JP3779088B2 - 透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置 - Google Patents

透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の技術分野】
本発明は、透明導電性被膜形成用塗布液、透明導電性被膜付基材および該基材を前面板として備えた表示装置に関し、さらに詳しくは安定性に優れた塗布液、反射防止性能および電磁遮蔽効果に優れるとともに耐久性に優れた透明導電性被膜付基材、およびこのような透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備えた表示装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来から、陰極線管、蛍光表示管、液晶表示板などの表示パネルのような透明基材の表面の帯電防止および反射防止を目的として、これらの表面に帯電防止機能および反射防止機能を有する透明被膜を形成することが行われている。
このような帯電防止と反射防止の機能を備えた透明基材を得る方法として、透明基材の表面に、まず、帯電防止機能を有する高屈折率の導電性被膜を形成し、この被膜の上に、さらにこの被膜より低屈折率の透明被膜を形成する方法が知られている。
【0003】
たとえば、特開平5−290634号公報には、基材上に透明導電性被膜を形成し、次いでこの透明導電性被膜上に、この透明導電性被膜よりも屈折率の低い透明被膜を形成する透明導電性被膜付基材の製造方法、およびこのような方法で得られた帯電防止・反射防止膜付基材が開示されている。このうち、前記透明導電性被膜は、導電性物質としてアンチモンがドープされた酸化錫の微粉末を含む塗布液から形成されている。
【0004】
また、特開平5−341103号公報には、導電性物質を含む電導性塗膜を基材上に形成し、この電導性塗膜上に特定の珪素化合物から誘導される反射防止膜を形成することによって得られた反射防止性、帯電防止性に優れた導電性被膜付基材が開示されている。また、この公報には、前記導電性物質として、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属などの過塩素酸塩、チオシアン塩、トリフルオロメチル硫酸塩、ハロゲン化塩などの無機化合物からなる電解質、または酸化錫系微粒子、酸化インジウム系微粒子などのような透明導電性無機酸化物微粒子が例示されている。
【0005】
ところで、最近、陰極線管(CRT)などの用途では、従来の帯電防止、反射防止の機能に加えてこれらの電磁波および電磁波の放出に伴って形成される電磁場を遮蔽することが望まれている。
これらを遮蔽する方法の一つとして、陰極線管などの表示パネルの前面板の表面に、上述した帯電防止性被膜と同様の導電性被膜を形成する方法が知られている。
【0006】
しかしながら、従来の帯電防止のみを目的とした導電性被膜では、少なくとも105Ω/□程度の表面抵抗を有していれば充分であるのに対し、電磁遮蔽用の導電性被膜では、102〜104Ω/□のような低い表面抵抗を有することが必要である。
このように表面抵抗の低い導電性被膜を従来のSbドープ酸化錫またはSnドープ酸化インジウムのような導電性酸化物を含む塗布液を用いて形成しようとすると、従来の帯電防止性被膜の場合よりも膜厚を厚くすることが必要となる。
【0007】
Sbドープ酸化錫またはSnドープ酸化インジウムを含む塗布液を用いて電磁遮蔽効果を示す導電性被膜を形成し、さらにその上に低屈折率の被膜を積層して形成して、電磁遮蔽と反射防止の機能を有する透明積層被膜を形成しようとする場合、上述したような塗布液から形成される導電性被膜は1.5〜2.0という高屈折率を有しているため、その上に積層される低屈折率の被膜と合わせて反射防止効果を発現するには、導電性被膜の実際の膜厚を100〜200nm程度にする必要がある。しかしながら、この程度の膜厚では電磁遮蔽効果を発揮するのに充分な表面抵抗を得ることはできない。
【0008】
上記した特開平5−290634号公報および特開平5−341103号公報に記載された導電性被膜の膜厚は、0.1μm(100nm)程度と薄く、このため積層被膜の表面抵抗は107Ω/□程度であり、電磁遮蔽の機能を有するとはいい難い。
さらに、上記透明導電性被膜形成用塗布液は安定性が不充分であるため、塗布して得られる被膜は所望の性能を発現しないことがあった。このため、塗布液の安定性を向上するために、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボン酸等の有機系安定剤が用いられることがあるが、これらを添加することによって導電性が阻害されるとい問題があった。
【0009】
また、導電性微粒子として銀、パラジウム等の金属微粒子を用いた場合、紫外線、温度、湿度、化学物質の影響を受けて透明性や抵抗値が変化し被膜の性能が低下するなどの問題があった。
【0010】
