JP2012174349A - 空気一次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い容量を有する空気一次電池を提供する。
【解決手段】酸素を活物質とする空気極と、金属イオンを放出可能な負極活物質を含む負極と、前記空気極及び前記負極に挟まれた電解液層と、を具備する空気一次電池であって、前記電解液層が、前記金属イオンと酸素との反応性よりも、酸素との反応性が高い低耐還元性溶媒を含み、前記電解液層に含まれる全溶媒量を100体積%とした時に、前記低耐還元性溶媒の含有割合が40体積%以上であることを特徴とする、空気一次電池。
【選択図】図3

Description

本発明は、高容量の空気一次電池に関する。
リチウム空気電池に代表される空気電池は、酸素を正極活物質に利用して放電を行う電池である。空気電池は、負極、空気極(正極)、及びこれら負極と空気極との間に介在する電解質を基本構造とする。正極活物質である酸素は空気から得られるため、電池内に正極活物質を封入する必要がないことから、空気電池は、固体の正極活物質を封入する電池と比較して、電池の単位体積当たりの負極活物質量を大きくすることが可能である。従って、空気電池は、電気容量が大きく、小型化や軽量化が容易である。また、酸素は資源的な制約がないというメリットも有している。このように、空気電池は多くの利点を有しており、携帯機器用電池、ハイブリッド車用電池、電気自動車用電池等への利用が期待されている。空気電池としては、例えば、リチウム空気電池、マグネシウム空気電池、亜鉛空気電池等が知られている。
空気電池は、例えば、導電性材料、触媒、及びバインダーを含有する空気極層と、空気極層の集電を行う空気極集電体と、金属又は合金からなる負極層と、負極層の集電を行う負極集電体と、空気極層及び負極層の間に介在する電解質とを有する。電解質としては、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)等の非水溶媒に支持電解質塩を溶解させた非水電解質が挙げられる。
例えば、伝導イオンが一価の金属イオンMである空気電池では、以下のような放電反応が進むと考えられている。
負極 : M → M + e
空気極 : 2M + n/2O + 2e → M
具体的な空気電池としては、例えば、特許文献1〜2に開示されているものが挙げられる。
特許文献1には、直径1nm以上の細孔の占める細孔容積が1.0mL/g以上の炭素質物を主体とする正極と、金属イオンを吸蔵・放出する負極活物質を具備する負極と、前記空気極および負極に挟まれた非水電解質層とを具備する非水電解質電池が開示されている。
また、特許文献2には、正極と負極の間に電解質含有層が設けられた空気電池において、前記電解質含有層の電解質が、イオン液体(A)、無機微粒子(B)及び電解質塩(C)を含有してなることを特徴とする空気電池が開示されている。
特開2002−15737号公報 特開2008−66202号公報
従来の空気電池において、放電の際に空気極で生じる金属酸化物(M)は、絶縁性を有しているため、空気極表面に析出した該金属酸化物によって空気極が閉塞してしまうと、空気極の反応場が減少し、放電容量等の電池性能が著しく低下するという問題がある。
従来報告されている、種々の空気電池の放電原理では、飛躍的な高容量化や、より高い電流密度での高容量化を達成することは難しい。
例えば、特許文献1に記載の空気電池のように、細孔容積の大きなカーボン材料を用いることで、放電容量を向上させることは可能であるが、一次電池としての容量は充分とはいえず、また、高い電流密度での高容量化が求められる。
本発明は、上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本発明の目的は、高容量の空気一次電池を提供することにある。
本発明の空気一次電池は、酸素を活物質とする空気極と、金属イオンを放出可能な負極活物質を含む負極と、前記空気極及び前記負極に挟まれた電解液層と、を具備する空気一次電池であって、
前記電解液層が、前記金属イオンと酸素との反応性よりも、酸素との反応性が高い低耐還元性溶媒を含み、
前記電解液層に含まれる全溶媒量を100体積%とした時に、前記低耐還元性溶媒の含有割合が40体積%以上であることを特徴とする。
電解液の溶媒として、前記低耐還元性溶媒を40体積%以上含有する溶媒を用いる本発明の空気一次電池によれば、放電容量を飛躍的に向上させることができる。
前記低耐還元性溶媒としては、例えば、フッ素系溶媒、リン酸エステル類、及びスルホラン類から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
前記低耐還元性溶媒としてスルホラン類を用いる場合、前記電解液層に含まれる全溶媒量を100体積%とした時に、前記スルホラン類の含有割合が80体積%以下であることが好ましい。
電池電圧、電池重量等の観点から、前記金属イオンがリチウムイオンであることが好ましい。
本発明によれば、放電容量が大きい空気一次電池を提供することができる。
本発明の空気一次電池の一形態例を示す断面模式図である。 実施例及び比較例で用いた空気一次電池セルの断面模式図である。 実施例1及び比較例1〜3の放電曲線である。 実施例16及び比較例8の放電特性を示すグラフである。
本発明の空気一次電池は、酸素を活物質とする空気極と、金属イオンを放出可能な負極活物質を含む負極と、前記空気極及び前記負極に挟まれた電解液層と、を具備する空気一次電池であって、
前記電解液層が、前記金属イオンと酸素との反応性よりも、酸素との反応性が高い低耐還元性溶媒を含み、
前記電解液層に含まれる全溶媒量を100体積%とした時に、前記低耐還元性溶媒の含有割合が40体積%以上であることを特徴とする。
以下、本発明の空気一次電池について、図1を参照しながら説明する。図1は本発明の空気一次電池の一形態例を示す断面模式図である。
