JP6255720B2 - 膜電極構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体高分子形燃料電池における膜電極構造体とその製造方法に関する。
水素などの燃料と酸素などの酸化剤を反応させ、これに伴う化学エネルギーを電気エネルギーに直接変換する燃料電池は、電解質の種類によってアルカリ形、リン酸形、固体高分子形、溶融炭酸塩形、固体酸化物形などに分類される。固体高分子形燃料電池(polymer electrolyte fuel cell;PEFC)は、他の燃料電池と比べて起動までの時間が短く、また、低温作動が可能で高出力密度であり、小型化・軽量化が可能であることから、携帯用電源、家庭用電源、車載用動力源としての応用が期待されている。
固体高分子形燃料電池は、膜電極構造体(Membrane Electrolyte Assembly;MEA)と呼ばれる、電解質膜の両面に一対の電極触媒層を配置させた構造体を、前記電極触媒層の一方に水素を含有する燃料ガスを供給し、前記電極触媒層の他方に酸素を含む酸化剤ガスを供給するためのガス流路を形成した一対のセパレータ板で挟持した電池である。この一対のセパレータ板で挟持した電池を単電池セルと呼ぶ。
膜電極構造体には、ガスケットが含まれる場合がある。膜電極構造体の一部を構成するガスケットには、電解質膜を支持し、酸素および水素のリークの抑制と電解質膜の湿度維持に寄与することが求められている。プロセスコストの観点から、部品数が少なく組み立てが容易な膜電極構造体が望まれており、積層プロセスが可能な膜電極構造体は、製造上有利である。
固体高分子形燃料電池は、出力密度の増大と燃料電池全体のコンパクト化を目的として、単電池セルを複数枚積層(スタック)して用いられる。スタックする枚数は、必要な電力により異なり、一般的な携帯電気機器のポータブル電源では数枚から10枚程度、コジェネレーション用定置型電気および温水供給機では60枚から90枚程度、自動車用途では250枚から400枚程度である。高出力化をするためにはスタック枚数を増やすことが必要となるため、単電池セルのコストが燃料電池全体のコストに大きく影響する。また、プロセスコストの観点から、部品数が少なく組み立てが容易な膜電極構造体が固体高分子形燃料電池に望まれている。
従来の膜電極構造体では膜の保護あるいは水素リークの抑制のために、膜の端部を封止した構造をとる(例えば、特許文献1)。樹脂モールドは、膜電極構造体を形成した後、射出成形といった工法により、エラストマーのような液状シーリング材を用いて、電解質膜の端部の周縁部を包み込むことで封止する。
また、上記の封止形態と異なる他の電解質膜の端部の封止法も知られている(例えば、特許文献2)。ガスケット上に、両端に溶着層を備える補強シートを形成し、膜電極構造体と溶着させることで電解質膜の端部の封止を果たしている。
特開2006−92924号公報 特開2009−81118号公報
しかしながら、樹脂モールドに用いられるエラストマーは、ガスケットとしては高価であり、さらに、電解質膜の周辺部を包み込むようにガスケットを配置するためには、射出成形等といった工程をとる必要があるため、大量生産には不向きである。
また、フィルム状のガスケットに溶着層を形成する工法では、ガスケットの他に補強シートおよび溶着層が必要であり、部品数の増加が避けられないため、プロセスコストの観点から不利である。
このように、従来の膜電極構造体における電解質膜の端部の封止には部品数が多い、組み立てが複雑、価格が高い、大量生産には不向きという問題点があり、これらの問題点を解決することが課題であった。
そこで、本発明は、少ない部品数や工数で電解質膜の端部をガスケットで封止した膜電極構造体を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するための手段として、本発明の一態様は、電解質膜と、前記電解質膜を挟持した一対の触媒層と、前記触媒層および前記電解質膜の周囲に配置された複数層のガスケットとを備える膜電極構造体であって、前記複数層のガスケットを構成する各層が、粘着層または接着層を介して積層され、前記複数層のガスケットが、前記電解質膜の端部を額縁状に覆う形状を有していることを特徴とする膜電極構造体である。
また、前記複数層のガスケットが、第一のガスケット層、第二のガスケット層、第三のガスケット層の三層からなり、前記第一のガスケット層および前記第二のガスケット層が、それぞれ前記一対の触媒層の周囲に配置され、前記電解質膜の端部から0.5mm以上30mm以下の範囲ではみ出した大きさであり、前記第三のガスケット層が、前記電解質膜の周囲に配置され、前記第一のガスケット層および前記第二のガスケット層によって挟持されていることを特徴とする。
