JP2003261326A - インジウム系酸化物微粒子、該微粒子の製造方法ならびに該微粒子を含んでなる透明導電性被膜形成用塗布液および透明導電性被膜付基材、表示装置 - Google Patents

インジウム系酸化物微粒子、該微粒子の製造方法ならびに該微粒子を含んでなる透明導電性被膜形成用塗布液および透明導電性被膜付基材、表示装置

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JP2003261326A JP2002064269A JP2002064269A JP2003261326A JP 2003261326 A JP2003261326 A JP 2003261326A JP 2002064269 A JP2002064269 A JP 2002064269A JP 2002064269 A JP2002064269 A JP 2002064269A JP 2003261326 A JP2003261326 A JP 2003261326A
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transparent conductive
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JP2002064269A
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Nanken Kin
南 憲 金
Toshiharu Hirai
井 俊 晴 平
Yuuji Tawarasako
迫 祐 二 俵
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Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】球状であるために該微粒子が密に充填した透明
導電性被膜が得られ、このため導電性、膜の強度、耐久
性等に優れた透明導電性被膜付基材等に好適に用いるこ
とのできるインジウム系酸化物微粒子、該微粒子の製造
方法を提供する。 【解決手段】平均粒子径が2〜200nmの範囲にあ
り、粒子形状が実質的に球状であることを特徴とするイ
ンジウム系酸化物微粒子。インジウム水酸化物分散液、
あるいは錫および/またはフッ素化合物を含むインジウ
ム水酸化物分散液(以後、インジウム系水酸化物分散液
という)のpHを、該分散液の濃度が酸化物として4重
量%の場合に、7〜10に調整したのち、加熱処理する
前記インジウム系酸化物微粒子の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、平均粒子径が2〜200
nmの範囲にあり、粒子形状が実質的に球状であること
を特徴とするインジウム系酸化物微粒子、該微粒子の製
造方法、該微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液、
該微粒子を含む透明導電性被膜が設けられた透明導電性
被膜付基材、該透明導電性被膜付基材で構成された前面
板を備えた表示装置に関する。
【0002】さらに詳しくは、インジウム系酸化物微粒
子が球状であるために該微粒子が密に充填した透明導電
性被膜が得られ、このため導電性、膜の強度、耐久性等
に優れた透明導電性被膜付基材等に好適に用いることの
できるインジウム系酸化物微粒子、該微粒子の製造方法
ならびに該微粒子を含んでなる透明導電性被膜形成用塗
布液および透明導電性被膜付基材、表示装置に関する。
【0003】
【発明の技術的背景】従来より、陰極線管、蛍光表示
管、液晶表示板などの表示パネルのような透明基材の表
面の帯電防止および反射防止を目的として、これらの表
面に帯電防止機能および反射防止機能を有する透明被膜
を形成することが行われていた。また、陰極線管などか
ら電磁波が放出されること知られており、従来の帯電防
止、反射防止に加えてこれらの電磁波および電磁波の放
出に伴って形成される電磁場を遮蔽することが望まれて
いる。
【0004】これらの電磁波などを遮蔽する方法の一つ
として、陰極線管などの表示パネルの表面に電磁波遮断
用の導電性被膜を形成する方法がある。帯電防止用導電
性被膜であれば表面抵抗が少なくとも108Ω/□程度
の表面抵抗を有していれば十分であるのに対し、電磁遮
蔽用の導電性被膜では102〜104Ω/□のような低い
表面抵抗を有することが必要であった。
【0005】このように表面抵抗の低い導電性被膜を、
従来のSbドープ酸化錫またはSnドープ酸化インジウム
のような導電性酸化物を含む塗布液を用いて形成しよう
とすると、従来の帯電防止性被膜の場合よりも膜厚を厚
くする必要があった。しかしながら、導電性被膜の膜厚
は、10〜200nm程度にしないと反射防止効果は発
現しないため、従来のSbドープ酸化錫またはSnドープ
酸化インジウムのような導電性酸化物では、表面抵抗が
低く、電磁波遮断性に優れるとともに、反射防止にも優
れた導電性被膜を得ることが困難であるという問題があ
った。
【0006】また、低表面抵抗の導電性被膜を形成する
方法の一つとして、Agなどの金属微粒子を含む導電性
被膜形成用塗布液を用いて基材の表面に金属微粒子含有
被膜を形成する方法がある。しかしながら、このような
金属微粒子を含む導電膜は、被膜形成時に安定剤などが
必要とされるため、導電性が低下したり、形成後の安定
剤除去の際に金属微粒子同士の融着や凝集したり、高温
に晒すことにより陰極線管本体が劣化してしまうことが
あった。金属微粒子は前記導電性酸化物と異なり本来光
を透過しないために透明な被膜を形成することは困難で
あり、耐塩水性や耐酸化性が低く、金属が酸化された
り、イオン化による粒子成長したり、また場合によって
は腐食が発生することがあり、塗膜の導電性や光透過率
が低下し、表示装置が信頼性を欠くという問題があっ
た。
【0007】一方、前記したSnドープ酸化インジウム
(ITO)のような導電性酸化物粒子は、従来、図2に
示されるように多面体粒子であり、このため導電性微粒
子層を形成しても粒子が密に充填することが困難で、膜
の強度が不充分となることがあり、またさらに必ずしも
充分な導電性を付与できないという問題点があった。な
お、このような酸化インジウム粒子は、特開昭63-11519
号公報に記載されているように、スズ化合物またはイン
ジウム化合物の水溶液を、6〜12のpH条件下に保持し
て液中の化合物を徐々に分解することにより金属酸化物
/または含水酸化物のコロイド粒子を含有するゾルを生
成させ、しかる後、このゾルを乾燥、焼成するという製
造方法で製造されていた。
【0008】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術の問題
点を解決し、帯電防止性、反射防止性および電磁遮蔽性
等に優れるとともに、被膜の強度、透明性にも優れた透
明導電性被膜の形成に用いることのできるインジウム系
酸化物微粒子、該微粒子の製造方法ならびに該微粒子を
含んでなる透明導電性被膜形成用塗布液および透明導電
性被膜付基材、表示装置を提供することを目的としてい
る。
【0009】
【発明の概要】本発明に係るインジウム系酸化物微粒子
は、平均粒子径が2〜200nmの範囲にあり、粒子形
状が実質的に球状であることを特徴としている。本発明
に係るインジウム系酸化物微粒子(分散ゾル)の第1の
製造方法は、インジウム水酸化物分散液、あるいは錫お
よび/またはフッ素化合物を含むインジウム水酸化物分
散液(以後、インジウム系水酸化物分散液という)のp
Hを、該分散液の濃度が酸化物として4重量%の場合
に、7〜10に調整したのち、加熱処理することを特徴
としている。
【0010】また本発明に係るインジウム系酸化物微粒
子(分散ゾル)の第2の製造方法は、インジウム水酸化
物分散液、あるいは錫および/またはフッ素化合物を含
むインジウム水酸化物分散液(以後、インジウム系水酸
化物分散液という)と、インジウム系酸化物種粒子分散
液とを混合した後、該混合分散液の濃度が酸化物として
4重量%の場合に、混合分散液のpHを7〜10に調製
したのち、乾燥し、加熱処理することを特徴としてい
る。
【0011】インジウム系酸化物種粒子分散液が、前記
第1または第2の方法で得られたインジウム系酸化物微
粒子の分散液であることが望ましい。本発明に係る透明
導電性被膜付基材は、基材と、基材上の前記インジウム
系酸化物微粒子を含む透明導電性被膜と、該透明導電性
被膜上に設けられ、該透明導電性被膜よりも屈折率が低
い透明被膜とからなることを特徴としている。
【0012】本発明に係る表示装置は、前記透明導電性
