JP2012136725A - 金属微粒子分散液、金属微粒子、金属微粒子分散液の製造法等 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】金属微粒子と、分散媒とを含む金属微粒子分散液において、前記金属微粒子は、Ag、Pd、Cu、Ru、Rh、PtおよびAuからなる金属群より選ばれる少なくとも1種以上の金属を含み、その一次粒子径が1〜30nmの範囲であり、二次粒子径が5〜100nmの範囲であり、当該金属微粒子の0.1〜10質量%が酸化されていることと、金属微粒子濃度が0.5質量%のときの酸化還元電位が500〜800mVの範囲であり、電気伝導度が1〜15μS/cmの範囲である。
【選択図】なし
Description
該金属微粒子分散液を含む透明導電性被膜形成用塗布液も経時安定性が高く、高温領域でも酸化が抑制され、耐久性に優れた透明導電性被膜が得られることを見出して本願発明を完成するに至った。
本出願に係る第2の発明は、前記金属微粒子が、前記金属群より選ばれる2種以上の金属を含む場合は、Pd−Ag、Pd−Pt、Pd−Cu、Ag−Cu、Pd−Au、Pt−Rh、Pd−Pt−Rh又はPd−Rhから選ばれるものであることを特徴とする金属微粒子分散液である。
本出願に係る第4の発明は、前記金属微粒子分散液の金属微粒子濃度が0.5質量%のときのpHが2〜11の範囲である。ことを特徴とする金属微粒子分散液である。
本出願に係る第5の発明は、前記金属微粒子に含まれるCl成分の含有量が金属微粒子に対して0.5〜3質量%の範囲である。ことを特徴とする金属微粒子分散液である。
本出願に係る第6の発明は、前記分散媒が、水、クエン酸水溶液又はモノエチレングリコールから。選ばれるものであることを特徴とする金属微粒子分散液である。
本出願に係る第8の発明は、Ag、Pd、Cu、Ru、Rh、PtおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の金属を含む金属微粒子であって、一次粒子径が1〜30nmの範囲であることと、当該金属微粒子の0.1〜10質量%が酸化されていることと、を備える金属微粒子である。
(A)水または有機溶媒の少なくとも一方からなる溶媒中、還元剤の存在下で、Ag、
Pd、Cu、Ru、Rh、Pt又はAuから選ばれる1種以上の金属の塩を還元し
て、金属微粒子が該溶媒に分散してなる金属微粒子分散液を生成する工程、
(B)前工程で生成した金属微粒子分散液を酸処理する工程
本出願に係る第10の発明は、 前記(B)工程の酸処理前又は酸処理後にアルカリ処理することを特徴とする請求項9記載の金属微粒子分散液の製造方法である。
本出願に係る第11の発明は、前記金属微粒子分散液の製造方法が、さらに金属微粒子分散液に含まれる不純物を低減させる処理を含むことを特徴とする金属微粒子分散液の製造方法である。
本出願に係る第12の発明は、前記分散媒が、前記(A)工程で使用した溶媒であることを特徴とする金属微粒子分散液の製造方法である。
本出願に係る第13の発明は、前記不純物がイオンであることを特徴とする金属微粒子分散液の製造方法である。
本出願に係る第15の発明は、前記有機酸がクエン酸、酢酸、蟻酸、L-アスコルビン酸、タンニン酸、シュウ酸、フタル酸又はマレイン酸より選ばれる1種以上の有機酸であることを特徴とする金属微粒子の製造方法である。
本出願に係る第16の発明は、前記(D)の工程にて使用するアルカリが、アンモニア、三級アミン又は四級アミンより選ばれる1種以上のアルカリであることを特徴とする金属微粒子分散液の製造方法である。
本出願に係る第18の発明は、前記透明導電性被膜形成用塗布液が、更にバインダー成分を含むことを特徴とする透明導電性被膜形成用塗布液である。
[金属微粒子及び金属微粒子分散液]
本発明に係る金属微粒子は、Ag、Pd、Cu、Ru、Rh、白金又は金から選ばれる1種以上の金属を含む金属微粒子からなる。なお、本出願においては、前記金属微粒子を「金属コロイド」と、金属微粒子分散液を「金属コロイド溶液」と称する場合がある。
本出願において、金属微粒子の一次粒子径は、金属微粒子分散液を走査型電子顕微鏡で撮影した写真から求めた。具体的な測定方法は、実施例にて記した。
