JP2012109164A - 二次電池用負極及び空気二次電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】負極、正極、及び前記負極と前記正極との間に介在する電解液を備える二次電池用の負極であって、該負極の前記正極側表面に、抵抗温度係数が異なる複数の部材が隣接する多孔質層を備える二次電池用負極、並びに、該二次電池用負極を備える空気二次電池。
【選択図】図2
Description
Li → Li+ + e− (1)
式(1)で生じる電子は、外部回路を経由し、外部の負荷で仕事をした後、正極に到達する。そして、式(1)で生じるリチウムイオン(Li+)は、負極と正極との間に介在する電解液内を負極側から正極側へ移動し、正極に到達する。
1/2O2 + 2e− +2Li+ → Li2O (2)
O2 + 2e− + 2Li+ → Li2O2 (3)
式(2)及び式(3)で生じたリチウム酸化物は、正極に蓄積される。
そこで、デンドライトによる短絡を抑制すべく、様々な技術が提案されている(例えば特許文献1〜3)。
また、特許文献2に記載の技術では、デンドライトの成長を抑制することができても、デンドライトの生成を根本的に抑制することはできない。また、特許文献3に記載の方法では、細孔長さ以上にデンドライトが成長した場合には、負極と正極の短絡が発生してしまう。
該負極の前記正極側表面に、抵抗温度係数が異なる複数の部材が隣接する多孔質層を備えることを特徴とするものである。
第一の二次電池用負極においては、前記導電性多孔質体及び前記半導体多孔質体において、金属イオン濃度のムラが生じにくいため、金属を均一に析出させることができる。
第一の二次電池用負極において、前記多孔質層の他の具体的な構造としては、例えば、前記導電性多孔質体と前記半導体多孔質体とが、該負極の前記正極側表面から前記正極側に向かって順に隣接する構造が挙げられる。このとき、前記半導体多孔質体が、負の抵抗温度係数を有し、該負極の正極側表面から前記正極側に向かって順に、抵抗温度係数が高くなる抵抗温度係数分布を有する構造とすることもできる。
第二の二次電池用負極においては、抵抗温度係数が異なる各半導体多孔質体内において、金属イオン濃度のムラが生じにくいため、金属を均一に析出させることができる。
本発明の空気二次電池は、上記したように、充電の際、金属の析出が均一に進行する本発明の二次電池用負極を備えるため、デンドライトの生成を抑制することが可能であると共に、負極の多孔質構造の正極側における金属の偏析を抑制し、該多孔質の局所的な目詰まりを防止することができる。
本発明の二次電池用負極は、負極、正極、及び前記負極と前記正極との間に介在する電解液を備える二次電池用の負極であって、
該負極の前記正極側表面に、抵抗温度係数が異なる複数の部材が隣接する多孔質層を備えることを特徴とするものである。
そのメカニズムは、以下の通りである。すなわち、充電時、多孔質層には電池温度に応じて、電子伝導性を発現する領域と電子伝導性を発現しない領域とが存在する。このとき、電子伝導性を発現する領域(領域Aとする)においては、金属イオンの供給がスムーズに進むために金属イオン濃度のムラが生じにくく、金属イオンの拡散と電子移動とのバランスがよいため、均一な金属析出が進行する。領域Aでは、金属析出の進行により、その孔内に金属が充填されていく。電池温度の上昇に伴って、それまで電子伝導性を発現していなかった領域(領域Bとする)が電子伝導性を発現しだすと、金属イオンの供給は、孔内での金属充填が進行した領域Aよりも、領域Bへスムーズに行われる。その結果、領域Bにおいて、均一な金属析出が進行する。このように、本発明の二次電池用負極では、負極の正極側表面に設けられた多孔質層が、抵抗温度係数の異なる複数の部材で構成されていることによって、均一な金属析出が可能である。
以下、第一及び第二の二次電池用負極を例に、本発明の二次電池用負極について、詳しく説明する。
図1に本発明の第一の二次電池用負極を備えた、空気二次電池の一形態例の断面模式図を示す。
