JP2012114130A - 発光素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体発光部と実装基板とが複数のバンプを介してされる発光素子において、高い耐衝撃性を確保しつつ、高い光取り出し効率を図ることができる発光素子を提供する。
【解決手段】発光素子は、半導体層12と、半導体層12に積層され、p型窒化物半導体層123より屈折率が小さい透明導電膜13と、透明導電膜13上に、導通領域C1を除くように積層された低屈折率誘電膜141と、低屈折率誘電膜141に積層された接着誘電膜142と、接着誘電膜142と接合し、導通領域C1において透明導電膜13と導通する反射導電膜143とを備える。また、反射導電膜143上に積層されたp電極16と、p電極16と接合する複数のバンプPとを備え、導通領域C1は、p電極16とバンプPとの接合面を透明導電膜13へ投影した投影領域T1の外に設けられる。
【選択図】図1

Description

本発明は、発光層を含む半導体層が積層され、発光層からの光を基板方向へ反射する金属膜である反射導電膜を備えた発光素子に関するものである。
実装基板に実装される従来の発光素子として、例えば、特許文献1,2に記載のものが知られている。この特許文献1,2に記載の発光素子を図9(A)および同図(B)に基づいて説明する。
図9(A)に示す発光素子100(特許文献1に記載の発光装置)は、透光性基板101に、n形窒化物半導体層102と、窒化物発光層103と、p形窒化物半導体層104が積層されている。更に、p形窒化物半導体層104に、透明導電膜105と、低屈折率誘電体層106と、反射導電膜107とが積層されている。
低屈折率誘電体層106は、SiO2層106aと、ZrO2層106bとにより構成することができる他、SiO2、ZrO2、Al23、Y23の群から選択される1つの材料により形成された単層膜により構成される。従来の発光素子100では、実装基板Bに搭載されるときに、従来の発光素子100と実装基板Bとの間に介在するバンプPに対応する位置を、形成禁止領域としているので、低屈折率誘電体層106は、この形成禁止領域以外の領域に形成されている。
このように従来の発光素子100では、低屈折率誘電体層106を形成禁止領域から避けて形成することで、実装時の衝撃で透明導電膜105と低屈折率誘電体層106との剥離を防止している。
また、図9(B)に示す発光素子200(特許文献2に記載の半導体発光素子)では、サファイア201に積層されたInGaN半導体発光部202と、InGaN半導体発光部202上に形成されたP側透明電極203と、複数の開口205aを有する透明絶縁膜205と、開口205aを介してP側透明電極203に接合する反射電極207とを有し、反射電極207が、P側パッド電極208により実装基板210に接合されている。また、透明絶縁膜205と反射電極207との間に、密着性を高めるための接着層を設けてもよいとされている。
特開2010−199247号公報 国際公開第2006/006555号
図9(A)に示す特許文献1に記載の発光素子100では、バンプPに対応する位置を形成禁止領域としている。放熱性の観点からは、バンプ接合部数は多い方が良いが、特許文献1に記載の発光素子においてバンプ接合部数を多くすると、低屈折率誘電体層106を形成する領域が減少し、光取り出し効率が低下してしまう。
また、図9(B)に示す特許文献2に記載の発光素子200では、InGaN半導体発光部202と、実装基板210とが、反射電極207の全面を覆うパッド電極208により接合されており、半導体発光部と実装基板とが複数のバンプを介して接合される構造を想定していない。
そこで本発明は、半導体発光部と実装基板とが複数のバンプを介してされる発光素子において、高い耐衝撃性を確保しつつ、高い光取り出し効率を図ることができる発光素子を提供することを目的とする。
本願発明者らが検討を重ねた結果、低屈折率誘電層と反射導電膜との間に、金属元素の酸化物からなる誘電体により形成された接着誘電膜を設けることにより、低屈折率誘電層と反射導電膜との密着力が向上することが分かった。これにより、低屈折率誘電層を、発光素子と実装基板との間に介在するバンプPと対応する位置にも設けることが可能となり、高い光取り出し効率が得られることを見出した。ここで、「バンプPと対応する位置」とは、バンプPと発光素子電極との接合面と、バンプPの形成面に直交する方向から見て重なり合う位置を意味する。
