JP2012123994A - 膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池 - Google Patents

膜電極接合体およびそれを用いた燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】膜電極接合体の劣化を抑制する技術を提供する。
【解決手段】膜電極接合体120は、第1と第2の電解質膜11,12を含む電解質膜層10と、第1と第2の電極層20,30とを備える。第1の電極層20は、触媒層21の外周端が電解質膜層10の外周端より内側に位置するとともに、ガス拡散層22の外周端が触媒層21の外周端より内側に位置している。第2の電極層30は、触媒層31およびガス拡散層32の外周端が、第1の電極層20における触媒層21の外周端より外側に位置している。電解質膜層10は、第1の電解質膜11の長辺方向および短辺方向における熱収縮量が、第2の電解質膜12の長辺方向および短辺方向における熱収縮量よりも小さくなるように構成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、燃料電池に関する。
燃料電池としては、プロトン伝導性を有する電解質膜の両側に電極層が配置された膜電極接合体を備えるものが知られている。電極層は、反応ガスを電極面全体に行き渡らせるためのガス拡散層と、燃料電池反応を促進させるための触媒が担持された触媒層とを有する(下記特許文献1)。
ここで、電解質膜は、膜電極接合体の製造時や、燃料電池の運転時において、熱収縮により、変形・劣化する可能性がある。また、電解質膜は、ガス拡散層が導電性を有する繊維基材によって構成された場合には、繊維基材の外表面に存在する微細な突起である毛羽による突き刺しによって、電解質膜が損傷・劣化してしまう可能性がある。
さらに、燃料電池では、その発電の際に、反応ガスである水素や酸素が電解質膜を透過して、供給された側の電極とは反対側の電極へと移動してしまう、いわゆるクロスリークが発生する場合がある。クロスリークが発生すると、膜電極接合体の同じ電極層の側に水素と酸素とが存在することとなり、電極層において過酸化水素が生成される可能性が高くなる。電極層で生成された過酸化水素は、ラジカル化して、電解質膜を劣化さる原因となることが知られている。これまで、上述のような電解質膜の劣化を抑制し、膜電極接合体の劣化を抑制することについて十分な工夫がなされてこなかったのが実情であった。
特開2007−213830号公報 特開平6−084528号公報 特開平7−135004号公報 特開2006−059756号公報
本発明は、膜電極接合体の劣化を抑制する技術を提供することを目的とする。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現することが可能である。
[適用例1]
燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、第1と第2の電解質膜を含む多層構造を有する電解質膜層と、前記電解質膜層の両側に配置された第1と第2の電極層と、を備え、前記第1の電解質膜は、前記第1の電極層の側に配置されており、前記第2の電解質膜は、前記第2の電極層の側に配置されており、前記第1と第2の電極層はそれぞれ、前記電解質膜層の外表面に接して配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有しており、前記第1の電極層は、電極面に垂直な方向に沿って見たときに、前記第1の電極層における前記触媒層の外周端が前記電解質膜層の外周端より内側に位置するとともに、前記第1の電極層における前記ガス拡散層の外周端が前記第1の電極層における前記触媒層の外周端より内側に位置しており、前記第2の電極層は、電極面に垂直な方向に沿って見たときに、前記第2の電極層における前記触媒層および前記ガス拡散層の外周端が、少なくとも前記第1の電極層における前記触媒層の外周端より外側に位置しており、前記電解質膜層は、前記第1の電解質膜の所定の方向における熱収縮量が、前記第2の電解質膜の前記所定の方向における熱収縮量よりも小さくなるように構成されることにより、前記第2の電解質膜の熱変形が抑制されている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、第1の電極層側の面において、触媒層によってガス拡散層と電解質膜層とが直接的に接触することが抑制されている。そのため、ガス拡散層の外表面における毛羽や、ガス拡散層において生成された過酸化水素ラジカルによって電解質膜層の電解質膜が劣化することを抑制することができる。また、この膜電極接合体では、第1の電極層において、ガス拡散層の外周端と電解質膜層の外周端との間の領域に、反応ガスのクロスリークを抑制するためのシール領域を形成することができる。さらに、この膜電極接合体では、電解質膜層において、熱収縮量が小さい第1の電解質膜が第1の電極層側に配置され、熱収縮量が大きい第2の電解質膜が第2の電極層側に配置されることにより、電解質膜層の外周端部が、熱変形により、第1の電極層側へとめくれ上がることが抑制されている。
[適用例2]