図1において、空気二次電池100は、正極1と、負極2と、電解液3とが、正極缶8及び負極缶9で構成される電池ケース内に収容されている。正極1と負極2と電解液3は、電解液3が、正極1と負極2との間に挟まれて介在するように配置されている。正極缶8及び負極缶9は、ガスケット10により固定されており、電池ケース内の密封性が確保されている。
正極層5は、酸素の還元反応の場であり、導電性材料(例えばカーボンブラック)、触媒(例えば、二酸化マンガン)、及びバインダー(例えば、ポリフッ化ビニリデン)を含んでいる。
正極集電体4は、多孔質構造を有する導電性材料(例えば、カーボンペーパー)から構成されており、正極缶8に設けられた空気孔11から取り込まれた酸素が、正極集電体4を経て正極層5に供給可能となっている。
負極2の正極側表面に位置する多孔質層6は、該正極側表面の面方向において、導電性多孔質体12と、該導電性多孔質体12と異なる抵抗温度係数を有する半導体多孔質体13とが隣接する構造を有している。多孔質層6において、半導体多孔質体13は、導電性多孔質体12側から順に、半導体多孔質体13aと該半導体多孔質体13aよりも抵抗温度係数が高い半導体多孔質体13bとが隣接している。半導体多孔質体13a及び半導体多孔質体13bは共に負の抵抗温度係数を有している。
負極層7は、移動イオンである金属イオンを吸蔵・放出可能な負極活物質(たとえば、金属Li)を含んでいる。
充放電サイクルの初期において、充電反応前、金属イオン(例えば、Li+)は、多孔質層16の全域、すなわち、負極層17の表面側から電解液3側(正極側)にわたって存在し、しかも、その濃度が高い(図6の(6A)参照)。充電反応による金属の析出(Li++e−→Li)が進行し始めると、多孔質層16内に浸透した電解液3の金属イオン濃度は急激に低下する(図6の(6B)参照)。このとき、電解液3中の金属イオン拡散速度は、多孔質層16中の電子移動速度より遅いために、金属イオンが多孔質層16の電解液側表面から内部(負極層表面側)へと拡散する前に、多孔質層16の電解液側で金属イオンの析出反応が集中的に進行する(図6の(6C)参照)。その結果、充放電を繰り返すうちに、多孔質層16の電解液側に金属が偏析し、析出した金属によって多孔質層16が目詰まりした金属層16’が形成される。
充放電サイクルの初期において、充電反応前、金属イオン(例えば、Li+)は、多孔質層6の全域に、すなわち、導電性多孔質体12、半導体多孔質体13a及び半導体多孔質体13bの負極層7の表面側から電解液側3側(正極側)にわたって存在し、しかも、その濃度が高い(図2の(2A)参照)。
多孔質層において、導電性多孔質体と半導体多孔質体との隣接形態は、特に限定されず、例えば、図3に示すように、負極の正極側表面の面方向に隣接する形態(3A、3C)でもよいし、負極の厚み方向に隣接する形態(3B)でもよい。尚、本発明において、多孔質層における導電性多孔質体と半導体多孔質体の隣接形態は、図3に示す形態に限定されない。
3Bのように、負極の正極側表面から正極側に向かって順に導電性多孔質体と半導体多孔質体とが隣接していることによって、正極側に配置された半導体多孔質体ではなく、負極層側に配置された導電性多孔質体表面から、金属析出が進行するため、多孔質層内の厚み方向における金属イオンの拡散と電子の移動のバランスがよくなり、金属が均一に析出する。さらに、半導体多孔質体が、負極の正極側表面から正極側に向かって順に抵抗温度係数が高くなる抵抗温度係数分布を有していることによって、多孔質体内の金属イオン濃度が均一化されやすく、金属の均一析出が進行しやすい。
図3の3Cに示す構造では、正極が、負極2の中心部に位置する導電性多孔質体12に電場が集中して該中心部から金属析出が生じる形状の場合、金属の均一析出が実現できる。
また、導電性多孔質体は、機械的強度、比表面積、耐食性等が高いことが好ましい。
抵抗温度係数は、使用する半導体の材料の他、半導体の製造プロセス条件等によっても異なるため、材料の選択、製造プロセス条件の制御等によって、調整することができる。
半導体多孔質体が導電性を発現する温度は、二次電池の種類、二次電池の運転条件等に応じて適宜決定すればよく、特に限定されるものではないが、例えば、作動温度が0〜80℃の二次電池においては、60℃以上で抵抗値が90%以下となる半導体を用いることが好ましい。