また、透明導電膜と反射導電膜とが導通する導通領域と、低屈折率誘電膜との境界が、バンプPと対応する位置にあると、耐衝撃性が著しく低下することを発見した。そこで、導通領域を、バンプPと対応する位置以外に設けることにより、高い耐衝撃性を確保できることを見出した。ここで、「導通領域を、バンプPと対応する位置以外に設ける」とは、導通領域と、バンプPと発光素子電極との接合面とが、バンプPの形成面に直交する方向からみて、互いに重なり合わないように形成されることを意味する。言い換えれば、導通領域が、バンプPと発光素子電極との接合面を透明導電膜に投影した投影領域の外に形成される状態である。
そこで、本発明の発光素子は、n型層、発光層およびp型層が積層された半導体層と、前記p型層上に積層され、前記p型層より屈折率が小さい透明電極膜と、前記透明電極膜上に、導通領域を除くように積層され、前記p型層より屈折率が小さいシリコン化合物により形成された低屈折率誘電膜と、前記低屈折率誘電膜上に積層され、金属元素の酸化物からなる誘電体により形成された接着誘電膜と、前記接着誘電膜と接合し、前記導通領域において前記透明導電膜と導通する金属層からなる反射導電膜と、前記反射導電膜上に形成されたp電極と、前記p電極と接合する複数のバンプを備え、前記導通領域は、前記p電極と前記バンプとの接合面を前記透明導電膜へ投影した投影領域の外に設けられていることを特徴とする。
本発明の発光素子は、低屈折率誘電膜により全反射させる範囲を広く確保することができ、光を吸収しない誘電体により低屈折率誘電膜が形成されているので、高い耐衝撃性を確保しつつ、高い光取り出し効率を図ることができる。
本発明の実施の形態1に係る発光素子の断面図 図1に示す発光素子の透明導電膜と低屈折率誘電膜とを示す図 従来の発光素子の透明導電膜と低屈折率誘電膜とを示す図 実施の形態1に係る発光素子の第1変形例を示す断面図 第1変形例の透明導電膜と低屈折率誘電膜とを示す図 (A)(B)は、第2、第3変形例の透明導電膜と低屈折率誘電膜とを示す図 (C)(D)は、第4、第5変形例の透明導電膜と低屈折率誘電膜とを示す図 本発明の実施の形態2に係る発光素子の断面図 (A)および(B)は従来の発光素子の断面図 実施の形態1および変形例1に係る発光素子と、比較例との比較図
本願の第1の発明は、n型層、発光層およびp型層が積層された半導体層と、p型層上に積層され、p型層より屈折率が小さい透明電極膜と、透明電極膜上に、導通領域を除くように積層され、p型層より屈折率が小さいシリコン化合物により形成された低屈折率誘電膜と、低屈折率誘電膜上に積層され、金属元素の酸化物からなる誘電体により形成された接着誘電膜と、接着誘電膜と接合し、導通領域において透明導電膜と導通する金属層からなる反射導電膜と、反射導電膜上に形成されたp電極と、p電極と接合する複数のバンプを備え、導通領域は、p電極とバンプとの接合面を透明導電膜へ投影した投影領域の外に設けられていることを特徴とする発光素子である。
第1の発明によれば、シリコン化合物により形成された低屈折率誘電膜と、金属層による反射導電膜との間に、金属元素の酸化物からなる誘電体により形成された接着誘電膜が設けられているので、低屈折率誘電膜が直接反射導電膜と接触している場合と比較して密着度を向上させることができる。従って、バンプと対応する位置にも低屈折率誘電膜を形成することができるので、広い範囲に低屈折率誘電膜を形成することができる。従って、低屈折率誘電膜により全反射させる範囲を広く確保することができる。また、反射導電膜と透明導電膜とが導通する導通領域が、p電極とバンプとの接合面を透明導電膜へ投影した投影領域の外に設けられているため、導通領域と低屈折率誘電膜との境界が、バンプの形成面と直交する方向から見て、p電極とバンプとの接合面と重なり合わない。従って、高い耐衝撃性を確保することができる。ここで、酸化物とは酸素を含む化合物であり、窒素を含む場合も含まれる。
本願の第2の発明は、第1の発明において、導通領域は、透明電極膜の周縁部に設けられている発光素子である。
第2の発明によれば、導通領域を透明電極膜の周縁部とすることで、周縁部の内側の広い領域を反射領域とすることができるので、発光層からの光を広い範囲で全反射させることができるので、更に光取り出し効率を向上させることができる。
