JP2015093873A - ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた被覆電線 - Google Patents

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Abstract

【課題】高い難燃性を備えつつも押出加工性を向上させたポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた被覆電線を提供する。
【解決手段】ポリオレフィン樹脂からなるベース樹脂と、ベース樹脂100重量部に対し、10〜80重量部の臭素系難燃剤と、1〜20重量部の錫酸亜鉛と、0.1〜20重量部のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、0.1〜20重量部の12−ヒドロキシステアリン酸塩とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物、及び、上記ポリオレフィン系樹脂組成物とこれによって被覆される金属導体2とを備える被覆電線1。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた被覆電線に関する。詳細には、本発明は、高い難燃性及び押出加工性を備えたポリオレフィン系樹脂組成物及びこの樹脂組成物を被覆樹脂層として用いた被覆電線に関する。
自動車に配索される被覆電線の被覆層には、耐熱性、耐薬品性、難燃性等が要求される。このような被覆層に用いるための樹脂組成物としては、例えば特許文献1に記載のものが開示されている。
特許文献1では、ポリオレフィン、ビス(3,5−ジブロモ,4−ジブロモプロポキシフェニル)スルホン等の難燃剤、並びに錫化合物等の難燃助剤を含有する、アンチモンを含有しない難燃性ポリオレフィン組成物を開示している。そして、特許文献1では、毒性のある三酸化アンチモンを使用しなくとも難燃性を確保することを目的としている。
特開平11−199717号公報
ここで、特許文献1に記載のポリオレフィン組成物では、難燃助剤たる錫化合物として、錫酸亜鉛を開示している。しかし、錫酸亜鉛は、添加方法によっては分散性が低下し、樹脂組成物が溶融した際の流れ性が悪化する問題があった。さらに、錫酸亜鉛の分散性の低下により、樹脂組成物の伸びも低下してしまい、それに伴い押出加工性が悪化してしまうという問題があった。
本発明は、このような従来技術が有する課題に鑑みてなされたものである。そして本発明の目的は、高い難燃性を備えつつも押出加工性を向上させたポリオレフィン系樹脂組成物及びこれを用いた被覆電線を提供することにある。
本発明の第1の態様に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂からなるベース樹脂と、ベース樹脂100重量部に対し、10〜80重量部の臭素系難燃剤と、1〜20重量部の錫酸亜鉛と、0.1〜20重量部のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、0.1〜20重量部の12−ヒドロキシステアリン酸塩とを含有することを要旨とする。
本発明の第2の態様に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、第1の態様の樹脂組成物に関し、ベース樹脂100重量部に対し、臭素系難燃剤は15〜40重量部であり、錫酸亜鉛は5〜10重量部であり、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは0.5〜10重量部であり、12−ヒドロキシステアリン酸塩は0.5〜10重量部であることを要旨とする。
本発明の第3の態様に係る被覆電線は、第1又は第2の態様のポリオレフィン系樹脂組成物と、ポリオレフィン系樹脂組成物によって被覆される金属導体とを備えることを要旨とする。
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂からなるベース樹脂に対し、所定量の臭素系難燃剤、錫酸亜鉛、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び12−ヒドロキシステアリン酸塩を添加している。そのため、ベース樹脂内での臭素系難燃剤及び錫酸亜鉛の分散性が良好となり、高い難燃性を備えつつも押出加工性が向上している。また、このようなポリオレフィン系樹脂組成物を被覆樹脂層として用いることにより、外観不良が抑制された被覆電線を得ることが可能となる。
本発明の一実施形態に係る被覆電線を示す断面図である。
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係るポリオレフィン系樹脂組成物及び被覆電線について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率は説明の都合上誇張されており、実際の比率と異なる場合がある。