適用例1記載の膜電極接合体であって、前記第1の電解質膜は、前記第2の電解質膜より熱収縮率が小さい材料で構成されている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、熱収縮率の異なる材料を用いて、第1と第2の電解質膜を含む電解質膜層を容易に構成することができる。
[適用例3]
適用例2記載の膜電極接合体であって、前記第1の電解質膜は、前記第2の電解質膜よりEW値が大きい材料で構成されている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、EW値の異なる材料を用いて、第1と第2の電解質膜を含む電解質膜層を容易に構成することができる。また、この膜電極接合体では、熱変形が抑制された第1の電解質膜と、EW値が小さい、即ち、イオン伝導率が高い第2の電解質膜とが組み合わされているため、電解質膜層において、耐劣化性を向上させつつ、イオン伝導性を確保することができる。
[適用例4]
適用例1〜3のいずれか1つに記載の膜電極接合体であって、前記電解質膜層は、前記第1の電解質膜に補強部材が設けられることにより、前記第1の電解質膜の所定の方向における熱収縮量が、前記第2の電解質膜の前記所定の方向における熱収縮量よりも低減されている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、補強部材を用いて第1の電解質膜の熱収縮を抑制することにより、第2の電解質膜の熱変形を抑制することができる。
[適用例5]
適用例1記載の膜電極接合体であって、前記電解質膜層の外周は長方形形状を有しており、前記第1と第2の電解質膜は、互いに同じ材料で構成されるとともに、予め所定の方向に引っ張り応力を付与した状態で前記電解質膜層に組み付けられ、前記電解質膜層は、前記第1の電解質膜が、前記引っ張り応力が付与された方向が短辺方向となるように配置され、前記第2の電解質膜が、前記引っ張り応力が付与された方向が長辺方向となるように配置されることにより、前記第1の電解質膜の前記長辺方向における熱収縮量が、前記第2の電解質膜の前記長辺方向における熱収縮量より小さくなるように構成されている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、第1と第2の電解質膜に予め引っ張り応力を付与しておくことにより、容易に電解質膜層の熱変形を抑制することが出来る。
[適用例6]
適用例1〜5のいずれか一つに記載の膜電極接合体であって、前記第2の電極層は、電極面に垂直な方向に沿って見たときに、前記触媒層および前記ガス拡散層の外周端が、前記電解質膜層の外周端とほぼ重なり、前記電解質膜層の外周端には、流体の漏洩を抑制するためのシール部が形成されている、膜電極接合体。
この膜電極接合体によれば、電解質膜層の一方の面の全体が、第2の電極層によって被覆されるため、電解質膜層がさらに保護される。また、シール部により、第1の電極層の触媒層と、第2の電極層の触媒層との間が確実にシールされるため、反応ガスのクロスリークの発生が抑制される。
[適用例7]
燃料電池であって、適用例1〜6のいずれか一つに記載の膜電極接合体と、前記膜電極接合体を狭持するセパレータと、を備える、燃料電池。
この燃料電池によれば、膜電極接合体の劣化が抑制されているため、発電性能の低下が抑制される。
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、膜電極接合体、その膜電極接合体を備えた燃料電池、その燃料電池を備えた燃料電池システム、その燃料電池システムを搭載した車両等の形態で実現することができる。
燃料電池の構成を示す概略図。 第1の電極層の構成を説明するための概略図。 膜電極接合体における電解質膜層の劣化の抑制を説明するための概略図。 参考例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第2実施例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第2実施例の電解質膜層を分解して示す概略図。 第2実施例の他の構成例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第2実施例の他の構成例としての燃料電池の構成を示す概略図。 第3実施例としての燃料電池の構成を示す概略図。 電解質膜層を構成する第1と第2の電解質膜を分解して示す概略図。 電解質膜におけるMD方向を説明するための模式図。
A.第1実施例:
図1は本発明の一実施例としての燃料電池の構成を示す概略図である。この燃料電池100は、反応ガスとして水素と酸素の供給を受けて発電する固体高分子形燃料電池である。燃料電池100は、複数の単セル110が積層されたスタック構造を有する。単セル110は、膜電極接合体120と、膜電極接合体120を狭持する2枚のセパレータ60,70とを備える。