本願の第3の発明は、第1の発明において、導通領域は、複数のバンプの間に設けられ、バンプより小さく輪郭を有する発光素子である。
第3の発明によれば、導通領域がバンプの間に位置することで、バンプの間からも電流が注入され、良好な電流拡散を得ることができる。また、導通領域をバンプより小さい輪郭とすることで、反射領域を広く確保することができる。
本願の第4の発明は、第2または第3の発明において、導通領域は、透明導電膜の中心を対称点として点対称に配置されている請求項2または3記載の発光素子である。
第4の発明によれば、導通領域から透明導電膜へ平均的にバランスよく電流が流れ、拡散させることができるので、光取り出し効率を向上させることができる。
本願の第5の発明は、第1から第4のいずれかの発明において、接着誘電膜は、Al23,Ta25,ZrO2,Nb25,TiO2のいずれかの誘電膜から形成されている発光素子である。
第5の発明によれば、接着誘電膜をAl23,Ta25,ZrO2,Nb25,TiO2のいずれかの誘電膜とすることで、反射導電膜と高い密着を図ることができる。
本願の第6の発明は、第5の発明において、接着誘電膜と反射導電膜との間に、酸化物を構成する酸素の一部が脱離した酸素欠損膜を密着誘電膜として設けた発光素子である。
第6の発明によれば、酸素欠損膜を密着誘電膜として接着誘電膜と反射導電膜との間に形成することで、酸素欠損膜のダングリングボンドが結合手となり、反射導電膜と強く結合することにより、更に密着性を向上させることができる。
本願の第7の発明は、第6の発明において、密着誘電膜は、Al23-x(但し、0<n<3)により形成された発光素子である。
第7の発明によれば、密着誘電膜をAl23-x(但し、0<n<3)とした酸素欠損膜とすることができる。
本願の第8の発明は、第1から第7のいずれかの発明において、接着誘電膜は、低屈折率誘電膜よりも薄く形成された発光素子である。
第8の発明によれば、接着誘電膜が低屈折率誘電膜よりも薄く形成されていることにより、光取り出し効率を高めることができる。
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る発光素子を図面に基づいて説明する。図1は、本実施の形態に係る発光素子の断面図である。また、図2は、本実施の形態に係る発光素子がサブマウントに実装される以前の状態を、電極側から見た図である。バンプが形成される(p電極とバンプとの接合面となる)領域は、点線にて示された領域である。図1に示す発光素子は、バンプPを介在させて実装基板Bにフリップチップ実装されるLEDチップである。
発光素子は、絶縁性基板である透光性基板11に、n型層であるn型窒化物半導体層121と、発光層である窒化物発光層122と、p型層であるp型窒化物半導体層123とが積層された半導体層12が設けられている。透光性基板11とn型窒化物半導体層121との間にバッファ層を設けてもよい。
透光性基板11は、窒化物発光層122からの光を透過させるものが使用できる。透光性基板11としては、例えば、サファイア基板、SiC基板、ZnO基板などが使用できる。なお、透光性基板11は、半導体層12を形成後に除去されていても良い。
n型窒化物半導体層121は、n型GaN層とすることができる。また、n型窒化物半導体層121は、単層構造に限らず、多層構造でもよい。例えば、透光性基板11がサファイア基板の場合には、AlN層やAlGaN層などのバッファ層を介在させ、n型窒化物半導体層121を、n型AlGaN層と、n型AlGaN層上にn型GaN層とを積層した構成としてもよい。
窒化物発光層122は、少なくともGaとNとを含み、必要に応じて適量のInを含ませることで、所望の発光波長を得ることができる。また、窒化物発光層122としては、単層構造とすることもできるが、例えば、InGaN層とGaN層を交互に少なくとも一対積層した多重量子井戸構造とすることも可能である。本実施の形態1では、窒化物発光層122による発光ピーク波長が450nmとなるようにInGaN層の組成を設定してある。なお、窒化物発光層122は、単一量子井戸構造とすることも可能である。
