JP2001139883A - 透明被膜形成用塗布液、透明被膜付基材および表示装置 - Google Patents

透明被膜形成用塗布液、透明被膜付基材および表示装置

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JP2001139883A
JP2001139883A JP31986299A JP31986299A JP2001139883A JP 2001139883 A JP2001139883 A JP 2001139883A JP 31986299 A JP31986299 A JP 31986299A JP 31986299 A JP31986299 A JP 31986299A JP 2001139883 A JP2001139883 A JP 2001139883A
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Tsuguo Koyanagi
柳 嗣 雄 小
Michio Komatsu
松 通 郎 小
Katsuhiro Kino
野 勝 博 城
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Catalysts and Chemicals Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】透明性に優れるとともに、安定性に優れ、基材
との密着性、膜強度、反射防止性能、耐薬品性等に優れ
た透明被膜を形成可能な被膜形成用塗布液を提供する。 【解決手段】 ケイ素化合物、チタニウム化合物、ジル
コニウム化合物またはこれらの加水分解物から選ばれる
1種以上からなるマトリックス形成成分と、酸化アンチ
モン微粒子とを含む透明被膜形成用塗布液。基材と、該
基材表面に形成された透明被膜とを有し、該透明被膜が
該透明被膜形成用塗布液を、基材表面に塗布・乾燥され
てなり、かつ透明被膜の屈折率が、前記基材の屈折率よ
りも低いことを特徴とする透明被膜付基材。基材と、該
基材表面に形成された透明導電性微粒子層と、該透明導
電性微粒子層表面に形成された透明被膜とを有し、該透
明被膜が、前記透明被膜形成用塗布液を、基材表面に塗
布・乾燥されてなり、かつ前記透明被膜の屈折率が、前
記透明導電性微粒子層の屈折率よりも低いことを特徴と
する透明被膜付基材。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、透明被膜形成用塗布液、
透明被膜付基材および該基材を備えた表示装置に関し、
さらに詳しくは、安定性に優れ、基材との密着性、膜強
度、反射防止性能、耐薬品性等に優れた透明被膜を形成
しうる塗布液、ならびにそのような透明被膜が形成され
た基材、および透明導電性被膜が形成された基材の該導
電性被膜の上に、帯電防止性能、電磁遮蔽性能、反射防
止性能に優れるとともに耐薬品性に優れた透明被膜付が
形成された基材、さらには前記透明被膜付基材で構成さ
れた前面板を備えた表示装置に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来より、酸化防止、防錆、耐薬
品性、耐擦傷性、耐候性、紫外線遮蔽、反射防止などを
目的とした被膜の形成が、金属製基材、光学レンズ基材
などの表面に行われている。また、陰極線管、蛍光表示
管、液晶表示板などの表示パネルといった透明基材の表
面の帯電防止および反射防止を目的として、これらの表
面に帯電防止機能および反射防止機能を有する透明被膜
を形成することが行われている。
【0003】ところで、陰極線管などから放出される電
磁波が人体に及ぼす影響が、最近問題にされており、従
来の帯電防止、反射防止に加えてこれらの電磁波および
電磁波の放出に伴って形成される電磁場を遮蔽すること
が望まれている。これらの電磁波などを遮蔽する方法の
一つとして、陰極線管などの表示パネルの表面に電磁波
遮断用の導電性被膜を形成する方法がある。この方法で
は、電磁遮蔽用の導電性被膜の表面抵抗を102〜104
Ω/□程度に低くすることが必要である。
【0004】このような低表面抵抗の導電性被膜を形成
する方法の一つとして、Agなどの金属微粒子を含む導
電性被膜形成用塗布液を用いて、基材の表面に金属微粒
子含有被膜を形成する方法がある。この方法では、金属
微粒子含有被膜形成用塗布液として、コロイド状の金属
微粒子が極性溶媒に分散したものが用いられている。し
かしながら、Ag等の金属微粒子を含む透明導電性被膜
では、金属微粒子が酸化されたり、金属微粒子が粒子成
長したり、さらには金属微粒子が腐食されることがあ
り、塗膜の導電性や光透過率が低下し、表示装置が信頼
性を欠くという問題があった。
【0005】このため、このような導電性被膜上にさら
に導電性被膜よりも屈折率の低い透明被膜を設けて反射
防止を行うとともに、導電性被膜を保護することが行わ
れている。しかしながら、従来の透明被膜形成用塗布液
は安定性に欠けることが多く、また製造信頼性(再現
性)に欠けることもあった。また従来の透明被膜形成用
塗布液を用いて形成した透明被膜は、必ずしも透明性が
充分ではないという問題があった。しかも、従来の透明
被膜では、形成した透明被膜と導電性被膜との間の密着
性が不充分であり、このため長期間使用していると、導
電性被膜を形成する金属(微粒子)層が酸化されてしま
うことがあり、さらにまた透明被膜が腐食性物質に対す
る耐性、即ち耐薬品性が不充分であるなど多くの問題点
があった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術の問題
点を解決し、透明性に優れるとともに、安定性に優れ、
基材との密着性、膜強度、反射防止性能、耐薬品性等に
優れた透明被膜を形成可能な被膜形成用塗布液を提供す
ることを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、
ケイ素化合物、チタニウム化合物、ジルコニウム化合物
またはこれらの加水分解物から選ばれる1種以上からな
るマトリックス形成成分と、酸化アンチモン微粒子とを
含むことを特徴としている。
【0008】前記酸化アンチモン微粒子の平均粒子径
は、2〜100nmの範囲にあることが好ましい。前記
マトリックス形成成分は、加水分解性有機ケイ素化合物
の加水分解縮重合物、またはアルカリ金属ケイ酸塩水溶
液を脱アルカリして得られるケイ酸縮重合物であること
が好ましい。
【0009】本発明に係る第1の透明被膜付基材は、基
材と、該基材表面に形成された透明被膜とを有し、該透
