JP4015827B2 - 非水電解質電池 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質電池に係り、特に、正極活物質として酸素を利用する非水電解質電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話や電子メール端末などの携帯型情報機器の市場は急速に拡大しつつあり、これらの機器の小型軽量化が進むにつれて、電源にも小型かつ軽量であることが求められるようになってきた。現在、これらの携帯機器には高エネルギー密度であるリチウムイオン二次電池が多用されているが、さらに高容量が得られる二次電池が求められている。
【0003】
空気中の酸素を正極活物質に用いる空気電池は、正極活物質を電池に内蔵する必要がないため、高容量化が期待できる。負極活物質に金属リチウムを用い、かつ正極活物質に酸素を用いるリチウム二次電池として、以下に説明するような構成を有する空気リチウム二次電池が知られている。
【0004】
この空気リチウム二次電池は、正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に介在されるポリマー電解質膜と、前記正極上に積層される酸素透過膜とから構成された4層積層物を具備している。この4層積層物は、ラミネート製袋に封入されている。また、正極は、コバルトを含有するアセチレンブラックからなる触媒層と、ポリアクリルニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート及びLiPF6からなるポリマー電解質フィルムとをニッケル網もしくはアルミニウム網に圧着させたものからなる。一方、負極は、リチウム箔から形成されている。
【0005】
しかしながら、このような空気リチウム二次電池は、負極に金属リチウムを使用しているため、充放電サイクルを繰り返すと金属リチウム表面にデンドライトが生成する。生成したデンドライトは、欠落すると容量低下につながり、また成長して正極と接触すると短絡する恐れがある。
【0006】
この欠点を補うために負極に炭素材料を用いる空気リチウムイオン二次電池が提案されている(特開平10−83836号公開公報)。炭素材料は、リチウムイオンを可逆的に吸蔵・放出する能力があり、負極に金属リチウムを用いた空気リチウム二次電池と比較してサイクル特性の向上が可能となる。
【0007】
特開平10−83836号公開公報では、炭素質物及び導電剤を含む正極にリチウム過酸化物(Li22)のような酸化リチウムを添加し、この酸化リチウムをリチウム源として使用している。
【0008】
この特開平10−83836号公開公報に記載されたリチウムイオン二次電池では、使用前に充電を行う必要がある。しかしながら、酸化リチウムを含有する正極を充電すると、導電剤に接触している部分の酸化リチウムからリチウムが放出されることにより一部の酸化リチウムが正極から脱落するため、高い容量を得られないという問題点がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、容量が向上された非水電解質電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る非水電解質電池は、正極と、前記正極と対向し、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物およびリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物よりなる群から選択される少なくとも1種類の材料からなる負極活物質を含む負極と、前記正極及び前記負極の間に配置される非水電解質含有層と、前記正極、前記負極及び前記非水電解質含有層を収納し、前記正極に酸素を供給するための通気孔が開口されている容器とを具備する非水電解質電池において、
前記負極よりも卑な電位でリチウムイオンを放出して前記負極にリチウムイオンを吸蔵させるリチウム貯蔵層を備えるリチウム貯蔵体が下記(1)式を満足するように前記容器内に収納されていることを特徴とするものである。
【0011】
0.25P≦R≦0.98Q (1)
但し、前記Rは、前記通気孔から前記リチウム貯蔵層表面までの距離を示し、前記Pは、前記容器の一面に前記通気孔が形成されている場合には前記通気孔が形成された前記容器の内面とこの内面と対向する容器内面との距離であり、また前記容器の互いに対向する二つの面に前記通気孔が形成されている場合には前記二つの面間の距離の1/2の大きさを表わし、前記Qは、前記通気孔各々についての前記容器の内面の最遠部までのそれぞれの距離のうち最も短い距離である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る非水電解質電池(ここでいう非水電解質電池には、一次電池及び二次電池の双方の場合が包含される)の一例を説明する。
【0013】
この非水電解質電池は、正極と負極と前記正極及び前記負極の間に配置される非水電解質含有層とを含む電極群と、前記電極群が収納され、前記正極に酸素を供給するための通気孔が複数開口されている容器とを具備する。この容器内に、前記負極よりも卑な電位でリチウムイオンを放出して前記負極にリチウムイオンを吸蔵させるリチウム貯蔵層を備えるリチウム貯蔵体が下記(1)式を満足するように収納されている。
【0014】
0.25P≦R≦0.98Q (1)