本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂をベースとし、これに臭素系難燃剤、錫酸亜鉛、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び12−ヒドロキシステアリン酸塩を配合したものである。具体的には、本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂からなるベース樹脂を含有している。さらに、ベース樹脂100重量部に対し、10〜80重量部の臭素系難燃剤と、1〜20重量部の錫酸亜鉛と、0.1〜20重量部のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、0.1〜20重量部の12−ヒドロキシステアリン酸塩とを含有している。
ポリオレフィン樹脂に臭素系難燃剤と錫酸亜鉛の両方を添加することにより、良好な難燃性を確保することが可能となる。ただ、ポリオレフィン樹脂に対し、単に臭素系難燃剤及び錫酸亜鉛を添加しただけではこれらの分散性が向上せず、溶融時の流れ性が悪化してしまう恐れがある。そこで、本実施形態では、臭素系難燃剤及び錫酸亜鉛に加え、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び12−ヒドロキシステアリン酸塩を含有している。ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び12−ヒドロキシステアリン酸塩を添加することにより、ポリオレフィン樹脂中における臭素系難燃剤及び錫酸亜鉛の凝集を抑制し、樹脂組成物の流れ性を向上させることが可能となる。さらに、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び12−ヒドロキシステアリン酸塩を含有することにより、押出成形する際の加工機と樹脂との間及び樹脂同士で起こる摩擦を減少させ、加工性及び成形性を向上させることが可能となる。
ベース樹脂であるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン共重合体及びポリα−オレフィンからなる群より選ばれる少なくとも一つを用いることが好ましい。このようなポリオレフィン樹脂は、強度が高く、耐薬品性及び電気絶縁性にも優れている。
より詳細に説明すると、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどのα−オレフィンの単独重合体又はこれらの共重合体であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(VLDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどを挙げることができる。さらに、ポリオレフィン樹脂としては、エチレン−ビニルエステル共重合体、エチレン−α,β−不飽和カルボン酸及び/又はそのアルキルエステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−メタクリル酸共重合体(EMMA)、エチレン−アクリル酸エチル共重合体(EEA)なども挙げることができる。これらのポリオレフィン樹脂を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
臭素系難燃剤としては、例えば、1,2−ビス(ブロモフェニル)エタン、ヘキサブロモベンゼン、エチレンビス−ジブロモノルボルナンジカルボキシイミド、エチレンビス−テトラブロモフタルイミド、テトラブロモビスフェノールS、トリス(2,3−ジブロモプロピル−1)イソシアヌレート、ヘキサブロモシクロドデカン(HBCD)、オクタブロモフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA(TBA)、TBAエポキシオリゴマー又はポリマー、TBA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、デカブロモジフェニルオキシド、ポリジブロモフェニレンオキシド、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス−ペンタブロモベンゼン、ジブロモエチル−ジブロモシクロヘキサン、ジブロモネオペンチルグリコール、トリブロモフェノール、トリブロモフェノールアリルエーテル、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ペンタブロモフェノール、ペンタブロモトルエン、ペンタブロモジフェニルオキシド、ヘキサブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルオキシド、ジブロモネオペンチルグリコールテトラカルボナート、ビス(トリブロモフェニル)フマルアミド、N−メチルヘキサブロモフェニルアミン等を用いることができる。これらの臭素系難燃剤を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
臭素系難燃剤の配合量は、ベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)100重量部に対して、10〜80重量部とする。臭素系難燃剤の配合量が10重量部未満の場合には、難燃性が不十分となる恐れがある。臭素系難燃剤の配合量が80重量部を超える場合には、引張伸びが不十分となり、加工性が低下する恐れがある。なお、臭素系難燃剤の配合量は、ベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)100重量部に対して、15〜40重量部とすることが好ましい。この範囲であることにより、より高い難燃性及び加工性を得ることが可能となる。