また、前記複数層のガスケットが、第一のガスケット層、第二のガスケット層、第三のガスケット層の三層からなり、前記第一のガスケット層が、前記一対の触媒層のうち一方の触媒層の周囲に配置され、前記電解質膜の端部までの大きさであり、前記第二のガスケット層が、前記一対の触媒層のうち他方の触媒層の周囲に配置され、前記電解質膜の端部から0.5mm以上30mm以下の範囲ではみ出した大きさであり、前記第三のガスケット層が、前記電解質膜および前記第一のガスケット層の周囲に配置されていることを特徴とする。
また、本発明の別の態様は、電解質膜と、前記電解質膜を挟持した一対の触媒層と、前記触媒層および前記電解質膜の周囲に配置された複数層のガスケットとを備える膜電極構造体の製造方法であって、前記電解質膜の両面に前記一対の触媒層を形成する工程と、前記一対の触媒層のうち一方の触媒層の周囲の前記電解質膜の表面に、第一のガスケット層を、粘着層または接着層を介して枠形状に配置する工程と、前記第一のガスケット層を枠形状に配置する工程の後に、上下反転させ、電解質膜の周囲に第三のガスケット層を配置する工程と、前記第三のガスケット層を配置する工程の後に、前記一対の触媒層のうち他方の触媒層の周囲の前記電解質膜の表面に、第二のガスケット層を、粘着層または接着層を介して枠形状に配置する工程と、を備えることを特徴とする膜電極構造体の製造方法である。
本発明によれば、電解質膜の幅寸法よりも大きいガスケットと電解質膜の周囲に備えることのできる寸法のガスケットを積層することで、電解質膜の端部を額縁状に封止し、ガスリーク防止に優れた膜電極構造体を提供することができる。
また、本発明によれば、ガスケット部材同士またはガスケット部材と膜電極構造体との間で生じる積層後のズレを防ぐことができる。また、射出成形が必要なエラストマーに比べ、安価で枚葉による製造が可能なフィルムで電解質膜の端部を封止することが可能となることから、膜電極構造体を簡易且つ安価に製造することできる。
固体高分子形燃料電池の内部構造を示す分解斜視図である。 本発明の第一の実施形態に係る膜電極構造体7の概略上面図である。 本発明の第一の実施形態に係る膜電極構造体7の概略断面図である。 本発明の第二の実施形態に係る膜電極構造体7の概略断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について、詳細に説明する。
<固体高分子形燃料電池について>
本発明の実施形態について説明する前に、本発明に関連する固体高分子形燃料電池について、図1を参照してまず説明する。
図1に示すように、固体高分子形燃料電池の単電池セル100は、膜電極構造合体10と、この膜電極構造体10を挟持する一対のセパレータ17とを備える。膜電極構造体110は、電解質膜11の一方の面にアノード側触媒層12bとアノード側ガス拡散層13bとアノード側ガスケット層16bとを備え、他方の面にカソード側触媒層12aとカソード側ガス拡散層13aとカソード側ガスケット層16aとを備えている。
すなわち、図1に示す固体高分子形燃料電池の単電池セル100は、電解質膜11(主にフッ素系電解質膜や炭化水素電解質膜からなる)をそれぞれカーボンブラック粒子に触媒物質(主として白金(Pt)あるいは他の金属(例えばルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)等)を担持したカソード側触媒層12aとアノード側触媒層12bとで挟持し、このカソード側触媒層12aとアノード側触媒層12bとをそれぞれカソード側ガス拡散層13aとアノード側ガス拡散層13bとで挟持してカソード14およびアノード15とし、ガスのシールの機能を有するカソード側ガスケット層16aとアノード側ガスケット層16bにて膜電極構造体10を構成している。そして、膜電極構造体10を一組のセパレータ17により挟持して単電池セル100が構成される。
<膜電極構造体について>
次に、本発明の実施形態に係る固体高分子形燃料電池における膜電極構造体20、30およびその製造方法について、図2乃至図4を用いて詳細に説明する。なお、図1において、膜電極構造体10はカソード側ガス拡散層13aとアノード側ガス拡散層13bとを含む構成として説明したが、図2乃至図4を用いて説明する本発明の実施形態に係る膜電極構造体20は、カソード側ガス拡散層とアノード側ガス拡散層とを含まない構成として説明する。
