JP2005285356A - 燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】クロスオーバーが少なく、機械的な強度が保たれた膜電極接合体とこの膜電極接合体を簡便に作製する製造方法とを提供する
【解決手段】燃料電池用膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、上記固体高分子電解質膜を両側から挟持する酸化剤電極および燃料電極とから構成される燃料電池用膜電極接合体において、上記固体高分子電解質膜は、少なくとも2つの固体高分子電解質層と、上記固体高分子電解質層間に配置されたクロスオーバー防止微粒子層とを有することを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】燃料電池用膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、上記固体高分子電解質膜を両側から挟持する酸化剤電極および燃料電極とから構成される燃料電池用膜電極接合体において、上記固体高分子電解質膜は、少なくとも2つの固体高分子電解質層と、上記固体高分子電解質層間に配置されたクロスオーバー防止微粒子層とを有することを特徴とする。
【選択図】図2
Description
この発明は、固体高分子形燃料電池に用いる燃料電池用膜電極接合体およびその製造方法に関するものである。
固体高分子形燃料電池(以下、燃料電池と称す。)に用いる膜電極接合体は、酸化剤極触媒層と酸化剤電極基材とからなる酸化剤電極、固体高分子電解質膜、燃料極触媒層と燃料電極基材とからなる燃料電極がホットプレス法により加熱加圧されて接合されて作製される。そして、膜電極接合体は、セパレータにより両側から挟持される。この膜電極接合体に面するセパレータの面には、流路溝がほぼ全面に亘って蛇行するように設けられる。この流路溝を通過して酸化剤と燃料とがそれぞれ酸化剤電極と燃料電極とに供給される。
また、固体高分子電解質膜は、スルフォン酸基を有するフッ素系樹脂または炭化水素系樹脂からなり、水を含水することにより電解質として機能する。流路溝から供給される水素が燃料極触媒層においてイオン化されてプロトンになり、固体高分子電解質膜の中を水を伴って伝導される。プロトンは酸化剤極触媒層まで運ばれて空気または高濃度酸素などからなる酸化剤中の酸素と結合して生成水が生じる。
しかし、固体高分子電解質膜は水素と酸素とを多少なりとも透過し(以下、この透過することをクロスオーバーと称す。)、対極に達して反応しセル電圧を大きく低下させたり、反応ガスを無駄に使ってしまったりすることが起こる。さらに、対極に達して反応すると過酸化水素またはOHラジカルなどの活性種が生成され、それが固体高分子電解質膜を劣化し、燃料電池の寿命が極端に短くなるという問題がある。
そこで、クロスオーバーを減少するため、固体高分子電解質膜の内部に均一に白金微粒子または白金微粒子を担持する酸化チタンなどの金属酸化物粒子を分散することが提案されている。これにより、固体高分子電解質膜の内部に均一に分散された微粒子は、燃料電極と酸化剤電極からクロスオーバーしてきた水素と酸素とを捕捉して水を生成し、水素と酸素とがそれぞれ対極に達するのを防止するとともに水を発生させて固体高分子電解質膜を湿潤状態に保つことができる。
また、微粒子が分散された固体高分子電解質膜の製造方法は、固体高分子電解質を液状にして白金微粒子を担持する金属酸化物の粒子を混合して成膜する方法が提案されている。また、固体高分子電解質膜の上に白金微粒子を担持する金属酸化物の粒子を塗布した後、加熱して固体高分子電解質膜をやわらかくした状態で加圧して金属酸化物粒子を固体高分子電解質膜の内部に埋め込むという方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、微粒子が分散された固体高分子電解質膜の製造方法は、固体高分子電解質を液状にして白金微粒子を担持する金属酸化物の粒子を混合して成膜する方法が提案されている。また、固体高分子電解質膜の上に白金微粒子を担持する金属酸化物の粒子を塗布した後、加熱して固体高分子電解質膜をやわらかくした状態で加圧して金属酸化物粒子を固体高分子電解質膜の内部に埋め込むという方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、固体高分子電解質膜全体に微粒子が分散されていると、固体高分子電解質膜の機械的な強度が弱くなり、分散されている微粒子の濃度の高い部分が起点となってピンホールや亀裂が生じる。それがさらに進むと大量のクロスオーバーが生じ急激なセル電圧の低下が起こったり、発生した過酸化水素やOHラジカルによって固体高分子電解質膜自体が劣化されたり白金微粒子を担持するカーボン粒子が腐食されたりするという問題がある。
また、白金微粒子を担持する金属酸化物の粒子を液状の固体高分子電解質に混合して成膜すると、微粒子はその膜内に均一に分散されるが、固体高分子電解質を液状にする工程および再び均一な厚さの薄膜に成膜する工程が必要となり、極めて高価な固体高分子電解質膜になってしまうという問題がある。
また、金属酸化物粒子を埋め込む方法は、コスト的には安価になるが、固体高分子電解質膜の内部のいずれの部分に金属酸化物粒子が埋め込まれるかは場所によって大きく異なり、均一に埋め込んで固体高分子電解質膜全体に均一に分散させることができないという問題がある。
また、固体高分子電解質膜の内部に金属酸化物粒子をホットプレス法により埋め込んだ後、さらに燃料電極と酸化剤電極とで挟んで再度ホットプレスされるので、固体高分子電解質膜を2回高温にさらすことになり、固体高分子電解質膜が大きく熱劣化してしまうという問題がある。
また、白金微粒子を担持する金属酸化物の粒子を液状の固体高分子電解質に混合して成膜すると、微粒子はその膜内に均一に分散されるが、固体高分子電解質を液状にする工程および再び均一な厚さの薄膜に成膜する工程が必要となり、極めて高価な固体高分子電解質膜になってしまうという問題がある。
また、金属酸化物粒子を埋め込む方法は、コスト的には安価になるが、固体高分子電解質膜の内部のいずれの部分に金属酸化物粒子が埋め込まれるかは場所によって大きく異なり、均一に埋め込んで固体高分子電解質膜全体に均一に分散させることができないという問題がある。
また、固体高分子電解質膜の内部に金属酸化物粒子をホットプレス法により埋め込んだ後、さらに燃料電極と酸化剤電極とで挟んで再度ホットプレスされるので、固体高分子電解質膜を2回高温にさらすことになり、固体高分子電解質膜が大きく熱劣化してしまうという問題がある。
この発明の目的は、クロスオーバーが少なく、機械的な強度が保たれた膜電極接合体とこの膜電極接合体を簡便に作製する製造方法とを提供することである。
この発明に係る燃料電池用膜電極接合体は、固体高分子電解質膜と、上記固体高分子電解質膜を両側から挟持する酸化剤電極および燃料電極とから構成される燃料電池用膜電極接合体において、上記固体高分子電解質膜は、少なくとも2つの固体高分子電解質層と、上記固体高分子電解質層間に配置されたクロスオーバー防止微粒子層とを有する。