被膜付基材で構成された前面板を備え、透明導電性被膜
が該前面板の外表面に形成されていることを特徴として
いる。
【0013】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。インジウム系酸化物微粒子 本発明に係るインジウム系酸化物微粒子は、平均粒子径
が2〜200nm、好ましくは5〜150nmの範囲に
ある。
【0014】インジウム系酸化物微粒子の平均粒子径が
前記下限未満の場合は、粒界抵抗が増すために粒子層の
表面抵抗が急激に大きくなり、本発明の目的を達成しう
る程度の低抵抗値を有する被膜を得ることができないこ
とがある。インジウム系酸化物微粒子の平均粒子径が前
記上限を越えると、粒子が大きすぎて粒子同士の接点が
減少し充分な導電性が得られないことがあり、また膜強
度や基材との密着性が低下したり、得られる透明導電性
被膜のヘーズが高くなることがある。
【0015】なお、本明細書において、実質的に球状で
ある粒子とは、真球状のものから、角ばった粒子の角が
取れた粒子、サッカーボールのような多面体粒子をも含
む。このような本発明に係るインジウム系酸化物微粒子
の透過型電子顕微鏡写真を図1に示す。図1に示される
ように、本発明に係るインジウム系酸化物微粒子は実質
的に球状であるので、導電性微粒子層を形成した場合
に、前記したような図2に示される従来の多面体形状の
インジウム系酸化物微粒子を用いた場合に比較して、本
願インジウム系酸化物微粒子は緻密に充填し、このため
膜厚を一定にした場合には高い導電性を示し、導電性を
一定にした場合にはより薄膜を形成することができる。
また、基材との密着性に優れるとともに、強度に優れた
透明導電性被膜を得ることができる。
【0016】上記インジウム系酸化物微粒子は、酸化イ
ンジウムから構成されるものであっても、または、酸化
インジウムにSnまたはFがドーピングされたものであ
ってもよい。このときのSnまたはFの含有量は1〜1
4重量%、好ましくは2〜12重量%の範囲である。こ
のようなインジウム系酸化物微粒子は酸化物系導電性微
粒子の中でも導電性が高く、得られる透明導電性被膜は
帯電防止性能、電磁波遮蔽性能に優れるとともに、金属
微粒子を用いた透明導電性被膜と異なり透明性に優れて
いる。
【0017】なお、本明細書におけるインジウム系酸化
物微粒子の平均粒子径の測定は、TEM写真を撮影し2
0個の粒子について粒子径を測定しこの平均値を平均粒
子径とした。また形状の観察もTEM写真により行う。インジウム系酸化物微粒子(分散ゾル)の製造方法 本発明に係るインジウム系酸化物微粒子(分散ゾル)の
第1の製造方法は、インジウム水酸化物分散液、あるい
は錫および/またはフッ素化合物を含むインジウム水酸
化物分散液(以後、インジウム系水酸化物分散液とい
う)のpHを6〜10に調整したのち、加熱処理するこ
とを特徴としている。
【0018】また本発明に係るインジウム系酸化物微粒
子(分散ゾル)の第2の製造方法は、インジウム水酸化
物分散液、あるいは錫および/またはフッ素化合物を含
むインジウム水酸化物分散液(以後、インジウム系水酸
化物分散液という)と、インジウム系酸化物種粒子分散
液とを混合し、該混合分散液のpHを6〜10に調整し
たのち、乾燥し、加熱処理することを特徴としている。第1の方法 本発明に係る第1の製造方法では、まず、インジウム水
酸化物、あるいは錫および/またはフッ素化合物を含む
インジウム水酸化物の分散液(以後、インジウム系水酸
化物分散液という)を調製する。
【0019】インジウム系水酸化物としては、すでに水
酸化物として入手可能なものであれば、水および/また
は有機溶媒に分散させて分散液を調製してもよい。特に
本発明では、以下のようにインジウム化合物水溶液と必
要に応じて錫および/またはフッ素化合物水溶液を使用
し、含まれるインジウム系化合物を加水分解し、必要に
応じて洗浄して得られたインジウム系水酸化物を含む分
散液を使用することが望ましい。
【0020】インジウム化合物としては水溶性の化合物
であればとくに制限はなく、たとえば硝酸インジウム、
硫酸インジウム、塩化インジウム等が挙げられる。イン
ジウム化合物水溶液の濃度は、酸化物In23として概
ね1〜20重量%、さらには4〜10重量%の範囲にあ
ることが好ましい。インジウム化合物水溶液の濃度が酸
化物In23として前記下限未満の場合は、濃度が低い
ために生産効率が低く、インジウム化合物水溶液の濃度
が酸化物In23として前記上限を越えると、最終的に
得られるインジウム系酸化物微粒子の粒子径分布がブロ
ードに、すなわち粒子径が不均一となる傾向がある。
【0021】また、錫化合物としては錫酸カリウム、錫
酸ナトリウム、フッ化錫、塩化錫等が挙げられる。フッ
素化合物としてはフッ化錫、フッ化アンモニウム等が挙
げられる。インジウム化合物水溶液と混合する錫化合物
水溶液および/またはフッ素化合物水溶液の量は、得ら
れるインジウム系酸化物微粒子中のSnおよび/または
Fの含有量が前記した範囲となるような量である。
【0022】また、混合して得られるインジウム水和物
分散液のpHを後述する範囲に調整するために混合する
アルカリ金属水酸化物水溶液としてはNaOH、KO
H、RbOH、CsOHなどの水溶液を用いることができ
る。インジウム化合物水溶液と、必要に応じて錫化合物
水溶液および/またはフッ素化合物水溶液とを、さらに
必要に応じてアルカリ金属水酸化物水溶液とを混合して
インジウム水酸化物、あるいは錫および/またはフッ素
を含むインジウム水酸化物分散液を調製する。このとき
のインジウム系水酸化物分散液の温度は20〜80℃、
さらには25〜60℃の範囲にあることが好ましい。ま
た分散液のpHは8〜12、さらには9〜11.5の範
囲にあることが好ましい。
【0023】分散液の温度が前記下限未満の場合は、イ
ンジウム水酸化物の粒子径が小さいか、あるいはこれら
が粒子成長しにくいために、濾過洗浄が困難となること
がある。分散液の温度が前記上限を越えると、大きさの
不均一なインジウム系水酸化物が生成し、得られるイン
ジウム系酸化物微粒子の球状が損なわれ、さらに粒子径
が不均一となる傾向がある。
【0024】また、分散液のpHが前記下限未満の場合
は、温度が高い場合と類似して、大きさの不均一なイン
ジウム系水酸化物が生成し、得られるインジウム系酸化
物微粒子の球状が損なわれ、さらに粒子径が不均一とな
る傾向がある。分散液のpHが前記上限を越えると、洗
浄によっても容易にアルカリを除去することが困難とな
り、インジウム系酸化物微粒子中のアルカリ金属の残存
量が多くなり、導電性が不充分となることがある。ま
た、球状のインジウム系酸化物微粒子が得られず、多面
体の粒子となることがある。
【0025】ついで、得られたインジウム系水酸化物分
散液は、必要に応じて、上記温度、pHの範囲で熟成し
てもよい。熟成中は撹拌してもよく、撹拌しなくてもよ
い。このときの熟成時間は温度、pHによって異なる
が、概ね0.2〜24時間程度である。このような熟成
を行うことによって、最終的に得られるインジウム系酸
化物微粒子の粒子径分布が均一になる傾向がある。
【0026】得られたインジウム系水酸化物分散液は、
必要に応じて、インジウム系水酸化物を濾過分離し、洗
浄してもよい。洗浄する方法としては、アルカリ金属お
よび/またはインジウム化合物等に由来するカチオンお
よびアニオンを除去できれば特に制限はなく、従来公知
の方法を採用することができる。たとえば温水を充分用
いて洗浄してもよく、アンモニア水あるいは酸を用いて
洗浄してもよい。さらに、必要に応じてイオン交換樹脂
にて脱イオン(カチオン、アニオン)することもでき
る。
【0027】洗浄後のアルカリ金属の残存量はM2
(M:アルカリ金属カチオン)として0.01重量%以
下、さらには0.001重量%以下の範囲にあることが
望ましい。アルカリ金属の残存量が前記上限を越える
と、得られる微粒子の導電性が不充分であったり、イン
ジウム系酸化物微粒子の分散液を調製した場合、分散液
の安定性が低く、粒子が凝集することがある。
【0028】また、洗浄後のアニオンの残存量も0.0
1重量%以下、さらには0.001重量%以下の範囲に
あることが好ましい。アニオンの残存量が前記上限%を
越えると、やはりインジウム系酸化物微粒子の分散液を
調製した場合、分散液の安定性が低く、粒子が凝集する
ことがある。洗浄後のインジウム系水酸化物を水および
/または有機溶媒に分散させてインジウム系水酸化物の
分散液を調製する。
【0029】このときのインジウム系水酸化物分散液の
濃度は固形分(酸化物(In23))として1.0〜8.