膜電極接合体120は、第1と第2の電解質膜11,12が厚み方向に積層された多層構造を有する電解質膜層10の両側に、第1と第2の電極層20,30が設けられた発電体である。電解質膜層10に含まれる第1と第2の電解質膜11,12としては、湿潤状態で良好なプロトン伝導性を示すフッ素樹脂系のイオン交換膜を用いることができる。第1と第2の電解質膜11,12はそれぞれ、熱収縮率の異なる材料によって構成されているが、この理由については後述する。第1と第2の電解質膜11,12同士は、ホットプレスなどにより互いに接合されている。なお、図1では、第1と第2の電解質膜11,12が互いに異なる材料で構成されていることを濃度の異なるハッチングを付すことにより図示するとともに、それらの接合界面を破線で図示してある。
第1の電極層20は、第1の電解質膜11の外表面に設けられた触媒層21と、触媒層21の上に設けられたガス拡散層22とを有する。同様に、第2の電極層30は、第2の電解質膜12の外表面に設けられた触媒層31と、触媒層31の上に設けられたガス拡散層32とを有する。なお、本実施例の燃料電池100では、その運転の際に、第1の電極層20がカソードとして機能し、第2の電極層30がアノードとして機能する。
各触媒層21,31は、ガス拡散性と導電性とを有し、燃料電池反応を促進するための触媒(例えば、白金(Pt))が担持されている。各触媒層21,31は、第1または第2の電解質膜11,12の外表面に、水溶性溶媒または有機溶媒に触媒担持カーボンと電解質膜と同種の化合物である電解質を分散させた混合溶液である触媒インクを塗布し、乾燥させることによって形成することができる。なお、各触媒層21,31は、予めフィルム基材の表面に形成された触媒層を第1または第2の電解質膜11,12の外表面に転写することにより形成されるものとしても良い。
ガス拡散層22,32は、反応ガスを触媒層21,31の全体に行き渡らせるためのものである。ガス拡散層22,32は、炭素繊維や黒鉛繊維などの導電性およびガス拡散性を有する多孔質の繊維基材を触媒層21,31の上に重ねて配置し、ホットプレスなどで接合することにより形成することができる。なお、ガス拡散層22,32の触媒層21,31側の面にはMPL(Micro Porous Layer)などの撥水層が設けられるものとしても良い。ここで、膜電極接合体120では、第1と第2の電極層20,30が、以下に説明するように、互いに異なる構成を有している。
図2は、第1の電極層20の構成を説明するための概略図であり、膜電極接合体120の第1の電極層20の側を、電極面に垂直な方向に沿って見たときの概略図である。第1実施例の膜電極接合体120では、電解質膜層10の外周形状は略長方形形状を有している。また、第1の電極層20の触媒層21およびガス拡散層22も同様に、外周形状が略長方形形状を有している。なお、触媒層21およびガス拡散層22は、それらの長辺方向が電解質膜層10の長辺方向と一致するように配置されている。
ここで、膜電極接合体120では、第1の電極層20は、触媒層21の全ての外周端が電解質膜層10の外周端より内側に位置するとともに、ガス拡散層22の全ての外周端が触媒層21の外周端より内側に位置するように構成されている。一方、第2の電極層30は、触媒層31およびガス拡散層32の全ての外周端は、電解質膜層10の外周端とほぼ重なるように構成されている。このように、第1と第2の電極層20,30は、電解質膜層10を挟んで互いに非対称に形成されている。第1と第2の電極層20,30を、このように構成する理由については後述する。
膜電極接合体120は、単セル110として組み付けられる際には、その外周にシール部40が形成される(図1)。また、膜電極接合体120の第1と第2の電極層20,30のそれぞれの外側には、シール部40を押圧して狭持する、カソードセパレータ60およびアノードセパレータ70が配置される。なお、各セパレータ60,70と膜電極接合体120の電極面との間には、ガス流路部材50が配置される。
シール部40は、膜電極接合体120の電解質膜層10および第1と第2の電極層20,30の外周端部を被覆するように樹脂材料を射出成形することにより設けられている。シール部40の外表面には、各セパレータ60,70によって狭持されたときに、各セパレータ60,70との間にシールラインが形成されるようにリブ(図示せず)が形成されている。燃料電池100では、このシールラインによって、反応ガスが燃料電池100の外部へと漏洩してしまうことが抑制される。
各セパレータ60,70は、導電性を有するガス不透過の板状部材(例えば金属板)によって構成され、燃料電池100において、導電パスとして機能するとともに、反応ガスのための流路として機能する。カソードセパレータ60の膜電極接合体120側の面には、酸素のための流路溝61が形成され、アノードセパレータ70の膜電極接合体120側の面には、水素のための流路溝71が形成されている。各流路溝61,71は、シール部40によって囲まれた領域の全体に渡って形成されている。
なお、各流路溝61,71のうちの、一方、または、その両方は省略されるものとしても良い。また、各セパレータ60,70には、さらに、冷媒のための流路溝や、反応ガスおよび冷媒のためのマニホールドが形成されるものとしても良い。
2つのガス流路部材50は、各セパレータ60,70の流路溝61,71と第1と第2の電極層20,30との間のガス流路として機能するとともに導電パスとしても機能する。ガス流路部材50は、いわゆるエキスパンドメタルやパンチングメタルなどの金属板を多孔質に加工した部材や、カーボン焼結体などの導電性を有する多孔質部材によって構成することができる。なお、2つのガス流路部材50は、その一方、または、その両方が省略されるものとしても良い。