【発明の目的】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、102〜104Ω/□の表面抵抗を有し、電磁遮蔽効果に優れ、耐紫外線性および耐薬品性などの耐久性に優れた透明導電性被膜付基材、および該透明導電性被膜付基材を形成しうる透明導電性被膜形成用塗布液、該透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備えた表示装置を提供することを目的としている。
【0011】
【発明の概要】
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液は、
ルテニウム金属、ルテニウム酸化物および/またはルテニウム水酸化物、およびホウ素を含有し、ルテニウム化合物導電性微粒子中のホウ素の含有量は(B/Ru)で表される原子比で0.005〜0.2の範囲にあるルテニウム化合物導電性微粒子を含むことを特徴としている。
前記ルテニウム化合物導電性微粒子は、単分散粒子であることが好ましく、またその平均粒子径は1〜200nmの範囲にあるものが好ましい。
【0012】
前記ルテニウム化合物導電性微粒子は、さらにAu、Ag、Pt、Pd、Rh、Cu、Co、Sn、InおよびTaからなる群から選ばれる1種以上の金属および/または該金属の酸化物を含んでいることが好ましい。
【0013】
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、
基材と、
前記透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布したのち乾燥してなる透明導電性被膜とからなることを特徴としている。
また、本発明に係る透明導電性被膜付基材は、
基材と、
前記透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布したのち乾燥してなる透明導電性被膜と、
該透明導電性被膜上に設けられ、かつ該透明導電性被膜よりも屈折率が低い透明被膜とからなることを特徴としている。
【0014】
本発明に係る表示装置は、前記透明導電性被膜付基材から構成される前面板を備え、透明被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴としている。
【0015】
【発明の具体的説明】
以下、本発明について具体的に説明する。
透明導電性被膜形成用塗布液
まず、本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液について説明する。
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液は、導電性微粒子として特定のルテニウム化合物導電性微粒子を含むことを特徴としている。
[ルテニウム化合物導電性微粒子]
本発明でいうルテニウム化合物導電性微粒子は、ルテニウムとホウ素とを含むものをいう。
【0016】
前記ルテニウム化合物導電性微粒子中のルテニウムは、通常、金属状態である。
また、このルテニウム化合物導電性微粒子には、塗布液の安全性の点で、さらにルテニウム酸化物および/またはルテニウム水酸化物を含んでいることが好ましい。
【0017】
このようなルテニウム化合物導電性微粒子を構成するルテニウム金属とホウ素と、ルテニウム酸化物および/またはルテニウム水酸化物は、固溶状態にあるものでも、固溶状態にない共晶体であってもよく、固溶状態にあるものと共晶体が共存していてもよい。ホウ素はルテニウム酸化物と複合酸化物を形成していてもよい。
【0018】
ルテニウム化合物導電性微粒子中のホウ素の含有量はB/Ruで表される原子比で0.005〜0.2の範囲にあることが好ましい。
B/Ruで表される原子比が0.005未満の場合はルテニウム化合物導電性微粒子が凝集し易くなり、塗布液中の分散性および安定性が低下することがあり、0.2を超えて高い場合は導電性が低下することがある。なお、このようなホウ素は、酸化物として、微粒子中に存在していてもよい。
【0019】
このようなルテニウム化合物導電性微粒子は単分散した粒子であることが好ましい。平均粒子径は1〜200nm、特に2〜70nmの範囲にあることが望ましい。ルテニウム化合物導電性微粒子の平均粒径が200nmを越えると、金属による光の吸収が大きくなり、粒子層の光透過率が低下するとともにへーズが大きくなる。このため被膜付基材を、たとえば陰極線管の前面板として用いると、表示画像の解像度が低下することがある。また、ルテニウム化合物導電性微粒子の平均粒径が1nm未満の場合には粒子層の表面抵抗が急激に大きくなるため、本発明の目的を達成しうる程度の低い抵抗値を有する透明導電性被膜を得ることができないこともある。
【0020】
また、このようなルテニウム化合物導電性微粒子は、水中で測定したゼータ電位が−5〜−60mV、特に−10〜−55mVの範囲にあることが望ましい。ルテニウム化合物導電性微粒子がこのような範囲のゼータ電位を有していると、微粒子がコロイド的特性を有し、分散安定性に優れている。このため、このような範囲のゼータ電位を有するルテニウム化合物導電性微粒子を用いると、微粒子が塗布液中で凝集することがないので、従来の金属微粒子を使用した塗布液のような有機安定剤を必要としない。
【0021】