明被膜が、前記記載の透明被膜形成用塗布液を、基材表
面に塗布・乾燥されてなり、かつ前記透明被膜の屈折率
が、前記基材の屈折率よりも低いことを特徴としている
本発明に係る第2の透明被膜付基材は、基材と、該基材
表面に形成された透明導電性微粒子層と、該透明導電性
微粒子層表面に形成された透明被膜とを有し、該透明被
膜が、前記記載の透明被膜形成用塗布液を、基材表面に
塗布・乾燥されてなり、かつ前記透明被膜の屈折率が、
前記透明導電性微粒子層の屈折率よりも低いことを特徴
としている。
【0010】本発明に係る表示装置は、前記第1または
第2の透明被膜付基材で構成された前面板を備え、透明
被膜が該前面板の外表面に形成されていることを特徴と
している。
【0011】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。透明被膜形成用塗布液 まず、本発明に係る透明被膜形成用塗布液について説明
する。本発明の透明被膜形成用塗布液は、マトリックス
形成成分と酸化アンチモン微粒子とを含むことを特徴と
している。
【0012】[酸化アンチモン微粒子]本発明で用いら
れる酸化アンチモン微粒子としては、従来公知の酸化ア
ンチモン微粒子を用いることができる。本発明で用いら
れる酸化アンチモン微粒子の平均粒子径は2〜100n
mの範囲にあることが好ましい。さらには、平均粒子径
が5〜40nmの範囲にあり、かつ粒子径分布がσ/D
p×100で表して(ここで、Dpは平均粒子径、σは粒
子径の標準偏差を表す)、30%以下であることが好ま
しい。
【0013】なお、本発明での酸化アンチモン微粒子の
平均粒子径および粒子径分布は、電子顕微鏡法により測
定され、100個以上の測定粒子数についての平均値お
よび標準偏差値により求めたものである。酸化アンチモ
ン微粒子の平均粒子径が2nm未満の場合は、透明被膜
形成用塗布液の安定性が低下する傾向にあり、このため
得られる被膜の透明性が低下してヘーズが悪化すること
がある。
【0014】平均粒子径が100nmを越えると、粒子
による光散乱が起こるようになり透明性が低下してヘー
ズが悪化することがあり、また、膜中に粒子間隙などに
よるボイドを生じることがあり、基材表面に被膜を形成
したときに、被膜付基材の耐薬品性を低下させることが
ある。また、本発明で使用される酸化アンチモン微粒子
は、透明性に優れていることが好ましい。具体的には、
酸化アンチモン微粒子を分散したゾルの濃度を30重量
%としたとき、全光線透過率が45%以上、好ましくは
55%以上であることが望ましい。なお、全光線透過率
はヘーズコンピューターで測定することができる。
【0015】このような酸化アンチモン微粒子は、たと
えば本願出願人が特公平4−59251号に提案した製
造方法によって得られた酸化アンチモンゾルを使用する
と、得られる被膜が透明性に優れているので好ましい。
特公平4−59251号に提案された製造方法では、具
体的に、三酸化アンチモン、アルカリ物質および過酸化
水素を反応させることによって酸化アンチモン微粒子分
散ゾルを調製する。このとき、三酸化アンチモンとアル
カリ物質と過酸化水素とのモル比は、三酸化アンチモン
を1モルとしたとき、アルカリ物質が2.0〜2.5モル
の範囲にあり、過酸化水素が0.8〜1.5の範囲にある
ことが好ましく、過酸化水素は三酸化アンチモンとアル
カリ物質を含む系に、三酸化アンチモン1モル当たり
0.2モル/時間以下の速度で添加することが好まし
い。
【0016】このとき使用される三酸化アンチモンとし
ては、粉末状のものが好ましく、特に粒子径が10μm
以下の微粉末が好ましい。また、アルカリ物質としては
アルカリ金属水酸化物が好ましい。上記条件で、三酸化
アンチモン、アルカリ物質および過酸化水素を反応させ
た後、反応溶液から未溶解残渣を分離した後、得られた
分離液を、必要に応じて希釈して陽イオン交換樹脂を通
しアルカリイオンを除去した後、加熱してゾル化し、さ
らに必要に応じて限外濾過膜で濃縮することによって、
酸化アンチモン微粒子分散ゾルを得ることができる。
【0017】本発明に係る透明被膜形成用塗布液のよう
に、酸化アンチモン微粒子が塗布液中に存在しているの
で、塗布液の安定性が向上し、被膜乾燥工程において溶
媒が蒸発して濃縮過程にある場合も、被膜形成成分が過
度に加水分解・縮重合することがないので、塗布液が乾
燥とともにゲル化することも、増粘することもない。こ
のため緻密な被膜を形成することができるとともに、乾
燥にともなう被膜表面に筋条の凹凸が発生することがな
い。したがって、平坦性に優れた被膜付基材を得ること
ができる。さらにこうして形成された透明被膜は、基材
との密着性にも優れている。
【0018】しかも、このような酸化アンチモン微粒子
を含む塗布液から形成された透明被膜を有する被膜付基
材は、耐薬品性に優れている。本発明のように、透明被
膜形成用塗布液中に酸化アンチモン微粒子を含むことに
よって耐薬品性が高くなる理由については明らかではな
いが、緻密な透明被膜が得られることによって基材と腐
食性等を有する薬剤等との接触が生じなくなる、あるい
は酸化アンチモン微粒子が腐食性等を有する薬剤等を吸
着して、基材を保護するなどの作用が考えられる。
【0019】[マトリックス形成成分]次に、本発明に
用いられるマトリックス形成成分について説明する。マ
トリックス形成成分は、ケイ素化合物、チタニウム化合
物、ジルコニウム化合物またはこれらの加水分解物から
選ばれる1種以上からなる。このようなマトリックス形
成成分として特に、シリカ前駆体、チタニア前駆体、ジ
ルコニア前駆体、またはシリカ、チタニア、ジルコニア
から選ばれる2種以上の複合酸化物の前駆体が好適であ
る。なお、シリカ前駆体、チタニア前駆体、ジルコニア
前駆体は、それぞれケイ素化合物、チタニウム化合物、
ジルコニウム化合物またはこれらの加水分解・縮重合物
を意味する。また、マトリックス形成成分は、シリカゾ
ル、チタニアゾル、ジルコニアゾルであってもよい。
【0020】これらのマトリックス形成成分のうち、シ
リカ前駆体が望ましく、シリカ前駆体としては、加水分
解性有機ケイ素化合物の加水分解縮重合物、またはアル
カリ金属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ
酸液が好ましく、特に下記一般式[2]で表されるアル
コキシシランの加水分解縮重合物がより好ましい。 RaSi(OR')4-a [2] (式中、Rはビニル基、アリール基、アクリル基、炭素
数1〜8のアルキル基、水素原子またはハロゲン原子で
あり、R'はビニル基、アリール基、アクリル基、炭系