0重量%、さらには2.0〜6.0重量%の範囲にある
ことが好ましい。インジウム系水酸化物分散液の濃度が
固形分(酸化物(In23))として前記下限未満の場
合は、濃度が低すぎて粒子成長が起きにくく、さらに収
率や生産効率が低下する。
【0030】インジウム系水酸化物分散液の濃度が固形
分(酸化物(In23))として前記上限を越えると、
濃度が高すぎて均一な分散が起こりにくく、さらに分散
に続いてpH調整する際に球状粒子化しにくく、得られ
たとしても粒子の粒子径分布が不均一になる傾向にあ
る。有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロ
パノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフ
リルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、
エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロ
ピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステ
ル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエ
ーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコー
ルモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル
などのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、ア
セチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類な
どが挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また
2種以上混合して使用してもよい。
【0031】ついで、調製したインジウム系水酸化物分
散液のpHをインジウム系水酸化物分散液の濃度が酸化
物として4重量%にしたときに、該分散液のpHが7〜
10、好ましくは7.5〜9.5とする。なお、酸化物
換算の濃度が4重量%の時のpHが前記範囲内にあれば
よく、実際の製造する際の酸化物換算の濃度は、4重量
%より多くても少なくてもよい。酸化物濃度が低い場合
はpHが低くなる傾向があり、酸化物濃度が高い場合は、
pHは高く傾向がある。酸化物換算の濃度が4重量%のpH
は、一部採取し希釈や溶媒の蒸散などによって濃度を調
整すればよい。
【0032】さらに、前記したような条件で、熟成して
もよい。分散液のpHが前記下限未満の場合は、球状粒
子が得られず、得られたとしても、加熱処理した際に強
固に凝集してしまい、分散ゾルとする際に単分散させる
ことが困難となるとともに、凝集した粒子が多く残存
し、粒子径の均一なインジウム系酸化物微粒子の単分散
したゾルを得ることが困難である。
【0033】分散液のpHが前記上限を越えても、強固
に凝集することはないが分散ゾルとする際に単分散が困
難になる傾向がある。本発明では、このように分散液の
pHを調整する際には塩基を用いるが、塩基としては通
常アンモニアあるいはアミン類を用いることが望まし
い。特に、分散液のpHが7.5〜9.5の範囲にある
と、粒子形状が実質的に球状であるインジウム系酸化物
微粒子が得られる。
【0034】こうしてpHを調整したインジウム系水酸
化物分散液を加熱処理する。加熱処理する際に、あらか
じめインジウム系水酸化物分散液からインジウム系水酸
化物を濾過分離し、ついで洗浄した後、乾燥してもよ
い。洗浄方法としては、たとえば温水を充分に用いて洗
浄してもよく、アンモニア水を用いて洗浄してもよい。
なお、前記工程(a)で水酸化物分散液を調製する際
に、充分洗浄がなされていれば、工程(b)おいて洗浄
する必要はないが、充分アルカリ金属を除去するために
は、あるいは確実にアルカリ金属を除去するためには洗
浄を実施することが望ましい。
【0035】乾燥条件としては、水分が概ね15重量%
以下、好ましくは10重量%以下に低減すればよく、そ
の方法としては特に制限はないが、温度が60〜200
℃で0.5〜24時間乾燥すれば充分である。ついで、
加熱処理してインジウム系水酸化物をインジウム系酸化
物とする。加熱処理する際の温度は400〜650℃、
さらには450〜600℃の範囲にあることが好まし
い。
【0036】以上のような(a)および(b)工程によ
り、本発明に係るインジウム系酸化物微粒子が得られ
る。加熱処理温度が前記下限未満の場合は、結晶化が不
充分となり充分な導電性が得られないことがあり、また
Sn、F等のドープ材を含む場合は、充分なドーピング
効果が得られず、このため充分な導電性が得られないこ
とがある。
【0037】加熱処理温度が前記上限を越えると、加熱
処理条件によっては粒子の融着により強固に凝集した粒
子が生成することがあり、このため単分散のインジウム
系酸化物微粒子を得られないことがある。また、加熱処
理する際の雰囲気は酸化雰囲気、還元雰囲気、不活性ガ
ス雰囲気、真空下、あるいはこれらの組み合わせ等適宜
選択することができる。
【0038】通常、水素ガスなどの還元雰囲気下、窒素
ガスなどの不活性ガス雰囲気下で加熱処理すると、結晶
性が高く、Sn、F等のドープ材を含む場合は、充分な
ドーピング効果が得られ、導電性に優れたインジウム系
酸化物粒子を得ることができる。なお、加熱処理は、上
記のような乾燥を行うことなく、オートクレーブなどの
耐圧容器内で、加圧下で加熱したのち、固液分離し、乾
燥したのちさらに必要に応じて、大気中で加熱処理をし
てもよい。
【0039】こうして得られたインジウム系酸化物粒子
を、所望の分散媒(水・有機溶媒)に分散させ、必要に
応じて、塩酸や硝酸などの無機酸、酢酸、安息香酸など
の有機酸、水酸化ナトリウムなどの無機塩基、アンモニ
ア、アミン類等の有機塩基を添加して、分散液のpHを
調製すれば、安定なインジウム酸化物微粒子分散ゾルを
得ることができる。
【0040】分散ゾル中のインジウム系酸化物粒子の濃
度としては、粒子が安定的に分散さえしていれば特に制
限はなく、通常、酸化物としての濃度が5〜40重量
%、好ましくは10〜35重量%の範囲であればよい。
有機溶媒としては前記したものと同様のものを用いるこ
とができる。分散装置としては、凝集した粒子を単分散
とすることができればとくに制限はなく、たとえばサン
ドミル、コロイドミル、ボールミル、超音波ホモジナイ
ザー、ベントシェーカー等を挙げることができる。第2の方法 また本発明に係るインジウム系酸化物微粒子(分散ゾ
ル)の第2の製造方法は、インジウム水酸化物分散液、
あるいは錫および/またはフッ素化合物を含むインジウ
ム水酸化物分散液(以後、インジウム系水酸化物分散液
という)と、インジウム系酸化物種粒子分散液とを混合
し、混合分散液のpHを、該混合分散液の濃度が酸化物
として4重量%の場合に、7〜10に調整したのち、乾
燥し、加熱処理する。
【0041】インジウム系水酸化物分散液としては、前
記第1の方法で記載したものと同様のものが使用され
る。インジウム系酸化物種粒子分散液としては、酸化イ
ンジウム、錫および/またはフッ素がドープされた酸化
インジウムからなる種粒子の分散液が使用される。かか
る種粒子の大きさ等には特に制限されるものではない
が、2〜100nmの範囲にあるものが好適に使用され
る。
【0042】使用される酸化インジウム、錫および/ま
たはフッ素がドープされた酸化インジウムからなる種粒
子としては、特に制限されるものではなく、例えば、市
販の粉末を特に制限なく使用することができる。また所
望の平均粒子径になるまで粉砕してもよい。特に、本発
明では、使用される酸化インジウム、錫および/または
フッ素がドープされた酸化インジウムからなる種粒子と
して、上記第1の方法で製造されたインジウム系酸化物
微粒子、およびこれから述べる第2の方法で製造された
インジウム系酸化物微粒子が好適である。特にこれらの
粒子を含む分散ゾルを使用すると、粒径の揃ったインジ
ウム系酸化物粒子を調製できる。
【0043】分散液中のインジウム系酸化物種粒子の濃
度は、酸化物としての濃度が5〜40重量%、好ましく
は10〜35重量%の範囲であればよい。有機溶媒とし
ては前記したものと同様のものを用いることができる。
分散液の濃度が前記下限未満の場合は、後述する分散装
置による単分散化の効率が低く、分散液の濃度が前記上
限を越えると得られる分散ゾルの粘度が高くなり、ゾル
の安定性に欠けることがあり、また分散装置によっては
単分散化効率が低下することがある。
【0044】ついで、上記分散液を分散装置にて処理
し、加熱処理時に凝集した粒子を単分散化させてインジ
ウム系酸化物種粒子分散液とする。分散装置としては、
凝集した粒子を単分散とすることができればとくに制限
はなく、たとえばサンドミル、コロイドミル、ボールミ
ル、超音波ホモジナイザー、ベントシェーカー等を挙げ
ることができる。
【0045】前記インジウム系酸化物種粒子分散液と、
前記したようなインジウム系酸化物水和物分散液とを混
合し、混合分散液のpHを6〜10としたのち、乾燥
し、加熱処理する。このときの混合分散液の濃度は水酸
化物も含め酸化物(In23)として1.0〜8.0重
量%、さらには2.0〜6.0重量%の範囲にあること
が好ましい。
【0046】混合分散液の濃度が酸化物(In23)と
して前記範囲の下限未満の場合は、濃度が低すぎて、イ
ンジウム系酸化物種粒子に、インジウム系水酸化物が効
率的に付着析出せず、より大きなインジウム系酸化物微
粒子を得ることが困難となり、混合分散液の濃度が固形
分(酸化物(In23))として前記範囲の上限を越え
ると、インジウム系水酸化物同士が新たな粒子を形成し
たり、インジウム系酸化物種粒子に付着析出するインジ
ウム系水酸化物が不均一になり、このため得られるイン
ジウム系酸化物微粒子の粒子径が不均一となったり、球
状粒子の割合が低下する傾向にある。
【0047】また、インジウム系酸化物種粒子分散液と
インジウム系水酸化物分散液との混合比率は、インジウ
ム系酸化物種粒子分散液中に含まれる酸化物(In
23)をMOZとし、インジウム系水酸化物分散液に由
来する酸化物(In23)をMOGとしたときにMOG
MOZが1〜1000、さらには5〜100の範囲にあ
ることが好ましい。
【0048】この混合比MOG/MOZが前記下限未満の
場合は、粒子を大きくする効率が低く、混合比MOG
MOZが前記上限を越えると、インジウム系水酸化物同
士が新たな粒子を形成したり、インジウム系酸化物種粒
子に付着析出するインジウム系水酸化物が不均一にな
り、このため得られるインジウム系酸化物微粒子の粒子
径が不均一となったり、球状粒子の割合が低下する傾向
にある。
【0049】本発明に係るインジウム系酸化物微粒子の
製造方法では、上記MOG/MOZが1〜1000の範囲
で混合比率を変えることによりインジウム系酸化物微粒
子の粒子径をコントロールすることができる。こうして
調製した混合分散液のpHを、該混合分散液の濃度が酸
化物として4重量%の場合に、7〜10、さらには7.