NTCサーミスタとしては、例えば、ニッケル、マンガン、コバルト、鉄、バナジウムから選ばれる少なくとも1種を含む酸化物を焼結したもの等が挙げられ、中でも、ニッケル、マンガン、コバルト、及び鉄から選ばれる少なくとも1種を含む酸化物を焼結したものが好ましい。
また、CTRサーミスタとしては、酸化バナジウム系材料を用いたもの等が挙げられる。
また、半導体多孔質体は、機械的強度、比表面積、耐食性等が高いことが好ましい。
多孔質層の製造方法は、特に限定されない。例えば、図3の3Aや3Bに示す形態の場合、導電性多孔質体12を構成する導電性多孔質シートと、半導体多孔質体13aを構成する半導体多孔質シートと、半導体多孔質体13bを構成する半導体多孔質シートとを、順に積層する方法が挙げられる。また、図3の3Cに示す形態の場合、導電性多孔質体12を構成する円柱状の導電性多孔質体と、半導体多孔質体13aを構成する円筒状の半導体多孔質体と、半導体多孔質体13bを構成する円筒状の半導体多孔質体とを同心円状に積層させる方法が挙げられる。
負極層は、金属イオンを放出・取り込み可能な負極活物質を含有する。負極活物質は、二次電池の種類によって異なる。移動イオンである金属イオンを含む金属活物質を、負極活物質として含む負極層の場合、充電時における負極での金属析出量が多いため、本発明により得られる効果は特に大きい。
例えば、金属空気二次電池の場合、移動イオンである金属イオンを含む金属活物質が挙げられる。例えば、リチウム空気二次電池の場合、リチウム金属、リチウム元素を含有する合金材料、リチウム化合物等が挙げられる。リチウム元素を含有する合金としては、例えばリチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等を挙げることができる。また、リチウム化合物としては、例えばリチウムチタン酸化物等の酸化物、リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等の窒化物等を挙げることができる。また、グラファイト等の炭素材料も金属イオンを放出・取り込み可能な負極活物質として用いることができる。
また、金属活物質としては、亜鉛空気電池の場合には亜鉛金属、亜鉛合金、亜鉛化合物等、マグネシウム空気電池の場合には、マグネシウム金属、マグネシウム合金、マグネシウム化合物等、カルシウム空気電池の場合には、カルシウム金属、カルシウム合金、カルシウム化合物等、ナトリウム空気電池の場合には、ナトリウム金属、ナトリウム合金、ナトリウム化合物等が挙げられる。
二次電池の高容量密度化が可能であることから、負極活物質としては、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、及びナトリウムから選ばれる少なくとも1種の金属活物質が好ましい。
導電性材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、炭素材料が挙げられる。炭素材料は10m2/g以上、特に100m2/g以上、さらに600m2/g以上の高比表面積を有することが好ましい。高比表面積を有する炭素材料の具体例として、カーボンブラック、活性炭、カーボン炭素繊維(例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等)、グラファイト等を挙げることができる。ここで、導電性材料の比表面積は、たとえばBET法によって測定することができる。
負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されるものではないが、例えば銅、ステンレス、ニッケル、カーボン等を挙げることができる。負極集電体の形状としては、例えば箔状、板状およびメッシュ(グリッド)状等を挙げることができる。本発明においては、後述する電池ケースが負極集電体の機能を兼ね備えていてもよい。