p型窒化物半導体層123は、p型GaN層とすることができる。また、p型窒化物半導体層123は、単層構造に限らず、多層構造とすることも可能である。その場合には、例えば、p型窒化物半導体層123をp型AlGaN層とp型GaN層とを積層した多層膜とすることができる。
このような半導体層12は、透光性基板11にMOVPE法のようなエピタキシャル成長技術により成膜することができるが、例えば、ハイドライド気相成長法(HVPE法)や、分子線エピタキシー法(MBE法)などにより積層することも可能である。
半導体層12には、p型窒化物半導体層123よりも屈折率が小さいGZO(GaをドープしたZnO)膜から形成された透明導電膜13が成膜されている。本実施の形態1では、透明導電膜13の膜厚が10nmに設定されている。透明導電膜13の材料としては、GZOとする以外に、例えば、GZO,AZO(AlをドーピングしたZnO),ITOの群から選択される材料とすることができる。
このような材料により透明導電膜13を成膜することで、透明導電膜13とp型窒化物半導体層123との接触をオーミック接触とすることができる。透明導電膜13をGZO、AZO、ITOなどにより成膜する場合には、O2ガスアシストの電子ビーム蒸着法により成膜した後、N2ガスとO2ガスとの混合ガス中でアニールすることで、透明導電膜13の消衰係数を0.001程度とすることができる。なおスパッタ法による成膜であれば平坦性が良好で、低吸収であり、コンタクト性に優れた膜が形成できるのでなおよい。
透明導電膜13をGZOにより形成する場合のアニール条件の一例として、例えば、N2ガスとO2ガスとの体積比を95:5、アニール温度を500℃、アニール時間を5分とすることができる。なお、透明導電膜13は、上述の成膜方法および成膜条件とする以外でもよいが、消衰係数が0.003以下となるように成膜方法および成膜条件を設定するのが好ましい。
透明導電膜13には、反射層14が積層されている。この反射層14は、低屈折率誘電膜141と、接着誘電膜142と、反射導電膜143とを備えている。
低屈折率誘電膜141は、透明導電膜13の周縁部を透明導電膜13と反射導電膜143との導通を図る導通領域C1として除いた領域に設けられた、屈折率が1.46のSiO2から形成された誘電体膜である。SiO2膜とした低屈折率誘電膜141は、膜厚が300nmに設定されている。低屈折率誘電膜141はSiO2膜とする以外に、p型窒化物半導体層123より屈折率が小さいシリコン化合物であればよく、SiONなどとすることができる。この低屈折率誘電膜141は、蒸着法あるいはスパッタ法により成膜することができる。
導通領域C1は、透明導電膜13の周縁部全体の一定幅を確保することで、透明導電膜13の中心を対称中心(対称点)として点対称な輪郭形状を有している。本実施の形態1では、透明導電膜13の周縁部全体の一定幅として16μmを導通領域C1としている。
接着誘電膜142は、金属元素との酸化物からなる誘電体により形成され、低屈折率誘電膜141上に成膜されている。本実施の形態1では、接着誘電膜142を、屈折率が1.6〜1.9程度のAl23により成膜している。Al23膜とした接着誘電膜142の膜厚は、低屈折率誘電膜141よりも薄いものであり、30nmである。接着誘電膜142は、Al23膜とする以外に、Ta25膜,ZrO2膜,Nb25膜,TiO2膜とすることができる。この接着誘電膜142は、蒸着法あるいはスパッタ法により成膜することができる。
反射導電膜143は、透明導電膜13との導通を図る導通領域C1と、低屈折率誘電膜141および接着誘電膜142を通過した光を反射する反射領域R1とを被覆する金属膜であり、接着誘電膜142と接合している。本実施の形態1では、反射導電膜143を、高い反射率を有するAg膜としている。Ag膜とした反射導電膜143は、膜厚を100nmとすることができる。この膜厚は、例えば、50nm〜200nm程度の範囲で設定することが可能である。反射導電膜143は、Ag膜とする以外に、Al膜とすることができる。しかし、反射導電膜143は、Ag膜の方がAl膜より反射率が高いので、Ag膜とするのが好ましい。