本出願において、金属微粒子の二次粒子径は、金属微粒子分散液を0.5質量%に希釈し、マイクロトラックを用いて測定した。具体的な測定方法は、実施例にて記した。
本発明において、金属微粒子の酸化の程度は、金属微粒子分散液を温度105℃、24時間の条件で乾燥させ、得られた金属微粒子に含まれる金属酸化物量をX線光電子分光分析装置により測定し、算定した。後述の実施例に示すように酸化物の含有量がこの範囲にある金属微粒子は、基材への塗布後の焼成の際に酸化されにくく、透明導電性被膜の導電性が悪化しにくいことを把握している。ここで金属微粒子に含まれる酸化物が0.1質量%未満のものは、得ることが困難である。また10質量%を超えて酸化されたものは、透明導電性被膜の形成時の乾燥工程や焼成工程で酸化を受け導電性が悪化したり、酸化が促進される場合があり、透明導電膜の耐久性が悪化する場合がある。
さらに好ましい酸化の範囲は0.5〜7質量%である。
前記金属微粒子分散液に含まれるCl成分の含有量は、格別に制限されるものではないが、金属微粒子に対して0.5〜3重量%の範囲であることが好ましい。ここで、金属微粒子分散液に含まれるCl成分含有量とは、金属微粒子に含まれるCl成分量及びその分散液に含まれるCl成分量を合わせた量を意味する。
本発明に係る金属微粒子の分散液の製造方法は、下記(A)及び(B)の工程を含むことを特徴とする金属微粒子分散液の製造方法である。
(A)水または有機溶媒の少なくとも一方からなる溶媒中、還元剤の存在下で、Ag、
Pd、Cu、Ru、Rh、Pt又はAuから選ばれる1種以上の金属の塩を還元し
て、金属微粒子が該溶媒に分散してなる金属微粒子分散液を生成する工程、
(B)前工程で生成した金属微粒子分散液を酸処理する工程
前記(B)の工程にて使用する酸は、還元性を有する有機酸を有する有機酸が好ましい。酸化-還元反応は相対的な反応であり、選択する材料や反応条件で、酸化剤にもなり還元剤ともなりえる。選択する有機酸は、使用する金属微粒子の種類、pH、標準水素電極電位を考慮し、プルベダイアグラムを参考に選択する。その中でも好ましくは、クエン酸、酢酸、蟻酸、L-アスコルビン酸、タンニン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸が挙げられ、中でもアルデヒド基を有する酸は還元性が高いので、金属微粒子の酸化を抑制する効果があり、特に好適である。このような有機酸は、少なくとも1種以上を含むことを特徴とする。さらに使用する酸は、有機酸と鉱酸の併用も可能である。
上記(B)の工程においては、酸を添加した際に金属微粒子が局所的に凝集することがあるので、必要に応じて、前記酸処理の前又は前記酸処理の後に金属微粒子分散液をアルカリ処理しても構わない。アルカリは、アンモニア、三級アミン又は四級アミンより選ばれる1種以上が好適に使用できる。
(A)工程
(A)工程では、1種以上の金属の塩を還元する。通常は、水および/または有機溶媒からなる溶媒中、還元剤の存在下で、1種以上の金属の塩を還元する。
具体的には水および/または有機溶媒からなる溶媒中で、1種類、または複数種類の金属の塩を同時に、還元剤の存在下で還元し、金属微粒子を生成させる。
還元剤は従来公知の還元剤を使用してよい。溶媒の具体例としては、水、クエン酸水溶液又はモノエチレングリコールなどを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
生成した金属微粒子をこの溶媒から分離せずに本発明の金属微粒子分散液を調製するときには、この溶媒が本発明の金属微粒子分散液の分散媒となる。
なお、生成した金属微粒子を溶媒から一旦分離して、再度他の溶媒に分散させた場合には、該溶媒が分散媒となる。
本発明では、溶媒は単独溶媒であってもよいし、2種以上の混合溶媒であってもよく、さらには有機溶媒と水との混合溶媒であってもよい。
還元剤として水素化ホウ素ナトリウムや次亜リン酸ナトリウムを使用すると、金属微粒子中にB、Pが含まれてしまうが、硫酸第1鉄、硫酸アンモニウム第1鉄のような鉄塩を還元剤として用いると、B、Pを含まない導電性の高い金属微粒子を得ることができる。
