JP2012125076A - 永久磁石モータ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】永久磁石モータにおいて、ロータコアを構成する電磁鋼板に永久磁石の形状に合わせた溝を形成し、永久磁石をこの溝に押し込み、両者の底面の間に塗布された接着剤により接着する際、溝の側壁上端に、両者の底面の間から、溝の側壁と永久磁石の側壁との間隙を通して流出した接着剤が導入される接着剤貯留凹所を形成し、該凹所に貯留された接着剤の量を視認することにより、接着剤の塗布状態を確認できるようにした。
【選択図】図1
Description
このように、ロータコアの外表面に磁石を接着剤で取り付ける技術として、下記特許文献1、2が挙げられる。
ロータコア2は、水平軸回りに回転可能に保持する治具に取り付けられており、上端にきた磁石用溝部3に対し、底面に接着剤が塗布された、平板型の磁石1を、磁石保持機構を備えたプッシャなどにより、(b)に示されるように位置決めした後、(a)に示されるように磁石用溝3の内部に水平に押し込む。
一方、接着剤が少なすぎて、接着剤が磁石の周囲に溢れ出さない状態であると、接着剤が磁石底面とロータコアに形成した溝底面の間に、接着剤が均一に充填されているかどうかの確認ができないことから、ある程度の接着剤が溢れるように塗布せざるを得ず、そのため、磁石1を押し込んだ後、その周辺部の全域に、何ら制御されることなく流出した接着剤を取り除き、清浄化する工程が必要不可欠となる。特に溢れ出た接着剤が硬化してしまうと、除去作業が困難になり、製造工程を複雑にするとともに、コストアップの原因となっていた。
(1)巻線を設けたステータと、電磁鋼板を積層したロータコアと、該ロータコアに接着した永久磁石とからなるロータコアとで構成される永久磁石モータにおいて、前記電磁鋼板に前記永久磁石の形状に合わせた溝を形成し、前記永久磁石を前記溝に押し込み、前記永久磁石の底面と該溝の底面との間に塗布された接着剤により接着する際、互いに対向する前記溝の側壁あるいは前記永久磁石の側壁の少なくとも一方に、前記溝の底面と前記永久磁石の底面との間から、前記溝の側壁と前記永久磁石の側壁との間隙を通して流出した接着剤が導入される接着剤貯留凹所を形成し、該凹所に貯留された前記接着剤の量を視認することにより、接着剤の塗布状態を確認できるようにした。
図1に示す実施形態1では、磁石1は平板状の形状であり、ロータコア2の磁石用溝部3の底面に、エラストマー系あるいはエポキシ系など、ある程度の粘度を有する接着剤4を塗布した後、磁石1をこの磁石用溝部3に押し込んで接着する。
磁石用溝部3の底面に塗布された接着剤4は、磁石1の押し込みに伴い、磁石1の底面と磁石用溝部3の底面との間で広がった後、磁石1の両側壁と磁石用溝部3の両側壁との間に押し出され、テーパ部5により左右に形成された接着剤貯留凹所6の双方に到り、徐々に貯留されることになる。
したがって、磁石1の底面に塗布される接着剤4を適正な塗布量に調節しておけば、この接着剤貯留凹所6の左右双方にわずかでも接着剤4が押し出されていれば、(d)に示すように、接着剤4が磁石1の底面全面にわたり均一に塗布されたことになる。これにより、接着剤4が接着剤貯留凹所6のいずれからも溢れ出ることなく、磁石1の底面と磁石用溝部3の底面との間に、全面にわたり略一定厚さの接着剤層が形成されたことを容易に判別することができる。
より確実に上下方向からの流出を防止するため、磁石1あるいは磁石用溝部3の底面に、この開放端に沿って、接着剤の流出を防ぐ微少突起を設けてもよいし、あるいは、磁石1の押し込みに先立って、ロータコア2の表裏に、接着剤の流出を防止する、フッ素樹脂コーティング等の難接着処理を施した流出防止板等を押し当てるようにしてもよい。