錫酸亜鉛としては、三酸化スズ亜鉛(ZnSnO)及び六水酸化スズ亜鉛(ZnSn(OH))の少なくともいずれか一方を使用することが好ましい。このような錫酸亜鉛と上記臭素系難燃剤を併用することにより、毒性がある三酸化アンチモンを含有しなくとも高い難燃性を得ることが可能となる。
錫酸亜鉛の配合量は、ベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)100重量部に対して、1〜20重量部とする。錫酸亜鉛の配合量が1重量部未満の場合には、難燃性が不十分となる恐れがある。錫酸亜鉛の配合量が20重量部を超える場合には、メルトフローレート(MFR)が高くなりすぎてしまい、加工性が悪化する恐れがある。さらに、引張伸びが不十分となり、強度が低下する恐れがある。なお、錫酸亜鉛の配合量は、ベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)100重量部に対して、5〜10重量部とすることが好ましい。この範囲であることにより、より高い難燃性及び加工性を得ることが可能となる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、例えば構造式:H2m+1−O−(CH−CH−O)−H(nは酸化エチレンの付加モル数を、mはアルキル基鎖長を示す。)で表される化合物を使用することができる。具体的には、ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレン−2−エチルヘキシルエーテル、ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル等を使用することができる。これらのポリオキシエチレンアルキルエーテルを単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量は、ベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)100重量部に対して、0.1〜20重量部とする。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量が0.1重量部未満の場合には、臭素系難燃剤及び錫酸亜鉛の分散性が低下してしまい、押出成形時にメヤニ(樹脂の塊)が発生し、外観不良となる恐れがある。ポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量が20重量部を超える場合には、ブルームしてしまう。つまり、臭素系難燃剤及び錫酸亜鉛が樹脂組成物の表面に移動し、吹き出してしまうため、外観不良となる恐れがある。なお、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量は、ベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)100重量部に対して、0.5〜10重量部とすることが好ましい。この範囲であることにより、メヤニ及びブルームの発生をさらに抑制することが可能となる。
12−ヒドロキシステアリン酸塩としては、塩基としてアンモニア、カルシウム、亜鉛、マグネシウム、アルミニウム、バリウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、銀などを用いたものを使用することができる。そして、これらの塩を単独で用いてもよく、複数種を混合して用いてもよい。
12−ヒドロキシステアリン酸塩は、ベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)100重量部に対して、0.1〜20重量部とする。12−ヒドロキシステアリン酸塩の配合量が0.1重量部未満の場合には、臭素系難燃剤及び錫酸亜鉛の分散性が低下してしまい、押出成形時にメヤニが発生し、外観不良となる恐れがある。12−ヒドロキシステアリン酸塩の配合量が20重量部を超える場合には、ブルームしてしまい、外観不良となる恐れがある。なお、12−ヒドロキシステアリン酸塩の配合量は、ベース樹脂(ポリオレフィン樹脂)100重量部に対して、0.5〜10重量部とすることが好ましい。この範囲であることにより、メヤニ及びブルームの発生をさらに抑制することが可能となる。
本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物には、以上の必須成分に加えて、本実施形態の効果を妨げない範囲で種々の添加剤を配合することができる。添加剤としては、酸化防止剤、金属不活性剤、老化防止剤、滑剤、充填剤、補強剤、紫外線吸収剤、安定剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤、帯電防止剤、発泡剤等が挙げられる。
本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物は、上述の材料を溶融混練することにより調製されるが、その方法は公知の手段を用いることができる。例えば、予めヘンシェルミキサー等の高速混合装置を用いてプリブレンドした後、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールミル等の公知の混練機を用いて混練することにより、ポリオレフィン系樹脂組成物を得ることができる。