図1において、空気一次電池10は、空気極1と、負極2と、電解液層3とが、空気極缶6及び負極缶7で構成される電池ケース内に収容されている。空気極1と負極2と電解液層3は、電解液層3が、空気極1と負極2との間に挟まれて介在するように配置されている。空気極缶6及び負極缶7は、ガスケット8により固定されており、電池ケース内の密封性が確保されている。
空気極1は、電解液層3側から順に、空気極層5と、空気極層5の集電を行う空気極集電体4とが、積層して構成されている。
空気極層5は、酸素の還元反応の場であり、導電性材料(例えばカーボンブラック)、触媒(例えば、二酸化マンガン)、及びバインダー(例えば、ポリフッ化ビニリデン)を含んでいる。
空気極集電体4は、多孔質構造を有する導電性材料(例えば、カーボンペーパー)から構成されており、空気極缶6に設けられた空気孔9から取り込まれた酸素が、空気極集電体4を経て空気極層5に供給可能となっている。
負極2は、伝導イオンである金属イオンを放出可能な負極活物質(たとえば、金属Li)を含んでいる。
電解液層3は、溶媒[例えば、メチルフルオロアセテート(MFA)とプロピレンカーボネート(PC)との混合溶媒(MFA:PC=50vol%:50vol%)]に、支持電解質塩(例えば、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド)を溶解させた電解液を含み、該電解液が絶縁性多孔質体からなるセパレータ(図示せず)に含浸されている。
本発明者が鋭意検討した結果、メチルフルオロアセテート(MFA)、トリメチルフォスフェート(TMP)、トリエチルフォスフェート(TEP)、スルホラン(SL)及びメチルスルホラン(Me−SL)等の特定の溶媒を、電解液の溶媒として用いることによって、空気一次電池の放電容量が飛躍的に向上することが見出された。
上記のような溶媒を用いることにより放電容量が向上する明確なメカニズムは、現時点では不明であるが、次のように推測される。
まず、上記特定の溶媒を用いることによる放電容量の向上効果は、酸素雰囲気下において得られ、アルゴン雰囲気では得られないことが確認されている(実施例16及び比較例8参照)ことから、放電時、空気極において、上記特定の溶媒と酸素との電気化学反応が進行していると考えられる。上記特定の溶媒は、耐還元性が低いという共通の特徴を有していることからも、放電時、酸素との電気化学反応により、上記溶媒が分解すると推測できる。
また、従来の空気電池においては、放電の際、空気極において、上述したような金属イオンと酸素との反応により、絶縁性の金属酸化物が生成し、空気極表面に析出する。これに対して、本発明の空気一次電池では、放電後も空気極表面に金属酸化物の析出がない。このことから、本発明の空気一次電池では、空気極において、上記特定の溶媒と酸素とが反応して該溶媒が分解する反応が、金属イオン(伝導イオン)と酸素とが反応して金属酸化物が生成する反応よりも早く起こると考えられる。
さらに、電解液に含まれる全溶媒量に対する上記特定の溶媒の割合を、40体積%以上とすることによって、上記特定の溶媒を40体積%未満の割合で含有する溶媒を用いる場合と比較して、放電容量が大幅に向上することが見出された。このことからも、本発明の空気一次電池において、上記特定の溶媒と酸素との電気化学反応が進行していることが充分に推測できる。
本発明は、上記知見に基づきなされたものであって、空気一次電池の電解液の溶媒として、金属イオンと酸素との反応性よりも酸素との反応性が高い低耐還元性溶媒(以下、単に低耐還元性溶媒という)を用い、且つ、該低耐還元性溶媒の含有割合を、電解液に含まれる全溶媒量を100体積%とした時に40体積%以上とする点に大きな特徴を有する。
上記したように、本発明の空気一次電池では、放電の際、空気極において、従来の空気一次電池と異なる反応が進行し、放電容量が増加すると共に、空気極表面で絶縁物である金属酸化物が析出しないため、空気極の閉塞が生じない。また、本発明の空気一次電池によれば、従来の空気電池では放電が不可能であったような高い電流密度(例えば、0.2〜0.5mA/cm)でも、放電容量の増加が達成できる。
尚、本発明において、空気一次電池とは、負極から金属イオンと電子が放出され、これら金属イオン及び電子が、空気極と負極との間に介在する電解質及び外部回路を経て、それぞれ空気極へ伝導され、空気極(正極)において正極活物質である酸素の還元反応が進行し、放電する一次電池を指す。空気一次電池の種類としては、例えば、リチウム空気一次電池、ナトリウム空気一次電池、カリウム空気一次電池、マグネシウム空気一次電池、カルシウム空気一次電池、亜鉛空気一次電池、アルミニウム空気一次電池等を挙げることができる。
以下、本発明の空気一次電池の各構成について詳しく説明する。
(電解液層)
電解液層は、低耐還元性溶媒を40体積%以上含有する溶媒に、支持電解質塩を溶解させた電解液を含むものであり、空気極と負極との間、具体的には、後述する空気極層及び負極層の間に保持され、空気極及び負極との間で伝導イオンである金属イオンを伝達する働きを有する。
低耐還元性溶媒は、金属イオンと酸素(又は酸素ラジカル)との反応性よりも酸素(又は酸素ラジカル)との反応性が高いものである。ここで、「金属イオンと酸素との反応性よりも酸素との反応性が高い」とは、金属イオンと酸素との反応性よりも、低耐還元性溶媒と酸素との反応性の方が相対的に高いことを意味し、典型的には、金属イオンと酸素とが反応して金属酸化物を生成する反応速度よりも、低耐還元性溶媒と酸素とが反応して該低耐還元性溶媒が分解する反応速度の方が大きいことを意味する。さらに、空気一次電池内で実際に起こると推測される現象として説明すると、負極から放出された金属イオンと空気極に供給された酸素とが空気極にて反応して金属酸化物を生成する反応速度よりも、電解液層に含まれる低耐還元性溶媒と空気極に供給された酸素とが空気極にて反応して低耐還元性溶媒が分解する反応速度の方が大きいことを意味する。尚、「低耐還元性溶媒と酸素との反応」は、低耐還元性溶媒と酸素との2成分系の反応のみを指すのではなく、低耐還元性溶媒及び酸素と、その他の成分、例えば、金属イオンとが、関与する反応も含む。