すなわち、図1において、予め準備段階で、磁石1の底面を磁石用溝部3の底面に対して、厳格に水平を維持しながら所定の深さに押し込む。その際、磁石1の底面と磁石用溝部3の底面との間に、全面にわたり一定厚さの接着剤層が形成され、磁石1が強固に接着されるとともに、磁石1の上面が設計上最適な高さに配置され、しかも、左右双方の接着剤貯留凹所6から接着剤4が溢れ出ることなく、容易に視認できる程度の量が左右両接着剤貯留凹所6に貯留されるよう、試行錯誤を繰り返して、接着剤4の最適塗布量を予め実験で求めておく。
このように最適塗布量が定められれば、実際の接着工程において、接着剤充填装置から供給される接着剤の量を調整した上で、上記の手順で磁石2の接着を行えばよい。
また、両方の接着剤貯留凹所6のいずれにも接着剤4が十分に貯留されない場合は、磁石1の押し込み量が不十分であり、磁石1の適正な押し込みが行われておらず、接着剤4の塗布厚さは想定していた厚さよりも厚くなっていると判定できる。
逆に左右双方の接着剤貯留凹所6から、接着剤4が溢れるような場合は、磁石1の押し込みが過度であり、適正な厚さの接着剤塗布層が形成されていないことが判定できる。
さらに、溢れた接着剤が硬化した後は、磁石1に作用する応力に対し、応力集中が起きにくい形状になることから、ダンパーの働きをするといった効果もある。
なお、図9ではテーパ部5は磁石用溝部3の上端角部の中心に1箇所のみで示したが、数箇所に設けてもよいし、磁石用溝部3の端部等に設けてもよい。なお、ロータコア2に電磁鋼鈑を用いることにより、磁石用溝部3の形状は抜き型により自由に成型できるので、上記の態様のほか、様々な態様をきわめて簡単に実現することができる。
また。図1〜10の実施形態では、断面が平板上の磁石を使用したが、磁石1の断面がかまぼこ型や扇型でも、この形状に対応した形状の磁石用溝部3に接着する構造であれば、その上端の角部に、上述のようなテーパ等を設けて接着剤貯留凹所6を形成することで同様な効果が得られる。
2 ロータコア
3 磁石用溝部
4 接着剤
5 テーパ部
6 接着剤貯留凹所
Claims (4)
- 巻線を設けたステータと、電磁鋼板を積層したロータコアと、該ロータコアに接着した永久磁石とからなるロータコアとで構成される永久磁石モータにおいて、
前記電磁鋼板に前記永久磁石の形状に合わせた溝を形成し、前記永久磁石を前記溝に押し込み、前記永久磁石の底面と該溝の底面との間に塗布された接着剤により接着する際、
互いに対向する前記溝の側壁あるいは前記永久磁石の側壁の少なくとも一方に、前記溝の底面と前記永久磁石の底面との間から、前記溝の側壁と前記永久磁石の側壁との間隙を通して流出した接着剤が導入される接着剤貯留凹所を形成し、該凹所に貯留された前記接着剤の量を視認することにより、接着剤の塗布状態を確認できるようにしたことを特徴とする永久磁石モータ。 - 前記溝の上端角部にテーパを設け、前記磁石と前記溝の側壁との間に隙間を生じせしめて、前記接着剤貯留凹所を形成し、当該凹所に貯留される接着剤を視認することにより、隙間を接着剤の充填量を確認できるようにしたことを特徴とする請求項1記載の永久磁石モータ。
- 前記溝の上端角部に設けるテーパは、該上端角部の一部のみに形成することを特徴とする請求項2に記載の永久磁石モータ。
- 前記磁石を前記溝に押し込み、両者の底面間に一定の厚さの接着剤層が形成され、しかも、前記接着剤が前記接着剤貯留凹所を溢れ出すことなく、一定の高さに貯留される接着剤の塗布量を予め実験により定める工程と、
前記磁石の底面あるいは前記溝の底面のいずれか一方に、前記実験により求めた塗布量の接着剤を塗布する工程と、
前記磁石を前記溝に押し込み、前記接着剤貯留凹所に貯留される接着剤の量に基づいて、前記磁石の接着状態を判定する工程とからなる、請求項1ないし3記載の永久磁石モータを製造する方法。
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