このような本発明に係る塗布液は化学的に安定であり、紫外線、温度、酸、酸素などの影響が少なく、耐候性に優れている。
前記ルテニウム化合物導電性微粒子は、さらにAu、Ag、Pt、Pd、Rh、Cu、Co、Sn、InおよびTaからなる群から選ばれる1種以上の金属(以後、これらの金属をMという)および/または該金属の酸化物(以後、単にMOxという)を含んでいてもよい。これらの金属および/または金属酸化物(Mおよび/またはMOx)がルテニウム化合物導電性微粒子中に含まれていると透明導電性被膜の導電性が向上したり、耐久性が向上したりする。これらのMおよびMOxの含有量の総量は、ルテニウム化合物導電性微粒子中のルテニウムに対し、金属基準(酸化物の場合も金属換算)で0.5〜30重量%、好ましくは1.0〜25重量%の範囲が望ましい。なお、Au、Ag、Pt、Pd、Rh、Coは、ルテニウム化合物導電性微粒子中に金属として含まれていることが好ましい。さらにまたCu、Sn、In、Taは、ルテニウム化合物導電性微粒子中に酸化物として含まれていることが望ましい。
【0022】
ルテニウム化合物導電性微粒子中のMおよびMOxの含有量の総量が0.5重量%未満であると、導電性を向上させる効果が小さくなることがある。また、30重量%を超えて多いと、塗布液の安定性が低下して透明導電性被膜の耐久性が低下することがあり、また、被膜の導電性が低下することがある。
【0023】
なお、本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液では、透明導電性被膜形成用塗布液に対し、前記ルテニウム化合物導電性微粒子が0.05〜5.0重量%、特に0.1〜2.0重量%の割合で存在していることが好ましい。
[溶媒]
本発明で用いられる溶媒としては特に制限はないが、分散性、得られる被膜の導電性の点で、極性溶媒が好ましい。
【0024】
本発明で使用される極性溶媒としては、
水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げられる。これらは単独で、または2種以上混合して使用してもよい。
[他の導電性微粒子]
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液には、上記ルテニウム化合物導電性微粒子以外の導電性微粒子が含まれていてもよい。
【0025】
ルテニウム化合物導電性微粒子以外の導電性微粒子としては、公知の透明導電性無機酸化物微粒子あるいは微粒子カーボンなどを用いることができる。
公知の透明導電性無機酸化物微粒子としては、たとえば酸化錫、Sb、FまたはPがドーピングされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタン(たとえば、TiOx(1<x<2))などが挙げられる。
【0026】
これらの導電性微粒子の平均粒径は、1〜200nm、特に2〜150nmの範囲にあることが望ましい。
このような導電性微粒子は、塗布液中に、前記ルテニウム化合物導電性微粒子1重量部当たり、4重量部以下の量で含まれていてもよい。導電性微粒子が4重量部を超える場合は、導電性が低下し電磁波遮蔽効果が低下することがある。
【0027】
このような導電性微粒子を含有すると、ルテニウム化合物導電性微粒子のみで透明導電性微粒子層を形成した場合と比較して、より透明性に優れた透明導電性微粒子層を形成することができる。また導電性微粒子を含有することによって、安価に透明導電性被膜付基材を製造することができる。
[バインダー形成成分]
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液には、被膜形成後の導電性微粒子のバインダーとして作用するマトリックス形成成分が含まれていてもよい。このようなマトリックス形成成分としては、シリカ前駆体からなるものが好ましく、具体的には、アルコキシシランなどの有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸重縮合物、あるいは塗料用樹脂などが挙げられる。
【0028】
アルコキシシランとしては、下記式〔I〕で表されるアルコキシシラン:
aSi(OR')4-a …〔I〕
(式中、Rは、ビニル基、アリール基、アクリル基、メルカプト基、炭素原子数1〜8のアルキル基、水素原子またはハロゲン原子であり、R'は、ビニル基、アリール基、アクリル基、炭素原子数1〜8のアルキル基、−C24OCn2n+1(n=1〜4)または水素原子であり、aは、0〜3の整数である)
が挙げられる。
【0029】
このようなアルコキシシランとして、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、メチルトリメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メルカプトトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げられる。このようなアルコキシシランは、1種単独または2種以上を併用することができる。
【0030】