図3は、本実施例の膜電極接合体120における電解質膜層10の劣化の抑制を説明するための概略図である。図3には、膜電極接合体120の外周端のみが模式的に図示されている。前記したとおり、ガス拡散層22,32は、カーボンペーパーや黒鉛繊維などの繊維基材によって構成されている。通常、繊維基材の外表面には毛羽が存在する。特に、その外周端部には厚み方向に突起した毛羽が多く存在する。ガス拡散層22,32の外表面やその外周端部にも、微小な毛羽FLが存在する。なお、図3では、便宜上、ガス拡散層22,32の触媒層21,31側へと突起する毛羽FLのみを模式的に図示してあり、他の部位における毛羽FLについては図示を省略してある。
ここで、ガス拡散層22,32と電解質膜層10とが直接的に接触するか、あるいは、著しく近接する場合には、ガス拡散層22,32の毛羽FLが電解質膜層10に突き刺さり、電解質膜層10を損傷・劣化させてしまう。電解質膜層10に毛羽による微小穴が生じた場合には、燃料電池100の運転の際に、反応ガスのクロスリークや、電極同士の短絡が生じてしまう可能性が高くなる。
しかし、本実施例の膜電極接合体120では、第1の電極層20において、ガス拡散層22の外周端が、触媒層21の外周端より内側に位置している。そのため、ガス拡散層22と電解質膜層10の第1の電解質膜11とが直接的に接触することが回避されており、ガス拡散層22の毛羽FLが電解質膜層10に突き刺さることによる電解質膜層10の損傷・劣化が抑制されている。即ち、第1の電極層20では、触媒層21が、ガス拡散層22と電解質膜層10とを離隔し、毛羽FLによる突き刺しから電解質膜層10を保護する保護層として機能する。
また、本実施例の膜電極接合体120では、第2の電極層30において、触媒層31およびガス拡散層32の外周端面が電解質膜層10の外周端面とほぼ揃った位置にあり、ガス拡散層32の外周端が触媒層31の外周端より突出していない。そのため、第2の電極層30においても、触媒層31によって、ガス拡散層32と電解質膜層10の第2の電解質膜12とが直接的に接触することが抑制されており、ガス拡散層32の毛羽FLによる突き刺しから電解質膜層10が保護されている。
ところで、燃料電池では、その発電の際に、反応ガスが、供給された電極とは反対側の電極へと電解質膜を透過して移動してしまう場合がある。こうした反応ガスの透過移動により、同じ電極の側に水素と酸素とが存在してしまうと、その水素と酸素とが互いに反応して過酸化水素(H22)が生成されてしまう場合がある。膜電極接合体において生じた過酸化水素は、ラジカル化して電解質膜を劣化させてしまう。
しかし、過酸化水素がラジカル化した過酸化水素ラジカルは、触媒層において、触媒の作用により、水や酸素に変換され、消滅する可能性が高い。本実施例の膜電極接合体120では、前記したとおり、第1と第2の電極層20,30において、触媒層21,31によって、ガス拡散層22,32と電解質膜層10との間の直接的な接触が回避されている。そのため、ガス拡散層22,32において過酸化水素が発生した場合であっても、その過酸化水素ラジカルが電解質膜層10に到達する前に、触媒層21,31において消滅させることが可能である。
さらに、本実施例の膜電極接合体120では、第1の電極層20側の面に、第1の電解質膜11が触媒層21より突出した突出部位11e(一点鎖線で図示)が形成されている。図1で説明したように、単セル110では、膜電極接合体120の外周端部を被覆するようにシール部40が形成される。即ち、膜電極接合体120が単セル110に組み付けられたときには、第1の電解質膜11の突出部位11eは、シール部40によって被覆され、その突出部位11eが第1と第2の電極層20,30の間のガスの移動を遮断するシール領域として機能する。
図4は、本発明の参考例としての燃料電池100aの構成を示す概略図である。図4は、多層構造の電解質膜層10に換えて単層構造の電解質膜10aが設けられている点と、膜電極接合体120の外周端部の一部が変形し、シール部40の成形不良が発生している状態が模式的に図示されている点以外は、図1とほぼ同じである。
参考例の燃料電池100aでは、膜電極接合体120aが、本実施例と同様な構成の第1と第2の電極層20,30を有している。そのため、参考例の燃料電池100aにおいても、膜電極接合体120aの電解質膜10aは、ガス拡散層22,32の毛羽FLや過酸化水素ラジカルによる劣化から保護されている。しかし、参考例の膜電極接合体120aでは、以下のような不具合が発生する可能性がある。
ここで、一般に、膜電極接合体を構成する電解質膜は、高温(例えば100℃)において、熱収縮による変形を生じやすい。そのため、燃料電池の製造工程の中の部材同士の接合工程や、シール部を形成するための射出成形工程など、電解質膜が高温に加熱される工程では、電解質膜に熱収縮による変形が発生してしまう可能性がある。従って、電解質膜は、そうした加熱工程において、その全面が確実に保持されていることが好ましい。