数1〜8のアルキル基、−C24OCn2n+1(n=1
〜4)または水素原子であり、aは0〜3の整数であ
る。) このようなアルコキシランとしては、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシ
ラン、テトラブトキシシラン、テトラオクチルシラン、
メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、エチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポ
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリ
メトキシシラン、ジメチルジメトキシシランなどが挙げ
られる。
【0021】このようなシリカ前駆体を含む塗布液から
形成されるシリカ系被膜は、屈折率が1.25〜1.5
0の範囲にあり、低屈折率である。しかもこのようなシ
リカ系被膜が形成された透明被膜付基材は反射防止性に
優れている。 [透明被膜形成用塗布液の組成]本発明に係る透明被膜
形成用塗布液は、上記酸化アンチモン微粒子とマトリッ
クス形成成分と、必要に応じて溶媒とからなる。
【0022】溶媒としては、蒸発性のものであれば特に
制限はなく、水;メタノール、エタノール、プロパノー
ル、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルア
ルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレ
ングリコール、ヘキシレングリコールなどのアルコール
類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステルなどのエ
ステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノ
メチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、グリコールエーテルなどのエー
テル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチルアセ
トン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが挙げら
れる。
【0023】本発明に係る透明被膜形成用塗布液中に、
前記酸化アンチモン微粒子は、酸化アンチモン微粒子の
粒子径にもよるが、透明被膜形成用塗布液中に1〜50
重量%の範囲で含まれていることが好ましい。透明被膜
形成用塗布液中の酸化アンチモン微粒子の量が1重量%
未満の場合は、耐薬品性が不充分であり、また塗布液の
安定性、被膜表面の平坦性、密着性を向上する効果が得
られないことがあり、酸化アンチモン微粒子の量が50
重量%を越えると被膜形成用塗布液の安定性が低下し、
後述するマトリックス形成成分がゲル化して緻密な膜が
得られず被膜中にボイドが生成することがあり、得られ
る被膜付基材の耐薬品性が低下したり、被膜と基材との
密着性が低下することがある。
【0024】マトリックス形成成分は、透明被膜形成用
塗布液中に、酸化物換算で0.1〜10重量%、好まし
くは0.5〜2.0重量%の濃度で含まれていることが望
ましい。透明被膜形成用塗布液に含まれるマトリックス
形成成分の量が0.1重量%未満では、マトリックス形
成成分の量が少なすぎるので、被膜を形成したときの膜
厚が薄くなり、被膜の反射防止性能が低下することがあ
る。また透明被膜形成用塗布液に含まれるマトリックス
形成成分の量が0.1重量%未満では、1回の塗布で充
分な膜厚の被膜を得られないことがあり、しかも塗布を
繰り返して行っても均一な膜厚の被膜を形成しにくいこ
とが多い。さらに、被膜付基材の耐薬品性が劣ることが
ある。
【0025】また、透明被膜形成用塗布液に含まれるマ
トリックス形成成分の濃度が10重量%を越えると、得
られる被膜にクラックが生じたり、被膜の強度が低下す
ることがある。また透明被膜形成用塗布液に含まれるマ
トリックス形成成分の濃度が10重量%を越えると被膜
の膜厚が厚すぎて、反射防止性能が不充分となることが
ある。
【0026】[透明被膜形成用塗布液の調製]このよう
な本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、マトリックス
形成成分分散液を調製したのち、このマトリックス形成
成分分散液に前記硫黄化合物を混合することによって、
調製される。たとえば、マトリックス形成成分としてア
ルコキシシランの加水分解縮重合物を使用する場合、ア
ルコキシシランを、水−アルコール混合溶媒中で酸触媒
の存在下、加水分解して、アルコキシシランの加水分解
縮重合物からなるマトリックス形成成分分散液を調製
し、このマトリックス形成成分分散液に前記硫黄化合物
を混合すれば本発明の透明被膜形成用塗布液が得られ
る。
【0027】なお、本発明で使用される透明被膜形成用
塗布液には、上記成分の他に、フッ化マグネシウムなど
の低屈折率材料からなる微粒子、透明被膜の透明度およ
び反射防止性能を阻害しない程度に少量の導電性微粒子
および/または染料または顔料などの添加剤が含まれて
いてもよい。[透明被膜形成用塗布液の調製]このよう
な本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、マトリックス
形成成分分散液を調製したのち、このマトリックス形成
成分分散液に前記酸化アンチモン微粒子または酸化アン
チモン微粒子分散ゾルを混合することによって、調製さ
れる。
【0028】たとえば、マトリックス形成成分としてア
ルコキシシランの加水分解縮重合物を使用する場合、ア
ルコキシシランを、水−アルコール混合溶媒中で酸触媒
の存在下、加水分解して、アルコキシシランの加水分解
縮重合物からなるマトリックス形成成分分散液を調製
し、このマトリックス形成成分分散液に前記酸化アンチ
モン微粒子分散ゾルを混合すれば本発明の透明被膜形成
用塗布液が得られる。
【0029】なお、本発明で使用される透明被膜形成用
塗布液には、上記成分の他に、フッ化マグネシウムなど
の低屈折率材料からなる微粒子、透明被膜の透明度およ
び反射防止性能を阻害しない程度に少量の導電性微粒子
および/または染料または顔料などの添加剤が含まれて
いてもよい。第1の透明被膜付基材 本発明に係る第1の透明被膜付基材は、基材と、該基材
表面に形成された透明被膜とを有し、該透明被膜が、前
記記載の透明被膜形成用塗布液を、基材表面に塗布・乾
燥されてなり、かつ前記透明被膜の屈折率が、前記基材