但し、前記Rは、前記通気孔から前記リチウム貯蔵層表面までの距離を示し、前記Pは、前記容器の一面に前記通気孔が形成されている場合には前記通気孔が形成された前記容器の内面とこの内面と対向する容器内面との距離で、また前記容器の互いに対向する二つの面に前記通気孔が形成されている場合には前記二つの面間の距離の1/2の大きさを表わし、前記Qは、前記通気孔それぞれについての前記容器の内面の最遠部までのそれぞれの距離のうち最も短い距離である。
【0015】
なお、リチウム貯蔵層表面とは、リチウム貯蔵層の占有表面を示すものではない。例えば、後述する図10に示すように、リチウム貯蔵層に穴が開口されている場合、Rは開口部分(占有表面)と通気孔4との距離を意味するものではなく、実際に存在するリチウム貯蔵層のうち通気孔に最も近い表面と通気孔との距離をRとする。
【0016】
また、この非水電解質二次電池では、電極群の最外層に位置する正極と容器の通気孔形成面との間に、酸素拡散層を備えることができる。
【0017】
以下、リチウム貯蔵体、正極、負極、非水電解質含有層、空気拡散層及び容器について説明する。
【0018】
1)リチウム貯蔵体
リチウム貯蔵体は、負極よりも卑な電位でリチウムイオンを放出する材料を含有するリチウム貯蔵層と、前記リチウム貯蔵層が担持される導電性支持板とを備えることが望ましい。また、リチウム貯蔵層側を負極に接触させることが好ましい。
【0019】
電極群の最外層に負極が配置されている場合、この負極上に導電性支持体を持たないリチウム貯蔵層を積層すると、リチウム貯蔵層の体積がリチウムイオンの放出に伴って減少する際にリチウム貯蔵層の形が崩れやすくなるため、負極からリチウム貯蔵層が剥離する恐れがある。導電性支持体に保持させたリチウム貯蔵層を負極に積層することによって、リチウム貯蔵層の体積がリチウムイオンの放出に伴って減少しても、支持体で負極にリチウム貯蔵層を担持させることができるため、リチウム貯蔵層の負極からの剥離を抑制することができる。なお、電極群の最外層が両方とも正極である場合、リチウム貯蔵層は電極群の内部に配置されるため、電極や非水電解質含有層でリチウム貯蔵層を保持することができ、導電性支持体がなくても負極からの剥離を抑制することができる。
【0020】
導電性支持体としては、例えば、無孔の金属板、多孔質構造の金属板、金属ワイヤーを編んだネット状の板等を挙げることができる。導電性支持体を形成する金属としては、例えば、銅、ステンレス、ニッケルなどを挙げることができる。
【0021】
リチウム貯蔵層のリチウム含有量は、1重量%以上にすることが好ましい。
【0022】
負極としてリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものを使用する場合、負極よりも卑な電位でリチウムイオンを放出する材料としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金などを挙げることができる。また、負極としてリチウム金属酸化物を用いる場合、負極よりも卑な電位でリチウムイオンを放出する材料としては、例えば、リチウム金属、リチウム合金、炭素質物などを挙げることができる。使用する材料の種類は、1種類または2種類以上にすることができる。
【0023】
前記リチウム合金としては、例えば、リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金などを挙げることができる。
【0024】
前記リチウム−金属酸化物としては、例えば、リチウムスズ酸化物、リチウムケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、リチウムニオブ酸化物、リチウムタングステン酸化物などを挙げることができる。
【0025】
負極よりも卑な電位でリチウムを放出する材料が粉末である場合、結着剤と共にシート状に成型することができる。前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
【0026】
また、負極よりも卑な電位でリチウムを放出する材料として、リチウム金属やリチウム合金などの金属材料を使用すると、金属材料は単独でシート形状に加工することが可能なため、結着剤を使用せずにリチウム貯蔵層を形成することができる。
【0027】
リチウム貯蔵体は、負極における正極と対向していない面に配置されることが望ましい。正極と対向する面に配置される場合、リチウムイオンがリチウム貯蔵層から負極へ移動するのに伴ってリチウム貯蔵層の体積が収縮した際に非水電解質含有層と正極、負極との間に液枯れを生じる恐れがある。リチウム貯蔵層が正極と対向していない負極面に配置されることによって、リチウムイオンの放出に伴うリチウム貯蔵層の体積収縮に起因する液枯れを抑制することができる。
【0028】
リチウム貯蔵層の面積は、負極の面積と同じか、もしくは小さいことが好ましい。リチウム貯蔵層の面積を負極面積よりも大きくすると、リチウム貯蔵層と正極が直接対向する部分が生じてリチウム貯蔵層と正極との間で充放電反応を生じる恐れがあるからである。
【0029】
2)正極
この正極は、正極集電体と、この正極集電体に担持された正極層とを含む。
【0030】
この正極は、例えば、以下の(A)または(B)に説明する方法で作製される。
【0031】