しかし、この参考例では、電解質膜10aは、第2の電極層30側の全面が第2の電極層30によって被覆され、保持されているのに対し、第1の電極層20側の面は、電解質膜10aの外周端部が触媒層21から突出し、保持されていない状態である。そのため、電解質膜10aは、ガス拡散層22,32の接合工程や、シール部40の射出成形工程における加熱により、第1の電極層20側にめくれ上がるなどの熱変形を生じやすい。
特に、シール部40の射出成形工程では、電解質膜10aの両面に触媒層21,31が形成された状態で加熱される。一般に、電解質膜の構成部材は触媒層の構成部材よりも熱収縮率が高い。従って、シール部40の射出成形工程において、電解質膜10aの外周端部では、触媒層31によって、第2の電極層30側の熱収縮が第1の電極層20側より抑制され、第1の電極層20側と第2の電極層30側との間に互いに拮抗する内部応力が発生する。そのため、電解質膜10aの外周端部が、触媒層31とともにガス拡散層32から乖離してめくれ上がってしまう可能性がある。このように、電解質膜10aと第2の電極層30側の触媒層31との熱収縮量の差によって、膜電極接合体120の外周端部における熱変形が発生すると、図4に示すようなシール部40の成形不良を引き起こす可能性がある。
そこで、本実施例の膜電極接合体120(図1)では、第1の電解質膜11を第2の電解質膜12より熱収縮率の小さい材料によって構成している。即ち、電解質膜層10では、第1の電解質膜11の長辺方向および短辺方向における熱収縮量が、第2の電解質膜12の長辺方向および短辺方向における熱収縮量よりも低減されている。従って、シール部40の射出成形工程などの加熱工程において、触媒層31と接触している第2の電解質膜12が、参考例の電解質膜10aのように、第1の電極層20側へと熱変形することが、熱収縮量が少ない第1の電解質膜11によって抑制される。即ち、本実施例の膜電極接合体120では、多層構造の電解質膜層10において、熱収縮量が少ない第1の電解質膜11が、触媒層31と接触している第2の電解質膜12の熱変形を抑制する支持部として機能する。
ところで、固体電解質の熱収縮率は、そのEW値(Equivalent Weight:イオン交換当量)と相関関係を有している。ここで、EW値は、イオン交換容量(即ち、固体電解質の単位量あたりのイオン交換基の数)の逆数に相当する値である。通常、固体電解質はイオン交換基の数が多いほどその剛性が低くなるため、その熱収縮率が高くなる傾向にある。即ち、EW値が高い固体電解質ほど熱収縮率が低くなる。従って、電解質膜層10は、第1の電解質膜11が第2の電解質膜12よりEW値の大きい固体電解質材料で構成されているものとしても良い。なお、固体電解質のEW値は、いわゆる中和滴定法により計測することが可能である。
このように、本実施例の膜電極接合体120によれば、燃料電池100の製造工程において、熱収縮率が小さい第1の電解質膜11が熱収縮率の低い第2の電解質膜12の外周端の熱変形を抑制するため、電解質膜層10の熱変形による劣化が抑制される。また、膜電極接合体120であれば、ガス拡散層22,32の毛羽FLによる電解質膜層10の損傷や、過酸化水素ラジカルによる電解質膜層10の劣化が抑制される。
B.第2実施例:
図5は本発明の第2実施例としての燃料電池100Aの構成を示す概略図である。図5は、第1の電解質膜11に換えて第1の電解質膜11Aが設けられている点と、補強部材13が追加されている点以外は、図1とほぼ同じである。即ち、第2実施例の燃料電池100Aの構成は、以下に説明する電解質膜層10Aの構成が異なる点以外は、第1実施例の燃料電池100の構成と同様である。
図6は、第2実施例の電解質膜層10Aを分解して示す概略図である。第2実施例の電解質膜層10Aにおける第1の電解質膜11Aは、第2の電解質膜12と同じ電解質材料で構成されており、両者の熱収縮率は等しい。しかし、この第2実施例の膜電極接合体120Aでは、第1の電解質膜11Aの外周端に沿った形状を有する枠状のフィルム部材である補強部材13が、第1の電解質膜11Aの外表面上に接着されている。
補強部材13は、例えば、ポリテトラフルオロエチレン (PTFE;polytetrafluoroethylene)などの樹脂材料によって構成することができる。なお、膜電極接合体120Aでは、第1の電極層20の触媒層21は、補強部材13の枠内に収容されるように形成されている。
この補強部材13によって、第1の電解質膜11Aは、長辺方向および短辺方向における熱収縮量が、第2の電解質膜12よりも低減されている。従って、この第2実施例の膜電極接合体120Aにおいても、第1実施例の膜電極接合体120と同様に、膜電極接合体120Aが加熱されたときの電解質膜層10Aの外周端部における熱変形が抑制されている。
図7は、第2実施例の他の構成例としての燃料電池100Aaの構成を示す概略図である。図7は、補強部材13の配置位置が異なる点以外は、図6とほぼ同じである。この構成例の電解質膜層10Aaは、補強部材13が第1の電解質膜11Aの第2の電解質膜12側の面に接着された後に、第1と第2の電解質膜11A,12とを接合することにより構成される。