図2は、本発明の第一の実施形態に係る固体高分子形燃料電池における膜電極構造体20の概略上面図であり、図3は、本発明の第一の実施形態に係る膜電極構造体20のI−I線に沿った概略断面図である。また、図4は、図3とは異なる本発明の第二の実施形態に係る固体高分子形燃料電池における膜電極構造体30の概略断面図である。
図3および図4に示すように、本発明の第一の実施形態に係る膜電極構造体20および第二の実施形態に係る膜電極構造体30は、電解質膜21と、この電解質膜21の一方の面(図3、4において上面)に配置されたカソード側触媒層22aと、電解質膜21の他面(図3、4において下面)に配置されたアノード側触媒層22bとを備える。図3および図4に示すように、これらカソード側触媒層22a、アノード側触媒層22bおよび電解質膜21の周囲には、複数層のガスケット26が配置されている。
ここで、電解質膜21は、カソード側触媒層22aおよびアノード側触媒層22bよりも一回り大きく形成されている。そして、カソード側触媒層22aおよびアノード側触媒層22bの周囲に配置されるカソード側ガスケット層26a、アノード側ガスケット層26b、および電解質膜21の周囲に配置される電解質膜端部側ガスケット層26cが一体化されて複数層のガスケット26として形成されている。
すなわち、複数層のガスケット26は、カソード側ガスケット層26a、アノード側ガスケット層26b、電解質膜端部側ガスケット層26cの三層から構成され、複数層のガスケット26は、電解質膜21の端部を額縁状に覆う形状を有している。
複数層のガスケット26は、三層の構成のほか、二層または四層以上の構成であってもよい。ただし、カソード側触媒層22aおよびアノード側触媒層22bの端部の周囲および電解質膜21の端部の周囲のすべてにガスケットを配置する必要がある点、膜電極構造体が平滑であることが望ましい点、プロセスコストの点などを考慮すると、三層で構成することがより好ましい。
複数層のガスケット26は、カソード側ガスケット層26a、アノード側ガスケット層26b、電解質膜端部側ガスケット層26cが粘着層または接着層28を介して積層された構成を有する。粘着層または接着層28は、この3つのガスケット層26a、26b、26cのうち、電解質膜端部側ガスケット層26c以外のカソード側ガスケット層26およびアノード側ガスケット層26bの一方の面に形成されている。そして、カソード側ガスケット層26aおよびアノード側ガスケット層26bは、この粘着層または接着層28を介して、電解質膜端部側ガスケット層26cと貼り合わされている。
電解質膜端部側ガスケット層26cは、電解質膜21と直接接しているか、または、粘着層または接着層28を介して電解質膜21と接している。このとき、電解質膜端部側ガスケット層26cと電解質膜21と間には隙間がないことが好ましい。
本発明の第一の実施形態に係る膜電極構造体20において、一対の触媒層22a、22bの周囲に配置された第一のガスケット層および第二のガスケット層(カソード側ガスケット層26aおよびアノード側ガスケット層26b)は、電解質膜21の端部から0.5mm以上30mm以下の範囲ではみ出した大きさを有している。また、電解質膜21の周囲に配置される第三のガスケット層(電解質膜端部側ガスケット層26c)は、カソード側ガスケット層26aおよびアノード側ガスケット層26bによって挟持されている。このような構造を有する膜電極構造体は、積層での製造の際に位置ズレを起こしにくく、また、構造体の厚みバラつきを抑制することができる。
ここで、カソード側ガスケット層26aおよびアノード側ガスケット層26bの大きさに関して、電解質膜21の端部からはみ出した範囲は、5mm以上10mm以下であることがより好ましい。はみ出した範囲が5mmより小さい場合、第三のガスケットのハンドリング性が低下し、また、はみ出した範囲が10mmより大きい場合、余分なガスケットとしてコスト面から好ましくない。
本発明の第二の実施形態に係る膜電極構造体30において、一対の触媒層22a、22bのうち一方の触媒層の周囲に配置された第一のガスケット層(カソード側ガスケット層26a)は、電解質膜21の端部までの大きさである。すなわち、電解質膜21の大きさとそのガスケット層(カソード側ガスケット層26a)の大きさとは等しい。また、他方の触媒層の周囲に配置された第二のガスケット層(アノード側ガスケット層26b)は、電解質膜21の端部から0.5mm以上30mm以下の範囲ではみ出した大きさを有している。また、電解質膜21の周囲に配置される第三のガスケット層(電解質膜端部側ガスケット層26c)は、電解質膜21および第一のガスケット層の周囲に配置されている。このような構造を有する膜電極構造体は、第一のガスケット層のみを先に配置するような場合において、工程作業中に粘着剤のベタつきを気にする必要がない。