(A)炭素質物と結着剤とを乾式混合し、この混合物をフィルム状に圧延して製膜した後、乾燥することにより正極層を得る。この正極層を正極集電体に圧着することにより正極を得る。
【0032】
(B)炭素質物と結着剤とを溶媒中で混合し、得られたスラリーを集電体に塗布し、乾燥した後、圧延することにより正極を得る。
【0033】
炭素質物としては、例えば、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンブラック、ファーネスブラック、活性炭、活性炭素繊維、木炭類等を挙げることができる。
【0034】
炭素質物の表面には、コバルトフタロシアニンなどの酸素発生過電圧を低下させる機能を有する微粒子を担持させても良い。このような構成にすることによって、酸素の還元反応の効率を高めることが可能である。
【0035】
結着剤は、正極層の形状を保ち、かつ正極層を集電体に接着させる機能を有する。かかる結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などを用いることができる。
【0036】
正極集電体としては、酸素の拡散を速やかに行わせるために多孔質の導電性基板(メッシュ、パンチドメタル、エクスパンディドメタル等)を用いることが好ましい。前記導電性基板の材質としては、例えば、ステンレス、ニッケル、アルミニウム、鉄、チタンなどを挙げることができる。なお、前記集電体は、酸化を抑制するために表面に耐酸化性の金属または合金が被覆されていても良い。
【0037】
正極における炭素質物および結着剤の配合割合は、炭素質物70〜98重量%、結着剤2〜30重量%の範囲であることが好ましい。
【0038】
3)負極
この負極は、負極集電体と、前記負極集電体に担持される負極活物質含有層とを含む。
【0039】
負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵放出する材料を用いることができる。
【0040】
リチウムイオンを吸蔵放出する材料としては、従来よりリチウムイオン電池またはリチウム電池に使用されている材料を使用することができる。中でも、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物およびリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物よりなる群から選択される少なくとも1種類の材料を、負極活物質として使用することが好ましい。
【0041】
リチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物としては、例えば黒鉛、コークス、炭素繊維、球状炭素などの黒鉛質材料もしくは炭素質材料、熱硬化性樹脂、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、メソフェーズピッチ系炭素繊維、メソフェーズ小球体などに500〜3000℃で熱処理を施すことにより得られる黒鉛質材料または炭素質材料を挙げることができる。
【0042】
前記金属酸化物としては、例えば、スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物などを挙げることができる。
【0043】
前記金属硫化物としては、例えば、スズ硫化物、チタン硫化物などを挙げることができる。
【0044】
負極集電体としては、例えば、多孔質構造の導電性基板、無孔の導電性基板を用いることができる。これら導電性基板は、例えば、銅、ステンレス、またはニッケルから形成することができる。特に、多孔質構造の導電性基板は、リチウム貯蔵層から負極活物質含有層へのリチウムイオンの拡散速度を速くすることができるため、好ましい。多孔質構造の導電性基板としては、メッシュ、パンチドメタル、エクスパンディドメタル等を用いたり、あるいは金属箔に負極活物質含有層を担持させた後、前記金属箔に孔を開けたものを多孔質構造の導電性基板として用いることができる。
【0045】
炭素質物のような負極活物質を含む負極は、例えば、負極活物質と結着剤とを溶媒の存在下で混練し、得られた懸濁物を集電体に塗布し、乾燥した後、所望の圧力で1回プレスもしくは2〜5回多段階プレスすることにより作製することができる。
【0046】
前記結着剤としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレン−プロピレン−ブタジエンゴム(EPBR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などを用いることができる。
【0047】
前記炭素質物および前記結着剤の配合割合は、炭素質物80〜98重量%、結着剤2〜20重量%の範囲であることが好ましい。
【0048】
4)非水電解質含有層
非水電解質含有層としては、例えば、液状非水電解質が含浸されているセパレータ、固体非水電解質層などを使用することができる。
【0049】
液状非水電解質は、例えば、非水溶媒にリチウム塩を溶解することにより調製される。
【0050】
非水溶媒としては、リチウム二次電池の溶媒として公知の非水溶媒を用いることができる。例えば、プロピレンカーボネート(PC)及びエチレンカーボネート(EC)のうちの少なくとも一方から構成される第1の溶媒と、PC及びECよりも低粘度であり、かつドナー数が18以下である1種以上の非水溶媒(以下、第2の溶媒と称す)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