なお、ポリオレフィン系樹脂組成物の強度を向上させるために、混合後の樹脂組成物に対し放射線を照射し、樹脂組成物の架橋処理を行ってもよい。放射線照射は、例えば、γ線又は電子線を放射線源として使用することができる。これらを樹脂組成物に照射することにより、分子中にラジカルが発生し、これらラジカル同士がカップリングすることにより分子間の架橋結合を形成する。その結果、樹脂組成物の強度を向上させることが可能となる。
上述のように、本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物は、難燃性及び押出加工性に優れているため、被覆電線の被覆樹脂層に適している。図1は、本実施形態のポリオレフィン系樹脂組成物を被覆樹脂層として使用した被覆電線の一例を示す。被覆電線1は、金属導体2を被覆樹脂層3で被覆することにより形成されている。
金属導体2は、1本の素線のみで構成されてもよく、複数本の素線を束ねて構成されたものであってもよい。そして金属導体2は、導体径や導体の材質などについて特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜定めることができる。金属導体2の材料としては、銅、銅合金及びアルミニウム、アルミニウム合金等の公知の導電性金属材料を用いることができる。
本実施形態の被覆電線1における被覆樹脂層3は、上述のように、上記材料を溶融混練することにより調製されるが、その方法は公知の手段を用いることができる。さらに、金属導体2を被覆樹脂層3で被覆する方法も公知の手段を用いることができる。例えば、被覆樹脂層3は、一般的な押出成形法により形成することができる。そして、押出成形法で用いる押出機としては、例えば単軸押出機や二軸押出機を使用し、スクリュー、ブレーカープレート、クロスヘッド、ディストリビューター、ニップル及びダイスを有するものを使用することができる。
そして、被覆樹脂層3を構成するポリオレフィン系樹脂組成物を調製する場合には、ポリオレフィン樹脂が十分に溶融する温度に設定された押出機に、ポリオレフィン樹脂を投入する。この際、臭素系難燃剤、錫酸亜鉛、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び12−ヒドロキシステアリン酸塩、さらには必要に応じて、酸化防止剤などの他の成分も投入する。そして、ポリオレフィン樹脂等はスクリューにより溶融及び混練され、一定量がブレーカープレートを経由してクロスヘッドに供給される。溶融したポリオレフィン樹脂等は、ディストリビューターによりニップルの円周上へ流れ込み、ダイスにより金属導体の外周上に被覆された状態で押し出されることにより、金属導体2の外周を被覆する被覆樹脂層3を得ることができる。
このように本実施形態の被覆電線では、一般の電線用樹脂組成物と同様に押出成形により被覆樹脂層を形成することができる。なお、被覆樹脂層の強度を向上させるために、金属導体の外周に被覆樹脂層を形成した後、放射線や電子線を照射し、樹脂組成物の架橋処理を行ってもよい。その結果、被覆樹脂層の強度を向上させることが可能となる。
以上のように、本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂をベースとし、これに臭素系難燃剤、錫酸亜鉛、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び12−ヒドロキシステアリン酸塩を所定割合で配合している。これにより、難燃性と成形性を両立させることが可能となる。なお、このような樹脂組成物は、被覆電線だけでなく難燃性が要求される部位の樹脂成形物として用いることもできる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例及び比較例の試料調製]
<ポリオレフィン系樹脂組成物の調製>
ワンダーニーターを用い、表1に示す材料及び配合量(重量部)で溶融混練することにより、各実施例及び比較例の樹脂組成物を調製した。なお、表1における高密度ポリエチレン(HDPE)としては、日本ポリエチレン株式会社製、商品名:ノバテック(登録商標)HD HB122Rを使用した。低密度ポリエチレン(LDPE)としては、日本ポリエチレン株式会社製、商品名:ノバテック(登録商標)LD LF122を使用した。エチレン共重合体(EEA)としては、日本ユニカー株式会社製、商品名:NUC−6510(アクリル酸エチル含有量:22質量%)を使用した。ポリプロピレン(PP)としては、株式会社プライムポリマー製、商品名:E−105GMを使用した。臭素系難燃剤(1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)エタン)としては、アルベマール社製、商品名:サイテックス8010を使用した。錫酸亜鉛としては、水澤化学工業株式会社製、商品名:アルカネックス(登録商標)ZSを使用した。ポリオキシエチレンアルキルエーテル(ポリオキシエチレンステアリルエーテル)としては、花王株式会社製、商品名:エルマゲン320Pを使用した。12−ヒドロキシステアリン酸塩(12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム)としては、日東化成株式会社製、商品名:MS−6を使用した。