また、この発明に係る燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、固体高分子電解質膜を両側から燃料電極および酸化剤電極により挟持して接合する燃料電池用膜電極接合体の製造方法において、固体高分子電解質層の1方の面にクロスオーバー防止微粒子を塗布し、塗布された面が他の固体高分子電解質層に面するようにして上記2枚の固体高分子電解質層を貼り合わせ、貼り合わされた2枚の固体高分子電解質層に両側からそれぞれ燃料電極および酸化剤電極を重ね合わせ、その後それをホットプレスして接合する。
また、この発明に係る燃料電池用膜電極接合体の製造方法は、固体高分子電解質膜を両側から燃料電極および酸化剤電極により挟持して接合する燃料電池用膜電極接合体の製造方法において、固体高分子電解質層の1方の面にクロスオーバー防止微粒子を塗布し、塗布された面が他の固体高分子電解質層に面するようにして上記2枚の固体高分子電解質層を貼り合わせ、貼り合わされた2枚の固体高分子電解質層に両側からそれぞれ燃料電極および酸化剤電極を重ね合わせ、その後それをホットプレスして接合する。
この発明に係わる燃料電池用膜電極接合体の効果は、2つの電解質層に挟まれたクロスオーバー防止微粒子層が、層状のバリアーとなって燃料電極および酸化剤電極から固体高分子電解質膜を透過してきた水素と酸素を吸着によって捕捉し再結合させて水に変換するので、水素と酸素がそれぞれ対極に達するのを確実に防止することができる。
また、2つの固体高分子電解質層は、その膜内にクロスオーバー防止微粒子が一切含まれていないので、層の機械強度が小さくなることがない。
また、クロスオーバー防止微粒子が2つの固体高分子電解質層に食い込んで両者をアンカー効果で補強しているので、固体高分子電解質膜全体の強度が高まる。
また、2つの固体高分子電解質層は、その膜内にクロスオーバー防止微粒子が一切含まれていないので、層の機械強度が小さくなることがない。
また、クロスオーバー防止微粒子が2つの固体高分子電解質層に食い込んで両者をアンカー効果で補強しているので、固体高分子電解質膜全体の強度が高まる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係る燃料電池用膜電極接合体を用いた燃料電池の単セルの構成を示す平面図である。各構成要素の配置が分かるように透かして表してある。図2は、図1のA−A断面における断面図である。図3は、この発明に用いる燃料セパレータの平面図である。図4は、この発明に用いる酸化剤セパレータの平面図である。図5は、図2のB領域の拡大断面図である。
この実施の形態1の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体1(以下、膜電極接合体と称す。)は、図2に示すように、クロスオーバー防止微粒子層2(以下、クロスオーバー防止層と称す。)、クロスオーバー防止層2を両側から挟持する燃料電極側固体高分子電解質層3(以下、燃料電解質層と称す。)と酸化剤電極側固体高分子電解質層4(以下、酸化剤電解質層と称す。)、燃料電解質層3に接するように積層される燃料極触媒層5、酸化剤電解質層4に接するように積層される酸化剤極触媒層6、燃料極触媒層5に接するように積層される燃料電極基材7、酸化剤極触媒層6に接するように積層される酸化剤電極基材8から構成される。
ここで、クロスオーバー防止層2、燃料電解質層3および酸化剤電解質層4を合わせて電解質膜10と称する。また、燃料極触媒層5と燃料電極基材7とが積層された積層体を燃料電極11、酸化剤極触媒層6と酸化剤電極基材8とが積層された積層体を酸化剤電極12と称する。
これら電解質膜10、燃料電極11、酸化剤電極12は、ともに長方形である。
図1は、この発明の実施の形態1に係る燃料電池用膜電極接合体を用いた燃料電池の単セルの構成を示す平面図である。各構成要素の配置が分かるように透かして表してある。図2は、図1のA−A断面における断面図である。図3は、この発明に用いる燃料セパレータの平面図である。図4は、この発明に用いる酸化剤セパレータの平面図である。図5は、図2のB領域の拡大断面図である。
この実施の形態1の固体高分子形燃料電池用膜電極接合体1(以下、膜電極接合体と称す。)は、図2に示すように、クロスオーバー防止微粒子層2(以下、クロスオーバー防止層と称す。)、クロスオーバー防止層2を両側から挟持する燃料電極側固体高分子電解質層3(以下、燃料電解質層と称す。)と酸化剤電極側固体高分子電解質層4(以下、酸化剤電解質層と称す。)、燃料電解質層3に接するように積層される燃料極触媒層5、酸化剤電解質層4に接するように積層される酸化剤極触媒層6、燃料極触媒層5に接するように積層される燃料電極基材7、酸化剤極触媒層6に接するように積層される酸化剤電極基材8から構成される。
ここで、クロスオーバー防止層2、燃料電解質層3および酸化剤電解質層4を合わせて電解質膜10と称する。また、燃料極触媒層5と燃料電極基材7とが積層された積層体を燃料電極11、酸化剤極触媒層6と酸化剤電極基材8とが積層された積層体を酸化剤電極12と称する。
これら電解質膜10、燃料電極11、酸化剤電極12は、ともに長方形である。
これら燃料電解質層3、酸化剤電解質層4、燃料電極基材7および酸化剤電極基材8は図1に示すように、長手方向の1端部に燃料入力マニホールド15、酸化剤出力マニホールド16、冷却剤入力マニホールド17が、他端部に燃料出力マニホールド19、酸化剤入力マニホールド20、冷却剤出力マニホールド21が設けられている。
また、燃料電極基材7と酸化剤電極基材8は、図2に示すように、外縁部にガスシール材が充填されたガスシール部24が設けられている。ガスシール部24は、燃料入力マニホールド15、酸化剤出力マニホールド16、冷却剤入力マニホールド17、燃料出力マニホールド19、酸化剤入力マニホールド20、冷却剤出力マニホールド21も囲繞するように設けられている。
また、燃料電極基材7と酸化剤電極基材8は、図2に示すように、外縁部にガスシール材が充填されたガスシール部24が設けられている。ガスシール部24は、燃料入力マニホールド15、酸化剤出力マニホールド16、冷却剤入力マニホールド17、燃料出力マニホールド19、酸化剤入力マニホールド20、冷却剤出力マニホールド21も囲繞するように設けられている。
この膜電極接合体1は、図2に示すように、両側から燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26により挟持されている。燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26は、それぞれ燃料電極11と酸化剤電極12とに面する面に燃料流路27と酸化剤流路28が設けられている。
また、図3、図4に示すように、燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26は、長手方向の1端部に燃料入力マニホールド15、酸化剤出力マニホールド16、冷却剤入力マニホールド17が、他端部に燃料出力マニホールド19、酸化剤入力マニホールド20、冷却剤出力マニホールド21が厚み方向に貫通するように設けられている。これらのマニホールドは、燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26とが膜電極接合体1を両側から挟持したとき、それぞれが重畳するように設けられている。なお、図3は、燃料セパレータ25を燃料流路27が設けられている面の裏面から透視した図である。