さらに、(A)工程では、必要に応じて有機安定化剤を用いることができる。有機安定化剤としては、たとえばゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ヒドロキシプロピルセルロース、およびシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの多価カルボン酸およびその塩、複素環化合物あるいはこれらの混合物などが挙げられる。安定化剤は金属塩を還元して得られる金属微粒子(コロイド)を安定化させる役割を果たす。
また、本発明の方法では、上記還元して得られた金属微粒子の分散液を必要に応じて圧力容器中、約100℃以上の温度で加熱処理してもよい。
(B)工程では、(A)工程で得られた金属微粒子分散液を酸で処理し、主として酸化状態の調整を行う。ここで使用する酸は、従来公知の酸と有機酸を使用することが可能である。具体的には、クエン酸、酢酸、蟻酸、L-アスコルビン酸、タンニン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸より選ばれる少なくとも1種以上が挙げられる。使用する有機酸は1種でもよく、2種類以上でもよく、鉱酸との併用でもよく、不純物の低減や酸化状態の調整に好適な酸を金属微粒子によって適宜選択することができる。有機酸の中でもアルデヒド基を有する酸は還元性が高いので、金属微粒子の酸化を抑制する効果があり、特に好適である。
また、酸処理の前又は酸処理の後に行われるアルカリ処理後の0.5質量%における金属微粒子分散液の電気伝導度は、1μS/cm〜100μS/cmの範囲、pH2〜11の範囲に調整されることが望ましい。
なお、金属微粒子分散液に含まれるイオン成分をイオン交換樹脂などで除去又は低減したり、限外濾過膜で金属微粒子分散液に含まれる帯電性の粗大粒子や高分子成分を除去又は低減させることによっても金属粒子分散液の酸化還元電位や電気伝導度を調整することができる。
つぎに、本発明の透明導電性被膜形成用塗布液について説明する。本発明の透明導電性被膜形成用塗布液は、前記した金属微粒子分散液と極性溶媒とを含んでいる。本発明で用いられる極性溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。ここで極性溶媒は基材へ透明導電性微粒子層を形成するときの造膜性を向上させる役割を果たしている。
次に、本発明に係る透明導電性被膜付基材について説明する。本発明に係る透明導電性被膜付基材では、前記した透明導電性被膜形成用塗布液から形成した透明導電性微粒子層が、ガラス、プラスチック、セラミックなどからなるフィルム、シートあるいはその他の成形体などの基材上に形成されている。
透明導電性微粒子層の膜厚は、約5〜200nm、さらには10〜150nmの範囲にあることがより好ましく、この範囲の膜厚であれば電磁遮蔽効果に優れた透明導電性被膜付基材を得ることができる。このような透明導電性微粒子層には、必要に応じて、上記金属微粒子以外の導電性微粒子、マトリックス成分、有機系安定化剤を含んでいてもよく、具体的には、透明導電性被膜形成用塗布液の説明にて列記したものと同様の有機系安定化剤が挙げられる。
本発明に係る透明導電性被膜付基材では、前記透明導電性微粒子層の上に、前記透明導電性微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜が形成されている。透明被膜の膜厚は、50〜300nm、好ましくは80〜200nmの範囲にあることが好ましい。このような透明被膜は、たとえば、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物、およびこれらの複合酸化物などから形成される。本発明では、透明被膜として、特に加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸重縮合物からなるシリカ系被膜が好ましい。このような透明被膜が形成された透明導電性被膜付基材は、反射防止性能に優れている。
本発明に係る透明導電性被膜付基材は以下のようにして製造することができる。
[透明導電性微粒子層の形成]