n電極15は、p型窒化物半導体層123と窒化物発光層122とn型窒化物半導体層121の一部とをエッチングしたn型窒化物半導体層121上の領域に設けられたカソード電極である。n電極15は、矩形状に形成された透光性基板11の対角となる位置に設けられている。n電極15は、Ti層とAu層とが積層されて形成されている。n型窒化物半導体層121上に積層されるn電極15のTi層は、n型窒化物半導体層121に対するオーミックコンタクト層として機能する。オーミックコンタクト層の材料は、例えば、Ti,V,Alやこれらのいずれか一種類の金属を含む合金などとすることができる。Ti層に積層されたAu層はnパッド層として機能する。
p電極16は、エッチングされた残余のp型窒化物半導体層123上に積層されたアノード電極である。p電極16は、n電極15が設けられている残余の範囲に設けられている。p電極16は、反射導電膜143上に積層されたAu層と、Ti層と、Au層とが積層されて形成されている。最表面のAu層がpパッド層として機能する。P電極16は、等間隔のマトリクス状に配置されたバンプPを介在させて実装基板Bに導通搭載されている。本実施の形態1では、n電極15を導通させるためのバンプPも含めて5×5のバンプPにより発光素子が実装基板Bに導通搭載されている。
以上のように構成された発光素子は、p電極16とn電極15との間に順方向バイアス電圧を印加することで、p電極16から、反射導電膜143,透明導電膜13,p型窒化物半導体層123,窒化物発光層122,n型窒化物半導体層121を経由してn電極15へ電流が流れる。
反射導電膜143から導通領域C1の透明導電膜13へ電流が流れるときに、透明導電膜13は反射導電膜143に対して高抵抗であるため、透明導電膜13の周縁部である導通領域C1から透明導電膜13の中央に向かって電流が拡散する。本実施の形態1では、導通領域C1として、透明導電膜13の周縁部全体の一定幅を確保することで、導通領域C1は透明導電膜13の中心を対称中心(対称点)として点対称な輪郭形状を有しているため、透明導電膜13の中央部に向かって偏り無く平均的に拡散するので、窒化物発光層122の発光効率を向上させることができる。
この発光素子は、低屈折率誘電膜141がシリコン化合物の一例であるSiO2により形成されているが、接着誘電膜142が設けられているため、反射導電膜143との高い密着性を確保することができる。例えば、接着誘電膜142を設けずに、反射導電膜143が低屈折率誘電膜141を直接被覆していた場合を想定して、スパッタ法で成膜したSiO2による誘電膜に、Agによる導電膜を成膜して、引張り試験を行った。その結果、5.7N/mm2であった。
そこで、低屈折率誘電膜141上にAl23による接着誘電膜142をスパッタで成膜した場合を想定して、Al23膜とAg膜との組み合わせの引張り試験を行った。その結果、28.0N/mm2と引張り強度を向上させることができた。
なお、接着誘電膜142をAl23とする以外に、Ta25膜,ZrO2膜,Nb25膜,TiO2膜とした場合を表1に示す。
Figure 2012114130
表1からもわかるように、低屈折率誘電膜141と反射導電膜143との密着度が低く、低屈折率誘電膜141と反射導電膜143との間に、金属元素の酸化物からなる誘電体により形成された接着誘電膜142を設けることで密着度が向上する。これは、非金属の酸化物からなる誘電体であるSiO2中においてSi原子−酸素間は共有結合であるため結合が強固な材料で、接着に必要なダングリングボンドが少なく、反射導電膜143との密着力が弱いと考えられる。これに対してAl23やTa25などの金属元素の酸化物からなる誘電体内の金属−酸素間結合はイオン結合性であるため、SiO2と比較すると結合力は弱くダングリングボンドが発生し結合手となるため、反射導電膜142との密着性が強いと思われる。
このように、低屈折率誘電膜141上に接着誘電膜142を設けることで、接着誘電膜142と反射導電膜143との密着性を向上させることができるので、バンプPと対応する位置に低屈折率誘電膜141が設けられていても、衝撃による反射導電膜143の剥離を防止することができる。
また導通領域C1は、透明導電膜の周縁部に設けられていることにより、p電極16とバンプPとの接合面を透明導電膜13へ投影した投影領域T1の外に設けられていることになる。これにより、導通領域と低屈折率誘電膜との境界が、バンプPの形成面と直交する方向から見て、p電極16とバンプPとの接合面と重なり合わない。従って、高い耐衝撃性を確保することができる。
図10に、本実施の形態の効果について検証した結果を示す。