の屈折率よりも低いことを特徴としている。
【0030】基材としては、金属、ガラス、プラスチッ
ク、セラミックなどの基材、およびこれら基材に電極膜
等が形成された電極膜付基材が挙げられる。このような
基材表面に透明被膜が形成されている。透明被膜は上記
した透明被膜形成用塗布液を塗布して形成され、その塗
布方法としては、特に制限はなく、ディッピング法、ス
ピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印
刷法などの公知の湿式薄膜形成方法を採用することがで
きる。
【0031】形成する透明被膜の膜厚は、30〜300
nm、好ましくは80〜200nmの範囲であることが望ま
しい。このような膜厚であれば、耐薬品性および反射防
止性に優れた透明被膜が得られる。透明被膜の膜厚が3
0nm未満の場合は、被膜の反射防止性能が劣ることがあ
り、さらには、被膜を形成した被膜付基材の耐薬品性が
低下することがある。また、透明被膜の膜厚が300nm
を越えると、被膜の強度が低下することがあり、また被
膜が厚過ぎて反射防止性能が不充分となることがある。
【0032】上記透明被膜形成用塗布液を塗布したの
ち、通常、乾燥するが、乾燥温度としては、溶媒が揮発
する温度であれば特に制限されるものではない。さら
に、基材表面に形成した被膜は、硬化処理を行われても
よい。硬化処理としては、乾燥時に150℃以上で加熱
するか、あるいは乾燥後にさらに150℃以上で加熱し
たり、被膜に可視光線よりも波長の短い紫外線、電子
線、X線、γ線などの電磁波を照射するか、あるいはア
ンモニアなどの活性ガス雰囲気中に晒すなどの処理が挙
げられる。このような硬化処理により、被膜形成成分
(マトリックス形成成分)の硬化が促進され、得られる
透明被膜の硬度が高くなる。
【0033】また、本発明に係る透明被膜形成用塗布液
を塗布する際、予め基材の温度を約40〜90℃に保持
してスプレー法で塗布すると、リング状の凹凸を有する
透明被膜が形成される。その結果、ギラツキの少ないア
ンチグレアの透明被膜付基材が得られる。このような基
材と透明被膜の屈折率の差は概ね0.3以上、好ましく
は0.6以上あることが望ましい。屈折率の差が0.3未
満の場合は反射防止性能が不充分となる。
【0034】第2の透明被膜付基材 本発明に係る第2の透明被膜付基材は、基材と、該基材
表面に形成された透明導電性微粒子層と、該透明導電性
微粒子層表面に形成された透明被膜とを有し、該透明被
膜が、前記記載の透明被膜形成用塗布液を、基材表面に
塗布・乾燥されてなり、かつ前記透明被膜の屈折率が、
前記透明導電性微粒子層の屈折率よりも低いことを特徴
としている。
【0035】基材としては、前記第1の被膜付基材にて
例示したものと同様のものが挙げられる。本発明に係る
第2の透明被膜付基材では、このような基材表面に、帯
電防止機能、電磁波遮蔽機能を有する透明導電性微粒子
層が設けられている。 [透明導電性微粒子層]このような透明導電性微粒子層
は、基材表面に透明導電性被膜形成用塗布液を塗布する
ことによって形成される。このような透明導電性被膜形
成用塗布液は、金属微粒子と極性溶媒とからなる。
【0036】本発明に用いる「金属微粒子」としては、
従来公知の金属微粒子を用いることができ、単一金属成
分からなる単一金属微粒子であってもよく、2種以上の
金属成分を含む複合金属微粒子であってもよい。このよ
うな単一金属微粒子としては、Au,Ag,Pd,Pt,Rh,R
u,Cu,Fe,Ni,Co,Sn,Ti,In,Al,Ta,Sbなどの金
属から選ばれる金属の微粒子が挙げられる。
【0037】また、複合金属微粒子を構成する2種以上
の金属は、固溶状態にある合金であっても、固溶状態に
ない共晶体であってもよく、合金と共晶体が共存してい
てもよい。このような複合金属微粒子は、金属の酸化や
イオン化が抑制されるため、複合金属微粒子の粒子成長
等が抑制され、しかも複合金属微粒子の耐腐食性が高
く、導電性、光透過率の低下が小さいなどの優れた特性
を有している。
【0038】このような複合金属微粒子としては、Au,
Ag,Pd,Pt,Rh,Ru,Cu,Fe,Ni,Co,Sn,Ti,In,A
l,Ta,Sbなどの金属から選ばれる少なくとも2種以上
の金属からなる複合金属微粒子が挙げられる。好ましい
2種以上の金属の組合せとしては、Au-Cu,Ag-Pt,A
g-Pd,Au-Pd,Au-Rh,Pt-Pd,Pt-Rh,Fe-Ni,Ni-
Pd,Fe-Co,Cu-Co,Ru-Ag,Au-Cu-Ag,Ag-Cu-P
t,Ag-Cu-Pd,Ag-Au-Pd,Au-Rh-Pd,Ag-Pt-Pd,
Ag-Pt-Rh,Fe-Ni-Pd,Fe-Co-Pd,Cu-Co-Pd な
どが挙げられる。
【0039】なお、Au,Ag,Pd,Pt,Rh,Cu,Co,Sn,
In,Taなどの金属からなる単一または複合金属微粒子
を用いる場合は、その一部が酸化状態にあってもよく、
該金属の酸化物を含んでいてもよい。さらに、PやB原
子が結合して含有していてもよい。このような金属微粒
子は、たとえば公知の方法(特開平10−188681
号公報参照)によって得ることができる。
【0040】金属微粒子の平均粒径は、1〜200nm、
好ましくは2〜70nmの範囲にあることが望ましい。金
属微粒子の平均粒径が200nmを越えると、金属微粒子
による光の吸収が大きくなり、粒子層の光透過率が低下
するとともにへーズが大きくなる。このためこのような
微粒子層が形成された被膜付基材を、たとえば陰極線管
の前面板として用いると、表示画像の解像度が低下する
ことがある。
【0041】また、金属微粒子の平均粒径が1nm未満の
場合には粒子層の表面抵抗が急激に大きくなるため、本
発明の目的を達成しうる程度の低抵抗値を有する被膜付
基材を形成できないことがある。透明導電性被膜形成用
塗布液に用いられる極性溶媒としては、水;メタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ジアセト
ンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフ
ルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレン
グリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、
酢酸エチルエステルなどのエステル類;ジエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレン
グリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモ
ノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなど
のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、アセチ
ルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類などが
挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種
以上混合して使用してもよい。
【0042】金属微粒子は、透明導電性被膜形成用塗布
液中に、0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量
%の量で含まれていることが望ましい。透明導電性被膜
形成用塗布液中に含まれる金属微粒子の量が0.05重
量%未満の場合は、得られる被膜の膜厚が薄く、このた
め充分な導電性が得られないことがある。
【0043】金属微粒子の量が5重量%を越えると、膜
厚が厚くなり、光透過率が低下して透明導電性膜の透明
性が悪化するとともに被膜および被膜付基材の外観も悪
くなる。このような透明導電性被膜形成用塗布液には、
上記金属微粒子以外の導電性微粒子が含まれていてもよ
く、金属微粒子以外の導電性微粒子としては、公知の透
明導電性無機酸化物微粒子あるいは微粒子カーボンなど
が挙げられ、透明導電性無機酸化物微粒子としては、酸
化錫、Sb、FまたはPがドーピングざれた酸化錫、酸
化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化イ
ンジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンなどが挙げ
られる。これらの導電性微粒子の平均粒径は、1〜20
0nm、好ましくは2〜150nmの範囲にあることが好ま
しい。このような導電性微粒子は、前記金属微粒子1重
量部当たり、4重量部以下の量で含まれていればよい。
導電性微粒子が4重量部を超える場合は、透明導電性膜
の導電性が低下して電磁波遮蔽効果が低下することがあ
る。
【0044】さらに透明導電性被膜形成用塗布液には、
透明導電性膜の透過率が、可視光の広い波長領域におい
て一定となるように、染料、顔料などが添加されていて
もよい。このような透明導電性被膜形成用塗布液中の固
形分濃度(金属微粒子と必要に応じて添加される金属微
粒子以外の導電性微粒子、染料、顔料などの添加剤の総
量)は、液の流動性、塗布液中における金属微粒子等の
粒状成分の分散性などの点から、15重量%以下、好ま
しくは0.15〜5重量%であることが好ましい。
【0045】透明導電性被膜形成用塗布液には、被膜形
成後の導電性微粒子のバインダーとして作用するマトリ
ックス形成成分が含まれていてもよい。このようなマト
リックス形成成分としては、従来公知のものを使用可能
であり、たとえば、前記透明被膜形成用塗布液に含まれ
るマトリックス形成成分が使用される。この他、塗料用
樹脂が被膜形成成分として透明導電性被膜形成用塗布液
に含まれていてもよい。このようなマトリックス形成成
分は、酸化物としてあるいは樹脂として、前記金属微粒
子1重量部当たり、0.01〜0.5重量部、好ましくは
0.03〜0.3重量部の量で含まれていればよい。
【0046】さらにまた、金属微粒子の分散性を向上さ
せるため、前記透明導電性被膜形成用塗布液中に有機系
安定剤が含まれていてもよい。さらに前記透明導電性被
膜形成用塗布液は、特に導電性微粒子の分散状態を向上
させるため、塗布液中に存在するアルカリ金属イオン、
アンモニウムイオン、多価金属イオンなどの陽イオン、
鉱酸などの無機陰イオン、酢酸、蟻酸などの有機陰イオ
ン等のイオンを低減しておくことが望ましい。塗布液中
での粒状成分の単分散状態は、透明導電性微粒子層の形
成過程でも維持されるので、イオン濃度の低い透明導電
性被膜形成用塗布液から透明導電性微粒子層を形成する
と、微粒子層中に凝集粒子は観察されない。
【0047】また上記のような低イオン濃度塗布液から
形成された透明導電性微粒子層では金属微粒子などの導
電性微粒子を良好に分散させ配列させることができるの
で、透明導電性微粒子層中で導電性微粒子が凝集してい
る場合に比較して、より少ない導電性微粒子で同等の導
電性を有する透明導電性微粒子層を形成することが可能
である。さらに粒状成分同士の凝集に起因すると思われ
る点欠陥および厚さむらのない透明導電性微粒子層を基
材上に形成することが可能である。
【0048】透明導電性微粒子層の形成方法としては、
前記透明導電性被膜形成用塗布液をディッピング法、ス
ピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印
刷法などの方法で、基材上に塗布したのち、常温〜約9
0℃の範囲の温度で乾燥する。透明導電性被膜形成用塗
布液中にマトリックス形成成分が含まれている場合に
は、マトリックス形成成分の硬化処理を行ってもよい。
【0049】硬化処理としては、塗膜を加熱する処理
(加熱硬化)、塗膜に可視光線よりも波長の短い電磁波
を照射する処理(電磁波照射)、塗膜をマトリックス形
成成分の硬化促進するガス雰囲気中に晒す処理(ガス硬
化)などが挙げられる。上記のような方法によって形成
された透明導電性微粒子層(透明導電性被膜)の膜厚
は、約20〜200nmの範囲が好ましく、この範囲の膜
厚であれば電磁遮蔽効果に優れた透明導電性被膜を得る
ことができる。
【0050】このような透明導電性被膜は、電磁遮蔽に
必要な102〜104Ω/□の範囲の表面抵抗を有してい
ることが望ましい。 [透明被膜]このような基材表面に形成された透明導電
性微粒子層の表面に、前記した本発明に係る透明被膜形
成用塗布液を塗布して透明被膜が形成される。透明被膜
形成用塗布液の塗布方法としては前記第1の透明被膜付
基材を製造する際に例示したようなディッピング法、ス
ピナー法、スプレー法、ロールコーター法、フレキソ印
刷法などの湿式薄膜形成方法を採用することができる。
【0051】形成される透明被膜の膜厚は、前記第1の
透明被膜付基材と同様に、30〜300nm、好ましくは
80〜200nmの範囲であることが望ましい。このよう
な膜厚であれば、耐薬品性および反射防止性に優れた透
明被膜が得られる。こうして形成された透明被膜の屈折
率は、透明導電性微粒子層の屈折率よりも低い。このと
きの透明導電性微粒子層と透明被膜との屈折率の差は概
ね0.3以上あることが好ましい。さらに好ましくは0.