なお、上記アルコキシシランを、例えば水−アルコールなどの混合溶媒中で硝酸、塩酸、酢酸などの酸の存在下で加水分解すると、アルコキシシランの加水分解重縮合物が得られる。
上記のようなアルコキシシランの加水分解は、アルコキシシランをSiO2に換算したときの酸/SiO2重量比が0.0001〜0.05の範囲にあり、
水/SiO2モル比が4〜16の範囲の条件下で行うことが好ましい。
【0031】
このようなマトリックス形成成分は酸化物換算で、前記ルテニウム化合物導電性微粒子1重量部当たり、0.01〜0.5重量部、特に、0.03〜0.3重量部の量で塗布液中に含まれていることが好ましい。
また、本発明のルテニウム化合物導電性微粒子の分散性をさらに向上させるため、透明導電性被膜形成用塗布液中に有機系安定剤が含まれていてもよい。このような有機系安定剤として具体的には、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタール酸、アジピン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、アラニン、クエン酸などの多価カルボン酸およびその塩、複素環化合物あるいはこれらの混合物などが挙げられる。
【0032】
このような有機系安定剤は、ルテニウム化合物導電性微粒子1重量部に対し、0.005〜0.5重量部、特に0.01〜0.2重量部の量で塗布液中に含まれていることが望ましい。有機系安定剤の量が0.005重量部より少ないと、充分な分散性が得られないことがあり、また0.5重量部より多いと、形成される被膜の導電性が阻害されることがある。
[透明導電性微粒子層形成用塗布液の調製]
本発明に係る透明導電性微粒子層形成用塗布液は、前記極性溶媒中に、上述したようなルテニウム化合物導電性微粒子、さらに必要に応じてルテニウム化合物導電性微粒子以外の導電性微粒子、その他の添加剤、マトリックス形成成分を添加することによって調製される。
【0033】
本発明の透明導電性微粒子層形成用塗布液中の固形分濃度、すなわち透明導電性微粒子層を形成する成分の濃度は、塗布液の流動性、塗布液中のルテニウム化合物導電性微粒子などの粒状成分の分散性の点から、塗布液に対し、15重量%以下であることが好ましい。なお、透明導電性微粒子層形成用塗布液中にマトリックス形成成分が含まれている場合、このマトリックス形成成分の量も固形分として、固形分濃度に含まれる。例えば、マトリックス形成成分がテトラエトキシシランである場合、マトリックス形成成分はSiO2に換算し、固形分として固形分濃度に含まれる。
【0034】
前記したように、ルテニウム化合物導電性微粒子は分散安定性がよく、この分散安定状態は透明導電性微粒子層の形成過程でも維持される。この結果、粒状成分が単分散している透明導電性微粒子層が基材上に形成される。
このように、本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液を使用して形成された透明導電性微粒子層中では、ルテニウム化合物導電性微粒子が単分散しているので、導電性微粒子が凝集している場合に比較して、より少ない導電性微粒子で同等の導電性を有する透明導電性微粒子層を提供することが可能である。また、本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液を使用すると、粒状成分同士の凝集による点欠陥および厚さムラなどがない透明導電性微粒子層を基材上に形成することができる。
【0035】
透明導電性被膜付基材
つぎに、本発明に係る透明導電性被膜付基材について具体的に説明する。
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、
基材と、前述の透明導電性被膜形成用塗布液を該基材上に塗布してなる透明導電性被膜とからなることを特徴としている。
【0036】
基材としては、ガラス、プラスチック、合金、セラミックなどからなる平板、立体物、フィルムなどが使用される。
[透明導電性被膜]
基材上に形成される透明導電性被膜の膜厚は、約5〜300nm、特に10〜150nmの範囲にあることが好ましく、この範囲の膜厚であれば、透明導電性被膜は優れた電磁遮蔽効果を発揮することができる。このような透明導電性被膜の屈折率は、通常、1.6〜2.5の範囲にある。なお、本発明でいう膜厚は、幾何学的最大膜厚である。
【0037】
基材表面に形成される透明導電性被膜の表面抵抗は、1010Ω/□以下となるように任意に調整される。なお、透明導電性被膜の表面抵抗が102〜104Ω/□の範囲にあると、電磁遮蔽効果が発現できる。このような透明導電性被膜付基材を得る場合には、透明導電性被膜形成用塗布液として、ルテニウム化合物微粒子以外の導電性微粒子を、ルテニウム化合物微粒子1重量部当たり、4重量部以下の量で含み、マトリックスを導電性微粒子1重量部当たり0.2重量部以下で含む塗布液を使用することが好ましい。
【0038】
このような102〜104Ω/□の表面抵抗を有する透明導電性被膜が形成された基材を陰極線管の前面板などに使用すると、従来、前面板などから放出された電磁波、およびこのような電磁波の放出に伴って生じる電磁場を遮蔽することができる。