比較例として、図3に示すような、バンプPに対応する位置を低屈折率誘電膜の形成禁止領域とした比較例1、バンプPに対応する位置に多数の輪郭の小さい導通領域を設けた比較例2、比較例2に比べて導通領域の輪郭を大きくし、個数を少なくした比較例3を作製し、導通領域をバンプPに対応する位置以外に設けた本実施の形態との差を検証した。具体的には、光取り出し効率に関わる低屈折率誘電膜の占有率と、耐衝撃性に関わるシェア強度の平均値およびバラツキを比較した。結果を以下に述べる。
図3に示すような比較例1では、低屈折率誘電膜141がバンプPに対応する位置には設けられていないため、透明導電膜13に対して約71%しか面積が確保できない。図2に示すような本実施の形態では、バンプPと対応する位置にも低屈折率誘電膜141を設け、周縁部のみを導通領域C1とすることで、低屈折率誘電膜141(反射領域R1)の面積を透明導電膜13に対して約90%とすることができる。従って、窒化物発光層122からの光を透明導電膜13と低屈折率誘電膜141との界面で、透光性基板11の方向へ全反射させることができるので、光取り出し効率を向上させることができる。
また、バンプPと対応する位置に輪郭の小さい導通領域を有する比較例2および比較例3では、比較例1に比べ低屈折率誘電膜141の占有率は大きくなり、光取り出し効率は向上するものの、シェア強度の平均値やバラツキが著しく低下し、耐衝撃性に問題があることが判明した。さらに、比較例1、比較例2および比較例3の検証結果から、バンプPと対応する位置に低屈折率誘電膜141と導通領域C1の境界が多いほど、耐衝撃性が低下することが判明した。
これらの比較例に対し、本実施の形態では、低屈折率誘電膜141がバンプPに対応する位置に設けられており、さらに、導通領域をバンプPに対応する位置以外に設けたことにより、光取り出し効率および耐衝撃性が他の比較例より優れることが判明した。
また、低屈折率誘電膜141が光を吸収しない誘電体により形成されていることで、低屈折率誘電膜141の代わりに金属膜(例えば、Pt膜など。)を設けるより光取り出し効率を向上させることができる。
また、低屈折率誘電膜141が他の誘電体より屈折率の低いシリコン化合物であるSiO2により形成されていることで、低屈折率誘電膜141と透明導電膜13との界面で窒化物発光層122からの光を全反射させやすくすることができるので、更に光取り出し効率を向上させることができる。
(実施の形態1の第1変形例)
本発明の実施の形態1に係る発光素子の第1変形例について、図面に基づいて説明する。なお、図4においては、図1と同じ構成(材質)のものは同符号を付して説明を省略する。
図4に示すように低屈折率誘電膜141と接着誘電膜142とに、バンプPの輪郭より小さい小径の貫通孔145(図5参照)が、p電極16とバンプPとの接合面を透明導電膜13へ投影した投影領域T2の外に透明導電膜13と反射導電膜143とを導通させるための導通領域C2として設けられている。また、導通領域C2は透明導電膜13の周縁部となる位置にも設けられている。従って、低屈折率誘電膜141および接着誘電膜142を通過した光を反射する反射領域R2は、導通領域C2を除いた残余の領域となる。
詳細には、貫通孔145が、縦列および横列にマトリクス状に配置されたバンプPのそれぞれの間に配置されていることで、貫通孔145を結ぶ仮想直線が格子状であり、透明導電膜13の中心を対称中心として対称中心の位置に配置されている。
この貫通孔145は、透明導電膜13上に、低屈折率誘電膜141と接着誘電膜142とを積層する際に、貫通孔145を形成する位置に予めマスクパターンを設けておき、低屈折率誘電膜141と接着誘電膜142とを積層した後にマスクパターンを除去することで形成することができる。
第1変形例においては、p電極16とn電極15との間にバンプPを介在させて順方向バイアス電圧を印加すると、p電極16から反射導電膜143の導通領域C2へ、導通領域C2から透明導電膜13へ電流が流れる。透明導電膜13は、反射導電膜143と比較して高抵抗であり、導通領域C2が、透明導電膜13に対して、偏り無く平均的な配置が可能な格子状に設けられているため、それぞれの導通領域C2から導通領域C2が無い領域に向かって電流が透明導電膜13を拡散する。従って、透明導電膜13全体の広い範囲に電流を拡散させることができる。流れる範囲が広がった電流は、p型窒化物半導体層123,窒化物発光層122,n型窒化物半導体層121を経由してn電極15へ電流が流れる。