【0051】
第2溶媒としては、例えば、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート(MPC)、イソプロピオメチルカーボネート、プロピオン酸エチル、プロピオン酸メチル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、酢酸エチル、酢酸メチルなどが挙げられる。これらの第2溶媒は、単独または2種以上の混合物の形態で用いることができる。中でも、分子内に炭酸エステル結合あるいはエステル結合を含む鎖状カーボネートが好ましい。また、第2溶媒の沸点は、90℃以上であることが好ましい。
【0052】
前記混合溶媒中の前記第1溶媒の配合量は、体積比で10〜80%であることが好ましい。より好ましい第1溶媒の配合量は体積比率で20〜75%である。
【0053】
前記混合溶媒の好ましい組成としては、ECとPC、ECとDEC、ECとPCとDEC、ECとγ−BL、ECとγ−BLとDEC、ECとPCとγ−BL、ECとPCとγ−BLとDECを挙げることができる。各混合溶媒では、ECの体積比率を10〜80%の範囲内にすることが好ましい。より好ましいECの体積比率は、25〜65%の範囲である。
【0054】
リチウム塩としては、例えば、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化硼酸リチウム(LiBF4)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、ビストリフルオロメタンスルホニルアミドリチウム[LiN(CF3SO22]などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0055】
リチウム塩の非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2.5モル/Lとすることが望ましい。
【0056】
セパレータとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンまたはポリビニリデンフルオライド(PVdF)を含む多孔質フィルムや、合成樹脂製不織布、あるいはガラス繊維製不織布などを用いることができる。
【0057】
セパレータの多孔度は、30〜90%の範囲にすることが好ましい。これは次のような理由によるものである。多孔度を30%未満にすると、セパレータにおいて高い電解液保持性を得ることが困難になる恐れがある。一方、多孔度が90%を超えると、十分なセパレータ強度を得られなくなる恐れがある。多孔度のより好ましい範囲は、35〜60%である。
【0058】
固体非水電解質層としては、例えば、リチウム塩及び高分子材料を含むフィルムを用いることができる。高分子材料としては、例えば、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、PVdF等を挙げることができる。リチウム塩としては、前述した液状非水電解質において説明したのと同様なものを挙げることができる。
【0059】
固体非水電解質には、イオン導電性を向上させるために有機溶媒が含有されていることが好ましい。かかる有機溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、γ−ブチロラクトン(γ−BL)、フッ素含有のカーボネート類、鎖状カーボネート類等を挙げることができる。前記有機溶媒は、これらを単独で用いてもよいが、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。このような固体非水電解質は、リチウムイオンのイオン導電性を高めることができる。
【0060】
5)酸素拡散層
この酸素拡散層としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、あるいはPTFEなどのフッ素樹脂を含む多孔質フィルムや、ポリプロピレンやPTFEなどの合成樹脂製不織布、ガラス繊維不織布等を挙げることができる。
【0061】
6)容器
この容器は、例えば、金属板、樹脂層を有するシート等から形成することができる。
【0062】
前記金属板は、例えば、鉄、ステンレス、アルミニウムから形成することができる。
【0063】
前記シートとしては、金属層と、前記金属層を被覆する樹脂層とから構成されることが好ましい。前記金属層は、アルミニウム箔から形成することが好ましい。一方、前記樹脂層は、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂から形成することができる。前記樹脂層は、単層もしくは多層構造にすることができる。
【0064】
次いで、前述したP及びQについて図1〜図5を参照して説明する。
【0065】
図1は本発明に係る非水電解質電池の一例(例えば、薄型非水電解質電池)を示す平面図で、図2は図1の非水電解質電池の容器をa−b線に沿って切断した際に得られる断面図で、図3は図1の非水電解質電池の容器をa−b線に沿って切断した際に得られる別の断面図で、図4は、本発明に係る非水電解質電池の一例(例えば、コイン型非水電解質電池)を示す平面図で、図5は図4の非水電解質電池の容器をa−b線に沿って切断した際に得られる断面図である。
【0066】