低耐還元性溶媒の具体例としては、例えば、フッ素系溶媒、リン酸エステル類、及びスルホラン類が挙げられる。
フッ素系溶媒とは、少なくとも1つのフッ素原子を含有する溶媒であり、具体的には、(A)環状カーボネート、(B)鎖状カーボネート、(C)環状エステル、(D)鎖状エステル、(E)ジエステル、(F)芳香環、及び(G)ニトリル類から選ばれる少なくとも1種の化合物において、少なくとも1つのHをFに置換したフッ化物が挙げられる。
(A)環状カーボネートとは、カーボネート骨格(−O−CO−O−)を含む構造がC−C結合で環状になった分子であり、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、及びビニレンカーボネート等が挙げられる。環状カーボネートのフッ化物としては、例えば、フルオロエチレンカーボネート、ジフルオロエチレンカーボネート、トリフルオロプロピレンカーボネート等が挙げられる。
(B)鎖状カーボネートとは、鎖状のカーボネート骨格(−O−CO−O−)を含む分子であり、例えば、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネート等が挙げられる。鎖状カーボネートのフッ化物としては、例えば、フルオロエチルメチルカーボネート、トリフルオロエチルメチルカーボネート、フルオロメチル−メチルカーボネート、ビス(フルオロメチル)カーボネート等が挙げられる。
(C)環状エステルとは、エステル基(−COO−)を環状構造の一部に含む分子であり、例えば、γ‐ブチロラクトン及びγ‐バレロラクトン等が挙げられる。環状エステルのフッ化物としては、例えば、γ−メチル−α−トリフルオロメチル−γバレロラクトン、α−フルオロ−γブチロラクトン等が挙げられる。
(D)鎖状エステルとは、鎖状のエステル基(−COO−)を含む分子であり、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、及びプロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル等が挙げられる。鎖状エステルのフッ化物としては、3−フルオロプロピオン酸メチル、メチルトリフルオロアセテート、エチルトリフルオロアセテート、メチルジフルオロアセテート、エチルジフルオロアセテート等が挙げられる。
(E)ジエステルとは、ジカルボン酸のジエステルであり、例えば、マロン酸ジエステル、クエン酸ジエステル、マレイン酸ジエステル、及びリンゴ酸ジエステル等が挙げられる。ジエステルのフッ化物としては、例えば、ジメチルジフルオロマロネート等が挙げられる。
(F)芳香環としては、特に限定されず、例えば、ベンゼン、ベンゼン誘導体、ナフタレン、及びナフタレン誘導体等が挙げられる。ここで、ベンゼン誘導体とは、ベンゼン環に置換基が導入されたものを意味し、具体的には、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。同様に、ナフタレン誘導体とは、ナフタレン環に置換基が導入されたものを意味し、具体的には、例えば、クロロナフタレン等が挙げられる。芳香環のフッ化物としては、例えば、フルオロベンゼン、ヘキサフルオロベンゼン、フルオロナフタレン、オクタフルオロナフタレン等が挙げられる。
(G)ニトリル類としては、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル、アジポニトリル等が挙げられる。ニトリル類のフッ化物としては、フルオロアセトニトリル、4−フルオロベンゾニトリル、3−(2−フルオロエトキシ)プロピオニトリル、ペンタフルオロプロピオニトリル等が挙げられる。
フッ素系溶媒としては、粘度が比較的低いことにより電解液の伝導度の低下が生じ難いことから、特に(D)鎖状エステルのフッ化物が好ましく、中でもMFAが好ましい。
リン酸エステル類とは、リン酸の3つのHのうち、少なくとも1つを有機基に置換したものであり、リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、リン酸トリエステルのいずれでもよいが、負極のアルカリ金属との安定性の観点から、リン酸トリエステルが好ましい。リン酸トリエステルとしては、トリメチルフォスフェート(TMP)、トリエチルフォスフェート(TEP)、トリブチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリオクチルフォスフェート等が挙げられ、電解液のイオン伝導性の観点から、TMP、TEPが好ましい。TMP及びTEPは、粘度が低く、電解液の粘度を低く抑えることが可能なためである。
スルホラン類とは、環状構造を形成するS(=O)基を含む環状分子であって、該S(=O)基以外の環内ヘテロ原子を有していてもよく、具体的には、スルホラン(SL)、3−メチルスルホラン(Me−SL)、2,3,4−トリメチルスルホラン、1,3−プロパンサルトン、1,4−ブタンスルトン、エチレンサルファイト等が挙げられる。中でも、電解液に含まれる他の溶媒との相溶性の観点から、SL、Me−SLが好ましい。
低耐還元性溶媒は、1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電解液層の溶媒は、低耐還元性溶媒を40体積%以上含有していれば、低耐還元性溶媒のみからなる単独溶媒(低耐還元性溶媒100体積%)であってもよいし、低耐還元性溶媒と他の溶媒との混合溶媒であってもよい。空気一次電池の高容量化の観点からは、低耐還元性溶媒の含有量は、45体積%以上であることが好ましく、特に、50体積%以上であることが好ましい。