このように窒化物発光層122全体に電流が広がって流れるので、発光効率を向上させることができる。特に、本実施の形態では、ドット状の導通領域C2が格子状に配置され、かつ透明導電膜13の中心を対称中心として点対称に配置されているので、より効果的に透明導電膜13にて電流を拡散することができる。
また、導通領域C2がバンプPの輪郭より小さく設けられていることで、反射領域R2を広く確保することができる。この第1変形例では、反射領域R2が透明導電膜13に対して約90%の面積を確保することができる。従って、光取り出し効率の向上を図ることができる。
また、反射領域R2を広く確保するために、導通領域C2がバンプPの輪郭より小さく設けられているが、導通領域C2がバンプPと対応する位置以外に設けられていることで、搭載時の衝撃が貫通孔145の周縁部に作用して反射導電膜143が接着誘電膜142から剥離してしまうことを回避することができる。従って、光取り出し効率の向上を図りつつ、耐衝撃性を向上させることができる。
図10において、本変形例に係る発光素子を、先に述べた比較例および実施の形態1に係る発光素子と比較した。その結果、本変形例に係る発光素子では、実施の形態1に比べ、低屈折率誘電膜の占有率およびシェア強度を低下させることなく、効果的な電流拡散を実現できることが判明した。
(実施の形態1の第2〜第5変形例)
本発明の実施の形態1に係る発光素子の第2〜第5変形例について、図面に基づいて説明する。
第2〜第5変形例は、反射導電膜が透明導電膜と導通を図るための導通領域が、透明導電膜の周縁部だけでなく、溝状としたり、バンプより小さい輪郭を有するドット状としたりしたものである。
図6(A)に示す第2変形例は、第1変形例の貫通孔145(図5参照)をそれぞれ結ぶ格子状の溝146としたものである。ドット状とした貫通孔145では、それぞれのドット状のマスクパターンの大きさが小さいためパターンの欠損が心配されるが、導通領域C3を溝146とすることで、マスクパターンをドット状とするよりも、溝146を形成するためのマスクパターンに高い強度を与えることができる。また、1本の溝146には、両端部があるため、エッチング際などに薬液が浸透しやすい。さらに反射領域R3を確保することができる。従って、導通領域C3を溝146とすることで、容易に、かつ精度よく形成することができる。
図6(B)に示す第3変形例は、中心を共有する複数の矩形状の溝147を導通領域C4としたものである。第3変形例では、2つの矩形状の溝147とし、内側の溝147aが中心に位置するバンプP0を囲うように設けられている。また、外側の溝147bは、中心に位置するバンプP0に隣接して周囲を囲う8つのバンプP1を囲うように設けられている。さらに反射領域R4を確保することができる。このように導通領域C4を溝147とすることで、第2変形例と同様に、マスクパターンをドット状とするよりも、マスクパターンに高い強度を与えることができるので、容易に導通領域C4を形成することができる。
図7(C)に示す第4変形例は、n電極15が設けられていない角部同士を結ぶ対角線に沿ってドット状の貫通孔145を設けて導通領域C5を配置したものである。第4変形例では、対角線上に位置するバンプP2の周囲に沿って一側の角部から他側の角部へ階段状に設けられている。このような貫通孔145を設けることで、n電極15から離れた位置が導通領域C5となるので、電流が透明導電膜13上で拡散しながらn電極15へ向かって拡散するので、電流拡散の均一化を図ることができる。また、導通領域C5をドット状とすることで、溝とするより低屈折率誘電膜141の面積を広く確保することができるので、反射領域R5を広く確保することができる。
図7(D)に示す第5変形例は、n電極15が設けられていない角部に設けたL字状の複数の溝148を導通領域C6としたものである。第5変形例では、角部に位置するバンプP2と隣接する3つのバンプP3との間に溝148aが設けられ、更にバンプP3と隣接する5つのバンプP4との間に溝148bが設けられている。これにより反射領域R6を確保することができる。このような溝148を設けることで、n電極15から離れた位置が導通領域C6となり、電流が透明導電膜13上で拡散しながらn電極15へ向かって拡散するので、電流拡散の均一化を図ることができる。
