモル濃度は30,000から1,500,000とすると好ましい。
本発明の抗体の具体的な形態は、インタクト抗体としてマウス由来の抗体を例に説明すれば、少なくともH鎖とL鎖間のSS結合の一部が切断されたものと、少なくともH鎖同士のSS結合の一部が切断されたものの二種類である。いずれのものも、低分子化(インタクト抗体からの、当該抗体を構成するペプチド鎖の脱離)が生じていないため、例えば上記還元処理を行なった後にゲルろ過クロマトグラフィーに供する等して、インタクト抗体と同様の溶出時間で溶出するピークを取得する等すれば良い。また抗原との反応性を保持しているか否かは、例えば抗原と混合した後にゲルろ過クロマトグラフィーに供する等して抗原と免疫複合体を形成したことを試験すれば確認できる。
本発明の抗体の好ましい態様として、SS結合切断率が40%以上100%未満の抗体があげられる。なお本明細書において、SS結合の切断率とは、1分子のインタクト抗体のうち還元処理によって切断されたSS結合数を、1分子のインタクト抗体に存在するSS結合の総数で除した値である。またSS結合の切断率については、5,5−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)等SH基に反応する試薬を用いて定量することができる。
以上に説明した本発明の抗体は、その分子中の一部のSS結合が切断されているが、本発明者らの知見によれば、インタクト抗体と比較して抗原との結合能が向上する場合がある。これは、インタクト抗体のFc部分に存在するSS結合の一部が切断された結果、インタクト抗体が有する2つの抗原結合部位の立体構造上の自由度が増し、より自由に抗原と反応可能になったからと推測される。なお、還元処理を行なった抗体に関しては、後述する他の物質を結合する操作に供する場合を除き、還元処理により切断されたSH基のSS再結合を防止するための処理(キャッピング)を行なうと好ましい。キャッピングは、例えばN−エチルマレイミド(NEM)等を使用することにより容易に行なうことができる。
本発明の抗体は、以上に説明した還元処理によって分子中の一部のSS結合が切断され、残基としてSH基を露出している。そこで本発明では、このSH基を利用して、例えば標識物質等を結合させることが可能である。結合させる物質としては、後述するSH基との結合性を有する結合剤に結合可能なものであれば制限はない。例えば、免疫測定で標識物質として使用されている酵素、化学発光物質、蛍光物質又は呈色物質等、免疫測定で使用される担体、アビジンやビオチン等の特異的な結合ペアの一方、そして液体クロマトグラフィー用担体等が例示できる。中でも、抗原との高い反応性が要求される免疫測定を実施するため、本発明の抗体に上記標識物質を結合させて標識抗体とすると特に好ましい。
還元処理した抗体と上記物質とを結合するためには、SH基と特異的に結合する結合試薬として、マレイミド基を有する試薬やブロモアセトアミド基を有する試薬等を使用すれば良い。マレイミド系試薬としては、例えば入手の容易性等の観点から、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)が特に好ましい結合試薬としてあげられる。このようにして標識物質等を結合させた後には、還元処理により切断されたSH基であって、かつ結合剤が結合しなかったSH基のジスルフィド再結合を防止するため、キャッピングを行なうことが好ましい。
標識物質等を結合した抗体を得るには、例えばゲルろ過クロマトグラフィーに供する等して、結合の操作に供する前の抗体と比較してより高分子化したピークを取得する等すれば良い。またそのようにして得た抗体が抗原との反応性を保持しているか否かは、例えば標識物質を結合した場合には免疫測定における標識抗体として使用し、既知量の抗原をサンプルとして免疫測定を実施すれば、抗原と免疫複合体を形成することを通じて確認できる。
本発明によれば、
(1)分子中の一部のジスルフィド結合(SS結合)が切断され、チオール基(SH基)に還元されている、
(2)SS結合の切断によって低分子化していない、そして
(3)抗原結合能を保持している、
という特徴を有する抗体が提供される。この抗体は、SS結合の一部が切断されているとはいえ、インタクト抗体と同様の分子構造を維持しているため、抗原結合能を失うことはなく、かつ、標識物質等を結合することが可能なSH基を有している。従って本発明の抗体は、免疫測定で使用する標識抗体を製造する材料として特に有利なものである。なお、SS結合切断率は40%以上100%未満とすると好ましい。加えて本発明の抗体は、広く一般に入手可能な還元剤を使用して安価かつ短時間で製造することが可能であり、しかも、還元処理の操作自体も還元剤を使用する等により簡便に実施可能である。