この電解質膜層10Aaを有する膜電極接合体120Aaであっても、上記の膜電極接合体120Aと同様に、第1の電解質膜11Aの長辺方向および短辺方向における熱収縮量が、補強部材13によって、第2の電解質膜12より低減されている。従って、燃料電池100の製造工程において、膜電極接合体120Aaが加熱されたときの電解質膜層10Aの外周端部における熱変形が抑制される。
図8は、第2実施例の他の構成例としての燃料電池100Abの構成を示す概略図である。図8は、補強部材13が接着された第1の電解質膜11Aに換えて、補強部材14を包含する第1の電解質膜11Abが設けられている点以外は、図7とほぼ同じである。この構成例における補強部材14は、流体を含浸させることが可能な多孔質の樹脂部材によって構成されており、上記構成例における補強部材13と同様な枠形状を有している。
第1の電解質膜11Abは、補強部材14を外枠母材(マトリックス)として、補強部材14の枠内に固体電解質を充填させるとともに、補強部材14の細孔に固体電解質を含浸させることによって構成されている。なお、この固体電解質材料は、第2の電解質膜12を構成する固体電解質材料と同様のものである。
このような構成であっても、電解質膜層10Abでは、第1の電解質膜11Abが、内部に補強部材14を含有することにより、長辺方向および短辺方向における熱収縮量が、第2の電解質膜12より低減されている。従って、図7で説明した構成例と同様に、第2の電解質膜12の熱変形を抑制することができ、加熱工程において、電解質膜層10Abが劣化することを抑制できる。
C.第3実施例:
図9は、本発明の第3実施例としての燃料電池100Bの構成を示す概略図である。図9は、補強部材13が省略されている点以外は、図5とほぼ同じである。即ち、第3実施例の燃料電池100Bに用いられている膜電極接合体120Bは、多層構造の電解質膜層10Bを構成する第1と第2の電解質膜11A,12が同じ電解質材料によって構成されており、それらの熱収縮率は同じである。しかし、この膜電極接合体120Bの電解質膜層10Bでは、以下に説明する構成によって、第1の電解質膜11Aの長辺方向における熱収縮量が、第2の電解質膜12よりも低減されている。
図10は、電解質膜層10Bを構成する第1と第2の電解質膜11A,12を分解して示す概略図である。なお、図10には、第1の電解質膜11Aの外表面に触媒層21が形成される領域を一点鎖線で図示してある。また、図10には、第1と第2の電解質膜11A,12のそれぞれのMD方向(後述)を示す矢印が、第1の電解質膜11Aについては、その短辺に沿って、第2の電解質膜12については、その長辺に沿って、それぞれ図示されている。
図11は電解質膜におけるMD(Machine Direction)方向を説明するための模式図である。一般に、膜電極接合体の製造工程では、ロール5から繰り出された帯状の電解質膜6を切り出して用いる。一般に、この帯状の電解質膜6がロール5から繰り出され、搬送された方向に沿った方向が「MD方向」と呼ばれ、このMD方向に直交する方向は「TD(Transverse Direction)方向」と呼ばれる。なお、電解質膜では、その面に沿った方向のうちで、電解質膜の引っ張り強度が最も低くなっている方向がMD方向であると推定することができる。
第1と第2の電解質膜11A,12は、ロール5から繰り出された帯状の電解質膜6から切り出されて膜電極接合体120Bに組み付けられる。この切り出しの際に、第1の電解質膜11Aは、その短辺方向が帯状の電解質膜6のMD方向と一致するように切り出される。一方、第2の電解質膜12は、その長辺方向が帯状の電解質膜6のMD方向と一致するように切り出される。
ここで、帯状の電解質膜6には、ロール5から繰り出される際に、MD方向に沿った引っ張り応力が付与されており、第1と第2の電解質膜11A,12には、この引っ張り応力が残留応力として残留している。この残留応力のために、第1の電解質膜11Aでは、加熱されたときに、その長辺方向における熱収縮量よりも短辺方向における熱収縮量が大きくなり、第2の電解質膜12では、短辺方向における熱収縮量よりも長辺方向における熱収縮量が大きくなる。
第3実施例の膜電極接合体120Bでは、第1と第2の電解質膜11A,12が、それぞれの長辺方向が一致するように重ねられて接合されることにより、電解質膜層10Bが形成される(図10)。即ち、電解質膜層10Bでは、第1と第2の電解質膜11A,12のそれぞれのMD方向が直交した状態となり、第1の電解質膜11Aの方が、第2の電解質膜12より、加熱されたときの長辺方向における熱収縮量が低減された構成となる。
即ち、第3実施例の膜電極接合体120Bでは、第2の電解質膜12の短辺における熱変形が、第1の電解質膜11Aによって抑制される。ただし、この第3実施例の構成では、第2の電解質膜12の長辺については、第1の電解質膜11Aによる熱変形の抑制効果が、その短辺に比較して低い。しかし、第2の電解質膜12の熱変形が発生する可能性が高いのは、加熱による熱収縮量が小さい短辺方向よりも、熱収縮量が大きい長辺方向である。従って、膜電極接合体120Bにおいて、第1と第2の電解質膜11A,12のMD方向を、図10のように構成することにより、膜電極接合体120Bにおける電解質膜層10Bの熱変形が十分に抑制される。
D.変形例:
なお、この発明は上記の実施例や実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
D1.変形例1:
上記第1実施例では、電解質膜層10は、第1と第2の電解質膜11,12を有していた。しかし、電解質膜層10には、さらに複数の電解質膜が積層されるものとしても良い。具体的には、第1と第2の電解質膜11,12の間に第3の電解質膜が介挿されるものとしても良く、第1の電解質膜11と第1の電極層20との間に、第3の電解質膜が介挿されるものとしても良い。即ち、電解質膜層10は、第1と第2の電解質膜11,12を含む多層構造を有しており、第1の電解質膜11は、第1の電極層20の側に配置され、第2の電解質膜12は、第2の電極層30の側に配置されていれば良い。なお、他の実施例の電解質膜層10A,10Aa,10Ab,10Bについても同様に、さらに複数の電解質膜が追加されるものとしても良い。
D2.変形例2:
上記実施例の燃料電池では、第1の電極層20をカソードとして機能させ、第2の電極層30をアノードとして機能させていた。しかし、燃料電池では、第1の電極層20をアノードとして機能させ、第2の電極層30をカソードとして機能させるものとしても良い。
D3.変形例3:
上記第1実施例および第2実施例では、電解質膜層10,10A,10Aa,10Abや、触媒層21,31、ガス拡散層22,32の外周形状は、略長方形形状を有していた。しかし、電解質膜層10,10A,10Aa,10Abや、触媒層21,31、ガス拡散層22,32の外周形状は、略長方形形状でなくとも良く、例えば、略正方形形状を有するものとしても良い。
D4.変形例4:
上記実施例において、第2の電極層30では、電極面に垂直な方向に沿って見たときに、触媒層31およびガス拡散層32の外周端の位置が、電解質膜層10,10A,10Aa,10Ab,10Bの外周端とほぼ一致していた。しかし、触媒層31およびガス拡散層32の外周端の位置は、電解質膜層10,10A,10Aa,10Ab,10Bの外周端と一致していなくとも良い。触媒層31およびガス拡散層32の外周端の位置は、電極面に垂直な方向に沿って見たときに、少なくとも第1の電極層20における触媒層21の外周端より外側に位置していれば良い。なお、この場合には、ガス拡散層32の外周端が触媒層31の外周端より内側に位置していることが好ましい。ただし、電解質膜層10,10A,10Aa,10Ab,10Bは、第2の電極層30側の面が触媒層31によって被覆されている方が、燃料電池の製造工程において、その外周端部が保護されるため好ましい。
D5.変形例5:
上記第2実施例では、補強部材13,14は枠状部材として構成されていた。しかし、補強部材13,14は枠状部材として構成されていなくとも良い。例えば、フィルム状の補強部材13は、第1の電解質膜11Aの全面に接着される、複数の貫通孔が全面に渡って配列された網目状の部材として構成されるものとしても良い。また、多孔質の補強部材14は、第1の電解質膜11Abの全面に包含されるものとしても良い。あるいは、電解質膜層10A,10Aa,10Abは、補強部材13,14の長辺部位または短辺部位が省略され、第1の電解質膜11A,11Abの長辺方向と短辺方向とのうちの一方における熱収縮量が、第2の電解質膜12より低減されるように構成されるものとしても良い。
D6.変形例6:
上記第2実施例および第3実施例では、第1と第2の電解質膜は同じ固体電解質材料によって構成され、同じ熱収縮率を有していた。しかし、第2実施例および第3実施例の構成において、第1と第2の電解質膜は、異なる電解質材料によって構成され、異なる熱収縮率を有するものとしても良い。第1と第2の電解質膜は、第1の電解質膜の所定の方向における熱収縮量が、第2の電解質膜の所定の方向における熱収縮量よりも小さくなるように構成されていれば良い。
D7.変形例7:
上記第3実施例においては、第1の電解質膜11AのMD方向を短辺方向とし、第2の電解質膜12のMD方向を長辺方向として、電解質膜層10Bが構成されていた。しかし、電解質膜層10Bは、第1の電解質膜11AのMD方向を長辺方向とし、第2の電解質膜12のMD方向を短辺方向として構成されるものとしても良い。この構成によって、第2の電解質膜12の長辺における熱変形を抑制することができる。また、上記第3実施例において、電解質膜層10Bの第1の電解質膜11Aの上に、MD方向を長辺方向とする第3の電解質膜が追加されるものとしても良い。この構成によれば、第1と第2の電解質膜11A,12の長辺における熱変形の発生を抑制できる。
D8.変形例8:
上記第3実施例では、第1と第2の電解質膜11A,12の配置方向を、それらの基材である帯状の電解質膜6の繰り出し方向(MD方向)によって規定していた。しかし、第1と第2の電解質膜11A,12の配置方向は、MD方向によって規定されなくとも良く、電解質膜層10Bとして組み付けられる前に、第1と第2の電解質膜11A,12に予め付与された引っ張り応力の方向によって規定されるものとしても良い。即ち、第1の電解質膜11Aが予め引っ張り応力が付与された方向を短辺方向として配置され、第2の電解質膜12が予め引っ張り応力が付与された方向を長辺方向として配置されることにより、第1の電解質膜11Aの長辺方向における熱収縮量が、第2の電解質膜12の長辺方向における熱収縮量より小さくなるように構成されていれば良い。