6以上あることが望ましい。屈折率の差が0.3未満の
場合は反射防止性能が不充分となる。
【0052】本発明に係る第2の透明被膜付基材では、
導電性被膜(透明導電性微粒子層)上に、硫黄化合物を
含む透明被膜形成用塗布液を用いて透明被膜が設けられ
ている。このため、透明被膜と導電性被膜との密着性が
高く、長期間使用しても導電性被膜を形成する金属微粒
子が酸化されてしまうことなどなく、しかも耐薬品性に
も優れた透明被膜付基材を得ることができる。
【0053】表示装置 本発明に係る表示装置は、前記第1および2の透明被膜
付基材で構成された前面板を備え、透明被膜が該前面板
の外表面に形成されていることを特徴としている。本発
明に係る表示装置は、ブラウン管(CRT)、蛍光表示
管(FIP)、プラズマディスプレイ(PDP)、液晶
用ディスプレイ(LCD)などのような電気的に画像を
表示する装置であり、上記のような透明導電性被膜付基
材で構成された前面板を備えている。
【0054】従来の前面板を備えた表示装置では、前面
板に画像が表示されると同時に電磁波が前面板から放出
され、この電磁波が観察者の人体に影響を及ぼすが、本
発明に係る表示装置では、前面板が102〜104Ω/□
の表面抵抗を有する基材で構成されていると、このよう
な電磁波、およびこの電磁波の放出に伴って生じる電磁
場を効果的に遮蔽することができる。
【0055】また、従来の表示装置では、光が前面板で
反射され、これによって生じた反射光によって表示画像
が見にくくなることがあったが、本発明に係る表示装置
では、前面板が可視光領域および近赤外領域で充分な反
射防止性能を有する透明被膜付基材で構成されているの
で、このような反射光を効果的に防止することができ
る。このため、鮮明な表示画像を得ることができる。
【0056】さらに、第2の透明被膜付基材で前面板を
構成した場合、透明導電性微粒子層、およびその上に形
成された透明被膜の少なくとも一方に少量の染料または
顔料が含まれていてもよい。この場合、含有された染料
または顔料がそれぞれ固有な波長の光を吸収するので、
たとえば、ブラウン管の前面板として使用すると、ブラ
ウン管から放映される表示画像のコントラストを向上さ
せることができる。
【0057】また、本発明に係る透明被膜形成用塗布液
から形成された透明被膜は耐薬品性に優れるとともに、
本発明に係る第2の透明被膜付基材のように、導電性粒
子層が設けられている場合には、導電性微粒子層と透明
被膜との密着性にも優れているので、導電性微粒子層が
変性することもなく、優れた表示性能を長期にわたって
維持することができる。このため、さらに長期間、表示
装置を使用しても、帯電防止性能、電磁波遮蔽性能が低
下することもない。
【0058】
【発明の効果】本発明に係る透明被膜形成用塗布液を使
用すれば、密着性、膜強度、反射防止性、酸化防止性、
錆防止性などに優れた透明被膜を形成でき、このような
透明被膜が形成された被膜付基材は耐薬品性に優れてい
る。また、本発明に係る透明被膜形成用塗布液を用い
て、基材上に形成した透明導電性微粒子層上に透明被膜
を形成すれば、耐薬品性および長期安定性に優れた透明
導電性被膜付基材を得ることができる。
【0059】本発明に係る表示装置は、前面板の外表面
に本発明に係る透明被膜形成用塗布液から形成された透
明被膜が形成されているので、可視光の散乱もなく鮮明
な表示画像が得られ、また優れた表示性能を長期にわた
って維持することができる。さらに導電性被膜が形成さ
れたものでは、導電性を長期にわたって維持することが
できるので帯電防止性能、電磁波遮蔽性能が低下するこ
ともない。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0061】
【実施例1〜8】酸化アンチモン微粒子分散ゾルの調製 酸化アンチモン微粒子(SQ-1)分散ゾルの調製 純水1800gに水酸化カリウム57gを溶解した溶液
に、三酸化アンチモン(日本精鉱(株)製:ATOX−
R、純度99%)111gを懸濁させた。こうして調製
した懸濁液を100℃に加熱し、過酸化水素水(林純薬
(株)製:特級、濃度35重量%)29.3gを純水2
20gで希釈した水溶液を、14時間かけて添加して
(添加速度0.06モル/時間)、三酸化アンチモンを
溶解した。
【0062】冷却後、得られた溶液から1000gを採
取し、この溶液を純水1500gで希釈した後、陽イオ
ン交換樹脂(三菱化学(株)製:pk−216)に通し
て脱イオンを行った。脱イオンを行った溶液を温度10
0℃で10時間加熱した後、限外濾過膜で濃縮して濃度
30重量%の酸化アンチモン微粒子(SQ-1)分散ゾルを
調製した。
【0063】得られた酸化アンチモン微粒子(SQ-1)の
平均粒子径、粒径分布および全光線透過率を測定した。
結果を表1に示す。 酸化アンチモン微粒子(SQ-2)分散ゾルの調製 上記酸化アンチモン微粒子(SQ-1)分散ゾルの調製工程
において、過酸化水素水の希釈水溶液を14時間で添加
する代わりに20時間で添加した(添加速度0.04モ
ル/時間)以外は同様にして酸化アンチモン微粒子(SQ
-2)分散ゾルを調製した。 得られた酸化アンチモン微
粒子(SQ-2)の平均粒子径、粒径分布および全光線透過
率を測定した。
【0064】結果を表1に示す。 酸化アンチモン微粒子(SQ-3)分散ゾルの調製 前記酸化アンチモン微粒子(SQ-1)分散ゾルの調製工程
において、過酸化水素水の希釈水溶液を14時間で添加
する代わりに8時間で添加した(添加速度0.1モル/
時間)以外は同様にして酸化アンチモン微粒子(SQ-3)
分散ゾルを調製した。得られた酸化アンチモン微粒子
(SQ-3)の平均粒子径、粒径分布および全光線透過率を