実施例1の方法で還元処理した抗体とインタクト抗体のクロマトグラムである。本図から、実施例1で採用した条件での還元処理では、インタクト抗体の低分子化がほとんど生じていないことが分かる。 ジスルフィド結合(SS結合)を完全に還元した抗体とSS結合の一部を還元した抗体のクロマトグラムである。本図から、SS結合を完全に還元した抗体は、インタクト抗体の低分子化により溶出時間が変化していることが分かる。 SS結合の一部を還元した抗体およびSS結合を完全に還元した抗体の測定感度を比較した結果を示す図である。本図から、SS結合の一部を還元した抗体から作製した標識抗体(コンジュゲート)を用いた免疫反応試薬における感度が、インタクト抗体から作製した免疫反応試薬の感度よりも高値を示すことが分かる。
以下実施例により本発明の一実施形態を説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 還元処理酵素標識抗体を用いた心筋トロポニンI測定用免疫反応試薬の評価
(1)標識抗体の製造
ウシ小腸由来アルカリ性ホスファターゼ(ALP)15mgを1mM塩化マグネシウム、0.1mM塩化亜鉛を含むpH7.6の50mMほう酸緩衝液にて一晩透析した。N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)−シクロヘキサン−1−カルボキシレート(SMCC)をN,N−ジメチルホルムアミドで2.85mMになるよう溶解し、前記透析したALP溶液に添加した後、30℃で90分間反応させた。反応後、ゲルろ過用カラム(TSK−GEL G2000SW、東ソー株式会社製)にてSMCCが導入されたALP(SMCC導入ALP)を分取した。
抗心筋トロポニンI マウスモノクローナル抗体(IgG型インタクト抗体)5mgを、5mMEDTAを含むpH6.0の100mMリン酸緩衝液にて一晩透析した。2−メルカプトエチルアミン塩酸塩(2−MEA)をpH6.0の100mMリン酸緩衝液で200mMになるように溶解し、透析後の抗体に5vol%になるように添加して、37℃で240分間、還元処理を行なった。処理後の抗体(還元処理抗体)を前記ゲルろ過用カラムに供し、インタクト抗体と同一の溶出時間に出現したピーク画分を分取した。この時のクロマトグラムを図1に示す。図1に示されるように、還元処理抗体がインタクト抗体と同一の溶出時間(9.6分)で溶出することから、還元処理による低分子量化が生じていないことが分かる。
以上のようにして取得した処理抗体1mgに対し、SMCC導入ALP2.5mgを混合し、4℃で一晩反応させた。反応後、ゲルろ過用カラム(TSK−GEL G3000SWXL、東ソー株式会社製)にてSMCC導入ALPが結合した処理抗体を取得した。
比較のため、還元処理していないインタクトの抗心筋トロポニンI抗体を用いて、同様の手法でアルカリ性ホスファターゼ標識抗心筋トロポニンI抗体(比較抗体)を得た。
(2)心筋トロポニンI測定試薬の作製
上記(1)で使用したインタクト抗体とは異なる部位で心筋トロポニンIと結合する抗体を担体に結合し、上記(1)で製造したSMCC導入ALPが結合した処理抗体を加えて凍結乾燥した。同様にして、比較抗体を加えて凍結乾燥し、比較試薬を製造した。
(3)心筋トロポニンI測定試薬の評価
上記(2)で製造した試薬と比較試薬を、免疫測定装置(AIA−1800、東ソー株式会社製)に供して免疫測定を行なった。測定サンプルとして、既知量の心筋トロポニンIを含む標準品セット(Eテスト「TOSOH」II(cTnI3)、東ソー株式会社製)を用い、37℃で10分間反応させた。B/F分離操作の後、ALPの基質である4−メチルウンベリフェリルリン酸(4MUP)を加え、ALPによって4MUPが分解されて生成する4−メチルウンベリフェロン(4MU)の増加速度(nmol/秒)を、4MUからの蛍光強度を測定して算出した。この増加速度は試薬中の抗体とサンプル中の心筋トロポニンIの反応性及びサンプル中の心筋トロポニンIの量に比例している。また、サンプルは既知濃度の心筋トロポニンIを含んでいるため、任意の2点の濃度における蛍光強度の増加速度の差を心筋トロポニンIの濃度の差で割ることで、単位心筋トロポニンIあたり蛍光強度の増加速度を算出することができる。算出された数値は感度と同義であるため、2種類の試薬の数値を比較することで、感度の比較を行なった。
結果を表1及び表2に示す。表1は各心筋トロポニンI濃度における蛍光強度の増加速度を、表2は表1から算出した単位心筋トロポニンIあたり蛍光強度の増加速度、すなわち感度をそれぞれ示す。表2から分かるように、本発明の抗体(還元処理抗体)を標識抗体とした試薬は、インタクト抗体を標識抗体とした試薬と比較して約2倍の感度を有していた。
Figure 2012144519
Figure 2012144519
実施例2 心筋トロポニンI測定用免疫反応試薬を用いたSS結合切断率の評価
(1)還元処理抗体の作製