また、図3、図4に示すように、燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26は、長手方向の1端部に燃料入力マニホールド15、酸化剤出力マニホールド16、冷却剤入力マニホールド17が、他端部に燃料出力マニホールド19、酸化剤入力マニホールド20、冷却剤出力マニホールド21が厚み方向に貫通するように設けられている。これらのマニホールドは、燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26とが膜電極接合体1を両側から挟持したとき、それぞれが重畳するように設けられている。なお、図3は、燃料セパレータ25を燃料流路27が設けられている面の裏面から透視した図である。
燃料セパレータ25において、燃料流路27が燃料入力マニホールド15と燃料出力マニホールド19とを連通している。また、酸化剤セパレータ26において、酸化剤流路28が酸化剤入力マニホールド20と酸化剤出力マニホールド16とを連通している。
燃料流路27と酸化剤流路28は、それぞれ2本の燃料流路溝29a、29bと酸化剤流路溝30a、30bからなっている。
燃料流路27と酸化剤流路28は、それぞれ2本の燃料流路溝29a、29bと酸化剤流路溝30a、30bからなっている。
燃料流路溝29a、29bは、図3に示すように燃料入力マニホールド15から燃料セパレータ25の長手方向の右手方向(以下、右手方向と称す。)に延びる1段目の流路溝片31a、その1段目の流路溝片31aに連なり、流れの方向を反転する第1の反転部32a、その第1の反転部32aに連なり燃料セパレータ25の長手方向の左手方向(以下、左手方向と称す。)に延びる2段目の流路溝片31b、その2段目の流路溝片31bに連なり、流れの方向を反転する第2の反転部32b、その第2の反転部32bに連なり、右手方向に延び、燃料出力マニホールド19に接続される3段目の流路溝片31cにより構成されている。各燃料流路溝29a、29bは、燃料入力マニホールド15から燃料出力マニホールド19との間の長さをおおよそ2等分する領域に分けて考えることができる。燃料入力マニホールド15から上流領域27a、下流領域27bと呼ぶことにする。
また、酸化剤流路溝30a、30bは、図4に示すように酸化剤入力マニホールド20から酸化剤セパレータ26の左手方向に延びる1段目の流路溝片33a、その1段目の流路溝片33aに連なり、流れの方向を反転する第1の反転部34a、その第1の反転部34aに連なり酸化剤セパレータ26の右手方向に延びる2段目の流路溝片33b、その2段目の流路溝片33bに連なり、流れの方向を反転する第2の反転部34b、その第2の反転部34bに連なり、左手方向に延び、酸化剤出力マニホールド16に接続される3段目の流路溝片33cにより構成されている。各酸化剤流路溝30a、30bは、酸化剤入力マニホールド20から酸化剤出力マニホールド16との間の長さをおおよそ2等分する領域に分けて考えることができる。酸化剤入力マニホールド20から上流領域28a、下流領域28bと呼ぶことにする。
次に、膜電極接合体1の上述した構成要素の重なり具合を図1を参照して説明する。
燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26の外周形状は同様であり、それらに設けられている燃料入力マニホールド15、酸化剤出力マニホールド16、冷却剤入力マニホールド17、燃料出力マニホールド19、酸化剤入力マニホールド20、冷却剤出力マニホールド21はそれぞれ重なっている。
また、燃料電解質層3、酸化剤電解質層4、燃料電極基材7、酸化剤電極基材8の外周形状も燃料セパレータ25と同様である。
また、燃料電極基材7と酸化剤電極基材8に設けられたガスシール部24は、ロの字状であり、外縁部だけでなく、マニホールドの周囲も囲繞している。
燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26の外周形状は同様であり、それらに設けられている燃料入力マニホールド15、酸化剤出力マニホールド16、冷却剤入力マニホールド17、燃料出力マニホールド19、酸化剤入力マニホールド20、冷却剤出力マニホールド21はそれぞれ重なっている。
また、燃料電解質層3、酸化剤電解質層4、燃料電極基材7、酸化剤電極基材8の外周形状も燃料セパレータ25と同様である。
また、燃料電極基材7と酸化剤電極基材8に設けられたガスシール部24は、ロの字状であり、外縁部だけでなく、マニホールドの周囲も囲繞している。
さらに、酸化剤触媒層6(図1の太い1点破線で外周形状を表している。)は、その外周が流路28が設けられた酸化剤セパレータ26の有効領域の外周と同じになっている。また、燃料触媒層5(図1の太い点線で外周形状を表している。)は、その外周が酸化剤触媒層6の外周より外側に位置している。
さらに、クロスオーバー防止層2(図1の太い実線で外周形状を表している。)は、その外周が燃料極触媒層5の外周より外側に位置しているが、燃料電解質層3の外周より内側に位置するようになっている。
さらに、クロスオーバー防止層2(図1の太い実線で外周形状を表している。)は、その外周が燃料極触媒層5の外周より外側に位置しているが、燃料電解質層3の外周より内側に位置するようになっている。
次に、クロスオーバー防止層2について図5を参照して説明する。
クロスオーバー防止層2は、離散的に分散された貴金属微粒子としての白金の微粒子36を担持する金属酸化物粒子としての酸化チタン粒子37が島状に分布している。このクロスオーバー防止層2において、燃料電解質層3を透過して酸化剤電解質層4に移動しようとする水素H2と酸化剤電解質層4を透過して燃料電解質層3に移動しようとする酸素O2とが捕捉され、捕捉された水素と酸素とが白金触媒の触媒効果により反応し、水が生成される。
クロスオーバー防止層2は、離散的に分散された貴金属微粒子としての白金の微粒子36を担持する金属酸化物粒子としての酸化チタン粒子37が島状に分布している。このクロスオーバー防止層2において、燃料電解質層3を透過して酸化剤電解質層4に移動しようとする水素H2と酸化剤電解質層4を透過して燃料電解質層3に移動しようとする酸素O2とが捕捉され、捕捉された水素と酸素とが白金触媒の触媒効果により反応し、水が生成される。
次に、膜電極接合体1の製造方法について説明する。
まず、電解質膜10に関して説明する。
燃料電解質層3と酸化剤電解質層4は、同様であり、厚さが約50μm、幅が90mmで長さが200mmの矩形のアシプレックス(旭化成(株)の登録商標)である。
次に、厚さが1mm、外寸100mm×220mm、内寸85mm×130mmのロの字型のアルミニウム枠を用意する。