測定した。
【0065】結果を表1に示す。 酸化アンチモン微粒子(SQ-4)分散ゾルの調製 前記酸化アンチモン微粒子(SQ-1)分散ゾルの調製工程
において、過酸化水素水29.3g使用する代わりに4
4g使用し添加速度を0.06モル/時間とした以外は
同様にして酸化アンチモン微粒子(SQ-4)分散ゾルを調
製した。
【0066】得られた酸化アンチモン微粒子(SQ-4)の
平均粒子径、粒径分布および全光線透過率を測定した。
結果を表1に示す。シリカ前駆体の調製(マトリックス形成成分) 正珪酸エチル(TEOSともいう、SiO2に換算したと
き28重量%のSiO2を含む)50g、エタノール19
4.6g、濃硝酸1.4gおよび純水34gの混合溶液を
室温で5時間攪拌してSiO2濃度5重量%のシリカ前駆
体成分を含む液(M)を調製した。
【0067】透明被膜形成用塗布液(B-1〜B-8)の調製 上記シリカ前駆体成分を含む(M)液に、エタノールとブ
タノールとジアセトンアルコールとイソプロピルアルコ
ールとの混合溶媒(エタノール:ブタノール:ジアセト
ンアルコール:イソプロピルアルコール重量比=2:
1:1:5)と、上記した酸化アンチモン微粒子(SQ-
1)〜(SQ-4)分散ゾルとを、酸化アンチモン微粒子(S
Q-1)〜(SQ-4)が表1に示す濃度となり、かつシリカ
前駆体成分をSiO2に換算したときの濃度が1重量%と
なるように混合し、透明被膜形成用塗布液(B-1〜B-8)を
調製した。第1の透明被膜付基材の作製 基材としてITO(スズドープ酸化インジウム)膜付透
明ガラス板(屈折率:1.80)を用い、この表面を4
0℃で保持しながら、スピナー法で100rpm、90秒
の条件で上記透明被膜形成用塗布液(B-1〜B-8)をそれぞ
れ透明被膜の膜厚が100nmとなるように塗布・乾燥
し、160℃で30分間焼成して透明被膜付基材を得
た。形成した透明被膜の屈折率を、エリプソメーター(U
LVAC社製:EMS-1、波長550nm)により測定した。結果
を表1に示す。
【0068】また得られた透明被膜付基材について、以
下の評価を行った。結果を表1に示す。 [耐薬品性の評価(1)]透明被膜付基材を、6Nの硝
酸水溶液に10時間浸漬し、被膜側の基材表面の反射
率、ヘーズを測定した。 [耐薬品性の評価(2)]透明被膜付基材を、6Nの硝
酸水溶液に600時間浸漬し、被膜側の基材表面の反射
率、ヘーズを測定した。
【0069】なお、ヘーズはへーズコンピューター(日
本電色(株)製:3000A)で測定した。反射率は反射率計
(大塚電子(株)製:MCPD-2000)を用いて測定し、波長4
00〜700nmの範囲で反射率が最も低い波長での反射
率とし、これにより評価した。 [密着性]密着性は、透明被膜の表面にナイフで縦横そ
れぞれ1mmの間隔で11本の傷を付けて100子の升
目を作り、これに粘着テープを接着し、ついで粘着テー
プを剥離したときに、被膜が剥離せずに残存している升
目の多少を以下の基準により評価した。
【0070】 残存升目の数が98個以上:◎ 残存升目の数が95個以上:○ 残存升目の数が94個以下:×
【0071】
【比較例1】透明被膜形成用塗布液(B-9)の調製 上記マトリックス形成成分を含む(M)液に、エタノール
/ブタノール/ジアセトンアルコール/イソプロピルア
ルコール(2:1:1:5重量混合比)の混合溶媒を加
え、SiO2 濃度1重量%の透明被膜形成用塗布液(B-9)
を調製した。
【0072】透明被膜付基材の製造 上記で得た透明被膜形成用塗布液(B-9)を用いた以外は
実施例1〜8と同様にして透明被膜付基材を作製し、実
施例1と同様に耐薬品性および密着性を評価した。結果
を表1に示す。
【0073】
【実施例9〜18】第2の透明被膜付基材の作製 ブラウン管用パネルガラス(14")の表面を40℃で保
持しながら、スピナー法で100rpm、90秒の条件で
下記に示す透明導電性被膜形成用塗布液(CS-1)〜(CS-4)
をそれぞれ透明導電性被膜の膜厚が20nmとなるよう
に塗布し乾燥した。形成した導電性被膜の屈折率をエリ
プソメーター(ULVAC社製:EMS-1、波長550nm)により
測定したが、いずれも屈折率は2.0以上であった。
【0074】次いで、このようにして形成された各透明
導電性微粒子層上に、スピナー法で100rpm、90秒
の条件で上記透明被膜形成用塗布液(B-1〜B-8)を透明被
膜の膜厚がそれぞれ80nmとなるように塗布・乾燥
し、160℃で30分間焼成して透明導電性被膜付基材
を得た。得られた透明導電被膜付基材について、表面抵
抗、反射率、ヘーズを測定した。
【0075】また得られた透明導電被膜付基材につい
て、以下に示す耐薬品性の評価(3)および(4)を行
った。結果をあわせて表2に示す。 [耐薬品性の評価(3)]透明被膜付基材を、6Nの硝
酸水溶液に10時間浸漬し、前記と同様に表面抵抗、反
射率、ヘーズを測定した。 [耐薬品性の評価(4)]透明被膜付基材を、6Nの硝
酸水溶液に600時間浸漬し、前記と同様に表面抵抗、
反射率、ヘーズを測定した。
【0076】なお、使用する導電性微粒子分散液は、以
下のようにして調製した。導電性微粒子分散液の調製 金属微粒子(P-1、P-4)の分散液は、以下の方法で調製
した。純水100gに、あらかじめクエン酸3ナトリウ
ムを金属微粒子1重量部当たり0.01重量部となるよ
うに加え、これに金属換算で濃度が10重量%となり、
金属種が表3の重量比となるように硝酸銀および硝酸パ
ラジウム水溶液を加え、さらに硝酸銀および硝酸パラジ
ウムの合計モル数と等モル数の硫酸第一鉄の水溶液を添
加し、窒素雰囲気下で1時間攪拌して金属微粒子の分散