また本発明では、上記透明導電性被膜上に該透明導電性被膜よりも屈折率が低い透明被膜が設けられていることもある。
[透明被膜]
このような透明被膜は、たとえば、シリカ、チタニア、ジルコニアなどの無機酸化物、およびこれらの複合酸化物などから形成される。本発明では、透明被膜として、特に加水分解性有機ケイ素化合物の加水分解重縮合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸重縮合物からなるシリカ系被膜が好ましい。このような透明被膜が形成された透明導電性被膜付基材は、反射防止性能に優れている。
【0039】
また、必要に応じて、この透明被膜中にはフッ化マグネシウムなどの低屈折率材料で構成された微粒子、透明被膜の透明度および反射防止性能を阻害しない程度に少量の導電性微粒子および/または添加剤、例えば染料または顔料などを含んでいてもよい。
上記のような透明被膜は、前記透明導電性被膜よりも屈折率が小さく、さらに反射防止性能に優れた透明導電性被膜付基材を提供する上で透明導電性微粒子層と充分に大きい屈折率差を有している。
形成される透明被膜の膜厚は、50〜300nm、特に60〜200nmの範囲にあることが好ましい。
【0040】
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、基材上に透明導電性微粒子層が形成され、さらに必要に応じてこの透明導電性微粒子層上に透明被膜が形成されている。
このような透明導電性被膜付基材は、電磁遮蔽をする上で必要な102〜104Ω/□の範囲の表面抵抗を有し、かつ可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能を有するように調整することが可能である。このように表面抵抗および反射防止性能が調整された透明導電性被膜付基材を、電磁波が放出される陰極線管などの表示装置の前面板に用いると、電磁波、および電磁波の放出に伴って生じる電磁場を遮蔽することができる上、さらに前面板における光の反射を防止できる。
[透明導電性被膜付基材の製造方法]
本発明に係る透明導電性被膜付基材は、基材上にルテニウム化合物微粒子からなる透明導電性被膜を形成し、必要に応じてこの透明導電性被膜上に該微粒子層よりも屈折率の低い透明被膜を形成することによって製造される。
【0041】
上記のような透明導電性被膜は、前記ルテニウム化合物導電性微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液を塗布したのち乾燥することによって形成される。
透明導電性被膜を形成する方法としては、前述したような透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布したのち乾燥して透明導電性被膜を形成しうるあらゆる方法を採用することができる。このような方法として、具体的には、透明導電性被膜形成用塗布液を基材上にディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法などの方法で塗布し、次いで得られた塗膜を乾燥する方法などが挙げられる。
【0042】
このとき、塗膜の乾燥は、通常、常温〜90℃の温度で行うことが望ましい。
なお、塗布液中にマトリックス形成成分が含まれている場合には、乾燥後の塗膜を150℃以上に加熱処理することが望ましい。さらにまた、塗布液中にマトリックス形成成分が含まれている場合には、必要に応じて、上記塗布工程または乾燥工程の後に、あるいは乾燥工程中に、未硬化のマトリックス形成成分を含む透明導電性被膜に可視光線よりも波長の短い電磁波を照射するか、あるいは該透明導電性被膜をマトリックス形成成分の硬化反応を促進するガス雰囲気中に晒してもよい。このような処理により、透明導電性被膜中に含まれるマトリックス形成成分の硬化が促進され、透明導電性被膜の硬度が高められることがある。このガス処理は、前記加熱処理の後に行ってもよい。
【0043】
このようなマトリックス形成成分の硬化を促進するために照射する電磁波としては、マトリックス形成成分の種類に応じて紫外線、電子線、X線、γ線などが用いられる。例えば紫外線硬化性マトリックス形成成分の硬化を促進するためには、例えば、発光強度が約250nmと360nmとにおいて極大となり、光強度が10mW/m2以上である高圧水銀ランプを紫外線源として用い、100mJ/cm2以上のエネルギー量の紫外線が照射される。
【0044】
また、マトリックス形成成分のなかには、アンモニア、オゾンなどの活性ガスで硬化が促進されるマトリックス形成成分がある。このようなマトリックス形成成分を含む透明導電性被膜形成用塗布液を用いた場合、形成した透明導電性被膜を、ガス濃度が100〜100000ppm、特に1000〜10000ppmであるような硬化促進性ガス雰囲気下で1〜60分処理することによってマトリックス形成成分の硬化を大幅に促進することができる。
【0045】
本発明では、以上のようにして基材上に透明導電性被膜を形成した後、必要に応じてこの透明導電性被膜上に、さらにこの層よりも屈折率の低い透明被膜を形成することができる。