低耐還元性溶媒は放電に伴い消費されるため、その含有量を多くすることによって高い放電容量が得られるが、スルホラン類を用いる場合には、電解液の溶媒におけるスルホラン類の含有量は、90体積%以下であることが好ましく、特に80体積%以下であることが好ましく、さらに75体積%以下であることが好ましく、中でも70体積%以下であることが好ましい。スルホラン類は、粘度が高い傾向があり、スルホラン類の含有量が過剰になると電解液の粘度が上昇し、電解液のイオン伝導性が低下する可能性があるからである。電解液におけるイオン伝導性の低下は、空気一次電池における放電反応性の低下を意味し、充分な放電容量が得られにくくなる。
低耐還元性溶媒と組み合わせる他の溶媒としては、特に限定されず、空気一次電池の電解液溶媒として用いられているものを使用することが可能であるが、組み合わせる低耐還元性溶媒の性質を考慮して適宜選択することが好ましい。
他の溶媒としては、例えば、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ビニレンカーボネート(VC)等の環状カーボネート;ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、メチルプロピルカーボネート等の鎖状カーボネート;γ−ブチロラクトン、γ‐バレロラクトン等のラクトン類、等が挙げられる。
また、N,N,N−トリメチル−N−プロピルアンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド[略称:TMPA−TFSA]、N−メチル−N−プロピルピペリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド[略称:PP13−TFSA]、N−メチル−N−プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド[略称:P13−TFSA]、N−メチル−N−ブチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド[略称:P14−TFSA]、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド[略称:DEME−TFSA]、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボレート[略称:EMIBF]、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド[略称:EMITFSA]、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムブロマイド[略称:AEImBr]、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[略称:AEImBF]、1−アリル−3−エチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド[略称:AEImTFSA]、1,3−ジアリルイミダゾリウムブロマイド[略称:AAImBr]、1,3−ジアリルイミダゾリウムテトラフルオロボラート[略称:AAImBF]、1,3−ジアリルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド[略称:AAImTFSA]等のイオン性液体も、他の溶媒として用いることができる。
電解液における金属イオン伝導性の観点からは、低耐還元性溶媒と組み合わせる他の溶媒として、誘電率の高い溶媒が好ましい。誘電率の高い溶媒としては、誘電率が、20以上、特に30以上の溶媒が挙げられ、具体的には、例えば、EC、PC等が挙げられる。
また、低耐還元性溶媒として、スルホラン類を用いる場合には、上記したようにスルホラン類の粘度が高いことから、スルホラン類よりも低粘度の溶媒を用いることが好ましい。スルホラン類と組み合わせる溶媒として好ましい低粘度溶媒は、例えば、25℃における粘度が、3cP以下、特に1cP以下、であることが好ましい。具体的な低粘度溶媒としては、例えば、DMC、DEC、EMC、メチルプロピルカーボネート等の鎖状カーボネートが挙げられる。
支持電解質塩は、電解液の溶媒に対して溶解性を有し、所望のイオン伝導性を発現するものであれば特に限定されない。通常、伝導させたい金属イオンを含む金属塩を用いることができる。例えば、リチウム空気電池の場合、支持電解質塩としてリチウム塩を用いることができる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO、LiAsF、LiOH、LiCl、LiNO、LiSO等の無機リチウム塩が挙げられる。また、CHCOLi、リチウムビスオキサレートボレート(略称 LiBOB)、LiN(CFSO(略称 LiTFSA)、LiN(CSO(略称 LiBETA)、LiN(CFSO)(CSO)等の有機リチウム塩を用いることもできる。
リチウム以外の金属空気電池の支持電解質塩としては、NaClO、NaPF、NaTFSA、KClO、KTFSA、Mg(ClO、Mg(TFSA)、Mg(PF、Ca(PF、Ca(ClO、Ca(TFSA)、Al(TFSA)等を挙げることができる。
電解液において、支持電解質塩の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.01〜3mol/Lであることが好ましく、特に0.1〜2.5mol/Lであることが好ましく、さらに0.5〜2mol/Lであることが好ましい。