さらに、クロスオーバー防止微粒子としての白金の微粒子を担持する酸化チタン粒子(和光製薬(株)製)を超音波分散法により水に分散させてクロスオーバー防止微粒子スラリーを作製する。
そして、ロの字型のアルミニウム枠で酸化剤電解質層4の外縁部を挟み、その片面にクロスオーバー防止微粒子スラリーをハンドスプレーで吹き付けてクロスオーバー防止層2を形成する。
まず、電解質膜10に関して説明する。
燃料電解質層3と酸化剤電解質層4は、同様であり、厚さが約50μm、幅が90mmで長さが200mmの矩形のアシプレックス(旭化成(株)の登録商標)である。
次に、厚さが1mm、外寸100mm×220mm、内寸85mm×130mmのロの字型のアルミニウム枠を用意する。
さらに、クロスオーバー防止微粒子としての白金の微粒子を担持する酸化チタン粒子(和光製薬(株)製)を超音波分散法により水に分散させてクロスオーバー防止微粒子スラリーを作製する。
そして、ロの字型のアルミニウム枠で酸化剤電解質層4の外縁部を挟み、その片面にクロスオーバー防止微粒子スラリーをハンドスプレーで吹き付けてクロスオーバー防止層2を形成する。
次に、燃料電極11と酸化剤電極12に関して説明する。
燃料電極基材7および酸化剤電極基材8は、同様であり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)によって撥水処理が施された厚さが0.3mm、幅が90mmで長さが200mmの矩形のカーボンペーパー(東レ(株)製)である。
まず、白金の微粒子を担持するカーボン粒子(NEケムキャット(株)製)とアシプレックス溶液(旭化成(株)製)をボールミルによって混合して酸化剤触媒ペーストを作製する。
また、白金とルテニウムの合金微粒子を担持するカーボン粒子(田中貴金属(株)製)とアシプレックス溶液(旭化成(株)製)をボールミルによって混合して燃料触媒ペーストを作製する。
次に、酸化剤触媒ペーストをフッ素系フィルムの上に塗布して乾燥して厚さ約20μmの酸化剤極触媒層6を作製する。このフッ素系フィルム上の幅80mmで長さが125mmの矩形の酸化剤極触媒層6を転写法により酸化剤電解質層4のクロスオーバー防止層2を形成していない方の面に貼り付けた。
また、燃料触媒ペーストをフッ素系フィルムの上に塗布して乾燥して厚さ約20μmの燃料極触媒層5を作製する。このフッ素系フィルム上の幅82mmで長さが127mmの矩形の燃料極触媒層5を転写法により燃料電解質膜3の上に貼り付けた。
次に、ハンドプレスにより膜電極接合体1を作製する。図6に示すように、金メッキが施された銅板38上に酸化剤電極基材8、酸化剤極触媒層6が酸化剤電極基材8側に面するように酸化剤電解質層4、燃料極触媒層5が燃料電極基材7側に面するように燃料電解質層3、燃料電極基材7の順に積み重ね、その上に金メッキが施された銅板38を積み重ねる。このように重ね合わせた後、ハンドプレスを用い、150℃で9.8×105Paの圧力で2分間ホットプレスした。このようにして接合された膜電極接合体1の外縁部にシリコーン系樹脂によりガスシール部24を設けた。このようにして作製されたものを実施の形態1の膜電極接合体1とした。
燃料電極基材7および酸化剤電極基材8は、同様であり、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)によって撥水処理が施された厚さが0.3mm、幅が90mmで長さが200mmの矩形のカーボンペーパー(東レ(株)製)である。
まず、白金の微粒子を担持するカーボン粒子(NEケムキャット(株)製)とアシプレックス溶液(旭化成(株)製)をボールミルによって混合して酸化剤触媒ペーストを作製する。
また、白金とルテニウムの合金微粒子を担持するカーボン粒子(田中貴金属(株)製)とアシプレックス溶液(旭化成(株)製)をボールミルによって混合して燃料触媒ペーストを作製する。
次に、酸化剤触媒ペーストをフッ素系フィルムの上に塗布して乾燥して厚さ約20μmの酸化剤極触媒層6を作製する。このフッ素系フィルム上の幅80mmで長さが125mmの矩形の酸化剤極触媒層6を転写法により酸化剤電解質層4のクロスオーバー防止層2を形成していない方の面に貼り付けた。
また、燃料触媒ペーストをフッ素系フィルムの上に塗布して乾燥して厚さ約20μmの燃料極触媒層5を作製する。このフッ素系フィルム上の幅82mmで長さが127mmの矩形の燃料極触媒層5を転写法により燃料電解質膜3の上に貼り付けた。
次に、ハンドプレスにより膜電極接合体1を作製する。図6に示すように、金メッキが施された銅板38上に酸化剤電極基材8、酸化剤極触媒層6が酸化剤電極基材8側に面するように酸化剤電解質層4、燃料極触媒層5が燃料電極基材7側に面するように燃料電解質層3、燃料電極基材7の順に積み重ね、その上に金メッキが施された銅板38を積み重ねる。このように重ね合わせた後、ハンドプレスを用い、150℃で9.8×105Paの圧力で2分間ホットプレスした。このようにして接合された膜電極接合体1の外縁部にシリコーン系樹脂によりガスシール部24を設けた。このようにして作製されたものを実施の形態1の膜電極接合体1とした。
一方、比較試験のため、従来のように微粒子を均一に分散させた固体高分子電解質膜を備えた膜電極接合体を次のような方法で作成した。なお、燃料電極基材7と酸化剤電極基材8は実施の形態1と同様である。また、クロスオーバー防止微粒子スラリー、フッ素系フィルム上に作製された燃料極触媒層5および酸化剤極触媒層6も実施の形態1と同様である。
まず、厚さが約100μm、幅が90mmで長さが200mmの矩形のアシプレックス(旭化成(株)の登録商標)の表裏両面にクロスオーバー防止微粒子スラリーをハンドスプレーで吹き付けた後乾燥し、厚さ2mmのテフロン(登録商標)のシートで挟持し、金メッキを施した銅板に挟んで、ハンドプレスを用い、180℃で19.6×105Paの圧力で2分間ホットプレスして微粒子を表裏から膜内にまで分散させた固体高分子電解質膜を形成した。
次に、この固体高分子電解質膜の両面に転写法によりフッ素系フィルム上に作製された燃料極触媒層5および酸化剤極触媒層6を貼り付ける。燃料極触媒層5と酸化剤極触媒層6の外形寸法は実施の形態1と同様である。
次に、この固体高分子電解質膜の両側に燃料電極基材7と酸化剤電極基材8とを積層し、さらに両側から金メッキが施された銅板38により挟んで、ハンドプレスを用い、150℃で9.8×105Paの圧力で2分間ホットプレスした。このようにして接合された膜電極接合体の外縁部にシリコーン系樹脂によりガスシール部24を設けた。このように作製されたものを比較例1の膜電極接合体とした。
まず、厚さが約100μm、幅が90mmで長さが200mmの矩形のアシプレックス(旭化成(株)の登録商標)の表裏両面にクロスオーバー防止微粒子スラリーをハンドスプレーで吹き付けた後乾燥し、厚さ2mmのテフロン(登録商標)のシートで挟持し、金メッキを施した銅板に挟んで、ハンドプレスを用い、180℃で19.6×105Paの圧力で2分間ホットプレスして微粒子を表裏から膜内にまで分散させた固体高分子電解質膜を形成した。
次に、この固体高分子電解質膜の両面に転写法によりフッ素系フィルム上に作製された燃料極触媒層5および酸化剤極触媒層6を貼り付ける。燃料極触媒層5と酸化剤極触媒層6の外形寸法は実施の形態1と同様である。