図1はフィルム製の袋状容器1を用いる薄型非水電解質電池の一例であり、正極端子2及び負極端子3が容器1から延出されている。複数の通気孔4は、容器1の一面に形成されている。この図1に示す構造を有する非水電解質電池において、前記Pは、前記通気孔4が形成されている面5とこの形成面5と対向する面6との距離を表わす。前記Qについては、各通気孔4から容器1の内面の最遠部までの距離を測定し、測定された距離のうちの最小値をQとする。
【0067】
また、図3に示すように、袋状容器1の互いに対向する二つの面7a,7bに通気孔4が形成されている場合には、前記Pの定義が前述した図2の場合と異なる。すなわち、前記二つの面7a,7b間の距離が2Pで、前記Pは、この2Pの1/2の大きさとなる。
【0068】
一方、図4は金属製容器を用いるコイン型非水電解質電池の一例であり、かかる金属製容器は、複数の通気孔4が開口されている金属製正極容器8と、この正極容器8が絶縁ガスケット9を介してかしめ固定される金属製負極容器10とを備える。電極群は、正極容器8及び負極容器10で囲まれた空間内に収納される。
【0069】
このコイン型非水電解質電池においては、Pは、通気孔4が形成されている正極容器8と負極容器10との距離を表わす。一方、Qについては、各通気孔4から金属製容器の内面の最遠部までの距離を測定し、測定された距離のうちの最小値をQとする。
【0070】
次いで、本発明に係る非水電解質電池の一例を図6〜図8を参照して説明する。
【0071】
図6は本発明に係る非水電解質電池の一例(例えば、薄型非水電解質電池)を示す断面図で、図7は図6の非水電解質電池についての模式的な平面図で、図8は図6の非水電解質電池の容器をa−b線に沿って切断した際に得られる模式的な断面図である。
【0072】
フィルム製の袋状容器1内には、電極群11が収納されている。電極群11は、例えば多孔質な導電性基板からなる正極集電体12に正極層13が担持された構造を有する正極14と、例えば多孔質な導電性基板からなる負極集電体15に負極活物質含有層16が担持された構造を有する負極17と、正極14及び負極17の間に配置される非水電解質含有層18とを含む。
【0073】
正極端子2は、一端が正極集電体12に接続され、かつ他端が容器1の外部に延出されている。一方、負極端子3は、一端が負極集電体15に接続され、かつ他端が容器1の外部に延出されている。
【0074】
リチウム貯蔵体19は、負極17よりも卑な電位でリチウムイオンを放出する材料を含有するリチウム貯蔵層20と、前記リチウム貯蔵層20が担持される導電性支持体21とを備える。リチウム貯蔵体19は、リチウム貯蔵層20が負極集電体15と接するように前記電極群11に積層されている。また、導電性支持体21は、負極端子3と電気的に接続されている。
【0075】
通気孔としての空気孔4は、容器1のうち正極14と対向する面に多数開口されている。酸素拡散層としての空気拡散層22は、空気孔4が形成されている面と正極集電体12との間に配置されている。着脱可能なシールテープ23は、空気孔4を塞ぐように容器1の空気孔4形成面に貼着されている。
【0076】
シールテープ14を剥すと、空気孔4を通して容器1内に空気が供給される。供給された空気は、空気拡散層22を通過することによって正極表面に一様に拡散し、この空気中の酸素ガスが正極活物質として利用される。
【0077】
この図4〜図6に示す構造を有する非水電解質電池において、距離Rは、空気孔4からリチウム貯蔵層20の表面までの距離であり、下記関係式(1)を満足する。
【0078】
0.25P≦R≦0.98Q (1)
この関係式(1)について説明する。非水電解液電池の使用を開始するにはシールテープの剥離等により通気孔を開放させ、容器内に通気孔から酸素を供給する必要があるが、酸素供給開始時にはリチウム貯蔵層から負極活物質含有層へのリチウムの拡散が完了していないことがある。距離Rを0.25Pよりも小さくすると、リチウム貯蔵体と通気孔との距離が近くなり、酸素供給開始時に容器内に残存するリチウム貯蔵層が容器内に供給された酸素により酸化されるため、高い放電容量を得られない。一方、距離Rが0.98Qよりも大きくなると、リチウム貯蔵体と負極との接触面積が小さくなるため、リチウム貯蔵体から負極に十分な量のリチウムを供給することが困難になり、高い放電容量を得られない。
【0079】
距離Rを0.25P以上、0.98Q以下にすることによって、以下の(a)〜(c)に説明する効果を得ることができる。
【0080】
(a)リチウム貯蔵体から負極活物質含有層へリチウムが拡散していく際、リチウム貯蔵体の体積収縮が生じるが、この体積収縮に伴って今まで圧縮収納されていた空気拡散層が膨張するため、電極群中に隙間が生じるのを回避することができる。
【0081】
(b)リチウム貯蔵体から負極に十分な量のリチウムを供給することができる。
【0082】
(c)使用開始時に容器内に残存するリチウム貯蔵層が、通気孔から容器内に取り込まれた酸素により酸化されるのを抑えることができる。
【0083】
これら(a)〜(c)の結果、非水電解質電池の放電容量を向上することができる。
【0084】
以上の説明では、本発明に係る非水電解質電池の一例として空気リチウム電池を挙げたが、負極活物質として、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、セシウムなどからなる金属イオンを吸蔵・放出できる材料を使用した他の空気金属電池にも適用することが可能である。なお、他の空気金属電池においては、電解質として、ナトリウム、アルミニウム、マグネシウム、セシウムなどの金属塩を使用するとよい。