液を得た。得られた分散液は遠心分離器により水洗して
不純物を除去した後、水に分散させ、ついで表2に示し
た溶媒(1−エトキシ−2−プロパノール)を混合した
後ロータリーエバポレーターにて水分を除去するととも
に濃縮して表2に示す固形分濃度の金属微粒子分散液
(S-1、S-4)を調製した。
【0077】金属微粒子(P-2,P-3)の分散液は、以下
の方法で調製した。純水100gに、あらかじめクエン
酸3ナトリウムを金属微粒子1重量部当たり0.1重量
部となるように加え、これに金属換算で濃度が1重量%
となるように表3の金属種の金属塩水溶液(塩化金酸水
溶液、塩化ルテニウム水溶液)を加えて溶解し、さらに
溶解した金属塩の合計モル数と等モル数の濃度5重量%
の水素化ホウ素ナトリウム水溶液を添加して金属微粒子
の分散液を得、さらにこの分散液を限外濾過装置で洗浄
し、ついで濃縮した。その後、表2に示した溶媒(1−
エトキシ−2プロパノール、イソブタノール)を混合し
た後ロータリーエバポレーターにて水分を除去するとと
もに濃縮して表2に示す固形分濃度の金属微粒子分散液
(S-2,S-3)を調製した。
【0078】導電性カーボン微粒子(P-5)の分散液
は、以下の方法で調製した。1−エトキシ−2プロパノ
ール100gに、導電性カーボン微粒子(P-5)(三菱化
学(株)製 平均粒子径60nm)を濃度20重量%に
なるように加えて導電性カーボン微粒子分散液(S-5)
を調製した。以上のような(S-1)〜(S-5)の分散液と、上
記シリカ前駆体成分を含む液(M)と、エタノール、イソ
プロピルアルコール、t-ブタノール、1-エトキシ-2プロ
パノールとを、表2に示す混合比で混合して透明導電性
被膜形成用塗布液(CS-1)〜(CS-4)を調製した。
【0079】
【比較例2】透明被膜付パネルガラスの製造 上記で得た透明被膜形成用塗布液(B-9)を用いた以外は
実施例9と同様にして透明導電性被膜付基材を得た。得
られた透明導電性被膜付基材の耐薬品性、表面抵抗、ヘ
ーズ、反射率、微粒子の粒子径を測定した。
【0080】結果を表2に示す。
【0081】
【表1】
【0082】
【表2】
【0083】
【表3】
【0084】表1および2から明らかなように、本発明
に係る透明被膜形成用塗布液は、密着性に優れた透明被
膜を形成することができ、かつ得られた透明被膜付基材
は耐薬品性に優れている。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 城 野 勝 博 福岡県北九州市若松区北湊町13番2号 触 媒化成工業株式会社若松工場内 Fターム(参考) 4J038 AA011 DL021 DL031 DM021 HA211 HA216 HA441 JC32 JC38 NA01 NA20 5C028 AA02 AA03 AA05 AA07 5C032 AA01 AA06 AA07 DD02 DE01 DF01 DF02 DF03 DF04 DG01 DG02 DG06 DG10 5G435 AA01 AA08 AA14 BB02 BB03 BB06 BB12 GG32 GG33 HH02 HH03 HH05 KK07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ケイ素化合物、チタニウム化合物、ジルコ
    ニウム化合物またはこれらの加水分解物から選ばれる1
    種以上からなるマトリックス形成成分と、 酸化アンチモン微粒子とを含む透明被膜形成用塗布液。
  2. 【請求項2】前記酸化アンチモン微粒子の平均粒子径が
    2〜100nmの範囲にあることを特徴とする請求項1
    に記載の透明被膜形成用塗布液。
  3. 【請求項3】前記マトリックス形成成分が加水分解性有
    機ケイ素化合物の加水分解縮重合物、またはアルカリ金
    属ケイ酸塩水溶液を脱アルカリして得られるケイ酸縮重
    合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    透明被膜形成用塗布液。
  4. 【請求項4】基材と、該基材表面に形成された透明被膜
    とを有し、 該透明被膜が、請求項1〜3のいずれかに記載の透明被
    膜形成用塗布液を、基材表面に塗布・乾燥されてなり、
    かつ前記透明被膜の屈折率が、前記基材の屈折率よりも
    低いことを特徴とする透明被膜付基材。
  5. 【請求項5】基材と、該基材表面に形成された透明導電
    性微粒子層と、該透明導電性微粒子層表面に形成された
    透明被膜とを有し、 該透明被膜が、請求項1〜3のいずれかに記載の透明被
    膜形成用塗布液を、基材表面に塗布・乾燥されてなり、
    かつ前記透明被膜の屈折率が、前記透明導電性微粒子層
    の屈折率よりも低いことを特徴とする透明被膜付基材。
  6. 【請求項6】請求項4または5に記載の透明被膜付基材
    で構成された前面板を備え、透明被膜が該前面板の外表
    面に形成されていることを特徴とする表示装置。
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WO2004108845A1 (ja) * 2003-06-06 2004-12-16 Catalysts & Chemicals Industries Co., Ltd. 透明被膜形成用塗布液、該被膜付基材および液晶表示セル
CN106904943A (zh) * 2017-03-16 2017-06-30 贵州理工学院 一种原位制备氧化锑薄膜的方法

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