5〜9.5とすることが望ましい。なお、酸化物換算の
濃度が4重量%の時のpHが前記範囲内にあればよく、
実際の製造する際の酸化物換算の濃度は、4重量%より
少なくてもよい。酸化物濃度が低い場合はpHが低くなる
傾向があり、酸化物濃度が高い場合は、pHは高く傾向が
ある。酸化物換算の濃度が4重量%のpHは、一部採取し
希釈や溶媒の蒸散などによって濃度を調整すればよい。
さらに、必要に応じて熟成することができる。
【0050】分散液のpHが前記下限未満の場合は、イ
ンジウム系酸化物種粒子の表面にインジウム系酸化物水
和物が効率的に付着析出せず、インジウム系水酸化物が
不均一な凝集体として得られこの凝集粒子が、加熱処理
する際に硬く結合し、分散ゾルとする際に単分散が困難
となるとともに、凝集粒子が多く残存し、粒子径の均一
なインジウム系酸化物微粒子の単分散したゾルを得るこ
とが困難である。
【0051】分散液のpHが前記上限を越えると、イン
ジウム系酸化物微粒子の表面にインジウム水和物が効率
的に付着析出せず、粒子径の成長効率、生産効率等が低
下する傾向にある。また、混合分散液のpH調整に塩基
を用いるが、塩基としては前記工程(b)と同様にアン
モニアあるいは第4級アミン等のアミン類を用いること
が望ましい。
【0052】特に、分散液のpHが7.5〜9.5の範
囲にあると、粒子径分布が均一で、粒子形状が実質的に
球状であるインジウム系酸化物微粒子が得られる。こう
してpHを調整した混合分散液を加熱処理する。加熱処
理条件としては、前記第1の方法で例示したものと同様
の条件が採用される。このような第2の方法で製造すれ
ば、粒子径分布がより均一化した、実質的に球状のイン
ジウム系酸化物微粒子を製造することができる。
【0053】なお、第2の方法で得られたインジウム系
酸化物微粒子を種粒子として使用し、得られたインジウ
ム系酸化物微粒子をさらに再度種粒子として使用しても
よい。以上のようにして製造されたインジウム酸化物微
粒子を、前記第1の製造方法と同様に所望の分散媒(水
・有機溶媒)に分散させ、必要に応じて、塩酸や硝酸な
どの無機酸、酢酸、安息香酸などの有機酸、水酸化ナト
リウムなどの無機塩基、アンモニア、アミン類等の有機
塩基を添加して、分散液のpHを調製すれば、安定なイ
ンジウム酸化物微粒子分散ゾルを得ることができる。
【0054】微粒子を分散させる際には、上記したよう
な分散装置を使用すればよい。透明導電性被膜形成用塗布液 つぎに、本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液につ
いて説明する。本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布
液は導電性微粒子としての前記酸化インジウム系微粒子
と極性溶媒とからなっている。
【0055】極性溶媒としては、水、メタノール、エタ
ノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコ
ール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリル
アルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコー
ル、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸
メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル
類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エ
チレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリ
コールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエ
チルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルな
どのケトン類などが挙げられる。これらは単独で使用し
てもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
【0056】本願発明の透明導電性被膜形成用塗布液に
は前記インジウム系酸化物微粒子とともに、Au,Ag,P
d,Pt,Rh,Ru,Cu,Fe,Ni,Co,Sn,Ti,In,Al,Ta,
Sbなどの金属から選ばれる少なくとも1種または2種
以上の金属からなる金属微粒子が含まれていてもよい。
好ましい2種以上の金属の組合せとしては、Au-Cu,A
g-Pt,Ag-Pd,Au-Pd,Au-Rh,Pt-Pd,Pt-Rh,Fe-
Ni,Ni-Pd,Fe-Co,Cu-Co,Ru-Ag,Au-Cu-Ag,A
g-Cu-Pt,Ag-Cu-Pd,Ag-Au-Pd,Au-Rh-Pd,Ag-
Pt-Pd,Ag-Pt-Rh,Fe-Ni-Pd,Fe-Co-Pd,Cu-C
o-Pd などが挙げられる。
【0057】このような金属微粒子は前記インジウム系
酸化物微粒子の含有量が後述する範囲を維持できる範囲
で含まれていても良い。このような金属微粒子が含まれ
ていると、導電性被膜の導電性が向上し電磁波遮蔽能が
向上することに加えて、金属微粒子の使用による透過率
の制御が可能であり、このためコントラストを向上する
ことができ、また金属微粒子のみを用いる場合に比較し
て耐塩水性、耐酸化性等に優れている。
【0058】また、前記したようにインジウム系酸化物
微粒子に金属微粒子を混合して用いる場合には金属微粒
子の分散性を向上させるため、透明導電性被膜形成用塗
布液中に有機系安定剤が含まれていてもよい。このよう
な有機系安定剤として具体的には、ゼラチン、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、シュウ酸、マロ
ン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン
酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、クエン酸などの
多価カルボン酸およびその塩、複素環化合物あるいはこ
れらの混合物などが挙げられる。
【0059】さらに、本願発明の透明導電性被膜形成用
塗布液には着色剤として微粒子カーボンおよび/または
チタンブラックが含まれていることが好ましい。さらに
染料、顔料が含まれていてもよい。このような着色剤が
含まれているとコントラストに優れた表示装置を得るこ
とができる。本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液
には、被膜形成後のインジウム系酸化物微粒子のバイン
ダーとして作用するマトリックス形成成分成分が含まれ
ていてもよい。このようなマトリックス形成成分として
は、シリカからなるものが好ましく、具体的には、アル
コキシシランなどの有機ケイ素化合物の加水分解重縮合
物またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして
得られるケイ酸重縮合物、あるいは塗料用樹脂などが挙
げられる。このマトリックス形成成分は、固形分として
導電性微粒子1重量部当たり、0.01〜0.5重量部、
好ましくは0.03〜0.3重量部の量で含まれていれば
よい。
【0060】つぎに、透明導電性被膜形成用塗布液中に
は、インジウム系酸化物微粒子が0.1〜7重量%、好
ましくは0.5〜5重量%の範囲で含まれていることが
望ましい。透明導電性被膜形成用塗布液中のインジウム
系酸化物微粒子が0.1重量%未満の場合は、得られる
被膜の膜厚が薄くなることがあり、このため充分な導電
性が得られないことがある。またインジウム系酸化物微
粒子が7重量%を越えると、塗布液中でインジウム系酸
化物微粒子が2次粒子(凝集粒子あるいは鎖状に連結し
た非単分散状態の粒子)を形成することがあり、この2
次粒子が多くなると基材との密着性や膜の稠密性が低下
し、膜強度が低下することがあり、また充分な導電性が
得られないことがある。さらに、被膜が厚くなり、光透
過率が低下して透明性が悪化したり、被膜表面の平坦性
が低下し筋やムラ等が発生し外観が悪くなることがあ
る。
【0061】つぎに、透明導電性被膜形成用塗布液中の
固形分濃度(導電性微粒子と必要に応じて添加される微
粒子カーボン、染料、顔料などの添加剤の総量)は、液
の流動性、塗布液中の導電性微粒子などの粒状成分の分
散性などの点から、15重量%以下、好ましくは0.1
5〜5重量%であることが好ましい。上記したような透
明導電性被膜形成用塗布液を用いれば、インジウム系酸
化物微粒子が均一に分散しており、得られる透明導電性
被膜はインジウム系酸化物微粒子が緻密に充填し、基材
との密着性に優れ、また、概ね102〜104Ω/□の低
表面抵抗を有する透明導電性被膜を形成することができ
るので、帯電を防止したり、電磁波および電磁波の放出
に伴って生じる電磁場を効果的に遮蔽することができ
る。
【0062】また、導電性微粒子が酸化インジウム系微
粒子であるので得られる透明導電性被膜付基材は耐塩水
性や耐酸化性、透明性に優れている。透明導電性被膜付基材 つぎに、本発明に係る透明導電性被膜付基材について具
体的に説明する。本発明に係る透明導電性被膜付基材で
は、ガラス、プラスチック、セラミックなどからなるフ
ィルム、シートあるいはその他の成形体などの基材上
に、前記した平均粒子径が2〜200nm、好ましくは
5〜150nmの導電性微粒子としてのインジウム系酸
化物微粒子を含む透明導電性被膜と、該透明導電性被膜
上に透明被膜が形成されている。
【0063】導電性微粒子としては、前記したインジウ
ム系酸化物微粒子が用いられる。 [透明導電性被膜]透明導電性被膜の膜厚は、5〜20
0nm、好ましくは10〜150nmの範囲にあること
が好ましく、この範囲の膜厚であれば帯電防止性、電磁
遮蔽性に優れた透明導電性被膜付基材を得ることができ
る。
【0064】このような透明導電性被膜には、必要に応
じて、金属微粒子、着色剤、マトリックス成分、有機系
安定剤等を含んでいてもよく、具体的には、前記と同様
のものが挙げられる。 [透明被膜]本発明に係る透明導電性被膜付基材では、
前記透明導電性被膜の上に、前記透明導電性被膜よりも
屈折率の低い透明被膜が形成されている。
【0065】このときの透明被膜の膜厚は、50〜30
0nm、好ましくは80〜200nmの範囲にあること
が好ましい。透明被膜の膜厚が50nm未満の場合は、
膜の強度や反射防止性能が劣ることがある。透明被膜の
膜厚が300nmを越えると、膜にクラックが発生した
り膜の強度が低下することがあり、また膜が厚すぎて反
射防止性能が不充分となることがある。
【0066】このような透明被膜は、たとえば、シリ
カ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物、およびこ
れらの複合酸化物などから形成される。本発明では、透
明被膜として、特に加水分解性有機ケイ素化合物の加水
分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱
アルカリして得られるケイ酸重縮合物からなるシリカ系
被膜が好ましい。このような透明被膜が形成された透明
導電性被膜付基材は、反射防止性能に優れている。
【0067】前記透明被膜には、さらに平均粒子径が5
〜300nm、好ましくは10〜200nmの範囲にあ
り屈折率が1.28〜1.42の範囲、好ましくは1.2
8〜1.40の範囲にある低屈折率粒子を含むことが望
ましい。使用される低屈折率粒子の平均粒子径は、形成
される透明被膜の厚さに応じて適宜選択される。
【0068】低屈折率粒子の屈折率が1.42以下であ
れば、得られる透明導電性被膜付基材は、ボトム反射率
および視感反射率が低く、優れた反射防止性能を発揮す
ることができる。透明被膜中の低屈折率粒子の含有量は
酸化物に換算して、10〜90重量%、好ましくは20
〜80重量%の範囲にあることが望ましい。
【0069】本発明に用いる低屈折率粒子としては、平
均粒子径および屈折率が上記範囲にあれば特に制限はな
く従来公知の粒子を用いることができる。たとえば本願
出願人の出願による特開平7−133105号公報に開
示した複合酸化物ゾル、WO00/37359号公報に
開示した被覆層を有する多孔質の複合酸化物粒子は好適
に用いることができる。
【0070】さらに、上記透明被膜中には、必要に応じ
て、フッ化マグネシウムなどの低屈折率材料で構成され
た微粒子、染料、顔料などの添加剤が含まれていてもよ
い。 [透明導電性被膜付基材の製造方法]つぎに、上記した透
明導電性被膜付基材の製造方法について説明する。上記
透明導電性被膜付基材は、前記したインジウム系酸化物
微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗
布・乾燥して透明導電性被膜を形成し、ついで該微粒子
層上に透明被膜形成用塗布液を塗布して前記透明導電性
被膜上に該微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜を形成
することによって製造することができる。 [透明導電性被膜の形成]まず、上記透明導電性被膜形
成用塗布液を基材上に塗布し・乾燥して、透明導電性被
膜を基材上に形成する。
【0071】透明導電性被膜を形成する方法としては、
たとえば、透明導電性被膜形成用塗布液をディッピング
法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレ
キソ印刷法などの方法で、基材上に塗布したのち、常温
〜約90℃の範囲の温度で乾燥する。透明導電性被膜形
成用塗布液中に上記のようなマトリックス形成成分が含
まれている場合には、マトリックス形成成分の硬化処理
を行ってもよい。たとえば、透明導電性被膜形成用塗布
液を塗布して形成した被膜を、乾燥時、または乾燥後