【0085】
【実施例】
以下、本発明の実施例を前述した図面を参照して詳細に説明する。
【0086】
(実施例1)
<正極の作製>
ケッチェンブラック(EC600JDTM)90重量%と、ポリテトラフルオロエチレン10重量%とを乾式混合した後、圧延することにより縦が40mmで、横が28mmで、厚さが200μmのフィルム状の正極層を得た。この正極層を正極集電体であるチタン製メッシュに圧着し、正極を得た。得られた正極の正極集電体が露出した部分に正極端子の一端を接続した。
【0087】
<負極の作製>
メソフェーズピッチ炭素繊維97重量%と、ポリビニリデンフルオライド3重量%とをN−メチルピロリドン中で湿式混合し、得られたスラリーを集電体である銅箔に塗布し、乾燥させた。次いで、集電体に直径1mmの孔を1cm2当り1〜5個の割合で開口させることにより、縦が40mmで、横が28mmで、厚さが200μmのフィルム状の負極を作製した。得られた負極のうち、負極集電体が露出している部分に負極端子の端部を接続した。
【0088】
<リチウム貯蔵体の作製>
縦が38mmで、横が26mmで、厚さ100μmの金属リチウム箔を、縦が38mmで、横が26mmで、厚さ100μmのニッケル製メッシュに圧着してリチウム貯蔵体を作製した。ニッケル製メッシュのうち、リチウム貯蔵層の外周部から露出している部分にリードを溶接し、さらにこのリードを負極の負極集電体露出部分に接続した。
【0089】
<液状非水電解質の調製>
エチレンカーボネート50体積%とプロピレンカーボネート50体積%を混合した非水溶媒中に過塩素酸リチウム(LiClO4)を1.0モル/L溶解させることにより液状の非水電解質を調製した。
【0090】
<電池組立て>
セパレータとして厚さ500μmのガラス繊維製不織布を、また、空気拡散層として厚さが400μmのPTFE製多孔質フィルムを用意した。さらに、アルミニウム箔の両面を樹脂層で被覆した構成のラミネートフィルムを袋状に加工し、片面に直径が0.8mmの空気孔を8個開口した。
【0091】
リチウム貯蔵体、負極、セパレータ、正極および空気拡散層を順次積層し、この際にリチウム貯蔵体のリチウム貯蔵層を負極集電体と接触させ、電極群として積層物を得た。この積層物をラミネートフィルム製の袋内に空気拡散層が空気孔形成面と対向するように収納した。次いで、空気孔形成面にシールテープを貼付して空気孔を閉塞した。また、正極端子および負極端子の先端をラミネートフィルム製袋の開口部から延出させた。
【0092】
袋の開口部から液状非水電解質を注液した後、袋状ラミネートフィルムの開口部を熱融着処理して封口することにより、前述した図4〜図6に示す構造を有する非水電解質二次電池を製造した。
【0093】
得られた電池の容器の空気孔形成面と垂直な断面を透過X線装置を用いて観察し、距離P、Q、Rを測定したところ、以下に説明する結果が得られた。
【0094】
8つの空気孔のうち任意の空気孔について、空気孔からリチウム貯蔵層表面までの距離Rを測定したところ、1.5mmであった。また、8つの空気孔それぞれについて、空気孔から容器内面の最遠部までの距離を測定し、得られた8つの距離のうちの最小値5.3mmをQとした。さらに、容器における空気孔が形成されている面とこの形成面と対向する面との距離1.8mmをPとした。
【0095】
得られた値から0.25Pを算出すると、0.45であった。また、0.98Qは、5.19であった。よって、距離Rは、前述した関係式(1)を満足している。
【0096】
(実施例2〜4)
空気拡散層とセパレータの厚さおよび空気穴の位置を変更することにより距離P、Q、Rを下記表1に示すように変更すること以外は、前述した実施例1と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0097】
(実施例5)
以下に説明するリチウム貯蔵体を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして製造を行い、図9及び図10に示す構造を有する非水電解質二次電池を得た。
【0098】
<リチウム貯蔵体の作製>
縦が38mmで、横が26mmで、厚さが100μmの金属リチウム箔24(リチウム貯蔵層)を縦が38mmで、横が26mmで、厚さが100μmのニッケル製メッシュ25に圧着し、さらに電池組立て時に空気孔が上部に配置される位置に直径3mmの穴26を開口させ、リチウム貯蔵体を得た。
【0099】
得られた電池の容器の空気孔形成面と垂直な断面を透過X線装置を用いて観察し、距離P、Q、Rを測定したところ、以下に説明する結果が得られた。
【0100】
8つの空気孔4のうち任意の空気孔4について、空気孔4からリチウム貯蔵層24表面までの距離Rを測定したところ、1.4mmであった。また、8つの空気孔4それぞれについて、空気孔4から容器1の内面の最遠部までの距離を測定し、得られた8つの距離のうちの最小値5.0mmをQとした。さらに、容器1における空気孔4が形成されている面5とこの形成面5と対向する面6との距離1.3mmをPとした。
【0101】
得られた値から0.25Pを算出すると、0.33であった。また、0.98Qは、4.90であった。よって、距離Rは、前述した関係式(1)を満足している。