第二の二次電池用負極は、負極の正極側表面に設けられた多孔質層が、抵抗温度係数の異なる半導体多孔質体が隣接する構造を有している点で、第一の二次電池用負極と構造が異なるが、第一の二次電池用負極同様、多孔質層における金属の均一析出が実現可能であり、デンドライトによる短絡を抑制し、二次電池の長寿命化を達成することができる。以下、第二の二次電池用負極について、第一の二次電池と異なる点を中心に説明する。
本発明の第一の二次電池用負極は、正極側表面すなわち電解液側表面に、抵抗温度係数の異なる複数の半導体多孔質体が隣接する多孔質層を備える。通常は、二次電池の移動イオンである金属イオンを放出・取り込み可能な負極活物質を含有する負極層が、該多孔質層と積層した構造を有する。さらに、負極層に加えて、負極層の集電を行う負極集電体を備えていてもよい。また、その他の機能層を有していてもよい。負極層及び負極集電体については、第一の二次電池用負極と同様であるため、ここでの説明は省略する。
多孔質層において、抵抗温度係数が異なる複数の半導体多孔質体の隣接形態は、特に限定されず、例えば、負極の正極側表面の面方向に隣接する形態(図5の5A及び5C参照)でもよいし、負極の厚み方向に隣接する形態(図5の5B参照)でもよい。多孔質層における抵抗温度係数の分布形態は、特に限定されず、例えば、半導体多孔質体の隣接方向に沿って、順に抵抗温度係数が高くなる(低くなる)ような規則性のある分布形態であってもよいし、不規則な分布形態であってもよい。また、抵抗温度係数の分布形態は、連続的に変化するものであってもよいし、段階的に変化するものであってもよい。
5Bのように、負極の正極側表面から正極側に向かって順に、半導体多孔質体の抵抗温度係数が高くなることによって、負極層側に配置された導電性多孔質体表面から、順に、金属析出が進行するため、多孔質層内の厚み方向における金属イオンの拡散と電子の移動のバランスがよくなり、金属を均一に析出させることができる。
図5の5Cの構造では、正極の形状が、負極の中心部に位置する導電性多孔質体12に電場が集中して該中心部から金属析出が生じる形状の場合、金属の均一析出を実現することができる。
隣接する半導体多孔質体の抵抗温度係数は、互いに異なっていれば、具体的な差は特に限定されない。
本発明の空気二次電池は、酸素を活物質とする正極、負極及び前記正極と前記負極との間に介在する電解液を備える空気二次電池であって、前記負極が上記にて説明した本発明の二次電池用負極であることを特徴とするものである。
本発明の空気二次電池の具体的は形態例として、図1の構造を有するものが挙げられる。図1については、既に説明した通りである。
以下、空気二次電池の各構成について説明する。
正極は、少なくとも導電性材料を含み、酸素の酸化還元反応場となる。正極は、通常、導電性材料に加えて、触媒、バインダー等を含む正極合材から形成される正極層を備える。正極層では、供給された酸素が、負極から電解液を経て伝導してきた金属イオンと反応し、導電性材料表面に金属酸化物が生成する。正極は、通常、正極の集電を行う正極集電体も備える。
具体的には、炭素材料は10m2/g以上、特に100m2/g以上、さらに600m2/g以上の比表面積を有することが好ましい。高比表面積を有する炭素材料の具体例として、カーボンブラック、活性炭、カーボン炭素繊維(例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等)、グラファイト等を挙げることができる。ここで、導電性材料の比表面積は、たとえばBET法によって測定することができる。
正極層におけるバインダーの含有量は、例えば、5〜50重量%であることが好ましく、特に10〜30重量%であることが好ましい。
具体的な触媒としては、例えば、コバルトフタロシアニン、マンガンフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、スズフタロシアニンオキサイド、チタンフタロシアニン、ジリチウムフタロシアニン等のフタロシアニン系化合物;コバルトナフトシアニン等のナフトシアニン系化合物;鉄ポルフィリン等の大環状錯体;鉄ポルフィリン等の大環状錯体に遷移金属が配位した錯体;MnO2、CeO2、Co3O4、NiO、V2O5、Fe2O3、ZnO、CuO、LiMnO2、Li2MnO3、LiMn2O4、Li4Ti5O12、Li2TiO3、LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2、LiNiO2、LiVO3、Li5FeO4、LiFeO2、LiCrO2、LiCoO2、LiCuO2、LiZnO2、Li2MoO4、LiNbO3、LiTaO3、Li2WO4、Li2ZrO3、NaMnO2、CaMnO3、CaFeO3、MgTiO3、KMnO2等の無機酸化物;Pt、Au、Ag、Pd、Ru、Ir等の貴金属;等が挙げられる。