に、150℃以上で加熱するか、未硬化の被膜に可視光
線よりも波長の短い紫外線、電子線、X線、γ線などの
電磁波を照射するか、あるいはアンモニアなどの活性ガ
ス雰囲気中に晒してもよい。このようにすると、被膜形
成成分の硬化が促進され、得られる被膜の硬度が高くな
る。 [透明被膜の形成]本発明では、上記のようにして形成
された透明導電性被膜の上に、該微粒子層よりも屈折率
の低い透明被膜を形成する。
【0072】透明被膜の形成方法としては、特に制限は
なく、この透明被膜の材質に応じて、真空蒸発法、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式薄膜
形成方法、あるいは上述したようなディッピング法、ス
ピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印
刷法などの湿式薄膜形成方法を採用することができる。
【0073】上記透明被膜を湿式薄膜形成方法で形成す
る場合、従来公知の透明被膜形成用塗布液を用いること
ができる。このような透明被膜形成用塗布液としては、
具体的に、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸
化物、またはこれらの複合酸化物を透明被膜形成成分と
して含む塗布液が用いられる。本発明では、透明被膜形
成用塗布液として加水分解性有機ケイ素化合物の加水分
解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱ア
ルカリして得られるケイ酸液を含むシリカ系透明被膜形
成用塗布液が好ましく、特に下記一般式[1]で表され
るアルコキシシランの加水分解重縮合物を含有している
ことが好ましい。このような塗布液から形成されるシリ
カ系被膜は、インジウム系酸化物微粒子含有の導電性微
粒子層よりも屈折率が小さく、得られる透明導電性被膜
付基材は反射防止性に優れている。
【0074】RaSi(OR')4-a [1] (式中、Rはビニル基、アリール基、アクリル基、炭素
数1〜8のアルキル基、水素原子またはハロゲン原子で
あり、R'はビニル基、アリール基、アクリル基、炭系
数1〜8のアルキル基、−C24OCn2n+1(n=1
〜4)または水素原子であり、aは1〜3の整数であ
る。) このようなアルコキシランとしては、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシ
ラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポ
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げ
られる。
【0075】上記のアルコキシシランの1種または2種
以上を、たとえば水−アルコール混合溶媒中で酸触媒の
存在下、加水分解すると、アルコキシシランの加水分解
重縮合物を含む透明被膜形成用塗布液が得られる。この
ような塗布液中に含まれる被膜形成成分の濃度は、酸化
物換算で0.5〜2.0重量%であることが好ましい。本
発明で使用される透明被膜形成用塗布液には、平均粒子
径が5〜300nm、好ましくは10〜200nmの範
囲にあり屈折率が1.28〜1.42、さらには1.28
〜1.40の範囲にある低屈折率粒子を含むことが望ま
しい。
【0076】本発明では、このような透明被膜形成用塗
布液を塗布して形成した被膜を、乾燥時、または乾燥後
に、150℃以上で加熱するか、未硬化の被膜に可視光
線よりも波長の短い紫外線、電子線、X線、γ線などの
電磁波を照射するか、あるいはアンモニアなどの活性ガ
ス雰囲気中に晒してもよい。このようにすると、被膜形
成成分の硬化が促進され、得られる透明被膜の硬度が高
くなる。
【0077】さらに、透明被膜形成用塗布液を塗布して
被膜を形成する際に、透明導電性被膜を約40〜90℃
に保持しながら透明被膜形成用塗布液を塗布して、前記
のような処理を行うと、透明被膜の表面にリング状の凹
凸が形成し、ギラツキの少ないアンチグレアの透明被膜
付基材が得られる。表示装置 本発明に係る透明導電性被膜付基材は、帯電防止、電磁
遮蔽に必要な概ね10 2〜104Ω/□の範囲の表面抵抗
を有し、また透明性に優れるとともに可視光領域および
近赤外領域で充分な反射防止性能を有し、表示装置の前
面板として好適に用いられる。
【0078】本発明に係る表示装置は、ブラウン管(C
RT)、蛍光表示管(FIP)、プラズマディスプレイ
(PDP)、液晶用ディスプレイ(LCD)などのよう
な電気的に画像を表示する装置であり、上記のような透
明導電性被膜付基材で構成された前面板を備えている。
従来の前面板を備えた表示装置を作動させると、前面板
に画像が表示されると同時に前面板が帯電したり、電磁
波が前面板から放出されるが、本発明に係る表示装置で
は、前面板が前記した概ね102〜104Ω/□の表面抵
抗を有する透明導電性被膜付基材で構成されているの
で、このような帯電を防止したり、電磁波およびこの電
磁波の放出に伴って生じる電磁場を効果的に遮蔽するこ
とができる。
【0079】また、表示装置の前面板で反射光が生じる
と、この反射光によって表示画像が見にくくなるが、本
発明に係る表示装置では、前面板が可視光領域および近
赤外領域で充分な反射防止性能を有する透明導電性被膜
付基材で構成されているので、このような反射光を効果
的に防止することができる。さらに、ブラウン管の前面
板が、本発明に係る透明導電性被膜付基材で構成され、
この透明導電性被膜のうち、透明導電性被膜、その上に
形成された透明被膜の少なくとも一方に少量の染料また
は顔料が含まれている場合には、これらの染料または顔
料がそれぞれ固有な波長の光を吸収し、これによりブラ
ウン管から放映される表示画像のコントラストを向上さ
せることができる。
【0080】
【発明の効果】本発明によれば、粒子形状が実質的に球
状なインジウム系酸化物微粒子とその製造方法が提供さ
れる。さらに、この球状のインジウム系酸化物微粒子を
導電性微粒子として用いることによって、透明導電性被
膜は球状のインジウム系酸化物微粒子が緻密に充てんで
きるので導電性が向上し、同時に基材との密着性に優
れ、このため導電性、膜の強度等に優れた透明導電性被
膜付基材の製造に好適に用いることが可能な透明導電性
被膜形成用塗布液、該塗布液を用いて形成された透明導
電性被膜付基材を提供できる。
【0081】さらに、このような透明導電性被膜付基材
を表示装置の前面板として用いれば、帯電防止性能、電
磁遮蔽性能に優れるとともにコントラスト、反射防止性
能等に優れ、さらに耐塩水性や耐酸化性にも優れること
から耐久性に優れた表示装置を提供することができる。
【0082】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0083】
【実施例1】インジウム系酸化物微粒子(ITO-1)分散
液の調製 [インジウム水酸化物の分散液]硝酸インジウム79.