【0102】
(比較例1)
電極群のリチウム貯蔵体側が空気孔と対向するように電極群を容器内に収納すること以外は、前述した実施例1と同様にして製造を行い、図11及び図12に示す構造の非水電解質二次電池を得た。
【0103】
8つの空気孔4のうち任意の空気孔4について、空気孔4からリチウム貯蔵層20表面までの距離Rを測定したところ、0.3mmであった。このような距離Rは、前述した関係式(1)を満足していない。
【0104】
(比較例2)
以下に説明するリチウム貯蔵体を用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして製造を行い、図13及び図14に示す構造を有する非水電解質二次電池を得た。
【0105】
<リチウム貯蔵体の作製>
縦が40mmで、横が28mmのニッケル製メッシュ27の端部のみにリチウム箔28を圧着してリチウム貯蔵体を得た。
【0106】
8つの空気孔4のうち任意の空気孔4について、空気孔4からリチウム貯蔵層28表面までの距離Rを測定したところ、5.2mmであった。このような距離Rは、前述した関係式(1)を満足していない。
【0107】
得られた実施例1〜5及び比較例1〜2の非水電解質二次電池を組み立て後、20℃で24時間放置した。次いで、非水電解質二次電池からシールテープを除去し、放電電流0.4mAで2.0Vまで放電した後、充電電流0.2mAで4.0Vまで充電する充放電サイクル試験を20℃で実施し、1サイクル目及び20サイクル目の放電容量を測定し、その結果を下記表1に示す。
【0108】
【表1】
Figure 0004015827
【0109】
表1から明らかなように、実施例1〜5の二次電池は、初期容量及びサイクル性能の双方が比較例1〜2の二次電池に比べて優れていることがわかる。
【0110】
実施例1の電池を充放電サイクル試験終了後に再度充電して分解し、負極中央部及び端部を粉末X線回折により分析したところ、負極中央部及び端部のいずれにおいてもリチウムと炭素が1:6.2の割合でリチウムイオンがインターカレートしていた。
【0111】
一方、比較例1の電池を充放電サイクル試験終了後に分解したところ、セパレータと負極の間に気泡が生じていた。また、比較例2の電池を充放電サイクル試験終了後に分解し、正極の炭素材料を粉末X線回折により分析したところ、炭素へのリチウムイオンのインターカレートはほとんど観察されなかった。
【0112】
(実施例6)
以下に説明する負極及びリチウム貯蔵体を用いること以外は前述した実施例1と同様にして製造を行い、図15に示す構造を有する非水電解質二次電池を得た。
【0113】
<負極の作製>
メソフェーズピッチ炭素繊維97重量%と、ポリビニリデンフルオライド3重量%とをN−メチルピロリドン中で湿式混合し、得られたスラリーを集電体である銅製メッシュに塗布し、乾燥させることにより、集電体30の両面に負極活物質含有層31を保持させ、縦が40mmで、横が28mmで、厚さが200μmのフィルム状の負極32を作製した。得られた負極のうち、負極集電体が露出している部分に負極端子3の端部を接続した。
【0114】
<リチウム貯蔵体の作製>
縦が38mmで、横が26mmで、厚さ200μmの金属リチウム箔をリチウム貯蔵層33として用意した。
【0115】
<電池組立て>
前述した実施例1で説明したのと同様な空気拡散層、正極、液状非水電解質及びセパレータを用意した。さらに、袋状に加工したラミネートフィルムを用意し、両面に直径が0.8mmの8個の空気孔をそれぞれ開口した。
【0116】
空気拡散層22、正極14、セパレータ18、負極32(負極活物質含有層31、負極集電体30)、リチウム貯蔵層33、負極32(負極集電体30、負極活物質含有層31)、セパレータ18、正極14及び空気拡散層22を順次積層し、この積層物を前述した実施例1で説明したのと同様にラミネートフィルム製の袋内に収納した。次いで、袋状容器の両面にシールテープをそれぞれ貼付して空気孔を閉塞した。また、正極端子および負極端子の先端をラミネートフィルム製袋の開口部から延出させた。
【0117】
袋の開口部から実施例1で説明したのと同様に液状非水電解質を注液した後、袋状ラミネートフィルムの開口部を熱融着処理して封口することにより、図15に示す構造を有する非水電解質二次電池を製造した。
【0118】
得られた電池の容器の空気孔形成面と垂直な断面を透過X線装置を用いて観察し、距離P、Q、Rを測定したところ、以下に説明する結果が得られた。
【0119】
16個の空気孔4のうち任意の空気孔4について、空気孔4からリチウム貯蔵層33表面までの距離Rを測定したところ、1.5mmであった。また、16個の空気孔4それぞれについて、空気孔4から容器1の内面の最遠部までの距離を測定し、測定された16種類の距離のうちの最小値5.3mmをQとした。さらに、容器1における空気孔が形成されている二つの面の距離3.6mmの1/2である1.8mmをPとした。
【0120】
得られた値から0.25Pを算出すると、0.45であった。また、0.98Qは、5.19であった。よって、距離Rは、前述した関係式(1)を満足していた。
【0121】
(実施例7〜8)
空気拡散層とセパレータの厚さおよび空気穴の位置を変更することにより距離P、Q、Rを下記表1に示すように変更すること以外は、前述した実施例6と同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0122】