この透明被膜の形成方法としては、特に制限はなく、この透明被膜の材質に応じて、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの乾式薄膜形成方法、あるいは上述したようなディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印刷法などの湿式薄膜形成方法を採用することができる。
【0046】
上記透明被膜を湿式薄膜形成方法で形成する場合には、上述したようなマトリックス形成成分が透明被膜形成成分として極性溶媒に溶解または分散されている透明被膜形成用塗布液を用いることができる。さらに、透明被膜形成用塗布液中には、上述したようにフッ化マグネシウムなどの低屈折率材料で構成された微粒子、必要に応じて、透明被膜の透明度および反射防止性能を阻害しない程度に少量の導電性微粒子、染料、有機または無機顔料などの添加剤を含んでいてもよい。
【0047】
透明被膜は、前記透明導電性被膜を約40〜90℃に予熱し、この温度を維持しながら透明導電性被膜上に、前記透明被膜形成用塗布液をスプレー法で塗布し、その後、上述したような加熱処理を行って透明被膜を形成すると、被膜の表面にリング状の凹凸が形成され、ギラツキの少ないアンチグレアな透明導電性被膜付基材が得られる。
【0048】
表示装置
本発明に係る表示装置は、前記記載の透明導電性被膜付基材から構成される前面板を備え、透明導電性被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴としている。なお、外表面とは、観測者側から見た表面のことである。
前面板としては、電磁遮蔽に必要な102〜104Ω/□の範囲の表面抵抗を有し、かつ可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能を有する透明導電性被膜付基材が望ましい。
【0049】
本発明に係る表示装置は、ブラウン管(CRT)、蛍光表示管(FIP)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶ディスプレイ(LCD)などのような電気的に画像を表示する装置であり、上記のような透明導電性被膜付基材で構成された前面板を備えている。
従来の前面板を備えた表示装置を作動させると、前面板に画像が表示されると同時に電磁波が前面板から放出される。本発明に係る表示装置では、前面板が102〜104Ω/□の表面抵抗を有する透明導電性被膜付基材で構成されているので、このような電磁波、およびこの電磁波の放出に伴って生じる電磁場を効果的に遮蔽することができる。
【0050】
また、表示装置の前面板で光が反射すると、この反射光によって表示画像が見難くなるが、本発明に係る表示装置では、前面板が可視光領域および近赤外領域で充分な反射防止性能を有する透明導電性被膜付基材で構成されているので、このような反射光を効果的に防止することができる。
さらに、ブラウン管の前面板が、本発明に係る透明導電性被膜付基材で構成され、この透明導電性被膜のうち、透明導電性被膜、その上に形成された透明被膜の少なくとも一方に少量の染料または顔料が含まれいる場合には、これらの染料または顔料がそれぞれに固有な波長の光を吸収し、これによりブラウン管から放映される表示画像のコントラストを向上させることができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液によれば、膜厚を薄くしても、従来の導電性酸化物のみを含有する被膜よりも表面抵抗が低い被膜を形成することができ、しかも電磁遮蔽効果に優れた透明導電性被膜付基材を提供することができる。さらに、その上に低屈折率膜(たとえばシリカ膜)を形成した場合には、反射防止効果に優れている。
【0052】
このような透明導電性被膜形成用塗布液中にはルテニウム化合物導電性微粒子が含まれており、このルテニウム化合物導電性微粒子は塗布液中での安定性が高く、かつ分散性も良好であるため、被膜形成過程でも微粒子の凝集は起こらない。このため、導電性微粒子が均一に分散された被膜を形成することが可能であり、塗布液中の導電性微粒子の濃度を薄くしても、従来の塗布液と同等の導電性を有する被膜を得ることができる。
【0053】
このような本発明によれば、102〜104Ω/□の表面抵抗を有し、かつ、反射防止性能に優れた透明導電性被膜付基材を提供することができる。
本発明に係る表示装置は、上記のような表面抵抗を有する透明導電性被膜付基材が前面板に用いられているので、電磁波および電磁場遮蔽効果に優れている。
【0054】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0055】
【製造実施例】
本実施例で用いたルテニウム化合物導電性微粒子とルテニウム化合物導電性微粒子以外の導電性微粒子、および比較例で用いた銀とパラジウムの合金導電性微粒子は、以下のように調製した。
a) ルテニウム化合物導電性微粒子 (P-1) (P-6)
ルテニウム化合物導電性微粒子(P-1)、(P-3)、(P-5)および微粒子(P-6':(P-6)の前駆体)は、次の方法で調製した。
【0056】