ここで、第二のガスケット層の大きさに関して、電解質膜21の端部からはみ出した範囲は、5mm以上10mm以下であることがより好ましい。はみ出した範囲が5mmより小さい場合、第三のガスケットのハンドリング性が低下し、また、はみ出した範囲が10mmより大きい場合、余分なガスケットとしてコスト面から好ましくない。
また、図4において、第一のガスケット層はカソード側ガスケット層26aであるが、逆に、第一のガスケット層はアノード側ガスケット層26bであってもよい。この場合、電解質膜21の大きさとアノード側ガスケット層26bの大きさとが等しくなり、カソード側ガスケット層26aが、電解質膜21の端部から0.5mm以上30mm以下の範囲ではみ出した大きさとなる。なお、アノード側ガスケット層26bよりもカソード側ガスケット層26aが厚いという点を考慮すると、ハンドリング性の観点から、第一のガスケット層は、カソード側ガスケット層26aであるほうが好ましい。
<電解質膜について>
本実施形態で用いられる電解質膜21は、固体高分子形燃料電池に一般的に用いられるものでよい。例えば、フッ素系電解質膜や炭化水素電解質膜が好適に使用でき、特にフッ素系電解質膜が好ましい。フッ素系高分子電解質膜としては、例えば、Nafion(登録商標、デュポン社製)、Flemion(登録商標、旭硝子株式会社製)、Aciplex(登録商標、旭化成株式会社製)、Gore Select(登録商標、ゴア社製)等を用いることができる。炭化水素系高分子電解質膜としては、スルホン化ポリエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリエーテルエーテルスルホン、スルホン化ポリスルフィド、スルホン化ポリフェニレン等の電解質膜を用いることができる。
<触媒層について>
カソード側触媒層22a、アノード側触媒層22bについても、固体高分子形燃料電池に一般的に用いられるものでよい。例えば、白金または白金と他の金属(例えばルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、モリブデン(Mo)、クロム(Cr)、コバルト(Co)、鉄(Fe)等)との合金の微粒子(平均粒径は10nm以下が好ましい)が、表面に担持されたカーボンブラックなどの導電性炭素微粒子(平均粒径:20nm以上100nm以下程度)と、パーフルオロスルホン酸樹脂溶液などの高分子溶液とが、適当な溶剤(エタノールなど)中で均一に混合されたインクにより作製されるものが使用できる。
導電性炭素微粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなる。また、大きすぎると触媒層のガス拡散性の低下や、触媒の利用率の低下が起こる恐れがある。そのため、導電性炭素微粒子の粒径は20nm以上100nm以下程度が好ましい。適当な溶媒としては、高分子電解質と触媒物質を溶解又は分散できるものであればよいが、常温または加熱により蒸発させて除去しやすいものが好ましい。例えば、沸点が200℃以下の溶媒であることが好ましい。
<ガスケットについて>
複数層のガスケット26を構成するカソード側ガスケット層26a、アノード側ガスケット層26b、電解質膜端部側ガスケット層26cは、熱可塑性樹脂であることが好ましい。例えば、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)、SPS(シンジオタクチックポリスチレン)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PI(ポリイミド)等が使用できる。特に、弾性率の高い熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑樹脂として繊維強化されたものを用いてもよい。
<粘着層または接着層について>
カソード側ガスケット層26a、アノード側ガスケット層26b、電解質膜端部側ガスケット層26cは、繊維状材料の繊維間に粘着材料または接着材料を含浸させた粘着層または接着層28を介して積層され、複数層のガスケット26を構成する。
粘着層または接着層28に含まれる粘着材料または接着材料としては、主鎖骨格がポリシロキサン骨格やポリエーテル骨格、フルオロエーテル骨格、ポリオレフィン骨格等の材料が使用できる。また、電解質膜21上に配置されることから、粘着層または接着層28に含まれる溶媒によって電解質膜21が膨潤することを避けるために、粘着層または接着層28は、無溶媒系であることが好ましい。