(比較例3)
前述した図6に示す構造を有する電極群を2つ用意し、リチウム貯蔵体19が最外層に位置するように重ね合せ、積層型電極群を得た。このような電極群を容器内に収納すること以外は、前述した実施例6と同様にして非水電解質二次電池を得た。すなわち、この電池では、容器1の通気孔4が形成されている面とリチウム貯蔵体19とが対向している。
【0123】
16個の空気孔のうち任意の空気孔について、空気孔からリチウム貯蔵層20表面までの距離Rを測定したところ、0.3mmであった。このような距離Rは、前述した関係式(1)を満足していない。
【0124】
(比較例4)
以下に説明するリチウム貯蔵体を用いること以外は、前述した実施例6で説明したのと同様にして非水電解質二次電池を得た。
【0125】
<リチウム貯蔵体の作製>
縦が40mmで、横が28mmのニッケル製メッシュの端部のみにリチウム箔を圧着してリチウム貯蔵体を得た。
【0126】
16個の空気孔のうち任意の空気孔について、空気孔からリチウム貯蔵層表面までの距離Rを測定したところ、5.2mmであった。このような距離Rは、前述した関係式(1)を満足していない。
【0127】
得られた実施例6〜8及び比較例3〜4の非水電解質二次電池を組み立て後、20℃で24時間放置した。次いで、非水電解質二次電池からシールテープを除去し、放電電流0.4mAで2.0Vまで放電した後、充電電流0.2mAで4.0Vまで充電する充放電サイクル試験を20℃で実施し、1サイクル目及び20サイクル目の放電容量を測定し、その結果を下記表2に示す。
【0128】
【表2】
Figure 0004015827
【0129】
表2から明らかなように、実施例6〜8の二次電池は、初期容量及びサイクル性能の双方が比較例3〜4の二次電池に比べて優れていることがわかる。
【0130】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、放電容量が向上された非水電解質電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る非水電解質電池の一例(例えば、薄型非水電解質電池)を示す平面図。
【図2】図1の非水電解質電池の容器をa−b線に沿って切断した際に得られる断面図。
【図3】図1の非水電解質電池の容器をa−b線に沿って切断した際に得られる別の断面図。
【図4】本発明に係る非水電解質電池の一例(例えば、コイン型非水電解質電池)を示す平面図。
【図5】図4の非水電解質電池の容器をa−b線に沿って切断した際に得られる断面図。
【図6】本発明に係る非水電解質電池の一例(例えば、薄型非水電解質電池)を示す断面図。
【図7】図6の非水電解質電池の平面を示す模式図。
【図8】図6の非水電解質電池の容器をa−b線に沿って切断した際に得られる断面を示す模式図。
【図9】実施例2の非水電解質電池の平面を示す模式図。
【図10】実施例2の非水電解質電池をa−b線に沿って切断した際に得られる断面を示す模式図。
【図11】比較例1の非水電解質電池の平面を示す模式図。
【図12】比較例1の非水電解質電池をa−b線に沿って切断した際に得られる断面を示す模式図。
【図13】比較例2の非水電解質電池の平面を示す模式図。
【図14】比較例2の非水電解質電池をa−b線に沿って切断した際に得られる断面を示す模式図。
【図15】実施例6の非水電解質電池を示す断面図。
【符号の説明】
1…容器、
2…正極リード、
3…負極リード、
4…通気孔、
11…電極群、
12…正極集電体、
13…正極層、
14…正極、
15…負極集電体、
16…負極活物質含有層、
17…負極、
18…セパレータ、
19…リチウム貯蔵体、
20…リチウム貯蔵層、
21…導電性支持体、
22…空気拡散層、
23…テープシール。

Claims (2)

  1. 正極と、前記正極と対向し、金属酸化物、金属硫化物、金属窒化物およびリチウムイオンを吸蔵放出する炭素質物よりなる群から選択される少なくとも1種類の材料からなる負極活物質を含む負極と、前記正極及び前記負極の間に配置される非水電解質含有層と、前記正極、前記負極及び前記非水電解質含有層を収納し、前記正極に酸素を供給するための通気孔が開口されている容器とを具備する非水電解質電池において、
    前記負極よりも卑な電位でリチウムイオンを放出して前記負極にリチウムイオンを吸蔵させるリチウム貯蔵層を備えるリチウム貯蔵体が下記(1)式を満足するように前記容器内に収納されていることを特徴とする非水電解質電池。
    0.25P≦R≦0.98Q (1)
    但し、前記Rは、前記通気孔から前記リチウム貯蔵層表面までの距離を示し、前記Pは、前記容器の一面に前記通気孔が形成されている場合には前記通気孔が形成された前記容器の内面とこの内面と対向する容器内面との距離であり、また前記容器の互いに対向する二つの面に前記通気孔が形成されている場合には前記二つの面間の距離の1/2の大きさを表わし、前記Qは、前記通気孔各々についての前記容器の内面の最遠部までのそれぞれの距離のうち最も短い距離である。
  2. 前記リチウム貯蔵体は、前記リチウム貯蔵層が担持される導電性支持板をさらに備えることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池。
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