電解液は、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔膜、樹脂不織布、ガラス繊維不織布等の不織布等の絶縁性多孔質体に含浸させ、電解液層とすることもできる。該絶縁性多孔質体は、空気極‐負極間のセパレータとしても機能する。
尚、電解液は、例えば、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のポリマーを添加し、ゲル化して用いることもできる。しかしながら、電解液のイオン伝導性の観点から、電解液はゲル化せずに用いることが好ましい。
(空気極)
空気極は、少なくとも導電性材料を含み、酸素の還元反応場となる。空気極は、通常、導電性材料に加えて、触媒、バインダー等を含む空気極合材からなる空気極層を備える。空気極層は、通常、多孔質構造を有し、活物質である酸素の拡散性が確保される。
導電性材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されず、例えば、炭素材料が挙げられる。炭素材料としては特に限定されないが、空気極における反応場の面積や空間の観点から、高比表面積を有する炭素材料が好ましい。
具体的には、炭素材料は10m/g以上、特に100m/g以上、さらに600m/g以上の比表面積を有することが好ましい。高比表面積を有する炭素材料の具体例として、カーボンブラック、活性炭、カーボン炭素繊維(例えばカーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー等)、グラファイト等を挙げることができる。ここで、導電性材料の比表面積は、たとえばBET法によって測定することができる。
空気極層における導電性材料の含有量は、その密度や比表面積等にもよるが、例えば、10重量%〜90重量%の範囲であることが好ましく、特に10〜50重量%であることが好ましい。
バインダーとしては、特に限定されず、例えば、リチウムイオン電池等で使用可能なものが挙げられる。具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)等が挙げられる。
空気極層におけるバインダーの含有量は、例えば、5〜50重量%であることが好ましく、特に10〜30重量%であることが好ましい。
触媒としては、空気極における酸素の還元反応を促進するものが挙げられる。触媒は、上記導電性材料に担持されていてもよい。
具体的な触媒としては、例えば、コバルトフタロシアニン、マンガンフタロシアニン、ニッケルフタロシアニン、スズフタロシアニンオキサイド、チタンフタロシアニン、ジリチウムフタロシアニン等のフタロシアニン系化合物;コバルトナフトシアニン等のナフトシアニン系化合物;鉄ポルフィリン等の大環状錯体;鉄ポルフィリン等の大環状錯体に遷移金属が配位した錯体;MnO、CeO、Co、NiO、V、Fe、ZnO、CuO、LiMnO、LiMnO、LiMn、LiTi12、LiTiO、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNiO、LiVO、LiFeO、LiFeO、LiCrO、LiCoO、LiCuO、LiZnO、LiMoO、LiNbO、LiTaO、LiWO、LiZrO、NaMnO、CaMnO、CaFeO、MgTiO、KMnO等の無機酸化物;Pt、Au、Ag、Pd、Ru、Ir等の貴金属;等が挙げられる。
空気極層における触媒の含有量は特に限定されないが、例えば、1重量%〜90重量%の範囲であることが好ましい。
空気極は、空気極層の他、さらに該空気極層の集電を行う空気極集電体を備えていてもよい。
空気極集電体としては、所望の電子伝導性を有していれば、多孔質構造を有するものであっても、或いは緻密構造を有するものであってもよいが、空気(酸素)の拡散性の観点から、多孔質構造を有するものが好ましい。
尚、多孔質構造を有する空気極集電体を用いる場合、空気極層と該空気極集電体を積層(隣接)させた図1とは異なり、空気極層の内部に該空気極集電体を配置することもできる。空気極層の内部に空気極集電体を配置する場合、空気極の集電効率の向上効果が期待できる場合がある。
空気極集電体の材料としては、例えば、カーボン材料、窒化チタン等の高電子伝導性セラミックス材料等が挙げられ、中でも、カーボンペーパー、カーボン不織布、カーボンクロス等のカーボン材料を用いた集電体が好ましい。空気極における放電反応により強アルカリ性の金属酸化物が生成した場合に、多孔質集電体が溶出するのを抑制し、これに起因する電池特性の低下を抑えることができるからである。また、カーボンファイバーを織り込んで導電性を付与した、ナイロンやポリエステル等の樹脂性メッシュ網を、空気極集電体として用いることも可能である。
空気極集電体の厚さは特に限定されないが、例えば、10μm〜1000μm、特に20〜400μmであることが好ましい。
尚、後述する電池ケースが空気極の集電体としての機能を兼ね備えていてもよい。
空気極層の厚さは、空気電池の用途等により異なるものであるが、例えば2μm〜500μmの範囲内、特に5μm〜300μmの範囲内であることが好ましい。
空気極層の製造方法は、特に限定されない。例えば、導電性材料、バインダー、及び触媒を、溶媒と混合して空気極合材ペーストを調製し、該空気極合材ペーストを塗布、乾燥する方法が挙げられる。空気極合材ペーストを乾燥させた後、さらに必要に応じて、加圧処理や加熱処理を施してもよい。或いは、導電性材料、バインダー、及び触媒を含む空気極合材を加圧成形することで、空気極層を作製することもできる。
上記空気極合材ペーストを、空気極集電体の表面に塗布、乾燥させることで、空気極層と空気極集電体とが積層した空気極を作製することができる。或いは、上記空気極合材ペーストを塗布、乾燥して得られた空気極層、又は、上記空気極合材を加圧成形して得られた空気極層を、空気極集電体と重ね合わせ、適宜、加圧や加熱等を行うことで、空気極層と空気極集電体とが積層した空気極を作製することもできる。