繊維状材料は、粘着材料または接着材料を含浸させることから、粘着材料または接着材料との親和性が高いものが好ましい。さらに、2つのガスケット層同士を溶着させることから、溶融により溶着するものが好ましい。また、ガスケットとしての用途を考慮し、電気的短絡を防ぐために、電気絶縁性であることが求められることから、ガラスペーパー等のガラス繊維やアルミナ繊維が好ましい。
<触媒層の形成について>
図3および図4に示すように、最初に、電解質膜21上にカソード側触媒層22a、アノード側触媒層22bを形成する。カソード側触媒層22a、アノード側触媒層22bを形成するにあたっては、まず、高分子電解質と、触媒物質と、触媒物質を担持するカーボン担体と、分散媒とを含むインクを調製する。調製された触媒インクを、ドクターブレード法、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法などの塗布法、噴霧法を用い電解質膜21上に塗布することで、カソード側触媒層22a、アノード側触媒層22bを形成する。また、転写基材を用いて転写基材上に触媒インクを塗布し、転写基材上に触媒層を一旦形成した後に、転写法により電解質膜21上にカソード側触媒層22a、アノード側触媒層22bを形成してもよい。
<ガスケットの形成について>
次に、アノード側ガスケット層26bを、アノード側触媒層22bの周囲である電解質膜21上に形成する。アノード側ガスケット層26bを形成するには、枠形状にカットした繊維状材料の繊維間に粘着材料または接着材料を含浸させた後、アノード側触媒層22bの周囲に配置することで、粘着層または接着層28を形成する。次いで、粘着層または接着層28の表面に、例えばフィルム状のアノード側ガスケット層26bを配置する。あるいは、粘着材料または接着材料が含浸された繊維状材料を、粘着材料または接着材料が固化しない状態で、アノード側触媒層22bの周囲に配置した後、その表面に、例えばフィルム状のアノード側ガスケット層26bを配置してもよい。
ここで、最初のガスケット層の形成は、図3に示す第一の実施形態に係る膜電極構造体20の場合、カソード側とアノード側のどちらから始めてもよい。一方、図4に示す第二の実施形態に係る膜電極構造体30の場合、電解質膜21の端部から0.5mm以上30mm以下の範囲ではみ出した大きさとなるガスケット層を配置する側から始めるのが好ましい。
また、アノード側ガスケット層26bとなるガスケットフィルムを用意し、このガスケットフィルム上に、繊維状材料の繊維間に粘着材料または接着材料を含浸させた粘着層または接着層を形成する。次いで、この粘着層または接着層付ガスケットフィルムを枠形状にカットした後、アノード側触媒層22bの周囲に配置してもよい。
次に、電解質膜端部側ガスケット層26cおよびカソード側ガスケット層26aを形成するために、上記工程により製造されたものを上下反転させ、電解質膜21の周囲に電解質膜端部側ガスケット層26cを配置する。このとき、電解質膜端部側ガスケット層26cの表面に粘着層または接着層28を形成していてもいなくてもよい。
最後に、表面に粘着層または接着層28を形成した例えばフィルム状のカソード側ガスケット層26aを、カソード側触媒層22aの周囲に配置する。あるいは、アノード側ガスケット層26bと同様に、粘着材料または接着材料が含浸された繊維状材料を、粘着材料または接着材料が固化しない状態で、カソード側触媒層22aの周囲に配置した後、その表面に、例えばフィルム状のカソード側ガスケット層26aを配置してもよい。
ここで、図4に示す第二の実施形態に係る膜電極構造体30の場合、カソード側ガスケット層26aに形成する粘着層または接着層28は、電解質膜21と対向する面および電解質膜端部側ガスケット層26cと対向する面に形成することが好ましい。
以上の構成により、固体高分子形燃料電池において比較的安価なガスケットを電解質膜周囲に積層することで、膜端部を封止した膜電極構造体を容易に製造しやすいものにすることができる。
以下に、具体的な実施例により、本実施形態の固体高分子形燃料電池の膜電極構造体およびその製造方法を説明する。なお、後述する実施例は本発明の一実施形態の実施例であり、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
白金触媒を担持したカーボン、パーフルオロカーボンスルホン酸(Du Pont社製、商品名Nafion溶液)、および、スルホン酸基が導入された無定形炭素を溶媒(水、1−プロパノ−ル、2−プロパノ−ル=1:1:1(体積比))中で混合し、遊星型ボールミル(FRITSCH社製、Pulverisette7)(ボールミルのポット、ボールはジルコニア製)を用いて分散処理を行った。触媒インク中の固形分含有量は10質量%であった。