次に、この固体高分子電解質膜の両側に燃料電極基材7と酸化剤電極基材8とを積層し、さらに両側から金メッキが施された銅板38により挟んで、ハンドプレスを用い、150℃で9.8×105Paの圧力で2分間ホットプレスした。このようにして接合された膜電極接合体の外縁部にシリコーン系樹脂によりガスシール部24を設けた。このように作製されたものを比較例1の膜電極接合体とした。
実施の形態1の膜電極接合体1と比較例1の膜電極接合体をそれぞれ両側から外形90mm×200mmの燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26とにより挟んで、有効面積100cm2級の小型単セルを作製した。
この小型単セルに酸化剤として空気、燃料として改質模擬ガス(水素75%、一酸化炭素10ppm)を供給して発電した。小型単セルを常圧80℃に維持し、空気の加湿温度65℃、改質模擬ガスの加湿温度65℃とした。電流密度250mA/cm2の運転条件で、性能試験と寿命試験を実施した。
初期特性としては、どちらも950mVを超える開放電圧が得られており、電流密度250mA/cm2におけるセル電圧も実施の形態1と比較例1とは同程度であった。
しかし、比較例1の膜電極接合体を用いた単セルは、昼夜連続運転において徐々にセル電圧が低下し、200時間経過した時点からセル電圧の低下が著しくなり、開放電圧も800mVを下回った。さらに、生成水から固体高分子電解質膜の劣化を示すフッ素イオンが検出されるようになった。400時間を経過したところで運転を停止して電子顕微鏡を用いた分解調査を行った。その結果、酸化剤入力マニホールド付近の電解質膜にいくつかピンホールが生じており、電解質層中に分散された白金を担持する酸化チタン粒子が起点となっていることが分かった。また、酸化剤入力マニホールド付近の電解質膜の端部近傍で明らかに酸化チタン粒子が起点とした亀裂が生じていることも分かった。
一方、実施の形態1の膜電極接合体1を用いた単セルは、約1000時間の寿命試験で6mV/1000時間の安定した性能が得られ、開放電圧も950mVを超える値が維持された。また、生成水から固体高分子電解質膜の劣化を示すフッ素イオンは全く検出されず、分解調査でも健全である結果が得られた。
この小型単セルに酸化剤として空気、燃料として改質模擬ガス(水素75%、一酸化炭素10ppm)を供給して発電した。小型単セルを常圧80℃に維持し、空気の加湿温度65℃、改質模擬ガスの加湿温度65℃とした。電流密度250mA/cm2の運転条件で、性能試験と寿命試験を実施した。
初期特性としては、どちらも950mVを超える開放電圧が得られており、電流密度250mA/cm2におけるセル電圧も実施の形態1と比較例1とは同程度であった。
しかし、比較例1の膜電極接合体を用いた単セルは、昼夜連続運転において徐々にセル電圧が低下し、200時間経過した時点からセル電圧の低下が著しくなり、開放電圧も800mVを下回った。さらに、生成水から固体高分子電解質膜の劣化を示すフッ素イオンが検出されるようになった。400時間を経過したところで運転を停止して電子顕微鏡を用いた分解調査を行った。その結果、酸化剤入力マニホールド付近の電解質膜にいくつかピンホールが生じており、電解質層中に分散された白金を担持する酸化チタン粒子が起点となっていることが分かった。また、酸化剤入力マニホールド付近の電解質膜の端部近傍で明らかに酸化チタン粒子が起点とした亀裂が生じていることも分かった。
一方、実施の形態1の膜電極接合体1を用いた単セルは、約1000時間の寿命試験で6mV/1000時間の安定した性能が得られ、開放電圧も950mVを超える値が維持された。また、生成水から固体高分子電解質膜の劣化を示すフッ素イオンは全く検出されず、分解調査でも健全である結果が得られた。
このように、実施の形態1の膜電極接合体1は、十分な機械強度が保たれたが、比較例1の膜電極接合体は、クロスオーバー防止のために膜内部に分散された酸化チタン粒子が膜の強度を弱め、逆にクロスオーバーを著しくさせるピンホールや亀裂の起点になっている結果が得られた。
クロスオーバー防止層2によるクロスオーバーの防止の仕組みは次のようであると考えられる。燃料極触媒層5から燃料電解質層3を透過してきた水素はクロスオーバー防止層2の貴金属微粒子30を担持する酸化チタン粒子31に吸着される。また、酸化剤極触媒層6から酸化剤電解質層4を透過してきた酸素も同様にクロスオーバー防止層2の貴金属微粒子30を担持する酸化チタン粒子31に吸着される。吸着した水素と酸素はクロスオーバー防止層2の貴金属微粒子30上で反応し水に変換される。クロスオーバー防止層2は層状に構成されているので、このバリアーを掻い潜って水素や酸素が対極に達することは難しい。
なお、反応によって過酸化水素やOHラジカルが生成される可能性はあるが、周囲の固体高分子電解質を劣化させたとしても固体高分子電解質膜全体の機械強度にはほとんど影響しない。これに対して、従来の微粒子を均一に分散させた固体高分子電解質膜では、微粒子周囲の固体高分子電解質を劣化させ、微粒子を起点とするピンホールや亀裂を生じさせていたと考えられる。
なお、反応によって過酸化水素やOHラジカルが生成される可能性はあるが、周囲の固体高分子電解質を劣化させたとしても固体高分子電解質膜全体の機械強度にはほとんど影響しない。これに対して、従来の微粒子を均一に分散させた固体高分子電解質膜では、微粒子周囲の固体高分子電解質を劣化させ、微粒子を起点とするピンホールや亀裂を生じさせていたと考えられる。
このような膜電極接合体は、2つの固体高分子電解質層に挟まれたクロスオーバー防止層が層状のバリアーとなって燃料電極および酸化剤電極から固体高分子電解質膜を透過してきた水素と酸素を吸着によって捕捉し再結合させて水に変換するので、水素と酸素がそれぞれ対極に達することを確実に防止することができる。
また、2つの固体高分子電解質層は、その膜内にクロスオーバー防止微粒子が一切含まれていないので、層の機械的強度が小さくなることがない。
また、クロスオーバー防止微粒子が2つの固体高分子電解質層に食い込んで両者をアンカー効果で補強しているので、固体高分子電解質膜全体の強度が高まる。
また、クロスオーバー防止微粒子層の外周が燃料極触媒層の外周の外側に位置するので、クロスオーバー防止微粒子層の外側を通過する水素および酸素を少なくすることができる。
また、固体高分子電解質膜の1つの面に微粒子を塗布するだけでその他の工程はクロスオーバーの対策をしない従来の膜電極接合体の製造方法と同じにできるので、製造が簡単で低コストになる効果がある。
また、2枚の固体高分子電解質膜の一方の面にクロスオーバー防止微粒子を塗布し、貼り合わせた後、酸化剤電極および燃料電極と共にホットプレスすることができるので、1回のホットプレスで済み、固体高分子電解質膜の熱劣化を防ぐことができる効果がある。
また、2枚の固体高分子電解質膜の一方の面にクロスオーバー防止微粒子を塗布し、貼り合わせた後、酸化剤電極および燃料電極と共にホットプレスすることができるので、1回のホットプレスで済み、固体高分子電解質膜の熱劣化を防ぐことができる効果がある。
実施の形態2.