9gを水686gに溶解して得られた溶液と、錫酸カリ
ウム12.7gを濃度10重量%の水酸化カリウム溶液
に溶解して得られた溶液とを調製し、これらの溶液を、
50℃に保持された1000gの純水に2時間かけて添
加した。この間、系内のpHを11に保持して、錫を含
むインジウム水酸化物を調製した。
【0084】ついで、錫を含むインジウム水酸化物を濾
過分離し、温水を充分にかけて洗浄した後、酸化物とし
ての濃度が4重量%の錫を含むインジウム水酸化物の分
散液を調製し、まず陽イオン交換樹脂を用いてアルカリ
金属の除去を行い、次いで陰イオン交換樹脂を用いてア
ニオンを除去した。このとき固形分(酸化物)中のアル
カリ金属含有量は0.002重量%、アニオン含有量は
0.007重量%であった。
【0085】洗浄した濃度が4重量%の錫を含むインジ
ウム水酸化物の分散液に、濃度が1重量%のアンモニア
水20gを加えた。このときの分散液のpHは9.3で
あった。得られた錫含有インジウム水酸化物分散液から
錫含有インジウム水酸化物を濾別・洗浄した後、100
℃で20時間乾燥した。乾燥した粉体を、窒素ガス雰囲
気下、450℃で2時間加熱処理した。
【0086】加熱処理して得たインジウム酸化物粉体を
固形分濃度が30重量%となるようにエタノールに分散
し、これに硝酸を滴下して分散液のpHを3.5に調製
した。分散液を分散装置(ナノマイザー社製)を用いて
インジウム酸化物粉体を分散させてインジウム系酸化物
微粒子分散液(ゾル)を調製した。
【0087】これにエタノールを加えて濃度20重量%
のインジウム系酸化物微粒子(ITO-1)分散液(ゾル)
を調製した。インジウム系酸化物微粒子(ITO-1)の粒
子の形状観察および平均粒子径の測定はTEM写真を撮
影して観察するとともに、20個の粒子について粒子径
を測定しこの平均値を平均粒子径として表1に示した。
【0088】
【実施例2】インジウム系酸化物微粒子(ITO-2)分散
液の調製 実施例1と同様にして濃度20重量%のインジウム系酸
化物微粒子(ITO-1)分散液(ゾル)200gを調製し
た。また、別途、実施例1と同様にして、錫を含むイン
ジウム系水酸化物の分散液250gを調製した。これ
に、上記インジウム系酸化物微粒子(ITO-1)分散液
(ゾル)150gを混合した。(このときMOG/MOZ
=0.33)得られた混合分散液に、濃度が1重量%の
アンモニア水10gを加えた。このときの混合分散液の
pHは8.0であった。こうしてpHを調整した混合分
散液を、実施例1と同様の条件で、固液分離し、洗浄し
た後、100℃で20時間乾燥し、さらに粉体を、窒素
ガス雰囲気下、450℃で2時間加熱処理した。
【0089】得られたインジウム系酸化物微粒子(ITO-
2)について、実施例1と同様に分散させて濃度20重
量%のインジウム系酸化物微粒子(ITO-2)分散液(ゾ
ル)を調製した。得られたインジウム系酸化物微粒子
(ITO-2)についてTEM写真を撮影し、実施例1と同
様にして粒子の形状を観察するとともに、平均粒子径を
測定し、結果を表1に示した。また得られた粒子のTE
M写真を図1に示す。
【0090】
【実施例3】インジウム系酸化物微粒子(ITO-3)分散
液の調製 実施例2と同様にして濃度20重量%のインジウム系酸
化物微粒子(ITO-2)分散液(ゾル)200gを調製し
た。また、別途、実施例1と同様にして濃度が4重量%
の錫を含むインジウム水酸化物の分散液250gを調製
した。
【0091】得られた錫を含むインジウム水酸化物の分
散液に、上記インジウム系酸化物微粒子(ITO-2)分散
液(ゾル)150gを混合した。(このときMOG/M
Z=0.33) ついで、得られた混合分散液に濃度が1重量%のアンモ
ニア水11gを加えた。このときの分散液のpHは7.