メタノール・水混合溶媒(メタノール:70重量部、水:30重量部)50ミリリットルに、ルテニウム換算で2重量%となり、かつ粒子の成分が表1の構成重量比となるように表1の金属種の塩化物を加えた。ただし(P-5)微粒子の金成分については塩化金酸(HAuCl4)を加えた。次いでポリビニルアルコールをルテニウム1重量部当たり0.01重量部となるように添加し、水素化ホウ素ナトリウム2gを純水12gに溶解した水溶液12ミリリットルを添加した。このとき冷却しながら温度を30℃に維持した。
【0057】
次いで生成した粒子の凝集体を遠心分離器で沈降分離し、この沈殿物を純水中に、表1の固形分濃度となるように分散させて、ルテニウム化合物導電性微粒子(P-1)、(P-3)、(P-5)および微粒子(P-6')が単分散した分散液を調製した。
ルテニウム化合物導電性微粒子(P-2)、(P-4)および(P-6)は、前記ルテニウム化合物導電性微粒子(P-1)、(P-3)および微粒子(P-6')が単分散した分散液に、濃度35重量%の過酸化水素水を加え、80℃で加熱してルテニウム金属の一部を酸化することによって調製した。
【0058】
ルテニウム化合物導電性微粒子以外の導電性微粒子
ルテニウム化合物導電性微粒子以外の導電性微粒子として使用するSnドープ酸化インジウム微粒子(P-7)は、以下の方法で調製した。
硝酸インジウム8gを水70gに溶解して得られた溶液と、錫酸カリウム1.3gを10重量%水酸化カリウム溶液10gに溶解して得られた溶液とを調製した。
【0059】
これらの溶液を、50℃に保持された100gの純水に2時間かけて添加した。この間、系内のpHを11に保持した。得られたSnドープ酸化インジウム水和物分散液からSnドープ酸化インジウム水和物をろ別して洗浄した後、乾燥し、次いで空気中で350℃の温度で3時間焼成し、さらに空気中で600℃の温度で2時間焼成することによりSnドープ酸化インジウム微粒子を得た。
【0060】
また、銀とパラジウムの合金導電性微粒子(P-8)は、次の方法で調製した。
メタノール・水混合溶媒(メタノール:40重量部、水:60重量部)50ミリリットルに、合金換算で2重量%となり、かつ合金の金属種が表1の重量比となるように、表1の金属種の硝酸塩を加え、さらにポリビニルアルコールを合金1重量部当たり0.01重量部加えて、還流器付フラスコで90℃、窒素雰囲気下で5時間加熱して銀−パラジウム合金微粒子(P-8)の分散液を得た。
【0061】
得られた微粒子(P-1)〜(P-8)の平均粒径および水中でのゼータ電位を表1に示す。
なお、平均粒径は、日機装(株)製:マイクロトラックによって測定した。ゼータ電位は、得られた微粒子(P-1)〜(P-8)の分散液に水を添加して固形分濃度を1重量%に調整し、超音波式ゼータ電位分析システム(MATEC APPLIED SCIENCE,INC.製 ELECTRO KINETIC SONIC ANALYSIS SYSTEM ESA8000)により測定した。但し、微粒子(P-8)では、分散液中の微粒子が凝集してしまったため、測定できなかった。
【0062】
【表1】
Figure 0003779088
【0063】
b)透明導電性被膜形成用塗布液の調製
正珪酸エチル(SiO2:28重量%)50g、エタノール194.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合溶液を室温で5時間撹拌してSiO2濃度5重量%のマトリックス形成成分を含む液(以後、MXという)を調製した。
表1に示す微粒子の分散液と、マトリックス形成成分を含む液とから表2に示す透明導電性被膜形成用塗布液(C−1)〜(C−8)を調製した。
c)透明被膜形成用塗布液の調製
上記マトリックス形成成分を含む液に、エタノール/ブタノール/ジアセトンアルコール/イソプロパノール(2:1:1:5重量混合比)の混合溶媒を加え、SiO2濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液を調製した。
【0064】
【表2】
Figure 0003779088
【0065】
【実施例1〜3、参考例1〜4
ブラウン管用パネルガラス(14")の表面を40℃の温度に保持しながら、スピナー法により、100rpm、90秒の条件で上記透明導電性被膜形成用塗布液(C−1)〜(C−7)を、透明導電性被膜の膜厚が20nmとなるようにそれぞれ塗布し、次いで乾燥した。
【0066】
次いで、このようにして形成された透明導電性被膜上に、スピナー法により、100rpm、90秒の条件で透明被膜形成用塗布液を塗布し、透明被膜の膜厚が80nmとなるようにそれぞれ塗布し、次いで表3に示す条件で焼成することにより透明導電性被膜付基材を得た。
得られた透明導電性被膜付基材の表面抵抗を表面抵抗計(三菱油化(株)製
LORESTA)で測定し、反射率を分光光度計(日立製作所(株)製)で測定し、ヘーズをヘーズコンピューター(スガ試験機(株)製)で測定した。
【0067】
結果を表3に示す。
【0068】
【比較例1】