図7は、この発明の実施の形態2に係る膜電極接合体の配置を示す平面図である。各構成要素の配置が分かるように透視図として表してある。図8は、図7のA−A断面における断面図である。
この実施の形態2の膜電極接合体40は、実施の形態1の膜電極接合体1と3点に亘って異なっている。1つ目として、クロスオーバー防止層41に貴金属微粒子を担持するカーボン微粒子が含まれていることである。2つ目として、クロスオーバー防止層41は、燃料流路27および酸化剤流路28の上流領域27a、28a(図3、図4参照)を覆う領域に設けられていることである。3つ目として、燃料極触媒層43と酸化剤極触媒層44の形成方法が異なっている。その他は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
図7は、この発明の実施の形態2に係る膜電極接合体の配置を示す平面図である。各構成要素の配置が分かるように透視図として表してある。図8は、図7のA−A断面における断面図である。
この実施の形態2の膜電極接合体40は、実施の形態1の膜電極接合体1と3点に亘って異なっている。1つ目として、クロスオーバー防止層41に貴金属微粒子を担持するカーボン微粒子が含まれていることである。2つ目として、クロスオーバー防止層41は、燃料流路27および酸化剤流路28の上流領域27a、28a(図3、図4参照)を覆う領域に設けられていることである。3つ目として、燃料極触媒層43と酸化剤極触媒層44の形成方法が異なっている。その他は同様であるので、同様な部分に同じ符号を付記して説明は省略する。
クロスオーバー防止層41は、図3に示す燃料セパレータ25の燃料流路27の上流領域27aと図4に示す酸化剤セパレータ26の酸化剤流路28の上流領域28aとを重畳する位置に図7に示すように配置されている。このクロスオーバー防止層41は、白金の微粒子を担持するカーボン微粒子からなる。このようにして電解質膜47は、中間にクロスオーバー防止層41を挟んだ燃料電解質層3と酸化剤電解質層4とからなる。
次に、実施の形態2の膜電極接合体40の製造方法を説明する。
燃料電解質層3、酸化剤電解質層4、燃料電極基材7、酸化剤電極基材8は、実施の形態1と同じである。また、酸化剤触媒ペースト、燃料触媒ペースト、ロの字型のアルミニウム枠も実施の形態1と同様である。
まず、クロスオーバー防止微粒子としての貴金属微粒子である白金の微粒子を担持するカーボン微粒子(NEケムキャット(株)製)を超音波分散法により水に分散させてクロスオーバー防止微粒子スラリーを作製する。
また、厚さが1mm、外寸100mm×220mm、内寸85mm×65mmのロの字型のアルミニウム枠を用意する。このアルミニウム枠の開口は、短辺方向に片寄って設けられ、燃料スペーサ25の燃料流路27の上流領域27aに位置している。
そして、ロの字型のアルミニウム枠で酸化剤電解質層4の外縁部を挟み、その片面にクロスオーバー防止微粒子スラリーをハンドスプレーで吹き付けてクロスオーバー防止層41を形成する。
また、燃料極触媒層43は、燃料触媒ペーストを撥水したカーボン粒子で目止めした燃料電極基材7にスクリーン印刷法によって82mm×127mmの面積に塗布し乾燥して作製した。このようにして燃料極触媒層43と燃料電極基材7とにより燃料電極45が構成される。
また、酸化剤極触媒層44は、酸化剤触媒ペーストを撥水したカーボン粒子で目止めした酸化剤電極基材8にスクリーン印刷法によって80mm×125mmの面積に塗布し乾燥して作製した。このようにして酸化剤極触媒層44と酸化剤電極基材8とにより酸化剤電極46が構成される。
次に、ハンドプレスにより膜電極接合体40を作製する。図9に示すように、金メッキが施された銅板38上に酸化剤極触媒層44が上面に向くように酸化剤電極基材8、クロスオーバー防止層41が上面に向くように酸化剤電解質層4、燃料電解質層3、燃料極触媒層43が下面に向くように燃料電極基材7の順に積み重ね、その上に金メッキが施された銅板38を積み重ねる。このように重ね合わせた後、ハンドプレスを用い、150℃で9.8×105Paの圧力で2分間ホットプレスした。このようにして接合された膜電極接合体40の外縁部にシリコーン系樹脂によりガスシール部24を設けた。このようにして作製されたものを実施の形態2の膜電極接合体40とした。
燃料電解質層3、酸化剤電解質層4、燃料電極基材7、酸化剤電極基材8は、実施の形態1と同じである。また、酸化剤触媒ペースト、燃料触媒ペースト、ロの字型のアルミニウム枠も実施の形態1と同様である。
まず、クロスオーバー防止微粒子としての貴金属微粒子である白金の微粒子を担持するカーボン微粒子(NEケムキャット(株)製)を超音波分散法により水に分散させてクロスオーバー防止微粒子スラリーを作製する。
また、厚さが1mm、外寸100mm×220mm、内寸85mm×65mmのロの字型のアルミニウム枠を用意する。このアルミニウム枠の開口は、短辺方向に片寄って設けられ、燃料スペーサ25の燃料流路27の上流領域27aに位置している。
そして、ロの字型のアルミニウム枠で酸化剤電解質層4の外縁部を挟み、その片面にクロスオーバー防止微粒子スラリーをハンドスプレーで吹き付けてクロスオーバー防止層41を形成する。
また、燃料極触媒層43は、燃料触媒ペーストを撥水したカーボン粒子で目止めした燃料電極基材7にスクリーン印刷法によって82mm×127mmの面積に塗布し乾燥して作製した。このようにして燃料極触媒層43と燃料電極基材7とにより燃料電極45が構成される。
また、酸化剤極触媒層44は、酸化剤触媒ペーストを撥水したカーボン粒子で目止めした酸化剤電極基材8にスクリーン印刷法によって80mm×125mmの面積に塗布し乾燥して作製した。このようにして酸化剤極触媒層44と酸化剤電極基材8とにより酸化剤電極46が構成される。
次に、ハンドプレスにより膜電極接合体40を作製する。図9に示すように、金メッキが施された銅板38上に酸化剤極触媒層44が上面に向くように酸化剤電極基材8、クロスオーバー防止層41が上面に向くように酸化剤電解質層4、燃料電解質層3、燃料極触媒層43が下面に向くように燃料電極基材7の順に積み重ね、その上に金メッキが施された銅板38を積み重ねる。このように重ね合わせた後、ハンドプレスを用い、150℃で9.8×105Paの圧力で2分間ホットプレスした。このようにして接合された膜電極接合体40の外縁部にシリコーン系樹脂によりガスシール部24を設けた。このようにして作製されたものを実施の形態2の膜電極接合体40とした。
一方、比較試験のため、従来のように微粒子を均一に分散させた固体高分子電解質膜を備えた膜電極接合体を次のような方法で作成した。なお、燃料電極基材7と酸化剤電極基材8、燃料極触媒層43、酸化剤極触媒層44は実施の形態2と同様である。また、クロスオーバー防止微粒子スラリーも実施の形態2と同様である。