5であった。こうしてpHを調整した混合分散液を、実
施例1と同様の条件で、固液分離し、洗浄した後、10
0℃で20時間乾燥し、さらに粉体を、窒素ガス雰囲気
下、450℃で2時間加熱処理した。
【0092】得られたインジウム系酸化物微粒子(ITO-
3)について、実施例1と同様に分散させて濃度20重
量%のインジウム系酸化物微粒子(ITO-3)分散液(ゾ
ル)を調製した。得られたインジウム系酸化物微粒子
(ITO-3)についてTEM写真を撮影し、実施例1と同
様にして粒子の形状を観察するとともに、平均粒子径を
測定し、結果を表1に示した。
【0093】
【実施例4】実施例1において、錫酸カリウム12.7
gの代わりにフッ化錫12.7gを用いて錫およびフッ
素を含むインジウム系水酸化物の分散液を調製した。実
施例2において、錫を含むインジウム系水酸化物の分散
液の代わりに、得られた錫およびフッ素を含むインジウ
ム系水酸化物の分散液を使用した以外は実施例2と同様
にして濃度20重量%のインジウム系酸化物微粒子(IT
O-4)分散液(ゾル)を調製した。
【0094】得られたインジウム系酸化物微粒子(ITO-
4)についてTEM写真を撮影し、実施例1と同様にし
て粒子の形状を観察するとともに、平均粒子径を測定
し、結果を表1に示した。
【0095】
【比較例1】インジウム系酸化物微粒子(ITO-5)分散
液の調製 硝酸インジウム79.9gを水686gに溶解して得ら
れた溶液と、錫酸カリウム12.7gを濃度10重量%
の水酸化カリウム溶液に溶解して得られた溶液とを調製
し、これらの溶液を、50℃に保持された1000gの
純水に2時間かけて添加した。この間、系内のpHを1
1に保持した。得られた錫含有インジウム酸化物水和物
分散液から錫含有インジウム酸化物水和物を濾別・洗浄
した後、再び水に分散させて固形分濃度10重量%の金
属酸化物前駆体水酸化物分散液を調製した。このとき分
散液のpHは6.8であり、固形分濃度(酸化物換算)4
重量%に希釈したときのpHは5.9であった。この分散
液を、温度100℃で噴霧乾燥して金属酸化物前駆体水
酸化物粉体を調製した。上記粉体を、窒素ガス雰囲気
下、550℃で2時間加熱処理した。
【0096】これを濃度が30重量%となるようにエタ
ノールに分散させ、さらに硝酸水溶液でpHを3.5に
調製した後、この混合液を30℃に保持しながらサンド
ミルで0.5時間粉砕してゾルを調製した。ついで、エ
タノールを加えて濃度20重量%のインジウム系酸化物
微粒子(ITO-5)分散液を調製した。
【0097】
【比較例2】実施例2において、インジウム系酸化物微
粒子調製時のpHを、濃度が1重量%のアンモニア水2
0gの代わりに1重量%の塩酸水溶液10gを添加して
5.2とした以外は実施例2と同様にして濃度20重量
%のインジウム系酸化物微粒子(ITO-6)分散液(ゾ
ル)を調製した。
【0098】得られたインジウム系酸化物微粒子(ITO-
6)についてTEM写真を撮影し、実施例1と同様にし
て粒子の形状を観察するとともに、平均粒子径を測定
し、結果を表1に示した。
【0099】
【比較例3】実施例2の工程(d)において、混合分散
液のpHを、濃度が2重量%のアンモニア水20gを用
いて分散液のpHを11とした以外は実施例2と同様に
して濃度20重量%のインジウム系酸化物微粒子(ITO-
7)分散液(ゾル)を調製した。
【0100】得られたインジウム系酸化物微粒子(ITO-
7)についてTEM写真を撮影し、実施例1と同様にし
て粒子の形状を観察するとともに、平均粒子径を測定
し、結果を表1に示した。また得られた粒子のTEM写
真を図2に示す。
【0101】
【実施例5〜8、比較例4〜6】透明導電性被膜形成用
塗布液(C-1)〜(C-7)の調製 まず、上記で得たインジウム系酸化物微粒子(ITO-1)〜
(ITO-7)分散液を表1に示す濃度となるように、水とブ
チルセルソルブの2:1の混合溶媒とを混合し、透明導
電性被膜形成用塗布液(C-1)〜(C-7)を調製した。透明被膜形成用塗布液(T)の調製 マトリックス形成成分液(M)の調製 正珪酸エチル(SiO2:28重量%)50g、エタノー
ル194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合
溶液を室温で5時間攪拌してSiO2濃度5重量%のマト
リックス形成成分を含む液(M)を調製した。これに、エ
タノール/ブタノール/ジアセ トンアルコール/イソ
プロパノール(2:1:1:5重量混合比)の混合溶媒
を加え、SiO2濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液
(T)を調製した。透明導電性被膜付パネルガラス(P-1)〜(P-7)の製造 ブラウン管用パネルガラス(17")の表面を40℃で保
持しながら、スピナー法で100rpm、90秒の条件で
上記透明導電性被膜形成用塗布液(C-1)〜(C-7)をそれぞ
れ塗布し乾燥した。このときの導電層の膜厚を測定し、
結果を表2に示した。
【0102】次いで、このようにして形成された透明導
電性被膜上に、同じように、スピナー法で100rpm、
90秒の条件で透明被膜形成用塗布液(A)を塗布・乾燥
し、160℃で30分間焼成して透明導電性被膜付基材
を得た。このときの透明被膜の膜厚はいずれも50nm
となるように形成した。これらの透明導電性被膜付基材
の表面抵抗を表面抵抗計(三菱油化(株)製:LORESTA)で
測定し、ヘーズをへーズコンピューター(日本電色(株)
製:3000A)で測定した。反射率は反射率計(大塚電子
(株)製:MCPD-2000)を用いて測定し、波長400〜70
0nmの範囲で反射率が最も低い波長のでの反射率をボ
トム反射率とし、また波長400〜700nmの平均反
射率を視感反射率として求め、結果を表2に示した。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明に係るインジウム系酸化物微
粒子(詳しくは実施例2で得られた粒子)の透過型電子
顕微鏡写真を示す。
【図2】 図2は、従来法で得られたインジウム系酸化
物微粒子(詳しくは比較例3で得られた粒子)の透過型
電子顕微鏡写真を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 1/20 H01B 1/20 Z 5/00 5/00 H 5/14 5/14 A 13/00 501 13/00 501Z // C01G 19/00 C01G 19/00 A (72)発明者 俵 迫 祐 二 福岡県北九州市若松区北湊町13番2号 触 媒化成工業株式会社若松工場内 Fターム(参考) 4J038 AA011 DL031 HA146 HA166 HA216 HA456 KA08 NA20 5G301 DA23 DA42 DD02 5G307 FA01 FA02 FB01 FC08 FC09

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均粒子径が2〜200nmの範囲にあ
    り、粒子形状が実質的に球状であることを特徴とするイ
    ンジウム系酸化物微粒子。
  2. 【請求項2】インジウム水酸化物分散液、あるいは錫お
    よび/またはフッ素化合物を含むインジウム水酸化物分
    散液(以後、インジウム系水酸化物分散液という)のp
    Hを、該分散液の濃度が酸化物として4重量%の場合
    に、7〜10に調整したのち、加熱処理することを特徴
    とする請求項1に記載のインジウム系酸化物微粒子の製
    造方法。
  3. 【請求項3】インジウム水酸化物分散液、あるいは錫お
    よび/またはフッ素化合物を含むインジウム水酸化物分
    散液(以後、インジウム系水酸化物分散液という)と、
    インジウム系酸化物種粒子分散液とを混合した後、混合
    分散液のpHを、該混合分散液の濃度が酸化物として4
    重量%の場合に、7〜10に調整したのち、乾燥し、加
    熱処理することを特徴とする請求項1に記載のインジウ
    ム系酸化物微粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】インジウム系酸化物種粒子分散液が、請求
    項2または3の方法で得られたインジウム系酸化物微粒
    子の分散液であることを特徴とする請求項3に記載のイ
    ンジウム系酸化物微粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】請求項1に記載の前記インジウム系酸化物
    微粒子が極性溶媒に分散してなることを特徴とする透明
    導電性被膜形成用塗布液。
  6. 【請求項6】基材と、基材上の請求項1に記載のインジ
    ウム系酸化物微粒子を含む透明導電性被膜と、該透明導
    電性被膜上に設けられ、該透明導電性被膜よりも屈折率
    が低い透明被膜とからなることを特徴とする透明導電性
    被膜付基材。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の透明導電性被膜付基材で
    構成された前面板を備え、透明導電性被膜が該前面板の
    外表面に形成されていることを特徴とする表示装置。
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