まず、前述の金属微粒子分散液と極性溶媒とを含む透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布・乾燥して透明導電性微粒子層を形成する。透明導電性被膜形成用塗布液中の金属微粒子は、0.05〜10質量%、好ましくは0.1〜8質量%の量で含まれていることが望ましい。また、このような透明導電性被膜形成用塗布液には、金属微粒子以外の導電性微粒子が添加されていてもよい。このような導電性微粒子としては透明導電性被膜形成用塗布液の説明にて列記したものと同様のものと同様の導電性微粒子が挙げられる。
ついで該微粒子層上に透明被膜形成用塗布液を塗布して前記透明導電性微粒子層上に該微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜を形成する。透明被膜の膜厚は、50〜300nm、好ましくは80〜200nmの範囲であることが好ましく、このような範囲の膜厚であると優れた反射防止性を発揮する。透明被膜の形成方法としては、特に制限はなく、この透明被膜の材質に応じて、真空蒸発法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式薄膜形成方法、あるいは上述したようなディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法、グラビア印刷などの湿式薄膜形成方法を採用することができる。
RaSi(OR')4−a…[1]
(式中、Rはビニル基、アリール基、アクリル基、炭素数1〜8のアルキル基、水素原子またはハロゲン原子であり、R'はビニル基、アリール基、アクリル基、炭系数1〜8のアルキル基、−C2H4OCnH2n+1(n=1〜4)または水素原子であり、aは0〜3の整数である。)このようなアルコキシランとしては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシランメチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げられる。
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、所定の特性を備えた金属微粒子分散液に含まれる金属微粒子から透明導電性微粒子が形成されているので、電磁遮蔽に必要な102〜104Ω/□の範囲の表面抵抗を有し、かつ可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能を有しており、このような透明導電性被膜付基材は、表示装置の前面板として好適に用いられる。
[測定方法]
本願で採用した測定方法について以下に記す。
[1]金属微粒子の一次粒子径の測定
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−5500)により、試料(金属微粒子分散液)を倍率30万倍で写真撮影して、金属微粒子の一次粒子径を確認した。
[2]金属微粒子二次粒子径の測定
純水を用いて金属微粒子分散液を固形分濃度0.5%に希釈し、マイクロトラックUPA型(日機装(株)性)を用いて金属微粒子の二次粒子径を測定した。
[3]金属微粒子のpH・電気伝導度の測定
純水を用いて金属微粒子分散液を固形分濃度0.5%に希釈し25℃において、pHメーター及び電気伝導度計を用いて、それぞれpHと電気伝導度を測定した。
試料(金属微粒子分散液)を600℃にて焼成し、残渣をアルカリ溶融剤にて溶融した後、28質量%塩酸若しくは硝酸水溶液にて溶解し、溶解液を純水で希釈した後、ICP誘導結合プラズマ発光分光分析装置SPS1200A(セイコー電子株式会社製)にて測定した。また、陰イオン成分(Cl成分を含む)に関しては液体クロマトグラフィーを用いて測定した。この測定法で測定したハロゲン(Cl成分)以外の陰イオン及び金属微粒子以外の陽イオン成分を不純物量と定義し算出した。
純水にて固形分濃度0.5質量%に希釈した金属微粒子分散液を酸化還元電位測定電極(HORIBA製 9610-10D)を用いて、液温25℃における表面電荷量を測定した。
[6]金属微粒子の酸化状態の測定
金属微粒子の酸化状態は、金属微粒子分散液を105℃の条件、24時間の条件で真空乾燥を行い、得られた金属微粒子の酸化物量をX線光電子分光分析装置を用いて測定し、算定することにより求めた。
なお、参考までに金属微粒子分散液を大気中、200℃で24時間乾燥させて得られた金属微粒子を同じくX線光電子分光分析装置を用いて測定し、酸化物量を算出し、大気中200℃乾燥と105℃真空乾燥の酸化物量の差を求め、酸化容易性を確認した。
