JP2012097239A - 帯電防止性ポリオレフィン系樹脂組成物及びそれを用いた成形体 - Google Patents
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例えば、摩擦等により帯電し、周囲の埃やチリを引き付け、樹脂成形品の外観を損ねたり、コンピューター等の精密機器に使用した場合、ポリオレフィン系樹脂が帯電することにより、回路が正常に働かなったりする場合がある。更に、樹脂から人体に対して電撃が発生すると、人に不快感を与えるだけでなく、可燃性気体や粉塵のあるところでは、爆発事故を誘引するおそれがある。
一方、エチレンオキサイドと長鎖アルキレンオキサイドのコポリマーが、分散剤や造粘剤として提案されている(特許文献3,4)。しかし、これらの文献には、該コポリマーによるポリオレフィン系樹脂の帯電防止性能に関する記載はなく、その示唆もない。
即ち本発明は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、下記一般式(1)で表される化合物(A)を0.01〜20質量部含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物及び該ポリオレフィン系樹脂組成物からなる成形体である。
但し、式(1)中のR1は、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基、R2は炭素原子数14〜18の直鎖のアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立に、3〜20の数である。
また本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、更に、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有してもよい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物に用いられるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ヘミアイソタクチックポリプロピレン、シクロオレフィンポリマー、ステレオブロックポリプロピレン、ポリ−3−メチル−1−ブテン、ポリ−3−メチル−1−ペンテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン重合体、エチレン/プロピレンブロック又はランダム共重合体等のα−オレフィン共重合体等が挙げられる。
但し、式(1)中のR1は、水素原子又は炭素原子数1〜4のアルキル基、R2は炭素原子数14〜18の直鎖のアルキル基であり、m及びnはそれぞれ独立に、3〜20の数である。
R2としては、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基等が挙げられるが、帯電防止性能とその持続性の点から、n−ヘキサデシル基であることが好ましい。
mは3〜20の数であるが、帯電防止性能とその持続性の点から、5〜18であることが好ましく、7〜14であることがより好ましい。
nは3〜20の数であるが、帯電防止性能とその持続性の点から、4〜12であることが好ましく、5〜10であることがより好ましい。
R2は一般式(1)のR2に対応するアルキル基である。
化合物(A)のポリオレフィン系樹脂への配合方法は特に限定されず、通常使用されている方法を用いることができ、例えば、ロール混練り、バンパー混練り、押し出し機、ニーダー等により混合、練りこみして配合すればよい。
担体に含浸させるには、そのまま担体と加熱混合すればよく、有機溶媒で希釈してから担体に含浸させ、その後溶媒を除去する方法でもよい。
用いられる担体としては、合成樹脂のフィラーや充填剤として知られているもの、あるいは常温で固体の難燃剤や光安定剤が使用できるものでよく、例えば、ケイ酸カルシウム粉末、シリカ粉末、タルク粉末、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、あるいはこれら担体の表面を化学修飾したもの、下記に挙げる難燃剤や酸化防止剤の中で固体のもの等が挙げられる。
これらの担体の中でも担体の表面を化学修飾したものが好ましく、シリカ粉末の表面をシランカップリング剤により化学修飾したものがより好ましい。これらの担体は、平均粒径が0.1〜100μmのものであることが好ましく、0.5〜50μmのものであることがより好ましい。
これらのフェノール系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.001〜10質量部であることが好ましく、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
これらのリン系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
これらのチオエーテル系酸化防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましく、特に0.05〜5質量部であることが好ましい。
これらの紫外線吸収剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜30質量部であることが好ましく、特に0.05〜10質量部であることが好ましい。
特に、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のハライド、酢酸カリウム等の酢酸塩、及び過塩素酸カリウム等の過塩素酸塩を使用することが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂組成物中におけるアルカリ金属の塩又はアルカリ土類金属の塩の添加量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して0.001〜3質量部であることが好ましく、特に0.01〜2質量部であることが好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、脂肪酸エチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物等のポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド、グリセリンの脂肪酸エステル、ペンタエリスリットの脂肪酸エステル、ソルビット若しくはソルビタンの脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミンの脂肪族アミド等の多価アルコール型非イオン界面活性剤などが挙げられる。
これらの界面活性剤は、単独で使用することも、2種以上組み合わせて使用することもできる。