まず、インタクト抗体中のSS結合を完全に還元(切断)した抗体を作製した。抗心筋トロポニンI マウスモノクローナル抗体(IgG型インタクト抗体)5mgを、5mM EDTAを含むpH6.0の100mMリン酸緩衝液にて一晩透析した。2−メルカプトエチルアミン塩酸塩(2−MEA)をpH6.0の100mMリン酸緩衝液で2Mになるように溶解し、透析後の抗体に5vol%になるように添加して、37℃で24時間、還元処理を行なった。SS結合を完全に還元した処理抗体を前記ゲルろ過用カラムに供し、ピーク画分を分取した。この時のクロマトグラムを図2に示す。図2に示されるように、処理抗体がインタクト抗体よりも遅い溶出時間(10.4分)で溶出することから、還元処理により抗体が低分子量化していることが分かる。
一方で還元処理時間(還元処理条件)を変えた抗体の作製を行なった。2−メルカプトエチルアミン塩酸塩(2−MEA)をpH6.0の100mMリン酸緩衝液で200mMになるように溶解し、透析後の抗体に5vol%になるように添加して、37℃で30分から240分間、還元処理を行なった。同様に、処理後の抗体を前記ゲルろ過用カラムに供した結果、処理抗体がインタクト抗体と同じ溶出時間(9.6分)で溶出しており、還元処理による低分子量化が生じていないことを確認した。
(2)SS結合切断率の算出
サンプル用、ブランク用に試験管を用意し、これに5mMのEDTAを添加した0.1Mリン酸緩衝液(pH8.0)800μLを注入した。サンプル用試験管に上記(1)の抗体溶液を200μL、ブランク用試験管に0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)を200μL加え、ボルテックスミキサーで撹拌した。一方、5,5−ジチオビス(2−ニトロ安息香酸)(DTNB)を0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解し、1mMのDTNB溶液を調製した。1mMのDTNB溶液をそれぞれの試験管に20μL加え、撹拌の後、ブランク用試料を分光光度計にセットし、測定波長412nmで測定を行なった。吸光度から計算によりSS結合切断数(個/分子)を算出した。
還元処理による低分子量化が生じていた場合、還元処理が完全に進行しているといえ、その時のSS結合切断数は6.13(個/分子)であった。上記(1)で還元処理時間を変えて作製した還元抗体のSS結合切断数も同様に算出し、還元が完全に進行した際のSS結合切断数(6.13)で除することで、SS結合切断率(%)を算出した。
(3)標識抗体の作製
上記(1)で取得した、それぞれの条件の処理抗体1mgに対し、実施例1(1)で作製したSMCC導入ALP2.5mgを混合し、4℃で一晩反応させた。反応後、ゲルろ過用カラム(TSK−GEL G3000SWXL、東ソー株式会社製)にてSMCC導入ALPが結合した処理抗体を取得した。
比較のため、還元処理していないインタクトの抗心筋トロポニンI抗体を用いて、同様の手法でアルカリ性ホスファターゼ標識抗心筋トロポニンI抗体(比較抗体)を得た。
(4)心筋トロポニンI測定試薬の作製
上記(1)で使用したインタクト抗体とは異なる部位で心筋トロポニンIと結合する抗体を担体に結合し、上記(3)で製造したSMCC導入ALPが結合した処理抗体を加えて凍結乾燥した。同様にして、比較抗体を加えて凍結乾燥し、比較試薬を製造した。
(5)心筋トロポニンI測定試薬の評価
上記(4)で製造した試薬と比較試薬を、実施例1(3)と同様な方法で免疫測定を行ない、感度の比較を行なった。
上記(2)で算出したSS結合切断率と感度を比較した結果を表3及び図3に示す。表3及び図3から分かるように、SS結合切断率の上昇にしたがって感度が上昇し、SS結合切断率が40%以上の時に、インタクト抗体を標識抗体とした場合よりも高い感度が認められた。また、SS結合切断率が50%程度から感度が最大になり、以降、切断率が上昇しても一定の感度を保っていたが、SS結合切断率が100%になる(抗体自体が低分子化される)と感度の低下が認められた。このことから、SS結合切断率は40%以上100%未満が好ましく、50%以上90%以下が特に好ましいことがわかる。
Figure 2012144519

Claims (3)

  1. 以下(1)から(3)の特徴を有する、IgG型抗体。
    (1)分子中の一部のジスルフィド結合が切断され、チオール基に還元されている、
    (2)ジスルフィド結合の切断によって低分子化していない、及び、
    (3)抗原結合能を保持している。
  2. 以下(1)から(3)の特徴を有する、IgG型抗体。
    (1)分子中の一部のジスルフィド結合が切断され、この切断されて生じたチオール基を
    利用して他の物質が結合されている、
    (2)ジスルフィド結合の切断によって抗体自体は低分子化していない、及び、
    (3)抗原結合能を保持している。
  3. ジスルフィド結合切断率が40%以上100%未満である、請求項1又は2に記載の抗体。
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