[7]透明導電性被膜付基材膜特性の測定
表面抵抗、ヘーズ、ボトム反射率、視感反射率等の測定は、下記に記載した方法で製膜した、透明導電性被膜付基材を用い、表面抵抗を表面抵抗計(三菱油化(株)製:LORESTA)で測定し、ヘーズをヘーズコンピューター(日本電色(株)製:3000A)で測定した。反射率は反射率計(大塚電子(株)製:MCPD−3000)を用いて測定し、波長400〜700nmの範囲で反射率が最も低い反射率としこれをボトム反射率とした。
(i)耐過酸化水素性
透明導電性被膜付基材を10%の過酸化水素に72時間浸漬させ、浸漬前後の抵抗値の変化率を算出し下記の序列で判定した。
○:抵抗変化率1.2倍未満
△:抵抗変化率1.2倍以上〜1.5倍未満
×:抵抗変化率1.5倍以上
(ii)耐塩酸性
透明導電性被膜付基材を10%の塩酸に72時間浸漬させ、浸漬前後の抵抗値の変化率を算出し下記の序列で判定した。
○:抵抗変化率1.2倍未満
△:抵抗変化率1.2倍以上〜1.5倍未満
×:抵抗変化率1.5倍以上
Pd微粒子分散液(Pdコロイド溶液)の合成
クエン酸水溶液(濃度30質量%)219gに還元剤として硫酸第一鉄122gを溶解させた溶液を調製した。
この溶液341gを、硝酸パラジウム水溶液(濃度20質量%)39gに室温で添加し、充分に混合することによりPdコロイド溶液を調製した。
このPdコロイド溶液に限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて粗大不純物を除去し、濃縮し、Pd換算濃度2.5質量%のPdコロイド溶液(1)を得た。
得られたPdコロイド溶液を走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、S−5500)で測定したところPdコロイドの平均粒子径は2nmであった。
脱塩完了後、遠心分離機(G=8000)にて粗大粒子を除去し、ICPで濃度測定後、2.5%に濃度調整を行い、Pdコロイド溶液(1−2)を得た。
このPdコロイド溶液(1−2)を(実施例1)とし、Pdコロイド溶液(1)を(比較例1)とする。(実施例1)と(比較例1)に係る金属コロイドの物性を(表1)に示した。
Pd−Pt微粒子分散液(Pd−Ptコロイド溶液)の合成
硝酸パラジウム(II)水和物22.5g(パラジウム金属換算で9g)と塩化白金酸6水和物25g(白金金属換算で9g)を純水16,000gに溶解して得た金属塩水溶液に、錯化安定化剤として濃度5.0質量%のクエン酸3ナトリウム水溶液1,660gと還元剤として濃度0.1質量%の水素化ホウ素ナトリウム水溶液140gとを加え、窒素雰囲気下、20℃で攪拌混合して、水に白金微粒子が分散してなる白金コロイド溶液を得た。ついで、白金コロイド溶液を限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて粗大不純物を除去し、濃縮し、金属換算で濃度2.5質量%のPd−Ptコロイド溶液(2)とした。
Ag−Pd粒子分散液(Ag−Pdコロイド溶液)の合成
クエン酸水溶液(濃度30質量%)219gに還元剤として硫酸第一鉄122gを溶解させた溶液を調製した。そして、この溶液341gを、硝酸銀水溶液(濃度10質量%)80gに室温で添加し、ついで硝酸パラジウム水溶液(濃度20質量%)39gに室温で添加し、充分に混合することによりAg−Pd粒子の分散液を調製した。限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて粗大不純物を除去し、濃縮しAg換算濃度2.5%のAg−Pdコロイド溶液(3)を得た。
Pd−Au粒子分散液(Pd−Auコロイド溶液)の合成
硝酸パラジウム(II)水和物22.5g(パラジウム金属換算で9g)と塩化金(III)酸4水和物18.8g(金金属換算で9g)をそれぞれ純水100gに溶解して得た金属塩水溶液に、錯化安定化剤として濃度5.0質量%のポリビニルピロリドン(関東化学製 K−30 分子量40000)水溶液をそれぞれ50gずつ混合した。溶剤としてモノエチレングリコール1800g中に加え、窒素雰囲気下、100℃で6時間攪拌混合して、パラジウム−金複合微粒子が分散してなるパラジウム−金コロイド溶液を得た。次いでパラジウム−金コロイド溶液をロータリーエバポレーターで濃縮し、その後陰イオン交換樹脂(三菱化学SANUPC)を10g入れて脱塩を行った。パラジウム−金金属換算で濃度3.0質量%のパラジウム−金コロイド溶液(4)を得た。