空気極合材ペーストの溶媒としては、揮発性を有していれば特に限定されず、適宜選択することができる。具体的には、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、及びN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等の有機溶媒、水等が挙げられる。空気極合材ペーストの乾燥が容易になることから、沸点が200℃以下の溶媒が好ましい。
空気極材混合物を塗布する方法は特に限定されず、ドクターブレード、スプレー法等の一般的な方法を用いることができる。
(負極)
負極は、伝導イオンである金属イオンを放出可能な負極活物質を含有する。負極の具体的な構造としては、負極活物質を含む負極層からなる単層構造の他、負極層に加えて、負極層の集電を行う負極集電体を備える多層構造が挙げられる。
負極活物質は、伝導イオンの放出が可能なものであれば特に限定されず、例えば、伝導イオンである金属イオンを含有する単体金属、合金、金属酸化物、金属硫化物、及び金属窒化物等が挙げられる。また、炭素材料も負極活物質として用いることができる。負極活物質としては、単体金属又は合金が好ましく、特に単体金属が好ましい。具体的な単体金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、及びアルミニウムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
より具体的には、リチウム空気電池の負極活物質としては、例えば金属リチウム;リチウムアルミニウム合金、リチウムスズ合金、リチウム鉛合金、リチウムケイ素合金等のリチウム合金;スズ酸化物、ケイ素酸化物、リチウムチタン酸化物、ニオブ酸化物、タングステン酸化物等の金属酸化物;スズ硫化物、チタン硫化物等の金属硫化物;リチウムコバルト窒化物、リチウム鉄窒化物、リチウムマンガン窒化物等の金属窒化物;並びにグラファイト等の炭素材料等を挙げることができ、中でも金属リチウム及び炭素材料が好ましく、高容量化の観点から金属リチウムがより好ましい。
負極層は、少なくとも負極活物質を含有してればよいが、必要に応じて、負極活物質を固定化するバインダーを含有していてもよい。例えば、負極活物質として箔状の金属や合金を用いる場合には、負極層を負極活物質のみを含有する形態とすることができるが、粉末状の負極活物質を用いる場合には、負極層を負極活物質とバインダーを含有する形態とすることができる。また、負極層は、導電性材料を含有していてもよい。バインダー及び導電性材料の種類、使用量等については、上述した空気極と同様であるため、ここでの説明は省略する。
負極集電体の材料としては、導電性を有するものであれば特に限定されない。例えば、銅、ステンレス、ニッケル等が挙げられる。負極集電体の形状としては、例えば、箔状、板状、及びメッシュ状等が挙げられる。また、電池ケースが負極集電体としての機能を有していてもよい。
負極の製造方法は特に限定されない。例えば、箔状の負極活物質と負極集電体とを重ね合わせて加圧する方法が挙げられる。また、別の方法として、負極活物質とバインダーとを含有する負極合材を調製し、合材を負極集電体上に塗布、乾燥する方法を挙げることができる。
(その他)
空気一次電池は、通常、空気極、負極、電解液層を収納する電池ケースを有する。電池ケースの形状は特に限定されないが、具体的にはコイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等を挙げることができる。電池ケースは、大気開放型であっても、密閉型であってもよい。大気開放型の電池ケースは、少なくとも空気極が十分に酸素と接触可能な構造を有する。一方、密閉型の電池ケースは、正極活物質である酸素を含むガスの導入管及び排気管を設けることができる。導入される酸素ガス中の酸素濃度は高いことが好ましく、純酸素であることが特に好ましい。
また、空気極集電体及び負極集電体には、それぞれ、外部との接続部となる端子を設けることができる。
尚、本発明の空気一次電池は、図1に示す積層型の他、捲回型を採用することもできる。
本発明の空気一次電池の製造方法は特に限定されず、一般的な方法を採用することができる。
[実施例1]
(空気一次電池の作製)
図2に示す空気一次電池セルを作製した。図2は、空気一次電池セルの断面模式図である。なお、図2中の白丸は気密性を保つためのパッキンを示す。
電池の作製作業は、全てアルゴンボックス(露点−40℃以下)内で行った。
空気極11は、次のようにして作製した。すなわち、まず、ケッチェンブラック(ケッチェンブラックインターナショナル製)85重量部と、電解二酸化マンガン(高純度化学研究所製)15重量部と、PVdF溶液(クレハ製、PVdF濃度12wt%)100重量部と、N−メチルピロリドン(関東化学製)100重量部とを、ポリプロピレン容器内で混合した後、混練機でさらに混合し、空気極ペーストを調製した。次に、空気極ペーストを、カーボンペーパー(東レ製、TGP‐H−090、厚さ0.28mm)上に塗布し、N−メチルピロリドンを蒸発させて乾燥させて空気極シートを作製した。空気極シートを、直径18mmに打ち抜いて空気極11を作製した。
負極13として、金属リチウム(本城金属製、厚み200μm、直径19mm)を用いた。
図2に示すように、ステンレス製冶具14及びテフロン(登録商標)製部材15(F型セル:北斗電工株式会社製)とからなる筐体内に、空気極11と負極13とを、電解液層12を介して、各電極上の直径12mmの領域が対向するように配置した。
電解液層12としては、メチルフルオロアセテート(MFA)とプロピレンカーボネート(PC)とを体積比50:50で混合した混合溶媒に、LiN(SOCF[略称;Li−TFSA]を溶解させた電解液(Li−TFSA濃度;0.5mol/L)を用いた。空気極11の表面に、セパレータ9(ポリエチレン製、セルガード社製)を配置し、上記電解液を含浸させた。