まず、厚さが約100μm、幅が90mmで長さが200mmの矩形のアシプレックス(旭化成(株)の登録商標)の表裏両面の半分にクロスオーバー防止微粒子スラリーをハンドスプレーで吹き付けた後乾燥し、厚さ2mmのテフロン(登録商標)のシートで挟持し、金メッキを施した銅板に挟んで、ハンドプレスを用い、180℃で19.6×105Paの圧力で2分間ホットプレスして微粒子を表裏から膜内にまで分散させた固体高分子電解質膜を形成した。
この固体高分子電解質膜の両側に燃料極触媒層43が形成された燃料電極基材7と酸化剤極触媒層44が形成された酸化剤電極基材8とを積層し、さらに両側から金メッキが施された銅板38により挟んで、ハンドプレスを用い、150℃で9.8×105Paの圧力で2分間ホットプレスした。このようにして接合された膜電極接合体の外縁部にシリコーン系樹脂によりガスシール部24を設けた。このように作製されたものを比較例2の膜電極接合体とした。
まず、厚さが約100μm、幅が90mmで長さが200mmの矩形のアシプレックス(旭化成(株)の登録商標)の表裏両面の半分にクロスオーバー防止微粒子スラリーをハンドスプレーで吹き付けた後乾燥し、厚さ2mmのテフロン(登録商標)のシートで挟持し、金メッキを施した銅板に挟んで、ハンドプレスを用い、180℃で19.6×105Paの圧力で2分間ホットプレスして微粒子を表裏から膜内にまで分散させた固体高分子電解質膜を形成した。
この固体高分子電解質膜の両側に燃料極触媒層43が形成された燃料電極基材7と酸化剤極触媒層44が形成された酸化剤電極基材8とを積層し、さらに両側から金メッキが施された銅板38により挟んで、ハンドプレスを用い、150℃で9.8×105Paの圧力で2分間ホットプレスした。このようにして接合された膜電極接合体の外縁部にシリコーン系樹脂によりガスシール部24を設けた。このように作製されたものを比較例2の膜電極接合体とした。
実施の形態2の膜電極接合体40と比較例2の膜電極接合体をそれぞれ両側から外形90mm×200mmの燃料セパレータ25と酸化剤セパレータ26とにより挟んで、有効面積100cm2級の小型単セルを作製した。
この小型単セルに酸化剤として空気、燃料として改質模擬ガス(水素75%、一酸化炭素10ppm)を供給して発電した。小型単セルを常圧80℃に維持し、空気の加湿温度65℃、改質模擬ガスの加湿温度65℃とした。電流密度250mA/cm2の運転条件で、性能試験と寿命試験を実施した。
この小型単セルに酸化剤として空気、燃料として改質模擬ガス(水素75%、一酸化炭素10ppm)を供給して発電した。小型単セルを常圧80℃に維持し、空気の加湿温度65℃、改質模擬ガスの加湿温度65℃とした。電流密度250mA/cm2の運転条件で、性能試験と寿命試験を実施した。
初期特性としては、実施の形態2の膜電極接合体40を用いた小型単セルでは950mVを超える開放電圧が得られたが、比較例2の膜電極接合体を用いた小型単セルでは900mV程度の開放電圧と少し低めであった。ただし、電流密度250mA/cm2でのセル電圧は同程度であった。
しかしながら、比較例2の膜電極接合体を用いた小型単セルは、昼夜連続運転で徐々にセル電圧が低下し、150時間経過した時点からセル電圧の低下が著しくなり、開放電圧も750mVを下回った。また、生成水から固体高分子電解質膜の劣化を示すフッ素イオンが検出されるようになった。350時間を経過したところで停止して電子顕微鏡などを用いた分解調査を行った。その結果、比較例1の場合と同様に酸化剤入口側付近で固体高分子電解質膜にいくつかピンホールが生じており、触媒層中に分散した白金微粒子を担持するカーボンの粒子が起点となっていることと、酸化剤極触媒層の酸化剤入口付近の端部近傍で亀裂らしきものが生じていることも分かった。
一方、実施の形態2の膜電極接合体40を用いた小型単セルは、約1000時間の寿命試験において7mV/1000時間の安定した性能が得られ、開放電圧も950mVを超える値が維持された。また、生成水から固体高分子電解質膜の劣化を示すフッ素イオンは全く検出されず、分解調査でも健全であることが確認された。
一方、実施の形態2の膜電極接合体40を用いた小型単セルは、約1000時間の寿命試験において7mV/1000時間の安定した性能が得られ、開放電圧も950mVを超える値が維持された。また、生成水から固体高分子電解質膜の劣化を示すフッ素イオンは全く検出されず、分解調査でも健全であることが確認された。
このように実施の形態2の膜電極接合体は、実施の形態1と同様にクロスオーバー防止効果が得られるとともに電解質膜を劣化させることがないという結果が得られた。そして、十分な機械強度が保たれるので、長寿命の膜電極接合体を得ることができる。
さらに、燃料および酸化剤の上流領域にクロスオーバー防止層を挿入したので、ガス圧の大きな領域からのクロスオーバーを防止することができるとともに、材料費を削減することができる効果が得られる。
一方、比較例2の膜電極接合体は、比較例1と同様にクロスオーバー防止微粒子が逆にクロスオーバーを著しくさせるピンホールや亀裂の起点になっている。さらに初期から開放電圧が低かったことから、膜内部に分散させたカーボン粒子による電気的な短絡が起こっていると考えられる。
さらに、燃料および酸化剤の上流領域にクロスオーバー防止層を挿入したので、ガス圧の大きな領域からのクロスオーバーを防止することができるとともに、材料費を削減することができる効果が得られる。
一方、比較例2の膜電極接合体は、比較例1と同様にクロスオーバー防止微粒子が逆にクロスオーバーを著しくさせるピンホールや亀裂の起点になっている。さらに初期から開放電圧が低かったことから、膜内部に分散させたカーボン粒子による電気的な短絡が起こっていると考えられる。
また、クロスオーバー防止層を燃料と酸化剤の上流領域に介在させることにより、乾燥しやすく、膜の収縮によってクロスオーバーが生じやすい上流領域の固体高分子電解質膜を湿潤に保ちクロスオーバーを防ぐことができる。
なお、実施の形態2において、燃料と酸化剤の上流領域が一致している例について説明したが、上流領域が異なっているとき、燃料の上流領域にクロスオーバー防止層を配置しても同様な効果が得られる。プロトンとともに水が伝導して燃料電解質層が乾燥し易いので、クロスオーバー防止層における反応よる水が生成されるので湿潤を保つことができる。
また、酸化剤の上流領域にクロスオーバー防止層を配置しても同様な効果が得られる。
また、酸化剤の上流領域にクロスオーバー防止層を配置しても同様な効果が得られる。
実施の形態3.