Pd−Cu粒子分散液(Pd−Cuコロイド溶液)の合成
クエン酸水溶液(濃度30質量%)219gに還元剤として硫酸第一鉄122gを溶解させた溶液を調製した。そして、この溶液341gを、硝酸パラジウム水溶液(濃度20質量%)39gに室温で添加し、次いで硝酸銅水溶液(濃度20%)を10g充分に混合することによりPd粒子の分散液を調製した。限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて粗大不純物を除去し、濃縮しPd−Cu換算濃度3%の金属コロイド溶液(5)を得た。
Ag粒子分散液(Agコロイド溶液)の合成
クエン酸水溶液(濃度30質量%)219gに還元剤として硫酸第一鉄122gを溶解させた溶液を調製した。そして、この溶液341gを、硝酸銀水溶液(濃度10質量%)160gに室温で添加し、充分に混合することによりAg粒子の分散液を調製した。限外濾過器(ADVANTEC社製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて粗大不純物を除去し、濃縮しAg換算濃度3%のAgコロイド溶液(6)を得た。
Ag−Pd粒子分散液(Ag−Pdコロイド溶液)の合成
純水100gに、硝酸銀水溶液6.12gおよびクエン酸鉄水溶液0.1gを添加して混合金属塩水溶液を調製した。ついで、この混合金属塩水溶液に安定化剤として濃度30質量%のクエン酸3ナトリウム200gを加え、ついで還元剤として濃度25質量%の硫酸第1鉄水溶液76.5gを加え、窒素雰囲気下で20時間撹拌して、金属微粒子の分散液を調製した。得られた分散液から金属微粒子を遠心分離機により分離回収し、濃度1質量%の塩酸水溶液で洗浄した後純水に分散させ、金属換算で濃度が2.5質量%の金属微粒子の水分散液を調製した。ついで、金属微粒子の水分散液をナノマイザーシステムで処理して金属微粒子の水単分散液を調製し、3.0質量%に調製してAg―Pdコロイド溶液(7)を得た。このAg―Pdコロイド溶液(7)を(比較例7)とし、その物性を(表1)に示す。
(実施例1〜11)、(比較例1〜8)に係る調製直後の金属微粒子分散液と、この金属微粒子分散液を70℃の保管条件にて30日間保管したものと、をエタノール、1−エトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアルコール(5:4:1質量混合比)の混合溶媒とを混合して、各々の金属微粒子分散液から透明導電性被膜形成用塗布液を調製した。各例に係る透明導電性被膜形成用塗布液に含まれる金属微粒子の濃度を(表2)に示す。
正珪酸エチル(SiO2:28質量%)50g、エタノール194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間攪拌してSiO2濃度5質量%のマトリックス形成成分を含む液を調製した。これに、エタノール/ブタノール/ジアセトンアルコール/イソプロパノール(2:1:1:5質量混合比)の混合溶媒を加え、1.3質量%の透明被膜形成用塗布液を調製した。
100mm角ガラスの表面を40℃で保持しながら、スピナー法で150rpm、90秒の条件で透明導電性被膜形成用塗布液を塗布し乾燥した。次いで、このようにして形成された透明導電性被膜上に、同じように、スピナー法でボトム反射の波長が550nmになる条件の回転数100〜300rpm、90秒の条件で透明被膜形成用塗布液を塗布・乾燥し、160℃で30分間焼成して透明導電性被膜付基材を得た。そしてこれらの透明導電性被膜付基材の膜特性を確認した。その結果を(表2)に示す。
Claims (19)
- 金属微粒子と、分散媒とを含む金属微粒子分散液において、