正極層における触媒の含有量は特に限定されないが、例えば、1重量%〜90重量%の範囲であることが好ましい。
多孔質状の集電体を使用する場合、通常、正極層の内部に集電体が配置される。この場合、多孔質状の正極集電体により集電された電荷を集電する別の正極集電体(例えば箔状の集電体)をさらに備えていてもよい。
尚、後述する電池ケースが正極集電体の機能を兼ね備えていてもよい。
正極集電体の厚さは、例えば10μm〜1000μmの範囲内、中でも20μm〜400μmの範囲内であることが好ましい。
上記正極合材ペーストを、正極集電体の表面に塗布、乾燥させることで、正極層と正極集電体とが積層した正極を作製することができる。或いは、上記正極合材ペーストを塗布、乾燥して得られた正極層を、正極集電体と重ね合わせ、適宜、加圧や加熱等を行うことで、正極層と正極集電体とが積層した正極を作製することもできる。
正極合材混合物を塗布する方法は特に限定されず、ドクターブレード、スプレー法等の一般的な方法を用いることができる。
負極は、上記本発明の二次電池用負極である。本発明の二次電池用負極については、上記にて説明したため、ここでの説明は省略する。
電解液は、正極と負極との間、具体的には、正極層及び負極層の間に保持され、正極層及び負極層との間で金属イオンを交換する働きを有する。
電解液としては、所望の金属イオンを伝導することができれば、特に限定されず、非水系電解液、水系電解液等を用いることができる。
支持電解質塩は、非水溶媒に対して溶解性を有し、所望のイオン伝導性を発現するものであれば特に限定されない。通常、伝導させたい金属イオンを含む金属塩を用いることができる。例えば、リチウム空気電池の場合、支持電解質塩としてリチウム塩を用いることができる。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiOH、LiCl、LiNO3、Li2SO4等の無機リチウム塩が挙げられる。また、CH3CO2Li、リチウムビスオキサレートボレート(略称 LiBOB)、LiN(CF3SO2)2(略称 LiTFSA)、LiN(C2F5SO2)2(略称 LiBETA)、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等の有機リチウム塩を用いることもできる。
非水電解質において、非水溶媒に対する支持電解質塩の含有量は、特に限定されないが、例えば、非水系電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.5mol/L〜3mol/Lの範囲内である。
非水溶媒としては、例えばエチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、エチルカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、スルホラン、アセトニトリル、1,2−ジメトキシメタン、1,3−ジメトキシプロパン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン及びこれらの混合物等を挙げることができる。また、テトラエチルアンモニウム ビストリフルオロメタンスルフォニルイミド等のアンモニウム塩に代表されるような、イオン性液体等の低揮発性液体を非水溶媒として用いることもできる。溶存した酸素を効率良く反応に用いることができるという観点から、非水溶媒は、酸素溶解性が高い溶媒であることが好ましい。