転写基材上に触媒インクを塗布、乾燥し、電極触媒層を形成した。このとき、単位面積あたりの電極触媒層のPt(白金)質量が0.4mg/cmとなるように電極触媒層を形成した。
続いて、電解質膜として70mmのナフィオン(登録商標)XL(Du Pont社製)を用い、50mmの正方形状に打ち抜かれたカソード側触媒層およびアノード側触媒層と電解質膜の両面とが互いに向い合うように、2つの転写シートと電解質膜とを配置した。その後、これら2つの転写シートで挟まれた電解質膜を130℃に加熱するとともに、加圧下で10分間保持するホットプレスを行うことにより、電解質膜とカソード側触媒層およびアノード側触媒層の接合体を得た。
ポリエチレンナフタレートからなる繊維状材料にフルオロエーテル骨格の材料からなる接着材料を含浸させた接着層を有するガスケットフィルム(接着層付ガスケットフィルム)の中央部を打ち抜き、2つの枠状の接着層付ガスケットフィルム(カソード側ガスケット層26aおよびアノード側ガスケット層26bに相当するガスケットフィルム)を作製した。これらの接着層付ガスケットフィルムの開口部サイズは50mmであった。また、1つの枠状の接着層を有しないガスケットフィルム(電解質膜端部側ガスケット層26cに相当するガスケットフィルム)を別途作製した。このガスケットフィルムの開口部サイズは70mmであった。続いて、作製した3つの枠状のガスケットフィルムを、前述の図3に示す第一の実施形態に係る膜電極構造体20の形成方法に従って、順次前記の接合体に貼合し、開口部サイズが50mmのガスケットフィルムはカソード側触媒層およびアノード側触媒層の側面に隣接させ、開口部サイズが70mmのガスケットフィルムは電解質膜の側面に隣接させた。このようにして、本発明における膜電極構造体を得た。
本発明は固体高分子形燃料電池、特に燃料電池自動車や家庭用燃料電池などにおける、固体高分子形燃料電池単セルやスタックに好適に活用することができる。
100・・・単電池セル
10・・・膜電極構造体
11・・・電解質膜
12a・・・カソード側触媒層
12b・・・アノード側触媒層
13a・・・カソード側ガス拡散層
13b・・・アノード側ガス拡散層
14・・・カソード
15・・・アノード
16a・・・カソード側ガスケット層
16b・・・アノード側ガスケット層
17・・・セパレータ
20・・・膜電極構造体
21・・・電解質膜
22a・・・カソード側触媒層
22b・・・アノード側触媒層
26・・・ガスケット
26a・・・カソード側ガスケット層
26b・・・アノード側ガスケット層
26c・・・電解質膜端部側ガスケット層
28・・・粘着層または接着層
30・・・膜電極構造体

Claims (2)

  1. 電解質膜と、前記電解質膜を挟持した一対の触媒層と、前記触媒層および前記電解質膜の周囲に配置された複数層のガスケットとを備える膜電極構造体であって、
    前記複数層のガスケットを構成する各層が、粘着層または接着層を介して積層され、
    前記複数層のガスケットが、前記電解質膜の端部を額縁状に覆う形状を有し、
    前記複数層のガスケットは、第一のガスケット層、第二のガスケット層、第三のガスケット層の三層から構成され、
    前記第一のガスケット層は、前記一対の触媒層のうち一方の触媒層の周囲に配置され、前記電解質膜の端部までの大きさであり、
    前記第二のガスケット層は、前記一対の触媒層のうち他方の触媒層の周囲に配置され、前記電解質膜の端部から0.5mm以上30mm以下の範囲ではみ出した大きさであり、
    前記第三のガスケット層は、前記電解質膜および前記第一のガスケット層の周囲に配置されている
    ことを特徴とする膜電極構造体。
  2. 電解質膜と、前記電解質膜を挟持した一対の触媒層と、前記触媒層および前記電解質膜の周囲に配置された複数層のガスケットとを備える膜電極構造体の製造方法であって、
    前記電解質膜の両面に前記一対の触媒層を形成する工程と、
    前記一対の触媒層のうち一方の触媒層の周囲から前記電解質膜の端部を越えた位置まで、枠形状に第一のガスケット層を配置する工程と、
    前記電解質膜の周囲に第三のガスケット層を配置する工程と、
    前記一対の触媒層のうち他方の触媒層の周囲から前記電解質膜の端部まで、枠形状に第二のガスケット層を配置し、前記第二のガスケット層と前記第三のガスケット層の一部を面接触させる工程と、
    を備えることを特徴とする膜電極構造体の製造方法。
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