さらに、負極13には負極リード16を接続し、空気極11には空気極リード17を接続した。
セル全体をガス排気管19及びガス導入管20を備えたガラス容器(内容積1000cc)21内に入れ、密封した。ガス導入管20からガラス容器21内に導入された酸素ガスが、空気極11の表面(負極3と対向する表面とは逆側の表面)に供給可能な構造とした。
(電池試験)
上記にて作製した空気一次電池セルを収容したガラス容器をアルゴンボックスから取り出し、ボンベからガス導入管を経てガラス容器内に酸素ガスを3分間供給し、容器内を酸素ガスで置換した。
その後、空気一次電池セルを収容したガラス容器を、25℃の恒温槽内に置き、以下の方法で放電試験を行った。すなわち、まず、電流密度0.2mA/cm及び電流密度0.5mA/cmで放電させた。放電終止電圧は2Vとした。
表1にの放電容量を示す。また、図3に電流密度0.5mA/cmにおける放電曲線を示す。尚、図3において、(3B)は(3A)を拡大したもの(0〜3000mAh/g)である。
[実施例2]
実施例1において、電解液の溶媒として、MFAとPCとを体積比70:30で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1において、電解液の溶媒として、MFA単独溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表1に示す。
[比較例1]
実施例1において、電解液の溶媒として、PC単独溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表1及び図3に示す。
[比較例2]
実施例1において、電解液の溶媒として、MFAとPCとを体積比10:90で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池を作製し、電池試験を行った。
結果を表1及び図3に示す。
[比較例3]
実施例1において、電解液の溶媒として、MFAとPCとを体積比30:70で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池を作製し、電池試験を行った。
結果を表1及び図3に示す。
[結果1]
図3及び表1に示すように、MFAを40体積%以上含む溶媒を用いた実施例1〜3の空気一次電池は、電流密度0.5mA/cm及び0.2mA/cmのいずれにおいても、MFAを40体積%未満含む溶媒を用いた比較例1〜3の空気一次電池と比較して、はるかに大きな放電容量を示した。
特に、実施例1の空気一次電池は、電流密度0.5mA/cm及び0.2mA/cmのいずれにおいても、極めて高い放電容量を示した。
実施例2及び実施例3の空気一次電池は、電流密度0.5mA/cmでは、実施例1と比較して放電容量が低くなったが、電流密度を0.2mA/cmでは、実施例1よりも高い放電容量を示した。これは、電解液におけるMFAの含有割合が増加するにつれて、電解液のイオン伝導度が低下し、その結果、高い電流密度(0.5mA/cm)では、空気極と負極との分極が大きくなり、低い電流密度(0.2mA/cm)の場合と比較して、早く放電終止電圧(2V)に達したためと考えられる。
[実施例4]
実施例1において、電解液の溶媒として、トリメチルフォスフェート(TMP)とPCとを体積比50:50で混合した混合溶媒を用い、且つ電流密度を0.2mA/cmとしたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表2に示す。尚、表2には、比較例1の結果も併せて示す。
[実施例5]
実施例4において、電解液の溶媒として、TMP単独溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例4において、電解液の溶媒として、TMPとPCとを体積比30:70で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表2に示す。
[実施例6]
実施例4において、電解液の溶媒として、トリエチルフォスフェート(TEP)とPCとを体積比50:50で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表3に示す。尚、表3には、比較例1の結果も併せて示す。
[実施例7]
実施例4において、電解液の溶媒として、TEP単独溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表3に示す。
[比較例5]
実施例4において、電解液の溶媒として、TEPとPCとを体積比30:70で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表3に示す。
[結果2]
表2及び表3に示すように、TMP又はTEPを40体積%以上含む溶媒を用いた実施例4〜5及び6〜7の空気一次電池は、TMP又はTEPを40体積%未満含む溶媒を用いた比較例1並びに比較例4及び5の空気一次電池と比較して、はるかに大きな放電容量を示した。
[実施例8]
実施例4において、電解液の溶媒として、メチルスルホラン(Me−SL)とエチルメチルカーボネート(EMC)とを体積比50:50で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表4に示す。
[実施例9]
実施例4において、電解液の溶媒として、Me−SLとEMCとを体積比70:30で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表4に示す。
[実施例10]