D9.変形例9:
上記実施例の燃料電池100,100A,100Aa,100Ab,100Bにおいて、シール部40は、第1と第2の電極層20,30の外周端部を被覆するように形成されていた。しかし、シール部40は、膜電極接合体120,120A,120Aa,120Ab,120Bの外周に設けられていれば良く、第1と第2の電極層20,30の外周端部を被覆していなくとも良い。即ち、電解質膜層10,10A,10Aa,10Ab,10Bの第1の電極層20側の外表面の一部がシール部40から露出していても良い。
ここで、燃料電池の運転の際には、燃料電池は高温(例えば80℃)となる。しかし、本発明が適用された膜電極接合体であれば、燃料電池の運転中において、電解質膜層の第1の電極層側の外表面の一部がシール部によって支持されていない場合であっても、第1の電解質膜によって第2の電解質膜の熱変形が抑制される。
5…ロール
6…電解質膜
10,10A,10Aa,10Ab,10B…電解質膜層
10a…電解質膜
11,11A,11Ab…第1の電解質膜
11e…突出部位
12…第2の電解質膜
13…補強部材
14…補強部材
20…第1の電極層
21…触媒層
22…ガス拡散層
30…第2の電極層
31…触媒層
32…ガス拡散層
40…シール部
50…ガス流路部材
60…カソードセパレータ
61…流路溝
70…アノードセパレータ
71…流路溝
100,100A,100Aa,100Ab,100B,100a…燃料電池
110…単セル
120,120A,120Aa,120Ab,120B,120a…膜電極接合体
FL…毛羽

Claims (7)

  1. 燃料電池に用いられる膜電極接合体であって、
    第1と第2の電解質膜を含む多層構造を有する電解質膜層と、
    前記電解質膜層の両側に配置された第1と第2の電極層と、
    を備え、
    前記第1の電解質膜は、前記第1の電極層の側に配置されており、前記第2の電解質膜は、前記第2の電極層の側に配置されており、
    前記第1と第2の電極層はそれぞれ、前記電解質膜層の外表面に接して配置された触媒層と、前記触媒層の上に配置されたガス拡散層とを有しており、
    前記第1の電極層は、電極面に垂直な方向に沿って見たときに、前記第1の電極層における前記触媒層の外周端が前記電解質膜層の外周端より内側に位置するとともに、前記第1の電極層における前記ガス拡散層の外周端が前記第1の電極層における前記触媒層の外周端より内側に位置しており、
    前記第2の電極層は、電極面に垂直な方向に沿って見たときに、前記第2の電極層における前記触媒層および前記ガス拡散層の外周端が、少なくとも前記第1の電極層における前記触媒層の外周端より外側に位置しており、
    前記電解質膜層は、前記第1の電解質膜の所定の方向における熱収縮量が、前記第2の電解質膜の前記所定の方向における熱収縮量よりも小さくなるように構成されている、膜電極接合体。
  2. 請求項1記載の膜電極接合体であって、
    前記第1の電解質膜は、前記第2の電解質膜より熱収縮率が小さい材料で構成されている、膜電極接合体。
  3. 請求項2記載の膜電極接合体であって、
    前記第1の電解質膜は、前記第2の電解質膜よりEW値が大きい材料で構成されている、膜電極接合体。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の膜電極接合体であって、
    前記電解質膜層は、前記第1の電解質膜に補強部材が設けられることにより、前記第1の電解質膜の所定の方向における熱収縮量が、前記第2の電解質膜の前記所定の方向における熱収縮量よりも低減されている、膜電極接合体。
  5. 請求項1記載の膜電極接合体であって、
    前記電解質膜層の外周は長方形形状を有しており、
    前記第1と第2の電解質膜は、互いに同じ材料で構成されるとともに、予め所定の方向に引っ張り応力を付与した状態で前記電解質膜層に組み付けられ、
    前記電解質膜層は、前記第1の電解質膜が、前記引っ張り応力が付与された方向が短辺方向となるように配置され、前記第2の電解質膜が、前記引っ張り応力が付与された方向が長辺方向となるように配置されることにより、前記第1の電解質膜の前記長辺方向における熱収縮量が、前記第2の電解質膜の前記長辺方向における熱収縮量より小さくなるように構成されている、膜電極接合体。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の膜電極接合体であって、
    前記第2の電極層は、電極面に垂直な方向に沿って見たときに、前記触媒層および前記ガス拡散層の外周端が、前記電解質膜層の外周端とほぼ重なり、
    前記電解質膜層の外周端には、流体の漏洩を抑制するためのシール部が形成されている、膜電極接合体。
  7. 燃料電池であって、
    請求項1〜6のいずれか一項に記載の膜電極接合体と、
    前記膜電極接合体を狭持するセパレータと、
    を備える、燃料電池。
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