Figure 2015093873
<被覆電線の調製>
金属導体として、直径が0.15mmの銅芯線(19本の撚線)を準備した。そして、当該金属導体に対し、電線製造用の押出被覆装置を用いて190℃の温度条件で押出成形を行い、各実施例及び比較例の樹脂組成物で被覆した被覆電線を調製した。なお、押出成形の際、被覆樹脂層を入れた電線の外径が1.3mmとなるように調整した。さらに、得られた被覆電線に対し電子線架橋処理(10Mrad)を行い、被覆樹脂層を構成する樹脂の架橋を行った。
[評価]
上記実施例及び比較例の樹脂組成物について、次の方法により難燃性、引張伸び、外観、メヤニ及びメルトフローレート(MFR)の評価を実施した。
<難燃性評価>
実施例及び比較例の樹脂組成物を用いた被覆電線を長さ600mm以上に切断し、試験サンプルを作成した。次に、各試験サンプルをドラフト内に45度の角度で固定した。そして、試験サンプルの上端から500mm±5mmの部分にブンゼンバーナーの内炎部を15秒間接触させた後、ブンゼンバーナーを外した。そして、試験サンプルからブンゼンバーナーを外した後、被覆樹脂層上の炎が70秒以内に全て消えたものを「○」と評価し、70秒を超えて燃え続けたものを「×」と評価した。評価結果を表2に示す。
<引張伸び評価>
実施例及び比較例の樹脂組成物を用いた被覆電線から金属導体を取り除き、被覆樹脂層からなる管状の電線絶縁体を用いて、引張伸びを測定した。なお、引張伸びは、JIS K7161に準拠して評価した。電線絶縁体の伸び率が300%以上の場合には「○」と評価し、300%未満の場合には「×」と評価した。評価結果を表2に示す。
<外観評価>
実施例及び比較例の樹脂組成物を用いた被覆電線を目視し、ざらつき及び凹凸がない場合を「○」と評価し、ざらつき又は凹凸が存在する場合を「×」と評価した。評価結果を表2に示す。
<メヤニ評価>
実施例及び比較例の樹脂組成物を用いて押出成形により被覆電線を500m製造した際、押出被覆装置の口金部分にメヤニ(樹脂の塊)が発生しているか否かを目視にて確認した。メヤニが発生していない場合を「○」と評価し、メヤニが発生している場合を「×」と評価した。評価結果を表2に示す。
<メルトフローレート評価>
実施例及び比較例の樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)を、JIS K7210に準拠して測定した。つまり、実施例及び比較例の樹脂組成物を、190℃、荷重5kgの条件下でB法にて測定を行い、数値が0.1〜1以内の場合を「○」と評価し、0.1〜1の範囲外の場合を「×」と評価した。評価結果を表2に示す。
Figure 2015093873
表2に示すように、本発明の範囲内である実施例1〜7は、難燃性、引張伸び、外観、メヤニ及びメルトフローレートの全てにおいて良好な結果となった。
これに対し、比較例1は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル及び12−ヒドロキシステアリン酸塩を含まないため、引張伸び、外観及びメヤニの評価が悪化した。比較例2及び7は臭素系難燃剤の添加量が少なく、さらに比較例2〜4は錫酸亜鉛を添加していないため、難燃性が低下した。比較例5は、錫酸亜鉛の添加量が多すぎるため引張伸びが不十分となり、さらにMFRも高いため外観が悪化した。比較例6は、臭素系難燃剤の添加量が多すぎるため、引張伸びが不十分となった。比較例8は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの添加量が多すぎるためブルームしてしまい、外観が悪化した。比較例9は、臭素系難燃剤の添加量が少ないため難燃性が低下し、錫酸亜鉛の添加量が多すぎるため引張伸びが不十分となり、さらに12−ヒドロキシステアリン酸塩の添加量が多すぎるためブルームしてしまい、外観が悪化した。
以上、本発明を実施例によって説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
1 被覆電線
2 金属導体
3 被覆樹脂層

Claims (3)

  1. ポリオレフィン樹脂からなるベース樹脂と、
    前記ベース樹脂100重量部に対し、10〜80重量部の臭素系難燃剤と、1〜20重量部の錫酸亜鉛と、0.1〜20重量部のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、0.1〜20重量部の12−ヒドロキシステアリン酸塩と、
    を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
  2. 前記ベース樹脂100重量部に対し、前記臭素系難燃剤は15〜40重量部であり、前記錫酸亜鉛は5〜10重量部であり、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルは0.5〜10重量部であり、前記12−ヒドロキシステアリン酸塩は0.5〜10重量部であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリオレフィン系樹脂組成物と、
    前記ポリオレフィン系樹脂組成物によって被覆される金属導体と、
    を備えることを特徴とする架橋した被覆電線。
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