実施例4において、電解液の溶媒として、Me−SLとEMCとを体積比80:20で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表4に示す。
[実施例11]
実施例4において、電解液の溶媒として、Me−SLとEMCとを体積比90:10で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表4に示す。
[比較例6]
実施例4において、電解液の溶媒として、Me−SLとEMCとを体積比30:70で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表4に示す。
[実施例12]
実施例4において、電解液の溶媒として、スルホラン(SL)とEMCとを体積比50:50で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表5に示す。
[実施例13]
実施例4において、電解液の溶媒として、SLとEMCとを体積比70:30で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表5に示す。
[実施例14]
実施例4において、電解液の溶媒として、SLとEMCとを体積比80:20で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表5に示す。
[実施例15]
実施例4において、電解液の溶媒として、SLとEMCとを体積比90:10で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表5に示す。
[比較例7]
実施例4において、電解液の溶媒として、SLとEMCとを体積比30:70で混合した混合溶媒を用いたこと以外は、同様にして、空気一次電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を表5に示す。
[結果3]
表4及び表5に示すように、Me−SL又はSLを40体積%以上含む溶媒を用いた実施例8〜11及び12〜15の空気一次電池は、Me−SL又はSLを40体積%未満含む溶媒を用いた比較例6及び7の空気一次電池と比較して、はるかに大きな放電容量を示した。
Me−SL又はSLを90体積%以上含有する溶媒を用いた実施例11及び実施例15の空気一次電池は、比較例6又は7と比べると大きな放電容量を示したが、Me−SL又はSLを80体積%以下含有する溶媒を用いた実施例8〜10及び実施例12〜14の一次空気電池と比べると、それぞれ放電容量が小さくなった。これは、Me−SLやSL等のスルホラン類が、粘度が高い傾向があるため、電解液におけるスルホラン類の割合が増大すると、電解液の粘度が上昇し、電解液のイオン伝導度が低下するためと考えられる。電解液のイオン伝導度が低下した結果、電流密度0.2mA/cmでは、空気極と負極との分極が大きくなり、スルホラン類の割合が低い他の実施例と比較して、早く放電終止電圧(2V)に達したと考えられる。この結果から、電解液の溶媒におけるスルホラン類の割合は、90体積%以下、特に80体積%以下、中でも70体積%以下が好ましいといえる。
[実施例16]
実施例1において、電解液として、MFAとPCとを体積比70:30で混合した混合溶媒にLiPFを溶解させたもの(LiPF濃度;1mol/L)を用いた以外は同様にして電池セルを作製した。作製した電池セルについて、電流密度を0.025mA/cmとしたこと以外は、実施例1と同様にして放電試験を行った。尚、実施例16において、放電試験は、約132.2時間で強制的に終了させた。
結果を図4に示す。
[比較例8]
実施例16において、ガラス容器内を酸素ガスで置換する代わりにアルゴンガスで置換し、空気極に酸素ガスを供給しなかったこと以外は同様にして、電池セルを作製し、電池試験を行った。
結果を図4に示す
[結果4]
図4に示すように、空気極に酸素ガスを供給した実施例16では、130時間以上、放電が可能であるのに対して、空気極に酸素ガスを供給しなかった比較例8では、0.335時間で2.0Vに達し、放電しなくなった。酸素が存在しないアルゴン雰囲気では放電反応が進行せず、酸素雰囲気下において放電反応が進行することから、酸素存在下、MFAの分解反応が進行すると推測される。
1…空気極
2…負極
3…電解液層
4…空気極集電体
5…空気極層
6…空気極缶
7…負極缶
8…ガスケット
9…空気孔
10…空気一次電池
11…空気極
12…電解液層
13…負極
14…ステンレス製筐体
15…テフロン(登録商標)製筐体
16…負極リード
17…空気極リード
18…セパレータ−
19…ガス排気管
20…ガス導入管
21…ガラス容器

Claims (4)

  1. 酸素を活物質とする空気極と、金属イオンを放出可能な負極活物質を含む負極と、前記空気極及び前記負極に挟まれた電解液層と、を具備する空気一次電池であって、
    前記電解液層が、前記金属イオンと酸素との反応性よりも、酸素との反応性が高い低耐還元性溶媒を含み、
    前記電解液層に含まれる全溶媒量を100体積%とした時に、前記低耐還元性溶媒の含有割合が40体積%以上であることを特徴とする、空気一次電池。
  2. 前記低耐還元性溶媒が、フッ素系溶媒、リン酸エステル類、及びスルホラン類から選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の空気一次電池。
  3. 前記低耐還元性溶媒がスルホラン類であり、
    前記電解液層に含まれる全溶媒量を100体積%とした時に、前記スルホラン類の含有割合が80体積%以下である、請求項1又は2に記載の空気一次電池。
  4. 前記金属イオンが、リチウムイオンである、請求項1乃至3のいずれかに記載の空気一次電池。
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