前記金属微粒子は、Ag、Pd、Cu、Ru、Rh、PtおよびAuからなる金属群より選ばれる少なくとも1種以上の金属を含み、その一次粒子径が1〜30nmの範囲であり、二次粒子径が5〜100nmの範囲であり、当該金属微粒子の0.1〜10質量%が酸化されていることと、金属微粒子濃度が0.5質量%のときの酸化還元電位が500〜800mVの範囲であり、電気伝導度が1〜15μS/cmの範囲であることと、を備えたことを特徴とする金属微粒子分散液。 - 前記金属微粒子が、Pd−Ag、Pd−Pt、Pd−Cu、Ag−Cu、Pd−Au、Pt−Rh、Pd−Pt−Rh又はPd−Rhから選ばれるものであることを特徴とする請求項1に記載の金属微粒子分散液。
- 70℃の保管条件下で、前記金属微粒子分散液を調製してから30日間経過するまでの二次粒子径の変化率が1.5倍以内であることを特徴とする請求項1または2に記載の金属微粒子分散液。
- 前記金属微粒子分散液の金属微粒子濃度が0.5質量%のときのpHが2〜11の範囲であることを特徴とする請求項1〜3の何れか一つに記載の金属微粒子分散液。
- 前記金属微粒子分散液に含まれるCl成分の含有量が金属微粒子に対して0.5〜3質量%の範囲であることを特徴とする、請求項1〜4の何れか一つに記載の金属微粒子分散液。
- 前記分散媒が、水、クエン酸水溶液又はモノエチレングリコールから選ばれるものであることを特徴とする請求項1〜5の何れか一つに記載の金属微粒子分散液。
- 請求項1〜6の何れか一つに記載の金属微粒子分散液から分散媒を除去してなる金属微粒子。
- Ag、Pd、Cu、Ru、Rh、PtおよびAuからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の金属を含む金属微粒子であって、一次粒子径が1〜30nmの範囲であることと、当該金属微粒子の0.1〜10質量%が酸化されていることと、を備えることを特徴とする金属微粒子。
- 下記(A)及び(B)の工程を含むことを特徴とする金属微粒子分散液の製造方法。
(A)水または有機溶媒の少なくとも一方からなる溶媒中、還元剤の存在下で、Ag、
Pd、Cu、Ru、Rh、Pt又はAuから選ばれる1種以上の金属の塩を還元し
て、金属微粒子が該溶媒に分散してなる金属微粒子分散液を生成する工程、
(B)前工程で生成した金属微粒子分散液を酸処理する工程 - 前記(B)工程の酸処理前又は酸処理後にアルカリ処理することを特徴とする請求項9記載の金属微粒子分散液の製造方法。
- 前記金属微粒子分散液の製造方法が、さらに金属微粒子分散液に含まれる不純物を低減させる処理を含むことを特徴とする請求項9又は請求項10記載の金属微粒子分散液の製造方法。
- 前記分散媒は、前記(A)工程で使用した溶媒であることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の金属微粒子分散液の製造方法。
- 前記不純物はイオンであることを特徴とする請求項9〜12の何れか一つに記載の金属微粒子分散液の製造方法。
- 前記(B)工程にて使用する酸は、還元性を有する有機酸を含むことを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の金属微粒子分散液の製造方法。
- 前記還元性を有する有機酸が、クエン酸、酢酸、蟻酸、L-アスコルビン酸、タンニン酸、シュウ酸、フタル酸、マレイン酸より選ばれる少なくとも1種以上の有機酸であることを特徴とする請求項14に記載の金属微粒子分散液の製造方法。
- 前記アルカリが、アンモニア、三級アミン又は四級アミンより選ばれる少なくとも1種以上のアルカリであることを特徴とする請求項10〜15の何れか一つに記載の金属微粒子分散液の製造方法。
- 請求項1〜6の何れか一つに記載の金属微粒子分散液と極性溶媒とを含むことを特徴とする透明導電性被膜形成用塗布液。
- 前記透明導電性被膜形成用塗布液が、さらにバインダー成分を含むことを特徴とする請求項17に記載の透明導電性被膜形成用塗布液。
- 基材と、基材上の透明導電性微粒子層のみ若しくは、該透明導電性微粒子層上に設けられ、該透明導電性微粒子層よりも屈折率が低い透明被膜とからなる透明導電性被膜付基材において、前記透明導電性微粒子層が請求項17又は請求項18に記載の透明導電性被膜形成用塗布液から形成されたものであることを特徴とする透明導電性被膜付基材。
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