実施例1〜3、参考例1〜4と同様にして透明導電性被膜形成用塗布液(C−8)を透明導電性被膜の膜厚が20nmとなるようにブラウン管用パネルガラス(14")の表面に塗布したのち乾燥し、次いで透明被膜形成用塗布液を、透明被膜の膜厚が80nmとなるようにそれぞれ塗布して透明導電性被膜付基材を作製し、表面抵抗、反射率、ヘーズを評価した。
【0069】
結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
Figure 0003779088
【0071】
その結果、塗布液(C-1)〜(C-7)を用いて作製した透明導電性被膜付基材は、塗布液(C-8)を用いて作製された透明導電性被膜付基材と表面抵抗、反射率、ヘーズとの同程度であった。このことから、本発明のように、ルテニウムとホウ素および/またはリンとを含有するルテニウム化合物導電性微粒子を含む透明導電性被膜形成用塗布液を使用すると、Ag-Pd微粒子を含む塗布液と同等の被膜を形成できることが判明した。
【0072】
参考例5
透明導電性被膜の耐久性テスト
a)耐酸テスト
参考例2で作製した透明導電性被膜付基材を、6N硝酸水溶液に600時間浸漬し、前記と同様に透明導電性被膜付基材の表面抵抗、反射率、ヘーズを測定した。
b)耐紫外線テスト
参考例2で作製した透明導電性被膜付基材に、GSミニコンベアー型紫外線照射装置(日本電池(株)製:ASE−2)で12,000mJ/cm2の紫外線を照射し、照射前後の透明導電性被膜付基材の表面抵抗、反射率、ヘーズを測定した。
【0073】
結果を表4に示す。
【0074】
【比較例2】
比較例1で作製した透明導電性被膜付基材を用いて参考例5と同様に、透明導電性被膜の耐久性テストを行った。
【0075】
【表4】
Figure 0003779088
【0076】
参考例6
塗布液(微粒子)安定性テスト
塗布液(C−3)を80℃で2時間加熱した後、粒子径測定装置(日機装(株)製:マイクロトラック)で粒子径を測定した。粒子径にほとんど変化はみられなかった。
【0077】
実施例4】
塗布液(微粒子)安定性テスト
塗布液(C−4)において、Mxを加えなかった以外は塗布液(C−3)と同様にして塗布液(C−4')を調製し、該塗布液(C−4')を80℃で2時間加熱した後、粒子径測定装置(日機装(株)製:マイクロトラック)で粒子径を測定した。粒子径に全く変化はみられなかった。
【0078】
【比較例3】
塗布液(微粒子)安定性テスト
塗布液(C−8)を80℃で2時間加熱した後、粒子径測定装置(日機装(株)製:マイクロトラック)で粒子径を測定した。
平均粒子径は500nmであった。通常金属粒子が短時間で粒子成長することはないため、これは(P−8)粒子(平均粒子径100nm)が凝集していることを示している。
【0079】
以上の結果から、本発明に係る透明導電性被膜形成用塗布液は、Ag-Pd微粒子を含む塗布液と比較して、安定性に優れていることが判明した。

Claims (7)

  1. ルテニウム金属、ルテニウム酸化物および/またはルテニウム水酸化物、およびホウ素を含有し、ルテニウム化合物導電性微粒子中のホウ素の含有量は(B/Ru)で表される原子比で0.005〜0.2の範囲にあるルテニウム化合物導電性微粒子を含むことを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
  2. 前記ルテニウム化合物導電性微粒子の水分散液中でのゼータ電位が-5〜-60mVの範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の透明被膜形成用塗布液。
  3. 前記ルテニウム化合物導電性微粒子が単分散粒子であり、かつ粒子の平均粒子径が1〜200nmの範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電性被膜形成用塗布液。
  4. 前記ルテニウム化合物導電性微粒子が、さらにAu、Ag、Pt、Pd、Rh、Cu、Co、Sn、InおよびTaからなる群から選ばれる1種以上の金属および/または該金属の酸化物を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性被膜形成用塗布液。
  5. 基材と、
    請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布したのち乾燥してなる透明導電性被膜とからなることを特徴とする透明導電性被膜付基材。
  6. 基材と、
    請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性被膜形成用塗布液を基材上に塗布したのち乾燥してなる透明導電性被膜と、
    該透明導電性被膜上に設けられ、かつ該透明導電性被膜よりも屈折率が低い透明被膜とからなることを特徴とする透明導電性被膜付基材。
  7. 請求項5または6に記載の透明導電性被膜付基材から構成される前面板を備え、透明被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴とする表示装置。
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