正極−電解液−負極の順番で配置されている積層体を、繰り返し何層も重ねる構造を取る場合には、安全性の観点から、異なる積層体に属する正極および負極の間に、セパレータを有することが好ましい。上記セパレータとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜;および樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等を挙げることができる。
上記セパレータに使用できるこれらの材料は、上述した電解液を含浸させることにより、電解液の支持材として使用することもできる。
空気二次電池は、通常、正極、負極、電解液等を収納する電池ケースを有する。電池ケースの形状としては、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。電池ケースは、大気開放型であってもよく、密閉型であってもよい。大気開放型の電池ケースは、少なくとも正極層が十分に大気と接触可能な構造を有する。一方、密閉型の電池ケースには、気体(空気)の導入管および排気管を設けることが好ましい。この場合、電池ケースに導入する気体は、酸素濃度が高いことが好ましく、純酸素であることがより好ましい。また、放電時には酸素濃度を高くし、充電時には酸素濃度を低くすることが好ましい。
2…負極
3…電解液
4…正極集電体
5…正極層
6…多孔質層
7…負極層
8…正極缶
9…負極缶
10…ガスケット
11…空気孔
12…導電性多孔質体
13…半導体多孔質体
13a…第1の半導体多孔質体
13b…第2の半導体多孔質体
14a…第1の半導体多孔質体
14b…第2の半導体多孔質体
14c…第3の半導体多孔質体
15…負極
16…多孔質層
17…負極層
100…空気二次電池
Claims (12)
- 負極、正極、及び前記負極と前記正極との間に介在する電解液を備える二次電池用の負極であって、
該負極の前記正極側表面に、抵抗温度係数が異なる複数の部材が隣接する多孔質層を備えることを特徴とする、二次電池用負極。 - 前記多孔質層は、前記負極の前記正極側表面に、導電性多孔質体と負の抵抗温度係数を有する半導体多孔質体とが隣接する構造を有する、請求項1に記載の二次電池用負極。
- 前記多孔質層は、前記導電性多孔質体と前記半導体多孔質体とが、該負極の前記正極側表面の面方向に隣接する構造を有する、請求項2に記載の二次電池用負極。
- 前記多孔質層は、前記導電性多孔質体と前記半導体多孔質体とが、該負極の前記正極側表面から前記正極側に向かって順に隣接する構造を有する、請求項2に記載の二次電池用負極。
- 前記半導体多孔質体が、該負極の正極側表面から前記正極側に向かって順に、抵抗温度係数が高くなる抵抗温度係数分布を有する、請求項4に記載の二次電池用負極。
- 前記多孔質層は、前記負極の前記正極側表面に、抵抗温度係数が異なる半導体多孔質体が隣接する構造を有する、請求項1に記載の二次電池用負極。
- 前記多孔質層は、前記抵抗温度係数が異なる半導体多孔質体が、該負極の前記正極側表面の面方向に隣接する構造を有する、請求項6に記載の二次電池用負極。
- 前記多孔質層は、前記抵抗温度係数が異なる半導体多孔質体が、それぞれ負の抵抗温度係数を有し、該負極の正極側表面から前記正極側に向かって順に、抵抗温度係数が高くなるように隣接する構造を有する、請求項6に記載の二次電池用負極。
- 金属活物質を含む負極活物質層を備える、請求項1乃至8のいずれかに記載の二次電池用負極。
- 前記金属活物質が、リチウム、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、及びナトリウムから選ばれる少なくとも1種である、請求項9に記載の二次電池用負極。
- 前記半導体多孔質体が、ニッケル、マンガン、コバルト、及び鉄から選ばれる少なくとも1種を含む酸化物を焼結したNTCサーミスタである、請求項2乃至10のいずれかに記載の二次電池用負極。
- 酸素を活物質とする正極、負極、及び前記正極と前記負極との間に介在する電解液を備える空気二次電池であって、
前記負極が、請求項1乃至11のいずれかに記載の二次電池用負極である、空気二次電池。
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