図10は、この発明の実施の形態3に係わる膜電極接合体の断面図である。実施の形態3の膜電極接合体50は、実施の形態1の膜電極接合体1と燃料電解質層51が異なっており、その他は同様であるので同じ部分には同じ符号を付記して説明は省略する。
燃料電解質層51は、酸化剤電解質層4よりも保水性の高い固体高分子電解質からなる。具体的には、アシプレックス(旭化成(株)の登録商標)の試作膜でアシプレックスよりEquvalent Weight(EW)値が大きい電解質である。EW値が大きいと、同一体積に保持できる水の量が多い。
この実施の形態3の膜電極接合体50を実施の形態1と同様に小型単セルを作製して、実施の形態1と同様のセル試験を実施した。初期のセル電圧が実施の形態1より15mV向上し、寿命劣化も4mV/1000時間に改善された。
これは、乾燥しやすい燃料電解質層51の保水性能が高められたことにより、固体高分子電解質がより湿潤になり、クロスオーバーに対するこの発明の構成の効果が高められたためである。
図10は、この発明の実施の形態3に係わる膜電極接合体の断面図である。実施の形態3の膜電極接合体50は、実施の形態1の膜電極接合体1と燃料電解質層51が異なっており、その他は同様であるので同じ部分には同じ符号を付記して説明は省略する。
燃料電解質層51は、酸化剤電解質層4よりも保水性の高い固体高分子電解質からなる。具体的には、アシプレックス(旭化成(株)の登録商標)の試作膜でアシプレックスよりEquvalent Weight(EW)値が大きい電解質である。EW値が大きいと、同一体積に保持できる水の量が多い。
この実施の形態3の膜電極接合体50を実施の形態1と同様に小型単セルを作製して、実施の形態1と同様のセル試験を実施した。初期のセル電圧が実施の形態1より15mV向上し、寿命劣化も4mV/1000時間に改善された。
これは、乾燥しやすい燃料電解質層51の保水性能が高められたことにより、固体高分子電解質がより湿潤になり、クロスオーバーに対するこの発明の構成の効果が高められたためである。
このような膜電極接合体を用いた燃料電池は、セル電圧が向上されるとともにセル寿命も延びるという効果が得られる。
なお、実施の形態1乃至3において、固体高分子電解質膜が2枚の固体高分子電解質層とその間に挟まれたクロスオーバー防止層とから構成された例について説明したが、固体高分子電解質層が3枚以上であっても同様な効果が得られる。例えば、3枚の固体高分子電解質層の場合、3枚のうち2枚の固体高分子電解質層の間にクロスオーバー防止層を挿入してもよいし、3枚の固体高分子電解質層のそれぞれの間に1つのクロスオーバー防止層、計2つのクロスオーバー防止層を挿入してもよい。
このように3枚以上の固体高分子電解質層から構成するとき、異なる固体高分子電解質を使用してもよい。
このように3枚以上の固体高分子電解質層から構成するとき、異なる固体高分子電解質を使用してもよい。
また、実施の形態1乃至3において、貴金属微粒子として白金および白金とルテニウムの合金を用いた例を示したが、ルテニウム、イリジウム、パラジウムを用いても同様な効果が得られる。また、白金、ルテニウム、イリジウム、パラジウムの少なくとも2つの合金を用いても同様な効果が得られる。これらの貴金属微粒子は、酸素と水素の化学的な反応に対する十分な触媒活性を有している。
また、実施の形態1において、金属酸化物粒子として酸化チタンを用いた例を示したが、酸化タンタル、シリカでも同様な効果が得られる。これらの金属酸化物粒子は、貴金属触媒を容易に担持することができ、固体高分子電解質膜の中でも十分な耐食性を有している。
また、実施の形態1乃至3において、固体高分子電解質膜としてアシプレックスを用いた例を示したが、ナフィオン(デュポン(株)の登録商標)、フレミオン(旭硝子(株)の登録商標)やゴアセレクト(ジャパンゴアテックス(株)の登録商標)などのパーフルオロスルフォン酸系固体高分子電解質でも同様な効果が得られた。また、ポリイミド系、ポリフェニレン系などの炭化水素系の固体高分子電解質を用いても同様な効果が得られた。
また、実施の形態1乃至3において、燃料として天然ガス、プロパン、メタノールまたは合成ガソリンから改質されたガスを想定した例を示したが、純水素や直接メタノール、直接DMEなどを用いても良く同様の効果が得られる。
また、実施の形態3において、燃料電解質膜と酸化剤電解質膜に保水性(EW値)だけが異なる同じ種類と厚さのアシプレックスを用いた例を示したが、異なる種類や構造の固体高分子電解質膜を用いても良く、クロスオーバー防止微粒子層がアンカーとして働くので、機械強度が高まって、固体高分子電解質膜間のズレを生じる恐れがない。
また、実施の形態1乃至3において、固体高分子電解質膜の厚さをトータル100μm程度にした例を示したが、もっと薄くても良く、むしろ薄くなるほど、クロスオーバー防止微粒子層のアンカーとしの効果が発揮される。
1、40、50 膜電極接合体、2、41 クロスオーバー防止層、3、51 燃料電解質層、4 酸化剤電解質層、5、43 燃料極触媒層、6、44 酸化剤極触媒層、7 燃料電極基材、8 酸化剤電極基材、10、47 電解質膜、11、45 燃料電極、12、46 酸化剤電極、15 燃料入力マニホールド、16 酸化剤出力マニホールド、17 冷却剤入力マニホールド、19 燃料出力マニホールド、20 酸化剤入力マニホールド、21 冷却剤出力マニホールド、24 ガスシール部、25 燃料セパレータ、26 酸化剤セパレータ、27 燃料流路、27a (燃料流路の)上流領域、27b (燃料流路の)下流領域、28 酸化剤流路、28a (酸化剤流路の)上流領域、28b (酸化剤流路の)下流領域、29a、29b 燃料流路溝、30a、30b 酸化剤流路溝、31a〜31c、33a〜33c 流路溝片、32a、32b、34a、34b 反転部、36 白金微粒子、37 酸化チタン粒子、38 銅板。
Claims (8)
- 固体高分子電解質膜と、上記固体高分子電解質膜を両側から挟持する燃料電極および酸化剤電極とから構成される燃料電池用膜電極接合体において、
上記固体高分子電解質膜は、少なくとも2つの固体高分子電解質層と、上記固体高分子電解質層間に挟持されたクロスオーバー防止微粒子層とを有することを特徴とする燃料電池用膜電極接合体。 - 上記クロスオーバー防止微粒子層は、貴金属微粒子を担持する金属酸化物粒子または貴金属微粒子を担持するカーボン微粒子を含むことを特徴とする請求項1に記載する燃料電池用膜電極接合体。
- 上記貴金属微粒子は、白金、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、またはこれらの合金のいずれかであることを特徴とする請求項2に記載する燃料電池用膜電極接合体。
- 上記金属酸化物粒子は、酸化チタン、酸化タンタル、シリカのいずれかであることを特徴とする請求項2または3に記載する燃料電池用膜電極接合体。
- 上記燃料電極に接する固体高分子電解質層は、上記酸化剤電極に接する固体高分子電解質層よりも保水性能が高いことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載する燃料電池用膜電極接合体。
- 上記燃料電極は、1方の上記固体高分子電解質層に接する燃料極触媒層を有し、
上記酸化剤電極は、他方の上記固体高分子電解質層に接する酸化剤極触媒層を有し、
上記クロスオーバー防止微粒子層の外周が、上記燃料極触媒層および上記酸化剤極触媒層の外周より外側に位置し、上記固体高分子電解質膜の外周より内側に位置することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載する燃料電池用膜電極接合体。 - 上記クロスオーバー防止微粒子層は、燃料が流されるセパレータに設けられた流路の燃料が流される方向の上流領域または酸化剤が流されるセパレータに設けられた流路の酸化剤が流される方向の上流領域に重畳する位置に配置されたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載する燃料電池用膜電極接合体。
- 固体高分子電解質膜を両側から燃料電極および酸化剤電極により挟持して接合する燃料電池用膜電極接合体の製造方法において、
固体高分子電解質層の1方の面にクロスオーバー防止微粒子を塗布し、塗布された面が他の固体高分子電解質層に面するようにして上記2枚の固体高分子電解質層を貼り合わせ、貼り合わされた2枚の固体高分子電解質層に両側からそれぞれ燃料電極および酸化剤電極を重ね合わせ、その後それをホットプレスして接合することを特徴とする燃料電池用膜電極接合体の製造方法。
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