第2変形例から第5変形例においても、第1変形例と同様に、導通領域C3〜C6がバンプPと対応する位置以外に設けられていることで、搭載時の衝撃が貫通孔145の周縁部や、溝146〜148の周壁部に作用して反射導電膜143が接着誘電膜142から剥離してしまうことを回避することができる。従って、光取り出し効率の向上を図りつつ、耐衝撃性を向上させることができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る発光素子を図面に基づいて説明する。なお、図8においては、図4と同じ構成(材質)のものは同符号を付して説明を省略する。本実施の形態2に係る発光素子は、接着誘電膜と反射導電膜との間に、酸化物を構成する酸素の一部が脱離した酸素欠損膜を密着誘電膜として更に設けたことを特徴とするものである。
図8に示すように、接着誘電膜142と反射導電膜143との間に密着誘電膜144が設けられている。接着誘電膜142は、Al23,Ta25,ZrO2,Nb25のいずれかにより形成されている。密着誘電膜144は、Al23の酸素のうち、一部の酸素が脱離して欠損した状態で成膜された薄膜である。つまり、密着誘電膜144は、Al23-x(但し、0<n<3)として表すことができる。従って、本実施の形態2では、反射導電膜との界面において密着誘電膜144は、酸素欠損した誘電体から形成されている。この密着誘電膜144は、スパッタ法により成膜することができる。
このような密着誘電膜144を、接着誘電膜142と反射導電膜143との間に設けることで、密着誘電膜内にダングリングボンドが発生し、反射導電膜との結合手になるため、更に密着性を向上させることができる。
本発明は、高い耐衝撃性を確保しつつ、高い光取り出し効率を図ることができるので、基板に発光層を含む半導体層が積層され、発光層からの光を基板方向へ反射する導電性反射膜を備えた発光素子に好適である。
11 透光性基板
12 半導体層
121 n型窒化物半導体層
122 窒化物発光層
123 p型窒化物半導体層
13 透明導電膜
14 反射層
141 低屈折率誘電膜
142 接着誘電膜
143 反射導電膜
145 貫通孔
146 溝
147,147a,147b 溝
148,148a,148b 溝
15 n電極
16 p電極

Claims (8)

  1. 光透過性を有する基板と、
    前記基板に、n型層、発光層およびp型層が積層された半導体層と、
    前記p型層上に積層され、前記p型層より屈折率が小さい透明電極膜と、
    前記透明電極膜上に、導通領域を除くように積層され、前記p型層より屈折率が小さいシリコン化合物により形成された低屈折率誘電膜と、
    前記低屈折率誘電膜上に積層され、金属元素の酸化物からなる誘電体により形成された接着誘電膜と、
    前記接着誘電膜と接合し、前記導通領域において前記透明導電膜と導通する金属層からなる反射導電膜と、
    前記反射導電膜上に形成されたp電極と、
    前記p電極と接合する複数のバンプを備え、
    前記導通領域は、前記p電極と前記バンプとの接合面を前記透明導電膜へ投影した投影領域の外に設けられていることを特徴とする発光素子。
  2. 前記導通領域は、前記透明電極膜の周縁部に設けられている請求項1記載の発光素子。
  3. 前記導通領域は、前記複数のバンプの間に設けられ、該バンプより小さく輪郭を有する請求項1記載の発光素子。
  4. 前記導通領域は、前記透明導電膜の中心を対称点として点対称に配置されている請求項2または3記載の発光素子。
  5. 前記接着誘電膜は、Al23,Ta25,ZrO2,Nb25,TiO2のいずれかの誘電膜から形成されている請求項1から4のいずれか1項に記載の発光素子。
  6. 前記接着誘電膜と前記反射導電膜との間に、酸化物を構成する酸素の一部が脱離した酸素欠損膜を密着誘電膜として設けた請求項5記載の発光素子。
  7. 前記密着誘電膜は、Al23-x(但し、0<n<3)により形成された請求項6記載の発光素子。
  8. 前記接着誘電膜は、前記低屈折率誘電膜よりも薄く形成された請求項1から7のいずれか1項に記載の発光素子。
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