本発明においては、アニオン性界面活性剤を使用することが好ましく、特に、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、パラフィンスルホン酸塩等のスルホン酸塩を使用することが好ましい。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物中における界面活性剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.001〜5質量部であることが好ましく、特に0.01〜3質量部であることが好ましい。
上記ポリオレフィン系樹脂組成物中における高分子帯電防止剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0〜40質量部であることが好ましく、5〜20質量部であることが好ましい。
本発明に使用することができる相溶化剤として、例えば特開平3−258850号公報に記載された、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基及びポリオキシアルキレン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の極性基を有する変性ビニル重合体や、特開平6−345927号に記載された、スルホニル基を有する変性ビニル重合体、あるいはポリオレフィン部分と芳香族ビニル重合体部分とを有するブロック重合体などが挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物における相溶化剤の添加量は、ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.1〜15質量部であることが好ましく、1〜10質量部であることが好ましい。
(ポリ)リン酸塩系難燃剤の例としては、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸ピペラジン、ピロリン酸メラミン、ピロリン酸ピペラジン等の(ポリ)リン酸のアンモニウム塩やアミン塩が挙げられる。
R−680(酸化チタン:石原産業(株)製)、キョーワマグ150(酸化マグネシウム:協和化学工業(株)製)、DHT−4A(ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)、アルカマイザー4(亜鉛変性ハイドロタルサイト:協和化学工業(株)製)等が挙げられる。
前記その他の有機系難燃助剤としては、例えば、ペンタエリスリトールが挙げられる。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、特にフィルム状又はシート状の成形品に好ましく用いられる。
より具体的には、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物及びその成形体は、プリンター、パソコン、ワープロ、キーボード、PDA(小型情報端末機)、電話機、複写機、ファクシミリ、ECR(電子式金銭登録機)、電卓、電子手帳、カード、ホルダー、文具等の事務、OA機器、洗濯機、冷蔵庫、掃除機、電子レンジ、照明器具、ゲーム機、アイロン、コタツ等の家電機器、TV、VTR、ビデオカメラ、ラジカセ、テープレコーダー、ミニディスク、CDプレーヤー、スピーカー、液晶ディスプレー等のAV機器、コネクター、リレー、コンデンサー、スイッチ、プリント基板、コイルボビン、半導体封止材料、LED封止材料、電線、ケーブル、トランス、偏向ヨーク、分電盤、時計等の電気・電子部品及び通信機器、自動車用内外装材、製版用フィルム、粘着フィルム、ボトル、食品用容器、食品包装用フィルム、製薬・医薬用ラップフィルム、製品包装フィルム、農業用フィルム、農業用シート、温室用フィルム等に用いることができる。
[実施例1〜8、比較例1〜12]
実施例については、本発明に係る(A)成分として下記化合物No.1〜No.4を使用し、比較例については下記比較化合物−1〜3を使用し、また、市販の帯電防止剤として、Irgastat P22(BASF社製、ポリエーテルエステルアミド系帯電防止剤)及びグリセリンモノステアレート(商品名リケマールS−100 理研ビタミン(株)製)を使用し、下記のようにして試験片を作製した。
表1〜3に記載した配合量に基づいてブレンドして得られたポリプロピレン系樹脂組成物を、(株)池貝製2軸押出機(PCM30,60mesh入り)を用い、200℃、6kg/時間の条件で造粒しペレットを得た。
得られたペレットを、横型射出成形機(NEX80:日精樹脂工業の商品名)を用い、樹脂温度が200℃、金型温度が40℃という加工条件で成形し、100mm×100mm×3mmの試験片を得た。
また、下記の条件で表面固有抵抗値(SR値)を測定することにより、帯電防止性、持続性及び耐水洗性について評価した。
<帯電防止性評価>
成形加工して得られた試験片を、直ちに25℃で湿度が50%の雰囲気下で保存した。1日保存したもの及び30日保存したものについて、それぞれ同雰囲気下で、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用い、印加電圧100V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。
測定は5点について行い、その平均値を求めた。
成形加工して得られた試験片を、直ちに25℃で湿度が50%の条件下で保存した。1日経過後、試験片を流水中でウエスを用いて10回拭き、室温で風乾した後、アドバンテスト社製のR8340抵抗計を用い、印加電圧100V、印加時間1分の条件で、表面固有抵抗値(Ω/□)を測定した。
測定は5点について行い、その平均値を求めた。
Claims (5)
- 更に、アルカリ金属の塩を含有する、請求項1に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物。
- 更に、アルカリ土類金属の塩、界面活性剤及び前記化合物(A)以外の帯電防止剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1又は2に記載されたポリオレフィン系樹脂組成物。
- 更に、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、チオエーテル系酸化防止剤、紫外線吸収剤及びヒンダードアミン系光安定剤からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項1〜3の何れかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項1〜4の何れかに記載されたポリオレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする成形体。
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